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だいからす

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
だいからす
The Raven
ジョン・テニエル挿画(1858年) 大鴉の真夜中の訪問シーン
ジョン・テニエル挿画そうが(1858ねん
だいからす真夜中まよなか訪問ほうもんシーン
作者さくしゃ エドガー・アラン・ポー
くに アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく
言語げんご 英語えいご
ジャンル 物語ものがたり
発表はっぴょう形態けいたい 雑誌ざっし掲載けいさい
初出しょしゅつ情報じょうほう
初出しょしゅつ 『イブニング・ミラー』1845ねん1がつ29にち
刊本かんぽん情報じょうほう
収録しゅうろく 『The Poetical Works of Edgar Allan Poe: With Original Memoir』
出版しゅっぱんもと Sampson Low(ロンドン
出版しゅっぱん年月日ねんがっぴ 1858ねん
挿絵さしえ ジョン・テニエル
日本語にほんごやく
訳者やくしゃ 佐藤さとう一英いちえい
ウィキポータル 文学ぶんがく ポータル 書物しょもつ
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だいからす』(おおがらす、The Raven)は、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく作家さっかエドガー・アラン・ポー1845ねん1がつ29にち発表はっぴょうした物語ものがたり。その音楽おんがくせい様式ようしきされた言葉ことばちょう自然しぜんてき雰囲気ふんいき名高なだかい。しんみだれる主人公しゅじんこうかた)のもとに、人間にんげん言葉ことばしゃべだいからすなぞめいた訪問ほうもんをし、主人公しゅじんこうはひたひたと狂気きょうきおちいっていくというすじである。学生がくせいであろうと指摘してきされることのおお主人公しゅじんこう[1][2]恋人こいびとレノーアをうしなってなげかなしんでいる。だいからすはパラス(アテーナー)の胸像きょうぞううえまり、「Nevermore(二度にどとない)」という言葉ことばかえし、主人公しゅじんこう悲嘆ひたんをさらにつのらせる。なかいたるところに、ポーは伝承でんしょう様々さまざま古典こてん隠喩いんゆおこなっている。

ポーは『だいからす』はきわめて論理ろんりてきかつ整然せいぜんかれたものだとべている。よく1846ねん発表はっぴょうしたエッセイ『構成こうせい原理げんり』(en:The Philosophy of Composition)のなかで、ポーは、批評ひひょう一般いっぱん読者どくしゃ両方りょうほう嗜好しこううったえることのできるつくることを意図いとしたと解説かいせつした。このチャールズ・ディケンズ小説しょうせつバーナビー・ラッジ』にてくる人間にんげん言葉ことばしゃべだいからす一部いちぶ着想ちゃくそうあたえられたのではないかとわれている[3]。その複雑ふくざつ韻律いんりつ(rhythm および meter)は、エリザベス・バレット・ブラウニング『Lady Geraldine's Courtship』から借用しゃくようしたものである。

「イブニング・ミラー」en:New York Mirror)に掲載けいさいされた『だいからす』のため、ポーはまたたくまに有名ゆうめいになった。『だいからす』はすぐに各紙かくしさい掲載けいさいされ、挿絵さしえもつき、パロディもまれた。その価値かちについては異議いぎとなえる批評ひひょうもいるものの、これまでかれた有名ゆうめいの1つであることにわりはない[4]

あらすじ

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Once upon a midnight dreary, while I pondered, weak and weary,
Over many a quaint and curious volume of forgotten lore,
While I nodded, nearly napping, suddenly there came a tapping,
As of some one gently rapping, rapping at my chamber door.
"'Tis some visitor," I muttered, "tapping at my chamber door —
Only this, and nothing more."

ギュスターヴ・ドレ挿画そうが(1884ねん
「Not the least obeisance made he」

だいからす』の冒頭ぼうとう名前なまえのない主人公しゅじんこう恋人こいびとレノーアをうしなったことをわすれようと、わすれられたふる伝説でんせつすわってんでいる。そこに部屋へやとびらたたおとがする。とびらひらくがだれもいない。主人公しゅじんこうたましい刺激しげきされてひりひりする。そこへ先程さきほどよりわずかにおおきなおとまどほうでする。調しらべにくとだいからす部屋へやなかはいってくる。だいからす主人公しゅじんこうにもとめず、パラスの胸像きょうぞううえ羽根はねやすめる。

主人公しゅじんこうだいからす重々おもおもしいさま面白おもしろくて、じゃれにだいからす名前なまえく。するとだいからすが「Nevermore(二度にどとない)」とこたえる。だいからすはそれ以上いじょうなにわないが、主人公しゅじんこうだいからすひと言葉ことばしゃべったことにおどろく。主人公しゅじんこうは、それまで友人ゆうじんたちが希望きぼう一緒いっしょってったように「とも」たるだいからす自分じぶん人生じんせいからまもなくとうとしているとつぶやく。するとだいからすはそれにこたえるかのように、ふたたび「Nevermore」とう。主人公しゅじんこうはその言葉ことばは、おそらくまえぬし不幸ふこうだったからおぼえたもので、だいからすはそれしかしゃべれないのだと確信かくしんする。

