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軍隊ぐんたい符号ふごう

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
NATOしき軍隊ぐんたい符号ふごう利用りようした作図さくずれいだいよん中東ちゅうとう戦争せんそうにおけるシナイ半島しないはんとう戦闘せんとう経過けいかしめしたもの。

軍隊ぐんたい符号ふごう(ぐんたいふごう、えい: Military symbol)もしくは兵科へいか記号きごう(へいかきごう)は、軍事ぐんじじょう作業さぎょうもちいられている文字もじ数字すうじ略号りゃくごういろなどから記号きごう総称そうしょうである。自衛隊じえいたいにおいては部隊ぶたい符号ふごう(ぶたいふごう)とばれる。

概説がいせつ

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戦術せんじゅつ作業さぎょう実施じっしする場合ばあいには地形ちけい彼我ひが部隊ぶたい特定とくてい施設しせつなどの状態じょうたい位置いちえがんで状況じょうきょう作成さくせいする。このさい図上ずじょう情報じょうほう効率こうりつ簡略かんりゃくのために一定いってい軍隊ぐんたい符号ふごう一般いっぱんてきもちいられている。

この軍隊ぐんたい符号ふごうだい規模きぼ部隊ぶたいだけではなく、小規模しょうきぼ部隊ぶたいにまでこまかくさだめられている。また部隊ぶたいだけではなく司令しれい本部ほんぶ通信つうしんしょ情報じょうほうしょとう軍事ぐんじ施設しせつ符号ふごうや、歩兵ほへい機関きかんじゅう戦車せんしゃ火砲かほうひとし最小さいしょう戦闘せんとう単位たんいまでをもあらわせるように符合ふごうめられており、戦術せんじゅつ作業さぎょう活用かつようされる。

くにべつことなるものであり、陣営じんえいことなるとまったことなる様式ようしきとなる。西側にしがわ諸国しょこくにおいては、北大西洋きたたいせいよう条約じょうやく機構きこう標準ひょうじゅん兵科へいか記号きごう標準ひょうじゅんされ、ひろもちいられている。これはアメリカ陸軍りくぐん使用しようしていたものを土台どだいにしたもので、陸上りくじょう部隊ぶたいならば四角よつかどをベースとし、わくない兵科へいかを、上部じょうぶ部隊ぶたい規模きぼしめすものとなっている。西側にしがわ諸国しょこくにおいてはフランスのぞき、旅団りょだん以上いじょう規模きぼ表示ひょうじについて指揮しきする将官しょうかんほしすう軍隊ぐんたい符号ふごうおなじである(軍隊ぐんたい編制へんせいの「各国かっこく陸軍りくぐん編制へんせい」と高官こうかん階級かいきゅうあきら参照さんしょう)。だい世界せかい大戦たいせんどきドイツ陸軍りくぐんでは、菱形ひしがた戦車せんしゃ部隊ぶたいはたマークで部隊ぶたい規模きぼしめすなどしていた。

日本にっぽん

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日本にっぽん陸軍りくぐん

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日本にっぽん陸軍りくぐんしき軍隊ぐんたい符号ふごうによる作図さくずれい、それぞれ多数たすうの「たいしるべ」・「略字りゃくじ」が使用しようされている(二・二六事件ににろくじけんさい鎮圧ちんあつ部隊ぶたい行動こうどう)。たとえばみぎの「57i (-III)」とは「だい3大隊だいたいいた歩兵ほへいだい57連隊れんたい」を意味いみする

大日本帝国だいにっぽんていこく陸軍りくぐん軍隊ぐんたい(この「軍隊ぐんたい」とは官衙かんが学校がっこうのぞくいわゆる「部隊ぶたい」を意味いみする)においては、たいごう種類しゅるい兵種へいしゅとう簡略かんりゃく表記ひょうきした符号ふごうとして、記号きごうである「たいしるべ」と文字もじである「略字りゃくじ」が使用しようされ[1]、これらが「軍隊ぐんたい符号ふごう」と総称そうしょうされた。これらの符号ふごう彼我ひがりょうぐん標示ひょうじするさいちょしょくされることもあり、その場合ばあい通常つうじょう自軍じぐんは「藍色あいいろ青色あおいろ)」に、てきぐんは「赤色あかいろ」とする。

