ウクライナ正教会せいきょうかい (モスクワ総そう主教しゅきょう庁ちょう系けい)

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ウクライナ正教会せいきょうかい (モスクワ総そう主教しゅきょう庁ちょう系けい)
キエフ・ペチェールシク大だい修道院しゅうどういんの「大だい教会きょうかい」（生神うるかみ女おんな就寝しゅうしん大だい聖堂せいどう）
創設そうせつ者しゃ	使徒しとアンドリーイ・ 亜あ使徒しと聖せいヴォロディームィル
自治じち教会きょうかいの宣言せんげん	1990年ねん（「自治じち正教会せいきょうかいの広ひろい権けんを有ゆうする自主じしゅ管理かんり教会きょうかい」）
自治じち教会きょうかいの承認しょうにん	1990年ねん - 「自治じち正教会せいきょうかいの広ひろい権けんを有ゆうする自主じしゅ管理かんり教会きょうかい」としてモスクワ総そう主教しゅきょう庁ちょうによる承認しょうにん。
現在げんざいの首座しゅざ主教しゅきょう	オヌフリイ (ベレゾフシキイ)
府ふ主教しゅきょう庁ちょう所在地しょざいち	キエフ（ウクライナ）
主おもな管轄かんかつ	ウクライナ
奉たてまつ神かみ礼あやの言語げんご	教会きょうかいスラヴ語ご・ウクライナ語ご・ロシア語ご・ルーマニア語ご
聖歌せいか伝統でんとう	キエフ聖歌せいか
暦こよみ	ユリウス暦れき
概算がいさん信徒しんと数すう	約やく1,000万まん人にん（ウクライナの全ぜん人口じんこうの20.9%）
公式こうしきページ	УКРАЇНСЬКА ПРАВОСЛАВНА ЦЕРКВА （ウクライナ語ご）

ウクライナ正教会せいきょうかい（モスクワ総そう主教しゅきょう庁ちょう系けい）（ウクライナせいきょうかい-モスクワそうしゅきょうちょうけい、ウクライナ語ご: Українська православна церква Московського патріархату, УПЦ-МП）は、ウクライナにおける正教会せいきょうかいの1つである。「自治じち正教会せいきょうかいの広ひろい権けんを有ゆうする自主じしゅ管理かんり教会きょうかい」として、ロシア正教会せいきょうかいモスクワ総そう主教しゅきょう庁ちょうと関係かんけいを保持ほじしている。ただし、関係かんけいを保持ほじしてはいるものの、本ほん項こうで扱あつかっている教会きょうかいはロシア正教会せいきょうかいとは呼よばれない。ロシア連邦れんぽう政府せいふも同どう教会きょうかいにつきウクライナ正教会せいきょうかいと呼よんでいる。

正教会せいきょうかいは1カ国かこくに1つの教会きょうかい組織そしきを置おくことが原則げんそくだが（ウクライナ正教会せいきょうかい以外いがいの例れいとしてはロシア正教会せいきょうかい、ギリシャ正教会せいきょうかい、ルーマニア正教会せいきょうかい、日本にっぽん正教会せいきょうかいなど。もちろん例外れいがいもある）、これら各国かっこくごとの正教会せいきょうかいが異ことなる教義きょうぎを信奉しんぽうしているわけでは無なく、同おなじ信仰しんこうを有ゆうしている。

正教会せいきょうかいの教義きょうぎや、全ぜん正教会せいきょうかいに共通きょうつうする特徴とくちょうについては「正教会せいきょうかい」を参照さんしょう

ウクライナ正教会せいきょうかいにほぼ共通きょうつうする建築けんちく物ぶつの特徴とくちょうについては「教会堂きょうかいどう#ウクライナ建築けんちくの教会堂きょうかいどう」を参照さんしょう

名称めいしょう

2018年ねん12月に新生しんせいした「ウクライナ正教会せいきょうかい」と並ならんで、2つの主要しゅような「ウクライナ正教会せいきょうかい」を区別くべつするため、本ほん項こうで説明せつめいしているウクライナ正教会せいきょうかいは「ウクライナ正教会せいきょうかい（モスクワ総そう主教しゅきょう庁ちょう系けい）」（英語えいごの略称りゃくしょうでは "UOC-MP"）と表記ひょうきされる事ことが多おおい。