それでも主人公しゅじんこうはもっとはなしてみたいとおもい、だいからすほうき、しばらくなにわずにかんがえる。主人公しゅじんこうしんうしなわれた恋人こいびとレノーアのもとふたたもどってく。主人公しゅじんこう部屋へや空気くうきくなって、天使てんしがいるようにかんじる。主人公しゅじんこうはその連想れんそうはらてて、だいからすを「邪悪じゃあくなる存在そんざい」「予言よげんしゃ」とぶ。主人公しゅじんこうがわめきらすたびだいからすは「Nevermore」をかえす。最後さいご主人公しゅじんこうだいからすに、天国てんごくでレノーアと再会さいかいできるかをたずねる。だいからすがまたしても「Nevermore」(二度にどとない)とこたえると、主人公しゅじんこうさけごえをあげ、だいからす冥界めいかいきしもどるよう命令めいれいする。しかし、だいからすうごかない。おそらく主人公しゅじんこうがこのんでいるときにも(冒頭ぼうとう過去かこ回想かいそうのようにはじまる)、だいからすはパラスの胸像きょうぞううえにじっとしている。主人公しゅじんこう最後さいごだいからすかげしたたましいじこめられ「Nevermore」とさけことしかできなかった。

分析ぶんせき

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ポーは、アレゴリー(抽象ちゅうしょう具体ぐたいする技法ぎほうひとつ)を仕掛しかけたり、教訓きょうくんとしむことを意図いとてきにせずに、物語ものがたりたいとしてこのいた[2]。この主題しゅだいひとつの不滅ふめつ献身けんしんである[5]主人公しゅじんこうわすれたい欲求よっきゅうわすれたくない欲求よっきゅうとの狭間はざま天邪鬼あまのじゃく体験たいけんをする。主人公しゅじんこううしなったことにかんがえをしぼることで、幾分いくぶんよろこびをたようにえる[6]主人公しゅじんこうは「Nevermore」がだいからす唯一ゆいいつしゃべれる言葉ことばであるとわかり、こたえをりながらも、質問しつもんつづける。主人公しゅじんこう質問しつもん故意こい卑下ひげしたものであり、うしなった感情かんじょうをよりつよくするものである[7]。ポーはだいからす実際じっさい主人公しゅじんこううことを理解りかいしているのか、主人公しゅじんこうなんらかの反応はんのうこさせる意図いとがあるのかについて、曖昧あいまいにしている[8]主人公しゅじんこうだいからすかえしNevermoreといわれつづけるなかで、精神せいしん崩壊ほうかいし、つかれ、かなしみ、うちひしがれ、最後さいごには発狂はっきょうする[9]

暗喩あんゆ

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だいからすまりにするパラス・アテーナーの胸像きょうぞう知恵ちえ女神めがみであることは、主人公しゅじんこう学生がくせいであることを意味いみしている
ワタリガラス(実在じつざいするだいからす)は、北欧ほくおう神話しんわ旧約きゅうやく聖書せいしょ太平洋たいへいようきしカナダから南東なんとうアラスカにかけての先住民せんじゅうみん昔話むかしばなし神話しんわと、そのストーリーがられたトーテムポール登場とうじょうする。
だいからす(ワタリガラス)の分布ぶんぷ:ヨーロッパやアメリカでひろられる。日本にっぽんではわたどりとして、北海道ほっかいどう一部いちぶ飛来ひらいする。

主人公しゅじんこう学生がくせいのようだ

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ポーは主人公しゅじんこうわか学生がくせいだとっている[10]。『だいからす』のなか具体ぐたいてきにそう叙述じょじゅつされているわけではなく『構成こうせい原理げんり』のなかでそうっているのだが、それは主人公しゅじんこうんでいるほんふる伝説でんせつ)や、だいからすまりにするパラス・アテーナーの胸像きょうぞうでも暗示あんじされている[1]

だいからすというとり

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だいからすは、実在じつざいするワタリガラスというカラス一種いっしゅで、北半球きたはんきゅう高緯度こういど地域ちいき分布ぶんぷする。ふるくからヨーロッパじんはこのとりえがいており、北欧ほくおう神話しんわなどにも登場とうじょうする。また、きたアメリカ太平洋たいへいよう北西ほくせい沿岸えんがん(カナダ太平洋たいへいようがん南東なんとうアラスカ)の先住民せんじゅうみん昔話むかしばなし神話しんわおお登場とうじょうし、トーテムポール主要しゅようモチーフになっている。

主人公しゅじんこうは、ふる伝説でんせつほんんでいるとかんがえられる。ポーの短編たんぺん『リジイア』(en:Ligeia)に暗示あんじされている研究けんきゅうおなじく、オカルトくろ魔術まじゅつ関係かんけいするものをふくんでいるかもれない。それはポーが『だいからす』の舞台ぶたいを、暗黒あんこくちからがとくに活発かっぱつだとわれる12月に設定せっていしていることにもあらわれているとかんがえ、悪魔あくまとりわれるだいからす使つかったのもまたその暗示あんじであるとの説明せつめいがされることがある[11]悪魔あくまのイメージは主人公しゅじんこうだいからすよる冥界めいかいきしからきた存在そんざい、つまり、死後しご世界せかいからの使者ししゃローマ神話しんわ冥界めいかいかみ[6]プルートーギリシア神話しんわではハーデース)のものとしんじていることでも強調きょうちょうされている[6]

