堀川ほりかわ (名古屋なごや市し)

堀川ほりかわ（ほりかわ）は、愛知あいち県けん名古屋なごや市しを流ながれる庄内川しょうないがわ水系すいけいの一級いっきゅう河川かせん。

堀川ほりかわ
御陵ごりょう橋きょう上じょうより堀川ほりかわ下流かりゅう方向ほうこうを望のぞむ。 （2014年ねん（平成へいせい26年ねん）1月がつ）
水系すいけい	一級いっきゅう水系すいけい 庄内川しょうないがわ
種別しゅべつ	一級いっきゅう河川かせん
延長えんちょう	16.2 km
流域りゅういき面積めんせき	52.5 km²
水源すいげん	庄内しょうない用水ようすい元もと杁えぶり樋とい門もん（守山もりやま区く）
河口かこう・合流ごうりゅう先さき	伊勢湾いせわん（港みなと区く）
流域りゅういき	愛知あいち県けん名古屋なごや市し

江戸えど時代じだい初期しょきの名古屋なごや開府かいふに際さいして、建築けんちく資材しざい運搬うんぱん用ようの運河うんがとして伊勢湾いせわんから名古屋なごや城じょう付近ふきんまで開削かいさくされたことがそのルーツとされる。その後ご、明治めいじ初期しょきにおいて庄内川しょうないがわからの取水しゅすいを開始かいしし、庄内川しょうないがわ水系すいけいに属ぞくする形かたちとなった。また堀川ほりかわの一部いちぶの区間くかんは、その成立せいりつの経緯けいいから黒川くろかわ（くろかわ）とも呼よばれ、流域りゅういきの地名ちめい（黒川本通くろかわほんとおり）にもなっている。

本ほん項こうでは、2012年ねん時点じてんにおいて水源すいげんを同おなじくする庄内しょうない用水ようすい（しょうないようすい）に関かんしても併あわせて記述きじゅつする。

地理ちり

庄内しょうない用水ようすい頭首とうしゅ工こう（守山もりやま区く）

猿投さなげ橋きょう（北きた区く）

納屋なや橋きょう（中村なかむら区く）

愛知あいち県けん名古屋なごや市し守山もりやま区くにて庄内川しょうないがわから取水しゅすいする形かたちで始はじまり、矢田川やだがわを地下水ちかすい路ろで伏ふく越えつした後のち、名古屋なごや城じょうのある南西なんせい方向ほうこうへ流ながれる。名古屋なごや城じょうを北側きたがわから西側にしがわに回まわり込こんだ後のち、名古屋なごや市し中心ちゅうしん部ぶを南みなみ方向ほうこうへ流ながれて伊勢湾いせわん（名古屋なごや港こう）に注そそぐ。

庄内川しょうないがわの水分すいぶん橋きょう東側ひがしがわに所在しょざいする庄内しょうない用水ようすい頭首とうしゅ工こうにおいてせき止とめられた水みずを庄内しょうない用水ようすい元もと杁えぶり樋とい門もんより取水しゅすいし、水路すいろは庄内しょうない用水ようすいとして南下なんかする。矢田川やだがわの地下ちかを三さん階かい橋きょう東側ひがしがわに所在しょざいするトンネル（伏ふく越えつ）でくぐり、トンネル出口でぐちの三さん階かい橋きょうポンプ場じょう内ないで農業のうぎょう用水ようすいである庄内しょうない用水ようすいと分岐ぶんきする。水量すいりょう調整ちょうせい用ようの水門すいもんである黒川くろかわ樋とい門もんから通称つうしょう「黒川くろかわ」として名古屋なごや城じょう周辺しゅうへんまで南西なんせい方向ほうこうに流ながれる。名古屋なごや城じょうを北側きたがわから西側にしがわに回まわりこ込こんだ後のち、朝日あさひ橋きょう以降いこうは「堀川ほりかわ」としてほぼ南みなみ方向ほうこうに流ながれ、河口かこうの名古屋なごや港こう（伊勢湾いせわん）に至いたる。途中とちゅう、熱田あつた区くの七なな里さとの渡わたし付近ふきんにて新堀しんぼり川がわと合流ごうりゅうする。かつては松重まつしげ閘門（中川なかがわ区く）において中川なかがわ運河うんがとも連絡れんらくしていたが、2012年ねん時点じてんで閘門水路すいろは埋うめ立たてが行おこなわれており、船舶せんぱくによる往来おうらいはできない。

庄内しょうない用水ようすいは、三さん階かい橋きょうポンプ場じょう内ないで黒川くろかわと分離ぶんりした後のち、ほぼ矢田川やだがわ、庄内川しょうないがわに並行へいこうする形かたちで流ながれる。

名古屋なごや城じょう周辺しゅうへんから熱田あつたまでの区間くかんは、熱田あつた台地だいち（名古屋なごや台地だいち）の西側にしがわに沿そう形かたちで流ながれている。このため総そうじて川かわの左岸さがん（東側ひがしがわ）が右岸うがん（西側にしがわ）よりも高たかくなっている。黒川くろかわ部分ぶぶんの途中とちゅう、猿投さなげ橋きょうにおいて流ながれに約やく3.8mの段差だんさが生しょうじており、それ以降いこうの下しも流域りゅういきは伊勢湾いせわんの潮汐ちょうせきの影響えいきょうを受うけ、満潮まんちょう時ときには流ながれの逆行ぎゃっこうも起おこる感かん潮しお域いきとなっている。また、堀川ほりかわの水深すいしんは潮しおの干満かんまんで1 - 3m程度ていど変化へんかする。

発祥はっしょうの経緯けいいのとおり、特とくに朝日あさひ橋きょうより下流かりゅうの「堀川ほりかわ」は名古屋なごや港こうの一部いちぶとして指定していされ河川かせん管理かんりを名古屋なごや港こう管理かんり組合くみあいが主管しゅかんしているなど、川かわというよりは運河うんがとしての性格せいかくが強つよい。

流域りゅういきの自治体じちたい

2013年ねん時点じてんで、堀川ほりかわ・庄内しょうない用水ようすいとも全すべて名古屋なごや市しの行政ぎょうせい区内くないのみを流ながれる。このため、流域りゅういきにおける気候きこうについては名古屋なごや市しのそれに準じゅんずることとなる。

以下いか、上流じょうりゅうから下流かりゅうの順じゅんに記述きじゅつする。なお流域りゅういきで堀川ほりかわが名古屋なごや市し各かく行政ぎょうせい区くの境さかいとのみなっている場合ばあいには、右岸うがん・左岸さがんの別べつを付記ふきした。

堀川ほりかわ

守山もりやま区く - 北きた区く - 西にし区く - 中ちゅう区く（左岸さがん） - 中村なかむら区く（右岸うがん） - 中川なかがわ区く（右岸うがん） - 熱田あつた区く - 南みなみ区く（左岸さがん） - 港みなと区く

庄内しょうない用水ようすい

守山もりやま区く - 北きた区く - 西にし区く - 中村なかむら区く - 中川なかがわ区く - 港みなと区く

歴史れきし

堀川ほりかわ堀ほり留とめの石碑せきひ
朝日あさひ橋きょう（西にし区く）の袂たもとにある

黒川くろかわ（御ご用水ようすい跡あと街がい園えん・北きた区く）

堀ほり川口かわぐち防潮ぼうちょう水門すいもん（港みなと区く）

一般いっぱんに堀川ほりかわは、1610年ねん（慶長けいちょう15年ねん）に福島ふくしま正則まさのりが徳川とくがわ家康いえやすの命いのちにより、名古屋なごや城じょう築城ちくじょうの天下てんか普請ふしんに際さいして資材しざい運搬うんぱんを目的もくてきとした水路すいろとして、2013年ねん時点じてんにおける朝日橋あさひばし付近ふきんまでを掘削くっさくしたとされている。ただし、当時とうじの土木どぼく技術ぎじゅつの水準すいじゅんでは、何なにもない所ところに全まったく新あたらしい水路すいろを引ひくのは困難こんなんであるとして、堀川ほりかわの位置いちには元々もともと、何なんらかの自然しぜん河川かせんが存在そんざいしたとする説せつも存在そんざいする。なお、尾張おわり藩はんの公的こうてきな記録きろく集しゅうである『事績じせき録ろく』には、慶長けいちょう16年ねん2月がつに名古屋なごや城じょう普請ふしんに携たずさわっていた20の大名だいみょうに対たいして名古屋なごや城じょうまでの運河うんが開削かいさくのために千せん石いし当あたり1名めいの人夫にんぷを出だすことを命めいじられた（『蓬よもぎ左遷させん府ふ記き稿こう』）とあり、同年どうねん6月がつには熱田あつた白鳥しらとりから名古屋なごや城下じょうかまでの運河うんが開削かいさくがほぼ完了かんりょうしたこと、白鳥しらとり付近ふきんは担当たんとうした福島ふくしま正則まさのり（左衛門さえもん大夫たいふ）から「太夫たゆう堀ほり」と呼よばれたとの記載きさいがある。 その後ご、堀川ほりかわは尾張おわり藩はん城下町じょうかまちとなった名古屋なごやへの物資ぶっしの水運すいうんに使つかわれるようになった。

