(Translated by https://www.hiragana.jp/)
スペースシップワン - Wikipedia コンテンツにスキップ

スペースシップワン

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
スペース・シップ・ワンから転送てんそう

スペースシップワン

スペースシップワン (SpaceShipOne) は、スケールド・コンポジッツしゃTier Oneプログラムの一部いちぶとして開発かいはつされた有人ゆうじん宇宙船うちゅうせんである。2004ねん6がつ高度こうどやく100 kmの宇宙うちゅう空間くうかんけた弾道だんどう飛行ひこう成功せいこうさせ、世界せかいはじめての民間みんかん企業きぎょうによる有人ゆうじん宇宙うちゅう飛行ひこう実現じつげんした。なお、機体きたい開発かいはつ費用ひよう後述こうじゅつ賞金しょうきんである1000まんドルの2.5ばいかかった[1]

概要がいよう[編集へんしゅう]

スペースシップワンは、2004ねん6月21にち高度こうどやく100 km(カーマン・ライン)の宇宙うちゅう空間くうかんけた弾道だんどう飛行ひこう成功せいこうさせ、世界せかいはじめての民間みんかん企業きぎょうによる有人ゆうじん宇宙うちゅう飛行ひこう実現じつげんした。

さらに、2004ねん9月29にち、10月4にちには、民間みんかん宇宙船うちゅうせん開発かいはつたいする賞金しょうきん制度せいどAnsari X Prize」の受賞じゅしょう条件じょうけんもっとはや達成たっせいし、賞金しょうきん1000まんドルを同社どうしゃ獲得かくとくした。なお、受賞じゅしょう条件じょうけん以下いかとおり。

  • 宇宙うちゅう空間くうかん高度こうど100 km以上いじょう)に到達とうたつする
  • 乗員じょういん3めい操縦そうじゅうしゃ1めい乗員じょういん2名分めいぶんのバラスト)相当そうとうげる
  • 2週間しゅうかん以内いないどういち機体きたいさい使用しようし、宇宙うちゅう空間くうかん再度さいど到達とうたつする
リンドバーグスピリットオブセントルイスごうや、音速おんそく突破とっぱベル X-1 グラマラス グレニスごうならんで展示てんじされるスペースシップワン

それまでの宇宙うちゅう開発かいはつは、すべて国家こっか戦略せんりゃく一環いっかんであり、国家こっか予算よさん使つかっておこなわれていたものである。事実じじつ世界せかいはつ人工じんこう衛星えいせいはつ有人ゆうじん宇宙うちゅう飛行ひこうはつ有人ゆうじんがつ着陸ちゃくりくスペースシャトル国際こくさい宇宙うちゅうステーションなど、いずれも国家こっか強力きょうりょく主導しゅどうのもとでおこなわれ、費用ひよう国家こっか予算よさんからまかなわれた。しかしながら、航空こうくう宇宙うちゅうかえると、オットー・リリエンタールによるハンググライダー研究けんきゅうライト兄弟きょうだいによるはつ動力どうりょく飛行ひこうや、リンドバーグ大西洋たいせいよう着陸ちゃくりく横断おうだんなどのだい記録きろくは、企業きぎょうまたは個人こじん資金しきんのみで達成たっせいされたものであった。スペースシップワンが達成たっせいした成果せいかは、これらに匹敵ひってきする成功せいこうとして評価ひょうかされている。史上しじょうはつ民間みんかんによる有人ゆうじん宇宙うちゅう飛行ひこう栄光えいこうをたたえて、2006ねんげられたNASA惑星わくせい探査たんさニュー・ホライズンズには、スペースシップワンの機体きたい一部いちぶ搭載とうさいされて宇宙うちゅうへと旅立たびだっていった。

ヴァージングループ設立せつりつされた宇宙うちゅう旅行りょこう会社かいしゃヴァージン・ギャラクティックはスペースシップワンの成功せいこうけ、改良かいりょうがた宇宙船うちゅうせんスペースシップツー建造けんぞうし、史上しじょうはつ宇宙うちゅう旅行りょこうビジネスを開始かいしすることを発表はっぴょうした。当初とうしょ2007ねんからの商業しょうぎょうサービス開始かいし目指めざしていたが、開発かいはつ難航なんこうし、実際じっさい有人ゆうじん宇宙うちゅう飛行ひこう実現じつげんしたのは2018ねんのこととなった。

飛行ひこう詳細しょうさい[編集へんしゅう]

飛行ひこうするスペースシップワン (17P)