ポー自身じしんは、だいからすは「死者ししゃいたむ、わりなき追憶ついおく」を象徴しょうちょうしているとったとされる[12]。ポーが物語ものがたり象徴しょうちょうとしてだいからすえらんだのは、しゃべることが出来できないものしゃべらせる不合理ふごうりによって、この明暗めいあん強調きょうちょうする効果こうか期待きたいしたためとされる[13]。ポーがチャールズ・ディケンズの『バーナビー・ラッジ』にてくるグリップとづけられただいからす着想ちゃくそうたとかんがえるものもいる[14]実際じっさい『バーナビー・ラッジ』のある場面ばめんはポーの『だいからす』とそっくりであり『バーナビー・ラッジ』のだい5しょう最後さいごで、だいからすグリップはさわがしいおとてる。だれかが「あれはなにだ。ドアをたたくのはかれ?」とうと「あれは鎧戸よろいどしずかにたただれか」というこたえがかえってくるという描写びょうしゃがある。[15] 。ディケンズのだいからすはたくさんの言葉ことばしゃべることができ、シャンパンのコルクせんをポンとらしたりと、滑稽こっけい役割やくわりになっているが、一方いっぽうでポーのえがいただいからすは、より単純たんじゅん演出えんしゅつとしての性格せいかくつよい。ポーは以前いぜん「グレアムズ・マガジン」に『バーナビー・ラッジ』の書評しょひょういたことがあって、そのなかで、だいからすはもっと象徴しょうちょうてき予言よげんしゃてき目的もくてきのためにつかえているはずだ、といている[16]。ポーの『だいからす』とディケンズの『バーナビー・ラッジ』の類似るいじせいはしばしば注目ちゅうもくされ、たとえばジェームズ・ラッセル・ローウェル(en:James Russell Lowell)は『A Fable for Critics』のなかつぎのようないている。「ポーがやってきた、れてきたのはだいからす、『バーナビー・ラッジ』そっくりだ。3/5はかれ天才てんさい、2/5はまったくのでっちげ」[17]

ポーは神話しんわ伝承でんしょうてくる、さまざまなだいからすへの言及げんきゅう活用かつようしたとの説明せつめいもされる。北欧ほくおう神話しんわ主神しゅしんオーディンは「思考しこう」と「記憶きおく」を意味いみするフギンとムニンという名前なまえの2だいからすっているし[18]旧約きゅうやく聖書せいしょの『創世そうせい』のなかではだいからす凶兆きょうちょうとりしんじられている[13]ヘブライ伝承でんしょうによると、だい洪水こうずいのがれたノアは、ノアの方舟はこぶねから洪水こうずい状況じょうきょう調しらべるためにしろだいからすばしたが、らせをってすぐにかえってこなかった。そのため、ばちとしてだいからすからだくろえられ、永遠えいえん腐肉ふにくべるにさせられた。オウィディウスの『変身へんしん物語ものがたり』でも、だいからす最初さいしょしろかったが、アポローンばっせられてくろえられる。その理由りゆうは、恋人こいびと不貞ふていのメッセージをとどけたからである。ポーの『だいからす』における使者ししゃ役割やくわりはそうした物語ものがたりからつくられたのだろうという説明せつめいがされる[18]

ギリヤドの香油こうゆ

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ポーはさらに、聖書せいしょの『エレミヤしょ』にてくる「ギリヤドの香油こうゆ」(en:Balsam of Mecca[注釈ちゅうしゃく 1]についても言及げんきゅうしている。「ここにはギリヤドの香油こうゆはないのか?」と主人公しゅじんこうだいからすく。ギリヤドの香油こうゆ医療いりょう目的もくてき使つかわれる天然てんねん樹脂じゅしで、もしかすると、主人公しゅじんこうがレノーアをうしなったことからいやしをもとめていることを暗示あんじしているのかもれない。主人公しゅじんこうがレノーアが天国てんごくされたかどうかをくところでは、「Aidenn」(エデンのえん=Garden of Edenの別名べつめい)について言及げんきゅうしたり、べつ箇所かしょでは、主人公しゅじんこうおき天使てんし部屋へやはいってきたと空想くうそうしたりする。主人公しゅじんこうおき天使てんしたちが、ホメーロスの『オデュッセイア』にてくるわすやくネペンテス(かなしみや苦痛くつうわすれさせる)を自分じぶん使つかわせることで、レノーアの記憶きおくはらおうとしているのだとかんがえられる。

構造こうぞう

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だいからす』は各々おのおの6ぎょうの18のスタンザぶしれん)からできている。韻律いんりつ強弱きょうじゃくはちかく(trochaic octameter)である。これは、アクセントのつよ音節おんせつつぎにアクセントのよわおとがくるトロカイオス強弱きょうじゃくかく)という韻脚いんきゃくを1単位たんいとして、それを8つかさねたものが1ぎょうになるというものである。だい1ぎょう説明せつめいするとつぎのようになる(太字ふとじつよいきおい、「/」は韻脚いんきゃく区切くぎり)。

  • Once up- / on a / mid-night / drear-y, / while I / pon-dered / weak and / wear-y

