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ジーランディア

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ジーランディアの範囲はんい
海底かいてい地形ちけいあか部分ぶぶん水深すいしんあさ

ジーランディア(Zealandia)は、ニュージーランドニューカレドニア周辺しゅうへん地域ちいき現存げんそんする大陸たいりく地殻ちかく。9わり以上いじょう海面かいめんにある。タスマンティス(Tasmantis)ともいう。

ジーランディアという呼称こしょうは、1995ねんBruce P. Luyendykがゴンドワナの断片だんぺんモデルのなかでニュージランドをふくんだ大陸たいりく総称そうしょうとして提案ていあんした。

概要がいよう[編集へんしゅう]

ジーランディアはやく1おく3000まんねんまえ〜8500まんねんまえ南極大陸なんきょくたいりく分裂ぶんれつし、さらにやく8500まんねんまえ〜6000まんねんまえオーストラリア大陸たいりく分裂ぶんれつし、そのそのほとんどが海面かいめんぼっしたとかんがえられている[1]現在げんざいのようにジーランディアがほぼ完全かんぜん海面かいめんしずんだのはやく2300まんねんまえ推定すいていされている[2]地質ちしつがくてき証拠しょうこよわいために断言だんげんはできないが、論証ろんしょう結果けっかから当時とうじジーランディアはそのすべてが海面かいめんぼっしたのではないかともわれる[3]

現在げんざい、ジーランディアのやく93%は太平洋たいへいようしずんだままになっている。ジーランディアのほとんどが海面かいめんじょうにはあらわれないのは、ジーランディアのした地殻ちかく一般いっぱんてき大陸たいりく地殻ちかくよりもうすいからである。ジーランディアの地殻ちかくあつさはやく20kmほどしかないために、地球ちきゅうマントルうえでは、現在げんざい海水かいすいめんよりもうえかおせるほどたかくはかびがることができない。海面かいめんじょう部分ぶぶんとしてボールズ・ピラミッドがある。

面積めんせき[編集へんしゅう]

ジーランディアの面積めんせきは、やく350まんkm2である。この面積めんせきは、世界せかい最大さいだいしまとして分類ぶんるいされているグリーンランドやく216まんkm2)よりもひろく、大陸たいりくの1つであるインド大陸たいりくやく440まんkm2)に匹敵ひってきし、現在げんざい最小さいしょう大陸たいりくとされるオーストラリア大陸たいりくやく900まんkm2)の4わり程度ていど面積めんせき相当そうとうする。

ジーランディアは南北なんぼく細長ほそなが形状けいじょうをしており、ジーランディアの北端ほくたんニューカレドニア南緯なんい19)で、南端なんたんニュージーランドの南極なんきょく諸島しょとう南緯なんい56)である[1]。なお、ジーランディアのなか海面かいめんじょうかおしている場所ばしょとしてもっとひろいのはニュージーランドであり、そのつぎがニューカレドニアである。ジーランディアのうち現在げんざい海面かいめんじょう面積めんせき合計ごうけいは、湖沼こしょうなどもふくめて286655km2である。このうちニュージーランドが267988km2全体ぜんたいやく93%をめる。これにはニュージーランドの南島なんとう北島きたじまとその周辺しゅうへんしまほかに、アンティポデス諸島しょとうオークランド諸島しょとうバウンティ諸島しょとうキャンベルとうチャタム諸島しょとうがジーランディアにふくまれる。なお、ケルマディック諸島しょとうマッコーリーとうはジーランディアにふくまれない。ニューカレドニアは本島ほんとう周辺しゅうへん島々しまじまわせて18576km2で、全体ぜんたいやく7%ほどである。このほか、オーストラリアの領土りょうどとなっている、ノーフォークとうロード・ハウとうElizabeth ReefMiddleton Reefといったちいさなしまふくまれる。

海面かいめん[編集へんしゅう]

