本籍ほんせき

本籍ほんせき（ほんせき）

1. 1948年ねん（昭和しょうわ23年ねん）に全面ぜんめん改正かいせい施行しこうされた戸籍こせき法ほうによる日本にっぽんの現行げんこう戸籍こせき制度せいどにおいて、戸籍こせきに記載きさいされる人ひとが任意にんいに定さだめる、日本にっぽん国内こくないのいずれかの場所ばしょのこと。その場所ばしょを示しめす所在地しょざいち表示ひょうじが戸籍こせきの「本籍ほんせき」の欄らんに記載きさいされ、筆頭ひっとう者しゃ氏名しめいとともに、戸籍こせきを表示ひょうじする方法ほうほうとして用もちいられる。
2. 旧きゅう戸籍こせき法ほうによる日本にっぽんの旧きゅう戸籍こせき制度せいどにおいて、戸主こしゅが定さだめる、日本にっぽん国内こくないのいずれかの場所ばしょのこと。その場所ばしょを示しめす所在地しょざいち表示ひょうじが戸籍こせきの「本籍ほんせき」の欄らんに記載きさいされ、戸主こしゅ氏名しめいとともに、戸籍こせきを表示ひょうじする方法ほうほうとして用もちいられた。戸主こしゅと家族かぞくの住所じゅうしょである家いえの所在地しょざいちを示しめした。

日本国にっぽんこく旅券りょけんには、本籍ほんせき地ちの都道府県とどうふけんのみがアルファベット表記ひょうき（ロろーマ字まじ）で記載きさいされている。（2009年ねん）

（1969年ねん）

本籍ほんせきの表示ひょうじには、建物たてものの名称めいしょうや部屋へや番号ばんごうは入はいらない。また、戸籍こせき簿ぼを管理かんりしている市区しく町村ちょうそんを本籍ほんせき地ちという。

以下いか、特記とっきない限かぎり、現行げんこう戸籍こせき制度せいどにおける本籍ほんせきについて記述きじゅつする。

概要がいよう

本籍ほんせきは現住所げんじゅうしょと無関係むかんけいに国内こくないならどこに置おいてもよく、変更へんこうして転籍てんせきもでき、1か所しょの土地とちに複数ふくすう人じんの本籍ほんせきが置おかれることもある。

先祖せんぞ代々だいだいの家いえや跡地あとちの住所じゅうしょを本籍ほんせきとして、現住所げんじゅうしょから遠方えんぽうでも変更へんこうしない場合ばあいや、出生しゅっしょう地ちや居住きょじゅう地ちと本籍ほんせきが異ことなる、本籍ほんせきに記載きさいの土地とちや自治体じちたいを訪おとずれたことがない、自身じしんの本籍ほんせきを把握はあくしていない、などの事例じれいもある。

日本にっぽんが領有りょうゆう権けんを主張しゅちょうしているところであれば、

• 住宅じゅうたくではない建造けんぞう物ぶつ、公共こうきょう施設しせつ（空港くうこう、駅えき、公園こうえん、観光かんこう名所めいしょなど）
• 無人島むじんとう
• 民間みんかん人じんの定住ていじゅうや立たち入いりができない地域ちいき、建造けんぞう物ぶつ（沖ノ鳥島おきのとりしま、南鳥島みなみとりしま、皇居こうきょ、国会こっかい議事堂ぎじどうなど）
• 他国たこくとの領土りょうど問題もんだいの対象たいしょうになっている地域ちいき（北方領土ほっぽうりょうど、尖閣諸島せんかくしょとう、竹島たけしまなど）

なども本籍ほんせきを置おくことができるが、事前じぜんに所在地しょざいちの地名ちめいと正確せいかくな地番ちばんまたは住居じゅうきょ表示ひょうじの街まち区く符号ふごう（〇番ばん）を調しらべた上うえで、管轄かんかつの自治体じちたいに届とどけ出でる必要ひつようがある。

一方いっぽうで、

• 県境けんきょうの確定かくていしていない地域ちいき（富士山ふじさんの山頂さんちょうなど）
• 所属しょぞくする市し・区く・町まち・村むらの確定かくていしていない地域ちいき（東京とうきょう都との銀座ぎんざの一部いちぶ・須美寿島すみすじま・鳥島とつしま、鹿児島かごしま県けんの鷹島たかしまなど）
• 日本にっぽんがかつて統治とうちし、敗戦はいせんによって領有りょうゆう権けんを放棄ほうきした地域ちいき（旧きゅう外地がいちや南みなみ樺太からふとや北きた千島ちしまなど）