しかしポーは『だいからす』は完全かんぜんはちかく不完全ふかんぜんななかく不完全ふかんぜんよんかくわせだと主張しゅちょうした[10]押韻おういん構成こうせいはABCBBBで、中間なかまいん(en:Internal rhyme)(具体ぐたいてきにこのでは「dreary」と「weary」。「Once upon」と「while I pon-」)と頭韻とういんほう(「Doubting, dreaming dreams...」)の使用しよう重厚じゅうこうさをもたらしている[19]。20世紀せいきのアメリカの詩人しじんダニエル・ホフマン(en:Daniel Hoffman)は、『だいからす』の構成こうせい韻律いんりつ大変たいへんもんがた不自然ふしぜんなものであるが、その催眠さいみんじゅつてき特質とくしつはそれを凌駕りょうがしていると示唆しさしている[20]

ポーは、エリザベス・バレット・ブラウニングの『Lady Geraldine's Courtship』の複雑ふくざつ押韻おういん韻律いんりつ(リズム)を『だいからす』の基本きほんとした。ポーは『ブロードウェイ・ジャーナル』(en:Broadway Journal1845ねん1がつごうにバレットの作品さくひんひょういていて、そこで「彼女かのじょ詩的してき霊感れいかんはとても高度こうどだ……我々われわれ威厳いげんかんじる以外いがいなにかんがえられない。彼女かのじょ美的びてき感覚かんかくはそれ自体じたいなか純粋じゅんすいだ」といている。さらに『Lady Geraldine's Courtship』についても「わたしはこれまで、これほど激烈げきれつ熱情ねつじょうと、これほど繊細せんさいなイマジネーションをむすびつけたんだことがない」といている[21]

出版しゅっぱん歴史れきし

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エドゥアール・マネ挿画そうが

ポーは最初さいしょだいからす』を、友人ゆうじんでありもとやとぬしでもあるフィラデルフィアの「グレアムズ・マガジン」のジョージ・レックス・グレアム(en:George Rex Graham)のところにんだ。その完成かんせいばんではなかった可能かのうせいもあるが、グレアムは掲載けいさいことわった。しかし、慈善じぜんとしてポーに15ドルわたしてくれた[22]。それからポーはのところにもうと、『ザ・アメリカン・レヴュー』en:American Review: A Whig Journal)にみ、9ドルでれた[23]。『ザ・アメリカン・レヴュー』は1845ねん2がつにそれを出版しゅっぱんするのだが、そのまえに「事前じぜん見本みほん」として『イブニング・ミラー』の1845ねん1がつ29にちばん掲載けいさいされたのが『だいからす』の初出しょしゅつである[10]つづいて、『だいからす』はアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくちゅう定期ていき刊行かんこうぶつ次々つぎつぎ掲載けいさいされた。1845ねん2がつ4にちに『ニューヨーク・トリビューン』en:New York Tribune)、2がつ8にちに『ブロードウェイ・ジャーナル』だい1ごう3月11にちに『南方なんぽう文学ぶんがく新報しんぽうen:Southern Literary Messengerだい11ごう12月2にちに『リテラリー・エンポリウム』だい2ごうよく1846ねん7がつ25にちに『サタデイ・クーリエ』1849ねん9月25にちに『リッチモンド・イグザミナー』、などである[24]

図版ずはん

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のち出版しゅっぱんされた『だいからす』には、有名ゆうめいイラストレーターによる挿画そうががついた。とくに有名ゆうめいなのが、1858ねんにイギリスでされたポーのアンソロジー『The Poetical Works of Edgar Allan Poe: With Original Memoir』(ロンドン、Sampson Low)で、挿画そうがえがいたのは『不思議ふしぎくにのアリス』の挿絵さしえ担当たんとうしたジョン・テニエルであった。1884ねんにはギュスターヴ・ドレ贅沢ぜいたく木版もくはん挿画そうがとした『だいからす』が出版しゅっぱんされた(ニューヨーク、Harper & Brothers)。しかしドレはそのほん出版しゅっぱんされるまえくなってしまった[25]1875ねんには英語えいごフランス語ふらんすご対訳たいやくフランスはん出版しゅっぱんされた。リトグラフ担当たんとうしたのは有名ゆうめい印象派いんしょうはエドゥアール・マネで、翻訳ほんやく象徴しょうちょうステファヌ・マラルメだった[26]。また、『だいからす』をもとにした美術びじゅつ作品さくひんを、おおくの20世紀せいき美術家びじゅつかどう時代じだいのイラストレーターが制作せいさくした。そのなかには、エドマンド・デュラックイシュトバーン・オロスen:István Orosz[27]オディロン・ルドン、ゲイアン・ウィルソン(en:Gahan Wilson)などがいる。

構成こうせい

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ポーがどのくらいの期間きかんで『だいからす』を執筆しっぴつしたかはわかっていない。ポー自身じしんは『だいからす』の成功せいこうけて、エッセイ『構成こうせい原理げんり』を発表はっぴょうし、同書どうしょなか創造そうぞうする過程かてい詳細しょうさいかたっている。その著述ちょじゅつ詳細しょうさい誇張こちょうされている可能かのうせいもあるが、ポーの文学ぶんがく理論りろんるのに役立やくだ[28]。ポーは『だいからす』のすべての構成こうせい要素ようそ背景はいけい筋道すじみちとおった理論りろんがあると説明せつめいしている。だいからす部屋へやはいってきた理由りゆうあらしけるためという筋書すじがきがあり(「寒々さむざむとした12月のわびしい真夜中まよなか」とある)、青白あおじろ胸像きょうぞうまっている理由りゆうは、とりくろさと視覚しかくてき対照たいしょうすためという意図いとがある、というように。『だいからす』には偶然ぐうぜんでできたところはひとつもなく、著者ちょしゃかんがえによって全体ぜんたい制御せいぎょされたものだとポーは主張しゅちょうしている[29]。「Nevermore」という言葉ことばは、ちょう母音ぼいん効果こうかてきだから使つかったと説明せつめいしている。

