智頭ちず急行きゅうこう智頭線ちずせん

智頭線ちずせん
智頭線ちずせんを走行そうこうするHOT7000系けいの「スーパーはくと」 （2022年ねん9月がつ 苔縄こけなわ駅えき - 河野こうの原はら円心えんしん駅えき間あいだ）
基本きほん情報じょうほう
国くに	日本にっぽん
所在地しょざいち	兵庫ひょうご県けん、岡山おかやま県けん、鳥取とっとり県けん
起点きてん	上郡かみごおり駅えき
終点しゅうてん	智頭ちず駅えき
駅えき数すう	14駅えき
電報でんぽう略号りゃくごう	チツセ
開業かいぎょう	1994年ねん12月3日にち
所有しょゆう者しゃ	智頭ちず急行きゅうこう
運営うんえい者しゃ	智頭ちず急行きゅうこう
車両しゃりょう基地きち	大原おおはら車庫しゃこ
使用しよう車両しゃりょう	使用しよう車両しゃりょうの節ふしを参照さんしょう
路線ろせん諸しょ元もと
路線ろせん距離きょり	56.1 km
軌間きかん	1,067 mm （狭軌きょうき）
線路せんろ数すう	単線たんせん
電化でんか方式ほうしき	非ひ電化でんか
最大さいだい勾配こうばい	26 ‰
最小さいしょう曲線きょくせん半径はんけい	260 m
閉塞へいそく方式ほうしき	自動じどう閉塞へいそく式しき
保安ほあん装置そうち	ATS-P
最高さいこう速度そくど	130 km/h
路線ろせん図ず

停車場ていしゃじょう・施設しせつ・接続せつぞく路線ろせん
凡例はんれい
（←神戸こうべ方かた / 門司もじ方かた→） 0.0 上郡かみごおり駅えき JR西にし：山陽本線さんようほんせん 釜ケ谷かまがたにトンネル 1,476m 3.8 岩木いわき信号しんごう場じょう 岩木いわきトンネル 290m 4.8 苔縄こけなわ駅えき 苔縄こけなわトンネル 横山よこやまトンネル 398m 7.4 河野こうの原はら円心えんしん駅えき 千種川ちくさがわ 国見くにみトンネル 2,499m 千種川ちくさがわ 12.2 久崎くざき駅えき 久崎ひさざきトンネル 平谷ひらやトンネル 高倉山たかくらやまトンネル 2,487m 山脇やまわきトンネル JR西にし： 姫新線きしんせん（新しん見方みかた→） 17.2 佐用さよう駅えき JR西にし： 姫新線きしんせん（←姫路ひめじ方かた） 稲荷山いなりやまトンネル 権現山こんげんやまトンネル 殿町とのまちトンネル 22.5 平福ひらふく駅えき 平福ひらふくトンネル 大河内おおこうちトンネル 東河内ひがしこうちトンネル 峠とうげトンネル 赤倉あかくらトンネル 馬場ばばトンネル 27.1 石井いしい駅えき 兵庫ひょうご県けん↑ 蜂谷はちやトンネル 2,118m 岡山おかやま県けん↓ 第だい一いち今岡いまおかトンネル 第だい二に今岡いまおかトンネル 30.6 宮本みやもと武蔵むさし駅えき 第だい三さん今岡いまおかトンネル 大原おおはらトンネル 33.2 大原おおはら駅えき 大原おおはら車庫しゃこ 江ノ原えのはらトンネル 1,419m 桐きり尾おトンネル 大谷おおやトンネル 37.4 西粟倉にしあわくら駅えき 西粟倉にしあわくらトンネル 岩倉いわくらトンネル 第だい一いち影石かげいしトンネル 第だい二に影石かげいしトンネル 40.6 あわくら温泉おんせん駅えき 岡山おかやま県けん↑ 志こころざし戸坂とさかトンネル 5,592 m 鳥取とっとり県けん↓ 第だい一いち中原なかはらトンネル 235m 47.2 山郷さんごう駅えき 第だい二に中原なかはらトンネル 第だい一いち山木やまきトンネル 第だい二に山木やまきトンネル 酒屋さかやトンネル 50.0 恋こい山形やまがた駅えき 大内おおうちトンネル 531m 毛谷けだにトンネル 篠坂しのさかトンネル 648m 奈留なるトンネル 82m 智頭ちずトンネル 886m JR西にし： 因美線いんびせん（東津ひがしつ山方やまがた→） 56.1 智頭ちず駅えき JR西にし： 因美線いんびせん（鳥取とっとり方かた↓）

智頭線ちずせん（ちずせん）は、兵庫ひょうご県けん赤穂あこう郡ぐん上郡かみごおり町まちの上郡かみごおり駅えきから鳥取とっとり県けん八頭やつがしら郡ぐん智頭ちず町まちの智頭ちず駅えきに至いたる智頭ちず急行きゅうこうの鉄道てつどう路線ろせんである。

京阪神けいはんしん・山陽さんよう地域ちいきと鳥取とっとりを結むすぶ高速こうそく路線ろせんとして建設けんせつされ、全線ぜんせんの約やく43%（全ぜん41本ほん、総そう延長えんちょう24.4 km）がトンネルで占しめられている。優等ゆうとう列車れっしゃとして特急とっきゅう「スーパーはくと」・「スーパーいなば」が運転うんてんされている。

路線ろせんデータ

• 管轄かんかつ（事業じぎょう種別しゅべつ）：智頭ちず急行きゅうこう（第だい一種いっしゅ鉄道てつどう事業じぎょう者しゃ）
• 路線ろせん距離きょり（営業えいぎょうキロ）：56.1 km
• 軌間きかん：1,067 mm
• 駅えき数すう：14駅えき（起おこり終点しゅうてん駅えき含ふくむ、信号しんごう場じょうを含ふくまない）
• 複線ふくせん区間くかん：なし（全線ぜんせん単線たんせん）
• 電化でんか区間くかん：なし（全線ぜんせん非ひ電化でんか）
• 閉塞へいそく方式ほうしき：自動じどう閉塞へいそく式しき
• 保安ほあん装置そうち：ATS-P
• 最高さいこう速度そくど：130 km/h
• 最長さいちょうトンネル：志こころざし戸坂とさかトンネル (5,592 m)
• 最小さいしょう曲線きょくせん半径はんけい：260 m
• 最さい急きゅう勾配こうばい：26 パーミル
• 建設けんせつ主体しゅたい：日本鉄道建設公団にほんてつどうけんせつこうだん（現げん 独立どくりつ行政ぎょうせい法人ほうじん 鉄道てつどう建設けんせつ・運輸うんゆ施設しせつ整備せいび支援しえん機構きこう）
• IC乗車じょうしゃカード対応たいおう区間くかん：なし