名古屋なごや城じょう付近ふきんの堀ほり留とめ（朝日橋あさひばし以北いほく）の上流じょうりゅう部ぶは、堀川ほりかわと並行へいこうして流ながれていた庄内しょうない用水ようすいの東ひがし井い筋すじに注そそいでいた大幸だいこう川がわの付つけ替がえとして、江戸えど時代じだい後期こうきの1784年ねん（天明てんめい4年ねん）に2013年ねん現在げんざいの猿投さなげ橋きょう付近ふきんから朝日橋あさひばし付近ふきんまでが開削かいさくされたとされる。

さらに明治めいじに入はいり1877年ねん（明治めいじ10年ねん）、愛知あいち県けん技師ぎしの黒川くろかわ治おさむ愿すなおによって、矢田川やだがわを地下ちかで伏ふく越こして庄内川しょうないがわを横断おうだんし、八田川はったがわ・新しん木津用水こつようすいを経由けいゆして犬山いぬやま市しに至いたる運河うんがとして、大幸だいこう川がわを延伸えんしん・拡幅かくふくする形かたちで開削かいさくまたは拡幅かくふく・浚渫しゅんせつされた。この経緯けいいから、堀川ほりかわの朝日あさひ橋きょうから矢田川やだがわ手前てまえの黒川くろかわ樋とい門もんの間あいだの区間くかんは通称つうしょうとして「黒川くろかわ」と呼よばれている。また、1976年ねんまで名鉄めいてつ瀬戸線せとせんに「堀川ほりかわ駅えき」という堀川ほりかわに面めんしたターミナル駅えきがあったのは、愛知あいち県けん瀬戸せと市しで生産せいさんされた瀬戸焼せとやきを堀川ほりかわを通つうじて輸出ゆしゅつするためであった。

黒川くろかわの開削かいさく当時とうじには、平行へいこうして御ご用水ようすいと呼よばれる名古屋なごや城じょうの堀ほりの水源すいげんとなる用水路ようすいろが流ながれていた。御ご用水ようすいは、1663年ねん（寛文ひろふみ3年ねん）にそれまで名古屋なごや城じょうの堀ほりの水源すいげんとなっていた湧水わきみずが枯渇こかつしてきたことに対応たいおうする形かたちで開削かいさくされた用水路ようすいろである。庄内川しょうないがわ（竜泉寺りゅうせんじ付近ふきん）から取水しゅすいし、名古屋なごや城じょう外堀そとぼりまでを結むすんだ。途中とちゅうの矢田川やだがわとは開削かいさく当初とうしょは平面へいめん交差こうさしていたが、1676年ねん（延のべ宝たから4年ねん）に伏ふく越えつが設もうけられて立体りったい交差こうさになった。名古屋なごや城じょうの堀ほりからは辰之たつゆき口こう水道すいどう大樋おおひ（現在げんざいの朝日あさひ橋きょうと大幸だいこう橋きょうの間あいだ）から堀川ほりかわに放流ほうりゅうされるようになり、これにより堀川ほりかわに河口かこう方面ほうめんへの流ながれが生しょうじるようになったとされる。黒川くろかわ開削かいさくに際さいして、御ご用水ようすいについても黒川くろかわと同おなじ庄内しょうない用水ようすい頭首とうしゅ工こうからの取水しゅすいに切きり替かえられた。以後いご、黒川くろかわと御ご用水ようすいは名古屋なごや城じょう近辺きんぺんまで並行へいこうして流ながれる形かたちとなっていたが、1972年ねん（昭和しょうわ47年ねん）に埋うめ立たてられ、その後ご1974年ねんに跡地あとちの一部いちぶが御ご用水ようすい跡あと街がい園えんとして整備せいびされた。

2007年ねん4月がつ1日にち、河川かせんの管理かんり権限けんげんが愛知あいち県けんから名古屋なごや市しに移譲いじょうされている。

2018年ねん3月がつ9日にちから、朝日あさひ橋きょうと納屋なや橋きょうの間あいだで観光かんこう船せん（屋形船やかたぶね）の試験しけん運航うんこうが行おこなわれた。

年表ねんぴょう

本ほん年表ねんぴょうは『名古屋なごや港こうと三さん大だい運河うんが』巻末かんまつ年表ねんぴょうの記述きじゅつから抜粋ばっすいした。

• 1610年ねん - 福島ふくしま正則まさのり、徳川とくがわ家康いえやすより堀川ほりかわ開削かいさくを拝命はいめい、開削かいさくに着手ちゃくしゅ。
• 1611年ねん - 伊勢湾いせわん - 名古屋なごや城じょう間あいだが開通かいつう。
• 1663年ねん - 御ご用水ようすいが開削かいさくされ、堀川ほりかわへの放流ほうりゅうが開始かいしされる。
• 1742年ねん - 庄内しょうない用水ようすいの取水しゅすい位置いちが変更へんこうされ、矢田川やだがわを伏ふく越えつするルートとなる。
• 1784年ねん - 大幸だいこう川がわの付つけ替がえを行おこない、堀川ほりかわに流入りゅうにゅうするルートとなる。
• 1878年ねん - 前年ぜんねんより行おこなわれていた「黒川くろかわ」の開削かいさくが完了かんりょうする。
• 1910年ねん - 庄内しょうない用水ようすい元もと杁えぶり樋とい門もんの改築かいちく工事こうじ実施じっし。人造じんぞう石せきによるアーチ型がた水門すいもんとなる。
• 1911年ねん - 瀬戸せと電気でんき鉄道てつどう（現げん：名鉄めいてつ瀬戸線せとせん）堀川ほりかわ駅えきが開業かいぎょう。瀬戸せとから陶器とうきなどが運はこばれ、堀川ほりかわ経由けいゆで輸出ゆしゅつされる。
• 1917年ねん - 河川かせん法ほうによる準用じゅんよう河川かせんに認定にんていされる。
• 1931年ねん - 猿投さなげ橋きょう - 朝日あさひ橋きょう間あいだの浚渫しゅんせつ工事こうじ実施じっしにより、同どう区間くかんが伊勢湾いせわんの潮しおの影響えいきょうを受うける汽水域すいいきになる。
• 1932年ねん - 松重まつしげ閘門の運用うんよう開始かいし。中川なかがわ運河うんがと接続せつぞくする。
• 1937年ねん - 松重まつしげ閘門に隣接りんせつして松重まつしげポンプ所しょが完成かんせい。中川なかがわ運河うんがの水みずの堀川ほりかわへの注入ちゅうにゅうが始はじまる。
• 1938年ねん - 松重まつしげポンプ所しょから岩井いわい橋きょうまでの導水どうすい設備せつびが堀川ほりかわ右岸うがんに設置せっち。
• 1948年ねん - 庄内しょうない用水ようすい元もと杁えぶり樋とい門もん近ちかくの井戸いどからの取水しゅすいを開始かいし。
• 1959年ねん - 伊勢湾いせわん台風たいふうの来襲らいしゅうにより堀川ほりかわ沿岸えんがんも甚大じんだいな被害ひがいを受うける。
• 1964年ねん - 7月がつ、千せん年ねん下水げすい処理しょり場じょう（現げん：千せん年ねん水すい処理しょりセンター、熱田あつた区く）が完成かんせいし処理しょり水すいの堀川ほりかわへの放流ほうりゅうを開始かいしする。8月、1961年ねんから建設けんせつされていた堀ほり川口かわぐち防潮ぼうちょう水門すいもんが完成かんせい。
• 1965年ねん - 4月がつ、河川かせん法ほう改正かいせいにより二に級きゅう河川かせんに指定していされる。名城めいじょう下水げすい処理しょり場じょう（現げん：名城めいじょう水すい処理しょりセンター、北きた区く）が完成かんせいし、処理しょり水すいの堀川ほりかわへの放流ほうりゅうが始はじまる。
• 1968年ねん - 松重まつしげ閘門が閉鎖へいさされ、中川なかがわ運河うんがとの往来おうらいが途絶とだえる。
• 1969年ねん - 堀川ほりかわが庄内川しょうないがわ水系すいけい左派さは川かわとして一いち級きゅう河川かせんに昇格しょうかく。庄内川しょうないがわ取水しゅすい口こうまでの区間くかんが堀川ほりかわに含ふくまれることとなる。
• 1970年ねん - 千せん年ねん下水げすい処理しょり場じょうの処理しょり能力のうりょくが従来じゅうらいの1日にち6万まんm³から1日にち10万まんm³に向上こうじょうする。
• 1973年ねん - 名城めいじょう下水げすい処理しょり場じょうの処理しょり能力のうりょくが従来じゅうらいの1日にち6万まんm³から1日にち10万まんm³に向上こうじょうする。
• 1974年ねん - 1972年ねんから行おこなわれていた御ご用水ようすい跡あと環境かんきょう整備せいび事業じぎょうが完了かんりょう。御ご用水ようすい跡あと街がい園えんがオープンする。
• 1976年ねん - 1月がつ、松重まつしげ閘門が公用こうよう廃止はいしされる。2月、名鉄めいてつ瀬戸線せとせん堀川ほりかわ駅えきが廃止はいしされる。
• 2001年ねん - 瀬古せこの井戸いどからポンプアップした水みずの通つう水すいを開始かいしする。
• 2003年ねん - 雪印乳業ゆきじるしにゅうぎょう名古屋なごや工場こうじょうからの浄化じょうか用水ようすいの通つう水すいを開始かいしする（古川ふるかわ経由けいゆ、守まもり西にしポンプ所内しょないで合流ごうりゅう）。
• 2004年ねん - 辻つじ栄さかえ橋きょう近ちかくの井戸いどからの通つう水すいを開始かいしする。
• 2005年ねん - 鍋屋上野なべやうえの浄水じょうすい場じょうの作業さぎょう用水ようすいの放流ほうりゅうを開始かいし。
• 2007年ねん - 3月、地下鉄ちかてつ名城線めいじょうせんの地下水ちかすいの放流ほうりゅうを開始かいし。4月、堀川ほりかわの管理かんり権限けんげんが愛知あいち県けんから名古屋なごや市しに移うつされる。
• 2008年ねん - 北清水きたしみず親水しんすい広場ひろばの井戸水いどみず「清水しみずわくわく水みず」の放流ほうりゅうを開始かいし。

