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生物せいぶつ有機ゆうき化学かがく

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生物せいぶつ有機ゆうき化学かがく(せいぶつゆうきかがく、英語えいご:bioorganic chemistry)は生体せいたい物質ぶっしつ化学かがく変化へんか生化学せいかがく有機ゆうき化学かがくとのふたつの視点してんあつか学問がくもんである。[1][2][3]

概要がいよう

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従来じゅうらい生化学せいかがく生体せいたい分子ぶんし分子ぶんし構造こうぞうとらえるというよりも、生体せいたい分子ぶんしとの関連かんれんせいによってとらえていたが、[4]生物せいぶつ有機ゆうき化学かがくにおいては分子ぶんしそのものの分子ぶんし構造こうぞう有機ゆうき化学かがくてきとらえることにより、よりミクロな現象げんしょうあきらかにするところをおも題目だいもくとする。

核酸かくさんタンパク質たんぱくしつ脂肪しぼういずれにおいても、ある生体せいたい物質ぶっしつ変換へんかん生化学せいかがくてきアプローチと有機ゆうき化学かがくてきアプローチをくらべてみるとその特性とくせいまったことなることにづかされる。

たとえば、脂肪しぼうからグリセリン脂肪酸しぼうさんとく脂肪酸しぼうさんナトリウムしお石鹸せっけんであることに注意ちゅういしてもらいたい)とに加水かすい分解ぶんかいする反応はんのうげてみても、石鹸せっけん工場こうじょう、すなわち有機ゆうき化学かがくプロセスでは、水酸化すいさんかナトリウムなどつよアルカリ存在そんざい煮沸しゃふつさせて反応はんのう進行しんこうさせる。一方いっぽう生体せいたいないでの生化学せいかがくてきプロセスでは30~40℃の環境かんきょうで、しかも脂肪しぼう以外いがい生体せいたい物質ぶっしつ混在こんざいするなかで、酵素こうそリパーゼは脂肪しぼうだけを選択せんたくてき加水かすい分解ぶんかいする。

酵素こうそ研究けんきゅう

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有機ゆうき化学かがくプロセスにおける反応はんのうろんてき過程かてい大抵たいていのものが明確めいかくになっている。一方いっぽう酵素こうそ反応はんのうろんてき過程かていについては、近年きんねんでは計算けいさん化学かがくによるシミュレーション[5]放射光ほうしゃこうXせん解析かいせき[6]タンパク質たんぱくしつNMR解析かいせき[7]などの進歩しんぽにより酵素こうそ反応はんのう遷移せんい状態じょうたいふくめて解明かいめいすすんできたとはいえ、[8][9][10][11]それらがいまだに不明ふめい酵素こうそ数多かずおお存在そんざいする。

ケミカルバイオロジー

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上述じょうじゅつしたような生化学せいかがく一般いっぱん有機ゆうき化学かがくせめいのなかで、あたらしい有機ゆうき化学かがく方法ほうほうろん見出みいだしてゆくのが生物せいぶつ有機ゆうき化学かがく主要しゅようなテーマとなる。[1][2]近年きんねんではこの学問がくもん領域りょういきのことを、ケミカルバイオロジーばれることもある。[3][12][13]

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b Dugas, H., & Penney, C. (2013). Bioorganic chemistry: a chemical approach to enzyme action. Springer Science & Business Media.
  2. ^ a b Schmuck, C., & Wennemers, H. (2004). Highlights in bioorganic chemistry. Wiley-VCH Verlag GmbH & Co.: Weinheim.
  3. ^ a b 宍戸ししど昌彦まさひこ, & 大槻おおつき高史たかし. (2008). 生物せいぶつ有機ゆうき化学かがく~ ケミカルバイオロジーへの展開てんかい~. はなぼう.
  4. ^ Champe, P. C., Harvey, R. A., & Ferrier, D. R. (2005). Biochemistry. Lippincott Williams & Wilkins.
  5. ^ Jensen, F. (2017). Introduction to computational chemistry. John wiley & sons.
  6. ^ Bertin, E. P. (2012). Principles and practice of X-ray spectrometric analysis. Springer Science & Business Media.
  7. ^ Hesse, M., Meier, H., & Zeeh, B. (2008). Spectroscopic methods in organic chemistry. Thieme Medical Pub.
  8. ^ 今堀いまほりかずとも. (1974). 酵素こうそ研究けんきゅう回顧かいこ展望てんぼう. 化学かがく生物せいぶつ, 12(3), 177-180.
  9. ^ 小野おのそう三郎さぶろう. (1967). 酵素こうそ反応はんのう速度そくどろん I-総論そうろん. 化学かがく生物せいぶつ, 5(5), 285-291.
  10. ^ 多比良たいらかずまこと, 二村にむら泰弘やすひろ, & 加藤かとうたく. (2016). 反応はんのうスキームをながめて簡単かんたんける酵素こうそ反応はんのう速度そくどろん. 東京とうきょう福祉ふくし大学だいがく大学院だいがくいん紀要きよう= Bulletin of Tokyo University and Graduate School of Social Welfare, 7(1), 47-56.
  11. ^ こううみけい太郎たろう. (1992). 酵素こうそ反応はんのう速度そくどろんてき解析かいせき展開てんかい. 日本にっぽん農芸のうげい学会がっかい, 66(9), 1319-1326.
  12. ^ Altmann, K. H., Buchner, J., Kessler, H., Diederich, F., Krautler, B., Lippard, S., ... & Walsh, C. T. (2009). The state of the art of chemical biology. ChemBioChem, 10(1), 16-29.
  13. ^ 長田ながた裕之ひろゆき. (2007). 化学かがく生物せいぶつがく融合ゆうごう目指めざして: ケミカルバイオロジー. 学術がくじゅつ動向どうこう, 12(12), 62-63.

関連かんれん項目こうもく

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