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ツタ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ツタ
ツタのあたらしいツル
分類ぶんるいAPG III
さかい : 植物しょくぶつかい Plantae
階級かいきゅうなし : 被子植物ひししょくぶつ Angiosperms
階級かいきゅうなし : 真正しんしょうそう子葉しようるい Eudicots
階級かいきゅうなし : バラるい Rosids
: ブドウ Vitales
: ブドウ Vitaceae
ぞく : ツタぞく Parthenocissus
たね : ツタ P. tricuspidata
学名がくめい
Parthenocissus tricuspidata (Siebold et Zucc.) Planch. (1887)[1]
和名わみょう
ツタ(つた)、ナツヅタ[1]
英名えいめい
Boston Ivy, Japanese Ivy

ツタつた[2]学名がくめい: Parthenocissus tricuspidata)は、ブドウツタぞくつるせい落葉らくようせい木本もくほん山野さんやえる。別名べつめいアマヅラナツヅタ[2]なつつた[3]モミジヅタ和名わみょう由来ゆらいは、岩肌いわはだにつたってびる様子ようすから「つたって」が転訛てんかしたものとされる[2][4]中国ちゅうごくは「にしき[1]

ツタという言葉ことばは、ツタぞくParthenocissus)の植物しょくぶつそうじてしょうすることもある。英語えいごでのアイヴィー(Ivy)とのかたは、ウコギキヅタぞく植物しょくぶつすことがおおい。Poison Ivyツタウルシであり、ツタではない。

分布ぶんぷ生育せいいく[編集へんしゅう]

日本にっぽんでは北海道ほっかいどう本州ほんしゅう四国しこく九州きゅうしゅう低地ていち分布ぶんぷする[5]やまりん岩肌いわはだにふつうに自生じせいする[2]みきにびっしりいているほか、建物たてものかべへいいちめんおおうこともおお[5][6]

ツタぞく植物しょくぶつは、アジアからきたアメリカに15しゅ自生じせいし、日本にっぽんにはツタ(P. tricuspidata)のみが北海道ほっかいどう本州ほんしゅう四国しこく九州きゅうしゅう自生じせいする[2]きたアメリカには、が5きれ、あるいは5ようかれるアメリカキヅタP. quinguefolia)がある[7]

特徴とくちょう[編集へんしゅう]

落葉らくようせいのつる植物しょくぶつ[5]まきひげ先端せんたん吸盤きゅうばんになり、がけなどの基盤きばん付着ふちゃくしてよじのぼ[3][6]樹皮じゅひ黒褐色こっかっしょくたてすじがあり、若木わかぎかわがあり、老木ろうぼくになってふといものはたてふかれる[6]いちねんえだ赤褐色せきかっしょくたんえだもよく[6]

かたち変異へんいおおく、わかえだではみのない、またはてのひらじょうあさけるか、あるいは完全かんぜんに3つに分裂ぶんれつして複葉ふくようになり、後者こうしゃはツタウルシのている[5]複葉ふくよう場合ばあい、3しょうからなる[2]

わかいつるとふるいつるでは、かたちことなり3とおりくらいある[2]わかえだは、小型こがた光沢こうたくよわく、ふとえだ光沢こうたくつよ[5]無理むりやりいた場合ばあいはポツポツと吸盤きゅうばんだけがのこる。ると葉柄ようへい一緒いっしょについてくるが、あき紅葉こうようしてるときには葉柄ようへい分離ぶんりする[2]紅葉こうようしはじめは紫色むらさきいろびやすく、緑色みどりいろから紫色むらさきいろ赤色あかいろ橙色だいだいいろ黄色おうしょくのグラデーションになる[5]わかえだ紅葉こうようあかるいいろおおく、ふとえだ紫色むらさきいろびる傾向けいこうがある[5]。ブドウ植物しょくぶつ共通きょうつうし、落葉らくようには葉柄ようへいはずれるものがおお[5]

花期かきは6 - 7がつ[6]。5まい緑色みどりいろ花弁はなびらちいさなはなをつける。落葉らくようくろ紫色むらさきいろ果実かじつのこることがおお[6]

冬芽とうが互生ごせいし、ちいさな円錐えんすいがたおおきなこんうえにつく[6]

キヅタとのちが[編集へんしゅう]

