政府せいふ開発かいはつ援助えんじょ

政府せいふ開発かいはつ援助えんじょ（せいふかいはつえんじょ、英語えいご: Official Development Assistance, ODA）とは、発展はってん途上とじょう国こくの経済けいざい発展はってんや福祉ふくしの向上こうじょうのために先進せんしん工業こうぎょう国こくの政府せいふ及および政府せいふ機関きかんが発展はってん途上とじょう国こくに対たいして行おこなう援助えんじょや出資しゅっしのことである。

政府せいふ開発かいはつ援助えんじょ（ODA）のはじまり

世界せかい恐慌きょうこうによって進すすんだブロック経済けいざいによる長引ながびく不況ふきょうや、第だい二に次じ世界せかい大戦たいせんによって混乱こんらんした世界せかい経済けいざいの安定あんていのため、1944年ねんにブレトン・ウッズ体制たいせい（IMF体制たいせい）が確立かくりつした。そして、1945年ねん12月、戦後せんごの世界せかいの復興ふっこうと開発かいはつのため、国際こくさい通貨つうか基金ききん (IMF) と国際こくさい復興ふっこう開発かいはつ銀行ぎんこう（IBRD、通称つうしょう「世界銀行せかいぎんこう」）が設立せつりつされる。1947年ねん6月がつには、欧州おうしゅう復興ふっこう計画けいかく（マーシャル・プラン）の構想こうそうが発表はっぴょうされる。アメリカの支援しえんによって、ヨーロッパは目覚めざましい復興ふっこうを果はたす。

オリヴァー・フランクスによって指摘してきされた、先進せんしん国こくと発展はってん途上とじょう国こくの間あいだにある大おおきな経済けいざい格差かくさの問題もんだい（南北なんぼく問題もんだい）を発端ほったんに、途上とじょう国こく支援しえんのために1960年ねんに国際こくさい開発かいはつ協会きょうかい（IDA、通称つうしょうは第だい二に世銀せぎん）、1961年ねんに開発かいはつ援助えんじょ委員いいん会かい (DAC) と立たて続つづけに支援しえん体制たいせいが整ととのっていく。1961年ねん、アメリカのケネディ大統領だいとうりょうが国連こくれん総会そうかい演説えんぜつで、先進せんしん国こくの国民こくみん所得しょとくの1%の移転いてんと途上とじょう国こくの年率ねんりつ5%の成長せいちょうを目標もくひょうとした「開発かいはつの10年ねん」を提唱ていしょうする。

世界せかいのODAの概況がいきょう

2009年ねんの各国かっこくODA（米あめりかドル換算かんさん純じゅん額がく）

2009年ねんの各国かっこくODA（対たいGNI比ひ）

DAC（開発かいはつ援助えんじょ委員いいん会かい）諸国しょこくによるODAの実施じっし状じょう況きょうを純じゅん額がくベースでみると、長ながらくアメリカが世界せかいの1位いであったが、冷戦れいせんの終結しゅうけつを背景はいけいに、1989年ねんに日本にっぽんがアメリカを追おい抜ぬき、その後ごも1990年ねんを除のぞき、2000年ねんまでの10年間ねんかん、世界せかい最大さいだいの援助えんじょ国こくとなった。しかし、2001年ねんには再ふたたびアメリカが首位しゅいに立たち、2006年ねんにはイギリスが第だい2位いとなり、2007年ねんには、ドイツが第だい3位い、フランスが第だい4位いとなり、日本にっぽんは2009年ねんまで第だい5位いの位置いちにある。この間あいだ、日本にっぽんはODAの予算よさんを削減さくげんし続つづけたが、欧米おうべい諸国しょこくは「貧困ひんこんがテロの温床おんしょうになっている」との認識にんしきに基もとづき、ODAの予算よさんを増額ぞうがくさせてきている。

ただし、単純たんじゅんにODAの純じゅん額がくだけをもって国際こくさい社会しゃかいへの貢献こうけんが評価ひょうかされるわけではない。世界せかい開発かいはつセンター（CGD）のコミットメント指数しすうでは、ODAの対たいGNI比率ひりつに力点りきてんが置おかれている。この対たいGNI比率ひりつでみると、2009年ねんの第だい1位いはスウェーデンで1.12%。日本にっぽんは0.18%で第だい21位いである。日本にっぽんは純じゅん額がくベースで世界せかい第だい1位いであった頃ころも、対たいGNI比ひではDAC諸国しょこくの平均へいきん値ちを下回したまわっていた。OECDによる国際こくさい目標もくひょうでは、各国かっこくともGNI比ひで0.7%の数値すうちが掲かかげられている。

日本にっぽんのODAの概要がいよう

2019年ねん4月がつ10日とおかに、経済けいざい協力きょうりょく開発かいはつ機構きこう(OECD)が、OECD開発かいはつ援助えんじょ委員いいん会かい(DAC)に入はいっている29カ国かこくの暫定ざんてい値ちとして公表こうひょうしたところによれば、日本にっぽんの途上とじょう国こく援助えんじょ(ODA)の2018年ねん実績じっせきは、141億おく6707万まんドル（1兆ちょう5646億おく円えん）で世界せかい第だい4位い、国民こくみん総そう所得しょとく(GNI)に占しめるODAの割合わりあいは0.28パーセントで29カ国かこく中ちゅう第だい16位いであった。

