この項目 こうもく では、国際 こくさい 音声 おんせい 記号 きごう (IPA)について説明 せつめい しています。その他 た の用法 ようほう については「IPA 」をご覧 らん ください。
国際 こくさい 音声 おんせい 記号 きごう (こくさいおんせいきごう、仏 ふつ : A lphabet P honétique I nternational(API ) 、英 えい : I nternational P honetic A lphabet(IPA ) )は、あらゆる言語 げんご の音声 おんせい を文字 もじ で表記 ひょうき すべく、国際 こくさい 音声 おんせい 学会 がっかい が定 さだ めた音声 おんせい 記号 きごう である。逐語 ちくご 的 てき な和訳 わやく としては国際 こくさい 音標 おとしべ 字母 じぼ (こくさいおんぴょうじぼ)であり、他 ほか にも国際 こくさい 音声 おんせい 字母 じぼ (こくさいおんせいじぼ)、国際 こくさい 音標文字 おんひょうもじ (こくさいおんぴょうもじ)とも言 い う。
IPAの一覧 いちらん 表 ひょう
国際 こくさい 音声 おんせい 記号 きごう は1888年 ねん に最初 さいしょ の版 はん が制定 せいてい されて以後 いご 以下 いか のように何 なん 度 ど かの改訂 かいてい を経 へ て今日 きょう に至 いた っている。
1900年 ねん の改訂 かいてい では、制定 せいてい 時 じ の対象 たいしょう に入 はい っていなかったアラビア語 ご などの非 ひ ヨーロッパの言語 げんご の音 おと をカバーするために拡張 かくちょう された。
1932年 ねん に二 に 度目 どめ の大 おお きな改訂 かいてい が実施 じっし され、ほぼ現在 げんざい の形 かたち が整 ととの った。その後 ご 数 すう 回 かい にわたって記号 きごう が追加 ついか されたが、基本 きほん 的 てき な構造 こうぞう は半 はん 世紀 せいき 以上 いじょう ほとんど変更 へんこう されなかった。
1976年 ねん の改訂 かいてい では表 ひょう の構造 こうぞう や用語 ようご が見直 みなお され、息 いき もれ声 ごえ を表 あらわ す記号 きごう などが追加 ついか された。いくつかの冗長 じょうちょう な記号 きごう が取 と り除 のぞ かれた。
1989年 ねん に大幅 おおはば な刷新 さっしん が行 おこな われた。吸着 きゅうちゃく 音 おん の記号 きごう を全面 ぜんめん 的 てき に変更 へんこう し、喉頭蓋 こうとうがい 音 おん や無声 むせい の入 にゅう 破 やぶ 音 おと などの記号 きごう を追加 ついか 、声調 せいちょう を表 あらわ すための趙 ちょう 元 もと 任 にん の記号 きごう を正式 せいしき に採用 さいよう 、多数 たすう のダイアクリティカルマーク (発音 はつおん 区 く 別記 べっき 号 ごう )を追加 ついか した。また、異体 いたい 字 じ の[ɩ ɷ] や、ダイアクリティカルマークの使用 しよう により不要 ふよう になった[ʆ ɼ] は除去 じょきょ された。
1993年 ねん にはさらに改訂 かいてい され、中 ちゅう 舌 した 母音 ぼいん のための新 あたら しい記号 きごう が追加 ついか された。1989年 ねん に追加 ついか されたばかりの無声 むせい の入 にゅう 破 やぶ 音 おと の記号 きごう は破棄 はき された。
1996年 ねん には小規模 しょうきぼ の改訂 かいてい を受 う けた。1993年 ねん の改訂 かいてい の誤 あやま りが修正 しゅうせい された。
2005年 ねん の改訂 かいてい では、唇 くちびる 歯 ぱ はじき音 おん のための記号 きごう が追加 ついか された。
2012年 ねん に国際 こくさい 音声 おんせい 記号 きごう の表 ひょう がCC BY-SA ライセンスで自由 じゆう に使用 しよう できるようになった[3] 。
2015年 ねん の改訂 かいてい では記号 きごう は増減 ぞうげん されず、わずかな字形 じけい の変更 へんこう のみにとどまった[3] 。
2022年 ねん 4月 がつ 現在 げんざい 、国際 こくさい 音声 おんせい 記号 きごう の最新 さいしん 版 ばん は2020年 ねん 度 ど 版 ばん である。
