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なが

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

なが(ながれ、えい: flowやstreamなど)は

  1. なにかがながれること[1][2]。つまり、たとえばみずなどがうつうごくこと[3]時間じかんとともに空間くうかんうち位置いち変化へんかしてゆくこと。
    1. 液体えきたい気体きたいうつうごくこと。接頭せっとうをつけて「~ながれ」あるいはたんに「~りゅう」とばれる。
    2. ひとくるま
  2. 技芸ぎげい学問がくもん思想しそうなどをから弟子でしへのようにひとからひとへ、あるいは組織そしきから組織そしきへとぐこと[1]産業さんぎょう文化ぶんかなど幅広はばひろもちいる。空間くうかんてきよりも時間じかんてきながれを意識いしきしている。

ほん記事きじでは1を中心ちゅうしんに、だが、そのふくめてひろ解説かいせつする。

概説がいせつ

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ながれとはなにかのうつうごきである。

みずなが

歴史れきしてきれば人類じんるいにとってはみずながれや空気くうきながれが馴染なじふかい。人類じんるい小川おがわかわかわなどのながれをてきた歴史れきしがあり、自分じぶんたちをつつんでいる空気くうきながれをふうとしてかんじてきた歴史れきしがある。みず空気くうき人類じんるいにとって液体えきたい気体きたい代表だいひょうである。こうしたながれは人々ひとびと様々さまざまインスピレーションあたえてきた。かわながれなどに着想ちゃくそう文学ぶんがく作品さくひん多数たすう存在そんざいする[4]。これは画家がか技術ぎじゅつしゃにもさまざまなインスピレーションをあたえてきたらしい。レオナルド・ダ・ヴィンチみずながれのスケッチをいくつものこした[5]

現代げんだい工学こうがくてき観点かんてんから説明せつめいすると、液体えきたい気体きたい一定いっていかたちをもたず運動うんどう変形へんけいをつづけるもので、それにあたる液体えきたい気体きたい総称そうしょうして流体りゅうたいぶ。とくに、流体りゅうたい運動うんどう/静止せいし流体りゅうたい流体りゅうたいちゅう物体ぶったいおよぼす影響えいきょうなどを集中しゅうちゅうてき研究けんきゅうする学問がくもん流体りゅうたい力学りきがくである。なにかを「非常ひじょうおおくの粒子りゅうし運動うんどうしているけい」とかんがえられるときでも、個々ここ粒子りゅうしすべてについて運動うんどう記述きじゅつするのでは独立どくりつ変数へんすうかずおおすぎて工学こうがくてきには容易よういあつかえない。そこで巨視的きょしてき視点してんって、けい全体ぜんたいでの粒子りゅうし挙動きょどう運動うんどうの“傾向けいこう”をとら概念がいねんしたものが「ながれ」であると位置いちづけられる。また、流動りゅうどう現象げんしょうのほかに、拡散かくさんなどをふくめることもある。

流体りゅうたい力学りきがく以外いがいにもながれをあつか工学こうがく分野ぶんや、あるいは流体りゅうたい力学りきがく密接みっせつ関連かんれんじゅうなりがある工学こうがく分野ぶんやはいくつもあり、たとえば船舶せんぱく工学こうがく船舶せんぱくとそのまわりのみずながれに重点じゅうてんにおいて「ながれ」をあつかい、航空こうくう工学こうがくでは航空機こうくうきかんする空気くうきなどの「ながれ」をあつかう。

自動車じどうしゃなが

流体りゅうたい工学こうがくはなれて工学こうがく全般ぜんぱんかんしてえば、「ながれ」としてあつか対象たいしょうは、液体えきたい気体きたいなどのほかに、ひと自動車じどうしゃ一種いっしゅの「構成こうせい粒子りゅうし」と見立みたててその物理ぶつりてき移動いどうを「ながれ」としてあつかうこともある。自動車じどうしゃながれについてはとく交通こうつう工学こうがくあつかっている。

