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ヤリイカ

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ヤリイカ
分類ぶんるい
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 軟体動物なんたいどうぶつもん Mollusca
つな : あたまあしつな Cephalopoda
: 閉眼 Myopsida
: ヤリイカ Loliginidae
ぞく : Heterololigo
Natsukari, 1984
たね : ヤリイカ H. bleekeri
学名がくめい
Heterololigo bleekeri
(Keferstein1866)
シノニム

Loligo bleekeri Keferstein1866

和名わみょう
ヤリイカ(槍烏賊やりいか
英名えいめい
spear squid
仙台せんだいうみのもり水族館すいぞくかん飼育しいく個体こたい
やりいか せい[1]
100 gあたりの栄養えいよう
エネルギー 356 kJ (85 kcal)
0.4 g
1.0 g
飽和ほうわ脂肪酸しぼうさん 0.18 g
一価いっか飽和ほうわ 0.05 g
あたい飽和ほうわ 0.26 g
17.6 g
ビタミン
ビタミンA相当そうとうりょう
(1%)
8 µg
チアミン (B1)
(3%)
0.04 mg
リボフラビン (B2)
(3%)
0.03 mg
ナイアシン (B3)
(23%)
3.5 mg
パントテンさん (B5)
(5%)
0.27 mg
ビタミンB6
(8%)
0.10 mg
葉酸ようさん (B9)
(1%)
5 µg
ビタミンB12
(46%)
1.1 µg
ビタミンC
(2%)
2 mg
ビタミンE
(9%)
1.4 mg
ミネラル
ナトリウム
(11%)
170 mg
カリウム
(6%)
300 mg
カルシウム
(1%)
10 mg
マグネシウム
(12%)
42 mg
リン
(40%)
280 mg
鉄分てつぶん
(1%)
0.1 mg
亜鉛あえん
(13%)
1.2 mg
どう
(13%)
0.25 mg
マンガン
(1%)
0.02 mg
成分せいぶん
水分すいぶん 79.7 g
コレステロール 320 mg

ビタミンEはαあるふぁ─トコフェロールのみをしめした[2]廃棄はいき部位ぶい内臓ないぞうとう 
%はアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくにおける
成人せいじん栄養えいよう摂取せっしゅ目標もくひょう (RDI割合わりあい
ヤリイカ(なま、100gなか)のおも脂肪酸しぼうさん種類しゅるい[3]
項目こうもく 分量ぶんりょう(g)
脂肪しぼう総量そうりょう 1
脂肪酸しぼうさん総量そうりょう 0.49
飽和ほうわ脂肪酸しぼうさん 0.18
一価いっか飽和ほうわ脂肪酸しぼうさん 0.05
あたい飽和ほうわ脂肪酸しぼうさん 0.26
18:2(n-6)リノールさん 0.002
18:3(n-3)αあるふぁ-リノレンさん 0
20:4(n-6)アラキドンさん 0.009
20:5(n-3)エイコサペンタエンさん(EPA) 0.003
22:6(n-3)ドコサヘキサエンさん(DHA) 0.17

ヤリイカ槍烏賊やりいかHeterololigo bleekeri)はヤリイカ[4]ぞくするイカ一種いっしゅケンサキイカ (Uroteuthis edulis) はべつぞくである。

呼称こしょう

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標準ひょうじゅん和名わみょう「ヤリイカ」は、全体ぜんたいてき姿すがたがたやりていることから、漁師りょうしあいだでそのようにばれたのがはじまりとされている。流通りゅうつうめい地方ちほうめいには、「ササイカ(ささ烏賊いか)」「サヤナガ」「テナシ」「テッポウ」「シャクハチイカ(尺八しゃくはち烏賊いか)」などがある。

英語えいごでも spear squid (スピアー・スクィッド。「やりイカ」の)といい、学名がくめい記載きさいしゃをとって Bleeker's squid ともばれる。

形態けいたい生態せいたい

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うすまくおおわれていることを特徴とくちょうとする閉眼るい(閉眼ともしょうされる)にぞくする。外套がいとうなが[5]は40cm程度ていど(オスがやく30 - 40cm、メスはやく20 - 30cm)で、その胴体どうたい細長ほそなが円錐えんすいかたちである。通常つうじょう透明とうめいせいたかからだしょくをしているが、興奮こうふんには茶褐色ちゃかっしょく色素しきそつよくする。

北海道ほっかいどうから九州きゅうしゅうまでの日本にっぽん列島れっとう沿海えんかいおよび、朝鮮半島ちょうせんはんとう九州きゅうしゅう中国ちゅうごく上海しゃんはい周辺しゅうへんの3地域ちいきかこまれた海域かいいき、すなわち黄海こうかい全域ぜんいき東シナ海ひがししなかい東部とうぶ海域かいいき分布ぶんぷする。早春そうしゅんから産卵さんらんはいり、各地かくち沿岸えんがんあつまってくる。よって、はる漁獲ぎょかくとなる。

産卵さんらん行動こうどうことなる複数ふくすう個体こたいぐんかれる[6]漁獲ぎょかくりょう資源しげんりょう生物せいぶつりょう)の変動へんどう要因よういんとして、ふゆ水温すいおん摂氏せっし7以下いかになると孵化ふかりつがり、資源しげんりょう減少げんしょうする。このため、きた太平洋たいへいようにあるアリューシャンてい気圧きあつ勢力せいりょくすと減少げんしょうし、てい気圧きあつ衰退すいたいけて増加ぞうかてんじる。