ジーランディアのなか海面かいめんとなっている場所ばしょとしては、Lord Howe RiseChallenger PlateauCampbell PlateauNorfolk RidgeChatham Riseがある。に、太平洋たいへいよう存在そんざいするうみだいの1つであるケンうみだいKenn Plateau)などもジーランディアにふくまれる[4]。ケンうみだいは、海洋かいようそこのプレートを形成けいせいする岩石がんせきよりも密度みつどひく比較的ひかくてきかるい、大陸たいりくせい岩石がんせきによってできている。したがって、この部分ぶぶん海中かいちゅうぼっしているものの大陸たいりく地殻ちかく一部いちぶである。このケンうみだいは、いまからやく6300まんねんまえから5200まんねんまえあいだに、オーストラリアの北東ほくとうから分離ぶんりしたとかんがえられている。そのは、ジーランディアの一部いちぶとなっている。

なお、かけじょうはなれているギルバート海山みやま(Gilbert Seamount)も、ジーランディアの断片だんぺんの1つとされる[5]。ギルバート海山みやまがニュージーランドのりくかたまり一部いちぶ(ジーランディアの一部いちぶ)である証拠しょうことしては、地殻ちかくあつさなどがげられる[6]

ちなみに、ボロンズ海山みやまについては、どのようにしてジーランディアと強固きょうこにつながっているのか、なぜジーランディアの移動いどうともなって四散しさんしないのかあきらかになっていない。

地質ちしつがくてき知見ちけん[編集へんしゅう]

ジーランディアには、ほぼ平行へいこうならんでいる2つのおおきな尾根おね存在そんざいする。この2つの尾根おねオーラコゲンによって分断ぶんだんされている。この2つの尾根おね海底かいていからおおよそ海面かいめん1500m〜1000m程度ていどまでがっており、場所ばしょによっては海面かいめんじょうかおしてしま形成けいせいしている。これらを構成こうせいしている岩石がんせきは、地球ちきゅうでは比較的ひかくてき比重ひじゅうかるい、大陸たいりく地殻ちかくせい岩石がんせきである。この部分ぶぶん地殻ちかく一般いっぱんてき大陸たいりく地殻ちかくよりもうすいため、そのほとんどが海面かいめんじょうにはあらわれず、海面かいめんぼっしている。この場所ばしょ地殻ちかくあつさはやく20kmほどしかないために、地球ちきゅうマントルうえでは現在げんざい海水かいすいめんよりもうえかおせるほどたかくはかぶことができない。

やく2500まんねんまえ太平洋たいへいようプレートっているジーランディア南部なんぶインド・オーストラリアプレートっているジーランディア北部ほくぶたいしてずれはじめた。このためにしょうじた移動いどうAlpine断層だんそう沿ったものであり、その移動いどう距離きょりやく500kmであることが地形ちけいから明白めいはくれる[7]。このうごきにともなってしょうじたプレート境界きょうかい付近ふきんでの圧縮あっしゅくによってみなみアルプス山脈あるぷすさんみゃく隆起りゅうきしたが、すみやかに侵食しんしょくされたためそのたかさはひくくなった。また北部ほくぶでは太平洋たいへいようプレートのしずみによって、ジーランディアのひろ範囲はんい火山かざん活動かつどう発生はっせいさせた。このジーランディアの火山かざん活動かつどうは、ゴンドワナ大陸たいりく分裂ぶんれつによってしょうじた大陸たいりく断片だんぺんうごきが関係かんけいしている。ジーランディアの火山かざんはあちこちに存在そんざいし、それらは一般いっぱんてきにはそれほど大量たいりょう溶岩ようがん噴出ふんしゅつしたわけでもないが、そのようなちいさな火山かざんばかりではなく中新ちゅうしん後半こうはんには巨大きょだいたてじょう火山かざん出現しゅつげんした。それにくわえて、はく亜紀あき終盤しゅうばんから新生代しんせいだいあいだもジーランディアのいくつかの地域ちいき火山かざん活動かつどうがあったというせつもある。ただし、ジーランディアの北部ほくぶにあるLord Howe Rise中新ちゅうしんのうちにてい位置いち溶岩ようがん地殻ちかくうえへと供給きょうきゅうつづけるホットスポット通過つうかしているため、実際じっさいにどうだったのか、いまだに議論ぎろんおこなわれている。なおこのホットスポットを通過つうかした結果けっか太平洋たいへいよう存在そんざいする、海山みやまれつの1つであるロードハウ海山うみやまれつLord Howe seamount chain)が形成けいせいされた。この海山みやまれつ中新ちゅうしん形成けいせいされたとかんがえられており、やく1000kmにわたってほぼ南北なんぼくつらなっている。これはこの時代じだい、ここのプレートがきたかってうごいていた証拠しょうこの1つとされている。