環境かんきょう

名城めいじょう水すい処理しょりセンター（北きた区く）から堀川ほりかわに放流ほうりゅうされる処理しょり水すい

北清水きたしみず親水しんすい広場ひろば（北きた区く）の「清水しみずわくわく水みず」

堀川ほりかわにはわずかに取水しゅすいしている庄内川しょうないがわ以外いがいは源流げんりゅうらしいものが無なく、新あたらしい水みずの流入りゅうにゅうが少すくないこと、および処理しょり不十分ふじゅうぶんな生活せいかつ排水はいすいが流入りゅうにゅうすることが水質すいしつ汚濁おだくに拍車はくしゃをかけているとも考かんがえられている。

江戸えど期きにおける堀川ほりかわの水質すいしつは、魚さかなを食用しょくようとしたり泳およいだりすることができる良好りょうこうなものであったとされている。また、周辺しゅうへんの土砂どしゃの流入りゅうにゅう・堆積たいせきにより水路すいろが埋没まいぼつすることを防ふせぐ浚渫しゅんせつ作業さぎょうである「冥加みょうが浚さらえ（みょうがざらえ）」も行おこなわれてきた。冥加みょうが浚さらえは受益じゅえき者しゃとされる沿岸えんがんの町人ちょうにんにより行おこなわれ負担ふたんも大おおきかったが、各かく町内ちょうない競きそい合あう形かたちで盛大せいだいに行いったとされている。明治めいじ期きに入はいり下水道げすいどう整備せいびが行おこなわれるようになると、堀川ほりかわは主おもな下水げすいの放流ほうりゅう先さきとされたことから汚染おせんが進すすむこととなった。下水げすい処理しょり施設しせつの建設けんせつなどの対策たいさくは取とられたものの、昭和しょうわ30年代ねんだい（1965年ねん -）辺あたりからは、工場こうじょう排水はいすいや生活せいかつ排水はいすいで鼻はなを覆おおいたくなるほど異臭いしゅうを放はなつ無残むざんな溝川みぞかわと化かした。1966年ねんにはBODの値ねが 54.8mg/l と汚濁おだくのピークを迎むかえ「死しせる川かわ」とも呼よばれていた。昨今さっこんになって「名古屋なごや堀川ほりかわライオンズクラブ」などにより、浄化じょうかを目指めざす運動うんどうも始はじまっている。

水量すいりょう増大ぞうだいへの取組とりくみとしては、堀川ほりかわ沿岸えんがんへの下水げすい処理しょり施設しせつの建設けんせつ（千せん年ねん水すい処理しょりセンター - 1964年ねん、名城めいじょう水すい処理しょりセンター - 1965年ねん）が挙あげられる。両りょう水みず処理しょりセンターの1日にち当あたり最大さいだい処理しょり能力のうりょくは10万まんm³で、堀川ほりかわの主要しゅよう水源すいげんとして機能きのうしている側面そくめんもある。また、松重まつしげ閘門に隣接りんせつする松重まつしげポンプ所しょから中川なかがわ運河うんがの水位すいい調整ちょうせいのため汲くみ上あげられた水みずが岩井いわい橋きょう付近ふきんから放流ほうりゅうされており、相対そうたい的てきに水質すいしつの良よい中川なかがわ運河うんがの水みずが堀ほり川下かわしも流域りゅういきの水質すいしつ改善かいぜんに寄与きよしている。

堀川ほりかわ流域りゅういきの下水道げすいどうは、名古屋なごや市しの中なかでも早期そうきに下水道げすいどう整備せいびがなされたこともあり汚水おすいと雨水あまみずを同おなじ管かんで流ながす合流ごうりゅう式しき下水道げすいどうであることから、水みず処理しょりセンターの処理しょり能力のうりょくを上回うわまわる降雨こううがあると未処理みしょりの生活せいかつ排水はいすいが雨水あまみずと共ともに川かわに放流ほうりゅうされることとなる。名古屋なごや市しの調査ちょうさでは、1時じ間あいだ当あたり3mm程度ていどの雨量うりょうにより3倍ばい以上いじょうに薄うすめられた生活せいかつ排水はいすいが放流ほうりゅうされる計算けいさんとなり、汚水おすいの流入りゅうにゅうが年間ねんかんで65回かい発生はっせいする試算しさんとなる。このため、降雨こうう時じに一時いちじ的てきに汚水おすいを溜ためておく雨水あまみず貯留ちょりゅう施設しせつを整備せいびし、降雨こうう後ごに水みず処理しょりセンターに送おくって汚水おすいの河川かせん流出りゅうしゅつ量りょうを抑おさえる方針ほうしんでの取組とりくみが行おこなわれている。

そのほか、2001年ねん以降いこう「庄内しょうない用水ようすい元もと杁えぶり樋とい門もん」付近ふきんの庄内しょうない用水ようすいに隣接りんせつしている「瀬古せこの井戸いど」から、2004年ねん以降いこうは古川ふるかわ用水ようすい（守山もりやま区く）の水みずも加くわえて定期ていき的てきに導水どうすいしている。2005年ねんからは鍋屋上野なべやうえの浄水じょうすい場じょうの作業さぎょう用水ようすいを、またそれらより水量すいりょうはさらに少すくないが、流域りゅういきの数すうか所しょで浅あさ層そう地下水ちかすいをそれぞれ導水どうすいしている。なお一時いちじ的てきな堀川ほりかわへの導水どうすいとしては、1998年ねん - 2001年ねんに上飯田かみいいだ連絡れんらく線せん（名鉄めいてつ小牧線こまきせん・地下鉄ちかてつ上飯田かみいいだ線せん）の工事こうじの際さいに湧出ゆうしゅつした地下水ちかすいを上流じょうりゅう部ぶ（黒川くろかわ）に流入りゅうにゅうさせていた。2007年ねんから社会しゃかい実験じっけんとして3年間ねんかんに渡わたって木曽川きそがわからも導水どうすいが行おこなわれた（鍋屋上野なべやうえの浄水じょうすい場じょう内ないで上水道じょうすいどう用水ようすいとしての水みずの一部いちぶを堀川ほりかわへの放流ほうりゅう水すいとするもの）。

木曽川きそがわからの導水どうすいを継続けいぞくして行おこなう等ひとしさらに導水どうすい量りょうを増加ぞうかさせて堀川ほりかわを浄化じょうかしようという計画けいかくも存在そんざいするが、実施じっしに移うつした場合ばあい、現在げんざい堀川ほりかわに堆積たいせきしているヘドロが名古屋なごや港こうから伊勢湾いせわんに流出りゅうしゅつすることが必至ひっしであるとして伊勢湾いせわん沿岸えんがんの漁業ぎょぎょう関係かんけい者しゃの反対はんたいが強つよく、実現じつげんの目途もくとは立たっていない。

一方いっぽうで直接的ちょくせつてきな環境かんきょう整備せいびとしては、従来じゅうらいからヘドロの除去じょきょが断続だんぞく的てきに行おこなわれており、1994年ねん以降いこうは名古屋なごや市しがヘドロの除去じょきょを継続けいぞくして行おこなっている。これにより以前いぜんに比くらべ水質すいしつは改善かいぜんしている（2010年度ねんど平均へいきんの堀川ほりかわ沿岸えんがん測定そくてい場所ばしょでのBOD値ち 2.1mg/l - 4.1mg/l）が、まだまだきれいな川かわとは言いい難がたい状況じょうきょうではある。また名古屋なごや堀川ほりかわライオンズクラブなどによるゴミ拾ひろいなどの清掃せいそう活動かつどうも継続けいぞくして行おこなわれている。

2000年ねん2月がつ22日にちには、前日ぜんじつに名古屋なごや港内こうないで目撃もくげきされたシャチが堀川ほりかわ下流かりゅう部ぶに迷まよい込こみ、話題わだいとなった（同年どうねん2月がつ23日にち、名古屋なごや港こう水族館すいぞくかん、管理かんり組合くみあいなどの職員しょくいんによりシャチの追おい込こみ作戦さくせんが実施じっしされた）。また2005年ねんから毎年まいとし8月がつに「清流せいりゅうの再生さいせいを夢ゆめの技術ぎじゅつで」をキャッチフレーズとして堀川ほりかわエコロボットコンテストが開ひらかれ、小中学生しょうちゅうがくせい、大学生だいがくせい、企業きぎょうが堀川ほりかわをきれいにするアイデアロボットを披露ひろうしている。