しかしながら教会きょうかい側がわは、自身じしんがウクライナにおいて唯一ゆいいつの教会きょうかい法ほう上じょうの合法ごうほう正教会せいきょうかいであり、ウクライナ土着どちゃくの正教会せいきょうかいであり、他たに教会きょうかい法ほう上じょうで合法ごうほうな競合きょうごう関係かんけいにある正教会せいきょうかいは存在そんざいしないと強つよく主張しゅちょうすることから、自身じしんの名称めいしょうを単たんに「ウクライナ正教会せいきょうかい」であると主張しゅちょうしている。

ウクライナの国家こっか宗教しゅうきょう委員いいん会かいでは、「ウクライナ正教会せいきょうかい」と登録とうろくされているが、2018年ねん12月がつ20日はつかに、新生しんせい「ウクライナ正教会せいきょうかい」の創設そうせつに伴ともない、ウクライナ議会ぎかいはウクライナ正教会せいきょうかい（モスクワ総そう主教しゅきょう庁ちょう系けい）に対たいして、登録とうろく名称めいしょうを変更へんこうすることを強制きょうせいする議決ぎけつをした。ウクライナ正教会せいきょうかい（モスクワ総そう主教しゅきょう庁ちょう系けい）はこれに抗議こうぎしている。

歴史れきし

公式こうしきにロシア正教会せいきょうかい所属しょぞくのウクライナのエクザルフ教区きょうくウクライナ正教会せいきょうかいは、自みずからをモスクワ総そう主教しゅきょう庁ちょう下かのウクライナ総そう主教しゅきょう代理だいり教区きょうくであったと同時どうじにキエフ（キイウ）およびウクライナにおける全ちょんルーシの正教会せいきょうかいの後裔こうえいであると捉とらえている。このことから、ウラジーミル1世せい（ヴォロディームィル1世せい）による988年ねんのルーシの洗礼せんれいからの直接ちょくせつの系譜けいふを主張しゅちょうしている。

新生しんせいウクライナ正教会せいきょうかいの前身ぜんしんの1つであるウクライナ正教会せいきょうかい・キエフ総そう主教しゅきょう庁ちょうの方ほうが規模きぼと信者しんじゃ数すうは多おおいが、ウクライナ正教会せいきょうかい（モスクワ総そう主教しゅきょう庁ちょう系けい）は主要しゅような正教会せいきょうかいの建物たてものを多数たすう保持ほじし、ウクライナの東方とうほうと南方なんぽうで優勢ゆうせいである。2008年ねんの時点じてんで42の主しゅ教区きょうくがあり、58人にんの主教しゅきょう（主教しゅきょう区くを管掌かんしょうする者ものが42人にん、補佐ほさが12人にん、引退いんたいした者ものが4人にん。その位くらいは府ふ主教しゅきょう10人にん、大だい主教しゅきょう21人にん、主教しゅきょう26人にん。内訳うちわけ合計ごうけいが58人にんにならない理由りゆうは不明ふめい）がおり、8516人にんの司祭しさいと443人にんの輔祭がいる。

前任ぜんにんの府ふ主教しゅきょうボロジミルは、「キエフおよび全ぜんウクライナの府ふ主教しゅきょう」の称号しょうごうを以もって、ウクライナ正教会せいきょうかいの首座しゅざ主教しゅきょうとして1992年ねんに着座ちゃくざし、2014年ねん7月がつに永眠えいみんした。オヌフリイが後任こうにんとして2014年ねん8月がつに着座ちゃくざした。

2018年ねん10月がつ11日にちにコンスタンディヌーポリ総そう主教しゅきょう庁ちょうがキエフ総そう主教しゅきょう庁ちょうの独立どくりつを承認しょうにんするまでの間あいだ、他たの全ぜん世界せかいの主要しゅような正教会せいきょうかいからその教会きょうかい法ほう上じょうの合法ごうほう性せいを承認しょうにんされた唯一ゆいいつの正教会せいきょうかいであり、キエフ府ふ主教しゅきょうの公式こうしきな座ざ所しょはキエフにあるキエフ・ペチェールシク大だい修道院しゅうどういんであった。