たいしるべ

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たいしるべ」は、図案ずあんされた「はた」、「四角よつかど」・「三角さんかく」・「矢印やじるし」の記号きごう、「まるしるし」や「ほししるし」や「十字じゅうじ」などきわめて多種たしゅ多様たようのものであり、またこれら記号きごうわせた「たいしるべ」もおおい。たとえば大本営だいほんえいは「黒点こくてんした四角よつかどはたした中黒なかぐろまるしるし」、歩兵ほへい師団しだん司令しれいは「たてしょく三角さんかくはたした白丸しろまる」、歩兵ほへい旅団りょだん司令しれいは「ろくすすきぼし」、歩兵ほへい連隊れんたい本部ほんぶは「真白まっしろ四角よつかどはたした中黒なかぐろまるしるし」である。

略字りゃくじ

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略字りゃくじ」は、おもフランス語ふらんすご・ドイツ英語えいご日本語にほんごマ字まじ表記ひょうきおもにする)の頭文字かしらもじもちいられ、またラテン文字もじ大文字おおもじ小文字こもじ)・日本語にほんご文字もじおよびアラビア数字すうじローマ数字すうじかん数字すうじによって臨機応変りんきおうへん構成こうせいされる。主要しゅようれいとしては、兵科へいか兵種へいしゅおよびその部隊ぶたいなどには以下いか略字りゃくじが、

陸軍りくぐん編制へんせい基幹きかんとなる単位たんいにおいては以下いか使用しようされていた。

陸軍りくぐん航空こうくう部隊ぶたいではおおむね「F」をかん

陸軍りくぐん船舶せんぱく部隊ぶたいにおいてはおおむね「Se」をかんし、

  • 「SeC(船舶せんぱく司令しれい)」、「SeU(船舶せんぱく輸送ゆそう司令しれい)」、「SeH(船舶せんぱく兵団へいだん司令しれい)」、「SeD(船舶せんぱくだん司令しれい)」、「SeY(揚陸ようりくたい)」、「SeP(船舶せんぱく工兵こうへい連隊れんたい)」、「SeTL(船舶せんぱく通信つうしん連隊れんたい)」、「SeA(船舶せんぱく砲兵ほうへい連隊れんたい)」とう

兵器へいきないしその兵器へいき運用うんようする部隊ぶたい

しょうした。

近衛このえ」の称呼しょうこかんするしょ部隊ぶたい略字りゃくじあたまに「G」をかんし(「GD(近衛このえ師団しだん)」、「1Gi(近衛このえあゆみへいだい1連隊れんたい)」、「GK(近衛このえ騎兵きへい連隊れんたい)」とう)、「混成こんせい」のしょ部隊ぶたいは「M」をかんし(「1MBs(独立どくりつ混成こんせいだい1旅団りょだん)」とう)、「特設とくせつ」するしょ部隊ぶたいは「Ex」をかんし(「31ExHMA(特設とくせつだい31機関きかんほうたい)」とう)、「独立どくりつ」の称呼しょうこかんする部隊ぶたいは「s」を略字りゃくじ後尾こうびし、たとえば独立どくりつ歩兵ほへい大隊だいたいは「s(独立どくりつ)+i(歩兵ほへい)+b(大隊だいたい)」から「ibs」、独立どくりつ飛行ひこう中隊ちゅうたいは「s(独立どくりつ)+Fc(飛行ひこう中隊ちゅうたい)」から「Fcs」などとしょうす。

たいごうはその数字すうじ略字りゃくじかんし、「2SA(だい2そうぐん)」、「1HA(だい8方面ほうめんぐん)」、「10A(だい10ぐん)」、「3FA(だい3航空こうくうぐん)」、「2GD(近衛このえだい2師団しだん)」、「18D(だい18師団しだん)、「2Gi(近衛このえあゆみへいだい2連隊れんたい)」、「321i(歩兵ほへいだい321連隊れんたい)」、「1TD / 1TKD(戦車せんしゃだい1師団しだん)」、「64FR(飛行ひこうだい64戦隊せんたい)、「100ibs(独立どくりつ歩兵ほへいだい100大隊だいたい)」、「81Fcs(独立どくりつ飛行ひこうだい81中隊ちゅうたい)」とうしょうす。このほか、「あきらKFD(明野あけの教導きょうどう飛行ひこう師団しだん)」や「つねKFD(常陸ひたち教導きょうどう飛行ひこう師団しだん)」のように日本語にほんご文字もじかんする略字りゃくじ存在そんざいする。