2023年ねん4月がつ13日にちの外務省がいむしょうの発表はっぴょうによれば、2022年ねんの日本にっぽんの途上とじょう国こく援助えんじょ（ODA）の実績じっせき（暫定ざんてい値ち）は174億おく7533万まんドル（対たい前年ぜんねん比ひ0.9％減げん）で、減少げんしょうは円えん安やすが進すすんだため。円えんベースでは2兆ちょう2968億おく円えん（対たい前年ぜんねん比ひ18.7％増ぞう）。国くに別べつではOECD30カ国かこく中ちゅう、前年ぜんねんと同おなじく米国べいこく、ドイツに次つぐ3位い。国民こくみん総そう所得しょとく（GNI）に対たいする割合わりあいは、0.39%（対たい前年ぜんねん比ひ0.05ポイント増ぞう）で15位い。

二に国こく間あいだ援助えんじょ

先進せんしん国こく側がわが直接ちょくせつ、発展はってん途上とじょう国こくに有償ゆうしょう、もしくは無償むしょうの資金しきんなどを援助えんじょする。

• 有償ゆうしょう資金しきん協力きょうりょくは、二に国こく間あいだ援助えんじょのうち「政府せいふ貸付かしつけ」の一類いちるい型がたで、グラント・エレメント（贈与ぞうよ要素ようそ）が25%以上いじょうの貸付かしつけと定義付ていぎづけられている。グラント・エレメントとは、借款しゃっかん条件じょうけんの緩ゆるやかさ、い換いかえれば被ひ援助えんじょ国こくの負担ふたんの低ひくさを示しめす指数しすうで、金利きんりが低ひくく融資ゆうし期間きかんが長ながいほどグラント・エレメントの数値すうちは高たかくなる。（グラント・エレメントが100%だと「贈与ぞうよ」。） また円えんで貸かし付つけられることから、新聞しんぶんやテレビで円えん借款しゃっかんと報道ほうどうされることもあるが、円えん借款しゃっかんは「その他たの有償ゆうしょう資金しきん協力きょうりょく（投融資とうゆうし）」と共ともに有償ゆうしょう資金しきん協力きょうりょくを構成こうせいする一類いちるい型がたである。
• 無償むしょう資金しきん協力きょうりょくは、二に国こく間あいだ援助えんじょのうち「贈与ぞうよ」の一類いちるい型がたで、援助えんじょ相手あいて国こくに返済へんさいの義務ぎむが無ない。
• 技術ぎじゅつ協力きょうりょくは、二に国こく間あいだ援助えんじょのうち「贈与ぞうよ」の一類いちるい型がたで、人材じんざい育成いくせいと技術ぎじゅつ移転いてんなど将来しょうらいの国くにの根幹こんかんとなる労働ろうどう力りょく作づくりが目的もくてきとされている。研修けんしゅう員いん受うけ入いれ、専門せんもん家か派遣はけん、開発かいはつ調査ちょうさ、最新さいしん機材きざいの供与きょうよなどがされている。研修けんしゅう員いんの受うけ入いれが最もっとも多おおい。
• 「円えん借款しゃっかん等とうの有償ゆうしょう資金しきん協力きょうりょく」「一部いちぶの無償むしょう資金しきん協力きょうりょく」「技術ぎじゅつ協力きょうりょく」を担当たんとうする機関きかんは、国際こくさい協力きょうりょく機構きこう（JICA） である。
• 日本にっぽんが2国こく間あいだ援助えんじょの累積るいせき総額そうがくで、1番ばん援助えんじょしている国家こっかは中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこくであり、2007年度ねんど末まつまでに、円えん借款しゃっかん：約やく3兆ちょう3165億おく円えん、無償むしょう資金しきん協力きょうりょく：約やく1510億おく円えん、技術ぎじゅつ協力きょうりょく：約やく1638億おく円えんの資金しきん援助えんじょを行おこなっており、2007年度ねんどまでに日本にっぽんは中国ちゅうごくに多国たこく間あいだ援助えんじょと合あわせて約やく6兆ちょう円えんのODAを行おこなっていることになる。このような日本にっぽんのODAに対たいして、中国ちゅうごくの要人ようじんは感謝かんしゃの意いを表あらわしている。
  • 中国ちゅうごくの経済けいざい急速きゅうそく発展はってんを理由りゆうに、対たい中ちゅうODAのうち有償ゆうしょう資金しきん協力きょうりょくのうち円えん借款しゃっかんに限かぎり2008年ねんの北京ぺきんオリンピックを境さかいとして、両国りょうこく合意ごういの下したに打うち切きられた。2010年ねん12月18日にち、政府せいふ・与党よとう内ないにて対たい中ちゅう政府せいふ開発かいはつ援助えんじょに厳きびしい声こえが上あがっている中なか、中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく特命とくめい全権ぜんけん大使たいしの丹羽にわ宇一郎ういちろうは、中国ちゅうごくへの政府せいふ開発かいはつ援助えんじょを増額ぞうがくするよう外務省がいむしょう本省ほんしょうに意見いけん具申ぐしんしていたことが判明はんめいした。その理由りゆうの1つとして、丹羽にわは「対たい中ちゅうODAを打うち切きると、中国ちゅうごく側がわの批判ひはんを受うけることになる」と外務省がいむしょうに「警告けいこく」したとされる。しかし、2018年ねん10月23日にち、政府せいふは2018年ねんをもって中国ちゅうごくに対たいするODAを正式せいしきに打うち切きると発表はっぴょうした。日本にっぽんのGDPの倍ばい以上いじょうを達成たっせいした中国ちゅうごくの経済けいざい発展はってんが理由りゆうだという。
  • なお2003年度ねんど末まつにおける円えん借款しゃっかんに対たいする償還しょうかん額がくは、元利がんり計けいで約やく9401億おく円えん。
  • 有償ゆうしょう資金しきん協力きょうりょくの償還しょうかん額がくが高額こうがくとなる場合ばあいは、日本にっぽんの通年つうねん国こく別べつ支出ししゅつ純じゅん額がくが暫定ざんてい的てきにマイナス表示ひょうじとなる場合ばあいもある。2011年度ねんどの二に国こく間あいだ援助えんじょのうち、対たい中国ちゅうごくODAの実績じっせきは、技術ぎじゅつ協力きょうりょくを主おもとした無償むしょう資金しきん協力きょうりょくとしての贈与ぞうよが計けい3億おくドル、新規しんきの政府せいふ貸付かしつけ等とう（有償ゆうしょう資金しきん協力きょうりょく）が5億おく6千せん万まんドルとなり、同年どうねんの中国ちゅうごくへの二に国こく間あいだ政府せいふ開発かいはつ援助えんじょは計けい8億おく6千せん万まんドルである。しかし、日本にっぽんの通年つうねん国こく別べつ支出ししゅつ純じゅん額がくにおいては、同年どうねんの中国ちゅうごくに対たいする二に国こく間あいだ援助えんじょ額がくの合計ごうけい8億おく6千せん万まんドルから、過去かこの政府せいふ貸付かしつけの一部いちぶである13億おく4千せん万まんドルの償還しょうかん額がくを控除こうじょすると支出ししゅつ純じゅん額がくは計けい－（マイナス）4億おく8千せん万まんドルとなる。

