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流 なが れ (ながれ、英 えい : flowやstreamなど )は
何 なに かが流 なが れること[ 1] [ 2] 。つまり、たとえば水 みず などが移 うつ り動 うご くこと[ 3] 。時間 じかん とともに空間 くうかん 内 うち の位置 いち が変化 へんか してゆくこと。
液体 えきたい や気体 きたい が移 うつ り動 うご くこと。接頭 せっとう 辞 じ をつけて「~流 なが れ」あるいは単 たん に「~流 りゅう 」と呼 よ ばれる。
人 ひと や車 くるま の往 ゆ き来 き
技芸 ぎげい や学問 がくもん ・思想 しそう などを師 し から弟子 でし へのように人 ひと から人 ひと へ、あるいは組織 そしき から組織 そしき へと受 う け継 つ ぐこと[ 1] 。産業 さんぎょう 、文化 ぶんか など幅広 はばひろ く用 もち いる。空間 くうかん 的 てき よりも時間 じかん 的 てき な流 なが れを意識 いしき している。
本 ほん 記事 きじ では1を中心 ちゅうしん に、だが、その他 た も含 ふく めて広 ひろ く解説 かいせつ する。
流 なが れとは何 なに かの移 うつ り動 うご きである。
水 みず の流 なが れ
歴史 れきし 的 てき に見 み れば人類 じんるい にとっては水 みず の流 なが れや空気 くうき の流 なが れが馴染 なじ み深 ふか い。人類 じんるい は小川 おがわ 、川 かわ 、河 かわ などの流 なが れを見 み てきた歴史 れきし があり、自分 じぶん たちを包 つつ み込 こ んでいる空気 くうき の流 なが れを風 ふう として感 かん じてきた歴史 れきし がある。水 みず や空気 くうき は人類 じんるい にとって液体 えきたい や気体 きたい の代表 だいひょう である。こうした流 なが れは人々 ひとびと に様々 さまざま なインスピレーション を与 あた えてきた。川 かわ の流 なが れなどに着想 ちゃくそう を得 え た文学 ぶんがく 作品 さくひん は多数 たすう 存在 そんざい する[ 4] 。これは画家 がか や技術 ぎじゅつ 者 しゃ にもさまざまなインスピレーションを与 あた えてきたらしい。レオナルド・ダ・ヴィンチ も水 みず の流 なが れのスケッチをいくつも残 のこ した[ 5] 。
現代 げんだい の工学 こうがく 的 てき 観点 かんてん から説明 せつめい すると、液体 えきたい や気体 きたい は一定 いってい の形 かたち をもたず運動 うんどう と変形 へんけい をつづけるもので、それにあたる液体 えきたい と気体 きたい を総称 そうしょう して流体 りゅうたい と呼 よ ぶ。特 とく に、流体 りゅうたい の運動 うんどう /静止 せいし や流体 りゅうたい が流体 りゅうたい 中 ちゅう の物体 ぶったい に及 およ ぼす影響 えいきょう などを集中 しゅうちゅう 的 てき に研究 けんきゅう する学問 がくもん が流体 りゅうたい 力学 りきがく である。何 なに かを「非常 ひじょう に多 おお くの粒子 りゅうし が運動 うんどう している系 けい 」と考 かんが えられるときでも、個々 ここ の粒子 りゅうし すべてについて運動 うんどう を記述 きじゅつ するのでは独立 どくりつ 変数 へんすう の数 かず が多 おお すぎて工学 こうがく 的 てき には容易 ようい に扱 あつか えない。そこで巨視的 きょしてき な視点 してん に立 た って、系 けい 全体 ぜんたい での粒子 りゅうし の挙動 きょどう ・運動 うんどう の“傾向 けいこう ”を捉 とら え概念 がいねん 化 か したものが「流 なが れ」であると位置 いち づけられる。また、流動 りゅうどう 現象 げんしょう のほかに、拡散 かくさん などを含 ふく めることもある。
流体 りゅうたい 力学 りきがく 以外 いがい にも流 なが れを扱 あつか う工学 こうがく 分野 ぶんや 、あるいは流体 りゅうたい 力学 りきがく と密接 みっせつ な関連 かんれん や重 じゅう なりがある工学 こうがく 分野 ぶんや はいくつもあり、たとえば船舶 せんぱく 工学 こうがく は船舶 せんぱく とそのまわりの水 みず の流 なが れに重点 じゅうてん において「流 なが れ」を扱 あつか い、航空 こうくう 工学 こうがく では航空機 こうくうき に関 かん する空気 くうき などの「流 なが れ」を扱 あつか う。