生物せいぶつ地理ちりがくてき知見ちけん[編集へんしゅう]

海面かいめん[編集へんしゅう]

ジーランディアは現在げんざいほとんどが海面かいめんにある。この海面かいめん地形ちけいがあるおかげで、一帯いったい漁場ぎょじょうとなっている。したがって、ジーランディアはニュージランドなどの沿岸えんがん漁業ぎょぎょうたすけているといういいかたもできる。

陸上りくじょう[編集へんしゅう]

ニューカレドニアはジーランディアの北端ほくたん位置いちする。一方いっぽう、ニュージランドの南島なんとう北島きたじまはプレートの境界きょうかい付近ふきん海底かいていからそびえっており、このプレート境界きょうかいがニュージランドを分断ぶんだんしている。これらの土地とちには、AraucariasPodocarpsふくんだ、南極なんきょく植物しょくぶつしょう分布ぶんぷしている。またクリオわんには、現在げんざいカウリノーフォークマツ密接みっせつ関係かんけいのある古代こだいもり化石かせきしたものが現存げんそんしており、ここではやく1おく8000まんねんまえジュラ紀じゅらき生育せいいくしていた植物しょくぶつ化石かせき、つまりジーランディアがゴンドワナ大陸たいりくから分裂ぶんれつするまえ植物しょくぶつ化石かせきることができる[8]。ここにある化石かせきは、火山かざんせいどろりゅうによってまった植物しょくぶつが、その徐々じょじょ珪酸けいさんしおわったもの(珪化参照さんしょう)であり、うみによって侵食しんしょくされたことで地上ちじょう露出ろしゅつしていまいたっている。

なお、ジーランディアの元々もともと動物どうぶつしょう哺乳類ほにゅうるいふくまれておらず、元来がんらい哺乳類ほにゅうるいのいない土地とちだったとされていた。しかし、2006ねん中新ちゅうしん生育せいいくしていた哺乳類ほにゅうるいあご化石かせき発見はっけんされた[9]

ボールズ・ピラミッドにはロードハウナナフシ生息せいそくしているが、付近ふきんにあるロード・ハウとう個体こたいとは差異さいられる。

調査ちょうさ[編集へんしゅう]

2020ねん海洋かいよう研究けんきゅう開発かいはつ機構きこう(JAMSTEC)の地球ちきゅう深部しんぶ探査たんさせんちきゅう」による潜水せんすい調査ちょうさ計画けいかくされている[10]

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ a b Keith Lewis; Scott D. Nodder and Lionel Carter(2007-01-11). "Zealandia: the New Zealand continent". Te Ara - the Encyclopedia of New Zealand.
  2. ^ Campbell, Hamish; Gerard Hutching(2007). In Search of Ancient New Zealand. North Shore, New Zealand: Penguin Books. p.166、p.167 ISBN 978-0-14-302088-2
  3. ^ "うしなわれた大陸たいりくジーランディアにかんする調査ちょうさ記事きじ(Searching for the lost continent of Zealandia)" The Dominion Post. 29 September 2007.
  4. ^ Mortimer, Nick(2006). "Zealandia". Australian Earth Sciences Convention. Melbourne, Australia. p.4
  5. ^ Wood, Ray; Vaughan Stagpoole, Ian Wright, Bryan Davy and Phil Barnes(2003)(PDF).New Zealand's Continental Shelf and UNCLOS Article 76
  6. ^ Institute of Geological and Nuclear Sciences Limited; National Institute of Water and Atmospheric Research. p.16
  7. ^ "Figure 4. Basement rocks of New Zealand". UNCLOS Article 76: The Land mass, continental shelf, and deep ocean floor: Accretion and suturing.
  8. ^ Fossil forest: Features of Curio Bay/Porpoise Bay
  9. ^ Campbell, Hamish; Gerard Hutching(2007). In Search of Ancient New Zealand. North Shore, New Zealand: Penguin Books. p183、p184 ISBN 978-0-14-302088-2
  10. ^ だい7大陸たいりくジーランディア」水没すいぼつなぞいど探査たんさせんちきゅうが海底かいてい掘削くっさく

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]