多国たこく間あいだ援助えんじょ

日本にっぽんは国際こくさい連合れんごう世界せかい食糧しょくりょう計画けいかく (WFP)、国際こくさい連合れんごう開発かいはつ計画けいかく (UNDP)、国際こくさい連合れんごう児童じどう基金ききん (UNICEF)、世界銀行せかいぎんこう (IBRD)、アジア開発銀行あじあかいはつぎんこう (ADB) などの国際こくさい機関きかんに資金しきんを拠出きょしゅつして、多国たこく間あいだ援助えんじょを行おこなっている。

2015年ねんの政府せいふ開発かいはつ援助えんじょ大綱たいこう（ODA大綱たいこう）とOOF（Other Official Flows）

ODA大綱たいこうは、政府せいふ開発かいはつ援助えんじょ（ODA）に関かんする基本きほん理念りねんや重点じゅうてん事項じこうなどに関かんする政府せいふの指針ししんである。1992年ねんに宮澤みやざわ喜一きいち内閣ないかくが閣議かくぎ決定けっていし、第だい1次じ小泉こいずみ純一郎じゅんいちろう内閣ないかくが2003年ねん8月がつに改訂かいていし、さらに第だい3次じ安倍あべ内閣ないかくが2015年ねん2月がつに改訂かいていして、現在げんざいの大綱たいこうとなった。

最終さいしゅう版ばんでは、ODAとOOF (Other Official Flows、ODA以外いがいの公的こうてき資金しきん）との連携れんけいに関かんする事項じこうが追記ついきされた。ただし、OOFも公的こうてき資金しきんに基もとづく支援しえんであることには変かわりないと見みられる。

なお、軍事ぐんじ装備そうびに関かんする支援しえんは長年ながねんに渡わたってDAC国こくによるODA支援しえんの対象たいしょう外がいとされており、OECDはODA受取うけとり国こくに対たいして次つぎのことを伝つたえている。

Military aid: No military equipment or services are reportable as ODA. Anti-terrorism activities are also excluded. However, the cost of using donors’ armed forces to deliver humanitarian aid is eligible.

軍事ぐんじ援助えんじょ：いかなる軍事ぐんじ装備そうび・軍事ぐんじサービスもODAとして報告ほうこくすることはできない。反はんテロ活動かつどうも除外じょがいされる。ただし、人道じんどう援助えんじょの送達そうたつのために支援しえん供与きょうよ国こくの軍隊ぐんたいを使用しようする費用ひようは認みとめられる。

こうした規定きていがあるものの、2016年ねんには日本にっぽんからベニグノ・アキノ3世せい政権せいけん下かのフィリピンに対たいし自衛隊じえいたい機きが有償ゆうしょうで貸与たいよされた。

援助えんじょ実施じっしの原則げんそく

ODAが貧困ひんこんな発展はってん途上とじょう国こくであれば、どの国くににでも援助えんじょできるかといえばそうではない。
援助えんじょの選定せんていとなる基準きじゅんと呼よぶべき4原則げんそくがある

国際こくさい連合れんごう憲章けんしょうの諸しょ原則げんそく（特とくに、主権しゅけん、平等びょうどう及および内政ないせい不干渉ふかんしょう）及および以下いかの諸点しょてんを踏ふまえ、開発かいはつ途上とじょう国こくの援助えんじょ需要じゅよう、経済けいざい社会しゃかい状況じょうきょう、2国こく間あいだ関係かんけいなどを総合そうごう的てきに判断はんだんの上うえ、ODAを実施じっしするものとする。