ウクライナ正教会せいきょうかい（OCU）独立どくりつを巡めぐる情勢じょうせい

→詳細しょうさいは「モスクワとコンスタンティノープルの断交だんこう」を参照さんしょう

ウクライナ正教会せいきょうかい（2018年ねん設立せつりつ）の独立どくりつを承認しょうにんしたコンスタンティノープル総そう主教しゅきょう庁ちょうに対たいして、ロシア正教会せいきょうかいモスクワ総そう主教しゅきょう庁ちょうは猛もう反発はんぱつし、全面ぜんめん的てきな断交だんこうを宣言せんげんした。この問題もんだいは、世界中せかいじゅうの正教会せいきょうかいを巻まき込こんだ深刻しんこくな対立たいりつに発展はってんしつつある。

2022年ねんロシアのウクライナ侵攻しんこうの影響えいきょう

一貫いっかんしてロシア政府せいふを擁護ようごする発言はつげんを繰くり返かえしているモスクワ総そう主教しゅきょうキリル1世せいは、ソ連それん崩壊ほうかい前まえにKGBのエージェントだったことがソ連それん公文書こうぶんしょ館かんの資料しりょうで判明はんめいしている。1992年ねん4月がつに大量たいりょうの旧きゅうKGBの極秘ごくひ文書ぶんしょとともにイギリスに亡命ぼうめいしたワシリー・ミトロヒンは「モスクワ総そう主教しゅきょう庁ちょうはロシアの国家こっか機関きかんである」としており、ロシアの諜報ちょうほう機関きかんの前衛ぜんえい組織そしきとして使つかわれていると著書ちょしょで言及げんきゅうしている。

ロシア総そう主教しゅきょう庁ちょうに忠誠ちゅうせいを誓ちかうUOC-MPもロシアの諜報ちょうほう機関きかんと連携れんけいし、モスクワから資金しきん提供ていきょうを受うけていること、2014年ねん春はるにドネツクとルハンシクで分離ぶんり主義しゅぎ者しゃの感情かんじょうを組織そしき化かする役割やくわりを果はたしていたことが指摘してきされていた。このため、2014年ねんのマイダン革命かくめい以来いらい、禁止きんしを望のぞむ声こえがあったがそれは一部いちぶであった。

しかし、2022年ねん2月がつ24日にちにロシアがウクライナに侵攻しんこうした。ゼレンスキー大統領だいとうりょうは「信仰しんこうの自由じゆう」に関かんする一線いっせんを越こえたり、礼拝れいはいを保護ほごする上じょうで国際こくさい規範きはんに違反いはんすることを望のぞまなかったが、以下いかに記述きじゅつする諸しょ問題もんだいからUOC-MPの禁止きんしを望のぞむ国内こくない世論せろんが強つよまり、UOC-MPの教会きょうかいや修道院しゅうどういんからロシア・ロシア軍ぐんへの協力きょうりょくの証拠しょうこが発見はっけんされ、看過かんかできない事態じたいとなった。このため、12月2日にちに「ロシア系けい宗教しゅうきょう団体だんたいを禁止きんしし、多おおくの親おやモスクワ派は主教しゅきょうに制裁せいさいを課かす」という国家こっか安全あんぜん保障ほしょう・国防こくぼう会議かいぎの提案ていあんを承認しょうにんする大統領だいとうりょう令れいに署名しょめいした。