イメージキャラクター

• ホリゴン - 名古屋なごや市し堀川ほりかわ総合そうごう整備せいび室しつ管理かんりのイメージキャラクターで、正式せいしき名称めいしょうは堀川ほりかわ権けん左衛門さえもん。堀川ほりかわが作つくられた時ときから生息せいそくする恐竜きょうりゅうである。「堀川ほりかわを清流せいりゅうに!」のキャッチフレーズのもとPR活動かつどうなどを行おこなっている。

庄内しょうない用水ようすい

堀川ほりかわと分岐ぶんき後ごの庄内しょうない用水ようすい（北きた区く）

2014年ねん現在げんざいにおける庄内しょうない用水ようすいは、堀川ほりかわと同おなじく庄内しょうない用水ようすい頭首とうしゅ工こうにその端はしを発はっし、矢田川やだがわ伏ふく越後えちごに堀川ほりかわと分岐ぶんきして、名古屋なごや市し北きた区く・西にし区く・中村なかむら区く・中川なかがわ区く・港みなと区くを流ながれる。これらの流域りゅういきでは惣そう兵衛ひょうえ川がわ（そうべえがわ）という名なで呼よばれることもある。

庄内しょうない用水ようすいは、『尾張おわり国こく愛知あいち郡ぐん誌し』によると安土あづち桃山ももやま時代じだいの頃ころに地域ちいきの治水ちすい灌漑かんがい・民みん利り増進ぞうしんのために開削かいさくが開始かいしされたとされている。江戸えど時代じだい初期しょきの1614年ねん（慶長けいちょう19年ねん）に庄内川しょうないがわ沿ぞいの稲生いなおい村むらに取水しゅすい口こうを設もうけ、開削かいさくされた用水路ようすいろに庄内川しょうないがわの水みずを流ながした。その後ご江戸えど時代じだいの間あいだに矢田川やだがわ合流ごうりゅう前まえの庄内川しょうないがわに取水しゅすい口こうを設もうけて矢田川やだがわを伏ふく越えつする経路けいろに変更へんこうされ、明治めいじ初期しょきには黒川くろかわの開削かいさくと合あわせて矢田川やだがわ伏ふく越後えちごに黒川くろかわ・御ご用水ようすいと分岐ぶんきする現在げんざい（2014年ねん時点じてん）まで続つづく形かたちとなった。

最盛さいせい期きには流域りゅういき約やく3000haの農地のうちを潤うるおす用水路ようすいろであったが、流域りゅういきの急速きゅうそくな市街しがい化かにより、灌漑かんがいする農地のうち面積めんせきは昭和しょうわ末期まっきには北きた区く・西にし区く・中村なかむら区く・中川なかがわ区く・港みなと区くに点在てんざいする数すう十じゅうha以下いかとなった。庄内しょうない用水ようすいも堀川ほりかわと同様どうように水質すいしつ悪化あっかが激はげしく、流域りゅういき住民じゅうみんからは用水ようすいの埋うめ立たてを求もとめる苦情くじょうが多発たはつしたとされる。その後ご1971年ねんに水質すいしつ汚濁おだくに関かんする環境かんきょう基準きじゅんが定さだめられ排水はいすい規制きせいが厳きびしくなったこともあり、庄内しょうない用水ようすいの水質すいしつも昭和しょうわ50年代ねんだい（1975年ねん-）には改善かいぜんされてきた。

1985年ねんから1997年ねんにおいては、農繁期のうはんきである4月がつから9月がつにかけて各かく年とし約やく660万まんm³（1986年ねん） - 約やく1130万まんm³（1992年ねん）の取水しゅすいを行おこなっている。

農業のうぎょう用水ようすいとしての位置いちづけのため、農閑期のうかんきには水利すいり権けんの関係かんけいから通つう水すいされていなかったが、流域りゅういきの住民じゅうみんにより2004年ねんに庄内しょうない用水ようすいを環境かんきょう用水ようすいとして扱あつかう取とり組くみが本格ほんかく的てきにスタートした。2010年ねん12月からは守まもり山水さんすい処理しょりセンターでの高度こうど処理しょり水すいを通年つうねんで庄内しょうない用水ようすいに流ながすようになっている。

「庄内しょうない用水ようすい緑みどり道どう」で、昭和しょうわ62年度ねんど手てづくり郷土きょうど賞しょう（水辺みずべの風物詩ふうぶつし）受賞じゅしょう。

関連かんれん施設しせつ

堀川ほりかわは建築けんちく資材しざいを運搬うんぱんするための水路すいろとして開削かいさくされ、名古屋なごや開府かいふ以来いらいの歴史れきしを持もつこともあり、流域りゅういきには歴史れきし的てきな建築けんちく物ぶつ等とうも見みられる。流域りゅういきにおいて堀川ほりかわと密接みっせつに関連かんれんする施設しせつのうち、庄内しょうない用水ようすい元もと杁えぶり樋とい門もん・黒川くろかわ樋とい門もん・五条ごじょう橋きょう・納屋なや橋きょう・松重まつしげ閘門の計けい5物件ぶっけんが都市とし景観けいかん条例じょうれいに基もとづき名古屋なごや市し都市とし景観けいかん重要じゅうよう建築けんちく物ぶつ等とうの指定していを受うけており、筋違橋すじかいばし・中橋なかはし・桜さくら橋きょう・伝馬てんま橋きょう・岩井いわい橋きょう・日置ひおき橋きょう・住吉橋すみよしばしの7物件ぶっけんが認定にんてい地域ちいき建造けんぞう物ぶつ資産しさんの認定にんていを受うけている。また、岩井いわい橋きょう、松重まつしげ閘門、庄内しょうない用水ようすい元もと杁えぶり樋とい門もんは土木どぼく学会がっかいにより選奨せんしょう土木どぼく遺産いさんに選定せんていされている。

庄内しょうない用水ようすい元もと杁えぶり樋とい門もん

庄内しょうない用水ようすい元もと杁えぶり樋とい門もん

庄内しょうない用水ようすい元もと杁えぶり樋とい門もん（しょうないようすいもといりひもん）は、堀川ほりかわの水源すいげんとなる庄内川しょうないがわ（庄内しょうない用水ようすい頭首とうしゅ工こう）から取水しゅすいした水みずの樋とい門もん。名古屋なごや市し守山もりやま区く瀬古せこにある。

庄内しょうない用水ようすいは運用うんよう開始かいし時じには庄内川しょうないがわを越こえてさらに北きたの地域ちいきへの船ふね運うんにも利用りようする計画けいかくであったことから、元もと杁えぶり樋とい門もんも船舶せんぱくが往来おうらいできる高たかさを持もった水路すいろとなっている。矢田川やだがわを暗渠あんきょを築きずいて越ごえてまで庄内川しょうないがわの水みずを採取さいしゅする構造こうぞうとしたのは、矢田川やだがわの水みずがその上流じょうりゅうに瀬戸せとの陶土とうど地帯ちたいを持もつなど砂すなを多おおく含ふくみ、勾配こうばいのほとんどない堀川ほりかわに流入りゅうにゅうさせると砂すなが溜たまることによる維持いじ管理かんりに労力ろうりょくがかかることを避さけるためである。

樋とい門もんは1910年ねん（明治めいじ43年ねん）に改修かいしゅうされたものであり、この建造けんぞうには「人造じんぞう石せき工法こうほう」が用もちいられている。

人造じんぞう石工せっこう法ほうとは、日本にっぽん家屋かおくにおける土間どまのような土どを固かためる技法ぎほうである「たたき」を大だい規模きぼな土木どぼく建造けんぞう物ぶつにおいても使用しようできるよう、愛知あいち県けん碧南へきなん生うまれの職人しょくにん服部はっとり長七ちょうしちが改良かいりょうしたものである。消石灰しょうせっかいに多量たりょうの風化ふうか花崗岩かこうがんを混まぜて水みず練ねりしたものに砂すなを加くわえた上うえで、石いしと交互こうごに積つみ上あげ突とっき固かためるものであった。工事こうじが行おこなわれた当時とうじはセメントが輸入ゆにゅうされるようにはなっていたものの非常ひじょうに高価こうかであり、一般いっぱんの工事こうじに使用しようできる状況じょうきょうではなかったが、服部はっとりの人造じんぞう石工せっこう法ほうによりコンクリートと同等どうとうの構造こうぞう物ぶつを築きずくことが可能かのうとなった。また、人造じんぞう石工せっこう法ほうで用もちいる消石灰しょうせっかいはより安価あんかな代替だいたい物ぶつの使用しようもできたことから、その後ごの大だい規模きぼ工事こうじ（熱田あつた港こう築港ちっこうや宇品うじな港こう築港ちっこう、四日市よっかいち港こう岸壁がんぺき工事こうじなど）に広ひろく用もちいられるようにもなった。服部はっとりは1904年ねん（明治めいじ37年ねん）に事業じぎょうから引退いんたいしたが、愛知あいち県けんではその後ごしばらくの間あいだ人造じんぞう石工せっこう法ほうを用もちいた治水ちすい灌漑かんがい事業じぎょうを続つづけており、庄内しょうない用水ようすい元もと杁えぶり樋とい門もん工事こうじはその一ひとつである。