1. 環境かんきょうと開発かいはつを両立りょうりつさせる。
2. 軍事ぐんじ的てき用途ようと及および国際こくさい紛争ふんそう助長じょちょうへの使用しようを回避かいひする。
3. テロや大量たいりょう破壊はかい兵器へいきの拡散かくさんを防止ぼうしするなど国際こくさい平和へいわと安定あんていを維持いじ・強化きょうかするとともに、開発かいはつ途上とじょう国こくはその国内こくない資源しげんを自国じこくの経済けいざい社会しゃかい開発かいはつのために適正てきせいかつ優先ゆうせん的てきに配分はいぶんすべきであるとの観点かんてんから、開発かいはつ途上とじょう国こくの軍事ぐんじ支出ししゅつ、大量たいりょう破壊はかい兵器へいき・ミサイルの開発かいはつ・製造せいぞう、武器ぶきの輸出入ゆしゅつにゅうなどの動向どうこうに十分じゅうぶん注意ちゅういを払はらう。
4. 開発かいはつ途上とじょう国こくにおける民主みんしゅ化かの促進そくしん、市場いちば経済けいざい導入どうにゅうの努力どりょく並ならびに基本きほん的てき人権じんけん及および自由じゆうの保障ほしょう状じょう況きょうに十分じゅうぶん注意ちゅういを払はらう。

（以上いじょう、外務省がいむしょうのサイト『政府せいふ開発かいはつ援助えんじょ大綱たいこう』[2] から）

日本にっぽんのODAの変遷へんせん

戦後せんご復興ふっこう時代じだい

日本にっぽんは敗戦はいせん後ごの1946年ねんから1951年ねんの間あいだに、アメリカの「占領せんりょう地域ちいき救済きゅうさい政府せいふ資金しきん」 (GARIOA) と「占領せんりょう地域ちいき経済けいざい復興ふっこう資金しきん」 (EROA) から約やく18億おく6000万まんドルのODAを受うけた(1973年ねん完済かんさい）。カナダ、メキシコ、チリ、ブラジル、アルゼンチン、ペルーなどからも生活せいかつ物資ぶっしや食料しょくりょうなどが援助えんじょされた。1953年ねんには、世界銀行せかいぎんこうから多国たこく間あいだ援助えんじょである有償ゆうしょう資金しきんを使用しようし、東海道新幹線とうかいどうしんかんせん、東名高速道路とうめいこうそくどうろ、黒部川くろべがわ第だい四よん発電はつでん所しょなどを建設けんせつ（1990年ねんに完済かんさい）。こういった経験けいけんから現在げんざいの日本にっぽんの政策せいさくが、ダム建設けんせつなどのインフラ整備せいびに重点じゅうてんを置おいているとも言いわれる。

ODA拠出きょしゅつ側がわへ

• 日本にっぽんからODAを拠出きょしゅつしたのは、1954年ねんにビルマと結むすんだ「日本にっぽん・ビルマ平和へいわ条約じょうやく及および賠償ばいしょう・経済けいざい協力きょうりょく協定きょうてい」での賠償ばいしょう供与きょうよが初はじめてである。その後ご、フィリピン、インドネシアと経済けいざい協力きょうりょくは続つづいていく。
• 1960年代ねんだいの高度こうど経済けいざい成長せいちょう期きに入はいってから、徐々じょじょに現在げんざいのODAの体系たいけいに近ちかづき、拠出きょしゅつ額がくも増大ぞうだいしていく。
• 1961年ねんアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくによって主導しゅどう的てきに設立せつりつされた開発かいはつ援助えんじょ委員いいん会かい (DAC) に、1963年ねん参加さんかする。
• 1964年ねんには経済けいざい協力きょうりょく開発かいはつ機構きこう (OECD) に加盟かめい。
• 1966年ねんにはアジア開発銀行あじあかいはつぎんこうを発足ほっそく。
• 1974年ねんには国際こくさい協力きょうりょく事業じぎょう団だん (JICA) が設立せつりつされる。
• 1992年ねん、ODA大綱たいこうが閣議かくぎ決定けっていされる。
• 2000年ねんの国連こくれんミレニアム・サミットが、極度きょくどの貧困ひんこん・飢餓きがの撲滅ぼくめつを目指めざし、1日にち1米あめりかドル未み満まんで暮くらす人々ひとびとの数かずを2015年ねんまでに半減はんげんさせることを約束やくそくした。
• 2000年ねんのODA拠出きょしゅつ額がくは、約やく135億おくドルで日本にっぽんは世界せかい第だい1位いの拠出きょしゅつ額がくであった。この頃ころは毎年まいとし1兆ちょう円えんあまりを様々さまざまな国くにに供与きょうよしていた。
• 2007年ねんのODA拠出きょしゅつ額がくは、約やく77億おくドル（約やく7,800億おく円えん）であり、これは金額きんがくベースにおいて、アメリカ、ドイツ、フランス、イギリスに続つづき、5位いである。ただし、日本にっぽんは国民こくみん総そう所得しょとく（GNI）の母体ぼたい自体じたいが大おおきいため、ODA拠出きょしゅつ額がくがGNIに占しめる比率ひりつでの国くに別べつ比較ひかくでは更さらに低ひくい順位じゅんいにある。