一方いっぽう、ポー以外いがい人物じんぶつによる『だいからす』の構成こうせい説明せつめいおこなわれている。ポーが「Nevermore」という言葉ことば使つかったのはバイロンきょうヘンリー・ワズワース・ロングフェロー作品さくひん影響えいきょうされたためという指摘してきがある。[30]ポーは『だいからす以前いぜんにも、おおくの長音ちょうおんの「o」のひびきをかすこころみをしており、たとえば『沈黙ちんもく』(1839ねんen:Poems by Edgar Allan Poe#Silence (1839))で使つかった「no more」や『The Conqueror Worm』(1843ねんen:The Conqueror Worm)で使つかった「evermore」がある[1]。 また、ポーは、『だいからす』のテーマを「、とくにうつくしい女性じょせいうたがいようもなく世界せかいもっと詩的してきなテーマである」という理由りゆうからえらび、「さきだった恋人こいびとくちびる(the lips... of a bereaved lover)」にわせたことは、ポーののぞんだ効果こうかてきしたためであると説明せつめいされることがある[2]。ポーの主張しゅちょうした詩論しろんはもっともらしいが、登場とうじょう人物じんぶつレノーアは、ポーのじつ人生じんせいにおいて、ははエリザ(en:Eliza Poe)が早世そうせいしたことや、つまヴァージニア(en:Virginia Eliza Clemm Poe)がなが病気びょうきわずらっていたことから影響えいきょうけているのかもしれない[6]

ポーは『だいからす』を「一般いっぱん読者どくしゃ批評ひひょう双方そうほう嗜好しこう同時どうじう」、つまり大衆たいしゅう文学ぶんがくかい両方りょうほうれられるこころみだとなしている[2]1843ねんニューヨークサラトガで、ポーは結末けつまつことなる初期しょきはんおもわれる『だいからす』を朗読ろうどくしている[3]初期しょき草稿そうこうではだいからすではなくフクロウだったというせつもある[31]

評価ひょうか衝撃しょうげき

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だいからす』はエドガー・アラン・ポーの名声めいせいたかめた[32]人々ひとびと詩人しじん同一どういつし、ポーに「だいからす」というニックネームをつけ[33]、『だいからす』はすぐに各紙かくし転載てんさいされ、模倣もほうパロディのネタとなった[32]。ポーは当時とうじ大変たいへん人気にんきだったが、かといって、それによってポーが莫大ばくだい収入しゅうにゅうたわけではなかった[34]

「ニュー・ワールド」には「だれもが『だいからす』をみ、これを賞賛しょうさんする。もっともなことだ。おもうに、独創どくそうせいちからちているようにえるからだろう」とかれた。「ザ・フィラデルフィア・インクワイラー」en:The Philadelphia Inquirer)は『だいからす』を掲載けいさいするにあたって「うつくしい」という見出みだしをつけた[4]。エリザベス・ブラウニングはポーにこういている。「あなたの『だいからす』はこちらイングランドで、戦慄せんりつとよべるだい評判ひょうばんをもたらしました。友人ゆうじんたちのうちの何人なんにんかは恐怖きょうふに、何人なんにんかはひびきのとりこになりました。「Nevermore」という言葉ことばかれたというひとはなしいています」[35]。ポーの人気にんきたかまり、公衆こうしゅうやプライベートな社交しゃこうあつまりでの『だいからす』の朗読ろうどく講演こうえんもとめられた。ある文学ぶんがくサロンでは1人ひとりきゃくが、「(ポーによる)『だいからす』の朗読ろうどくかえくことは……人生じんせいにおける一大いちだい事件じけんである」とべた[36]。この人物じんぶつのちつぎのように回顧かいこしている。「かれ部屋へやがすっかりくらくなるまでランプのよわめた。それから、アパートメントの中央ちゅうおうって朗唱ろうしょうした、とても旋律せんりつてきこえで。ポーの朗読ろうどくおよぼすちからおどろくべきもので、魔法まほう呪文じゅもんやぶられないよう聴衆ちょうしゅういきをするのをひかえるほどだった」[37]

パロディがまれたのはとくにボストン、ニューヨーク、フィラデルフィアだった。ポーならぬPoh!さくだいからす』や、だいからすならぬ『七面鳥しちめんちょう』、『ヨタカ』、『ガゼル』などである[33]弁護士べんごしアンドリュー・ジョンストンは『ケナガイタチ』というパロディに関心かんしんち、それをエイブラハム・リンカーンおくった。リンカーンはそれをんでわらったことはみとめているが、『だいからす』はそれまでんだことがなかった[38]