なお、下流かりゅうの矢田川やだがわ伏ふく越えつも同どう工法こうほうで造つくられていたが、後のちにコンクリート製せいのものに改築かいちくされたため、2012年ねん時点じてんで名古屋なごや市内しないに現存げんそんする人造じんぞう石工せっこう法ほうの建造けんぞう物ぶつは庄内しょうない用水ようすい元もと杁えぶり樋とい門もんのみとなる。

庄内しょうない用水ようすい元もと杁えぶり樋とい門もんは1993年ねん10月がつ12日にち付づけで名古屋なごや市し都市とし景観けいかん重要じゅうよう建築けんちく物ぶつ等とうに指定していされた。2015年ねんに土木どぼく学会がっかい選奨せんしょう土木どぼく遺産いさんに選えらばれる。

北緯ほくい35度ど12分ふん51.5秒びょう 東経とうけい136度ど56分ふん2.1秒びょう

黒川くろかわ樋とい門もん

黒川くろかわ樋とい門もん

黒川くろかわ樋とい門もん（くろかわひもん）は、庄内しょうない用水ようすいの水みずが地下水ちかすい路ろにより矢田川やだがわを越こした出口でぐちにある樋とい門もん。名古屋なごや市し北きた区く辻つじ町まちにある。

2012年ねん時点じてんで現存げんそんする樋とい門もんは、明治めいじ期きに造つくられた石造せきぞうの樋とい門もんの上うえに、昭和しょうわ末期まっきの1980年ねんに復元ふくげんされた木造もくぞうの上屋うわやが設もうけられている。樋とい門もんの上うえは橋はしとなっており、人ひとや自転車じてんしゃが通行つうこう可能かのうである。

矢田川やだがわを越こえる地下水ちかすい路ろ（伏ふく越えつ）は、かつては庄内しょうない用水ようすい元もと杁えぶり樋とい門もんと同様どうように水路すいろを船舶せんぱくが通行つうこうすることを考慮こうりょした高たかさを持もつ人造じんぞう石工せっこう法ほうによるものであったが、その後ごコンクリート製せいのサイフォン式しきのものに改築かいちくされ、2012年ねん現在げんざい運用うんようされているものは船舶せんぱくの通行つうこうを考慮こうりょしていない。庄内川しょうないがわで採取さいしゅされた水みずは伏ふく越えつ通過つうか後ご、黒川くろかわ樋とい門もんの手前てまえの地点ちてんである三さん階かい橋きょうポンプ場じょう内ないで堀川ほりかわ（黒川くろかわ）と庄内しょうない用水ようすいに分わかれる。

黒川くろかわ樋とい門もんは1992年ねん10月がつ5日にち付づけで名古屋なごや市し都市とし景観けいかん重要じゅうよう建築けんちく物ぶつ等とうに指定していされた。

北緯ほくい35度ど12分ふん25.8秒びょう 東経とうけい136度ど55分ふん48秒びょう

御ご用水ようすい跡あと街がい園えん

御ご用水ようすい跡あと街がい園えん（ごようすいあとがいえん）は、黒川くろかわと平行へいこうして流ながれていた御ご用水ようすい（名古屋なごや城じょう外堀そとぼりへの導水どうすい路ろ）を埋うめ立たてた後のち、その跡地あとちの一部いちぶを街まち園えんとして整備せいびしたものである。

名古屋なごや市し北きた区く、夫婦ふうふ橋きょうから猿投さなげ橋きょうまでの堀川ほりかわ左岸さがんにある、全長ぜんちょう約やく1.6kmの遊歩道ゆうほどうである。

詳細しょうさいは「御ご用水ようすい跡あと街がい園えん」を参照さんしょう

名城めいじょう水すい処理しょりセンター

名城めいじょう水すい処理しょりセンター

名城めいじょう水すい処理しょりセンター（めいじょうみずしょり-）は、堀川ほりかわ左岸さがん、城北しろきた橋きょうのすぐ下流かりゅうに位置いちする名古屋なごや市しの下水げすい処理しょり場じょう。名古屋なごや市し北きた区く名城めいじょうにある。

1965年ねんに完成かんせい（処理しょり能力のうりょく1日にち6万まんm³）、1973年ねんには処理しょり能力のうりょくが1日にち10万まんm³に増強ぞうきょうされている。堀川ほりかわの主要しゅよう水源すいげんの1つとして機能きのうしている。処理しょり方式ほうしきは標準ひょうじゅん活性かっせい汚泥おでい法ほうで処理しょり担当たんとう区域くいきは名古屋なごや市し千種ちくさ区く、東ひがし区く、北きた区く、中ちゅう区くの一部いちぶ。

2013年度ねんど（平成へいせい25年度ねんど）における処理しょり水すいの水質すいしつ検査けんさの結果けっかでは、BODの値ねが年間ねんかん平均へいきん値ちで5.3mg/lとなっている。

名城公園めいじょうこうえんに隣接りんせつしていることもあり、処理しょり施設しせつは屋内おくないに納おさめられ、その上部じょうぶはテニスコートとして利用りようされている。また下水道げすいどう科学かがく館かんも1989年ねん7月がつから併設へいせつされている。

北緯ほくい35度ど11分ふん31.6秒びょう 東経とうけい136度ど54分ふん10.3秒びょう

詳細しょうさいは「名城めいじょう水すい処理しょりセンター」を参照さんしょう

五条橋ごじょうばし

五条橋ごじょうばし

五条橋ごじょうばし（ごじょうばし）は、名古屋なごや開府かいふの際さいの清洲きよす越ごしに際さいして清洲きよすの五条ごじょう川がわに架かけられていた橋はしを移築いちくしたものがそのルーツであり、「堀川ほりかわ七なな橋きょう」（名古屋なごや開府かいふ時じに堀川ほりかわに架かけられた7つの橋はし）の中なかで最もっとも上流じょうりゅうに位置いちする。名古屋なごや市し西にし区く那古野なごの（右岸うがん）と中なか区く丸まるの内うち（左岸さがん）とを結むすんでいる。

2012年ねん時点じてんで現存げんそんする五条ごじょう橋きょうは、木造もくぞうの橋はしの意匠いしょうを残のこしつつ1938年ねんに架かけ替がえが行おこなわれた鉄筋てっきんコンクリート構造こうぞう（RC造づくり）のものである。橋はしの路面ろめん舗装ほそうは石いし張ちょうとなっている。架かけ替がえに際さいしてそれまでの橋はしに付つけられていた擬宝珠ぎぼうしゅ（ぎぼし）は名古屋なごや城じょう地下ちかに仕舞しまわれ保管ほかんされており、2012年ねん時点じてんの擬宝珠ぎぼうしゅは代かわりのものである。

五条橋ごじょうばし周辺しゅうへんには名古屋なごや開府かいふの際さいに移うつってきた商人しょうにん達たちによる屋敷やしきや土蔵どぞうが2012年ねん時点じてんも名古屋なごや市しの町並まちなみ保存ほぞん地区ちくとして残のこされており（四よん間道かんどう）、堀川ほりかわ沿ぞいには石畳いしだたみの荷揚にあげ場じょうも残のこされている。また円頓寺えんどんじ商店しょうてん街がいの東側ひがしがわの入いり口くちともなっている。

五条ごじょう橋きょうは1989年ねん11月1日にち付づけで名古屋なごや市し都市とし景観けいかん重要じゅうよう建築けんちく物ぶつ等とうに指定していされた。

北緯ほくい35度ど10分ふん33.8秒びょう 東経とうけい136度ど53分ふん36.3秒びょう

中橋なかはし

中橋なかはし

中橋なかはし（なかばし）は、「堀川ほりかわ七なな橋きょう」の一ひとつ。名古屋なごや市し西にし区く・中村なかむら区く那古野なごの（右岸うがん）と中なか区く丸まるの内うち（左岸さがん）を結むすんでいる。

中橋なかはしが江戸えど時代じだいにおいて架橋かきょうされた時期じきについてははっきりとした記録きろくは残のこされていないが、五条ごじょう橋きょうと伝馬てんま橋きょうの間あいだに後ごから架かけられたためこの名ながつけられたとされる。

2014年ねん12月時点じてんで現存げんそんする中なか橋はしは1917年ねん（大正たいしょう6年ねん）9月がつに竣工しゅんこうしたもので、2003年ねん時点じてんにおいて、日本にっぽんに現存げんそんする道路どうろ用よう鋼こう桁けた橋きょうとしては4番目ばんめに古ふるい歴史れきしを持もつものとされている。大通おおどおりが直接ちょくせつつながる橋はしではないこと、通行つうこう可能かのうな車両しゃりょう重量じゅうりょうが6tまでとされていることから、大正たいしょう期きに架かけられた橋はしがそのまま使用しようされており、大正たいしょう期き当時とうじの土木どぼく技術ぎじゅつを現在げんざいに伝つたえるものといえる。2012年ねんに橋はしのコンクリート製せいの欄干らんかんが水色みずいろに塗ぬられたが、2014年ねんには欄干らんかん自体じたいが茶色ちゃいろの金属きんぞく製せいのものに換かえられ、路面ろめんの改修かいしゅうが行おこなわれた。