最近さいきんのODA実績じっせきの推移すいいに関かんしては外務省がいむしょうOECD/DACにおけるODA実績じっせきを参照さんしょう。

日本にっぽんのODAの特色とくしょくと昨今さっこんの傾向けいこう

日本にっぽんのODAの特徴とくちょうとしては、以下いかの点てんが挙あげられる。

贈与ぞうよ比率ひりつの低ひくさ

日本にっぽんのODAは、贈与ぞうよではなく、被ひ支援しえん国こくが返済へんさいを要ようする円えん借款しゃっかんの比率ひりつが高たかい。これは、日本にっぽんがODAの被ひ支援しえん国こくから支援しえん国こくへと移行いこうしていくに際さいし、贈与ぞうよを行おこなうだけの財源ざいげんがなかったことに加くわえ、ハードインフラの整備せいびへ向むけた低利ていり融資ゆうしによって日本にっぽんの輸出ゆしゅつ市場いちばを拡大かくだいしていくという政策せいさく目的もくてきも背景はいけいにあったとされる。また有償ゆうしょうの円えん借款しゃっかん協力きょうりょくは「借かりたものは必かならず返かえす」という意味いみで、日本にっぽんの援助えんじょ哲学てつがくでもある「自助じじょ努力どりょく」を促うながすことになり、途上とじょう国こくの自立じりつの精神せいしんを涵養かんようするという一いち面めんを持もっている。欧米おうべいの原則げんそく無償むしょうの援助えんじょは、「人道じんどう」を前面ぜんめんに出だしているものの、往々おうおうにして依存いぞん心しんを産うんで、自立じりつの精神せいしんを阻はばんでいるとも指摘してきされている。

ハード支援しえん比率ひりつの高たかさ

日本にっぽんのODAは、道路どうろ・橋はし・鉄道てつどう・発電はつでん所しょのインフラストラクチャー整備せいびの占しめる割合わりあいが大おおきい。多おおくの日本人にっぽんじんが『ODA』と聞きいて連想れんそうするのも、こういった支援しえん形態けいたいである。このようなハードインフラ整備せいびを巡めぐっては、多額たがくの受注じゅちゅう費ひを巡めぐって政治せいじ家かと日系にっけい企業きぎょうが癒着ゆちゃくし、仲介ちゅうかい業者ぎょうしゃが不当ふとうに多額たがくの報酬ほうしゅうを取得しゅとくしているとの指摘してきがある。ただ、2000年代ねんだい以降いこうは、請負うけおい企業きぎょうを日本にっぽん企業きぎょうに限定げんていする『タイド（いわゆる紐付ひもつき援助えんじょ）案件あんけん』の割合わりあいは大幅おおはばに低下ていかし、2001年ねん時点じてんで20%を下回したまわっている上うえ、日系にっけい企業きぎょうの受注じゅちゅう率りつも低下ていかしている。また、ハードインフラの整備せいび自体じたいは、被ひ援助えんじょ国こくの経済けいざい発展はってんとそれに伴ともなう貧困ひんこん削減さくげんのために重要じゅうようとされ、世界銀行せかいぎんこうや開発かいはつ援助えんじょ委員いいん会かい（DAC:Development Assistance committee）も、こういったハードインフラ整備せいび支援しえんという手法しゅほうを評価ひょうかしている。

一方いっぽう、人材じんざい育成いくせいや法律ほうりつ・制度せいど構築こうちくや教育きょういくを中心ちゅうしんに、ソフト面めんでの支援しえんに力ちからを注そそいでいく考かんがえ方かたが強つよまっている。これは、ハードインフラに偏向へんこうしているとの批判ひはんをかわすという側面そくめんもあるものの、日本国にっぽんこく政府せいふレベルではなく、各かく個人こじんレベルに確実かくじつに援助えんじょを届とどけようという「人間にんげんの安全あんぜん保障ほしょう」や、被ひ援助えんじょ国こくに民主みんしゅ主義しゅぎ、法ほうの支配しはい、政府せいふの透明とうめい性せいや公務員こうむいんの汚職おしょくを撲滅ぼくめつしなければ、経済けいざい成長せいちょう、貧困ひんこん削減さくげんも十分じゅうぶんに達成たっせいされないという「良よい統治とうち（Good governance）」といった、国際こくさい的てきな援助えんじょ理念りねんの登場とうじょうも背景はいけいにある。

ソフトインフラ整備せいび支援しえんの代表だいひょう例れいとしては、経済けいざい発展はってんや民主みんしゅ主義しゅぎの基盤きばんとなる基本きほん法ほうや経済けいざい法ほうの起草きそう支援しえん、裁判所さいばんしょなどで、法令ほうれいの運用うんよう・執行しっこうに関かんする支援しえんを行おこなう法ほう整備せいび支援しえんが挙あげられる。近年きんねん日本にっぽんに限かぎらず、世界せかい各国かっこくが法ほう整備せいび支援しえんに力ちからを注そそいでいる。

アジア中心ちゅうしん

日本にっぽんのODAは、アジアに対たいするものが大おおきい。日本にっぽんに限かぎらず、どの援助えんじょ国こくも、歴史れきし的てき、地理ちり的てき、経済けいざい的てきな理由りゆうで、援助えんじょ対象たいしょう国こくの地域ちいき的てきな偏かたよりが見みられ、日本にっぽんの場合ばあいはアジアがそれに該当がいとうする。また、日本にっぽんのODAが、アジアに対たいする第だい二に次じ世界せかい大戦たいせんの戦後せんご賠償ばいしょうに端はしを発はっしている、という特殊とくしゅ要因よういんも挙あげられる。

昨今さっこんのアジアは、世界せかい経済けいざいの牽引けんいん役やくと言いわれるほどに経済けいざい発展はってんを遂とげつつあるが、その要因よういんとしては、アジア各国かっこくの勤労きんろう意欲いよく、文化ぶんかなどに加くわえ、日本にっぽんのODAによる経済けいざいインフラ整備せいびも挙あげられる。また、未いまだ貧困ひんこん率りつの高たかいアフリカに対たいし、日本にっぽんのアジアでの援助えんじょ経験けいけんを活用かつようしていこう、という考かんがえ方かたも強つよまっている。