戦災せんさい被害ひがい

ロシア軍ぐんによる攻撃こうげきでウクライナ各地かくちに甚大じんだいな被害ひがいが及およんだことから、3月26日にちまでにモスクワ総そう主教しゅきょう庁ちょう系けい（UOC-MP）の数すう十じゅうの小しょう教区きょうくや修道院しゅうどういんが2018年ねんに独立どくりつしたウクライナ正教会せいきょうかい（OCU）とウクライナへの帰属きぞくを選択せんたくした。また、同月どうげつに開始かいしされたウクライナの学術がくじゅつプロジェクト「Religion on Fire:ウクライナの宗教しゅうきょう団体だんたいに対たいするロシアの戦争せんそう犯罪はんざいの記録きろく」の調査ちょうさ報告ほうこく（2022年ねん2月がつ24日にち～8月がつ24日にち）によると、総そう主教しゅきょう庁ちょう系けいの156の建物たてものが破壊はかい・損傷そんしょうの被害ひがいを受うけている。他たはOCUが21、ギリシャ・ローマカトリックが5、プロテスタントが37、イスラム教いすらむきょうが5、ユダヤ教きょうが13、その他た5となっているが、OCUの建物たてものと数かぞえられてるうちのいくつかはロシア軍ぐんの砲撃ほうげきにより教会きょうかいが損傷そんしょうしたためUOC-MPを離はなれている。

このため、「ロシアは主おもにウクライナにある自国じこくの教会きょうかいを破壊はかいしている」と報ほうじられている状況じょうきょうである。

モスクワ総そう主教しゅきょう庁ちょう系けい教会きょうかいへの反発はんぱつ

3月29日にち、モスクワ総そう主教しゅきょう庁ちょう系けい正教会せいきょうかい（UOC-MP）をウクライナから追放ついほうする法案ほうあんがウクライナの議会ぎかいに提出ていしゅつされた。関係かんけい団体だんたい・機関きかん・教区きょうく管理かんりなど、所有しょゆうする全すべての財産ざいさんの国有こくゆう化かも求もとめる内容ないようとなっている。法案ほうあんはウクライナ人じんの51％が支持しじしていたが、ルスラン・ステファンチューク最高さいこう会議かいぎ議長ぎちょうは「この法案ほうあんは戦争せんそう中ちゅうは検討けんとうされない」と述のべた。

4月がつ8日にちには、ウクライナ西部せいぶのウシュホロド市議会しぎかいの代議員だいぎいんより「ウクライナの国益こくえきと領土りょうどの一体いったい性せいを守まもるため」ウクライナ全土ぜんどでのロシア正教会せいきょうかい・UOC-MPの活動かつどう禁止きんしを求もとめる独自どくじの請願せいがんが提出ていしゅつされた。侵攻しんこう後ごに飛行場ひこうじょうからわずか300ｍのUOC-MPの教会きょうかいから軍事ぐんじ用ように梱包こんぽうされた大量たいりょうの食糧しょくりょうの備蓄びちくや武器ぶきが見みつかったことや、同月どうげつ27日にちにUOC-MP司祭しさいがロシア軍ぐんにウクライナ軍ぐんの配備はいびについての情報じょうほうを渡わたしていたと報ほうじられたことなどで、教会きょうかい周辺しゅうへんの住民じゅうみんが不安ふあんを募つのらせていることが要因よういんと思おもわれる。

以来いらい、ウクライナ各地かくちの市議会しぎかいがUOC-MPの活動かつどうを禁止きんしする決議けつぎを行おこなっている。

一連いちれんの事態じたいを受うけて、司祭しさいたちは汎ひろし正教会せいきょうかいの法廷ほうていに「キリル総そう主教しゅきょうに対たいする訴訟そしょう」を求もとめる署名しょめいを集あつめ、4月がつ10日とおかにはアンドリー・ピンチュク大だい司祭しさいはキリル総そう主教しゅきょうがウクライナでのロシア軍ぐんの行動こうどうを祝福しゅくふくしたとして非難ひなんしている。キーウ（キエフ）府ふ主教しゅきょう区くのオヌフリー・ベレゾフスキー大だい主教しゅきょうはプーチン大統領だいとうりょうに対たいし「同胞どうほうが相そう争あらそう戦争せんそうの即時そくじ停止ていし」を要請ようせいし、エボロジー大だい主教しゅきょうは司祭しさいたちにキリル総そう主教しゅきょうのための祈いのりをやめるよう指示しじした。