歴史れきし

智頭線ちずせんの歴史れきしは、1892年ねん（明治めいじ25年ねん）に山陰さんいん・山陽さんよう連絡れんらく線せんの一ひとつとして姫路ひめじ - 鳥取とっとり間あいだを結むすぶ鉄道てつどう建設けんせつ運動うんどうが起おきたことから始はじまる。姫路ひめじから佐さ用ようを通とおり、智頭線ちずせん・因美線いんびせんに沿そって鳥取とっとりに至いたるルートは、江戸えど時代じだいから因幡いなば街道かいどうとして鳥取とっとり藩はんの参勤交代さんきんこうたいにも使つかわれていた。明治めいじ時代じだいに幹線かんせん鉄道てつどう建設けんせつの枠組わくぐみを定さだめた鉄道てつどう敷設ふせつ法ほうでは、「山陰さんいん及山陽さんよう連絡れんらく線せん」の部ぶに「兵庫ひょうご県けん下か姫路ひめじ近傍きんぼうヨリ鳥取とっとり県けん下か鳥取とっとりニ至いたりル鉄道てつどう又またハ岡山おかやま県けん下か岡山おかやまヨリ津山つやまヲ経けいテ鳥取とっとり県けん下か米子よなご及境ニ至いたりル鉄道てつどう若わかハ岡山おかやま県けん下倉したくら敷じき又またハ玉島たましまヨリ鳥取とっとり県けん下境しもさかいニ至いたりル鉄道てつどう」として定さだめられた。鉄道てつどう技術ぎじゅつ者しゃの仙石せんごく貢みつぐが中心ちゅうしんとなって実際じっさいのルートの選定せんていが行おこなわれ、

1. 姫路ひめじ - 鳥取とっとり - 境さかい
2. 網干あぼし - 鳥取とっとり - 境さかい
3. 龍野たつの - 鳥取とっとり - 境さかい
4. 上郡かみごおり - 鳥取とっとり - 境さかい
5. 和気わき - 倉吉くらよし - 境さかい
6. 岡山おかやま - 勝山かつやま - 境さかい
7. 倉敷くらしき - 境さかい
8. 和気わき - 勝山かつやま - 境さかい
9. 岡山おかやま - 倉吉くらよし - 境さかい

の9つのルートが検討けんとうされた。このうち1.のルートが智頭線ちずせんの佐用さよう - 智頭ちず間あいだを、4.のルートが全ぜん区間くかんを通とおる。一旦いったんは1.のルートが採択さいたくされたが、その後ご山陰やまかげへの鉄道てつどうは姫路ひめじからではなく和田山わだやまから建設けんせつされることになり（現在げんざいの山陰本線さんいんほんせん）、智頭線ちずせんの建設けんせつは白紙はくしとなった。

1922年ねん（大正たいしょう11年ねん）の改正かいせい鉄道てつどう敷設ふせつ法ほうでは、第だい85号ごうに「兵庫ひょうご県けん上郡かみごおりヨリ佐さ用ようヲ経けいテ鳥取とっとり県けん智頭ちずニ至いたりル鉄道てつどう」として予定よてい線せんの一ひとつに盛もり込こまれた。1934年ねん（昭和しょうわ9年ねん）に関係かんけいする兵庫ひょうご・岡山おかやま・鳥取とっとりの18市町村しちょうそんにより「智頭ちず・佐用さよう線せん鉄道てつどう期成きせい会かい」を結成けっせいして鉄道てつどう建設けんせつ促進そくしんを訴うったえたが、第だい二に次じ世界せかい大戦たいせんの戦火せんかにより一旦いったんは中断ちゅうだんとなった。大戦たいせん後ご、1950年ねん（昭和しょうわ25年ねん）に「智頭ちず・上郡かみごおり線せん鉄道てつどう敷設ふせつ期成きせい同盟どうめい会かい」として再度さいど建設けんせつ促進そくしん運動うんどうが開始かいしされた。1961年ねん（昭和しょうわ36年ねん）調査ちょうさ線せん、1962年ねん（昭和しょうわ37年ねん）に工事こうじ線せんとして採択さいたくされ、1964年ねん（昭和しょうわ39年ねん）3月がつ23日にちに発足ほっそくしたばかりの日本鉄道建設公団にほんてつどうけんせつこうだん（鉄道てつどう公団こうだん）に対たいして、4月がつ22日にちに智頭線ちずせん建設けんせつの基本きほん計画けいかくを基もとに「工事こうじ実施じっし計画けいかくの指示しじ」が行おこなわれた。1966年ねん（昭和しょうわ41年ねん）4月がつ7日にちに「智頭線ちずせん上郡かみごおり・智頭ちず間あいだ工事こうじ実施じっし計画けいかく」の認可にんかを運輸うんゆ大臣だいじんに申請しんせいし、5月がつ10日とおかに認可にんかを受うけ、6月21日にちに着工ちゃっこうに至いたった。当初とうしょの計画けいかくでは、1973年ねん（昭和しょうわ48年ねん）春はるの開業かいぎょう予定よていであった。特急とっきゅうの使用しよう車両しゃりょうはキハ181系けい気動車きどうしゃと決きめていた。

当初とうしょの工事こうじ実施じっし計画けいかくでは、線せん内ない最高さいこう速度そくどは95 km/hで、岩木いわき信号しんごう場じょうと宮本みやもと武蔵むさし駅えきは計画けいかくに含ふくまれていなかった。また、上郡かみごおり駅えきを出発しゅっぱつしてから500 mほどは山陽本線さんようほんせんの上のぼり線せんと共用きょうようになっており、佐用さよう駅えきの起点きてん側がわ少すこしのところに山脇やまわき信号しんごう場じょうを設置せっちして既設きせつの姫新線きしんせんに合流ごうりゅうし、佐用さよう駅えきは姫新線きしんせんのものを改築かいちくして利用りようし、佐用さよう駅えきから再度さいど分岐ぶんきする構造こうぞうで計画けいかくされていた。認可にんか時じの駅えきの仮称かしょうは、上郡かみごおり、苔縄こけなわ、河野原こうのはら、久崎ひさざき、山脇やまわき信号しんごう場じょう、佐用さよう、平福ひらふく、下石井しもいしい、大原おおはら町まち、西粟倉にしあわくら、影石かげいし、山郷さんごう、因幡いなば山形やまがた、智頭ちずとなっていた。工事こうじ費ひは89億おく9040万まん円えんと見積みつもられていた。