自動車 じどうしゃ の流 なが れ
流体 りゅうたい 工学 こうがく を離 はな れて工学 こうがく 全般 ぜんぱん に関 かん して言 い えば、「流 なが れ」として扱 あつか う対象 たいしょう は、液体 えきたい 、気体 きたい などの他 ほか に、人 ひと や自動車 じどうしゃ を一種 いっしゅ の「構成 こうせい 粒子 りゅうし 」と見立 みた ててその物理 ぶつり 的 てき な移動 いどう を「流 なが れ」として扱 あつか うこともある。自動車 じどうしゃ の流 なが れについては特 とく に交通 こうつう 工学 こうがく が扱 あつか っている。
なお、必 かなら ずしも人間 にんげん が直感 ちょっかん 的 てき に把握 はあく できるような速 はや さ やサイズのものだけが「流 なが れ」とされているわけではない。例 たと えば、氷河 ひょうが の一 いち 年 ねん に数 すう メートルしか動 うご かない動 うご きも「流 なが れ」や、合成 ごうせい 樹脂 じゅし の長期間 ちょうきかん による変形 へんけい も「流 なが れ」として把握 はあく されることもあるし、地球 ちきゅう 内部 ないぶ のマントル の動 うご きなど、人間 にんげん の日常 にちじょう 感覚 かんかく から比 くら べると極 きわ めて長 なが い時間 じかん 、大 おお きな空間 くうかん で捉 とら えたものも「流 なが れ」として把握 はあく されていることがある。合成 ごうせい 樹脂 じゅし などの固体 こたい が移 うつ り動 うご くことや、コロイド 溶液 ようえき などの動 うご きなどは、前述 ぜんじゅつ のような「多数 たすう の粒子 りゅうし の自由 じゆう 運動 うんどう と見 み なす」ような単純 たんじゅん な見方 みかた では把握 はあく できない、もっと複雑 ふくざつ なことが起 お きている。こうした動 うご きは「非 ひ ニュートン流動 りゅうどう 」「非 ひ ニュートン流 なが れ」 などと呼 よ ばれ、レオロジー という学問 がくもん 領域 りょういき で研究 けんきゅう されている。
熱 ねつ のように比較的 ひかくてき 抽象 ちゅうしょう 性 せい の高 たか いことについても、数値 すうち 的 てき に表 あらわ し「流 なが れ」として把握 はあく することも行 おこな われている。また、人間 にんげん の社会 しゃかい 的 てき な所属 しょぞく など抽象 ちゅうしょう 的 てき な位置 いち の移 うつ りかわりについても「流 なが れ」として分析 ぶんせき されることがある。
海流 かいりゅう ・潮汐 ちょうせき 、大気 たいき の動 うご きは流 なが れとして把握 はあく することができ、地球 ちきゅう 物理 ぶつり 学 がく 、気象 きしょう 学 がく などで研究 けんきゅう されている。地球 ちきゅう 内部 ないぶ では、マントル とよばれる液状 えきじょう 金属 きんぞく が流 なが れていることが知 し られており、こうしたことは、電磁 でんじ 流体 りゅうたい 力学 りきがく や地球 ちきゅう 物理 ぶつり 学 がく などで研究 けんきゅう されている。また、太陽 たいよう 風 ふう 、銀河 ぎんが の運動 うんどう など、宇宙 うちゅう 空間 くうかん で起 お きていることでも「流 なが れ」として把握 はあく できることは多々 たた あり、天文学 てんもんがく 、天体 てんたい 物理 ぶつり 学 がく 等々 とうとう で研究 けんきゅう されている。
金銭 きんせん の流 なが れの把握 はあく には様々 さまざま なものがあるが、例 たと えば現金 げんきん の流 なが れについては「キャッシュ・フロー 」として、会計 かいけい 学 がく 、経理 けいり の実務 じつむ 領域 りょういき 、経営 けいえい 学 がく 等 とう で扱 あつか われている。
