音部おとべ記号きごう

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音部おとべ記号きごう(おんぶきごう)は西洋せいよう音楽おんがく五線ごせんほうによる楽譜がくふもちいられる音楽おんがく記号きごう一種いっしゅ五線ごせん左端ひだりはししるし、五線ごせんじょう位置いちおとたかさとの関係かんけい指定していする。

音部おとべ記号きごう種類しゅるい[編集へんしゅう]

音部おとべ記号きごう名称めいしょうには、その音部おとべ記号きごう自体じたい名称めいしょう音部おとべ記号きごうかれた場所ばしょによる名称めいしょうとがある。

音部おとべ記号きごう自体じたい名称めいしょうにはおん記号きごう高音こうおん記号きごう)、おん記号きごう低音ていおん記号きごう)、おん記号きごう中音ちゅうおん記号きごう)がある。

音部おとべ記号きごうかれた場所ばしょによる名称めいしょうにはつぎのものがある。

つぎ楽譜がくふで、くろぜん音符おんぷ中央ちゅうおうおんみどり中央ちゅうおうおんのすぐじょうのトおんあか中央ちゅうおうおんのすぐのヘおんである。

音部記号の一覧

これらのうち現在げんざいもっと一般いっぱんてき使用しようされているのは、ヴァイオリン記号きごう、バス記号きごうの2種類しゅるいであり、それぞれ記号きごう自体じたい名称めいしょうでトおん記号きごう、ヘおん記号きごうばれている。そのほかアルト記号きごう、テノール記号きごう補助ほじょてき使つかわれている。このうちアルト記号きごう記号きごう自体じたい名称めいしょうでハおん記号きごうばれることもおおい。

楽譜がくふ印刷いんさつする技術ぎじゅつ発達はったつであった時代じだいには、せんをなるべくもちいずにできるように各種かくしゅ音部おとべ記号きごう活用かつようされたが、現在げんざいでは、上記じょうき4しゅ以外いがいはあまりもちいられない。

おん記号きごう[編集へんしゅう]

おん記号きごうもちいたトレブル(ヴァイオリン)記号きごう

おん記号きごうは、中央ちゅうおうおとのすぐじょうト (G)おと位置いちしめ音部おとべ記号きごう中央ちゅうおううずのような部分ぶぶん中心ちゅうしんがトおんである。G文字もじ図案ずあんしたものである。一般いっぱんてきには、高音こうおんしるすために使つかわれるが、低音ていおんでもこの記号きごう使つか場合ばあいがある。この場合ばあい、トレブル記号きごうしたちいさく「8」とき、中央ちゅうおうハのすぐのト(G)のおとしめすものとすることがおおい。

しょうヴァイオリン(フレンチヴァイオリン)記号きごう[編集へんしゅう]

{ \clef french { g'1-\markup "小ヴァイオリン記号" } }

おん記号きごう五線ごせんだい1せんく。すべての音部おとべ記号きごうなかもっとたかおとしめすのにてきした記号きごうであるが、滅多めった使つかわれることはない。バロック時代じだいにはアルト・リコーダーじつおとするさいもちいられる場合ばあいがあった。バッハブランデンブルク協奏曲きょうそうきょく自筆じひつ総譜そうふなどにその実例じつれいられる。

ヴァイオリン(トレブル)記号きごう[編集へんしゅう]

{ \clef violin { g'1-\markup "ヴァイオリン記号" } }

おん記号きごう五線ごせんだい2せんく。今日きょうにおいて一般いっぱんにトおん記号きごうえば、この記号きごうす。文字通もじどおヴァイオリン楽譜がくふ使つかわれる記号きごうであるが、そのにもフルート女声じょせい声楽せいがくなど、西洋せいよう音楽おんがくこう音域おんいきしる場合ばあい使つかわれる標準ひょうじゅんてき記号きごうである。また、移調いちょう楽器がっきのほとんどは、ひく音域おんいきであってもこの記号きごうもちいることがおおい。だい譜表ふひょうの2だんのうちの一方いっぽう(まれに両方りょうほう)はこの記号きごうもちいられる。

{ \clef "treble_8" { g'1-\markup "トレブル記号(低音部)" } }

おん記号きごう[編集へんしゅう]

おん記号きごうもちいたバス記号きごう

おん記号きごうは、中央ちゅうおうおんのすぐヘ (F)おと位置いちしめ音部おとべ記号きごう。2つのてんあいだがヘおんである。F文字もじ図案ずあんしたものである。一般いっぱんてきには、低音ていおんしるすために使つかわれる。

バリトン記号きごう[編集へんしゅう]

{ \clef varbaritone  { f1-\markup "バリトン記号" } }

おん記号きごう五線ごせんだい3せんく。ふるバリトンパートをあらわすのに使つかわれたが、現代げんだいではあまりられない。

バス記号きごう[編集へんしゅう]

