扁 ひらた 爪 つめ や鉤 かぎ 爪 つめ と比 くら べると厚 あつ くて大 おお きく、固 かた い。指先 ゆびさき を幅広 はばひろ く被 こうむ って前 まえ に突 つ き出 だ している。
扁 ひらた 爪 つめ が指先 ゆびさき の保護 ほご 器官 きかん 、鉤 かぎ 爪 つめ がひっかけるための器官 きかん であるのに対 たい し、蹄は歩行 ほこう の補助 ほじょ 、すなわち土 ど を蹴 け るための器官 きかん として使 つか われる。これを持 も つ群 ぐん では、進化 しんか の傾向 けいこう として蹄のみが地面 じめん について体 からだ を支 ささ え、残 のこ りの指 ゆび (副 ふく 蹄)やかかとは高 たか く地面 じめん から離 はな れる。また指 ゆび などの簡略 かんりゃく 化 か がすすみ、骨 ほね 数 すう や指数 しすう の減少 げんしょう を起 お こす。その結果 けっか として地面 じめん を速 はや く走 はし ることに優 すぐ れるが、指 ゆび を使 つか った細 こま かい操作 そうさ などはできなくなっている。
蹄を持 も つ現生 げんなま 哺乳類 ほにゅうるい は以下 いか の通 とお り。
なお分類 ぶんるい 上 じょう の概念 がいねん として有 ゆう 蹄類 という語 かたり もあるが、これには蹄をもたない動物 どうぶつ も含 ふく まれる。
有 ゆう 蹄類は胎児 たいじ 期 き に蹄を使 つか って地面 じめん を走 はし るための予行 よこう 演習 えんしゅう のような動作 どうさ をするが、この際 さい に母体 ぼたい の子宮 しきゅう を傷 きず つけないため、有 ゆう 蹄類の胎児 たいじ の蹄には「蹄餅」(ていぺい)と呼 よ ばれる餅 もち 状 じょう の物体 ぶったい が付着 ふちゃく している。この蹄餅は、蹄の形成 けいせい 開始 かいし とほぼ同時 どうじ に形成 けいせい が開始 かいし し、出生 しゅっしょう 直後 ちょくご に脱落 だつらく する。
ウマ の蹄の側面 そくめん 。 ① 蹄冠(Coronet) ② 蹄壁(Wall) ③ 蹄尖(Toe) ④ 蹄側(Quarter) ⑤ 蹄踵(Heel) ⑥ 蹄球(Bulb) ⑦ 繋 つなぎ (Pastern)
ウマ の蹄の裏 うら 。 ① 蹄踵(Heel) ② 蹄球(Bulb) ③ 蹄叉(Frog) ④ 蹄叉中溝 なかみぞ (Central sulcus, Median furrow) ⑤ 蹄叉側溝 そっこう (Collateral sulcus, Lateral furrow) ⑥ 蹄踵(Heel) ⑦ 蹄支(Bar) ⑧ 蹄支角 かく (Seat of corn) ⑨ 蹄壁(Wall) ⑩ 蹄負面 めん ⑪ 白線 はくせん (White line) ⑫ 蹄叉尖 とんが (Apex, Point of frog) ⑬ 蹄底(Sole) ⑭ 蹄尖(Toe) ⑮ 蹄幅(How to measure hoof width) ⑯ 蹄側(Quarter) ⑰ 蹄長(How to measure hoof length)
蹄底が楔 くさび 形 かたち に入 はい り込 こ んでいるところを「蹄支」(ていし, Bar)といいその屈折 くっせつ 部 ぶ を「蹄支角 かく 」(ていしかく, Seat of corn)という。
「蹄壁」(ていへき, Wall)は「蹄尖」(ていせん, Toe)、「蹄側」(ていそく, Quarter)、「蹄踵」(ていしょう, Heel)の三 さん 部 ぶ に区分 くぶん している。
蹄壁の平均 へいきん 的 てき な厚 あつ さ は成 なり 馬 ば の蹄では前面 ぜんめん の蹄尖部 ぶ で約 やく 10ミリメートル ともっとも厚 あつ く、蹄側、蹄踵の厚 あつ さの比率 ひりつ が前肢 ぜんし の蹄で4 : 3 : 2、後肢 あとあし で3 : 2.5 : 2である。高 たか さ は、前肢 ぜんし で3 : 2 : 1、後肢 あとあし で2 : 1.5 : 1で、蹄尖から蹄踵に向 む かってしだいに低 ひく くなっている。
硬 かた さ は、蹄尖でもっとも硬 かた く、蹄側で中間 ちゅうかん 、蹄踵でやや柔 やわ らかく、しなやかな感 かん じがする。蹄壁の下 しも 縁 えん が地面 じめん に接 せっ するところが、「蹄負面 めん 」(ていふめん)である。