流 なが れの原因 げんいん は様々 さまざま である、物体 ぶったい 的 てき な流 なが れの場合 ばあい では、(物体 ぶったい は一旦 いったん 動 うご きだせば慣性 かんせい の法則 ほうそく で動 うご きつづける性質 せいしつ があり、流体 りゅうたい は自在 じざい に変形 へんけい しながら動 うご き続 つづ ける性質 せいしつ があり、それは働 はたら いていることを前提 ぜんてい として)たとえば川 かわ の流 なが れなどの場合 ばあい はおおむね重力 じゅうりょく (水 みず の重 おも さ自体 じたい )が主 おも な原因 げんいん になっている。風 ふう の場合 ばあい 、いくつか要因 よういん はあるが主 しゅ として気圧 きあつ の差 さ 。上昇 じょうしょう 気流 きりゅう ・下降 かこう 気流 きりゅう は空気 くうき の温度 おんど による重 おも さの差 さ 。電流 でんりゅう の場合 ばあい も様々 さまざま ありうるが、例 たと えば電圧 でんあつ (電位差 でんいさ )が原因 げんいん のひとつとしてあげられる。物質 ぶっしつ の拡散 かくさん の場合 ばあい には主 しゅ として濃度 のうど 差 さ 。人 ひと の流 なが れの場合 ばあい は、一方 いっぽう で何 なに か人 ひと が魅力 みりょく と感 かん じる要素 ようそ (様々 さまざま な意味 いみ での“環境 かんきょう ”の良 よ さ、その内容 ないよう は多岐 たき に渡 わた る)が誘因 ゆういん になりそこへ近 ちか づく方向 ほうこう の流 なが れを引 ひ き起 お こし、他方 たほう である場所 ばしょ の“環境 かんきょう ”の悪 わる さ(たとえば地方 ちほう 政府 せいふ や中央 ちゅうおう 政府 せいふ による悪政 あくせい 、犯罪 はんざい 率 りつ の高 たか さ、原子力 げんしりょく 発電 はつでん 所 しょ 事故 じこ による放射能 ほうしゃのう 汚染 おせん 、等々 とうとう 等々 とうとう )がそこから離 はな れる流 なが れ(移住 いじゅう 、国外 こくがい 脱出 だっしゅつ 、難民 なんみん 等々 とうとう の傾向 けいこう )を引 ひ き起 お こす。
まず基本 きほん 的 てき に、次 つぎ のように流 なが れている「もの」の種類 しゅるい で分類 ぶんるい することが広 ひろ く行 おこな われている。
水流 すいりゅう - 水 みず の流 なが れ
海流 かいりゅう - 海水 かいすい の流 なが れ
気流 きりゅう - 空気 くうき の流 なが れ(気象 きしょう 学 がく 用語 ようご )。あるいはガス(気体 きたい )類 るい 全般 ぜんぱん の流 なが れ(物理 ぶつり 学 がく 用語 ようご )
電流 でんりゅう - "電気 でんき " の流 なが れ。(まだ電子 でんし の存在 そんざい が知 し られていなかった時代 じだい に、たまたま、電子 でんし の流 なが れと逆 ぎゃく 向 む き のものを想定 そうてい して「電流 でんりゅう 」と呼 よ んでしまうミスをしていた、ということは後 ご の時代 じだい に判明 はんめい したが時 とき すでに遅 おそ く、修正 しゅうせい できなかった。)
血 ち 流 りゅう (けつりゅう) - (基本 きほん 的 てき に血管 けっかん 内 ない の)血液 けつえき の流 なが れ。(血管 けっかん 外 がい に血液 けつえき が流 なが れ出 で ることは「流血 りゅうけつ 」というが、これは「流血 りゅうけつ の惨事 さんじ 」などと使 つか い、事件 じけん などに使 つか う概念 がいねん であり、血 ち 流 りゅう とは別 べつ 概念 がいねん である。)
物流 ぶつりゅう (ぶつりゅう) - 商品 しょうひん が消費 しょうひ 者 しゃ のもとに届 とど けられる流 なが れのこと[ 6]
金 かね 流 りゅう (きんりゅう) - 売買 ばいばい 取引 とりひき によって発生 はっせい する金銭 きんせん の流 なが れ[ 7]
人 ひと 流 りゅう (じんりゅう) - 人 ひと (人間 にんげん )の流 なが れ。さまざまな分野 ぶんや で使 つか う概念 がいねん であり、たとえば都市 とし 工学 こうがく 、マーケティング 、政策 せいさく 学 がく などでも使 つか う。
データフロー - データ(情報 じょうほう )の流 なが れ(情報 じょうほう 工学 こうがく 用語 ようご )
流体 りゅうたい 工学 こうがく 的 てき な分類 ぶんるい については次節 じせつ の#工学 こうがく における分類 ぶんるい で解説 かいせつ 。
速 はや さによる分類 ぶんるい : 亜 あ 音速 おんそく ・遷音速 そく ・超 ちょう 音速 おんそく ・極 ごく 超 ちょう 音速 おんそく
粘性 ねんせい の有無 うむ による分類 ぶんるい : 非 ひ 粘性 ねんせい (微小 びしょう 粘性 ねんせい )・粘性 ねんせい
渦 うず 度 ど の有無 うむ による分類 ぶんるい : 渦 うず なし流 なが れ・渦 うず あり流 なが れ
混 こん 相 しょう 流 りゅう