中橋なかはしは2011年ねん10月がつ17日にち付づけで名古屋なごや市しの認定にんてい地域ちいき建造けんぞう物ぶつ資産しさんに認定にんていされた。

北緯ほくい35度ど10分ふん25.4秒びょう 東経とうけい136度ど53分ふん34.9秒びょう

伝馬てんま橋きょう

伝馬てんま橋きょう

伝馬てんま橋きょう（てんまばし）は、「堀川ほりかわ七なな橋きょう」の一ひとつ。名古屋なごや市し中村なかむら区く名駅めいえき（右岸うがん）と中なか区く錦にしき（左岸さがん）とを結むすんでいる。

江戸えど時代じだいにおいて、東海道とうかいどうと中山道なかせんどうを結むすぶ脇わき街道かいどうであった美濃みの街道かいどうは、伝馬てんま橋きょうにて堀川ほりかわを渡わたった。当時とうじは多おおくの旅人たびびとで賑にぎわい、『尾張おわり名めい陽ひ図会ずえ』では「往来おうらいの貴賎きせん絶間たえまなく賑にぎわしき所ところ也」と記しるされている。『尾張おわり名めい陽ひ図会ずえ』ではまた「此橋清須きよすに有ゆうしにや、ぎぼう珠たまに慶長けいちょう七なな年ねんと銘めいじ有ゆう、名古屋なごやへ引移已やめ前ぜん也」ともあり、五条ごじょう橋きょうと同様どうように清須きよす越えつにて移設いせつされた橋はしとの見方みかたもある。

伝馬てんま橋きょうから伝馬てんま橋きょう筋すじにて東ひがしに約やく800メートル、本町通ほんちょうどおりとの交点こうてんは「札ふだの辻つじ」と呼よばれ、伝馬てんま会所かいしょや飛脚ひきゃく会所かいしょが置おかれた交通こうつうの拠点きょてんとなっていた。

伝馬てんま橋きょうは2011年ねん10月がつ17日にち付づけで名古屋なごや市しの認定にんてい地域ちいき建造けんぞう物ぶつ資産しさんに認定にんていされた。

北緯ほくい35度ど10分ふん18.4秒びょう 東経とうけい136度ど53分ふん33.5秒びょう

納屋なや橋きょう

納屋なや橋きょう

納屋なや橋きょう（なやばし）は、名古屋なごや市しの目抜通めぬきどおりである広小路ひろこうじ通どおり（愛知あいち県けん道どう60号ごう名古屋なごや長久手ながくて線せん）が堀川ほりかわを越こえる地点ちてんに架かけられた橋はしであり、「堀川ほりかわ七なな橋きょう」の一ひとつ。堀川ほりかわ七なな橋きょう（五条ごじょう橋きょう・中橋なかはし・伝馬てんま橋きょう・納屋なや橋きょう・日置ひおき橋きょう・古渡こわたり橋きょう・尾頭橋おとうばしの7つ）の真まん中なかに位置いちする橋はしとなる。名古屋なごや市し中村なかむら区く名駅めいえき・名駅南めいえきみなみ（右岸うがん）と中なか区く錦にしき・栄さかえ（左岸さがん）とを結むすんでいる。

納屋なや橋きょうの名なの由来ゆらいについては、堀川ほりかわ右岸うがんの倉庫そうこ（納屋なや）街まちである納屋なや町まちに架かけられた橋はしであるので納屋なや橋きょうと呼よんだ（寛文ひろふみ覚書おぼえがき）とする説せつと、尾張おわり藩はんの米べい蔵ぞうがこの付近ふきんにあったことに由来ゆらいするとする説せつがある。

納屋なや橋きょうは1989年ねん11月1日にち付づけで名古屋なごや市し都市とし景観けいかん重要じゅうよう建築けんちく物ぶつ等とうに指定していされた。

納屋なや橋きょう地区ちくには親水しんすい空間くうかんとして、ゆめ広場ひろばが整備せいびされている（名古屋なごや市し 1992-1993）。かつて水運すいうんが中心ちゅうしんであった時代じだいには、堀川ほりかわは表ひょうの空間くうかんとして機能きのうしていたが、都市とし化かの波なみは堀川ほりかわの両りょうサイドにビルを林立りんりつさせ、堀川ほりかわを裏うらの空間くうかんに変かえてしまった。このため都市とし開発かいはつの手法しゅほうにより、容積ようせき率りつを再さい開発かいはつビルに転化てんかし川かわに隣接りんせつする部分ぶぶんの建築けんちくを排除はいじょし、堀川ほりかわの水辺みずべに市民しみんに親したしまれる親水しんすい空間くうかんをつくり出だした。またその公園こうえんに水質すいしつ浄化じょうか機能きのうをもたせ、堀川ほりかわ復興ふっこうの第一歩だいいっぽを踏ふみ出だそうというものである。そして堀川ほりかわがかつて名古屋なごやの中心ちゅうしんであったように、再ふたたび「堀川ほりかわ文化ぶんか」の創出そうしゅつの場ばとなることをめざすものである。ここでは「人ひと」と「水みず」の新あらたな関係かんけいの成立せいりつが意図いとされている。中央ちゅうおうの親水しんすい広場ひろばは全体ぜんたいを大おおきなスロープで構成こうせいし、水辺みずべへと徐々じょじょに近ちかづいてゆく。並なみ路ろとのレベル差さに100mにわたる大だいカスケードは、よどんだ堀川ほりかわの水みずに対たいし立体りったい的てき、動的どうてきな水みずの表現ひょうげんであり、水みずにふれ、肌はだで感かんじ取とり、太陽たいように輝かがやく水みずしぶきが新あたらしい街まちの表情ひょうじょうとなるだろう。ステンレスワイヤーの細ほそく軽かろやかなテンションブリッジは、川面かわもを浮遊ふゆうする新あたらしい感覚かんかくをつくり出だす。それはまた、東ひがしの開発かいはつ街がい区くと西にしの街まち区くの接点せってんでもある。

北緯ほくい35度ど10分ふん4.4秒びょう 東経とうけい136度ど53分ふん31.1秒びょう

詳細しょうさいは「納屋なや橋きょう」を参照さんしょう

岩井いわい橋きょう

岩井いわい橋きょう		選奨せんしょう土木どぼく遺産いさん選定せんていの碑いしぶみ

岩井いわい橋きょう（いわいばし）は、大須おおす通とおるが堀川ほりかわを越こえる地点ちてんに架かけられた橋はしである。名古屋なごや市し中村なかむら区く名駅南めいえきみなみ・中川なかがわ区く松重まつしげ町まち（右岸うがん）と中なか区く大須おおす・松原まつばら（左岸さがん）とを結むすんでいる。

大須おおす通どおりは名古屋なごや市しが1919年ねん（大正たいしょう8年ねん）より開始かいしした、市内しない五ご大だい幹線かんせん道路どうろ開設かいせつの第だい1号ごうとして建設けんせつに着手ちゃくしゅされた。堀川ほりかわとの交点こうてんに架橋かきょうされた岩井いわい橋きょうは、鉄てつの供給きょうきゅう事情じじょうが逼迫ひっぱくしていた当時とうじとしては破格はかくの431000円えんという金額きんがくを投とうじての鉄橋てっきょう建設けんせつであった。建設けんせつ当時とうじ日本橋梁にほんきょうりょうに在籍ざいせきしていた関場せきば茂樹しげきによる設計せっけい、名古屋なごや高等こうとう工業こうぎょう学校がっこう（現げん名古屋工業大学なごやこうぎょうだいがく）校長こうちょうであった武田たけだ五ご一いちによる意匠いしょう設計せっけいとされている。意匠いしょうの特徴とくちょうとしての橋はし側面そくめんの飾かざり板ばんは、日本にっぽんにおいて第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん以前いぜんに架かけられた橋はしで現存げんそんするものとしては唯一ゆいいつとなっている。

幹線かんせん道路どうろが通とおる幅はば29.5mの橋はしであるが、1923年ねん（大正たいしょう12年ねん）の架橋かきょう以降いこう、1999年ねんに床板とこいた改修かいしゅう工事こうじが実施じっしされた他ほかは架かけ替かえられることなく現在げんざい（2014年ねん時点じてん）に至いたっている。

2007年度ねんど（平成へいせい19年度ねんど）には、土木どぼく学会がっかいにより選奨せんしょう土木どぼく遺産いさんに選定せんていされている。また、2011年ねん10月がつ17日にち付づけで名古屋なごや市し認定にんてい地域ちいき建造けんぞう物ぶつ資産しさんに認定にんていされた。

北緯ほくい35度ど9分ふん33.3秒びょう 東経とうけい136度ど53分ふん34.5秒びょう

日置ひおき橋きょう

日置ひおき橋きょう

日置ひおき橋きょう（ひおきばし）は、「堀川ほりかわ七なな橋きょう」の一ひとつ。名古屋なごや市し中川なかがわ区く松重まつしげ町まち（右岸うがん）と中なか区く松原まつばら（左岸さがん）とを結むすんでいる。