部隊ぶたいない部隊ぶたいたい表記ひょうきするさい大隊だいたいはローマ数字すうじ(「I(だい1大隊だいたい)」、「II(だい2大隊だいたい)」、「III(だい3大隊だいたい)」とう)とし、中隊ちゅうたいはアラビア数字すうじ(「1(だい1中隊ちゅうたい)」、「2(だい2中隊ちゅうたい」」、「3(だい3中隊ちゅうたいとう)となるほか、「4だいだい4大隊だいたい) 」や「ちゅうだい5中隊ちゅうたい)」など漢字かんじかん数字すうじ使用しようされる。上級じょうきゅう部隊ぶたい番号ばんごう併記へいきするさい斜線しゃせんもちい「II/2i(歩兵ほへいだい2連隊れんたいだい2大隊だいたい)」、「3.4/3i(歩兵ほへいだい3連隊れんたいだい3・だい4中隊ちゅうたい)」とうとする。さらに、小隊しょうたいおよび分隊ぶんたいしめ場合ばあいは、中隊ちゅうたい単位たんいとする分数ぶんすうもちい「1|3 9/4i(歩兵ほへいだい4連隊れんたいだい9中隊ちゅうたいの1小隊しょうたい」、「1|16 2/5K(騎兵きへいだい5連隊れんたいだい2中隊ちゅうたいの1分隊ぶんたい)」とする。

しかしながら、これら軍隊ぐんたい符号ふごう略字りゃくじかならずしも固有こゆうのものではなく便宜べんぎてきなものでもあり、たとえばそうぐんす「SA」は兵種へいしゅたる野戦やせん重砲じゅうほうへい砲兵ほうへいのなかでも野戦やせん重砲じゅうほうたる10cmのう・15cm榴弾りゅうだんほう運用うんようする部隊ぶたい)をすものでもあり、またそうぐんたるささえ派遣はけんぐんは「CGA」、南方なんぽうぐんは「NA」と、だい大戦たいせん末期まっき編成へんせいされただい1そうぐん(1SA)・だい2そうぐん(2SA)・航空こうくうそうぐん(FSA)とことなり「SA」を使用しようしていない。また、南方なんぽうぐんの「NA」も陸軍りくぐん軍隊ぐんたい符号ふごうにおいては海軍かいぐんほう海岸かいがんほう)をすものでもある。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 学校がっこう教練きょうれん必携ひっけい. じゅつこれ まえへん doi:10.11501/1080583 コマ番号ばんごう286-288

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 高井たかい三郎さぶろう現代げんだい軍事ぐんじ用語ようご』アリアドネ企画きかく、2006ねん
  • 防衛ぼうえいほう学会がっかいへんしんてい 世界せかい国防こくぼう制度せいど』(第一法規出版だいいちほうきしゅっぱん
  • もりまつ俊夫としお図解ずかい陸軍りくぐん』(けん帛社・1991ねん9がつISBN 4-7679-8508-0
  • 太平洋戦争たいへいようせんそう研究けんきゅうかい図説ずせつ日本にっぽん陸軍りくぐん』(しょうおよげしゃ・1995ねん7がつISBN 4-88135-263-6
  • べい陸軍りくぐんしょうへん日本にっぽん陸軍りくぐん便覧びんらん』(光人みつひとしゃ・1998ねん4がつISBN 4-7698-0833-X
  • 太平洋戦争たいへいようせんそう研究けんきゅうかい日本にっぽん陸軍りくぐんがよくわかる事典じてん』(PHP研究所けんきゅうじょPHP文庫ぶんこ・2002ねん7がつISBN 4-569-57764-4
  • 黒野くろのたい帝国ていこく陸軍りくぐんの“改革かいかく抵抗ていこう”』(講談社こうだんしゃ、2006ねん9がつISBN 4-06-149859-2
  • アジア歴史れきし資料しりょうセンター(公式こうしき
    • 陸軍りくぐんしょう作戦さくせん要務ようむれい附録ふろく其ノいち 軍隊ぐんたい符号ふごう(1)』、1940ねん、Ref.C14110434200
    • 陸軍りくぐんしょう作戦さくせん要務ようむれい附録ふろく其ノいち 軍隊ぐんたい符号ふごう(2)』、1940ねん、Ref.C14110434300
    • あかつきだいろくいちななよん部隊ぶたい教育きょういく) 『船舶せんぱく関係かんけい軍隊ぐんたい符号ふごう 昭和しょうわ17ねん12月16にち』、1942ねん、Ref.C14020216800

関連かんれん項目こうもく

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