津野つの氏し

津野つの氏し （天正てんしょう6年ねん（1578年ねん）絶家ぜっけ）
丸まるの内うち一文字ひともじ（まるのうちいちもんじ）
本姓ほんせい	藤原ふじわら北きた家か基もと経けい流りゅう
家いえ祖そ	津野つの経けい高だか
種別しゅべつ	武家ぶけ
出身しゅっしん地ち	土佐とさ国こく高岡たかおか郡ぐん津野つの郷さと
主おもな根拠地こんきょち	土佐とさ国こく高岡たかおか郡ぐん津野つの郷きょう
著名ちょめいな人物じんぶつ	津野つの之これ高だか 津野つの基はじめ高だか 絶海ぜっかい中津なかつ
支流しりゅう、分家ぶんけ	中平なかひら氏し（武家ぶけ）
凡例はんれい / Category:日本にっぽんの氏族しぞく

津野つの氏し（つのし）は土佐とさ国こく高岡たかおか郡ぐんの豪族ごうぞく。土佐とさ七雄ななおの一ひとつ。高岡たかおか郡ぐんのうち中西部ちゅうせいぶの津野つの荘そう・山間さんかん部ぶの津野つの新荘しんじょう・檮原ゆすはら荘そうを拠点きょてんとした。

歴史れきし

• 津野つの氏しは、家伝かでんによれば藤原基経ふじわらのもとつねの後裔こうえい、藤原ふじわら経けい高だか（つねたか）を始祖しそとする。経けい高だかは罪つみを得えて延喜えんぎ10年ねん（910年ねん）伊い予よに下くだり浮穴うけな郡ぐん川上かわかみ庄しょう山内やまうち谷たにを経へて、同どう13年ねん（913年ねん）に土佐とさ国こくに入はいり、高岡たかおか郡ぐん津野つの山さんを開拓かいたくし名字みょうじを津野つのに改あらためと伝つたえられているが、諸説しょせつがあるので断定だんていできない。（中央ちゅうおうの貴族きぞくが地方ちほうの荘園しょうえん支配しはいの為ために、相続そうぞく外がいの子女しじょによる婚姻こんいん・養子ようし縁組えんぐみは常套じょうとうであった）
• 高岡たかおか郡ぐん津野つの山やまが現在げんざいの高知こうち県けん高岡たかおか郡ぐん津野つの町まち付近ふきんから梼原ゆすはら町まちに及およぶと推測すいそくされる。津野つの荘そうと称しょうされるのは、資料しりょう等とうから高知こうち県けん須崎すさき市し吾井郷あいのごう付近ふきんであると考かんがえられ、須崎すさき市し新荘しんじょう、上うえ・下分しもぶん地区ちくを津野つの新しん荘そうとも推測すいそくされている（後述こうじゅつの津野つの荘そうの項こう参照さんしょう）
• 津野つの氏しは高岡たかおか郡ぐん姫野ひめの々に姫野々ひめのの城じょうを築きずき、以後いご、中世ちゅうせいを通つうじて、津野つの荘そうの地頭じとうとして発展はってんした。
• 津野つの氏しも土佐とさ一条いちじょう氏しや大平おおひら氏しと並ならび文人ぶんじんとして知しられた。
• 中興ちゅうこうの祖そとされる津野つの之これ高だか（ゆきたか、名なは光ひかり高だか（みつたか）とも）は伊い予よ河野こうの氏しの出身しゅっしんとされる。
• 津野つの基はじめ高だか（もとたか）は、天文てんもん15年ねん（1543年ねん）一条いちじょう房ぼう基もとに降伏ごうぶくして、家臣かしんとして存続そんぞくを図はかる。基もと高だかの孫まご、勝かち興きょう（かつおき）は天正てんしょう6年ねん（1578年ねん）に没ぼっし、津野つの氏しの正統せいとうは途絶とだえる。

津野つの荘そう

津野つの荘そうは京きょうの賀茂かも御ご祖神そしん社しゃの荘園しょうえんで、高岡たかおか郡ぐん吾井郷あいのごう津野つの保たもつ（現げん・高知こうち県けん須崎すさき市し吾井郷あいのごう）にあった。本来ほんらいは土佐とさ国こくの賀茂かも御ご祖神そしん社しゃの荘園しょうえんは土佐とさ郡ぐん潮江しおえ荘そうであったが津波つなみにより水没すいぼつ、代かわって津野つの荘そうが立たて荘そうされた。 また、津野つの新荘しんじょうは土讃線どさんせん土佐とさ新荘しんじょう駅えきや新荘川しんじょうがわにその名なをとどめており、名称めいしょうからして津野つの荘そうの成立せいりつ後ごに津野つの新しん荘そうが成立せいりつしたものと考かんがえられる。 新荘川しんじょうがわの流域りゅういきに津野つの氏しの山やまの拠点きょてんとなった姫野々ひめのの城じょうがある。名称めいしょうからの推測すいそくでは津野つの氏しは最初さいしょは津野つの荘そうの地頭じとうとなり、その後山あとやま深ふかい津野つの新荘しんじょうの地頭じとうも兼かねるようになったと考かんがえられる。