日置ひおき橋きょう周辺しゅうへんはかつては桜さくらの名所めいしょとして知しられ、『尾張おわり名めい陽ひ図会ずえ』においては「堀川ほりかわ花はな盛もり」として日置ひおき橋きょう付近ふきんの堤防ていぼうの桜さくらを見物けんぶつする風景ふうけいが描えがかれている。これらの桜さくらは文化ぶんか年間ねんかん（1804年ねん - 1818年ねん）に御ご普請ふしん奉行ぶぎょうの堀ほり彌わたる九郎くろうが植うえたものとされている。また、2013年ねん現在げんざい、日置ひおき橋きょうの袂たもとには堀川ほりかわ花はな盛もりについて記しるした碑いしぶみがある。

2013年ねん時点じてんにおける日置ひおき橋きょう周辺しゅうへんは、かつてのような桜さくら並木なみきは失うしなわれ、集合しゅうごう住宅じゅうたくや商業しょうぎょう施設しせつが立たち並ならぶ中なか、周囲しゅういの有志ゆうしにより植うえられた桜さくらがわずかに咲さくのみとなっている。

日置ひおき橋きょうは2011年ねん10月がつ17日にち付づけで名古屋なごや市し認定にんてい地域ちいき建造けんぞう物ぶつ資産しさんに認定にんていされた。

北緯ほくい35度ど9分ふん25.5秒びょう 東経とうけい136度ど53分ふん35.2秒びょう

松重まつしげ閘門

松重まつしげ閘門
堀川ほりかわ左岸さがんの中ちゅう区く側がわから

松重まつしげ閘門（まつしげこうもん）は、堀川ほりかわと中川なかがわ運河うんがを結むすぶ地点ちてん（松重まつしげ橋きょう - 山王さんのう橋きょう間あいだ）に設もうけられた閘門。名古屋なごや市し中川なかがわ区く山王さんのう（右岸うがん）にある。

連絡れんらくを行おこなうにあたり堀川ほりかわと中川なかがわ運河うんがの水位すいいに差さがあることから、パナマ運河うんがと同様どうようの閘門による水位すいい調整ちょうせいを行おこなっていた。1932年ねんより運用うんようを開始かいしし堀川ほりかわを用もちいた水運すいうんに用もちいられてきたが、その後ご内陸ないりく部ぶの運輸うんゆの主体しゅたいが自動車じどうしゃに移行いこうし通行つうこう船舶せんぱく量りょうが減少げんしょうしたことから、1968年ねんに閉鎖へいさ、1976年ねんに公用こうよう廃止はいしとなり閘門間あいだの水路すいろは埋うめ立たてられた。閘門の象徴しょうちょうである2対たい4本ほんの尖塔せんとうは保存ほぞんされている。

また、松重まつしげ閘門に隣接りんせつしている松重まつしげポンプ所しょでは、中川なかがわ運河うんがの水みずを汲くみ上あげ堀川ほりかわへ放流ほうりゅうしている。これは中川なかがわ運河うんがの水位すいい調整ちょうせい目的もくてきの他ほかに、相対そうたい的てきに水質すいしつのよい中川なかがわ運河うんがの水みずを堀川ほりかわに注水ちゅうすいすることにより、堀川ほりかわの環境かんきょう改善かいぜんを図はかる目的もくてきも兼かねている。放水ほうすいは松重まつしげ閘門から少すこし上流じょうりゅうとなる岩井いわい橋きょうまで導水どうすい設備せつびを設もうけて行おこなわれている。

松重まつしげ閘門は1986年ねん5月がつ27日にち付づけで名古屋なごや市し有形ゆうけい文化財ぶんかざいに指定していされた。また1993年ねん10月がつ12日にち付づけで名古屋なごや市し都市とし景観けいかん重要じゅうよう建築けんちく物ぶつ等とうに指定していされた。2011年度ねんど（平成へいせい23年度ねんど）には、土木どぼく学会がっかいにより選奨せんしょう土木どぼく遺産いさんに選定せんていされている。

北緯ほくい35度ど9分ふん14.8秒びょう 東経とうけい136度ど53分ふん33.9秒びょう

詳細しょうさいは「松重まつしげ閘門」を参照さんしょう

白鳥しらとり貯木場じょう

白鳥しらとり貯木場じょう（しろとりちょぼくじょう）は、堀川ほりかわ右岸うがん、旗屋はたや橋きょう - 白鳥はくちょう橋きょう間あいだにかつて所在しょざいした貯木場じょう。

福島ふくしま正則まさのりが堀川ほりかわ開削かいさく時じにつくった資材しざい置おき場ばが、その後ご立地りっち条件じょうけんの良よさから貯木場じょうとして発展はってんしていったという、名古屋なごや開府かいふ時じにその歴史れきしを遡さかのぼるものであった。

貯木場じょう跡地あとちは2013年ねん現在げんざい、名古屋なごや国際こくさい会議かいぎ場じょう、白鳥しらとり公園こうえんなどとなっている。また、林野りんや行政ぎょうせいの拠点きょてんとしての林野庁りんやちょう中部ちゅうぶ森林しんりん管理かんり局きょく名古屋なごや事務所じむしょも、貯木場じょう時代じだいから継続けいぞくして設置せっちされている。

詳細しょうさいは「白鳥しらとり貯木場じょう」を参照さんしょう

千せん年ねん水すい処理しょりセンター

千せん年ねん水すい処理しょりセンター

千せん年ねん水すい処理しょりセンター（ちとせみずしょり-）は、堀川ほりかわ右岸うがん、新堀しんぼり川がわとの合流ごうりゅう地点ちてんの少すこし下流かりゅうに位置いちする名古屋なごや市しの下水げすい処理しょり場じょう。名古屋なごや市し熱田あつた区く千せん年ねんにある。

1964年ねんに完成かんせい（処理しょり能力のうりょく1日にち6万まんm³）、1970年ねんには処理しょり能力のうりょくが1日にち10万まんm³に増強ぞうきょうされている。堀川ほりかわの主要しゅよう水源すいげんの1つとして機能きのうしている。処理しょり方式ほうしきは全国ぜんこく的てきにも珍めずらしい高速こうそくエアレーション沈ちんでん法ほうであり、処理しょり担当たんとう区域くいきは名古屋なごや市し熱田あつた区く、中川なかがわ区く、港みなと区くの一部いちぶ。

2013年度ねんど（平成へいせい25年度ねんど）における処理しょり水すいの水質すいしつ検査けんさの結果けっかでは、BODの値ねが年間ねんかん平均へいきん値ちで4.3mg/lとなっている。なお、処理しょりされた水みずの一部いちぶは工業こうぎょう用よう水道すいどうの原水はらみずとして再さい利用りようされている。

北緯ほくい35度ど6分ふん44.2秒びょう 東経とうけい136度ど53分ふん58.5秒びょう

堀ほり川口かわぐち防潮ぼうちょう水門すいもん

堀ほり川口かわぐち防潮ぼうちょう水門すいもん

堀ほり川口かわぐち防潮ぼうちょう水門すいもん（ほりかわぐちぼうちょうすいもん）は、堀川ほりかわ河口かこうに建設けんせつされた防潮ぼうちょう水門すいもん。名古屋なごや港こう管理かんり組合くみあいにより管理かんり運営うんえいされている。名古屋なごや市し港みなと区く千鳥ちどり・東築地ひがしつきじ町まちにある。

伊勢湾いせわん台風たいふう（1959年ねん）来襲らいしゅう時じの高潮こうちょうにより堀川ほりかわ沿岸えんがんも甚大じんだいな被害ひがいを受うけたことから、堀川ほりかわの高潮こうちょう対策たいさくとして建設けんせつが決定けっていされ1964年ねん8月がつに完成かんせいした。川岸かわぎしに設置せっちされたポンプ所しょと連動れんどうし、堀川ほりかわの高潮こうちょう対策たいさくを担になっている。堀川ほりかわ沿岸えんがんは川岸かわぎしまで建物たてものが建たてられていることが多おおく、川岸かわぎしに防潮ぼうちょう壁かべを新設しんせつすることが難むずかしいことから、河口かこう部ぶの防潮ぼうちょう水門すいもんにより被害ひがいをふせぐこととしたものである。

北緯ほくい35度ど5分ふん46.5秒びょう 東経とうけい136度ど53分ふん30.7秒びょう

橋梁きょうりょうなど一覧いちらん

堀川ほりかわの水源すいげんとなる庄内しょうない用水ようすい頭首とうしゅ工こうから伊勢湾いせわんへの河口かこうにある堀ほり川口かわぐち防潮ぼうちょう水門すいもんまで、橋梁きょうりょうや関連かんれん施設しせつなどを順じゅんに記述きじゅつする。

庄内しょうない用水ようすい

• 庄内しょうない用水ようすい頭首とうしゅ工こう
• 庄内しょうない用水ようすい元もと杁えぶり樋とい門もん
• 栄橋さかえばし
• 瀬古せこ橋きょう
• 旭橋あさひばし
• 守まもり西にしポンプ所しょ -場内じょうないで古川ふるかわ（開ひらき渠みぞ）合流ごうりゅう
• （矢田川やだがわ伏ふく越えつ・暗渠あんきょ）
• 三さん階かい橋きょうポンプ所しょ - 場内じょうないで庄内しょうない用水ようすい分岐ぶんき