蹄冠の後 うし ろにある左右 さゆう 二 に 個 こ の球状 きゅうじょう の隆起 りゅうき を「蹄球」(ていきゅう, Bulb)といい、楔 くさび 形 がた の角質 かくしつ 部 ぶ を「蹄叉」(ていさ, Frog)、蹄叉の中央 ちゅうおう の溝 みぞ を「蹄叉中溝 なかみぞ 」(ていさちゅうこう, Central sulcus, Median furrow)、蹄叉と蹄支との間 あいだ の深 ふか い溝 みぞ を「蹄叉側溝 そっこう 」(ていさそっこう, Collateral sulcus, Lateral furrow)という。
蹄の下面 かめん で、蹄叉の両面 りょうめん を占 し めるやや凹 へこ んだところが「蹄底」(ていてい, Sole)である。蹄底はお椀 わん をひっくり返 かえ したようにいくらか凹 へこ んでいる。そのため、平 たい らで固 かた い道路 どうろ を歩 ある くときにパカパカという音 おと が出 で る。蹄を裏返 うらがえ して蹄底を見 み てみると、蹄の外 そと べりから8-10ミリメートル程度 ていど 内側 うちがわ に入 はい ったところ(ここまでを蹄負面 めん という)で、蹄底の周囲 しゅうい を一周 いっしゅう する2ミリメートル程度 ていど の黄白 こうはく 色 しょく の線 せん がみえる。これが無 む 知覚 ちかく 部 ぶ と知覚 ちかく 部 ぶ とを結合 けつごう している「白線 はくせん 」(はくせん, White line)である。この部分 ぶぶん より内側 うちがわ に釘 くぎ を打 う ち込 こ んだりすると強 つよ い痛 いた みをともなう。
病気 びょうき (蹄病)
蹄叉腐爛 ふらん (ていさふらん) - 蹄の間 あいだ に汚物 おぶつ が挟 はさ まり蹄底が腐乱 ふらん した状態 じょうたい 。厩舎 きゅうしゃ を整 ととの えることで予防 よぼう される[2] 。
蹄葉炎 えん
馬蹄 ばてい 腫 しゅ
巻 ま き爪 つめ (ドイツ語 ご :Zwanghuf )
白線 はくせん 裂 きれ - 白線 はくせん が腐 くさ って空洞 くうどう になる症状 しょうじょう
白 しろ 帯 たい 病 びょう
蟻 あり 洞 ほら - 蹄壁が剥離 はくり した状態 じょうたい [3]
蹄癌 - 癌 がん
挫 くじけ 跖(ざせき)、蹄血斑 まだら (ていけっぱん) - 石 いし を踏 ふ んでしまったなどで起 お きる蹄底の炎症 えんしょう (内出血 ないしゅっけつ )[4] [3] 。
裂 きれ 蹄 - 蹄壁に亀裂 きれつ が入 はい った状態 じょうたい 。乾燥 かんそう する冬 ふゆ に多 おお いため、蹄油で保護 ほご を行 おこな う[5] 。
護 まもる 蹄(蹄の保護 ほご )
牛 うし や羊 ひつじ などの家畜 かちく は運動 うんどう 量 りょう が少 すく なく爪 つめ が削 けず れず伸 の びすぎて割 わ れたり、蹄病にもかかり易 やす くなるため削 そぎ 蹄師(さくていし)が削 けず り整 ととの える[6] 。馬 うま や荷役 にやく 牛 うし などは運動 うんどう 量 りょう が多 おお いため、装 そう 蹄師 が蹄鉄 ていてつ を施 ほどこ して摩耗 まもう から保護 ほご する。荷役 にやく 牛 うし などは偶蹄 ぐうてい 目 め であるため、馬 うま のようなUの字 じ ではなく、二 に 個 こ の蹄鉄 ていてつ が必要 ひつよう になる。
厩舎 きゅうしゃ や蹄の清掃 せいそう 、清掃 せいそう 直後 ちょくご の蹄への塗 ぬり 油 ゆ で蹄病の予防 よぼう ができる[3] 。
蹄を守 まも る保護 ほご 具 ぐ としてベルブーツ (英語 えいご 版 ばん ) や、蹄の裏 うら まで守 まも るフーフブーツ (英語 えいご 版 ばん ) がある。
蹄鉄 ていてつ が導入 どうにゅう される以前 いぜん の日本 にっぽん では、馬 うま 用 よう のわらじ馬 うま 沓 くつ (うまぐつ)で保護 ほご が行 おこな われた[7] 。
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