系譜けいふ・歴代れきだい当主とうしゅ

• 藤原基経ふじわらのもとつね – 摂政せっしょう・関白かんぱく
• 藤原ふじわら仲平なかひら – 左大臣さだいじん
• 津野つの経けい高だか（つねたか） – 蔵人くろうど頭あたま、称しょう・津野つの姓せい
• 津野つの経けい義よし（つねよし）
• 津野つの国こく高だか（くにたか）
• 津野つの高行たかゆき（たかゆき）
• 津野つの高こう統みつる（たかむね）
• 津野つの頼よりゆき高だか（よりたか）
• 津野つの繁しげる高だか（しげたか） – 土佐とさ守護しゅご・細川ほそかわ繁しげる氏しより偏へん諱いみなを賜たまう。
• 津野つの浄きよし高だか（きよたか）
• 津野つの元高もとだか（もとたか）
• 津野つの春はる高だか（はるたか）
• 津野つの満みつる高だか（みつたか）
• 津野つの満之まんし（みつゆき）
• 津野つの之の勝かち（ゆきかつ）
• 津野つの通重みちしげ（みちしげ） – 之の勝かちの子こ・泰たい高だか（やすたか）の弟おとうととされるが、「通つう」の字じから伊い予よ河野こうの氏しの出身しゅっしんの可能かのう性せいが高たかい。「河野こうの通重みちしげ」としても伝つたわる。
• 津野つの之これ高だか（ゆきたか、応おう永なが25年ねん（1418年ねん） – 文明ぶんめい11年ねん（1479年ねん）） – 伊い予よ河野こうの氏しの出身しゅっしんで通重みちしげの養子ようし（通重みちしげが河野こうの氏し出身しゅっしんの場合ばあいはその実子じっし）とされる。一説いっせつに春はる高だかの子こまたは養子ようしとも。土佐とさ守護しゅご・細川ほそかわ持じ之のより偏へん諱いみなを賜たまう。
• 津野つの元もと藤ふじ（もとふじ） – 土佐とさ守護しゅご・細川ほそかわ勝元かつもとより偏へん諱いみなを賜たまう。父ちち・之これ高だかより嫡子ちゃくしに指名しめいされるが、これを不服ふふくとした兄あに・常つね高だか（つねたか、常定つねさだとも）と対立たいりつ。のち和睦わぼくして常つね高だかの系統けいとう（常つね高だか – 元もと房ぼう – 元忠もとただ –  –  – ）は中平なかひら氏しを称しょうした。
• 津野つの元もと勝かち（もとかつ） – 土佐とさ守護しゅご・細川ほそかわ政まさし元もとより偏へん諱いみなを賜たまう。（※ 元もと藤ふじと元もと実みの間あいだに元もと勝かちを入いれないとする説せつ（系図けいず）もある。）
• 津野つの元もと実み（もとざね、文明ぶんめい14年ねん（1482年ねん） – 永なが正せい14年ねん（1517年ねん）） – 土佐とさ守護しゅご・細川ほそかわ政まさし元もとより偏へん諱いみなを賜たまう。永えい正ただし14年ねん（永えい正ただし14年ねん（1517年ねん））、土佐とさ一条いちじょう氏しの家臣かしん・福井ふくい玄蕃げんばを攻せめるが、一条いちじょう氏しによる援軍えんぐんに敗やぶれ戦死せんし。
  • 中平なかひら元忠もとただ（兵庫ひょうご助すけ） – 元もと藤ふじの兄あに・常つね高だかの孫まご。元もと実じつ亡なき後あと、その遺子いし・国くに泰たいを当主とうしゅに立たてるも幼少ようしょうであったため、成長せいちょうまでその代理だいり的てき存在そんざいとして活躍かつやく。のち基もと高だかとともに土佐とさ一条いちじょう氏しに降伏ごうぶく。
• 津野つの国こく泰やすし（くにやす） – 土佐とさ守護しゅご・細川ほそかわ高だか国こくより偏へん諱いみなを賜たまう。
• 津野つの基はじめ高だか（もとたか、文ぶん亀かめ3年ねん（1503年ねん） – 天文てんもん22年ねん（1553年ねん）） – 元もと実みの実弟じってい・山内やまうち摂津せっつ守もり（実名じつめい不ふ詳しょう）の子こ（国くに泰たいの従弟じゅうていにあたる）。土佐とさ一条いちじょう房ぼう基もとより偏へん諱いみなを賜たまうが、のちに謀反むほんを起おこして房ぼう基もとに敗やぶれ降伏ごうぶく。
• 津野つの定勝さだかつ（さだかつ） – 名めいは定雄さだお（読よみ同おなじ）とも。土佐とさ一条いちじょう兼定かねさだより偏へん諱いみなを賜たまう。長宗我部ちょうそかべ元親もとちかより降伏ごうぶくの勧告かんこくを受うけるも拒否きょひし、長宗我部ちょうそかべ氏しへの恭順きょうじゅんを決意けついした家臣かしんたちによって伊い予よへ追放ついほうされる。
• 津野つの勝まさる興きょう（かつおき、? – 天正てんしょう6年ねん（1578年ねん））- 父ちちの姿勢しせいを継ついで長宗我部ちょうそかべ元親もとちかに対抗たいこうするが、のちに降伏ごうぶく。
• 津野つの親忠ちかただ（ちかただ） – 長宗我部ちょうそかべ元親もとちかの三男さんなんで勝かち興きょうの養子ようしとなる。

参考さんこう文献ぶんけん

• 『高知こうち県けん史し』
• 『高知こうち県けんの歴史れきし』p.37, p.97 土佐とさ国こくの郡ぐんと荘園しょうえん、p.118 掘ほり出だされた姫野々ひめののの城しろ、国人くにびと領主りょうしゅたちの台頭たいとう、津野つの荘そう民みんの伊勢いせ参詣さんけいと御ご師しの活躍かつやく

関連かんれん項目こうもく

• 土佐とさ一条いちじょう氏し
• 大平おおひら氏し
• 津野つの

外部がいぶリンク

• 武家ぶけ家伝かでん – 津野つの氏し