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クロソイド曲線きょくせん

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クロソイド曲線きょくせんのプロット()

クロソイド曲線きょくせん(クロソイドきょくせん、えい: clothoid curve)とは緩和かんわ曲線きょくせん一種いっしゅである[1]。 「クロソイド」というは、人間にんげん運命うんめいいとつむぐとされるギリシア神話しんわ女神めがみクローソー由来ゆらいするもので、イタリア数学すうがくしゃエルネスト・チェザロによって名付なづけられた[2]光学こうがく分野ぶんやにおいては、どう曲線きょくせんオイラー螺旋らせんオイラーらせん)やコルニュ螺旋らせんコルニュらせん)ともばれる。

詳細しょうさい[編集へんしゅう]

きょくりつ一定いってい割合わりあい変化へんかさせていった場合ばあいえがかれる軌跡きせきがクロソイド曲線きょくせんである[1]きょくりつ半径はんけい始点してんからの曲線きょくせんちょうをそれぞれ としたとき、両者りょうしゃせき一定いっていとなる。

は、クロソイドパラメーターとばれる、なが次元じげん定数ていすうである。 このしきにおいて、次元じげんりょう および をそれぞれ定義ていぎすると、 となり、 および 幾何きかがくてき性質せいしつから、実際じっさい応用おうようにはスケール因子いんしとして機能きのうする 調節ちょうせつすることでりる。 これは、初等しょとう幾何きかがく三角形さんかっけい相似そうじのように、おおくの曲線きょくせんなかごくまれ相似そうじそくゆうする曲線きょくせんである。 この相似そうじそく利用りようして、直線ちょくせん円弧えんこ・クロソイド曲線きょくせんふくあわした複雑ふくざつ道路どうろ路線ろせん設計せっけい可能かのうとなる。

始点してん座標ざひょうユークリッド空間くうかんうえ原点げんてんとして、 じく原点げんてんにおける接線せっせん方向ほうこうれば、次元じげんされた座標ざひょう 媒介ばいかい変数へんすう すで定義ていぎされている次元じげんされた曲線きょくせんちょう もちいてつぎのようにあらわされる。

本式ほんしきちゅう積分せきぶんフレネル積分せきぶんとしてられている。

なお、きょくりつゆうするものが直線ちょくせんで、そうではない有限ゆうげんきょくりつ固定こていしたものがえんである[1]

実用じつようれい[編集へんしゅう]

道路どうろ線路せんろ[編集へんしゅう]

たとえば、自動車じどうしゃ運転うんてんにおいて、運転うんてんしゃ一定いってい走行そうこう速度そくどで、ハンドル一定いってい角速度かくそくどまわしていった場合ばあい自動車じどうしゃ走行そうこうした軌跡きせきはクロソイド曲線きょくせんえが[3]。もし、直線ちょくせん道路どうろ円弧えんこじょう道路どうろ直接ちょくせつ接続せつぞくされると、その地点ちてんきょくりつ半径はんけい変化へんか不連続ふれんぞくしょうじて、自動車じどうしゃならばきゅうなハンドル操作そうさを、自動じどうりんしゃならば車体しゃたいきゅうたおみを、それぞれおこなわなければ円周えんしゅうじょう辿たどれない。すなわち、おどたび急増きゅうぞうで、乗員じょういん危険きけんさらされる。そのために、直線ちょくせん円弧えんことをつななかあいだにクロソイド曲線きょくせんとう緩和かんわ曲線きょくせん挿入そうにゅうされる。この緩和かんわ曲線きょくせん沿って、運転うんてんしゃってこのましい、ハンドルをなめらかにひとしそく回転かいてんする運転うんてん操作そうさおこなえば、自動車じどうしゃ走行そうこう路線ろせんちょう最短さいたんとおり、2微分びぶん連続れんぞく( 連続れんぞく)でへんきょくてんのない一定いっていきょくりつ線上せんじょうを、回転かいてんれなく走行そうこうできる。つまり、クロソイド曲線きょくせんとは、慣性かんせい航法こうほう理想りそう軌道きどううえ走行そうこうする、消費しょうひエネルギー最小さいしょうにする経路けいろである。すんでじゅつとおり、クロソイド曲線きょくせん容易よういなハンドル操作そうさのために道路どうろとう利用りようされているが、クロソイド曲線きょくせん区間くかんみじかぎると、これも運転うんてんしゃ無理むりなそれをいることになってしまう[3]安全あんぜんなハンドル操作そうさのためには、クロソイド曲線きょくせん区間くかん走行そうこう時間じかんが3びょう以上いじょうとならなければならない[3]