1975年ねん（昭和しょうわ50年ねん）1月がつ31日にちの工事こうじ実施じっし計画けいかく変更へんこうで、山脇やまわき信号しんごう場じょうにより姫新線きしんせんに合流ごうりゅうする計画けいかくが廃止はいしとなり、立体りったい交差こうさで姫新線きしんせんを乗のり越こえる計画けいかくとなった。これは佐用さよう駅えきの構内こうない配線はいせんや線路せんろ容量ようりょう・運転うんてん保安ほあん上じょうの問題もんだいなどからで、この計画けいかくにより工事こうじ費ひは229億おく円えんの見積みつもりに変更へんこうされた。さらに1979年ねん（昭和しょうわ54年ねん）3月がつ30日にちの工事こうじ実施じっし計画けいかく変更へんこうでは、やはり線路せんろ容量ようりょう上じょうの問題もんだいから上郡かみごおり駅えき構内こうないでの山陽本線さんようほんせんとの線路せんろ共用きょうようをやめて別線べつせんにすることになった。この際さいに、立体りったい交差こうさで山陽本線さんようほんせんの上下じょうげ線せんの間あいだに入はいり、また上郡かみごおり駅えきの島しま式しきホームに切きり欠かきホームを設もうけて智頭線ちずせん内ないローカル列車れっしゃの折おり返かえしを行おこなうようになった。この計画けいかくでの工事こうじ費ひは300億おく6900万まん円えんと見積みつもられた。

ところが国鉄こくてつの経営けいえい悪化あっかが進すすんだことから、1980年ねん（昭和しょうわ55年ねん）に日本にっぽん国有こくゆう鉄道てつどう経営けいえい再建さいけん促進そくしん特別とくべつ措置そち法ほう（国鉄こくてつ再建さいけん法ほう）が成立せいりつし、12月27日にちに施行しこうされた。この法律ほうりつでは、鉄道てつどう公団こうだんが建設けんせつ中ちゅうのAB線せん（地方ちほう鉄道てつどう新しん線せん）のうち、輸送ゆそう密度みつどの見込みこみが4,000 人にん/日ひを下回したまわるものについて予算よさん執行しっこうの凍結とうけつを定さだめていた。智頭線ちずせんの予想よそう輸送ゆそう密度みつどは3,900 人にん/日にちとわずかに基準きじゅんに届とどかなかったことから、用地ようちの95 %、路盤ろばんの30 %、軌道きどうの10 %の進捗しんちょくに達たっしていた段階だんかいで工事こうじが中止ちゅうしとなった。

国鉄こくてつ再建さいけん法ほうでは鉄道てつどう公団こうだんの工事こうじ凍結とうけつ線せんについて、地元じもと地方自治体ちほうじちたいにより引ひき受うけて第だい三さんセクター方式ほうしきで開業かいぎょうさせることが可能かのうであることを定さだめていた。1983年ねん（昭和しょうわ58年ねん）に鳥取とっとり県知事けんちじに就任しゅうにんした西尾にしお邑次は、鳥取とっとり県内けんないの特定とくてい地方ちほう交通こうつう線せんである倉吉線くらよしせん（1985年ねん廃止はいし、バス転換てんかん）と若桜線わかさせん（1987年ねん若桜わかさ鉄道てつどうに転換てんかん）の処理しょりにめどをつけるとともに、智頭線ちずせんの建設けんせつ再開さいかいへ向むけて取とり組くんだ。国鉄こくてつ智頭線ちずせん建設けんせつ促進そくしん期成きせい同盟どうめい会かいでは、専門せんもん機関きかんに委託いたくして第だい三さんセクター方式ほうしきによる経営けいえいの可能かのう性せいを探さぐった。1985年ねん（昭和しょうわ60年ねん）に出でた調査ちょうさ結果けっかでは、「ローカル輸送ゆそうのみでは赤字あかじ、国鉄こくてつと直通ちょくつうの特急とっきゅう列車れっしゃを含ふくめれば黒字くろじ」という結論けつろんが得えられ、これを前提ぜんていとして国鉄こくてつや運輸省うんゆしょうとの交渉こうしょうが行おこなわれた。この予測よそくでは、通過つうか旅客りょかく数すう1,652 人にん/日にちと見積みつもられていたが、国鉄こくてつ側がわはそれほどの乗客じょうきゃくはないだろうと懐疑かいぎ的てきであった。実際じっさいに開通かいつうすると、この倍ばいに達たっする輸送ゆそう実績じっせきを残のこしている。西尾にしお鳥取とっとり県知事けんちじは同年どうねん11月がつ28日にちに兵庫ひょうご県知事けんちじと、11月29日にちに岡山おかやま県知事けんちじと会談かいだんを行おこない、第だい三さんセクター化かの方向ほうこうが事実じじつ上じょう決定けっていした。1986年ねん（昭和しょうわ61年ねん）1月がつ10日とおかに期成きせい同盟どうめい会かいの名称めいしょうを「智頭線ちずせん建設けんせつ促進そくしん期成きせい同盟どうめい会かい」に変更へんこうし、第だい三さんセクター会社かいしゃの設立せつりつ準備じゅんび組織そしきとした。3月31日にちに鳥取とっとり・岡山おかやま・兵庫ひょうご3県けんでの出資しゅっし割合わりあいの覚書おぼえがきを締結ていけつし、4月がつ11日にちに「智頭ちず鉄道てつどう株式会社かぶしきがいしゃ」の設立せつりつ発起人ほっきにん会かい、5月30日にちに創立そうりつ総会そうかいを行おこなって、5月31日にちに設立せつりつ登記とうきが行おこなわれた。11月27日にちに鉄道てつどう事業じぎょう免許めんきょ申請しんせいを行おこない、12月25日にちに交付こうふを受うけて、翌よく1987年ねん（昭和しょうわ62年ねん）1月がつ27日にちに工事こうじが再開さいかいされた。建設けんせつ費ひは413億おく円えんに改定かいていされた。