ツタはブドウであるが、類似るいじする植物しょくぶつウコギキヅタHedera rhombea)がある[3]分布ぶんぷいきはツタよりもややみなみで、本州ほんしゅうから南西諸島なんせいしょとうまである[7]。ツタはきひげのさき吸盤きゅうばんかべなどをよじのぼっていくが、キヅタは付着ふちゃくというこまかいブラシのようなヒゲによってき、がるたかさもツタよりまさっている[3]紅葉こうようして落葉らくようするツタにたいし、キヅタは常緑じょうりょくいちねんちゅう緑色みどりいろをつけている[7]かたちも、3きれした単葉たんようか3まいかれた複葉ふくようのツタにたいし、キヅタではわかは3きれしているが、おおきくなるとたまごがたになる[3]

利用りよう[編集へんしゅう]

にわ建物たてもの緑化りょくかようえられる[5]ふるくから建物たてもの外壁がいへきおおわせ、装飾そうしょくとして利用りようされる[2]建物たてものわすことで、つよかえ緩和かんわし、室内しつない温度おんどげるはたらきもしている[7]道路どうろようかべなどにもツタが使つかわれていて、平面へいめん使つかうことで、道路どうろなどのがえしをふせぐよいグラウンドカバーになる[7]

また、日本にっぽんでは古来こらいから樹液じゅえきアマヅラばれる甘味あまみりょうとして利用りようしていた。ナツヅタのは、ウコギキヅタをフユヅタとんだため、その対比たいひばれた。

文化ぶんか[編集へんしゅう]

童謡どうようまっかなあき」でもうたわれるように、紅葉こうよううつくしい植物しょくぶつとしてしたしまれている[5]

家紋かもん[編集へんしゅう]

つたもん(つたもん)は、ツタのくきはな図案ずあんした日本にっぽん家紋かもん一種いっしゅである。

家紋かもんとしてのはつ不明ふめいであるが、江戸えど時代じだい松平まつだいらもちい、8だい将軍しょうぐんである徳川とくがわ吉宗よしむねもちいたことからひろまったともわれる。現在げんざいじゅうだい家紋かもんかぞえられるほどに使用しようおおい。

見聞けんぶんしょ家紋かもん』には、椎名しいなつた)、富田とみたづるつた)、高安たかやすたけささつた)がせられている。

に『寛政かんせいじゅうおさむ諸家しょか』には、はん藤堂とうどうが「藤堂とうどうつた」、本荘ほんじょうはん六郷ろくごう西尾にしおはん大給おぎゅう)、小島こじまはん滝脇たきのわき)、棚倉たなぐらはん松井まつい)らかく松平まつだいらが「つた」でせられている。[8][9]

また、ほかの樹木じゅもく建物たてものなどに着生ちゃくせいする習性しゅうせいからしたがうことにてんじて、おんなもんとしてもちいられることがあった。つたからんでしげるさまが馴染なじきゃく一生いっしょうはなれないことにかけて芸妓げいぎ娼婦しょうふなどがもちいたといわれる[8][9]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c 米倉よねくら浩司こうじ梶田かじたただし (2003-). “Parthenocissus tricuspidata (Siebold et Zucc.) Planch. ツタ(標準ひょうじゅん”. BG Plants 和名わみょう学名がくめいインデックス(YList). 2023ねん12月3にち閲覧えつらん
  2. ^ a b c d e f g h i 亀田かめだ龍吉りゅうきち 2014, p. 25.
  3. ^ a b c d e 辻井つじいたちいち 2006, p. 124.
  4. ^ ツタ - 岡山理科大学おかやまりかだいがく 生物せいぶつ地球ちきゅう学部がくぶ 生物せいぶつ地球ちきゅう学科がっか 植物しょくぶつ生態せいたい研究けんきゅうしつ
  5. ^ a b c d e f g h i j はやし将之まさゆき 2008, p. 62.
  6. ^ a b c d e f g 鈴木すずき庸夫みちお高橋たかはしふゆやすのべ尚文なおふみ 2014, p. 214
  7. ^ a b c d e 辻井つじいたちいち 2006, p. 126.
  8. ^ a b せん鹿野かのしげる 監修かんしゅう高澤たかさわひとし ちょ家紋かもん事典じてん東京とうきょうどう出版しゅっぱん、2008ねん5がつISBN 978-4-490-10738-8 [ようページ番号ばんごう]
  9. ^ a b 新人物往来社しんじんぶつおうらいしゃ へん索引さくいん自由じゆうさがせる 家紋かもんだい図鑑ずかん新人物往来社しんじんぶつおうらいしゃ別冊べっさつ歴史れきし読本とくほん 28〉、1999ねん8がつISBN 4-404-02728-1 [ようページ番号ばんごう]

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]