超 ちょう 流動 りゅうどう
流 なが れを、音速 おんそく に対 たい する速 はや さの比 ひ によって分類 ぶんるい することがある。「流 なが れの速 はや さ=音速 おんそく 」の時 とき がマッハ 1.0である。
亜 あ 音速 おんそく
流 なが れが音速 おんそく よりも遅 おそ い状態 じょうたい 。~マッハ0.8程度 ていど を指 さ すことも多 おお い。
遷音速 そく
流 なが れが音速 おんそく 付近 ふきん の状態 じょうたい 。マッハ0.8~1.2程度 ていど を指 さ すことが多 おお い。
超 ちょう 音速 おんそく ・極 ごく 超 ちょう 音速 おんそく
流 なが れが音速 おんそく よりも速 はや い状態 じょうたい 。マッハ1.2~を指 さ すことも多 おお い。
流 なが れは粘性 ねんせい の有無 うむ によっても分類 ぶんるい されることがある。
粘性 ねんせい 流 なが れはさらに、レイノルズ数 すう によって層 そう 流 りゅう と乱 らん 流 りゅう に区別 くべつ され、レイノルズ数 すう の値 ね がある程度 ていど 小 ちい さいと層 そう 流 りゅう になり、大 おお きいと乱 みだれ 流 りゅう と判断 はんだん される。
水 みず が気泡 きほう を含 ふく んでいたり、水 みず の中 なか に固体 こたい が多数 たすう 浮 う かんでいる状態 じょうたい で流 なが れていると、それはそれで独特 どくとく の性質 せいしつ を持 も つ。2種 しゅ 以上 いじょう のものが混 ま じった状態 じょうたい を、複数 ふくすう の「相 そう 」が全体 ぜんたい の流 なが れを作 つく っていると見 み なして「混 こん 相 しょう 流 りゅう 」と分類 ぶんるい して研究 けんきゅう されている。
流 ながれ 線 せん による流 なが れの可視 かし 化 か と分析 ぶんせき
流 なが れの様子 ようす は肉眼 にくがん では直接 ちょくせつ 観察 かんさつ できないことが多 おお いため、速度 そくど 場 じょう や温度 おんど 場 じょう などを視覚 しかく 的 てき に表現 ひょうげん する流 なが れの可視 かし 化 か が行 おこな われる。速度 そくど 計 けい や温度 おんど 計 けい による計測 けいそく では空間 くうかん 上 じょう のある一 いち 点 てん での値 ね を求 もと めるが、可視 かし 化 か の場合 ばあい はある範囲 はんい (二 に 次元 じげん 面 めん あるいは三 さん 次元 じげん 空間 くうかん )の情報 じょうほう を必要 ひつよう とする。ただし、速度 そくど 計 けい として使 つか われることが多 おお いピトー管 かん であっても、トラバース(移動 いどう )することで空間 くうかん 的 てき な速度 そくど 場 じょう を得 え るなど、技術 ぎじゅつ 的 てき に重複 じゅうふく する場合 ばあい もある。
また、現実 げんじつ の流 なが れ場 じょう を計測 けいそく する場合 ばあい のほかに、数値 すうち 流体 りゅうたい 力学 りきがく (CFD) によるシミュレーション結果 けっか を画像 がぞう で表現 ひょうげん することも可視 かし 化 か と呼 よ ばれる。CFDの特徴 とくちょう として、三 さん 次元 じげん 計算 けいさん の場合 ばあい は空間 くうかん 内 ない の値 ね が(格子 こうし /粒子 りゅうし のあるところについては)全 すべ て求 もと まることが挙 あ げられる。したがって、三 さん 次元 じげん 的 てき な速度 そくど 場 じょう 情報 じょうほう から、流 りゅう 線 せん や渦 うず 度 ど の等 とう 値 ね 面 めん 、あるいは流 りゅう 跡 あと 線 せん (particle path) などを直接 ちょくせつ 生成 せいせい ・可視 かし 化 か できる。
煙 けむり
気流 きりゅう 中 ちゅう に煙 けむり を流 なが して速度 そくど 場 じょう を観察 かんさつ する。煙 けむり の観察 かんさつ に特 とく 化 か した風洞 ふうどう は煙 けむり 風洞 ふうどう と呼 よ ばれる。類似 るいじ の手法 しゅほう として水槽 すいそう 中 なか に染料 せんりょう を流 なが す方法 ほうほう もある。
シャボン玉 だま