{ \clef F { f1-\markup "バス記号" } }

おん記号きごう五線ごせんだい4せんく。ふるくからバスパートをあらわすのに使つかわれた。一般いっぱんにヘおん記号きごうえば、この記号きごうす。現在げんざいにおいてはヴァイオリン記号きごうつぎによく使つかわれる記号きごうで、てい音域おんいきしるすために使つかう。またドラムセットや、合唱がっしょう重唱じゅうしょうにおける男声だんせいのパートをしめすのにも使つかわれる。だい譜表ふひょうの2だんのうちの一方いっぽうもちいられる記号きごうでもある。

ていバス記号きごう[編集へんしゅう]

{ \clef subbass { f1-\markup "低バス記号" } }

おん記号きごう五線ごせんだい5せんく。すべての音部おとべ記号きごうなかもっとひくおとしめすのにてきした記号きごうであるが、滅多めった使つかわれることはない。

おん記号きごう[編集へんしゅう]

おん記号きごうもちいたアルト記号きごう五線ごせんおさまっている)
おん記号きごうもちいたテノール記号きごう(アルト記号きごうくらべて1あいだ(1せん分上ぶんじょうにずれている)

おん記号きごうは、中央ちゅうおう(C)のおと位置いちしめ音部おとべ記号きごう。2つのCを左右さゆうぎゃくにしたような部分ぶぶんあいだ、すなわち記号きごうなかがハおんである。C文字もじ図案ずあんしたものである。ちゅう音域おんいきおとしるすのにてきしている。古典こてん以前いぜんでは、ソプラノ、アルト、テノールなどの声域せいいきのためにはハおん記号きごう使つかうのが正規せいきのものとされていたが、近代きんだいその慣習かんしゅうだい部分ぶぶんすたれている。

ソプラノ記号きごう[編集へんしゅう]

{ \clef soprano { c'1-\markup "ソプラノ記号" } }

おん記号きごう五線ごせんだい1せんく。古典こてん以前いぜん楽譜がくふで、ソプラノパートをしめすのに使つかわれるほかいまでも音楽おんがく理論りろん学習がくしゅうやスコア・リーディングに使つかわれる。バロック時代じだい鍵盤けんばん楽器がっき音楽おんがく楽譜がくふ高音こうおんはしばしばこれをもちいてかれる。

メゾソプラノ記号きごう[編集へんしゅう]

{ \clef mezzosoprano { c'1-\markup "メゾソプラノ記号" } }

おん記号きごう五線ごせんだい2せんく。古典こてん以前いぜん楽譜がくふで、女声じょせいのパートをしめすのに使つかわれる。

アルト記号きごう[編集へんしゅう]

{ \clef alto { c'1-\markup "アルト記号" } }

おん記号きごう五線ごせんだい3せんく。ふるアルトパートをあらわすのに使つかわれたが、現代げんだいではおおくはトレブル記号きごうってわられている。しかしオーケストラではヴィオラアルト・トロンボーン楽譜がくふしゅとしてこの記号きごうもちいるほか、ロシアの作曲さっきょくあいだにはテナー・トロンボーン楽譜がくふもアルト記号きごうくという慣習かんしゅうられる。イングリュッシュ・ホルンホルンのための楽譜がくふじつおと作曲さっきょくが、その音域おんいきによってはアルト記号きごう使用しようすることがある。

テノール記号きごう[編集へんしゅう]

{ \clef tenor { c'1-\markup "テノール記号" } }

おん記号きごう五線ごせんだい4せんく。ふるテノールパートをあらわすのに使つかわれたが、現代げんだいではそのおおくはアマチュア吹奏楽すいそうがくスコアのようにバス記号きごうまたは低音ていおんようのトレブル記号きごうってわられている。ただし現代げんだい楽譜がくふでも、オーケストラではテナー・トロンボーン楽譜がくふしゅとしてこの記号きごうもちいるほか、ファゴットチェロこう音域おんいきあらわすのに使つかわれる。ワーグナーオペラのテノール・パートの自筆じひつはこれでかれている。

バリトン記号きごう[編集へんしゅう]

{ \clef baritone { c'1-\markup "バリトン記号" } }

おん記号きごう五線ごせんだい5せんく。ふるバリトンパートをあらわすのに使つかわれたが、現代げんだいではあまりられない。

文字もじコード[編集へんしゅう]

利用りよう環境かんきょうによっては表示ひょうじできない場合ばあいがある。

記号きごう Unicode JIS X 0213 文字もじ参照さんしょう 名称めいしょう
𝄞 U+1D11E - 𝄞
𝄞
musical symbol g clef
𝄟 U+1D11F - 𝄟
𝄟
musical symbol g clef ottava alta
𝄠 U+1D120 - 𝄠
𝄠
musical symbol g clef ottava bassa
𝄢 U+1D122 - 𝄢
𝄢
musical symbol f clef
𝄣 U+1D123 - 𝄣
𝄣
musical symbol f clef ottava alta
𝄤 U+1D124 - 𝄤
𝄤
musical symbol f clef ottava bassa
𝄡 U+1D121 - 𝄡
𝄡
musical symbol c clef

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]