5月12日にち、侵攻しんこう後ごに起おこった一連いちれんの問題もんだいについて議論ぎろんするため、司教しきょう・司祭しさい・修道しゅうどう士し・信徒しんとが参加さんかする教会きょうかい会議かいぎを召集しょうしゅう。声明せいめいでは、ウクライナに対たいするロシアの軍事ぐんじ侵略しんりゃくを非難ひなんし、戦争せんそうは大おおきな罪つみであると強調きょうちょうした。ウクライナが主権しゅけん国家こっかかつ独立どくりつ国家こっかであること、ウクライナ軍ぐんを支持しじすることを明言めいげん、そのうえでゼレンスキー大統領だいとうりょう・プーチン大統領だいとうりょう・キリル1世せいに停戦ていせんを求もとめている。

その一方いっぽう、主教しゅきょうたちはウクライナ正教会せいきょうかい（OCU）の独立どくりつを承認しょうにんしたポロシェンコ元もと大統領だいとうりょうと独立どくりつしたOCUの自治じち権けんの主張しゅちょうがロシアの侵略しんりゃくの理由りゆうのひとつであると述のべた。これに対たいし、ウクライナ国家こっか民族みんぞく政治せいじ・良心りょうしんの自由じゆう委員いいん会かいは「宗教しゅうきょう的てき憎悪ぞうおを扇動せんどうし、信者しんじゃの感情かんじょうを侮辱ぶじょくし、ウクライナに対たいするロシアの戦争せんそうを正当せいとう化かした」と応おうじ、OCUの司教しきょう会議かいぎは「総そう主教しゅきょう系けい教会きょうかいの指導しどう者しゃが何なん年ねんにもわたってルースキー・ミールを推進すいしん」しており「それがわが国くにに対たいするロシアの侵略しんりゃくの基盤きばんであり、重要じゅうような正当せいとう化かとなった」と非難ひなんした。

同月どうげつ27日にちには、「評議ひょうぎ会かいは、ウクライナ正教会せいきょうかいの完全かんぜんな独立どくりつと、独立どくりつについて述のべているウクライナ正教会せいきょうかいの管理かんりに関かんする法令ほうれいに関連かんれんする追加ついかと修正しゅうせいを採択さいたくした」としてキリル1世せいからの独立どくりつを宣言せんげんした。具体ぐたい的てきに憲章けんしょうにどのような変更へんこうがあったのかについては発表はっぴょうされておらず、モスクワ総そう主教しゅきょう区くからの独立どくりつであるとはしていない。また、OCUの正統せいとう性せいを認みとめず、使徒しと継承けいしょうの復元ふくげんと「教会きょうかいの押収おうしゅうとUOC-MPの小しょう教区きょうくの強制きょうせい移転いてんの阻止そし」を条件じょうけんに話はなし合あいに応おうじるとしている。この決定けっていに先立さきだち、400以上いじょうの教区きょうくが離脱りだつしているが、ウクライナ東部とうぶの多おおくの教区きょうくはモスクワ総そう主教しゅきょう区くのもとでの忠誠ちゅうせいを誓ちかったという。

同月どうげつ29日にち、キリル総そう主教しゅきょうはモスクワの救世主きゅうせいしゅハリストス大だい聖堂せいどうにて「ウクライナ正教会せいきょうかいが今日きょういかに苦難くなんを受うけているかが十分じゅうぶんに理解りかいできる」と述のべた。

同年どうねん6月がつ3日にち～5日にちまでの3日間にちかんに20以上いじょうの小しょう教区きょうく（キーウ地域ちいき10、ジトーミル地域ちいき6、フメリヌィーツィクィイ地域ちいき3ほか）がウクライナ正教会せいきょうかい（OCU）に管轄かんかつ権けんを移行いこうすることを決定けっていした。コミュニティの決定けっていを拒否きょひし、鍵かぎを変かえたり教区きょうくに渡わたさない司祭しさいもあるという。

キーウ国際こくさい社会しゃかい学がく研究所けんきゅうじょの7月がつの世論せろん調査ちょうさによると、前年ぜんねんには18％の指示しじを得えていたUOC-MPへの支持しじは4％にまで縮小しゅくしょうしている。ロシア語ごを話はなすウクライナ人じんの間あいだでも13％の支持しじ（OCUは36％）となっている。