なお、かならずしも人間にんげん直感ちょっかんてき把握はあくできるようなはややサイズのものだけが「ながれ」とされているわけではない。たとえば、氷河ひょうがいちねんすうメートルしかうごかないうごきも「ながれ」や、合成ごうせい樹脂じゅし長期間ちょうきかんによる変形へんけいも「ながれ」として把握はあくされることもあるし、地球ちきゅう内部ないぶマントルうごきなど、人間にんげん日常にちじょう感覚かんかくからくらべるときわめてなが時間じかんおおきな空間くうかんとらえたものも「ながれ」として把握はあくされていることがある。合成ごうせい樹脂じゅしなどの固体こたいうつうごくことや、コロイド溶液ようえきなどのうごきなどは、前述ぜんじゅつのような「多数たすう粒子りゅうし自由じゆう運動うんどうなす」ような単純たんじゅん見方みかたでは把握はあくできない、もっと複雑ふくざつなことがきている。こうしたうごきはニュートン流動りゅうどう」「ニュートンながれ」などとばれ、レオロジーという学問がくもん領域りょういき研究けんきゅうされている。

ねつのように比較的ひかくてき抽象ちゅうしょうせいたかいことについても、数値すうちてきあらわし「ながれ」として把握はあくすることもおこなわれている。また、人間にんげん社会しゃかいてき所属しょぞくなど抽象ちゅうしょうてき位置いちうつりかわりについても「ながれ」として分析ぶんせきされることがある。

海流かいりゅう潮汐ちょうせき大気たいきうごきはながれとして把握はあくすることができ、地球ちきゅう物理ぶつりがく気象きしょうがくなどで研究けんきゅうされている。地球ちきゅう内部ないぶでは、マントルとよばれる液状えきじょう金属きんぞくながれていることがられており、こうしたことは、電磁でんじ流体りゅうたい力学りきがく地球ちきゅう物理ぶつりがくなどで研究けんきゅうされている。また、太陽たいようふう銀河ぎんが運動うんどうなど、宇宙うちゅう空間くうかんきていることでも「ながれ」として把握はあくできることは多々たたあり、天文学てんもんがく天体てんたい物理ぶつりがく等々とうとう研究けんきゅうされている。

金銭きんせんながれの把握はあくには様々さまざまなものがあるが、たとえば現金げんきんながれについては「キャッシュ・フロー」として、会計かいけいがく経理けいり実務じつむ領域りょういき経営けいえいがくとうあつかわれている。

ながれの原因げんいん様々さまざまである、物体ぶったいてきながれの場合ばあいでは、(物体ぶったい一旦いったんうごきだせば慣性かんせい法則ほうそくうごきつづける性質せいしつがあり、流体りゅうたい自在じざい変形へんけいしながらうごつづける性質せいしつがあり、それははたらいていることを前提ぜんていとして)たとえばかわながれなどの場合ばあいはおおむね重力じゅうりょくみずおも自体じたい)がおも原因げんいんになっている。ふう場合ばあい、いくつか要因よういんはあるがしゅとして気圧きあつ上昇じょうしょう気流きりゅう下降かこう気流きりゅう空気くうき温度おんどによるおもさの電流でんりゅう場合ばあい様々さまざまありうるが、たとえば電圧でんあつ電位差でんいさ)が原因げんいんのひとつとしてあげられる。物質ぶっしつ拡散かくさん場合ばあいにはしゅとして濃度のうどひとながれの場合ばあいは、一方いっぽうなにひと魅力みりょくかんじる要素ようそ様々さまざま意味いみでの“環境かんきょう”のさ、その内容ないよう多岐たきわたる)が誘因ゆういんになりそこへちかづく方向ほうこうながれをこし、他方たほうである場所ばしょの“環境かんきょう”のわるさ(たとえば地方ちほう政府せいふ中央ちゅうおう政府せいふによる悪政あくせい犯罪はんざいりつたかさ、原子力げんしりょく発電はつでんしょ事故じこによる放射能ほうしゃのう汚染おせん等々とうとう等々とうとう)がそこからはなれるながれ(移住いじゅう国外こくがい脱出だっしゅつ難民なんみん 等々とうとう傾向けいこう)をこす。


種類しゅるい分類ぶんるい

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まず基本きほんてきに、つぎのようにながれている「もの」の種類しゅるい分類ぶんるいすることがひろおこなわれている。