スラッシュ / / で挟 はさ んで書 か かれたIPAは、簡略 かんりゃく 表記 ひょうき (英 えい : broad transcription )と呼 よ ばれ、各 かく 言語 げんご ・表記 ひょうき 体系 たいけい ごとに認知 にんち ・区別 くべつ される音素 おんそ (phoneme)に基 もと づく大 おお まかな発音 はつおん 表記 ひょうき を意味 いみ する。発話 はつわ において、ある単語 たんご の発音 はつおん は前後 ぜんご の単語 たんご や方言 ほうげん によって変 か わる場合 ばあい があるが、それが同 おな じ音素 おんそ の異 い 音 おと であるかぎりは、同 おな じ単語 たんご として理解 りかい される。簡略 かんりゃく 表記 ひょうき では、異 い 音 おと は表記 ひょうき 上 じょう 区別 くべつ されず、一 ひと つの音素 おんそ と一 ひと つのIPA記号 きごう が対応 たいおう する。その際 さい 使 つか われる記号 きごう はIPAの部分 ぶぶん 集合 しゅうごう となるが、補助 ほじょ 記号 きごう のないラテン文字 もじ が優先 ゆうせん して選 えら ばれることが多 おお い。
一方 いっぽう 、角 かく 括弧 かっこ [ ] で挟 はさ んで書 か かれたIPAは、精密 せいみつ 表記 ひょうき (英 えい : narrow transcription )と呼 よ ばれ、各 かく 言語 げんご ・表記 ひょうき 体系 たいけい ごとの認知 にんち ・区別 くべつ 事情 じじょう を考慮 こうりょ せず、純粋 じゅんすい に音声 おんせい 学 がく (phonetics)に基 もと づく、調音 ちょうおん 方法 ほうほう によって物理 ぶつり 的 てき に区別 くべつ された詳細 しょうさい な発音 はつおん 表記 ひょうき を意味 いみ する。精密 せいみつ 表記 ひょうき では、個々 ここ の言語 げんご 音 おん が、それが異 い 音 おと である場合 ばあい も含 ふく めて、忠実 ちゅうじつ に表記 ひょうき される[4] 。
文字 もじ 一覧 いちらん 表 ひょう [ 編集 へんしゅう ]
子音 しいん (肺臓 はいぞう 気流 きりゅう )[ 編集 へんしゅう ]
子音 しいん のうち、肺臓 はいぞう 気流 きりゅう によって作 つく られる音声 おんせい を表 あらわ す文字 もじ 。
IPAの表 ひょう に、喉頭蓋 こうとうがい 音 おん 、側面 そくめん はじき音 おん を足 た したもの。記号 きごう が2つ並 なら んでいるものは、右 みぎ が有声音 ゆうせいおん 、左 ひだり が無声音 むせいおん 。網 あみ 掛 か けは調音 ちょうおん が不可能 ふかのう と考 かんが えられる部分 ぶぶん 。
破 やぶ 擦 ず 音 おと と二 に 重 じゅう 調音 ちょうおん は、以下 いか のようにタイ で2つの記号 きごう を組 く み合 あ わせることで表 あらわ すことができる。
子音 しいん (非 ひ 肺臓 はいぞう 気流 きりゅう )[ 編集 へんしゅう ]
子音 しいん のうち、非 ひ 肺臓 はいぞう 気流 きりゅう によって作 つく られる音声 おんせい を表 あらわ す文字 もじ 。
吸着 きゅうちゃく 音 おん
ʘ
両 りょう 唇 くちびる
ǀ
歯 は
ǃ
(後部 こうぶ )歯茎 はぐき
‼︎
そり舌 した
ǂ
硬 かた 口蓋 こうがい 歯茎 はぐき
ǁ
歯茎 はぐき 側面 そくめん
ʞ
軟口蓋 なんこうがい
母音 ぼいん を表 あらわ す文字 もじ 。
記号 きごう が2つ並 なら んでいるものは、右 みぎ が円 えん 唇 くちびる 、左 ひだり が非 ひ 円 えん 唇 くちびる 。
下 した に伸 の びた記号 きごう の場合 ばあい 、その上 うえ に置 お いても良 よ い: 例 れい ) ŋ̊
※この表 ひょう では、視認 しにん 性 せい のため拡大 かくだい して表示 ひょうじ しています。
超 ちょう 分節 ぶんせつ 要素 ようそ [ 編集 へんしゅう ]
平板 へいばん
̋
˥
超 ちょう 高 こう
́
˦
高 こう
̄
˧
中 なか
̀
˨
低 ひく
̏
˩
超 ちょう 低 ひく
↓
ダウンステップ
↑
アップステップ
上下動 じょうげどう
̌
˩˥
上昇 じょうしょう
̂
˥˩
下降 かこう
᷄
˧˥
高 こう 上昇 じょうしょう
᷇
˥˧
高 こう 下降 かこう
᷈
˦˥˦
昇降 しょうこう
↗
全体 ぜんたい 的 てき 上昇 じょうしょう
↘
全体 ぜんたい 的 てき 下降 かこう
問題 もんだい 点 てん と批判 ひはん およびそれへの対応 たいおう [ 編集 へんしゅう ]
国際 こくさい 音声 おんせい 記号 きごう が見慣 みな れない多数 たすう の記号 きごう を使 つか っていることは、当初 とうしょ からヘンリー・スウィート らによる批判 ひはん があった[5] 。また、いくつかの字形 じけい が類似 るいじ している(特 とく に[a] と[ɑ] はフォントによっては見分 みわ けがつかなくなる)ことに対 たい する批判 ひはん もある。