黒川くろかわ

• 黒川くろかわ樋とい門もん
• 夫婦ふうふ橋きょう - ここより猿投さなげ橋きょうまで御ご用水ようすい跡あと街がい園えん
• 黒川くろかわ一いち号ごう橋きょう
• 新堀しんぼり橋きょう
• 辻つじ栄さかえ橋きょう
• 瑠璃光るりこう橋きょう
• 黒川くろかわ二に号ごう橋きょう
• 木津根きづね橋きょう
• 稚児ちご宮人みやびと道どう橋きょう
• 猿投さなげ橋きょう - ここより下流かりゅうが感かんじ潮しお域いき
• （大幸だいこう川がわ合流ごうりゅう）
• 志賀しが橋きょう（名古屋なごや市道しどう名古屋なごや環状かんじょう線せん）
• 黒川くろかわ橋きょう
• 北清水きたしみず橋きょう（国道こくどう41号ごう）
• 田幡たばた橋きょう
• 金城きんじょう橋きょう
• 城北しろきた橋きょう（大津おおつ通とおる）
• 名城めいじょう水すい処理しょりセンター
• 中土なかつち戸と橋きょう
• 堀ほり端はし橋きょう
• 銀ぎん之の橋はし
• 筋違橋すじかいばし
• 鷹匠たかじょう橋きょう
• 大幸だいこう橋きょう
• 朝日あさひ橋きょう

堀川ほりかわ

• 巾はば下橋しもはし（国道こくどう22号ごう）
• 小塩こしお橋きょう
• 景けい雲くも橋きょう（外堀そとぼり通どおり）
• 五条ごじょう橋きょう - 「堀川ほりかわ七なな橋きょう」
• 中橋なかはし - 「堀川ほりかわ七なな橋きょう」
• 桜さくら橋きょう（桜さくら通どおり）
• 伝馬てんま橋きょう - 「堀川ほりかわ七なな橋きょう」
• 錦にしき橋きょう（錦にしき通どおり）
• 納屋なや橋きょう（広小路ひろこうじ通どおり） - 「堀川ほりかわ七なな橋きょう」
• 天王崎てんのうざき橋きょう
• 新しん洲崎すさき橋きょう（若宮わかみや大通だいつう）
• 洲崎すざき橋きょう
• 岩井いわい橋きょう（大須おおす通とおる）
• 日置ひおき橋きょう - 「堀川ほりかわ七なな橋きょう」
• 松重まつしげ橋きょう
• 松重まつしげ閘門
• 山王さんのう橋きょう（名古屋なごや市道しどう山王さんのう線せん）
• 古渡こわたり橋きょう - 「堀川ほりかわ七なな橋きょう」
• 尾頭橋おとうばし（佐屋さた街道かいどう） - 「堀川ほりかわ七なな橋きょう」
• 住吉橋すみよしばし（八熊通やぐまとおり）
• 瓶屋かめや橋きょう
• 旗屋はたや橋きょう
• 旗屋はたや小橋おばせ
• 熱田あつた記念きねん橋きょう
• 御陵ごりょう橋きょう
• 白鳥はくちょう橋きょう（国道こくどう1号ごう・東海道とうかいどう）
• 大瀬子おおせこ橋きょう
• 宮みやの渡わたし公園こうえん（七なな里さとの渡わたし） - 新堀しんぼり川がわ合流ごうりゅう
• 千せん年ねん水すい処理しょりセンター
• 紀きの左ひだりヱ門もん橋きょう（名古屋なごや市道しどう東海とうかい橋きょう線せん）
• きらく橋きょう
• 港みなと新橋しんばし（国道こくどう23号ごう・名めい四国しこく道どう）
• 堀ほり川口かわぐち防潮ぼうちょう水門すいもん

関連かんれん画像がぞう

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  旧きゅう大幸だいこう川がわ出口いでぐち（北きた区く）
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  北清水きたしみず親水しんすい広場ひろば（北きた区く）
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  鷹匠たかじょう橋きょう（西にし区く）から下流かりゅう方向ほうこう。
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  幅下はばした橋きょう（中なか区く - 西にし区く）から朝日橋あさひばし方向ほうこう。
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  小塩こしお橋きょう（中なか区く - 西にし区く）
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  景けい雲くも橋きょう（中なか区く - 西にし区く）
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  天王崎てんのうざき橋きょう（中なか区く - 中村なかむら区く）より上流じょうりゅう方かた
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  古渡こわたり橋きょう（中なか区く - 中川なかがわ区く）堀川ほりかわ七なな橋きょうの一ひとつ。
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  尾頭橋おとうばし（中川なかがわ区く - 中ちゅう区く・熱田あつた区く）堀川ほりかわ七なな橋きょうの中なかで最もっとも下流かりゅうに位置いちする。
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  護岸ごがん改修かいしゅう工事こうじにより撤去てっきょ・保存ほぞんされた旧きゅう護岸ごがん（熱田あつた区く）。旧きゅう護岸ごがんには1945年ねん6月がつの熱田あつた空襲くうしゅうの爆ばく撃げき跡あとが残のこっている。
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  白鳥しらとり貯木場じょうの太夫たゆう堀ほり（白鳥しらとり公園こうえん内ない・熱田あつた区く）
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  熱田あつた記念きねん橋きょう（熱田あつた区く）より北きたを望のぞむ
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  宮みやの渡わたし公園こうえん（熱田あつた区く）から堀川ほりかわ方向ほうこう。公園こうえん内ないの常夜灯じょうやとうは名古屋なごや市し認定にんてい地域ちいき建造けんぞう物ぶつ資産しさんに認定にんてい。
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  きらく橋きょう（港みなと区く）。一般いっぱん道どうと名古屋なごや高速こうそく4号ごう東海とうかい線せんの2層そう構造こうぞう。
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  港みなと新橋しんばし（港みなと区く）堀川ほりかわの橋はしの中なかで最もっとも下流かりゅうに位置いちする。
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  堀川ほりかわ河口かこう（港みなと区く）港みなと新橋しんばし上じょうから堀ほり川口かわぐち防潮ぼうちょう水門すいもん、名古屋なごや港こう水面すいめんを経へて遠方えんぽうに名港めいこうトリトン（伊勢いせ湾岸わんがん自動車じどうしゃ道どう）。

脚注きゃくちゅう

参考さんこう文献ぶんけん

• 大野おおの『堀川ほりかわ -名古屋なごや人じんを支ささえた川かわ -』1972年ねん。 
• 松田まつだ『名古屋なごや市し 庄内しょうない用水路ようすいろ』1989年ねん。 
• 末吉すえきち『堀川ほりかわ沿革えんかく史し』愛知あいち県けん郷土きょうど資料しりょう刊行かんこう会かい、2000年ねん。ISBN 4-87161-070-5。 
• 毎日新聞まいにちしんぶん名古屋なごや支局しきょく『よみがえれ堀川ほりかわ 「まち」と「川かわ」を「ひと」でつなごう』風ふう媒なかだち社しゃ、2008年ねん。ISBN 978-4-8331-0626-9。 
• 名古屋なごや市し上下水道じょうげすいどう局きょく『なごや水物みずもの語ご 元市長もとしちょう杉戸すぎと清しんの描えがいた水みず都となごや』2010年ねん。 
• 西別府にしべっぷ『名古屋なごや港こうと三さん大だい運河うんが』中日ちゅうにち出版しゅっぱん社しゃ、2011年ねん。ISBN 978-4-88519-374-3。 
• 名古屋なごや城じょう特別とくべつ展てん開催かいさい委員いいん会かい『巨大きょだい城郭じょうかく 名古屋なごや城じょう』名古屋なごや城じょう総合そうごう事務所じむしょ、2013年ねん。全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:22317332。 
• 伊藤いとう、沢井さわい『堀川ほりかわ 歴史れきしと文化ぶんかの探索たんさく』あるむ、2014年ねん。ISBN 978-4-86333-083-2。 
• 沢井さわい、伊藤いとう『北きた区く 歴史れきしと文化ぶんか探索たんさくトリップ』名古屋なごや北きたライオンズクラブ、2014年ねん。ISBN 9784863330788。 
• 水野みずの時じ二に『堀川ほりかわの研究けんきゅう』（名鉄めいてつ電車でんしゃ『行楽こうらくと文化ぶんか』誌しにて発表はっぴょう、1989年ねん12月 - 1993年ねん12月がつ）

外部がいぶリンク

下記かきサイトで堀川ほりかわやルーツを同おなじくする庄内しょうない用水ようすいの変遷へんせんが記載きさいされている。

• 名古屋なごや堀川ほりかわライオンズクラブ
• 堀川ほりかわ400年ねんの歩あゆみ - Network2010
• 堀川ほりかわ1000人にん調査ちょうさ隊たい
• 堀川ほりかわ（昭和しょうわ35年ねん制作せいさく)【名古屋なごや市し公式こうしき】 - YouTube
• 公開こうかい講座こうざ「堀川ほりかわ400年ねんの歩あゆみ」(名古屋なごや市し教育きょういく委員いいん会かい生涯しょうがい学習がくしゅう課か) - YouTube