  • 水流すいりゅう - みずなが
  • 海流かいりゅう - 海水かいすいなが
  • 気流きりゅう - 空気くうきながれ(気象きしょうがく用語ようご)。あるいはガス(気体きたいるい全般ぜんぱんながれ(物理ぶつりがく用語ようご
  • 電流でんりゅう - "電気でんき" のながれ。(まだ電子でんし存在そんざいられていなかった時代じだいに、たまたま、電子でんしながれとぎゃくのものを想定そうていして「電流でんりゅう」とんでしまうミスをしていた、ということは時代じだい判明はんめいしたがときすでにおそく、修正しゅうせいできなかった。)
  • りゅう(けつりゅう) - (基本きほんてき血管けっかんないの)血液けつえきながれ。(血管けっかんがい血液けつえきながることは「流血りゅうけつ」というが、これは「流血りゅうけつ惨事さんじ」などと使つかい、事件じけんなどに使つか概念がいねんであり、りゅうとはべつ概念がいねんである。)
  • 物流ぶつりゅう(ぶつりゅう) - 商品しょうひん消費しょうひしゃのもとにとどけられるながれのこと[6]
  • かねりゅう(きんりゅう) - 売買ばいばい取引とりひきによって発生はっせいする金銭きんせんなが[7]
  • ひとりゅう(じんりゅう) - ひと人間にんげん)のながれ。さまざまな分野ぶんや使つか概念がいねんであり、たとえば都市とし工学こうがくマーケティング政策せいさくがくなどでも使つかう。
  • データフロー - データ(情報じょうほう)のながれ(情報じょうほう工学こうがく用語ようご

流体りゅうたい工学こうがくてき分類ぶんるいについては次節じせつ#工学こうがくにおける分類ぶんるい解説かいせつ

流体りゅうたい工学こうがくなど

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工学こうがくにおける分類ぶんるい

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はやさによる分類ぶんるい

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ながれを、音速おんそくたいするはやさのによって分類ぶんるいすることがある。「ながれのはやさ=音速おんそく」のときマッハ 1.0である。

音速おんそく
ながれが音速おんそくよりもおそ状態じょうたい。~マッハ0.8程度ていどすこともおおい。
遷音そく
ながれが音速おんそく付近ふきん状態じょうたい。マッハ0.8~1.2程度ていどすことがおおい。
ちょう音速おんそくごくちょう音速おんそく
ながれが音速おんそくよりもはや状態じょうたい。マッハ1.2~をすこともおおい。

粘性ねんせい有無うむによる分類ぶんるい

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ながれは粘性ねんせい有無うむによっても分類ぶんるいされることがある。

レイノルズすうによる分類ぶんるい

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粘性ねんせいながれはさらに、レイノルズすうによってそうりゅうらんりゅう区別くべつされ、レイノルズすうがある程度ていどちいさいとそうりゅうになり、おおきいとみだれりゅう判断はんだんされる。

こんしょうりゅう

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みず気泡きほうふくんでいたり、みずなか固体こたい多数たすうかんでいる状態じょうたいながれていると、それはそれで独特どくとく性質せいしつつ。2しゅ以上いじょうのものがじった状態じょうたいを、複数ふくすうの「そう」が全体ぜんたいながれをつくっているとなして「こんしょうりゅう」と分類ぶんるいして研究けんきゅうされている。

ながれの可視かし

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ながれせんによるながれの可視かし分析ぶんせき

ながれの様子ようす肉眼にくがんでは直接ちょくせつ観察かんさつできないことがおおいため、速度そくどじょう温度おんどじょうなどを視覚しかくてき表現ひょうげんするながれの可視かしおこなわれる。速度そくどけい温度おんどけいによる計測けいそくでは空間くうかんじょうのあるいちてんでのもとめるが、可視かし場合ばあいはある範囲はんい次元じげんめんあるいはさん次元じげん空間くうかん)の情報じょうほう必要ひつようとする。ただし、速度そくどけいとして使つかわれることがおおピトーかんであっても、トラバース(移動いどう)することで空間くうかんてき速度そくどじょうるなど、技術ぎじゅつてき重複じゅうふくする場合ばあいもある。

また、現実げんじつながじょう計測けいそくする場合ばあいのほかに、数値すうち流体りゅうたい力学りきがく (CFD) によるシミュレーション結果けっか画像がぞう表現ひょうげんすることも可視かしばれる。CFDの特徴とくちょうとして、さん次元じげん計算けいさん場合ばあい空間くうかんないが(格子こうし/粒子りゅうしのあるところについては)すべもとまることがげられる。したがって、さん次元じげんてき速度そくどじょう情報じょうほうから、りゅうせんうずとうめん、あるいはりゅうあとせん (particle path) などを直接ちょくせつ生成せいせい可視かしできる。