日本にっぽんのODAの問題もんだい点てん

日本にっぽんのODAの問題もんだい点てんとして、以下いかの点てんがしばしば指摘してきされる。

タイド援助えんじょ

タイド援助えんじょとは、援助えんじょ国こくがインフラ整備せいびなどの開発かいはつプロジェクトなどのODA事業じぎょうに関かんして、資材しざいの調達ちょうたつ先さきや服務ふくむなどの工事こうじ事業じぎょうを日本にっぽん企業きぎょうに限定げんていすることである。「ひも付つき援助えんじょ」とも言いう。事業じぎょうを請うけ負おう企業きぎょう（商社しょうしゃ・ゼネコン等ひとし）と政治せいじ家かの癒着ゆちゃくが問題もんだい視しされてきた。1970年代ねんだい頃ころ、援助えんじょされる国くににはインフラなどが整備せいびされるだけで、援助えんじょ国こく（請負うけおい企業きぎょう）の一方いっぽう的てきな利益りえき追求ついきゅうによって事業じぎょうが推進すいしんされる恐おそれがあると懸念けねんされていた。いずれも正常せいじょうなコスト意識いしきがないので、取引とりひきそのものが非常ひじょうに利益りえき率りつが高たかく設定せっていされ、仲介ちゅうかいする個人こじん・業者ぎょうしゃがいくらでもコミッションを取とれる構造こうぞうで政商せいしょう、黒幕くろまくと呼よばれる人物じんぶつや政治せいじ家かが私腹しふくを肥こやしてきており、それを税金ぜいきんで大盤振おおばんぶる舞まいしているとの見方みかたもあった。 こういった批判ひはんを受うけ、1980年代ねんだい以降いこう、資材しざいの調達ちょうたつ先さきや工事こうじ事業じぎょうの受注じゅちゅう先さきなどを特定とくていしないアンタイド援助えんじょが増加ぞうかしていった。現在げんざいでは、90%後半こうはんがアンタイド援助えんじょである。日本にっぽん企業きぎょうの受注じゅちゅう率りつも、1993年ねんには29%と減少げんしょうを続つづけている。

拠出きょしゅつ金きんを日本にっぽん企業きぎょうにばかり受注じゅちゅうさせたりと、いわば"反日はんにち的てきな意見いけん"もあるが、代かわって中ちゅう韓かん企業きぎょうが受注じゅちゅうしたり、あるいは東南とうなんアジア各地かくちなどでは日本にっぽん製せいのインフラや商品しょうひんが他国たこくより圧倒的あっとうてきに評価ひょうかが高たかく、それらの批判ひはんには正当せいとう性せいがないとの意見いけんもある。COPなどで"利権りけんを漁あさる環境かんきょうマフィア"が主張しゅちょうする意見いけんには、例たとえば日本にっぽんの高性能こうせいのうな石炭せきたん火力かりょく発電はつでん所しょの輸出ゆしゅつをしようとしても、アンタイド援助えんじょの原則げんそくを盾たてに環境省かんきょうしょう主導しゅどうで阻害そがいしている事ことに対たいする批判ひはんがある。

不正ふせい流用りゅうよう問題もんだい

ODAの委託いたく費ひを巡めぐる不正ふせい流用りゅうよう問題もんだいも発覚はっかくしている。大阪おおさか市立しりつ環境かんきょう科学かがく研究所けんきゅうじょ（大阪おおさか市し天王寺てんのうじ区く）に於おいて、ODAによる開発かいはつ途上とじょう国こくからの技術ぎじゅつ研修けんしゅう員いん受うけ入いれ事業じぎょうを巡めぐり、2000-2003年ねんの間あいだに委託いたく費ひ274万まん円えんを不正ふせい流用りゅうようしていたことが判明はんめいしている。また、同どう研究所けんきゅうじょが、不正ふせい流用りゅうように関かかわった職員しょくいんに対たいして、厳重げんじゅう注意ちゅうい処分しょぶんに留とめ、流用りゅうよう分ぶんの返還へんかん請求せいきゅうも行おこなっていないことが、問題もんだいを大おおきくしている（ウィキニュース短信たんしんより）。

施工しこう中ちゅうの事故じこ

2007年ねん9月がつ26日にち、ベトナム南部なんぶのビンロン省しょうで、日本にっぽんの政府せいふ開発かいはつ援助えんじょ（ODA）約やく248億おく円えんをかけて建設けんせつ中ちゅうのカントー橋きょうが崩落ほうらくし、作業さぎょう員いんなど少すくなくとも52人にんが死亡しぼう、100人にん以上いじょうが負傷ふしょうする事故じこがあった が、日本にっぽん国内こくないではほとんど報道ほうどうされなかった。これに対たいして木村きむら外務がいむ副ふく大臣だいじんが現地げんちを視察しさつ、被害ひがい者しゃに弔意ちょういを表あらわすともに遺憾いかんの意いを示しめしている。ベトナム事故じこ調査ちょうさ国家こっか委員いいん会かいは、仮設かせつ支柱しちゅう基礎きその不等ふとう沈下ちんかが事故じこ原因げんいんと結論けつろんづけ、安全あんぜん対策たいさく改善かいぜん点てん等とうについて日本にっぽん政府せいふ主催しゅさいで重かさねて検討けんとうした後のちに工事こうじを再開さいかい、2010年ねん4月がつに完成かんせいしている。