は本籍ほんせきを置おくことができない。

かつての戸籍こせき関係かんけい書類しょるいは当該とうがい戸籍こせきを管理かんりする市町村しちょうそん役場やくばや区役所くやくしょなど自治体じちたいの窓口まどぐちのみで請求せいきゅうを受うけており、本籍ほんせきが現住所げんじゅうしょから遠隔えんかく地ちの場合ばあいは取得しゅとくに手間てまを要ようしたが、現在げんざいは郵送ゆうそうによる請求せいきゅうも可能かのうである。ただし郵便ゆうびん物ぶつは船便せんびんのみという僻地へきちでは不便ふべんさもある。

本籍ほんせきの設定せっていと表記ひょうき

本籍ほんせきの表記ひょうきは、地番ちばんのほか住居じゅうきょ表示ひょうじ実施じっし地域ちいきでは街まち区く符号ふごうでも可能かのうである。

• 地番ちばんによる表記ひょうきの例れい：○○県けん△△市し□□三さん丁目ちょうめ1234番地ばんち5
• 住居じゅうきょ表示ひょうじの街まち区く符号ふごうによる表記ひょうきの例れい：○○県けん△△市し□□三さん丁目ちょうめ6番ばん

本籍ほんせきは、その時点じてんで実在じつざいする土地とちを設定せっていしなければならない。市町村しちょうそん合併がっぺいや住居じゅうきょ表示ひょうじ、区画くかく整理せいりの実施じっしによる町まち（字じ）の分割ぶんかつ併合へいごうなどにより市町村しちょうそん名めいや町名ちょうめい（字じ名めい）が変かわった場合ばあいは、戸籍こせきに記載きさいされた本籍ほんせきの表記ひょうきは市区しく町村ちょうそん長ちょうの職権しょっけんで自動的じどうてきに変更へんこうされる。一方いっぽう、土地とちの分筆ぶんぴつや合ごう筆ひつなどで地番ちばんが変かわった場合ばあいや、住居じゅうきょ表示ひょうじの変更へんこうなどで街まち区く符号ふごうが変かわった場合ばあいは、戸籍こせきに記載きさいされた本籍ほんせきの地番ちばん・街まち区く符号ふごうは届出とどけでをしない限かぎり変更へんこうされない。このような場合ばあいに、婚姻こんいん・分ふん籍せきなどで新あらたに作成さくせいされる戸籍こせきに元もとの戸籍こせきと同一どういつの本籍ほんせきを設定せっていしようとしても、地番ちばんが現存げんそんしないため認みとめられず、実在じつざいする地番ちばんへの修正しゅうせいを求もとめられることがある（係員かかりいんの裁量さいりょうで認みとめられることもある）。

先例せんれい上じょう、地番ちばん号ごうの定さだめのない地ちについては「無む番地ばんち」と記載きさいするか、市町村しちょうそんが便宜上べんぎじょう附ふしている番号ばんごうを記載きさいしてよい。干拓かんたく地ちのように未いまだ行政ぎょうせい区画くかくの定さだめがない土地とちに本籍ほんせきを定さだめることはできないとされる。無む番地ばんちでも住居じゅうきょ表示ひょうじが実施じっしされている場合ばあい（皇居こうきょなど）は、住居じゅうきょ表示ひょうじによる表記ひょうきが通例つうれいとなる。

本籍ほんせきの変更へんこう

本籍ほんせきを変更へんこうする場合ばあいは、基本きほん的てきに転籍てんせき届とどけにより行おこなう。この他ほか、戸籍こせきの新設しんせつや離脱りだつに伴ともなう際さいにも新あらたな本籍ほんせきを設定せっていする必要ひつようがある（婚姻こんいん・離婚りこん・分ぶん籍せきなど）。転籍てんせき・分ふん籍せきの手続てつづきは新しん本籍ほんせき地ち（新あたらしく本籍ほんせきにする自治体じちたい）か旧きゅう本籍ほんせき地ち（現在げんざいの本籍ほんせきの自治体じちたい）、現住所げんじゅうしょの自治体じちたいで行おこなえる。入籍にゅうせき・就籍による場合ばあいは、新あらたに入はいる戸籍こせきの本籍ほんせきが本籍ほんせきとなる。

人権じんけん問題もんだい

現行げんこうの戸籍こせき法ほうでは、「本籍ほんせき（地ち）」と「出身しゅっしん地ち」「住所じゅうしょ」あるいは「家系かけい」などは無関係むかんけいである。結婚けっこんや就職しゅうしょくなどに際さいして本籍ほんせきを調しらべ、在日ざいにち韓国かんこく・朝鮮ちょうせん人じんやアイヌ、また被ひ差別さべつ部落ぶらくや沖縄おきなわ県けんおよび奄美あまみ群島ぐんとう（旧きゅう琉球りゅうきゅう王国おうこく）出身しゅっしん者しゃと思おもわれるような場合ばあいは不当ふとうに扱あつかったりすることがたびたび起おこっていた。こうした問題もんだいから、最近さいきんではプライバシー・個人こじん情報じょうほう保護ほごや人権じんけん全般ぜんぱんの観点かんてんから（犯罪はんざい捜査そうさなどを除のぞき）安易あんいに本籍ほんせき記載きさいや戸籍こせき謄抄本しょうほんの提出ていしゅつを求もとめないようになっている。