はじめて高度こうど100kmを達成たっせいした2004ねん6がつ21にち飛行ひこう15Pつぎのようにおこなわれた。

カリフォルニアしゅうモハーヴェ砂漠さばくにある飛行場ひこうじょうから離陸りりく運搬うんぱんよう航空機こうくうきホワイトナイト」によりげられた状態じょうたいのまま、高度こうどやく15キロまで上昇じょうしょうはなされた。そのロケットエンジン点火てんか音速おんそくの3ばいまで加速かそく。ロケットの燃焼ねんしょう終了しゅうりょう慣性かんせい放物線ほうぶつせんえがくように弾道だんどう飛行ひこうし、ついに高度こうど100kmへの到達とうたつたした。3分間ふんかんあまりの重量じゅうりょう状態じょうたいでの宇宙うちゅう飛行ひこうて、大気圏たいきけんさい突入とつにゅう高度こうど15キロまで降下こうかしたのち滑空かっくうによりもと飛行場ひこうじょう着陸ちゃくりくした。さら16P17Pにて2週間しゅうかん以内いないさい飛行ひこう達成たっせい、X PRIZE受賞じゅしょう条件じょうけんをクリアした。

このスペースシップワンの実機じっきは、2005ねんよりアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくワシントンD.C.国立こくりつ航空こうくう宇宙うちゅう博物館はくぶつかん展示てんじされている。

スペースシップワンの飛行ひこう記録きろく
飛行ひこう番号ばんごう 日付ひづけ 最高さいこう速度そくど 到達とうたつ高度こうど パイロット 備考びこう
11P 2003ねん12月17にち マッハ1.2 20.7 km Brian Binnie  
13P 2004ねん04がつ08にち マッハ1.6 32.0 km Peter Siebold  
14P 2004ねん05月13にち マッハ2.5 64.4 km Mike Melvill  
15P 2004ねん06月21にち マッハ2.9 100.1 km Mike Melvill はつ高度こうど100kmちょう
16P 2004ねん09月29にち   102.9 km Mike Melvill  
17P 2004ねん10がつ04にち マッハ3.09 112.0 km Brian Binnie X PRIZE受賞じゅしょう

機体きたい[編集へんしゅう]

乗員じょういん 1めい最大さいだい3めい
全長ぜんちょう 5 m
つばさはば 5 m
胴体どうたい直径ちょっけい 1.52 m
つばさ面積めんせき 15 m²
機体きたい質量しつりょう 1200 kg
離陸りりく質量しつりょう 3600 kg
推力すいりょく 7500 kgf (74 kN)
推力すいりょく 250 s (2.5 km/s)
燃焼ねんしょう時間じかん 87 s

機体きたい米国べいこく航空機こうくうき開発かいはつ会社かいしゃスケールド・コンポジッツしゃ設計せっけいによるもので、おもやく3トン、3にんり。ロケットエンジンは、酸化さんかざいとして液体えきたい酸化さんか窒素ちっそ推進すいしんざいとして固体こたい合成ごうせいゴム使用しようしたハイブリッドロケットである。制御せいぎょせいすぐれた液体えきたいロケットの長所ちょうしょと、あつかいが容易ようい固体こたいロケットの長所ちょうしょ双方そうほうそなえている(詳細しょうさいについてはロケットエンジンの推進すいしんざい参照さんしょう)。高度こうど15キロメートルまではおやホワイトナイトにげられて上昇じょうしょうすることにより、大気圏たいきけん脱出だっしゅつするために必要ひつよう燃料ねんりょうりょうおさえている。

尾翼びよく部分ぶぶん回転かいてんし65°までてることが出来でき特徴とくちょうてき設計せっけいとなっている。最高さいこうからの落下らっかには尾翼びよくてることで、降下こうかスピードをおさえ、機体きたい過熱かねつふせいでいる。また、これにより落下らっか機体きたい安定あんていせいたも役割やくわりたしている。 高度こうど15.5キロメートルまで降下こうかした時点じてん尾翼びよく水平すいへいもどし、スペースシャトルのように滑空かっくうしながら基地きち帰還きかんする。

登録とうろくされている機体きたい番号ばんごうはN328KFで、これは目標もくひょう高度こうどの100 km(= やく328キロフィート)に由来ゆらいする。同社どうしゃによれば、N100KMという機体きたい番号ばんごうすで取得しゅとくされていたとのことである。

ギャラリー[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ 『ビジュアル化学かがくだい事典じてん日経にっけいナショナルジオグラフィックしゃ、2009ねん9がつ7にち、363ぺーじ 

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]