鳥取とっとり方面ほうめんへは当時とうじまだ鳥取とっとり自動車じどうしゃ道どうは開通かいつうしていなかったが、高速こうそく道路どうろの建設けんせつが進すすむことは自明じめいであり、高速こうそくバスの所要しょよう時間じかんに打うち勝かてるだけの高速こうそく化かを図はかっておくことが、智頭線ちずせんの経営けいえい上じょう必要ひつようであると考かんがえられた。1989年ねん（平成へいせい元年がんねん）頃ごろ、新幹線しんかんせん建設けんせつの見込みこみがない鳥取とっとり方面ほうめんへの高速こうそく輸送ゆそうのため、当初とうしょ予定よていになかった高こう規格きかく化か工事こうじの検討けんとうが始はじまった。鉄道てつどう公団こうだんでの試算しさんによれば、キハ181系けい気動車きどうしゃによる最高さいこう速度そくど95 km/hでの上郡かみごおり - 智頭ちず間あいだの所要しょよう時間じかんを基準きじゅんとして、2000系けい振ふり子こ式しき気動車きどうしゃによる非ひ電化でんか・最高さいこう速度そくど130 km/hによる試算しさんで11分ふん30秒びょう短縮たんしゅくで所要しょよう16億おく円えん、381系けい振ふり子こ式しき電車でんしゃによる電化でんか・最高さいこう速度そくど130 km/hによる試算しさんで12分ふん45秒びょう短縮たんしゅくで所要しょよう68億おく円えん、381系けい振ふり子こ式しき電車でんしゃによる電化でんか・最高さいこう速度そくど160 km/hによる試算しさんで15分ふん45秒びょう短縮たんしゅくで所要しょよう116億おく円えんと計算けいさんされた。電化でんかや160 km/h対応たいおうの高速こうそく化かでは、必要ひつよう投資とうし額がくに比くらべて得えられる時間じかん短縮たんしゅく幅はばが小ちいさく、また乗のり入いれ先さきの西日本旅客鉄道にしにほんりょかくてつどう（JR西日本にしにほん）因美線いんびせん智頭ちず駅えき - 鳥取とっとり駅えき間あいだの電化でんか・高速こうそく化か工事こうじ費用ひように約やく40億おく円えんかかり、当時とうじのJR西日本にしにほんの経営けいえい事情じじょうから早期そうき開業かいぎょうが困難こんなんであることから、電化でんかと160 km/h対応たいおうは断念だんねんすることになった。こうして単線たんせん非ひ電化でんか130 km/h対応たいおうでの高速こうそく化か工事こうじが決定けっていされた。この時点じてんで用地ようち買収ばいしゅうは95 %まで進捗しんちょくし、軌道きどう敷設ふせつも10 %ほど進すすんでいたので、これを生いかす形かたちでの改良かいりょうが行おこなわれ、河野こうの原はら円心えんしん駅えきおよび久崎くざき駅えきの一線いっせんスルー化か改良かいりょう、その他たの駅えきの分岐ぶんき器きの高速こうそく分岐ぶんき器き化か、カント向上こうじょうなどが実施じっしされた。因美線いんびせんの自動じどう信号しんごう化か工事こうじと合あわせると23億おく円えんと見積みつもられたが、その後ごの建設けんせつ費ひ縮減しゅくげん努力どりょくにより実際じっさいの費用ひようは21億おく5600万まん円えんとなった。

1991年ねん（平成へいせい3年ねん）9月がつ18日にちに智頭ちず鉄道てつどうから事業じぎょう基本きほん計画けいかくの変更へんこう認可にんか申請しんせい書しょが提出ていしゅつされ、11月19日にちに認可にんかされた。またJR西日本にしにほん区間くかんについても11月8日にちに鉄道てつどう施設しせつ変更へんこう認可にんか申請しんせいが出だされ、12月19日にちに認可にんかされた。12月24日にちに鉄道てつどう公団こうだんに対たいして鉄道てつどう施設しせつ建設けんせつの申もうし出でがなされ、1992年ねん（平成へいせい4年ねん）3月がつ12日にちに高速こうそく化か対応たいおう工事こうじに着手ちゃくしゅした。

1994年ねん（平成へいせい6年ねん）12月3日にちに開業かいぎょうを迎むかえた。当初とうしょは、新大阪しんおおさか - 鳥取とっとり・倉吉くらよし間あいだに智頭ちず急行きゅうこうのHOT7000系けい車両しゃりょうによる特急とっきゅう「スーパーはくと」が3往復おうふく、JR西日本にしにほんのキハ181系けい車両しゃりょうによる特急とっきゅう「はくと」が臨時りんじで1往復おうふく設定せっていされた。また普通ふつう列車れっしゃは上郡かみごおり - 大原おおはら間あいだで17往復おうふく、大原おおはら - 智頭ちず間あいだで12往復おうふく設定せっていされた。なお、貨物かもつ列車れっしゃ・快速かいそく列車れっしゃは設定せっていされなかった。

開業かいぎょう後ごまもない、1995年ねん（平成へいせい7年ねん）1月がつ17日にち未明みめいに阪神はんしん・淡路あわじ大震災だいしんさいが発生はっせいし、京阪神けいはんしん方面ほうめんへの直通ちょくつう特急とっきゅう列車れっしゃは全ぜん列車れっしゃ運休うんきゅうに追おい込こまれた。1月23日にちから姫路ひめじ - 鳥取とっとり間あいだで運転うんてんを再開さいかいしたものの、大阪おおさかへの直通ちょくつうが再開さいかいするのは4月がつ1日にちまで待まつことになった。しかしその後ごは順調じゅんちょうに直通ちょくつう特急とっきゅうの需要じゅようは伸のびていった。1996年ねん（平成へいせい8年ねん）3月がつ16日にちのダイヤ改正かいせいでは、京都きょうとと鳥取とっとりを山陰本線さんいんほんせん経由けいゆで4時じ間あいだ弱じゃくかけて結むすんでいた特急とっきゅう「あさしお」が廃止はいしされ、「あさしお」に使用しようされていたキハ181系けい車両しゃりょうを利用りようして「はくと」が2往復おうふく増発ぞうはつされた。また「スーパーはくと」を含ふくめて全ぜん列車れっしゃが京都きょうと始終しじゅう着ぎに延長えんちょうされた。さらに1997年ねん（平成へいせい9年ねん）3月がつ8日にちのダイヤ改正かいせいではHOT7000系けい車両しゃりょうが1編成へんせい増ぞう備されて「スーパーはくと」は5往復おうふくとなり、同年どうねん11月がつ29日にちのダイヤ改正かいせいでもさらに1編成へんせい増ぞう備されて全ぜん列車れっしゃが「スーパーはくと」となった。また、それまで津山線つやません・因美線いんびせん経由けいゆで岡山おかやまと鳥取とっとりを結むすんでいた急行きゅうこう「砂丘さきゅう」が廃止はいしされて、智頭ちず急行きゅうこう線せん経由けいゆでキハ181系けいを使用しようした特急とっきゅう「いなば」として3往復おうふく設定せっていされるようになった。2003年ねん（平成へいせい15年ねん）10月がつ1日にちからは、キハ187系けいを使用しようした特急とっきゅう「スーパーいなば」となり、5往復おうふくに増発ぞうはつされている。

