信号しんごう場じょう

信号しんごう場じょう（しんごうじょう）とは、鉄道てつどう路線ろせんにおいて分岐ぶんき器き（ポイント）や信号しんごう設備せつびが設もうけられていて、運転うんてん扱あつかいは行おこなわれるが、旅客りょかくや貨物かもつ取扱とりあつかいを行おこなわない停車場ていしゃじょうである。事業じぎょう者しゃによっては、信号しんごう所しょ（しんごうしょ・しんごうじょ）やその他たの名称めいしょうが付ふされていることもあるが、日本にっぽんの法規ほうき上じょうの正式せいしき名称めいしょうは信号しんごう場じょうである。英語えいごではsignal stationと呼よぶ。

岩木いわき信号しんごう場じょう。列車れっしゃ交換こうかんのためのもの（類型るいけい2）。駅えき施設しせつが無なく、部分ぶぶん的てきに線路せんろが複線ふくせんになっている。

枇杷島びわしま分岐ぶんき点てん付近ふきんの航空こうくう写真しゃしん。国土こくど交通省こうつうしょう 国土こくど地理ちり院いん 地図ちず・空中くうちゅう写真しゃしん閲覧えつらんサービスの空中くうちゅう写真しゃしんを基もとに作成さくせい

概要がいよう

信号しんごう場じょうでは、停車場ていしゃじょうとして構内こうないには分岐ぶんき器き（ポイント）や信号しんごう設備せつびが設もうけられて運転うんてん扱あつかいが行おこなわれるが、原則げんそくとして旅客りょかくの乗降じょうこうを取扱とりあつかわない。日本にっぽんでは「鉄道てつどうに関かんする技術ぎじゅつ上じょうの基準きじゅんを定さだめる省令しょうれい」第だい2条じょう第だい8号ごうで、「専もっぱら列車れっしゃの行いき違ちがい又または待まち合あわせを行おこなうために使用しようされる場所ばしょをいう。」と規定きていしている。

乗降じょうこうを扱あつかう駅えきでは無なく信号しんごう場じょうとして設置せっちされる理由りゆうとしては、隣となり駅えきに近ちか過すぎること、利用りよう客きゃくが見込みこめないこと、用地ようちが不足ふそくすること、またはその他たの運転うんてん上じょうの理由りゆうがあることなどがある。

信号しんごう場じょうのバリエーション

国鉄こくてつにおいては、貨物かもつ扱あつかいのある信号しんごう場じょう（赤穂線あこおせん西浜にしはま信号しんごう場じょうなど）や、「仮かり乗降じょうこう場じょう」（実際じっさいは営業えいぎょうキロを設定せっていしない臨時りんじ駅えき扱あつかい）を兼かねることで旅客りょかくの乗降じょうこうを扱あつかった信号しんごう場じょうも存在そんざいした。その多おおくは、1987年ねん4月がつ1日にちのJR発足ほっそくとともに駅えきに格上かくあげされた。

最初さいしょから信号しんごう場じょうとして設置せっちされてそのまま存続そんぞくしている場所ばしょのほか、旅客りょかく扱あつかいを開始かいしして信号しんごう場じょうから駅えきに変更へんこうされるもの、逆ぎゃくに旅客りょかく・貨物かもつ扱あつかいを廃止はいしして駅えきから信号しんごう場じょうに変更へんこうされる例れいも存在そんざいする。前者ぜんしゃは和歌山線わかやません五位堂ごいどう信号しんごう場じょう（→JR五位堂ごいどう駅えき）や東京とうきょうメトロ東西線とうざいせん下妙典しもみょうでん信号しんごう所しょ（→妙典みょうでん駅えき）などで、この場合ばあいは沿線えんせん宅地たくち化かによる地元じもとからの要望ようぼうによるものが多おおい。また、後者こうしゃは石勝線せきしょうせん楓かえで駅えき（→楓かえで信号しんごう場じょう）や東海道本線とうかいどうほんせん貨物かもつ線せん（梅田うめだ貨物かもつ線せん）梅田うめだ駅えき（→梅田うめだ信号しんごう場じょう。ただし後のちに大阪おおさか駅えきとして駅えきに復帰ふっき）等とうで、この場合ばあいは過疎かそ化か進行しんこうにより、利用りよう者しゃがほぼ皆無かいむとなったことや国鉄こくてつ末期まっきの貨物かもつ縮小しゅくしょう（操車そうしゃ場じょうの格下かくさげなど）によるものが多おおい。