クロソイド曲線きょくせんは、ドイツだいいち世界せかい大戦たいせん復興ふっこう象徴しょうちょうとなるアウトバーン建設けんせつで、そう監督かんとくつとめたフリッツ・トートによって道路どうろ線形せんけいとして世界せかい最初さいしょ採用さいようされた。日本にっぽんにおいては、どう曲線きょくせんは1952ねん国道こくどう17ごう三国峠みくにとうげ付近ふきん区間くかん改良かいりょうするさいはじめて導入どうにゅうされた[4]

このとうげ群馬ぐんまけんがわには記念きねん『クロソイド曲線きょくせん』がてられている[5][6]

国道こくどう17ごう沿いに設置せっちされたクロソイド曲線きょくせん(2016ねん5がつ撮影さつえい

クロソイド曲線きょくせん日本にっぽん道路どうろ本格ほんかくてき採用さいようされはじめたのは、フリッツ・トート監督かんとくしたアウトバーンの建設けんせつ従事じゅうじしていた経歴けいれきち、世界銀行せかいぎんこう提案ていあん発端ほったんとなって名神めいしん高速こうそく道路どうろ建設けんせつ技術ぎじゅつ顧問こもんとして来日らいにち滞在たいざいしたフランツ・クサーヴァー・ドルシュによる平面へいめん線形せんけい主要しゅよう線形せんけい要素ようそにおける採用さいよう契機けいきである[7][8]。そのは、どう曲線きょくせんは、道路どうろのみならず、きょくりつ半径はんけいちいさい地下鉄ちかてつひとしもちいられている。なお、在来ざいらいせんには3放物線ほうぶつせんが、新幹線しんかんせんにははん波長はちょう正弦せいげん逓減ていげん曲線きょくせんが、それぞれもちいられている[1]

クロソイド曲線きょくせんは、設計せっけいシミュレーション段階だんかいから電子でんし計算けいさん活用かつようして、多用たようされている。

スプラインけい曲線きょくせん比較ひかくするとデータ点数てんすう変数へんすう大幅おおはばすくないので、電子でんし媒体ばいたい使用しよう容量ようりょう増加ぞうかふせいでコンピューターネットワーク負荷ふかおおきく減少げんしょうさせる利点りてんもあって、ADAS(先進せんしん運転うんてんシステム)の高度こうど車両しゃりょうちょう短期たんき開発かいはつ最前線さいぜんせんで、各種かくしゅアクティブ制御せいぎょとう高度こうど基本きほん関数かんすうとなっている。 同時どうじに、道路どうろのアップダウン情報じょうほう縦断じゅうだん勾配こうばい(設計せっけい放物線ほうぶつせん軌道きどう数式すうしきる)や横断おうだん勾配こうばい(カント)のけ・拡幅かくふくりょうけ・路面ろめん凹凸おうとつさん次元じげん座標ざひょう凍結とうけつとう路面ろめん状況じょうきょう風速ふうそくひとし気象きしょう環境かんきょう渋滞じゅうたい状況じょうきょう報知ほうち予測よそくデータを使用しようした排出はいしゅつりょう削減さくげん転覆てんぷく防止ぼうしとう安全あんぜん運転うんてん支援しえん車両しゃりょう制御せいぎょぜんあきらとうかたむきの制御せいぎょ使つかわれている。