年表ねんぴょう

智頭線ちずせんの開業かいぎょうまで

• 1922年ねん（大正たいしょう11年ねん）：改正かいせい鉄道てつどう敷設ふせつ法ほう第だい85号ごうに予定よてい線せんとして記載きさいされる。
• 1961年ねん（昭和しょうわ36年ねん）：鉄道てつどう建設けんせつ審議しんぎ会かいにより調査ちょうさ線せんとして採択さいたくされる。
• 1962年ねん（昭和しょうわ37年ねん）：鉄道てつどう建設けんせつ審議しんぎ会かいにより工事こうじ線せんとして採択さいたくされる。
• 1964年ねん（昭和しょうわ39年ねん）4月がつ22日にち：運輸うんゆ大臣だいじんにより智頭線ちずせん建設けんせつの基本きほん計画けいかくが定さだめられ、「工事こうじ実施じっし計画けいかくの指示しじ」が日本鉄道建設公団にほんてつどうけんせつこうだんに対たいしてなされる。
• 1966年ねん（昭和しょうわ41年ねん）
  • 4月がつ7日にち：工事こうじ実施じっし計画けいかくの認可にんかを運輸うんゆ大臣だいじんに申請しんせい。
  • 5月がつ10日とおか：工事こうじ実施じっし計画けいかく認可にんか。
  • 5月29日にち：起工式きこうしき開催かいさい。
  • 6月21日にち：智頭線ちずせん建設けんせつに着工ちゃっこう。
• 1975年ねん（昭和しょうわ50年ねん）1月がつ31日にち：山脇やまわき信号しんごう場じょうの計画けいかくを廃止はいしし、姫新線きしんせんと立体りったい交差こうさにするように工事こうじ実施じっし計画けいかくが変更へんこうされる。
• 1979年ねん（昭和しょうわ54年ねん）3月がつ30日にち：上郡かみごおり駅えき構内こうないの山陽本線さんようほんせんとの共用きょうよう区間くかんをやめて別線べつせんとし、上郡かみごおり駅えき島とう式しきホームに切きり欠かきホームを設もうけるように工事こうじ実施じっし計画けいかくが変更へんこうされる。
• 1980年ねん（昭和しょうわ55年ねん）12月27日にち：国鉄こくてつ再建さいけん法ほう施行しこうに伴ともない工事こうじ凍結とうけつ。
• 1986年ねん（昭和しょうわ61年ねん）
  • 10月22日にち：国鉄こくてつ再建さいけん法ほう第だい14条じょう第だい1項こうに基もとづく新しん線せん建設けんせつの特例とくれいとして告示こくじ。
  • 11月27日にち：地方ちほう鉄道てつどう法ほう第だい12条じょうに基もとづく地方ちほう鉄道てつどう事業じぎょう免許めんきょを申請しんせい。
  • 12月25日にち：橋本はしもと龍太郎りゅうたろう運輸うんゆ大臣だいじんから西尾にしお鳥取とっとり県知事けんちじ（智頭ちず鉄道てつどう代表だいひょう取締役とりしまりやく社長しゃちょう）に対たいして地方ちほう鉄道てつどう事業じぎょうの免許めんきょ状じょうを交付こうふ。智頭ちず鉄道てつどう（当時とうじ）より工事こうじ施行しこう認可にんか申請しんせい。
  • 12月26日にち：工事こうじ施行しこう認可にんか。
  • 12月27日にち：鉄道てつどう公団こうだんが工事こうじ施行しこうするよう公団こうだん工事こうじの申請しんせいを行おこなう。
• 1987年ねん（昭和しょうわ62年ねん）1月がつ27日にち：運輸うんゆ大臣だいじんから鉄道てつどう公団こうだん総裁そうさいに対たいして「工事こうじ実施じっし計画けいかくの指示しじ」を行おこなう。智頭線ちずせん建設けんせつ工事こうじ再開さいかい。
• 1991年ねん（平成へいせい3年ねん）
  • 9月18日にち：高速こうそく化か対応たいおうの事業じぎょう基本きほん計画けいかく変更へんこう認可にんか申請しんせい提出ていしゅつ。
  • 11月8日にち：JR西日本にしにほん因美線いんびせん区間くかんの鉄道てつどう施設しせつ変更へんこう認可にんか申請しんせい提出ていしゅつ。
  • 11月19日にち：高速こうそく化か対応たいおうの事業じぎょう基本きほん計画けいかく変更へんこう認可にんか。
  • 12月19日にち：JR西日本にしにほん因美線いんびせん区間くかんの鉄道てつどう施設しせつ変更へんこう認可にんか。
  • 12月24日にち：鉄道てつどう公団こうだんに対たいして智頭ちず鉄道てつどう高速こうそく化か対応たいおうの鉄道てつどう施設しせつ建設けんせつの申もうし出でがなされる。
• 1992年ねん（平成へいせい4年ねん）
  • 3月12日にち：高速こうそく化か対応たいおう工事こうじに着手ちゃくしゅ。
  • 4月がつ2日にち：11時じ15分ふんごろ、平福ひらふく駅えき付近ふきんで6両りょう編成へんせいの工事こうじ用よう列車れっしゃに別べつの工事こうじ用よう列車れっしゃが衝突しょうとつし、作業さぎょう員いん3名めいが圧死あっしする事故じこが発生はっせい。
• 1994年ねん（平成へいせい6年ねん）6月がつ23日にち：大原おおはら駅えき構内こうないでレール締結ていけつ式しきを行おこない、全線ぜんせんでレール敷設ふせつを完了かんりょうする。

智頭線ちずせんの開業かいぎょう

• 1994年ねん（平成へいせい6年ねん）12月3日にち：智頭線ちずせんが開業かいぎょう。特急とっきゅう「スーパーはくと」3往復おうふく、臨時りんじの特急とっきゅう「はくと」1往復おうふく、普通ふつう17往復おうふく。
• 1995年ねん（平成へいせい7年ねん）
  • 1月がつ17日にち：阪神はんしん・淡路あわじ大震災だいしんさいにより、すべての特急とっきゅう列車れっしゃが運休うんきゅうとなる。
  • 1月がつ23日にち：姫路ひめじ駅えき - 鳥取とっとり駅えき間あいだでの特急とっきゅう列車れっしゃ運転うんてんを再開さいかい。
  • 4月がつ1日にち：東海道本線とうかいどうほんせん・山陽本線さんようほんせんが復旧ふっきゅうし、特急とっきゅう列車れっしゃの通常つうじょう運転うんてんを再開さいかい。
• 1996年ねん（平成へいせい8年ねん）3月がつ16日にち：ダイヤ改正かいせいにより、特急とっきゅう「スーパーはくと」「はくと」が京都きょうと駅えき発着はっちゃくになる。「はくと」2往復おうふく増発ぞうはつ。
• 1997年ねん（平成へいせい9年ねん）
  • 3月8日にち：ダイヤ改正かいせいにより特急とっきゅう「スーパーはくと」が5往復おうふくに、特急とっきゅう「はくと」が1往復おうふくになる。
  • 8月がつ10日とおか：HOT7000系けいの一部いちぶ編成へんせいでグリーン車しゃの連結れんけつを開始かいし。
  • 11月29日にち：ダイヤ改正かいせいにより、京阪神けいはんしん方面ほうめんの特急とっきゅう列車れっしゃはすべてHOT7000系けい使用しようの「スーパーはくと」となり、6往復おうふくになる。全ぜん列車れっしゃにグリーン車しゃを連結れんけつ。キハ181系けい使用しようの特急とっきゅう「いなば」が岡山おかやま - 鳥取とっとり間あいだで3往復おうふく運転うんてん開始かいし。
• 2003年ねん（平成へいせい15年ねん）10月がつ1日にち：「いなば」の車両しゃりょうをキハ187系けいに置おき換かえて「スーパーいなば」とし、5往復おうふくに増発ぞうはつ。
• 2009年ねん（平成へいせい21年ねん）
  • 8月がつ10日とおか：台風たいふう9号ごう接近せっきんに伴ともなう豪雨ごううで、一部いちぶ区間くかんが不通ふつうになる。
  • 8月がつ29日にち：通常つうじょう運転うんてんが再開さいかい。

