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リョクトウ - Wikipedia

リョクトウ緑豆りょくとう)は、マメ一年生植物いちねんせいしょくぶつヤエナリ八重やえせい学名がくめいVigna radiata)の種子しゅしのこと。食品しょくひんおよび食品しょくひん原料げんりょうとして利用りようされる。別名べつめいあお小豆あずき(あおあずき)、八重やえせい(やえなり)、ぶんまめ(ぶんどう)。英名えいめいから「ムングまめ」ともばれる。アズキ (V. angularis) とは同属どうぞくグリーンピースべつぞく別種べっしゅエンドウ種子しゅし

リョクトウ
リョクトウ
分類ぶんるいAPG III
さかい : 植物しょくぶつかい Plantae
階級かいきゅうなし : 被子植物ひししょくぶつ angiosperms
階級かいきゅうなし : 真正しんしょうそう子葉しようるい eudicots
: マメ Fabales
: マメ Fabaceae
: マメ Faboideae
ぞく : ササゲぞく Vigna
たね : ヤエナリ V. radiata
学名がくめい
Vigna radiata (L.) R.Wilczek (1954)[1]
シノニム
和名わみょう
ヤエナリ/リョクトウ
英名えいめい
mung bean
green gram
ヤエナリのさいかち種子しゅし緑豆りょくとう
りょくとう(ぜんつぶいぬい[4]
100 gあたりの栄養えいよう
エネルギー 1,481 kJ (354 kcal)
59.1 g
食物しょくもつ繊維せんい 14.6 g
1.5 g
飽和ほうわ脂肪酸しぼうさん 0.34 g
一価いっか飽和ほうわ 0.04 g
あたい飽和ほうわ 0.61 g
25.1 g
ビタミン
ビタミンA相当そうとうりょう
(2%)
13 µg
(1%)
150 µg
チアミン (B1)
(61%)
0.70 mg
リボフラビン (B2)
(18%)
0.22 mg
ナイアシン (B3)
(14%)
2.1 mg
パントテンさん (B5)
(33%)
1.66 mg
ビタミンB6
(40%)
0.52 mg
葉酸ようさん (B9)
(115%)
460 µg
ビタミンE
(2%)
0.3 mg
ビタミンK
(34%)
36 µg
ミネラル
カリウム
(28%)
1300 mg
カルシウム
(10%)
100 mg
マグネシウム
(42%)
150 mg
リン
(46%)
320 mg
鉄分てつぶん
(45%)
5.9 mg
亜鉛あえん
(42%)
4.0 mg
どう
(46%)
0.91 mg
セレン
(3%)
2 µg
成分せいぶん
水分すいぶん 10.8 g
水溶すいようせい食物しょくもつ繊維せんい 0.6 g
不溶性ふようせい食物しょくもつ繊維せんい 14.0 g
ビオチン(B7 11.2 µg

ビタミンEはαあるふぁ─トコフェロールのみをしめした[5]
%はアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくにおける
成人せいじん栄養えいよう摂取せっしゅ目標もくひょう (RDI割合わりあい

特徴とくちょう

編集へんしゅう

インド原産げんさんで、現在げんざいはおもにひがしアジアからみなみアジアアフリカ [6]みなみアメリカオーストラリア栽培さいばいされている。日本にっぽんでは17世紀せいきごろ栽培さいばい記録きろくがある[6][nb 1]

ヤエナリはいち年生ねんせい草本そうほん複葉ふくようで3まいしょうからなる。はなあわ黄色きいろふえ結実けつじつし、さやは5-10cm、褐色かっしょくから黒色こくしょくで、なかに10-15の種子しゅしつ。種子しゅしながさが4-5mm、はばが3-4mmのちょうたまかたちで、一般いっぱんには緑色みどりいろであるが黄色おうしょく褐色かっしょくくろいまだらなどの種類しゅるいもある。

日本にっぽんにおいては、もやし原料げんりょう種子しゅし)として利用りようされることがほとんどで[6]、ほぼ全量ぜんりょう中国ちゅうごくうちモンゴル)から輸入ゆにゅうしている[8][9]

中国ちゅうごくでは、春雨はるさめ原料げんりょうにする[6]ほか、月餅げっぺいなどのあまあんや、かゆ天津てんしん煎餅せんべいのような料理りょうり材料ざいりょうとしてもべられる。北京ぺきん独特どくとく飲料いんりょうとしてリョクトウからデンプンさい上澄うわずみを原料げんりょうに、これを発酵はっこうさせた豆汁がある[10]凉粉英語えいごばん中国語ちゅうごくごばん原料げんりょうにも使つかわれる[11]

朝鮮半島ちょうせんはんとうでは16世紀せいき前半ぜんはんの『需雲ざつかた』に、リョクトウのデンプンを水溶みずときして加熱かねつし、これをあなをあけたヒョウタンかられて、あなから熱湯ねっとうにたらしめんじょうにしてみずにさらす食品しょくひん記載きさいされている[12][nb 2]。1670ねんごろの『飲食いんしょく味方みかた』では、同様どうよう製法せいほう麻糸あさいとのようにした食品しょくひんさじめん(サミョン)としてしるしている[12]。また、伝統でんとうてきにリョクトウデンプンはネンミョンのつなぎとして利用りようされていた[13]咸鏡どうではリョクトウのデンプンのみを使つかったしだしめんがある[14]中国ちゅうごく同様どうようあんにするほか、みずけたうえですりつぶしたものを生地きじとしてチヂミ一種いっしゅピンデトッにしたり、デンプンしとってムㇰというせものにする。リョクトウからつくったムㇰをノクトゥムㇰ(ノクトゥ=緑豆りょくとう)とび、とくにクチナシの着色ちゃくしょくしたものをファンポムㇰ着色ちゃくしょくしないものをチョンポムㇰぶ。なお、朝鮮ちょうせんではこのリョクトウにちなんで、デンプンのことを一般いっぱんてきに「ノンマル」(녹말=みどりまつ、「緑豆りょくとう粉末ふんまつ」のりゃく)とぶ。