運転うんてん免許めんきょ証しょうでもICカード化かに伴ともない、本籍ほんせきが表示ひょうじされなくなった（2010年ねん（平成へいせい22年ねん）6月がつ交付こうふ分ぶんまでは空白くうはくの本籍ほんせき欄らんが設もうけられていたが、同年どうねん7月がつの交付こうふ分ぶんより本籍ほんせき欄らん自体じたいが削除さくじょされた）。

旧きゅう戸籍こせき制度せいどにおける本籍ほんせき

旧きゅう戸籍こせき制度せいどにおける本籍ほんせきは基本きほん的てきに住所じゅうしょであるが、出稼でかせぎや進学しんがくなどのため戸主こしゅ・家族かぞくの一部いちぶ（ときに全員ぜんいん）が本籍ほんせき以外いがいの場所ばしょに住居じゅうきょを移うつす場合ばあいがあった。そのため、別べつに寄留きりゅう手続てつづきの制度せいどが設もうけられ、本籍ほんせき以外いがいの一定いっていの場所ばしょに90日にち以上いじょう住所じゅうしょまたは居所きょしょを有ゆうする者ものについては届出とどけでが義務付ぎむづけられ、住所じゅうしょのある市町村しちょうそんでは寄留きりゅう簿ぼに、本籍ほんせきのある市町村しちょうそんでは戸籍こせきに添付てんぷした出だし寄留きりゅう用紙ようしにそれぞれ記載きさいされ、住所じゅうしょ・居所きょしょを把握はあくされた。

徴兵ちょうへい制度せいどでは、本籍ほんせき地ちを管轄かんかつする連隊れんたい区くごとに徴兵ちょうへいが行おこなわれていた。徴兵ちょうへい検査けんさは寄留きりゅう先さきで受うけることも可能かのうであったが、召集令状しょうしゅうれいじょうは本籍ほんせきのある市町村しちょうそんの役所やくしょ・役場やくばから本人ほんにんに伝達でんたつされた。

著名ちょめいな場所ばしょに本籍ほんせきを置おく人数にんずう

報道ほうどうなどで明あきらかになっているもののみ掲載けいさいする。

場所ばしょ	所在地しょざいち	人数にんずう	日付ひづけ	出典しゅってん
皇居こうきょ	東京とうきょう都と千代田ちよだ区く千代田ちよだ1番ばん	約やく2100人にん	2004年ねん（平成へいせい16年ねん）時点じてん
大阪城おおさかじょう	大阪おおさか府ふ大阪おおさか市し中央ちゅうおう区く大阪城おおさかじょう1番ばん	約やく800人にん	2010年ねん（平成へいせい22年ねん）8月がつ27日にち、 平松ひらまつ邦夫くにお市長しちょう（当時とうじ）の発言はつげん
阪神はんしん甲子園こうしえん球場きゅうじょう	兵庫ひょうご県けん西宮にしのみや市し甲子園こうしえん町まち1番ばん	699人にん	2011年ねん（平成へいせい23年ねん）10月がつ26日にち時点じてん
沖ノ鳥島おきのとりしま	東京とうきょう都と小笠原おがさわら村むら沖ノ鳥島おきのとりしま	約やく210人にん	2010年ねん（平成へいせい22年ねん）11月30日にち時点じてん
北方領土ほっぽうりょうど	北海道ほっかいどう色丹しこたん郡ぐん色丹しこたん村むらほか	205人にん	2019年ねん（令れい和わ元年がんねん）6月がつ時点じてん
竹島たけしま	島根しまね県けん隠岐おき郡ぐん隠岐おきの島町しままち竹島たけしま	88人にん	2012年ねん（平成へいせい24年ねん）8月がつ24日にち時点じてん
尖閣諸島せんかくしょとう	沖縄おきなわ県けん石垣いしがき市し登野城とのしろ尖閣せんかく	41人にん	2012年ねん（平成へいせい24年ねん）2月がつ時点じてん

脚注きゃくちゅう

関連かんれん項目こうもく

• 住民じゅうみん票ひょう
• 本ほん貫ぬき
• 氏神うじがみ
• 部落ぶらく問題もんだい