作家さっかでは、ウィリアム・ギルモア・シムズ(en:William Gilmore Simms)とマーガレット・フラーが『だいからす』を絶賛ぜっさんした[39]が、ウィリアム・バトラー・イェイツ公然こうぜんつぎのように非難ひなんした。「不誠実ふせいじつあく趣味しゅみ……その出来映できばえは韻律いんりつのトリック」[2]。さらに超絶ちょうぜつ主義しゅぎen:Transcendentalism)のラルフ・ウォルドー・エマーソンは「わたしにはこのなん意味いみもない」とった[40]

1848ねん1がつに「Southern Quarterly Review」かれた批評ひひょうは、『だいからす』は「荒涼こうりょうとしたとめどない浪費ろうひ」によって台無だいなしで、ドアをたたおとやひるがえるカーテンなどの些細ささい仕掛しかけに感動かんどうするのは、せいぜい「つまらない怪談かいだんばなしをとてつもなくこわがる子供こども」ぐらいだろうと酷評こくひょうしている[41]。「イブニング・ミラー」匿名とくめい記者きしゃOutisだれでもない、という意味いみ)は、『だいからす』は無名むめい著者ちょしゃによる『The Bird of the Dream』という盗作とうさくだと示唆しさした。その証拠しょうことして、Outisは2つのあいだの18カ所かしょ類似るいじてんげ、ヘンリー・ワズワース・ロングフェローにたいする、ポーの盗作とうさく非難ひなんへの返答へんとうだとした。このOutisは、ポー本人ほんにんでないとしたら、コーネリアス・コンウェイ・フェルトン(en:Cornelius Conway Felton)だとわれている[42] 。ポーの死後しご友人ゆうじんのトーマス・ホリー・シヴァース(en:Thomas Holley Chivers)は『だいからす』がシヴァースのの1へん盗作とうさくしたものだとった[43]

だいからす』は現代げんだいおおくの作品さくひん影響えいきょうあたえている。そのなかには、ウラジーミル・ナボコフロリータ』(1955ねん)、バーナード・マラマッド『ユダヤとり』(1963ねん)、レイ・ブラッドベリ親爺おやじさんのいの鸚鵡おうむ』(1976ねん)などがある[44]

日本語にほんごやく

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ポピュラー・カルチャーのなかの『だいからす

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刊行かんこうぶつ

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  • MADでは、だい9ごう(1954ねん、3がつ)に、ウィル・エルダー(en:Will Elder)のふざけた挿画そうがつきで『だいからす』が掲載けいさいされた[注釈ちゅうしゃく 2]ほかにも、『We're Still Using That Greasy MAD Stuff 』に『ザ・スパニエル(The Spaniel)』(1959ねん)、フランク・ジェーコブスの『ザ・レーガン(The Reagan)』があり、最近さいきんのものではホラー映画えいがのパロディのために『だいからす』が使つかわれた(「Quoth Wes Craven, let's make more!(ウェス・クレイヴンった、もっとつくろう!)」。「Quoth the Raven "Nevermore"(だいからすった、Nevermore)」をもじっている)。
  • ジョルジュ・ペレック小説しょうせつ『A Void』(1969ねんen:A Void)のなかで、「E」のいてフランス語ふらんすごで『だいからす』をくというConstrained writing(en:Constrained writing)をやり(ギルバート・アデア(en:Gilbert Adair)はそのやりかた踏襲とうしゅうして英訳えいやくした)、その作者さくしゃをアーサー・ゴードン・ピムということにした(『黄金虫こがねむし』『ナンタケットとう出身しゅっしんのアーサー・ゴードン・ピムの物語ものがたり参照さんしょう)。
  • 数学すうがくしゃのマイク・キース(en:Mike Keith (mathematician))も3つのconstrained writingで『だいからす』を言及げんきゅうした。『Near a Raven』(1995ねん)は円周えんしゅうりつ(Pi)の最初さいしょの740けた符合ふごうするながさのかたりで『だいからす』をつくなおしている。『Cadaeic Cadenza』(en:Cadaeic Cadenza)は『Near a Raven』を3834けたまでながくしたものである。『"Raven-Two』(1999ねん)はオリジナルの詩的してきアナグラムである。
  • テリー・プラチェットの『ディスクワールド』シリーズ(en:Discworld)の『ソウル・ミュージック』と『Hogfather(ホグファーザー)』に、死神しにがみ関連かんれんしたQuothという名前なまえだいからす登場とうじょうする。
  • ジョーン・エイケン小説しょうせつ『かってなカラスおおてがら』(1972ねん)をはじめとした『アラベルとモーチマー』シリーズで、少女しょうじょアラベルはモーチマーというだいからすをペットにしている。モーチマーはしょっちゅう「Nevermore!」とっている。なおエイキンは1972ねんにエドガー・アラン・ポーしょう(エドガーしょうen:Edgar Award)を受賞じゅしょうしている。
  • スティーヴン・キング不眠症ふみんしょう』(1994ねんen:Insomnia (novel))のなかで、凶兆きょうちょうをポーのだいからす比較ひかくする。ピーター・ストラウブとの共著きょうちょ『ブラック・ハウス』(en:Black House (novel))でもポーのだいからす彷彿ほうふつとさせる人間にんげん言葉ことばしゃべるカラスが登場とうじょうする[45]。ちなみにこの小説しょうせつだい3しょうのタイトルは「Night's Plutonian Shore」(てくる「よる冥界めいかいきし」)である。
  • ロビン・ジャービス(en:Robin Jarvis)の『Tales from the Wyrd Museum』さんさく登場とうじょうする2だいからすThought(思考しこう)とMemory(記憶きおく)のうち、Memoryは時々ときどき「Nevermore」とう。
  • レモニー・スニケットの『にも不幸ふこうなできごと』シリーズの『鼻持はなもちならないむら』(2001ねん)のなかで、むら中央ちゅうおうにあるカラスがいっぱいの名前なまえは「Nevermore Tree」という。
  • アガサ・クリスティの「殺人さつじん容易ようい」の冒頭ぼうとうで、主人公しゅじんこうポーターとの口論こうろんにおいて、「ルバイヤート」の英文えいぶんやくともに、衒学げんがくてき引用いんようしている。
  • ニール・ゲイマン小説しょうせつ『アメリカン・ゴッズ』(2001ねんen:American Gods)で主人公しゅじんこうがオーディンからの伝言でんごんつたえにだいからすかって、「よお、フギンだかムニン(北欧ほくおう神話しんわでのオーディンのだいからす名前なまえ)だからないが、Nevermoreってってみな」とうと、だいからすこたえる。「Fuck you」[46]。また漫画まんがの『サンドマン』シリーズではマシューというだいからす登場とうじょうする。このだいからすはロジャー・コーマンの映画えいが忍者にんじゃ悪女あくじょ』(後述こうじゅつ)でピーター・ローレ共演きょうえんしたとい、つばさをはばたかせて、「Nevermore!」とさけぶ。
  • ホリー・ブラック(en:Holly Black)は小説しょうせつ『Valiant : A Modern Tale of Faerie』(2005ねんen:Valiant : A Modern Tale of Faerie)のなかで『だいからす』を引用いんようしている。
  • ジャスパー・フォード小説しょうせつ文学ぶんがく刑事けいじサーズデイ・ネクスト2 - さらば、だいからす』で、主人公しゅじんこうサーズデイ・ネクストは『だいからす』のなかじこめられたジャック・シフトの救出きゅうしゅつたのまれる。