ながれの可視かし手法しゅほうれい

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けむり
気流きりゅうちゅうけむりながして速度そくどじょう観察かんさつする。けむり観察かんさつとくした風洞ふうどうけむり風洞ふうどうばれる。類似るいじ手法しゅほうとして水槽すいそうなか染料せんりょうなが方法ほうほうもある。
シャボンだま
ヘリウムなど空気くうきよりもてい密度みつど気体きたい利用りようして、平均へいきん密度みつど空気くうきひとしいあわ(シャボンだま)を大量たいりょうつくり、そこに物体ぶったい通過つうかさせることで、速度そくどじょう観察かんさつする。たとえば、とり飛行ひこう研究けんきゅう使つかわれたれいがある[8]
タフト
気流きりゅうちゅういちはし固定こていしたいと(タフト tuft)を一本いっぽんまたは複数ふくすう設置せっちし、速度そくどじょう観察かんさつする。たとえば航空機こうくうき表面ひょうめんなどに設置せっちされる。
ピトーかんトラバース
ピトーかん(ピトーせいあつかん)により空間くうかんじょういちてん速度そくど圧力あつりょくもとまる。ピトーかん位置いち次々つぎつぎえることで空間くうかんてき速度そくど分布ぶんぷもとめることができるが、ながれが時間じかんてき変化へんかする定常ていじょうながれへの適用てきようには困難こんなんもある。境界きょうかいそう速度そくど分布ぶんぷ測定そくていようなどに、複数ふくすうのピトーかんたばねた装置そうち存在そんざいする。
粒子りゅうし画像がぞう流速りゅうそく測定そくていほう (PIV, particle image velocimetry)
ながれに追随ついずいする微小びしょう粒子りゅうし粉末ふんまつあぶらなど)を気流きりゅうちゅう散布さんぷし、レーザーシートを照射しょうしゃする。粒子りゅうし反射はんしゃしたひかりから画像がぞうをコンピュータで解析かいせきして速度そくどじょうる。二次元にじげんめんない定量ていりょうてき速度そくど情報じょうほういちに(トラバースの必要ひつようなく)られ、空間くうかん解像度かいぞうどたかいため、低速ていそくから音速おんそく、あるいはちょう音速おんそくながじょうにしばしば適用てきようされる。狭義きょうぎには2時刻じこく粒子りゅうし画像がぞう相関そうかんから速度そくどじょうもとめるものをPIVとび、個々ここ粒子りゅうし追跡ついせきする手法しゅほうPTV (particle tracking velocimetry) とんで区別くべつすることがある。一般いっぱんにはレーザーシートめんない方向ほうこう速度そくど成分せいぶんしかられないが、めんがい方向ほうこう成分せいぶんられるステレオPIVなどの各種かくしゅ手法しゅほう開発かいはつされている。
LIDAR(ライダ)
シャドウグラフほう
シュリーレンほう
かんあつ塗料とりょう (PSP, pressure-sensitive paint)
ながれそのものの可視かしではないが、風洞ふうどうないいた物体ぶったい表面ひょうめん圧力あつりょく可視かしなどに使つかわれる。

情報じょうほう工学こうがく

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情報じょうほう工学こうがくでは情報じょうほうながれをデータフローとよぶ。

フローチャート日本語にほんごでは「なが」などといい、システムの動作どうさ判断はんだんの「ながれ」をチャート(図式ずしきしたものである。条件じょうけん分岐ぶんきつまりながれが条件じょうけんにより分岐ぶんきすることやループ(くるくるとなんまわるようなながれ)も表現ひょうげんできるようになっている。べつのいいかたをするとアルゴリズム表現ひょうげんした

感覚かんかくてき表現ひょうげん

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ものごとは様々さまざま因果いんが連鎖れんさのようなものできている、というめんがある。こうした因果いんが連鎖れんさ)を日本語にほんごでは「ながれ」と感覚かんかくてき表現ひょうげんすることがある。

ひとわるながれ(わる因果いんがわる連鎖れんさ)におちいってしまった場合ばあいにはくるしむわけであるが、そうした状況じょうきょうでもそれをえることができる場合ばあいわる場合ばあいもある。主体しゅたいてき行動こうどうこして行動こうどうこすことを「ながれをえる」と日本語にほんごでは表現ひょうげんしている。(さほど主体性しゅたいせいがなく、いくぶんひとまかせの気持きもちを表現ひょうげんをするときは)「ながれがわる」とか「ながれはわる[9]」などと表現ひょうげんしている。

なお、出来できごとを「い」「わるい」という観点かんてんから分類ぶんるいすることがあるが、たとえばいことがさらにいことをこしている状態じょうたいはしばしば「こう循環じゅんかん」とい、わるいことがさらにわるいことをこすことは「悪循環あくじゅんかん」とんでいる。