ウクライナ各地かくちの治安ちあん措置そち

同年どうねん11月がつ12日にち、見学けんがくツアーの参加さんか者しゃが「ウクライナが大切たいせつな息子むすこや娘むすめを失うしないつつある時ときに。キエフ・ペチェールスク大だい修道院しゅうどういんはモスクワの主人しゅじんを忘わすれてはいない…2022年ねん11月12日にち、空襲くうしゅうと同時どうじに。」とのコメントとともに、礼拝れいはいの動画どうがを投稿とうこうした。動画どうが内ないではロシアを賛美さんびする内容ないようの歌うたが歌唱かしょうされており、OCUの司祭しさいが投稿とうこうを共有きょうゆうしたことからウクライナ国内こくないの注目ちゅうもくを浴あびることとなった。修道院しゅうどういん長ちょうは歌唱かしょうがあった事実じじつを認みとめている。

同月どうげつ15日にち、この件けんについて、SBUが「ロシアの侵略しんりゃくを正当せいとう化かすること」に関かんする刑事けいじ訴訟そしょうを起おこしたと報ほうじられた。同月どうげつ22日にちにSBUは国家こっか警察けいさつ・国家こっか警備けいび隊たいと共同きょうどうでキエフ・ペチェールスク大だい修道院しゅうどういんの敷地しきち内ないで「治安ちあん措置そち」を行おこなっていることを公表こうひょう。翌よく23日にち、キエフ・ペチェールスク大だい修道院しゅうどういん、至いたり聖ひじり三さん者しゃ大門おおもん教会きょうかい、リウネ地方ちほうのサルネンスコ・ポリスカ教区きょうくの敷地しきち内ないで「治安ちあん措置そち」が実施じっしされたと報ほうじられた。記事きじによると、50人にん以上いじょうがポリグラフの使用しようを含ふくむ詳細しょうさいな面談めんだんを受うけており、その中なかにはロシア国民こくみんも含ふくまれていた。書類しょるいのチェック中ちゅうにソ連それんのパスポート・軍ぐんのID（と謄本とうほん）、偽造ぎぞうの可能かのう性せいがあるウクライナのパスポートが見みつかり、詳細しょうさいな調査ちょうさ中ちゅうであるという。またキエフ・ペチェールスク大だい修道院しゅうどういんの敷地しきち内ないでロシア企業きぎょうアントバングループのオーナーの管財かんざい人じんであるウクライナ国民こくみんが発見はっけんされた。この措置そちで、神学校しんがっこう・教区きょうく学校がっこうの教材きょうざいとして「ロシア人じんが救世主きゅうせいしゅとして描えがかれている」親しんロシア文学ぶんがく、現金げんきん（200万まんフリヴニャ以上いじょう、10万まんドル以上いじょう、数すう千せんルーブル）が押収おうしゅうされている。

ザパルカッチャ州しゅうの女子じょし修道院しゅうどういんでは、20人にん以上いじょうがポリグラフを含ふくむ尋問じんもんを受うけ、大量たいりょうのプロパガンダ文献ぶんけんが発見はっけんされた。ロシア以外いがいの国くにや宗教しゅうきょうについて侮辱ぶじょく的てき内容ないようを記しるし、ウクライナの独立どくりつ権けんを否定ひていし「ロシア・ウクライナ・ベラルーシは分断ぶんだんできない」と強調きょうちょうするものであった。また教区きょうく長ちょうの禁止きんしにもかかわらず、修道院しゅうどういんは祈いのりの中なかでキリル1世せいの記念きねんを続つづけており、従したがわない場合ばあい「あらゆる聖職せいしょくからはずす」と脅おどしていたという。