ヘリウム など空気 くうき よりも低 てい 密度 みつど の気体 きたい を利用 りよう して、平均 へいきん 密度 みつど が空気 くうき と等 ひと しい泡 あわ (シャボン玉 だま )を大量 たいりょう に作 つく り、そこに物体 ぶったい を通過 つうか させることで、速度 そくど 場 じょう を観察 かんさつ する。たとえば、鳥 とり の飛行 ひこう の研究 けんきゅう に使 つか われた例 れい がある[ 8] 。
タフト
気流 きりゅう 中 ちゅう に一 いち 端 はし を固定 こてい した糸 いと (タフト tuft)を一本 いっぽん または複数 ふくすう 設置 せっち し、速度 そくど 場 じょう を観察 かんさつ する。たとえば航空機 こうくうき の表面 ひょうめん などに設置 せっち される。
ピトー管 かん トラバース
ピトー管 かん (ピトー静 せい 圧 あつ 管 かん )により空間 くうかん 上 じょう の一 いち 点 てん の速度 そくど と圧力 あつりょく が求 もと まる。ピトー管 かん の位置 いち を次々 つぎつぎ と変 か えることで空間 くうかん 的 てき な速度 そくど 分布 ぶんぷ を求 もと めることができるが、流 なが れが時間 じかん 的 てき に変化 へんか する非 ひ 定常 ていじょう 流 なが れへの適用 てきよう には困難 こんなん もある。境界 きょうかい 層 そう の速度 そくど 分布 ぶんぷ 測定 そくてい 用 よう などに、複数 ふくすう のピトー管 かん を束 たば ねた装置 そうち も存在 そんざい する。
粒子 りゅうし 画像 がぞう 流速 りゅうそく 測定 そくてい 法 ほう (PIV, particle image velocimetry)
流 なが れに追随 ついずい する微小 びしょう な粒子 りゅうし (粉末 ふんまつ ・油 あぶら など)を気流 きりゅう 中 ちゅう に散布 さんぷ し、レーザーシートを照射 しょうしゃ する。粒子 りゅうし が反射 はんしゃ した光 ひかり から得 え た画像 がぞう をコンピュータで解析 かいせき して速度 そくど 場 じょう を得 え る。二次元 にじげん 面 めん 内 ない の定量 ていりょう 的 てき な速度 そくど 情報 じょうほう を一 いち 度 ど に(トラバースの必要 ひつよう なく)得 え られ、空間 くうかん 解像度 かいぞうど も高 たか いため、低速 ていそく から亜 あ 音速 おんそく 、あるいは超 ちょう 音速 おんそく の流 なが れ場 じょう にしばしば適用 てきよう される。狭義 きょうぎ には2時刻 じこく の粒子 りゅうし 画像 がぞう の相関 そうかん から速度 そくど 場 じょう を求 もと めるものをPIVと呼 よ び、個々 ここ の粒子 りゅうし を追跡 ついせき する手法 しゅほう はPTV (particle tracking velocimetry) と呼 よ んで区別 くべつ することがある。一般 いっぱん にはレーザーシート面 めん 内 ない 方向 ほうこう の速度 そくど 成分 せいぶん しか得 え られないが、面 めん 外 がい 方向 ほうこう 成分 せいぶん を得 え られるステレオPIVなどの各種 かくしゅ 手法 しゅほう が開発 かいはつ されている。
LIDAR (ライダ)
シャドウグラフ法 ほう
シュリーレン法 ほう
感 かん 圧 あつ 塗料 とりょう (PSP, pressure-sensitive paint)
流 なが れそのものの可視 かし 化 か ではないが、風洞 ふうどう 内 ない に置 お いた物体 ぶったい の表面 ひょうめん 圧力 あつりょく の可視 かし 化 か などに使 つか われる。
情報 じょうほう 工学 こうがく では情報 じょうほう の流 なが れをデータフロー とよぶ。
フローチャート は日本語 にほんご では「流 なが れ図 ず 」などといい、システムの動作 どうさ や判断 はんだん の「流 なが れ」をチャート(図式 ずしき )化 か したものである。条件 じょうけん 分岐 ぶんき つまり流 なが れが条件 じょうけん により分岐 ぶんき することやループ(くるくると何 なん 度 ど も回 まわ るような流 なが れ)も表現 ひょうげん できるようになっている。別 べつ のい方 いかた をするとアルゴリズム を表現 ひょうげん した図 ず 。
ものごとは様々 さまざま な因果 いんが の連鎖 れんさ のようなもので起 お きている、という面 めん がある。こうした因果 いんが (連鎖 れんさ )を日本語 にほんご では「流 なが れ」と感覚 かんかく 的 てき に表現 ひょうげん することがある。