対たい中ちゅうODA

日本にっぽんの対たい中ちゅうODAは、中国ちゅうごくが戦後せんご賠償ばいしょうを放棄ほうきした見返みかえり、との性質せいしつもあったとされる。国際こくさい協力きょうりょく機構きこうによると、日本にっぽんの対たい中ちゅうODAは、「無償むしょう資金しきん協力きょうりょく」は約やく1600億おく円えん、「円えん借款しゃっかん」は約やく3兆ちょう3千せん億おく円えん、「技術ぎじゅつ支援しえん」の約やく1900億おく円えんで、計けい3兆ちょう6千せん億おく円えん余あまりとなる。一方いっぽう、中国ちゅうごくが急速きゅうそくな経済けいざい発展はってんを遂とげ、軍事ぐんじ費ひも多額たがくとなり、さらに日本にっぽんから援助えんじょを受うけている中国ちゅうごくが、他たの途上とじょう国こくに戦略せんりゃく的てきな支援しえんを行おこなっていることに加くわえて、「日本にっぽんの支援しえんであることが中国ちゅうごくの市民しみんに知しられていない」「ODAでつくられたことであることを示しめすプレートが外はずされたこともあり、中国ちゅうごくが『隠かくしている』と言いわれても仕方しかたがない対応たいおうをとってきた経緯けいいがある」という懸念けねんの声こえがある。円えん借款しゃっかんで完成かんせいした中国ちゅうごくの北京ぺきん首都しゅと国際こくさい空港くうこうについての感謝かんしゃプレートは、一般いっぱん国民こくみんが立たち寄よることのないVIPルームに向むかうエスカレーターの頭上ずじょうに掲示けいじされているなど中国ちゅうごくの一般いっぱん国民こくみんは日本にっぽんからの援助えんじょを知しる由よしもない。そもそも有償ゆうしょう案件あんけんについては、利子りし分ぶんを付つけて返済へんさいするから一種いっしゅのビジネスであるという認識にんしきが中国ちゅうごく側がわにある。馬立うまたて誠まこと（『人民日報じんみんにっぽう』評論ひょうろん員いん）は、「日本にっぽんの支援しえんについてはほとんど宣伝せんでんされてこなかったため、国民こくみんの大だい多数たすうは知しらない」「円えん借款しゃっかんは中国ちゅうごくの近代きんだい化かへの強力きょうりょくな支援しえんとなっており、日本にっぽんのお詫わびの気持きもちと誠意せいいの表あらわれである。この点てんについて、我々われわれは相応そうおうの評価ひょうかをしなければならない。歴史れきし的てきなもつれを理由りゆうに、日本にっぽんの行おこなった寄与きよに対たいして、故意こいに言及げんきゅうを控ひかえたり、過小かしょう評価ひょうかしたりしてはならない」と述のべている。シンガポールメディア『ザ・ストレーツ・タイムズ』は、中国ちゅうごく政府せいふは日本にっぽんが為なしてきたこれまでの対たい中ちゅう援助えんじょや貢献こうけんの事実じじつを中国ちゅうごく国民こくみんに教育きょういくすべきであり、これらによって中国ちゅうごくは日本にっぽんを歴史れきし的てきに許ゆるす挑戦ちょうせんをすべきと説といている。また、円えん借款しゃっかんで完成かんせいした中国ちゅうごくの北京ぺきん首都しゅと国際こくさい空港くうこうの株式かぶしきが、事前じぜんの相談そうだんもなしに外資がいしに売却ばいきゃくされたり、北京ぺきん市しの日にち中ちゅう交流こうりゅうセンター施設しせつ内ないで風俗ふうぞく店てんが営業えいぎょうしていたことなども発覚はっかくしている。

その他た

• ODA供与きょうよ先さきは、日本にっぽんとの間あいだで、貿易ぼうえき・直接ちょくせつ投資とうし(企業きぎょうの海外かいがい進出しんしゅつ)の関連かんれんが密接みっせつな東ひがしアジア、東南とうなんアジアの諸国しょこくに偏かたよっており、貧困ひんこん削減さくげんの目的もくてきを掲かかげながら、LLDC（最貧さいひん国こく）の多おおいアフリカ諸国しょこくに対たいする援助えんじょ額がくが未いまだ少すくない。ただし、日本にっぽんに限かぎらず、各かく援助えんじょ国こくは、歴史れきし的てき、地理ちり的てき、経済けいざい的てきな理由りゆうによって援助えんじょ対象たいしょう国こくの地域ちいき的てき偏かたよりが見みられるのも事実じじつである。
• 前年度ぜんねんどの予算よさんを基本きほんとして引ひき継つがれている傾向けいこうが強つよく、ODAの予算よさんの決きめ方かたが流動的りゅうどうてきではない。
• 財務省ざいむしょうや厚生こうせい労働省ろうどうしょうなど、本来ほんらい外交がいこうとは関係かんけいが薄うすい省庁しょうちょうも関与かんよしている。
• ODAによる活動かつどう、及および、それによって建たてられた建造けんぞう物ぶつなどは世界せかいに多数たすう存在そんざいするが、それらがODAによるものだと知しる者ものはODAをする側がわの国民こくみん、される側がわの国民こくみん、共ともに多おおくなく、正ただしい認識にんしきがなされていない。とりわけ中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこくに対たいしては、長年ながねん多額たがくの援助えんじょをしているにも関かかわらず、国民こくみんにはそれらが殆ほとんど知しらされず、逆ぎゃくに江沢民こうたくみん中国共産党ちゅうごくきょうさんとう総そう書記しょき時代じだいの1990年代ねんだい以降いこうから顕著けんちょに反日はんにち教育きょういくを行おこなう事ことで、中国人ちゅうごくじんの日本にっぽんへの憎悪ぞうおばかりが高たかまっていった。一方いっぽうで日本にっぽんでもこれら中国ちゅうごくの実態じったいが知しられるにつれ、外交がいこう上じょう対立たいりつする事柄ことがらの多おおい中国ちゅうごくへの援助えんじょでなく、日本にっぽん国内こくないのために予算よさんを使つかってほしいとしてODA予算よさん削減さくげんの声こえが高たかまっている。このように、国内外こくないがい問とわず、ODAの正ただしい評価ひょうかがなされずにいることが多おおい。
• ODAによりインフラの整備せいびを行おこなっても、それをメンテナンスしていくための人材じんざいや設備せつびが現地げんちになく、やがて使つかい物ものにならなくなってしまう例れいが見みられる。

