鵜澤うざわ總そう明あきら

日本にっぽんの政治せいじ家か 鵜澤うざわ 總そう明あきら うざわ ふさあき
鵜澤うざわ總そう明あかりの肖像しょうぞう写真しゃしん
生年月日せいねんがっぴ	1872年ねん9月4日にち（旧暦きゅうれき明治めいじ5年ねん8月がつ2日にち）
出生しゅっしょう地ち	千葉ちば県けん長柄ながら郡ぐん上太田かみおおた村むら
没ぼつ年月日ねんがっぴ	(1955-10-21) 1955年ねん10月21日にち（83歳さい没ぼつ）
死没しぼつ地ち	東京とうきょう都と渋谷しぶや区く千駄ヶ谷せんだがや
出身しゅっしん校こう	東京とうきょう帝国ていこく大学だいがく法科ほうか大学だいがく独どく法科ほうか 卒業そつぎょう 第一高等学校だいちこうとうがっこう 卒業そつぎょう
前ぜん職しょく	弁護士べんごし
所属しょぞく政党せいとう	立憲りっけん政友せいゆう会かい
称号しょうごう	正せい四よん位い 法学ほうがく博士はかせ（1908年ねん）
貴族きぞく院いん議員ぎいん
選挙せんきょ区く	勅みことのり選せん議員ぎいん
在任ざいにん期間きかん	1928年ねん4月がつ4日にち - 1937年ねん9月13日にち
衆議院しゅうぎいん議員ぎいん（3-4期き）
選挙せんきょ区く	（千葉ちば県けん区く→） 千葉ちば県けん第だい6区く
当選とうせん回数かいすう	2回かい
在任ざいにん期間きかん	1917年ねん4月がつ20日はつか - 1924年ねん1月がつ31日にち
衆議院しゅうぎいん議員ぎいん（1-2期き）
選挙せんきょ区く	千葉ちば県けん区く
当選とうせん回数かいすう	2回かい
在任ざいにん期間きかん	1908年ねん5月15日にち - 1914年ねん12月25日にち

昭和しょうわ天皇てんのう（左ひだり）と式辞しきじを読よむ鵜澤うざわ總そう明あきら（明治大学めいじだいがく創立そうりつ70周年しゅうねん記念きねん式典しきてん、1950年ねん）

晩年ばんねんの鵜澤うざわ總そう明あきら

明治大学めいじだいがく駿河台するがだいキャンパスの鵜澤うざわ總そう明あきら胸像きょうぞう

鵜澤うざわ 總そう明あきら（うざわ ふさあき、1872年ねん9月4日にち（明治めいじ5年ねん8月がつ2日にち）- 1955年ねん（昭和しょうわ30年ねん）10月21日にち）は、日本にっぽんの弁護士べんごし、政治せいじ家か。学位がくいは法学ほうがく博士はかせ。新しん字体じたいで鵜沢うざわ 総そう明あきら（うざわ ふさあき）とも表記ひょうきされる。旧名きゅうめい・惣一そういち。

第だい一いち東京とうきょう弁護士べんごし会かい会長かいちょう、衆議院しゅうぎいん議員ぎいん、貴族きぞく院いん議員ぎいん、大東だいとう文化ぶんか学院がくいん総長そうちょう、明治大学めいじだいがく総長そうちょう、国際基督教大学こくさいきりすときょうだいがく評議ひょうぎ員いん会かい議長ぎちょうなどを歴任れきにんした。

青山学院大学あおやまがくいんだいがく学長がくちょうを務つとめた経営けいえい学者がくしゃの鵜澤うざわ昌和まさかずは次男じなん。

来歴らいれき

生おい立たち

1872年ねん、千葉ちば県けん長柄ながら郡ぐん上太田かみおおた村むら（現在げんざいの茂原もはら市し上太田かみおおた）にて、富農ふのう、鵜沢うざわ巳み之の松まつの長男ちょうなん・惣一そういちとして誕生たんじょうする。1886年ねんに地元じもとの太田おおた小学校しょうがっこう高等こうとう科かを卒業そつぎょう。間あいだもなく、校長こうちょう鶴岡つるおか清きよし治郎じろうとの縁故えんこもあって、最年少さいねんしょうの教員きょういんとして同校どうこうに就職しゅうしょくする。鶴岡つるおかが退任たいにんすると、村長そんちょうの紹介しょうかいの下したで儒者じゅしゃの太田和おおたわ斎ひとしに弟子でし入いりし、石井いしい菊次郎きくじろうらとともに漢学かんがくを学まなぶ。