運行うんこう形態けいたい

河野こうの原はら円心えんしん - 苔縄こけなわ間あいだを走行そうこうする上郡かみごおり行いき普通ふつう列車れっしゃ

京都きょうと駅えき - 鳥取とっとり駅えき・倉吉くらよし駅えき間あいだの特急とっきゅう「スーパーはくと」（7往復おうふく）や岡山おかやま駅えき - 鳥取とっとり駅えき間あいだの特急とっきゅう「スーパーいなば」（6往復おうふく）が経由けいゆしている。

特急とっきゅう「スーパーはくと」が130km/h、特急とっきゅう「スーパーいなば」は120km/h運転うんてんを行おこなっている。その間あいだを縫ぬうように自社じしゃ車両しゃりょうによる普通ふつう列車れっしゃが上郡かみごおり駅えき - 大原おおはら駅えき - 智頭ちず駅えき間あいだで運転うんてんされており、一部いちぶの列車れっしゃは鳥取とっとり駅えきまで乗のり入いれる。普通ふつう列車れっしゃは、上郡かみごおり駅えき - 智頭ちず駅えき間あいだで110km/h運転うんてんを行おこなっている。なお、単線たんせんのため、特急とっきゅう同士どうしの列車れっしゃ交換こうかんによる運転うんてん停車ていしゃや、上下じょうげ線せん特急とっきゅうの待避たいひのため、大原おおはら駅えきで10分ふん程度ていど停車ていしゃする普通ふつう列車れっしゃも存在そんざいする。

2020年ねん3月がつ14日にち時点じてんで、普通ふつう列車れっしゃの運転うんてん本数ほんすうは以下いかの通とおりとなっている（下くだり・上のぼりは智頭線ちずせん内ないの場合ばあい。因美線いんびせん直通ちょくつう列車れっしゃは智頭ちず駅えき - 鳥取とっとり駅えき間あいだで下くだり・上のぼりが逆転ぎゃくてんする）。

• 上郡かみごおり駅えき - 大原おおはら駅えき間あいだ：下くだり8本ほん・上のぼり7本ほん
• 上郡かみごおり駅えき - 智頭ちず駅えき間あいだ：7往復おうふく
• 上郡かみごおり駅えき - 鳥取とっとり駅えき間あいだ：下くだり1本ほん・上のぼり2本ほん
• 大原おおはら駅えき - 智頭ちず駅えき間あいだ：2往復おうふく
• 大原おおはら駅えき - 鳥取とっとり駅えき間あいだ：下くだり1本ほん

上郡かみごおり駅えき - 大原おおはら駅えき間あいだは1時じ間あいだに1本ほん程度ていど、大原おおはら駅えき - 智頭ちず駅えき間あいだは1-2時じ間あいだに1本ほん程度ていど、普通ふつう列車れっしゃが運行うんこうされている。上郡かみごおり駅えき - 鳥取とっとり駅えき間あいだを運行うんこうする普通ふつう列車れっしゃは鳥取とっとり行いき1本ほん・上郡かみごおり行いき2本ほん。2009年ねん3月がつ14日にち改正かいせいから1年間ねんかんは当該とうがい列車れっしゃの設定せっていが1本ほんもなかった。

JR西日本にしにほんと智頭ちず急行きゅうこうの双方そうほうに特急とっきゅう列車れっしゃが直通ちょくつうしており、車両しゃりょう使用しよう料りょうは直通ちょくつう相手方あいてがたにそれぞれ支払しはらっている。運行うんこう本数ほんすうや走行そうこう距離きょりが異ことなるため、「スーパーはくと」と「スーパーいなば」の間あいだでは完全かんぜんな相殺そうさいにはなっていない。普通ふつう列車れっしゃもJR線せんへの直通ちょくつうがあるため、智頭ちず急行きゅうこうはJR西日本にしにほんから車両しゃりょう使用しよう料りょうを受うけ取とっている。

利用りよう状じょう況きょう

兵庫ひょうご県けん南部なんぶ含ふくむ山陽さんよう地方ちほうと山陰さんいん地方ちほうの都市とし間あいだ輸送ゆそうの主役しゅやくである特急とっきゅうの輸送ゆそう量りょうは多おおいが、普通ふつう列車れっしゃについては当とう線せんが三さん県けんにまたがっており、上郡かみごおり駅えき、佐用さよう駅えき、智頭ちず駅えきの周辺しゅうへんには高校こうこうがあるが、同どう一いち通つう学区がっくである兵庫ひょうご県内けんない以外いがいは学区がっくの制約せいやくがあり、通学つうがく利用りようは少すくない。このため陰陽いんよう連絡れんらく路線ろせんとしての役割やくわりが色濃いろこい路線ろせんとなっている。

岡山おかやま県けんでは高校こうこう再編さいへんで、旧きゅう大原おおはら町まちにあった岡山おかやま県立けんりつ大原おおはら高等こうとう学校がっこうが、岡山おかやま県立けんりつ林野りんや高等こうとう学校がっこう（美作みさく市し・姫新線きしんせん林野はやしの駅えきが最寄駅もよりえきで、駅えきから高校こうこうまでは徒歩とほで約やく25分ふん）に統合とうごうされたが、姫新線きしんせんの運転うんてん本数ほんすうが近年きんねん削減さくげんされていることもあり林野りんや高等こうとう学校がっこうへの列車れっしゃ通学つうがくは事実じじつ上じょう困難こんなんである。普通ふつう列車れっしゃが高速こうそくであるため、岡山おかやま県けんの沿線えんせんでも県内けんない和気わき町まちにある岡山おかやま県立けんりつ和気わき閑谷しずたに高等こうとう学校がっこうへは、上郡かみごおり駅えき経由けいゆでの通学つうがくも不可能ふかのうではないダイヤであるが、ここでも学区がっくの制約せいやくが生しょうじる。なお、2019年ねん春はるからは沿線えんせんの西粟倉にしあわくら村むら及および美作みさく市しの旧きゅう大原おおはら町まち・東粟倉ひがしあわくら村むら地区ちくから兵庫ひょうご県立けんりつ佐用高等学校さようこうとうがっこうへの越こし県けん通学つうがくが可能かのうとなる。