カーナビゲーションシステム使用しようされている折線おれせんれつ3次元じげんデータから車載しゃさいコンピューターがリアルタイムきょくりつ計算けいさんしてこれらの用途ようと利用りようする動向どうこうる。 しかし、現実げんじつ道路どうろ中心ちゅうしん線形せんけい建設けんせつに5cmから1mほどの製造せいぞう誤差ごさがあり、しかも、直線ちょくせん円弧えんこ・クロソイド曲線きょくせん放物線ほうぶつせん複雑ふくざつわせから構成こうせいされているために、車載しゃさいコンピューターでぎゃく問題もんだい精度せいど高速こうそく自動じどう計算けいさんによる線形せんけい復元ふくげんにおいて安全あんぜん運転うんてん支援しえん目的もくてき走行そうこう安定あんていてき計算けいさん保証ほしょうすることが大変たいへん困難こんなんである。 リアルタイム処理しょりではない事前じぜんぜん処理しょりちょう高速こうそくデータベース線形せんけいデータを格納かくのうするためのオーサリングかせない。

かつては、クロソイド曲線きょくせん平面へいめんえがさいにはじく一定いってい間隔かんかくごとじく数値すうち収録しゅうろくしたクロソイドひょう参照さんしょうしてプロットしたいくつかのてん雲形くもがた定規じょうぎ専用せんようのクロソイド定規じょうぎもちいてつなひとして仕上しあげていたが、現在げんざいCADきゃどをはじめとした種々しゅじゅソフトウェア普及ふきゅうしてからは容易よういえがけるようになった。ADAS用途ようとのデジタル地図ちずとしては、HERE Electronic Horizon[9]SANEI Virtual Orbit (仮想かそう軌道きどう)[10]られている。クロソイド曲線きょくせんをデジタル地図ちず走行そうこうデータとして活用かつようしている自動車じどうしゃ開発かいはつ検査けんさ用途ようとCAEソフトウェアとしては、CarSimveDYNASimulinkVT2000AdamsAVL InMotionひとしのように数多あまたる。このデジタル地図ちず各種かくしゅ通信つうしんネットワークから受信じゅしんし、デジタル地図ちず走行そうこうぜんみしてリアルタイム制御せいぎょするこころみも活発かっぱつになりつつあることや、高速こうそく走行そうこうになるほどにへんきょくてんおよび運転うんてんのハンドルの回転かいてんれがないなどの有利ゆうり実用じつようてき軌道きどう特性とくせいつことから、将来しょうらいてきには自動じどう運転うんてん基盤きばん地図ちず要素ようそとしての利用りよう期待きたいされる。

ローラーコースター[編集へんしゅう]

クロソイド曲線きょくせんローラーコースター垂直すいちょくループ(たて方向ほうこう回転かいてん)にも利用りようされている[6]。これは、直線ちょくせん軌道きどうからクロソイド曲線きょくせんもちいずにじか円軌道えんきどう遷移せんいすると、その瞬間しゅんかん乗員じょういんくび強烈きょうれつ負荷ふかかって外傷がいしょうせい頸部症候群しょうこうぐん(鞭打むちう損傷そんしょう)やブラックアウトこりうるためである。

コニーアイランドのフリップフラップ

実際じっさいに、コニーアイランドにあったゆう園地えんちシーライオンパーク英語えいごばん』に建設けんせつされた、世界せかいはじめて垂直すいちょくループをそなえたローラーコースター『フリップフラップ英語えいごばん』ではせい円型えんけいのそれが採用さいようされていた。そして、それに乗車じょうしゃしたひと鞭打むちう損傷そんしょうった[11][12]。 その1970年代ねんだいにはアントン・シュワルツコフがクロソイド曲線きょくせんとパイプがたレールをわせた近代きんだいてき垂直すいちょくループしきのローラーコースターを開発かいはつ[13]、「レボリューション」としてアメリカにはつ導入どうにゅうされた[14]

機械きかい[編集へんしゅう]