人 ひと は悪 わる い流 なが れ(悪 わる い因果 いんが 、悪 わる い連鎖 れんさ )に陥 おちい ってしまった場合 ばあい には苦 くる しむわけであるが、そうした状況 じょうきょう でもそれを変 か えることができる場合 ばあい 、変 か わる場合 ばあい もある。主体 しゅたい 的 てき に行動 こうどう を起 お こして行動 こうどう を起 お こすことを「流 なが れを変 か える」と日本語 にほんご では表現 ひょうげん している。(さほど主体性 しゅたいせい がなく、いくぶん他 た 人 ひと まかせの気持 きも ちを表現 ひょうげん をする時 とき は)「流 なが れが変 か わる」とか「流 なが れは変 か わる[ 9] 」などと表現 ひょうげん している。
なお、出来 でき ごとを「良 よ い」「悪 わる い」という観点 かんてん から分類 ぶんるい することがあるが、例 たと えば良 よ いことがさらに良 よ いことを起 お こしている状態 じょうたい はしばしば「好 こう 循環 じゅんかん 」と言 い い、悪 わる いことがさらに悪 わる いことを起 お こすことは「悪循環 あくじゅんかん 」と呼 よ んでいる。
ある人 ひと の人生 じんせい で起 お きる一連 いちれん のできごとを「流 なが れ」と呼 よ ぶことがあるが、それはその人 ひと と周囲 しゅうい の世界 せかい との絶妙 ぜつみょう な相互 そうご 作用 さよう で起 お きていることは多 おお い。人 ひと は他人 たにん が起 お こしているものごとには意識 いしき を向 む けても、自分 じぶん 自身 じしん が引 ひ き起 お こしているものことのほうは案外 あんがい と見落 みお とすことがある。自分 じぶん では気 き づいていなくても、「流 なが れ」は自分 じぶん の行動 こうどう や、自分 じぶん の心 しん の状態 じょうたい が引 ひ き起 お こしていることがあるのである。
また人生 じんせい のこうした「流 なが れ」は存外 ぞんがい 小 ちい さなことから起 お きていることがある。例 たと えば、挨拶 あいさつ をさわやかにそして積極 せっきょく 的 てき にする、とか、人 ひと と会話 かいわ をする時 とき は笑顔 えがお を見 み せる、とか、思 おも いやりをもって人 ひと に言葉 ことば をかける、とか、作業 さぎょう が続 つづ いて膠着 こうちゃく 状態 じょうたい に陥 おちい ったら自発 じはつ 的 てき に給湯 きゅうとう 室 しつ や洗面 せんめん 所 しょ などでストレッチ や深呼吸 しんこきゅう (呼吸 こきゅう 法 ほう )などをして自分 じぶん をリラックスさせる、といったことである[ 10] 。
例 たと えば、子供 こども の勉学 べんがく やスポーツなどでは「流 なが れに乗 の っている」生徒 せいと とその周囲 しゅうい を観察 かんさつ すると、親 おや や教師 きょうし が褒 ほ め上手 じょうず ということも多 おお い。親 おや や教師 きょうし が、生徒 せいと の小 ちい さな成果 せいか でも積極 せっきょく 的 てき に褒 ほ める→やる気 き が出 で る→努力 どりょく する→さらに褒 ほ められることが増 ふ える、という好 こう 循環 じゅんかん が起 お きるわけである。大人 おとな でも良 よ いコーチに恵 めぐ まれると伸 の びるものだが、一流 いちりゅう の人 ひと になると、依存 いぞん 心 しん から抜 ぬ け出 だ して、たとえ周囲 しゅうい に褒 ほ めてくれる人 じん がいないような状態 じょうたい になっても、自分 じぶん で自分 じぶん の良 よ いところを褒 ほ めて自力 じりき で自分 じぶん を伸 の ばす、という技術 ぎじゅつ を用 もち いる人 ひと もいる。
競技 きょうぎ や勝負事 しょうぶごと では、実力 じつりょく がさほどなかったチームがひょんなことで一 いち 試合 しあい に勝 か ったことで、その後 ご の試合 しあい も破竹 はちく の勢 いきお いで次々 つぎつぎ と勝 か つ進 すす むことがある。こうしたことを「流 なが れ」とか「流 なが れに乗 の っている」と表現 ひょうげん することがある。これも一 いち 試合 しあい に勝 か って「勝 か ち」を得 え たことで、メンバーひとりひとりが(ちょうど勉学 べんがく に励 はげ む生徒 せいと のように)「褒 ほ められた」ような状態 じょうたい 、前向 まえむ きの精神 せいしん 状態 じょうたい 、気力 きりょく が充実 じゅうじつ した状態 じょうたい になり、それがまた好 こう 結果 けっか を生 う むという連鎖 れんさ が起 お きているわけである。