東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさい以後いごのODAに対たいする評価ひょうか

東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいにおいて、日本にっぽんは先進せんしん国こくのみならず、開発途上国かいはつとじょうこくも含ふくめた世界せかい各国かっこくから多大ただいな支援しえんを受うけた。このことは、これまでの日本にっぽんのODAの成果せいかとして受うけ止とめられ、今いままで否定ひてい的てきに見みられていた日本にっぽんのODAに対たいして、肯定こうてい的てきな見直みなおし・評価ひょうかへとつながり、2011年ねん（平成へいせい23年ねん）10月28日にちに発足ほっそくした国家こっか戦略せんりゃく会議かいぎでも、閣僚かくりょう及および民間みんかん議員ぎいんの双方そうほうからODAの重要じゅうよう性せいが指摘してきされた。

同どう会議かいぎを踏ふまえて2011年ねん12月24日にちに閣議かくぎ決定けっていされた「日本にっぽん再生さいせいの基本きほん戦略せんりゃく」は、当面とうめん重点的じゅうてんてきに取とり組くむ施策しさくとして、「ODA の戦略せんりゃく的てき・効果こうか的てきな活用かつよう」を掲かかげ、具体ぐたい的てきにも「強靭きょうじんなインフラの整備せいび」「途上とじょう国こく等とうの経済けいざいを支ささえる人材じんざいの育成いくせい」「基礎きそ教育きょういく支援しえんを通つうじた人材じんざい基盤きばんの拡大かくだい」「保健ほけん・医療いりょう・衛生えいせいの改善かいぜん」「我わが国くにの技術ぎじゅつをいかした途上とじょう国こくの災害さいがい対策たいさく支援しえん」「農業のうぎょう・食料しょくりょう分野ぶんやでの支援しえん等とう」「インクルーシブな成長せいちょうの基礎きそとなる法ほう制度せいど整備せいび支援しえんの推進すいしん」を明示めいじした。

ただ、「日本にっぽん再生さいせいの基本きほん戦略せんりゃく」は、成長せいちょう著いちじるしいアジアの活力かつりょく取込とりこみという観点かんてんから、アジアを中心ちゅうしんとした海外かいがい展開てんかいを想定そうていしている が、国家こっか戦略せんりゃく会議かいぎの議員ぎいんでもある緒方おがた貞子さだこJICA理事りじ長ちょうは、日本にっぽんのODAを、アジアからアフリカに転換てんかんしていく方針ほうしんを同どう会議かいぎ内ないで説明せつめいしており、「日本にっぽん再生さいせいの基本きほん戦略せんりゃく」の方針ほうしんと一致いっちしていない。

参考さんこう文献ぶんけん

• 下村しもむら恭きょう民みんほか『国際こくさい協力きょうりょく　その新あたらしい潮流ちょうりゅう（新版しんぱん）』有斐閣ゆうひかく選書せんしょ(2009)
• 草野くさの厚あつし『ODAの現場げんばで考かんがえたこと』NHKブックス(2010)
• 草野くさの厚あつし『日本にっぽんはなぜ地球ちきゅうの裏側うらがわまで援助えんじょするのか』朝日新聞社あさひしんぶんしゃ〈朝日あさひ新書しんしょ〉、2007年ねん。ISBN 9784022731838。国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん書誌しょしID:000009172778。 
• 岩城いわき成幸しげゆき「対たい中国ちゅうごくODA(政府せいふ開発かいはつ援助えんじょ)見直みなおし論議ろんぎ」『調査ちょうさと情報じょうほう』第だい468号ごう、東京とうきょう : 国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん調査ちょうさ及および立法りっぽう考査こうさ局きょく、2005年ねん2月がつ、1-10頁ぺーじ、CRID 1520291855971666688、doi:10.11501/1000718、ISSN 13493019、NDLJP:1000718。 

関連かんれん項目こうもく

• 経済けいざい協力きょうりょく開発かいはつ機構きこう（OECD:Organization for Economic Cooperation and Development）
• 開発かいはつ援助えんじょ委員いいん会かい（DAC:Development Assistance committee)
• 国際こくさい協力きょうりょく機構きこう(JICA:Japan International Cooperation Agency)
• 法ほう整備せいび支援しえん
• 日本にっぽん再生さいせいの基本きほん戦略せんりゃく - 2011年ねん12月24日にちに閣議かくぎ決定けっていされた日本にっぽんの国家こっか戦略せんりゃく。ODAの戦略せんりゃく的てき・効果こうか的てき活用かつようも掲かかげられている。
• 天てんの方舟はこぶね
• 政府せいふ開発かいはつ援助えんじょ等とう及および沖縄おきなわ・北方ほっぽう問題もんだいに関かんする特別とくべつ委員いいん会かい - 参議院さんぎいんに設置せっちされている特別とくべつ委員いいん会かい

外部がいぶリンク

• 外務省がいむしょうODAページ
• 国際こくさい協力きょうりょく機構きこう（JICA）
• OECD DAC