日本にっぽんの国有こくゆう林りん

日本にっぽんの国有こくゆう林りん（にほんのこくゆうりん）では、日本にっぽん国内こくないの国有こくゆう林りんについて述のべる。国有こくゆう林りんは、日本国にっぽんこく政府せいふによって保護ほご管理かんりされている森林しんりんのこと。主おもに農林水産省のうりんすいさんしょうの外局がいきょくである林野庁りんやちょうが管轄かんかつし、各かく地方ちほう森林しんりん管理かんり局きょくの下したの森林しんりん管理かんり署しょ・支署ししょ、森林しんりん管理かんり事務所じむしょによって管理かんりされている。総そう面積めんせきは2004年ねん4月がつ1日にち時点じてんで758万まん9020 ha。日本にっぽんの森林しんりん面積めんせきのおよそ3割わりを占しめ、国立こくりつ公園こうえんの約やく6割わりと、保安ほあん林りんの約やく5割わりが国有こくゆう林りんであり、また国産こくさん材ざいの約やく3割わりは国有こくゆう林りんが産出さんしゅつしている。

国有こくゆう林りんと対たいになる概念がいねんは民有みんゆう林りんである。民有みんゆう林りんには、個人こじんや私企業しきぎょうの所有しょゆうする私有しゆう林りんの他ほか、都道府県とどうふけんや市町村しちょうそんなどが所有しょゆうする公有こうゆう林りん、個人こじんが連名れんめいであるいは協同きょうどう組合くみあいなどを作つくって共有きょうゆうする共有きょうゆう林りんも含ふくまれる。

歴史れきし

現在げんざい、林野庁りんやちょう所管しょかんの国有こくゆう林りんとなっている土地とちの多おおくは、江戸えど時代じだいには幕府ばくふや藩はんの所有しょゆうする土地とち（御ご林はやし）であった。版籍はんせき奉還ほうかんによりそれらは国有こくゆうとなり、また地租ちその課税かぜいをするため全国ぜんこくの土地とちの調査ちょうさを行おこなった結果けっか、上記じょうきの森林しんりんに加くわえて所有しょゆう者しゃが明確めいかくにならない共有きょうゆう林りんの一部いちぶが国有こくゆう地ちと見みなされ、国有こくゆう林りんが誕生たんじょうした。

1916年ねん（大正たいしょう5年ねん）、国有こくゆう林りん170000町歩ちょうぶが牧野まきのとして開放かいほう。軍馬ぐんば育成いくせいなど馬うま産さんに供きょうせられることとなる

第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん後ごの1947年ねん（昭和しょうわ22年ねん）の「林政りんせい統一とういつ」により、それまで農のう商務省しょうむしょう山林さんりん局きょく、宮みや内省ないせい帝室ていしつ林野りんや局きょく、内務省ないむしょう北海道庁ほっかいどうちょうによって管理かんりされていた国有こくゆう林りんを、農林水産省のうりんすいさんしょうが国有こくゆう林野りんや事業じぎょう特別とくべつ会計かいけいのもと一元いちげん管理かんりすることとなった。

その後ご、2013年ねん（平成へいせい25年ねん）4月がつ1日にちをもって国有こくゆう林野りんや事業じぎょう特別とくべつ会計かいけいは廃止はいしされ、国有こくゆう林野りんや事業じぎょうは一般いっぱん会計かいけいの事業じぎょうとなった。

「国有こくゆう林野りんやの管理かんり経営けいえいに関かんする法律ほうりつ」が2019年ねん6月がつ5日にちに改正かいせいされ、これに基もとづき翌よく2020年ねん4月がつから「樹木じゅもく採取さいしゅ権けん」が導入どうにゅうされた。

管理かんりの方針ほうしん

現在げんざい、国有こくゆう林りんの管理かんりは、

• 木材もくざいの生産せいさん
• 水源すいげん涵養かんようや山地さんち災害さいがい防止ぼうしといった水みず土ど保全ほぜん
• 二酸化炭素にさんかたんそ吸収きゅうしゅう等とうの環境かんきょう保全ほぜん
• 野生やせい生物せいぶつ保護ほごやレクリエーションなどの保健ほけん文化ぶんか機能きのう

に着目ちゃくもくして行おこなわれている（「国有こくゆう林野りんや事業じぎょう業務ぎょうむ方針ほうしん」参照さんしょう）。林野庁りんやちょうは元々もともと、産業さんぎょうとしての林業りんぎょうを所管しょかんする庁ちょうであり、森林しんりんの持もつ機能きのうの中なかでも木材もくざい生産せいさん機能きのうを重視じゅうししていた。しかし、1980年代ねんだい後半こうはんの頃ころから、国民こくみんの間あいだに徐々じょじょに自然しぜん保護ほごへの関心かんしんが高たかまり、国有こくゆう林りんは原生げんせい林りん的てきな森林しんりんを多おおく含ふくんでいたことで一部いちぶは保護ほごの対象たいしょうと目めされるようになってきた。当初とうしょ、林野庁りんやちょうは環境かんきょう保護ほごへの関心かんしんは薄うすく、白神しらかみ山地さんちなどでは保護ほご派はと意見いけんの対立たいりつがあるなどの場面ばめんもあった。しかし、止とまらない林業りんぎょう不振ふしんと、森林しんりんの多面ためん的てき機能きのうへの注目ちゅうもくにより、1998年ねんには「国有こくゆう林野りんや事業じぎょうの改革かいかくのための特別とくべつ措置そち法ほう」および「国有こくゆう林野りんや事業じぎょうの改革かいかくのための関係かんけい法律ほうりつの整備せいびに関かんする法律ほうりつ」が制定せいていされ、木材もくざい生産せいさん偏重へんちょうから、多面ためん的てき機能きのう重視じゅうしへ方向ほうこう転換てんかんしている。

一部いちぶが森林しんりん生態せいたい系けい保全ほぜん地域ちいきに指定していされており、この区域くいき内ないでは登山とざんなどの目的もくてきで入にゅう林はやしすることはできない。

経営けいえい状態じょうたい

戦後せんごの復興ふっこうから高度こうど経済けいざい成長せいちょう期きには木材もくざい需要じゅようが高たかく、国有こくゆう林野りんや事業じぎょう特別とくべつ会計かいけいは黒字くろじであり、一般いっぱん会計かいけいに繰入金くりいれきんもあった。しかし、外材がいざいの流入りゅうにゅうなどによる国産こくさん材ざいの価格かかく低迷ていめい等とうで経営けいえいが困難こんなんになっていった。前述ぜんじゅつの特別とくべつ措置そち法ほうにより、それまでの現業げんぎょう的てきな営林署えいりんしょを廃止はいしして森林しんりん管理かんり署しょ制せいを敷しくなどの改革かいかくを行おこなっていたが、2003年ねん度ど末まつ時点じてんでの債務さいむ残高ざんだかは長期ちょうきと短期たんきの借入金かりいれきんを合あわせて約やく1兆ちょう2800億おく円えんに上のぼっていた。

林野庁りんやちょう以外いがいで国有こくゆう林りんを有ゆうする省庁しょうちょう

• 文部もんぶ科学かがく省しょう（大学だいがくの演習えんしゅう林りん）
• 環境省かんきょうしょう（国民こくみん公園こうえん等ひとし）

など。

関連かんれん項目こうもく

• 国有こくゆう林野りんやの管理かんり経営けいえいに関かんする法律ほうりつ
• 三さん公社こうしゃ五ご現業げんぎょう
• 恩賜おんし林りん
• 林道りんどう
• 緑みどりのオーナー
• 地租ちそ改正かいせい