捜査そうさはウクライナ各地かくちの修道院しゅうどういんや教会きょうかいに拡大かくだいし、30人にん以上いじょうの聖職せいしょく者しゃが捜査そうさを受うけたことが報ほうじられた。広範囲こうはんいに及およぶ治安ちあん措置そちについて、キリスト復活ふっかつ総そう大司教だいしきょう座ざ大だい聖堂せいどうのオレクサンドル府ふ主教しゅきょうは「今いま、修道院しゅうどういんや教会きょうかいでこれが起おこっているのは、心理しんり的てきにつらいことかもしれません」としながらも「しかし、敵てきのミサイルを誘導ゆうどうするような人ひとがいるよりは、捜査そうさが行おこなわれたほうがいいと思おもいます」と話はなしている。

2023年ねん1月がつ1日にち、ウクライナ文化ぶんか省しょうはキエフ・ペチェールスク大だい修道院しゅうどういんの2つの施設しせつのリース契約けいやくを延長えんちょうしないことを決定けってい、2つの施設しせつは閉鎖へいさとなっている。また、モスクワ総そう主教しゅきょう庁ちょうは2052年ねんまで生神うるかみ女おんな就寝しゅうしんポチャイフ大だい修道院しゅうどういんのリース契約けいやくを結むすんでいたが、修道院しゅうどういん長ちょうである大だい主教しゅきょうがリース契約けいやくの条件じょうけんに繰くり返かえし違反いはんしたことが判明はんめいしたことから契約けいやく終了しゅうりょうに十分じゅうぶんな法的ほうてき根拠こんきょがあると報ほうじられている。

聖職せいしょく者しゃの摘発てきはつ

• 4月がつ末まつに拘留こうりゅうされたセベロドネツク教区きょうくの司祭しさいは、自身じしんの見解けんかいを隠かくし、占領せんりょう下かのカディエフカに駐留ちゅうりゅうしていたコサックの違法いほう武装ぶそうグループの代表だいひょうと連絡れんらくを取とり合あっていた。セベロドネツクと付近ふきんのウクライナ軍ぐんの数かずと配備はいびに関かんする情報じょうほうを収集しゅうしゅうし、同僚どうりょうの親しんウクライナの司祭しさいをロシアに引ひき渡わたしたとして、12月7日にちに懲役ちょうえき12年ねんの判決はんけつを受うけた。この司祭しさいは、同月どうげつ14日にちにワグネル・グループのパイロット2名めいの遺体いたいとともにロシアに引ひき渡わたされた。

• 7月がつ22日にち、ウクライナ中部ちゅうぶのヴィニツィアで兵士へいしの葬儀そうぎ中ちゅうに、村むらの教会きょうかいの責任せきにん者しゃであるロシア人じん司祭しさいが告別こくべつの辞じを述のべていたウクライナ人じんの軍事ぐんじ司祭しさいを手てに持もった十字架じゅうじかで殴なぐりつけた。現場げんばにいた複数ふくすうの軍人ぐんじんが止とめに入はいり、地元民じもとみんによってFacebookに動画どうがが投稿とうこうされた。被害ひがい者しゃは警察けいさつに訴うったえ、傷害しょうがいとフーリガン行為こういの疑うたがいで捜査そうさが始はじまった。条文じょうぶんでは最高さいこう5年ねんの懲役ちょうえき刑けいであるという。また村議そんぎ会かいは、イベント中ちゅうに司祭しさいに発言はつげん権けんを与あたえないことを決定けっていしたという。

• 10月2日にち、ウクライナ保安庁ほあんちょう（SBU）が開始かいしした専門せんもん家かによる調査ちょうさにより、ヴィニツィア教きょう区長くちょうがロシアの侵略しんりゃくを支持しじしていることが確認かくにんされたことが報道ほうどうされた。ヴィニツィア地域ちいきの警察けいさつ署長しょちょうのFacebookによると、教会きょうかいと府ふ主教しゅきょうイオナファンの自宅じたくの家宅かたく捜索そうさくを行おこない、プーチン大統領だいとうりょうとロシア総そう主教しゅきょうのウクライナ市民しみんへのアピールやルガンスク・ドネツク人民じんみん共和きょうわ国こくを承認しょうにんする内容ないようの印刷物いんさつぶつを発見はっけんしたという。警察けいさつは府ふ主教しゅきょうの違法いほう行為こういに関与かんよした人物じんぶつを特定とくていするとしており、府ふ主教しゅきょうは「宗教しゅうきょう的てき敵意てきいの扇動せんどう」に関与かんよしたとして、最大さいだい5年ねんの懲役ちょうえき刑けいに処しょせられる可能かのう性せいに直面ちょくめんしている。府ふ主教しゅきょうはキリル1世せいの同級生どうきゅうせいで、メッセンジャーで常つねにロシア連邦れんぽう保安庁ほあんちょう（FSB）と連絡れんらくを取とっていたことが判明はんめいしている。