破 やぶ 擦 ず 音 おと は多 おお くの言語 げんご で単独 たんどく の音素 おんそ であるのに、専用 せんよう の文字 もじ を持 も たないことも批判 ひはん されることがある。たとえばアメリカの人類 じんるい 学 がく 者 もの ・言語 げんご 学 がく 者 もの の使 つか う音声 おんせい 記号 きごう (アメリカの音声 おんせい 記号 きごう )では破 やぶ 擦 ず 音 おと のための専用 せんよう の記号 きごう がある。
母音 ぼいん は基本 きほん 母音 ぼいん を元 もと にしているが、(第 だい 一 いち 次 じ )基本 きほん 母音 ぼいん が8個 こ であるのをフランス語 ふらんすご の影響 えいきょう によるものとして、半 はん 狭 せま 母音 ぼいん と半 はん 広 こう 母音 ぼいん の中間 ちゅうかん の位置 いち にある母音 ぼいん を持 も つ多数 たすう の言語 げんご が記述 きじゅつ しにくいとする批判 ひはん もある[6] 。ただし、IPAの方針 ほうしん としては、対立 たいりつ がない場合 ばあい は通常 つうじょう のラテン文字 もじ と同 おな じ形 がた ([a,e,o] など)を使 つか うことになっている。
IPAの表 ひょう では、母音 ぼいん の高 たか さを7段 だん に分 わ けているが、これほど細 こま かい区別 くべつ をする言語 げんご は存在 そんざい しない。ひとつの言語 げんご で区別 くべつ される高 たか さは4段 だん か、多 おお くても5段 だん だという[7] 。前 ぜん 舌 した ・中 ちゅう 舌 した ・奥 おく 舌 した の3種類 しゅるい の区分 くぶん についても2種類 しゅるい に減 へ らす案 あん もあるが[8] 、こちらは実際 じっさい に3種類 しゅるい の区別 くべつ が必要 ひつよう な言語 げんご が少数 しょうすう ながら存在 そんざい するという[9] 。
国際 こくさい 音声 おんせい 記号 きごう 表 ひょう (英 えい : International Phonetic Alphabet chart ; IPA Chart[10] ; IPAチャート)は全 すべ てのIPA音声 おんせい 記号 きごう を1つの表 ひょう に集約 しゅうやく したものである。IPA公式 こうしき から提供 ていきょう されており(日本語 にほんご 版 ばん : 右 みぎ 図 ず )[10] 、CC BY-SA 3.0 ライセンスで提供 ていきょう されている。
IPAの一覧 いちらん 表 ひょう
^ a b Full IPA Chart , International Phonetic Alphabet, https://www.internationalphoneticassociation.org/content/full-ipa-chart
^ 国際 こくさい 音声 おんせい 学会 がっかい (編集 へんしゅう ) 編 へん 『国際 こくさい 音声 おんせい 記号 きごう ガイドブック―国際 こくさい 音声 おんせい 学会 がっかい 案内 あんない 』竹林 たけばやし 滋 しげる 、神山 かみやま 孝夫 たかお (翻訳 ほんやく )、大修館書店 たいしゅうかんしょてん 、2003年 ねん (原著 げんちょ 1999年 ねん )、pp. 41-43頁 ぺーじ 。ISBN 978-4-469-21277-8 。
^ Collins & Mees (1998) p.49
^ チャオ(1980) pp.38-42
^ Ladefoged & Maddieson (1996) pp.289-290
^ Chomsky & Halle (1991) pp.304-305 では高 たか さを3種類 しゅるい 、前後 ぜんご を2種類 しゅるい しか認 みと めない
^ Ladefoged & Maddieson (1996) pp.290-291
^ a b "The International Phonetic Alphabet and the IPA Chart The official International Phonetic Alphabet, and its organization in a chart, is maintained by the Association." IPA official website , 2022-07-16閲覧 えつらん .
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