類型るいけい

信号しんごう場じょうが設置せっちされる類型るいけいとしては、主おもに次つぎのものがあげられるが、複数ふくすうの類型るいけいが複ふく合あわしているもの、スイッチバック構造こうぞうとなっているものも存在そんざいする。

1. 線路せんろの分岐ぶんき点てんに設もうけられるもの。
2. 単線たんせん区間くかんにおいて、列車れっしゃ交換こうかんのために設もうけられるもの。列車れっしゃ追抜おいぬき機能きのうを持もつ場合ばあいもある。
3. 単線たんせん区間くかんと複線ふくせん区間くかん、及および複線ふくせん区間くかんと複々線ふくふくせん区間くかん（三さん線せん区間くかん等とうを含ふくむ）の接点せってんに設もうけられるもの。
4. 複線ふくせん区間くかんにおいて、列車れっしゃ追抜おいぬきのために設もうけられるもの。
5. 単線たんせん区間くかんであり単線たんせん自動じどう閉塞へいそく方式ほうしき以外いがいの閉塞へいそく方式ほうしきの場合ばあいにおいて、閉塞へいそく境界きょうかいを造つくるために設もうけられるもの。
6. 複線ふくせん区間くかんにおいて信号しんごう場内じょうないのみ単線たんせんになっているもの。
7. 列車れっしゃ留置とめおき並ならびに列車れっしゃ折返おりかえしのため。
8. その他た

日本にっぽんの信号しんごう場じょう一覧いちらん

→詳細しょうさいは「日本にっぽんの信号しんごう場じょう一覧いちらん」を参照さんしょう

日本にっぽん国外こくがいの信号しんごう場じょう

台湾たいわん

• 大だい肚渓南みなみ信号しんごう場じょう：海うみ線せん・山やま線せん 彰あきら化か-追分おいわけ・成功せいこう間あいだ（類型るいけい1）
• 談だん文ぶん南みなみ信号しんごう場じょう：海うみ線せん 大山おおやま-談だん文ぶん間あいだ（類型るいけい3）
• 中央ちゅうおう信号しんごう場じょう：南みなみ迴線 枋山-大武おおたけ間あいだ（類型るいけい3）
• 枋野信号しんごう場じょう：南みなみ迴線 枋山-大武おおたけ間あいだ（類型るいけい2）
• 古こ莊そう信号しんごう場じょう：南みなみ迴線 枋山-大武おおたけ間あいだ（類型るいけい3）

タイ国有こくゆう鉄道てつどう

• 北本きたもと線せん (タイ国有こくゆう鉄道てつどう)
  • 国鉄こくてつ本庁ほんちょう前ぜん信号しんごう所しょ（類型るいけい8：その他た）

クルンテープ駅えき構内こうないと本線ほんせん区間くかんの境界きょうかいとして、同どう駅えきの第だい二に出発しゅっぱつ信号しんごう機きのある位置いちに、下くだり線せんにのみ設もうけられている。あくまでクルンテープ駅えき構内こうないの一部いちぶに当あたり、厳密げんみつには「信号しんごう所しょ」と分類ぶんるい出来できる存在そんざいである。北本きたもと線せん（正式せいしきにはクルンテープ = チェンマイ線せん）のクルンテープ - ピッサヌローク間あいだは単線たんせんないし3線せん並列へいれつ方式ほうしきによるCTCであるのに対たいし、クルンテープ駅えき構内こうないの信号しんごう扱あつかいは手動しゅどうのため、信号しんごう方式ほうしき境界きょうかいとして設もうけられている。クルンテープ駅えきを発車はっしゃした下くだり列車れっしゃは、この位置いちでCTC区間くかんに乗入のりいれるための交信こうしんを行おこなう。（列車れっしゃによっては停止ていしする） 上のぼり列車れっしゃに対たいしては通常つうじょう通どおりに場内じょうない信号しんごうを設もうけている。

タイ国鉄こくてつでは「駅えき」の定義ていぎが日本にっぽんとは異ことなっており、旅客りょかく営業えいぎょうを行おこなわない交換こうかん可能かのう箇所かしょや分岐ぶんき点てんも登記とうき上じょうは駅えきとしての扱あつかいを受うけるため、公式こうしきには信号しんごう場じょうは存在そんざいしない。

参考さんこう文献ぶんけん

• 電気でんき車しゃ研究けんきゅう会かい『鉄道てつどうピクトリアル』No.882 特集とくしゅう「信号しんごう場じょう」

関連かんれん項目こうもく

• 鉄道てつどう信号しんごう機き
• 閉塞へいそく
• 信号しんごう扱所

外部がいぶリンク

• 『信号しんごう場じょう』 - コトバンク