香港ほんこんシンガポールベトナムでは、あま汁粉しるこようデザート広東かんとん料理りょうりとうすい、ベトナムのチェーなど)にすることがおおく、それをやしがためたようなアイスキャンディーもある。リョクトウのとうすい緑豆りょくとうまたは緑豆りょくとうすな、リョクトウのチェーをチェー・ダウ・サイン(Chè đậu xanh)とぶ。

緑豆りょくとう(りょくとうこう)とばれる、木型きがたれて成形せいけいした菓子かしは、ベトナムハイズオン中国ちゅうごく北京ぺきんかつらりんなどの名物めいぶつとなっている。

インドネパールアフガニスタンパキスタンでは、かわしてふたつにったリョクトウをダールまめたペースト)にする。リョクトウとべいきあわせたべい料理りょうりキチュリなど)は、みなみアジアから中央ちゅうおうアジアにかけてひろべられている。みなみインドでは、ドーサクレープじょう軽食けいしょくペサラットゥ英語えいごばんつくられる。

また、漢方薬かんぽうやくのひとつとして、解熱げねつ解毒げどく消炎しょうえん作用さようがあるとされる。

リョクトウには、血糖けっとう上昇じょうしょう抑制よくせいする効果こうかのあるαあるふぁ-グルコシダーゼ阻害そがい作用さようがある[15]

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 一時いちじ日本にっぽんでは縄文じょうもん時代じだいにすでに渡来とらいしていたといわれていたが、現在げんざいではこの時代じだい遺跡いせきからの出土しゅつど種子しゅしはアズキの栽培さいばい初期しょきのものとみなされており、リョクトウの縄文じょうもん時代じだい栽培さいばい否定ひていされている[7]
  2. ^ ひとしみんようじゅつ』のハルサメの製造せいぞう原理げんりおなじである[12]

出典しゅってん

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  1. ^ 米倉よねくら浩司こうじ梶田かじたただし (2003-). “Vigna radiata (L.) R.Wilczek ヤエナリ(標準ひょうじゅん”. BG Plants 和名わみょう学名がくめいインデックス(YList). 2023ねん9がつ19にち閲覧えつらん
  2. ^ 米倉よねくら浩司こうじ梶田かじたただし (2003-). “Azukia radiata (L.) Ohwi ヤエナリ(シノニム)”. BG Plants 和名わみょう学名がくめいインデックス(YList). 2023ねん9がつ19にち閲覧えつらん
  3. ^ 米倉よねくら浩司こうじ梶田かじたただし (2003-). “Phaseolus radiatus L. ヤエナリ(シノニム)”. BG Plants 和名わみょう学名がくめいインデックス(YList). 2023ねん9がつ19にち閲覧えつらん
  4. ^ 文部もんぶ科学かがくしょう 「日本にっぽん食品しょくひん標準ひょうじゅん成分せいぶんひょう2015年版ねんばんななてい
  5. ^ 厚生こうせい労働省ろうどうしょう 「日本人にっぽんじん食事しょくじ摂取せっしゅ基準きじゅん(2015年版ねんばん
  6. ^ a b c d 渡辺わたなべ (2000)、pp. 68-69
  7. ^ 山口やまぐち川瀬かわせ (2003) pp. 67-68、pp. 139-140
  8. ^ 須永すなが久美くみ『エライ!もやしのおかず&つまみ81』p. 110
  9. ^ 農林水産省のうりんすいさんしょう - 消費しょうひしゃ部屋へや平成へいせい16ねん3がつ回答かいとう
  10. ^ 木村きむらほか (1993)、p.136
  11. ^ 石毛いしげ (1991)、p. 63
  12. ^ a b c 石毛いしげ (1991)、p. 126
  13. ^ 石毛いしげ (1991)、pp. 122-123
  14. ^ 石毛いしげ (1991)、p. 123
  15. ^ 豆類まめるいポリフェノールのこう酸化さんか活性かっせいならびにαあるふぁ-アミラーゼおよびαあるふぁ-グルコシダーゼ阻害そがい活性かっせい齋藤さいとうゆうかいほか、日本にっぽん食品しょくひん科学かがくこう学会がっかい、Vol.54 (2007) No.12 P563-567

参考さんこう文献ぶんけん

編集へんしゅう
  • 渡辺わたなべ篤二とくじ監修かんしゅう)『まめ事典じてん :その加工かこう利用りようこう書房しょぼう、2000ねんISBN 4-7821-0172-4 
  • 山口やまぐち裕文ひろふみ川瀬かわせ眞琴まこと編著へんちょ)『雑穀ざっこく自然しぜん:その起源きげん文化ぶんかもとめて』北海道大学ほっかいどうだいがく出版しゅっぱんかい、2003ねんISBN 4-8329-8051-3 
  • 石毛いしげ直道なおみち文化ぶんか麺類めんるいがくことはじめ』フーディアム・コミュニケーション、1991ねんISBN 4-938642-03-4 
  • 木村きむら春子はるこ藤山ふじやま和子かずこさちいさむ『スグに役立やくだ料理りょうり中国語ちゅうごくご』(初版しょはん柴田しばた書店しょてん、1993ねんISBN 4-388-05709-6