競技 きょうぎ と言 い っても、実 じつ はほとんどのプレーヤーは、普段 ふだん は精神 せいしん 状態 じょうたい (気力 きりょく )が不十分 ふじゅうぶん で、技術 ぎじゅつ 的 てき に見 み て実力 じつりょく の6~7割 わり 程度 ていど の力 ちから しか出 だ さずに戦 たたか っている。そんな中 なか で、ひとつのチームが、突出 とっしゅつ した精神 せいしん 状態 じょうたい で戦 たたか う状態 じょうたい になると、実力 じつりょく で比較 ひかく したのでは予想 よそう できないような、好 こう 結果 けっか が出 で 続 つづ けることがあるわけである。スポーツの世界 せかい ではよく「心 しん ・技 わざ ・体 からだ 」と言 い うが、一般 いっぱん に、監督 かんとく は選手 せんしゅ の「技 わざ 」「体 からだ 」にももちろん気 き を配 くば るものだが、それに加 くわ えてその時々 ときどき の選手 せんしゅ の心 しん の状態 じょうたい にも注意 ちゅうい を向 む け、心 しん に働 はたら きかけることでも、よい流 なが れを作 つく ろうとし、流 なが れに乗 の ろう、流 なが れを絶 た やさないようにしようとする。[ 注 ちゅう 1]
[ 注 ちゅう 2] [ 注 ちゅう 3]
次 つぎ に社会 しゃかい 的 てき な事象 じしょう に着目 ちゃくもく してみると、例 たと えば、政治 せいじ の世界 せかい では、世論 せろん の傾向 けいこう やそれに伴 ともな う一連 いちれん の出来事 できごと を「流 なが れ」と表現 ひょうげん することがある。「流 なが れに乗 の る」「流 なが れに乗 の ろうとしている」などと言 い う。人々 ひとびと の意見 いけん を、空気 くうき の流 なが れ、つまり風 ふう に喩 たと えて「あの政治 せいじ 家 か は"風向 かざむ き"を見 み て判断 はんだん した」とか「風見鶏 かざみどり (かざみどり)」などと表現 ひょうげん することもある。
強 つよ い者 もの に取 と り入 い ろうとする者 もの が、強 つよ い者 もの に寄 よ ってきて何 なん らかのもの(票 ひょう 、金銭 きんせん 、労力 ろうりょく 等々 とうとう )を提供 ていきょう し、結果 けっか として強者 きょうしゃ がさらに強化 きょうか される、というようなことが起 お きることがある。政治 せいじ 力学 りきがく がからむこうした事象 じしょう も「流 なが れ」と表現 ひょうげん されることもある(「流 なが れに乗 の ろうとした」などと表現 ひょうげん する)。
ただし「流 なが れ」に乗 の っている政治 せいじ 家 か も、病気 びょうき になったりしてそれが人々 ひとびと に知 し れると、往々 おうおう にして支持 しじ 者 しゃ やとりまきも将来 しょうらい に不安 ふあん を感 かん じて去 さ ってゆき、この「流 なが れ」は変 か わる。
上述 じょうじゅつ の、日本語 にほんご で「流 なが れ」と感覚 かんかく 的 てき に表現 ひょうげん されていることの中 なか には、多数 たすう の要素 ようそ が連鎖 れんさ 的 てき にある状態 じょうたい になっていることも含 ふく まれるが、それは物理 ぶつり 学 がく の世界 せかい で言 い う「相 そう 」の概念 がいねん と重 かさ なることがある。何 なに かのきっかけで個々 ここ の要素 ようそ の状態 じょうたい がすっかり変 か わることがある。これは「相 そう が変 か わった」と言 い う。
日本 にっぽん 流 りゅう 体力 たいりょく 学会 がっかい 編 へん 『流 なが れの可視 かし 化 か 』 朝倉書店 あさくらしょてん ISBN 4-254-13654-4
フィリップ ボール『流 なが れ: 自然 しぜん が創 つく り出 だ す美 うつく しいパターン』早川書房 はやかわしょぼう 、2011
ホットハンド 関連 かんれん
T. Gilovich, R. Vallone, and A. Tversky, "The hot hand in basketball: On the misperception of random sequences," Cognitive Psychology , 17, 295-314.
