変身へんしん人間にんげんシリーズ

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変身へんしん人間にんげんシリーズ（へんしんにんげんシリーズ）は、東宝とうほうが製作せいさくした、科学かがく技術ぎじゅつによって変質へんしつ、変形へんけいあるいは特殊とくしゅ能力のうりょくを手てに入いれた人間にんげんが登場とうじょうする特撮とくさつ映画えいがの総称そうしょうである。

概要がいよう

怪奇かいき映画えいがにSF映画えいがの要素ようそをあわせたものであり、人間にんげんの業ごうや悲かなしみが作品さくひんのメインテーマとなっている。SF映画えいがや怪獣かいじゅう映画えいがのように派手はでな特撮とくさつは用もちいず、特撮とくさつを心理しんり的てきな表現ひょうげんとして演出えんしゅつしている。

東宝とうほうプロデューサーの田中たなか友幸ともゆきは、制作せいさくの動機どうきは莫大ばくだいな予算よさんをかけずに面白おもしろい特撮とくさつ映画えいがを作つくりたいという考かんがえであったと述のべているほか、本ほんシリーズをはじめとする怪奇かいきSF映画えいがが途絶とだえた理由りゆうについて、映画えいが業界ぎょうかいが大作たいさく志向しこうになっていったことを挙あげている。小説しょうせつ家かの小松こまつ左京さきょうは、本ほんシリーズについて「予算よさんはB級きゅうだろうと思おもうけど、アイデアがあって面白おもしろかった」と評ひょうしている。

名称めいしょう・区分くぶん

東宝とうほうレコード『SF映画えいがの世界せかい』や東宝とうほうが出版しゅっぱんした書籍しょせき『東宝とうほう特撮とくさつ映画えいが全ぜん史し』では変身へんしん人間にんげんシリーズは『美女びじょと液体えきたい人間にんげん』、『電送でんそう人間にんげん』、『ガス人間にんげん第だい一いち号ごう』の3作さくを指さす。同おなじ東宝とうほうの『マタンゴ』は番外ばんがい編へん的てき扱あつかいであり、『透明とうめい人間にんげん』は先駆せんく的てき作品さくひんということで、関連かんれんは深ふかいもののシリーズには含ふくまれていない。

田中たなかは変身へんしん人間にんげんものと称しょうしていたが、『電送でんそう人間にんげん』『ガス人間にんげん第だい一いち号ごう』の検討けんとう用よう台本だいほんでは「怪奇かいき空想くうそう科学かがく映画えいがシリーズ」と付記ふきされている。

作品さくひん一覧いちらん

公開こうかい年ねん	タイトル	監督かんとく	原作げんさく･原案げんあん	主人公しゅじんこう	登場とうじょうする怪人かいじん
1958	美女びじょと液体えきたい人間にんげん	本多ほんだ猪いの四郎しろう	海上うながみ日出男ひでお	政田まさだ（佐原さはら健二けんじ）	液体えきたい人間にんげん
1960	電送でんそう人間にんげん	福田ふくだ純じゅん	―	桐岡きりおか勝しょう（鶴田つるた浩二こうじ）	電送でんそう人間にんげん（中丸なかまる忠雄ただお）
	ガス人間にんげん第だい一いち号ごう	本多ほんだ猪いの四郎しろう	―	岡本おかもと賢治けんじ（三橋みつはし達也たつや）	ガス人間にんげん（土屋つちや嘉男よしお）

未み制作せいさく作品さくひん

『フランケンシュタイン対たいガス人間にんげん』

1963年ねんに関沢せきざわ新一しんいちによって執筆しっぴつされた脚本きゃくほん。『ガス人間にんげん第だい一いち号ごう』の続編ぞくへんであり、生いき延のびたガス人間にんげん水野みずのが藤ふじ千代ちよを生いき返かえらせるために怪物かいぶつフランケンシュタインを利用りようするというものであったが、企画きかくは『フランケンシュタイン対たいゴジラ』を経へて『フランケンシュタイン対たい地底ちてい怪獣かいじゅう』へと至いたった。同どう作品さくひんも、本ほんシリーズに通つうずる異形いぎょうの悲かなしみを描えがいた作品さくひんであった。

『怪奇かいき人間にんげん特撮とくさつシリーズ 戦慄せんりつ火焔かえん人間にんげん』

1973年ねん6月がつに、変身へんしん人間にんげんシリーズのプロデューサーで東宝とうほう映像えいぞうの社長しゃちょうとなった田中たなか友幸ともゆきによって立たてられた企画きかく書しょ。『美女びじょと液体えきたい人間にんげん』や『電送でんそう人間にんげん』がテレビ放送ほうそうで高こう視聴しちょう率りつを獲得かくとくしたことから、新しんシリーズ化かを目指めざして提案ていあんされたものであり、後続こうぞく企画きかくとして『透明とうめい人間にんげん』や『植物しょくぶつ人間にんげん』なども予定よていされていた。