輸送ゆそう実績じっせき

智頭線ちずせんの輸送ゆそう実績じっせきを下表かひょうに記しるす。 表ひょう中ちゅう、輸送ゆそう人員じんいんの単位たんいは万まん人にん。輸送ゆそう人員じんいんは年度ねんどでの値ね。表ひょう中ちゅう、最さい高値たかねを赤色あかいろで、最さい高値たかねを記録きろくした年度ねんど以降いこうの最低さいてい値ちを青色あおいろで、最さい高値たかねを記録きろくした年度ねんど以前いぜんの最低さいてい値ちを緑色みどりいろで表記ひょうきしている。

年度ねんど別べつ輸送ゆそう実績じっせき
年度ねんど	輸送ゆそう実績じっせき（乗車じょうしゃ人員じんいん）：万まん人にん/年度ねんど				輸送ゆそう密度みつど 人ひと/1日にち	特記とっき事項じこう
	通勤つうきん 定期ていき	通学つうがく 定期ていき	定期ていき外がい	合計ごうけい
1994年ねん（平成へいせい6年ねん）	0.6	1.1	19.3	21.0	1,251
1995年ねん（平成へいせい7年ねん）	3.0	8.9	80.9	92.8	2,012
1996年ねん（平成へいせい8年ねん）	3.5	8.5	85.9	97.9	2,210
1997年ねん（平成へいせい9年ねん）	3.1	11.0	97.8	111.9	2,525
1998年ねん（平成へいせい10年ねん）	3.2	10.0	105.8	119.0	2,723
1999年ねん（平成へいせい11年ねん）	3.1	12.0	105.7	120.8	2,726
2000年ねん（平成へいせい12年ねん）	2.9	11.7	108.0	122.6	2,787
2001年ねん（平成へいせい13年ねん）	2.9	11.0	109.7	123.6	2,785
2002年ねん（平成へいせい14年ねん）	2.7	11.0	108.1	121.8	2,773
2003年ねん（平成へいせい15年ねん）	3.1	11.3	112.2	126.6	2,930
2004年ねん（平成へいせい16年ねん）	3.0	11.1	113.8	127.9	2,966
2005年ねん（平成へいせい17年ねん）
2006年ねん（平成へいせい18年ねん）
2007年ねん（平成へいせい19年ねん）
2008年ねん（平成へいせい20年ねん）
2009年ねん（平成へいせい21年ねん）
2010年ねん（平成へいせい22年ねん）
2011年ねん（平成へいせい23年ねん）
2012年ねん（平成へいせい24年ねん）	2.5	8.1	95.9	106.5	2,568
2013年ねん（平成へいせい25年ねん）	2.2	10.2	93.1	105.5	2,509
2014年ねん（平成へいせい26年ねん）	1.9	9.1	95.7	106.7	2,554
2015年ねん（平成へいせい27年ねん）	1.9	10.5	100.1	112.5	2,675
2016年ねん（平成へいせい28年ねん）	1.9	10.8	100.1	112.8	2,683
2017年ねん（平成へいせい29年ねん）	2.4	12.7	102.4	117.5	2,701
2018年ねん（平成へいせい30年ねん）	2.6	14.0	97.8	114.4	2,521
2019年ねん（令れい和わ元年がんねん）	2.5	13.8	96.0	112.3	2,472
2020年ねん（令れい和わ2年ねん）	2.1	11.5	37.9	51.5	1,083

鉄道てつどう統計とうけい年報ねんぽう運輸うんゆ成績せいせき表ひょう（国土こくど交通省こうつうしょう）・運輸うんゆ要覧ようらん（中国ちゅうごく運輸うんゆ局きょく）より抜粋ばっすい。

収入しゅうにゅう実績じっせき

智頭線ちずせんの収入しゅうにゅう実績じっせきを下表かひょうに記しるす。 表ひょう中ちゅう、収入しゅうにゅうの単位たんいは千せん円えん。数値すうちは年度ねんどでの値ね。表ひょう中ちゅう、最さい高値たかねを赤色あかいろで、最さい高値たかねを記録きろくした年度ねんど以降いこうの最低さいてい値ちを青色あおいろで、最さい高値たかねを記録きろくした年度ねんど以前いぜんの最低さいてい値ちを緑色みどりいろで表記ひょうきしている。

年度ねんど別べつ収入しゅうにゅう実績じっせき
年度ねんど	旅客りょかく運賃うんちん収入しゅうにゅう：千せん円えん/年度ねんど						運輸うんゆ雑ざつ収おさむ 千せん円えん/年度ねんど	総そう合計ごうけい 千せん円えん/年度ねんど	営業えいぎょう 係数けいすう
	通勤つうきん定期ていき	通学つうがく定期ていき	定期ていき計けい	定期ていき外がい	手て小荷物こにもつ	合計ごうけい
1994年ねん（平成へいせい6年ねん）	1,518	1,778	3,296	219,974	0	223,270	133,459	356,729
1995年ねん（平成へいせい7年ねん）
1996年ねん（平成へいせい8年ねん）
1997年ねん（平成へいせい9年ねん）
1998年ねん（平成へいせい10年ねん）	8,775	16,753	25,528	1,443,369	0	1,468,897	1,391,393	2,860,290
1999年ねん（平成へいせい11年ねん）
2000年ねん（平成へいせい12年ねん）
2001年ねん（平成へいせい13年ねん）
2002年ねん（平成へいせい14年ねん）
2003年ねん（平成へいせい15年ねん）
2004年ねん（平成へいせい16年ねん）	4,182	15,320	19,502	1,564,705	0	1,584,207	1,594,537	3,178,744
2005年ねん（平成へいせい17年ねん）
2006年ねん（平成へいせい18年ねん）
2007年ねん（平成へいせい19年ねん）
2008年ねん（平成へいせい20年ねん）
2009年ねん（平成へいせい21年ねん）	7,503	10,200	17,703	1,291,909	0	1,309,612	1,619,480	2,929,092
2010年ねん（平成へいせい22年ねん）			17,408	1,290,431	0	1,307,839	1,548,738	2,856,577
2011年ねん（平成へいせい23年ねん）
2012年ねん（平成へいせい24年ねん）			15,443	1,296,493	0	1,311,936	1,443,525	2,755,461	93
2013年ねん（平成へいせい25年ねん）			18,192	1,294,504	0	1,312,696	1,487,079	2,799,775	90
2014年ねん（平成へいせい26年ねん）			14,348	1,286,483	0	1,300,831	1,453,035	2,753,866	87
2015年ねん（平成へいせい27年ねん）			16,852	1,355,198		1,372,050	1,405,379	2,777,429	84
2016年ねん（平成へいせい28年ねん）			17,353	1,344,367		1,361,720	1,388,168	2,749,888	86
2017年ねん（平成へいせい29年ねん）			21,724	1,370,744		1,392,468	1,401,577	2,794,045	92
2018年ねん（平成へいせい30年ねん）			24,630	1,289,000		1,313,630	1,379,681	2,693,311	95
2019年ねん（令れい和わ元年がんねん）			24,302	1,261,995		1,286,297	1,476,724	2,763,021	92