• 同月どうげつ31日にちには、SBUがキロヴォフラド教区きょうくとオレクサンドリー教区きょうくの指導しどう者しゃ・聖職せいしょく者しゃの家宅かたく捜索そうさくを行おこなった。キリル1世せいとノヴォミルホロド大だい主教しゅきょうの書簡しょかんを発見はっけん、ロシア連邦れんぽうで制作せいさくされた大量たいりょうの反はんウクライナ資料しりょうを押収おうしゅう。発見はっけんされた本ほんのひとつの著者ちょしゃは、オデッサ教区きょうくの元もと書記しょきで2014年ねんにロシアに亡命ぼうめいした者ものであるという。

• 11月22日にち、ホルリフ教区きょうくヤロバ集落しゅうらくのカザン教区きょうくの司祭しさいが裁判さいばんにかけられることが報ほうじられた。司祭しさいは5月にロシア軍ぐんと共謀きょうぼうして占領せんりょう下かの自治体じちたいの新あたらしい首長しゅちょうの選出せんしゅつに関かかわり、9月に逮捕たいほされている。

• 12月9日にち、ブチャの虐殺ぎゃくさつを行おこなったとされる第だい64独立どくりつ自動車じどうしゃ化か狙撃そげき旅団りょだんと協力きょうりょくし、祝祷しゅくとうを捧ささげ、教きょう区民くみんに侵略しんりゃく軍ぐんを歓迎かんげいするよう促うながした司祭しさいがキーウで裁判さいばん中ちゅうであることが報ほうじられた。第だい64旅団りょだんは458体たいの遺体いたいを置おき去ざりに撤退てったいしたが、遺体いたいのほとんどが子こどもを含ふくむ民間みんかん人じんのものであった。司祭しさいは「ロシア人じんに殺ころすと脅おどされた」と供述きょうじゅつしており、罪つみを認みとめていないという。

• 2023年ねん1月がつ7日にち、6つの教区きょうくの13人にんの聖職せいしょく者しゃがウクライナ市民しみん権けんを一時いちじ停止ていしされたことが報ほうじられた。ドネツク、クリミア、ロマニ、オデッサ、ブコビナ教区きょうくの代表だいひょう者しゃたちである。ロシアのパスポートの所持しょじ者しゃ、ドネツク人民じんみん共和きょうわ国こくへの協力きょうりょく者しゃなどで、すでにロシアに逃亡とうぼうしている者ものもいるという。将来しょうらい、強制きょうせい送還そうかんされる可能かのう性せいがあるほか、さらに6人にんに対たいして同様どうようの措置そちが検討けんとうされていると伝つたえられている。

• 同月どうげつ9日にち、ウクライナの裁判所さいばんしょはポチャイウ神学校しんがっこうの学長がくちょうに「宗教しゅうきょう的てき敵意てきいを扇動せんどうした」罪ざいで罰金ばっきん刑けいの判決はんけつを下くだした。捜査そうさ中ちゅう、学長がくちょうは司法しほう取引とりひきに応おうじ、罰金ばっきん刑けいに同意どういしたという。

関連かんれん項目こうもく

• ウクライナ正教会せいきょうかい (2018年ねん設立せつりつ)
• ウクライナ正教会せいきょうかい・キエフ総そう主教しゅきょう庁ちょう
• ウクライナ独立どくりつ正教会せいきょうかい
• キエフ府ふ主教しゅきょう区く
• ウクライナ教会きょうかい
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