1974年ねん1月がつには、監督かんとくに福田ふくだ純じゅんを起用きようすることを前提ぜんていとして、掛かけ札さつ昌裕まさひろによって検討けんとう用よう台本だいほん『火焔かえん人間にんげん』が執筆しっぴつされたが、福田ふくだは同年どうねんに『ゴジラ対たいメカゴジラ』『エスパイ』などを手掛てがけていたため、実現じつげんには至いたらなかった。

『透明とうめい人間にんげん対たい火焔かえん人間にんげん』

1975年ねん5月がつに、掛かけ札さつ昌裕まさひろが検討けんとう用よう台本だいほんとして執筆しっぴつした作品さくひん。『戦慄せんりつ火焔かえん人間にんげん』の企画きかくを発展はってん・継承けいしょうしたものであり、透明とうめい人間にんげんの設定せっていも『透明とうめい人間にんげん』での設定せっていを踏襲とうしゅうしたものであった。

同年どうねん3月がつに『メカゴジラの逆襲ぎゃくしゅう』をもって終了しゅうりょうしたゴジラシリーズに替かわる特撮とくさつ映画えいがとして企画きかくされており、福田ふくだ純じゅんが共同きょうどう執筆しっぴつした改定かいてい稿こう台本だいほんを経へて、同年どうねん12月がつに東宝とうほうが発表はっぴょうした1976年ねんの企画きかくラインナップにも挙あがっていたが、『ゴジラの復活ふっかつ』『ネッシー』などの企画きかくと競合きょうごうし、実現じつげんには至いたらなかった。

参考さんこう文献ぶんけん

• 『東宝とうほう特撮とくさつ映画えいが全ぜん史し』監修かんしゅう 田中たなか友幸ともゆき、東宝とうほう出版しゅっぱん事業じぎょう室しつ、1983年ねん12月がつ10日とおか。ISBN 4-924609-00-5。 
• 『テレビマガジン特別とくべつ編集へんしゅう 誕生たんじょう40周年しゅうねん記念きねん ゴジラ大だい全集ぜんしゅう』構成こうせい・執筆しっぴつ:岩畠いわはた寿明としあき（エープロダクション）、赤井あかい政まさし尚なお、講談社こうだんしゃ、1994年ねん9月がつ1日にち。ISBN 4-06-178417-X。 
• 坂井さかい由人よしと、秋田あきた英夫ひでお『ゴジラ来襲らいしゅう!! 東宝とうほう特撮とくさつ映画えいが再さい入門にゅうもん』KKロングセラーズ〈ムックセレクト635〉、1998年ねん7月がつ25日にち。ISBN 4-8454-0592-X。 
• 『ゴジラ画が報ほう 東宝とうほう幻想げんそう映画えいが半はん世紀せいきの歩あゆみ』（第だい3版はん）竹たけ書房しょぼう、1999年ねん12月24日にち（原著げんちょ1993年ねん12月21日にち）。ISBN 4-8124-0581-5。 
• 『動画どうが王おう特別とくべつ編集へんしゅう ゴジラ大図おおず鑑あきら 東宝とうほう特撮とくさつ映画えいがの世界せかい』キネマ旬報社きねまじゅんぽうしゃ〈キネ旬しゅんムック〉、2000年ねん12月16日にち。ISBN 4-87376-558-7。 
• 『東宝とうほう特撮とくさつ映画えいが大だい全集ぜんしゅう』執筆しっぴつ：元山もとやま掌てのひら 松まつ野本のもと和弘かずひろ 浅井あさい和康かずやす 鈴木すずき宣せん孝こう 加藤かとうまさし、ヴィレッジブックス、2012年ねん9月がつ28日にち。ISBN 978-4-86491-013-2。 
• 『別冊べっさつ映画えいが秘宝ひほう オール東宝とうほう怪獣かいじゅう大だい図鑑ずかん』洋よう泉いずみ社しゃ〈洋よう泉いずみ社しゃMOOK〉、2014年ねん4月がつ27日にち。ISBN 978-4-8003-0362-2。 
• 『ゴジラの超ちょう常識じょうしき』[協力きょうりょく]東宝とうほう、双葉社ふたばしゃ、2016年ねん7月がつ24日にち（原著げんちょ2014年ねん7月がつ6日にち）。ISBN 978-4-575-31156-3。