運輸うんゆ要覧ようらん（中国ちゅうごく運輸うんゆ局きょく）より抜粋ばっすい。

使用しよう車両しゃりょう

全線ぜんせんが非ひ電化でんかで、客車きゃくしゃ列車れっしゃも運行うんこうされないためすべて気動車きどうしゃで運転うんてんされている。智頭線ちずせんは全線ぜんせんにATS-Pのみを採用さいようしているため、同どう装置そうちが装備そうびされていない車両しゃりょうは入線にゅうせんできない。

• HOT3500形かたち
  • 上郡かみごおり駅えき - 大原おおはら駅えき - 智頭ちず駅えき間あいだで、列車れっしゃ番号ばんごうが720 - 760番台ばんだい。直通ちょくつう列車れっしゃは智頭ちずで列車れっしゃ番号ばんごうが変かわる。
• HOT7000系けい
  • 京都きょうと駅えき - 鳥取とっとり駅えき・倉吉くらよし駅えき間あいだで、列車れっしゃ番号ばんごうが50 - 60番台ばんだい（特急とっきゅうスーパーはくと）。上のぼり・下くだりともに号ごう数すう+50。
• JR西日本にしにほんキハ187系けい（500番台ばんだい）
  • 岡山おかやま駅えき - 鳥取とっとり駅えき間あいだで、列車れっしゃ番号ばんごうが70 - 80番台ばんだい（1往復おうふくは9030番台ばんだい）（特急とっきゅうスーパーいなば）。上のぼり・下くだりともに号ごう数すう+70（1往復おうふくは号ごう数すう+8940）。上郡かみごおりで列車れっしゃ番号ばんごうが変かわり、進行しんこう方向ほうこうも変かわる。
• JR西日本にしにほんキヤ141系けい気動車きどうしゃ
  • 検けん測はかで入線にゅうせんすることがある。

乗車じょうしゃ券けん

運賃うんちん・料金りょうきんについては「智頭ちず急行きゅうこう#運賃うんちん・料金りょうきん」を、企画きかく乗車じょうしゃ券けんの詳細しょうさいについては「智頭ちず急行きゅうこう#企画きかく乗車じょうしゃ券けん」を参照さんしょう

通年つうねんで1日にち有効ゆうこうの特別とくべつ企画きかく乗車じょうしゃ券けんとして、「智頭線ちずせん普通ふつう列車れっしゃ1日にち乗車じょうしゃ券けん」（大人おとな2000円えん、小児しょうに1000円えん）が通年つうねん販売はんばいされている。普通ふつう列車れっしゃが乗のり放題ほうだいとなる。特急とっきゅう列車れっしゃには乗車じょうしゃできず、別途べっと特急とっきゅう券けんおよび乗車じょうしゃ券けんも購入こうにゅうしなければならない。

JR旅客りょかく会社かいしゃで発売はつばいしている「青春せいしゅん18きっぷ」で乗車じょうしゃすることはできない。

駅えき一覧いちらん

• ●：停車ていしゃ ｜：通過つうか
• 普通ふつう列車れっしゃは全ぜん駅えき停車ていしゃ
• 列車れっしゃ交換こうかん…∨・◇：列車れっしゃ交換こうかん可能かのう ｜：列車れっしゃ交換こうかん不可能ふかのう

駅名えきめい	営業えいぎょうキロ		特急とっきゅう	接続せつぞく路線ろせん	線路せんろ	所在地しょざいち
	駅えき間あいだ	累計るいけい
上郡かみごおり駅えき	-	0.0	●	西日本旅客鉄道にしにほんりょかくてつどう： 山陽本線さんようほんせん	∨	兵庫ひょうご県けん	赤穂あこう郡ぐん 上郡かみごおり町まち
（岩木いわき信号しんごう場じょう）	-	(3.8)	｜		◇
苔縄こけなわ駅えき	4.8	4.8	｜		｜
河野こうの原はら円心えんしん駅えき	2.6	7.4	｜		◇
久崎くざき駅えき	4.8	12.2	｜		◇		佐用さよう郡ぐん 佐用さよう町まち
佐用さよう駅えき	5.0	17.2	●	西日本旅客鉄道にしにほんりょかくてつどう： 姫新線きしんせん	◇
平福ひらふく駅えき	5.3	22.5	｜		◇
石井いしい駅えき	4.6	27.1	｜		｜
宮本みやもと武蔵むさし駅えき	3.5	30.6	｜		｜	岡山おかやま県けん	美作みさく市し
大原おおはら駅えき	2.6	33.2	●		◇
西粟倉にしあわくら駅えき	4.2	37.4	｜		｜		英田あいだ郡ぐん 西粟倉にしあわくら村むら
あわくら温泉おんせん駅えき	3.2	40.6	｜		◇
山郷さんごう駅えき	6.6	47.2	｜		｜	鳥取とっとり県けん	八頭やつがしら郡ぐん 智頭ちず町まち
恋こい山形やまがた駅えき	2.8	50.0	｜		◇
智頭ちず駅えき	6.1	56.1	●	西日本旅客鉄道にしにほんりょかくてつどう： 因美線いんびせん	◇

上郡かみごおり駅えき・大原おおはら駅えき・智頭ちず駅えきは智頭ちず急行きゅうこうの直営ちょくえい駅えき、佐用さよう駅えきはJR西日本にしにほん交通こうつうサービスによる業務ぎょうむ委託いたく駅えき、その他たの駅えきは無人むじん駅えきである。

参考さんこう文献ぶんけん

• 日本鉄道建設公団にほんてつどうけんせつこうだん高速こうそく化か研究けんきゅう会かい 編へん『三さんセク新しん線せん高速こうそく化かの軌跡きせき』（初版しょはん）交通こうつう新聞しんぶん社しゃ、1998年ねん10月がつ20日はつか。ISBN 4-87513-077-5。 
• 川島かわしま令三けいぞう編著へんちょ『山陽さんよう・山陰さんいんライン - 全線ぜんせん・全ぜん駅えき・全ぜん配線はいせん』3 京都きょうと北部ほくぶ・兵庫ひょうごエリア、講談社こうだんしゃ、2012年ねん。ISBN 978-4-06-295153-1。

関連かんれん項目こうもく

• 日本にっぽんの鉄道てつどう路線ろせん一覧いちらん
• 大鳥おおとり圭介けいすけ - 明治めいじ時代じだいに山陽さんよう鉄道てつどう上郡かみごおり駅えきの誘致ゆうち、上郡かみごおりから鳥取とっとりに至いたる鉄道てつどう計画けいかくに関与かんよ。
• 鳥取とっとり自動車じどうしゃ道どう