映画えいが

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  • 1915ねん無声むせい映画えいが『The Raven』(en:The Raven (1915 film))は、ポーの幻覚げんかくというはなしえられている。虚実きょじつないまぜで、ヘンリー・B・ウォルソール(en:Henry B. Walthall)がポーやくえんじた。
  • 1935ねんのトーキー映画えいがだいからす』は、ポーを愛好あいこうする異常いじょう医学いがく博士はかせベラ・ルゴシ)が脱走だっそうはんボリス・カーロフ)のかおみにく改造かいぞうしたうえ手下てしたにして、屋敷やしきあつめた人々ひとびと拷問ごうもんにかける(なかにはポーの「あな」を実体じったいしたものもある)というホラー映画えいがである。
  • 1942ねんフライシャー・スタジオが『だいからす』を原作げんさくとしたテクニカラーアニメーション製作せいさくしたが、ストーリーはお気楽きらくなコメディにえられた。
  • ロジャー・コーマン監督かんとくの『忍者にんじゃ悪女あくじょ』(en:The Raven (1963 film))は『だいからす』が原作げんさくである。
  • ティム・バートン短編たんぺんストップモーション・アニメーション『ヴィンセント』(en:Vincent (film))の主人公しゅじんこうヴィンセント・マロイは「きな作家さっかはエドガー・アラン・ポー」という人物じんぶつである。ラスト、んだようによこたわるヴィンセントは『だいからす』の最後さいご対句ついく引用いんようする。バートンは、1989ねんの『バットマン』でも、ジョーカー(ジャック・ニコルソン)に『だいからす』を引用いんようさせている。
  • ハネス・ラール(Hannes Rall)は『だいからす』のドイツ語どいつごばん短編たんぺんアニメーション『Der Rabe』(1998ねん)を監督かんとくした。
  • ティニエブラス・ゴンザレス(Tinieblas González)監督かんとく短編たんぺん『The Raven... Nevermore』(1999ねん)はスペイン映画えいがだが、台詞せりふ英語えいごである。
  • ピーター・ブラッドリー監督かんとく、Trilobite Picturesの『The Raven』。(外部がいぶリンク参照さんしょう
  • 1994ねん映画えいがクロウ 飛翔ひしょう伝説でんせつ』で、ブランドン・リーえんじる悲劇ひげき主人公しゅじんこうエリックは、『だいからす』に言及げんきゅうしている。「突然とつぜんたたおとこえたんだ。だれかがやさしくトントンと、ぼく部屋へやのドアをノックした。ぼくたたくのをいたって本当ほんとう? 」。
  • 1994ねん映画えいがページマスター』でマコーレー・カルキンふんするリチャードがジキル博士はかせとハイドかんはいときだいからすあらわれて、「Nevermore」とがなりたてる。
  • 2006ねんの『Nightmares from the Mind of Poe』(en:Nightmares from the Mind of Poe)は、『だいからす』にくわえて、ポーの短編たんぺん小説しょうせつぐち心臓しんぞう』、『アモンティラードのたる』(en:The Cask of Amontillado)、『はやすぎた埋葬まいそう』の映画えいがである。