あるひと人生じんせいきる一連いちれんのできごとを「ながれ」とぶことがあるが、それはそのひと周囲しゅうい世界せかいとの絶妙ぜつみょう相互そうご作用さようきていることはおおい。ひと他人たにんこしているものごとには意識いしきけても、自分じぶん自身じしんこしているものことのほうは案外あんがい見落みおとすことがある。自分じぶんではづいていなくても、「ながれ」は自分じぶん行動こうどうや、自分じぶんしん状態じょうたいこしていることがあるのである。

また人生じんせいのこうした「ながれ」は存外ぞんがいちいさなことからきていることがある。たとえば、挨拶あいさつをさわやかにそして積極せっきょくてきにする、とか、ひと会話かいわをするとき笑顔えがおせる、とか、おもいやりをもってひと言葉ことばをかける、とか、作業さぎょうつづいて膠着こうちゃく状態じょうたいおちいったら自発じはつてき給湯きゅうとうしつ洗面せんめんしょなどでストレッチ深呼吸しんこきゅう呼吸こきゅうほう)などをして自分じぶんをリラックスさせる、といったことである[10]

たとえば、子供こども勉学べんがくやスポーツなどでは「ながれにっている」生徒せいととその周囲しゅうい観察かんさつすると、おや教師きょうし上手じょうずということもおおい。おや教師きょうしが、生徒せいとちいさな成果せいかでも積極せっきょくてきめる→やるる→努力どりょくする→さらにめられることがえる、というこう循環じゅんかんきるわけである。大人おとなでもいコーチにめぐまれるとびるものだが、一流いちりゅうひとになると、依存いぞんしんからして、たとえ周囲しゅういめてくれるじんがいないような状態じょうたいになっても、自分じぶん自分じぶんいところをめて自力じりき自分じぶんばす、という技術ぎじゅつもちいるひともいる。

競技きょうぎ勝負事しょうぶごとでは、実力じつりょくがさほどなかったチームがひょんなことでいち試合しあいったことで、その試合しあい破竹はちくいきおいで次々つぎつぎすすむことがある。こうしたことを「ながれ」とか「ながれにっている」と表現ひょうげんすることがある。これもいち試合しあいって「ち」をたことで、メンバーひとりひとりが(ちょうど勉学べんがくはげ生徒せいとのように)「められた」ような状態じょうたい前向まえむきの精神せいしん状態じょうたい気力きりょく充実じゅうじつした状態じょうたいになり、それがまたこう結果けっかむという連鎖れんさきているわけである。競技きょうぎっても、じつはほとんどのプレーヤーは、普段ふだん精神せいしん状態じょうたい気力きりょく)が不十分ふじゅうぶんで、技術ぎじゅつてき実力じつりょくの6~7わり程度ていどちからしかさずにたたかっている。そんななかで、ひとつのチームが、突出とっしゅつした精神せいしん状態じょうたいたたか状態じょうたいになると、実力じつりょく比較ひかくしたのでは予想よそうできないような、こう結果けっかつづけることがあるわけである。スポーツの世界せかいではよく「しんわざからだ」とうが、一般いっぱんに、監督かんとく選手せんしゅの「わざ」「からだ」にももちろんくばるものだが、それにくわえてその時々ときどき選手せんしゅしん状態じょうたいにも注意ちゅういけ、しんはたらきかけることでも、よいながれをつくろうとし、ながれにろう、ながれをやさないようにしようとする。[ちゅう 1] [ちゅう 2][ちゅう 3]

つぎ社会しゃかいてき事象じしょう着目ちゃくもくしてみると、たとえば、政治せいじ世界せかいでは、世論せろん傾向けいこうやそれにともな一連いちれん出来事できごとを「ながれ」と表現ひょうげんすることがある。「ながれにる」「ながれにろうとしている」などとう。人々ひとびと意見いけんを、空気くうきながれ、つまりふうたとえて「あの政治せいじは"風向かざむき"を判断はんだんした」とか「風見鶏かざみどり(かざみどり)」などと表現ひょうげんすることもある。

つよものろうとするものが、つよものってきてなんらかのもの(ひょう金銭きんせん労力ろうりょく 等々とうとう)を提供ていきょうし、結果けっかとして強者きょうしゃがさらに強化きょうかされる、というようなことがきることがある。政治せいじ力学りきがくがからむこうした事象じしょうも「ながれ」と表現ひょうげんされることもある(「ながれにろうとした」などと表現ひょうげんする)。 ただし「ながれ」にっている政治せいじも、病気びょうきになったりしてそれが人々ひとびとれると、往々おうおうにして支持しじしゃやとりまきも将来しょうらい不安ふあんかんじてってゆき、この「ながれ」はわる。