機械きかいけいへの応用おうようでも、このクロソイド曲線きょくせんすぐれた幾何きかがくてき特性とくせいタービンブレード英語えいごばんカム補間ほかん曲線きょくせん利用りようしようとする研究けんきゅうがある[15]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c d 松本まつもと英敏ひでとし. “クロソイド曲線きょくせん” (PDF). 国土こくど交通省こうつうしょう. pp. 2,5. 2017ねん1がつ1にち閲覧えつらん
  2. ^ Clothoid National Aeronautics and Space Administration
  3. ^ a b c 福田ふくだただし, 遠藤えんどう孝夫たかお, 武山たけやまやすし, 堀井ほりい雅史まさし, 村井むらいさだぶんまわし交通こうつう工学こうがく』(だい3はん朝倉書店あさくらしょてん、2011ねん、84-86ぺーじISBN 9784254261585NCID BB05443509全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:21916269https://www.asakura.co.jp/detail.php?book_code=26158  
  4. ^ 道路どうろ日本にっぽん 古代こだい駅路えきろから高速こうそく道路どうろ中央公論ちゅうおうこうろんしんしゃ中公新書ちゅうこうしんしょ〉、2015ねん5がつ25にちASIN 4121023218ISBN 9784121023216http://www.chuko.co.jp/shinsho/2015/05/102321.html 
  5. ^ 国道こくどう17ごうさん国防こくぼうわざわい”. 国土こくど交通省こうつうしょう. 2011ねん11月9にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2011ねん11月9にち閲覧えつらん
  6. ^ a b 国道こくどう維持いじ管理かんり」について(沼田ぬまた維持いじ修繕しゅうぜん出張所しゅっちょうしょへん)”. 国土こくど交通省こうつうしょう. 2006ねん3がつ7にち閲覧えつらん
  7. ^ 橋本はしもと政子まさこ, 齋藤さいとううしお名神めいしん東名高速道路とうめいこうそくどうろにおけるドイツじん技師ぎしドルシュの設計せっけい思想しそうかんする研究けんきゅう」(PDF)『景観けいかん・デザイン研究けんきゅうろん文集ぶんしゅうだい8ごう土木どぼく学会がっかい、2010ねん、41-49ぺーじISSN 18816045NAID 40017398472 
  8. ^ 名神めいしん高速こうそく道路どうろ建設けんせつ編纂へんさん委員いいんかい へん名神めいしん高速こうそく道路どうろ建設けんせつ 各論かくろん』 a、日本道路公団にほんどうろこうだん、1966ねんISBN 9784121023216 
  9. ^ ステファン・ベクトルシャイム・ダン・ラリー・アンドレアス・ヘクト・マティア・シュミット・ジェリー・フェイゲン・ミケーレ・ローザー. “Method and system for providing an electronic horizon in an advanced driver assistance system architecture” (英語えいご). ナビゲーション·テクノロジーズ. 2004ねん5がつ11にち閲覧えつらん
  10. ^ 山本やまもとただし田村たむらさとし. “運転うんてん支援しえんシステム、運転うんてん支援しえん方法ほうほうおよ運転うんてん支援しえんプログラム”. さんえい技研ぎけん. 2003ねん11月28にち閲覧えつらん
  11. ^ Bennett, David (1 September 1998). Roller Coaster: Wooden and Steel Coasters, Twisters, and Corkscrews (英語えいご). hartwell Books. ISBN 9780785808855
  12. ^ Editors of Mental Floss (1 November 2005). mental floss presents Instant Knowledge (英語えいご). HarperCollins Publishers. ASIN B000FCKH8I. ISBN 9780060784751
  13. ^ 宙返ちゅうがえりコースター バイエルンせいスリル製造せいぞう - リーダーズ・ダイジェスト1981ねん12がつごう日本にっぽんリーダーズダイジェストしゃ
  14. ^ roller coaster Introduction of steel coasters - Britannica
  15. ^ 黒田くろだみつる斉藤さいとうつよし渡辺わたなべ由美子ゆみこあずま正毅まさききょくりつちょう区分くぶん2関数かんすうとなるG3補間ほかん曲線きょくせん」『情報処理じょうほうしょり学会がっかい論文ろんぶんだい38かんだい3ごう情報処理じょうほうしょり学会がっかい、1997ねん3がつ、555-562ぺーじISSN 1882-7764NAID 110002721508 

関連かんれん項目こうもく [編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]