音楽おんがく

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  • シアトルヘヴィメタル・バンド、ネヴァーモアのバンドめいは『だいからす』の「Nevermore」からられている。
  • アラン・パーソンズ・プロジェクトのアルバム『怪奇かいき幻想げんそう世界せかい~エドガー・アラン・ポーの世界せかい』(1976ねん)には、『だいからす』にもとづいた同名どうめいきょくがある。
  • グレイトフル・デッドは1982ねん4がつ19にちに『だいからす』の音楽おんがくばん演奏えんそうした。
  • ブラックメタル・バンド、カーペイシアン・フォレスト(en:Carpathian Forest)のEP『Through Chasm, Caves and Titan Woods』(1995ねんen:Through Chasm, Caves and Titan Woods)に『だいからす』の使つかった『The Eclipse / The Raven』というきょく収録しゅうろくされている。
  • ルー・リードの2003ねんのアルバム『ザ・レイヴン』(en:The Raven (Lou Reed album))はポーの作品さくひんもとづいたもので、『だいからす』というきょくはいっている(俳優はいゆうウィレム・デフォーがゲスト参加さんか)。
  • ラッパーのMC Lars(en:MC Lars)の『The Laptop EP』(en:The Laptop EP)に収録しゅうろくされている『Mr. Raven』には、『だいからす』のすうぎょうがそのまま引用いんようされている。
  • 日本にっぽんのポップ・スター宇多田うただヒカル英語えいごアルバム『EXODUS』(2004ねん)に収録しゅうろくされている『Kremlin Dusk』のだしに、『だいからす』が言及げんきゅうされ、ポー、レノーア、Nevermoreという言葉ことばてくる。
  • ドイツのブラックメタル・バンド、Agathodaimon(en:Agathodaimon (band))の1999ねんのアルバム『Higher Art of Rebellion』に収録しゅうろくされている『Les Posédes』のは、『だいからす』のパラフレーズである。
  • ドイツのシンフォニックメタル・バンド、キサンドリア(en:Xandria)の『Ravenheart』(同名どうめいのアルバムen:Ravenheart収録しゅうろく)で、『だいからす』が引用いんようされている。
  • アメリカのゴシック・ホラー・バンド、Nox Arcana(en:Nox Arcana)の2007ねんのアルバム『Shadow of the Raven』には、『Midnight Dreary』、『The Raven』、『Nevermore』というきょく収録しゅうろくされている。もちろんアルバムのタイトルからして『だいからす』を言及げんきゅうしたものである。
  • 細川ほそかわ俊夫としおさくだいからす-メゾソプラノと12の奏者そうしゃのためのモノドラマ』- 現代げんだい音楽おんがくアンサンブルのユナイテッド・インストゥルメンツ・オブ・ルシリンの委嘱いしょくにより作曲さっきょくされたもの。2012ねんブリュッセルで初演しょえん。コンサート形式けいしき、オペラ形式けいしき両方りょうほう演奏えんそう可能かのう

その

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  • アメリカの独白どくはくげき俳優はいゆうロード・バックリー(en:Lord Buckley)は1956ねんに『だいからす』のサイケデリック・ヴァージョンを録音ろくおんしている。
  • 計算けいさん科学かがくものガイ・スティール・ジュニア幽霊ゆうれいプロセスかれたハッカーについての『The HACTRN』というパロディをいた[47]
  • 1904ねん設立せつりつされたRaven Societyはバージニア大学だいがく学内がくないもっと権威けんいある優等ゆうとう学生がくせい団体だんたい(オナー・ソサエティ)である。(en:Raven SocietyならびにRaven Society参照さんしょう
  • プロレスラースコット・レビーのリングネーム「レイヴェン(Raven)」は『だいからす』からられたもので、インタビューで引用いんようすることもしばしばで、最後さいごかならず「……『だいからす』より……Nevermore……」でめくくる。
  • ポーはながあいだボルチモアんでいて、その埋葬まいそうされた。ボルチモアの人々ひとびと自分じぶんたちのNFLチームの名前なまえをつけるさい、ポーのにちなんで、ボルチモア・レイブンズ(Baltimore Ravens)という名前なまええらんだ[48]。チームのマスコットも3だいからすで、それぞれ「エドガー」「アラン」「ポー」という名前なまえである。2000ねん、レイブンズが記録きろくてきなディフェンスでだい35かいスーパーボウルせいしようとしたときESPN番組ばんぐみ『NFL Primetime』のスポーツキャスターであるクリス・バーマンは、そののチーム結果けっかのハイライトのあいだに「Quoth the Ravens, Never score!(レイブンスがいました、ネヴァースコア!)」という言葉ことば連呼れんこした。

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ en:wikisource:Bible_(King_James)/Jeremiah#8:22 ウィキソース『エレミアのしょ』8:22(英語えいご
  2. ^ en:File:Poe-Elder-Raven-Mad-1954.png

出典しゅってん

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参考さんこう文献ぶんけん

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外部がいぶリンク

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原文げんぶん

  • "The Raven" - Full text of the first printing, from the American Review, 1845
  • "The Raven" - Full text of the final authorized printing, from the Richmond Semi-Weekly Examiner, 1849

注釈ちゅうしゃく

図版ずはん

録音ろくおん

動画どうが