T. Gilovich, How We Know What Isn't' So: The Fallibility of Human Reason in Everyday Life , New York: The Free Press, 1993, ISBN 0029117062 .
^ 野球 やきゅう 監督 かんとく の中 なか には、選手 せんしゅ に対 たい して働 はたら きかけるだけでなく、選手 せんしゅ の妻 つま (配偶 はいぐう 者 しゃ )の誕生 たんじょう 日 び などにプレゼントをすることで、そうした流 なが れを根底 こんてい からつくるという高等 こうとう な技 わざ を使 つか う人 ひと もいる。
^ ただし、バスケットボール においては、一度 いちど シュートを決 き めた選手 せんしゅ は他 た の選手 せんしゅ に比 くら べてその後 ご もシュートを決 き めやすくなる(「ホットハンド 」)が信 しん じられていることがあるが、
これに関 かん しては、アメリカ の心理 しんり 学者 がくしゃ トーマス・ギロビッチ が、実際 じっさい にNBA フィラデルフィア・セブンティシクサーズ の1980-1981年 ねん シーズンのフィールド・ゴール、およびボストン・セルティックス の1980-1981年 ねん 、1981-1982年 ねん シーズンのフリースローを統計 とうけい 分析 ぶんせき したところ、シュートが連続 れんぞく して決 き まる確 かく 率 りつ に偶然 ぐうぜん の域 いき を出 で るものは無 な く、シュートは完全 かんぜん なる独立 どくりつ 試行 しこう であることが明 あき らかとなった。(ただし近年 きんねん ではトーマス・ギロビッチ の行 おこな った統計 とうけい の不備 ふび を指摘 してき したり、積極 せっきょく 的 てき に「ホットハンド」の存在 そんざい を支持 しじ する研究 けんきゅう もある。詳 くわ しくはホットハンドの誤謬 ごびゅう を参照 さんしょう のこと。)
^ このように本当 ほんとう は何 なん ら意味 いみ の無 な い情報 じょうほう の中 なか から何 なん らかのパターンを見出 みいだ してしまう現象 げんしょう のことをクラスター錯覚 さっかく (en:clustering illusion )と呼 よ ぶ。クラスター錯覚 さっかく は認知 にんち バイアス の一種 いっしゅ であり、統計 とうけい データから誤 あやま った解釈 かいしゃく を導 みちび き出 だ す原因 げんいん となる。また、クラスター錯覚 さっかく のような「まやかしの有意 ゆうい 性 せい 」から理屈 りくつ を組 く み立 た ててしまうことを「テキサスの射撃 しゃげき 手 しゅ の誤謬 ごびゅう 」(en:Texas sharpshooter fallacy )と呼 よ ぶ。
^ a b 広辞苑 こうじえん 第 だい 五 ご 版 はん p.1979
^ 大辞林 だいじりん
^ 広辞苑 こうじえん 第 だい 五 ご 版 はん p.1979「流 なが れる」
^ 日本人 にっぽんじん に馴染 なじ みのある有名 ゆうめい な作品 さくひん では例 たと えば『方丈 ほうじょう 記 き 』など。他 ほか にも多数 たすう あり。
^ フィリップ ボール『流 なが れ: 自然 しぜん が創 つく り出 だ す美 うつく しいパターン』早川書房 はやかわしょぼう 、2011
^ Suzuyo、物流 ぶつりゅう とは
^ [1]
^ Spedding, G. R., Rayner, J. M. V., and Pennycuick, C. J. (1984). “Momentum and Energy in the Wake of a Pigeon (Columba Livia ) in Slow Flight”. J. Exp. Biol. 111 : pp. 81-102.
^ 樋口 ひぐち 広太 ひろた 郎 ろう 『だいじょうぶ!必 かなら ず流 なが れは変 か わる』2000年 ねん
^ 植 うえ 西 にし 聰 さとし 『「悪 わる い流 なが れ」がガラリと変 か わる魔法 まほう の習慣 しゅうかん 』PHP研究所 けんきゅうじょ 、2013