人間にんげんとの関係かんけい

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しょく文化ぶんか

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日本にっぽんではスルメイカよりかくじょうあつかいを刺身さしみ寿司すしだねとして生食なましょくおお使つかわれ、また、一夜いちやちょくき、煮付につ塩辛しおからでもしょくされる。 スルメケンサキイカとともに最高さいこう等級とうきゅうとされ、「一番いちばんするめ」のばれ、「たけ」「ささするめ」などの雅名がめいつ。なかでも五島列島ごとうれっとうさんもの五島ごしま一番いちばんするめとさい高級こうきゅうひんとして珍重ちんちょうされる。

モデル生物せいぶつ

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非常ひじょうふと神経しんけい線維せんいずい巨大きょだいじくさく)と、巨大きょだいシナプスそなえているため、生物せいぶつがくでは神経しんけい生理せいりモデル生物せいぶつとしてもちいられる。

人工じんこう飼育しいく

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前述ぜんじゅつとお実験じっけん素材そざいとしてすぐれていたが、イカるい臆病おくびょう神経質しんけいしつたねおおいため飼育しいく非常ひじょうむずかしく、ノーベルしょう受賞じゅしょうしゃコンラート・ローレンツも「人工じんこう飼育しいく不可能ふかのう動物どうぶつ」としてヤリイカをげていたほどである。

しかし1975ねん電子技術総合研究所でんしぎじゅつそうごうけんきゅうしょ松本まつもとはじめがこれに成功せいこうした。のう科学かがくしゃであるかれ生物せいぶつ飼育しいくせん門外もんがいだったが、神経しんけい情報じょうほう伝達でんたつ研究けんきゅうのため、3ねんがかりで達成たっせいした。 これをったローレンツはただちに現地げんちおもむき、いち週間しゅうかんおよ慎重しんちょう検証けんしょうかさねた結果けっか率直そっちょくにこれをみとめた。このときかれは、開発かいはつされた飼育しいく技術ぎじゅつたいし、「すべての水産すいさん生物せいぶつ未来みらいえる」とまで評価ひょうかしている[7]

ポイントは、円形えんけい水槽すいそう回転かいてん水流すいりゅうおよがせつづけることと、アンモニア除去じょきょ徹底てってい検出けんしゅつ下限かげん未満みまんまで)で、とくにアンモニアは循環じゅんかん濾過ろかフィルターないにアンモニアを酸化さんかする細菌さいきん硝酸しょうさんきん)と、それを還元かんげんする細菌さいきん嫌気いやけ呼吸こきゅうきんだつきん)の繁殖はんしょく保持ほじにより達成たっせいされた。これは現在げんざい海水かいすいぎょ飼育しいくで、基本きほんてき技術ぎじゅつとなっている。

漁業ぎょぎょうしゃ以外いがいでも、りをたのしめる。岸壁がんぺきからるには、海底かいてい産卵さんらんさいして成熟せいじゅくした成体せいたい接岸せつがんするふゆからはる絶好ぜっこうのシーズンである。エギ(疑似ぎじえさ一種いっしゅ)で手軽てがるに、またはエサまきエギとばれる独特どくとくのイカはりさかなやトリのササミなどをけてのウキりが人気にんきがある。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 文部もんぶ科学かがくしょう 「日本にっぽん食品しょくひん標準ひょうじゅん成分せいぶんひょう2015年版ねんばんななてい
  2. ^ 厚生こうせい労働省ろうどうしょう 「日本人にっぽんじん食事しょくじ摂取せっしゅ基準きじゅん(2015年版ねんばん
  3. ^ 五訂増補日本食品標準成分表 脂肪酸しぼうさん成分せいぶん表編おもてあみ
  4. ^ 日本にっぽんでは「ジンドウイカ」のかよっていたが、ジンドウイカ自体じたい代表だいひょうてき位置いちからはずれた分類ぶんるいさい編成へんせいされた(Loligo japonica から Loliolus japonicaわった)ため、のこるもののうちで日本にっぽん馴染なじみのあるヤリイカがあらたな和名わみょう代表だいひょうするものとなった。「ヤリイカ」を旧来きゅうらいの「ジンドウイカ」としる資料しりょういま数多かずおおくあるのは、すで普及ふきゅうしている名称めいしょう重視じゅうしするかんがえのしたっているからである。
  5. ^ どうぞく頭部とうぶともおもわれている、あし以外いがい部分ぶぶん)をおお部位ぶい外套がいとうで、外套がいとうちょうはそのながさ。
  6. ^ 北日本きたにっぽんヤリイカ個体こたいぐん分布ぶんぷ回遊かいゆう資源しげん変動へんどう要因よういんかんする研究けんきゅう 青森あおもりけん産業さんぎょう技術ぎじゅつセンター
  7. ^ ヤリイカの人工じんこう飼育しいく”. 松本まつもと もと先生せんせい メモリアルサイト. ブレインビジョン株式会社かぶしきがいしゃ. 2011ねん12月15にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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  • "Loligo bleekeri Keferstein, 1866" (英語えいご). Integrated Taxonomic Information System. 2011ねん12月15にち閲覧えつらん 英語えいご
  • "Loligo bleekeri". National Center for Biotechnology Information(NCBI) (英語えいご). 英語えいご
  • "Loligo bleekeri" - Encyclopedia of Life 英語えいご
  • 独立どくりつ行政ぎょうせい法人ほうじん水産すいさん総合そうごう研究けんきゅうセンター. “Loligo bleekeri (ヤリイカ)”. 水生すいせい生物せいぶつ情報じょうほうデータベース. 2011ねん12月15にち閲覧えつらん
  • ぜんこくいか工業こうぎょう協同きょうどう組合くみあい. “Plate 17 LOLIGINIDAE ヤリイカ(ジンドウイカ)-Japanese Waters日本にっぽん近海きんかい(1)”. WEBばん 原色げんしょく世界せかいイカるい図鑑ずかん. 2012ねん7がつ13にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2011ねん12月15にち閲覧えつらん