上述じょうじゅつの、日本語にほんごで「ながれ」と感覚かんかくてき表現ひょうげんされていることのなかには、多数たすう要素ようそ連鎖れんさてきにある状態じょうたいになっていることもふくまれるが、それは物理ぶつりがく世界せかいう「そう」の概念がいねんかさなることがある。なにかのきっかけで個々ここ要素ようそ状態じょうたいがすっかりわることがある。これは「そうわった」とう。

関連かんれん書籍しょせき

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  • 日本にっぽんりゅう体力たいりょく学会がっかいへんながれの可視かし朝倉書店あさくらしょてん ISBN 4-254-13654-4
  • フィリップ ボール『ながれ: 自然しぜんつくうつくしいパターン』早川書房はやかわしょぼう、2011
  • ホットハンド関連かんれん
    • T. Gilovich, R. Vallone, and A. Tversky, "The hot hand in basketball: On the misperception of random sequences," Cognitive Psychology, 17, 295-314.
    • T. Gilovich, How We Know What Isn't' So: The Fallibility of Human Reason in Everyday Life, New York: The Free Press, 1993, ISBN 0029117062.

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 野球やきゅう監督かんとくなかには、選手せんしゅたいしてはたらきかけるだけでなく、選手せんしゅつま配偶はいぐうしゃ)の誕生たんじょうなどにプレゼントをすることで、そうしたながれを根底こんていからつくるという高等こうとうわざ使つかひともいる。
  2. ^ ただし、バスケットボールにおいては、一度いちどシュートをめた選手せんしゅ選手せんしゅくらべてそのもシュートをめやすくなる(「ホットハンド」)がしんじられていることがあるが、 これにかんしては、アメリカ心理しんり学者がくしゃトーマス・ギロビッチが、実際じっさいNBAフィラデルフィア・セブンティシクサーズの1980-1981ねんシーズンのフィールド・ゴール、およびボストン・セルティックスの1980-1981ねん、1981-1982ねんシーズンのフリースローを統計とうけい分析ぶんせきしたところ、シュートが連続れんぞくしてまるかくりつ偶然ぐうぜんいきるものはく、シュートは完全かんぜんなる独立どくりつ試行しこうであることがあきらかとなった。(ただし近年きんねんではトーマス・ギロビッチおこなった統計とうけい不備ふび指摘してきしたり、積極せっきょくてきに「ホットハンド」の存在そんざい支持しじする研究けんきゅうもある。くわしくはホットハンドの誤謬ごびゅう参照さんしょうのこと。)
  3. ^ このように本当ほんとうなん意味いみ情報じょうほうなかからなんらかのパターンを見出みいだしてしまう現象げんしょうのことをクラスター錯覚さっかくen:clustering illusion)とぶ。クラスター錯覚さっかく認知にんちバイアス一種いっしゅであり、統計とうけいデータからあやまった解釈かいしゃくみちび原因げんいんとなる。また、クラスター錯覚さっかくのような「まやかしの有意ゆういせい」から理屈りくつててしまうことを「テキサスの射撃しゃげきしゅ誤謬ごびゅう」(en:Texas sharpshooter fallacy)とぶ。

出典しゅってん

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  1. ^ a b 広辞苑こうじえん だいはん p.1979
  2. ^ 大辞林だいじりん
  3. ^ 広辞苑こうじえん だいはん  p.1979「ながれる」
  4. ^ 日本人にっぽんじん馴染なじみのある有名ゆうめい作品さくひんではたとえば『方丈ほうじょう』など。ほかにも多数たすうあり。
  5. ^ フィリップ ボール『ながれ: 自然しぜんつくうつくしいパターン』早川書房はやかわしょぼう、2011
  6. ^ Suzuyo、物流ぶつりゅうとは
  7. ^ [1]
  8. ^ Spedding, G. R., Rayner, J. M. V., and Pennycuick, C. J. (1984). “Momentum and Energy in the Wake of a Pigeon (Columba Livia) in Slow Flight”. J. Exp. Biol. 111: pp. 81-102. 
  9. ^ 樋口ひぐち広太ひろたろう『だいじょうぶ!かならながれはわる』2000ねん
  10. ^ うえ西にしさとし『「わるながれ」がガラリとわる魔法まほう習慣しゅうかん』PHP研究所けんきゅうじょ、2013

関連かんれん項目こうもく

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