その後ご上京じょうきょうし、1890年ねんに第だい一いち高等こうとう中学校ちゅうがっこうに入学にゅうがくしたが、体調たいちょうを崩くずして1年間ねんかん休学きゅうがくする。1896年ねんに帝国ていこく大学だいがく法科ほうか大学だいがく独どく法科ほうかに入学にゅうがくし、卒業そつぎょう後ごの1899年ねんに横浜よこはまで弁護士べんごし事務所じむしょを開ひらく。1908年ねんに『法律ほうりつと道徳どうとくとの関係かんけい』で法学ほうがく博士はかせとなる。

宗教しゅうきょう家かとして

学生がくせい時代じだいにクリスチャンとなり、1898年ねん頃ころから一番町いちばんちょう教会きょうかい（現げん・富士見町ふじみちょう教会きょうかい）で植村うえむら正久まさひさの指導しどうを受うけ、青年せいねん会かい幹部かんぶとなる。1904年ねんに植村うえむらが東京とうきょう神学しんがく社しゃを開ひらいた際さいに講師こうしのち理事りじを務つとめた。1906年ねんには富士見ふじみ町まちでの新しん会堂かいどう建築けんちくに尽力じんりょくした。

政治せいじ家かとして

1908年ねん5月、第だい10回かい衆議院しゅうぎいん議員ぎいん総そう選挙せんきょで衆議院しゅうぎいん議員ぎいんに当選とうせんし、以後いご当選とうせん6回かい。1917年ねん（大正たいしょう6年ねん）4月がつ、第だい13回かい総そう選挙せんきょで当選とうせんしたが、衆議院しゅうぎいん議員ぎいん選挙せんきょ訴訟そしょうの結果けっか、安房あわ郡ぐんでの選挙せんきょが無効むこうとなり、同年どうねん12月がつ8日にち、千葉ちば県知事けんちじにより吉植よしうえ庄一郎しょういちろう・木村きむら政次郎まさじろう・関せき和知わち・津田つだ毅一きいち・鵜沢うざわ宇八・柏原かしわばら文太郎ぶんたろう・磯野いその敬たかし・加瀬かせ禧逸・土屋つちや清三郎せいさぶろうと共ともに当選とうせん証書しょうしょが取消とりけされ議員ぎいんを退職たいしょくし、同月どうげつに実施じっしされた再さい選挙せんきょで当選とうせんした。

所属しょぞく先さきの立憲りっけん政友せいゆう会かいでは院内いんない総務そうむ、協議きょうぎ員いん長ちょう、総務そうむ委員いいん（党とう本部ほんぶ役員やくいん）を務つとめ、1922年ねん（大正たいしょう11年ねん）には顧問こもんの一人ひとりに選出せんしゅつされた。1928年ねんに貴族きぞく院いん議員ぎいんに推薦すいせんされ、予算よさん委員いいん会かいや各種かくしゅ法律ほうりつの修正しゅうせい委員いいん会かいで活動かつどうしたが、後述こうじゅつの相沢あいざわ事件じけんで相沢あいざわ三郎さぶろう中佐ちゅうさの弁護べんごを担当たんとうしたことで皇すめらぎ道どう派は寄よりの人物じんぶつとの誤解ごかいを受うけ、1937年ねん9月13日にちをもって議員ぎいん辞職じしょくを余儀よぎなくされた。

弁護士べんごしとして

戦前せんぜん日本にっぽんで起おきた4つの大逆だいぎゃく事件じけんのうち、虎ノ門とらのもん事件じけんを除のぞく3事件じけんの弁護人べんごにんを引ひき受うけた。そのほかにも、弁護士べんごしとして以下いかの事件じけんの裁判さいばんの被告ひこくの弁護べんごをした。

• 東京とうきょう市し参事さんじ会かい汚職おしょく事件じけん - 長谷川はせがわ深ふかし造づくりの弁護べんごを担当たんとう。
• 川俣かわまた事件じけん
• 日比谷ひびや焼打やきうち事件じけん
• 東京とうきょう電車でんしゃ賃ちん値上ねあげ反対はんたい事件じけん
• 朝鮮ちょうせん総督そうとく暗殺あんさつ未遂みすい事件じけん
• シーメンス事件じけん
• 森戸もりと事件じけん
• 濱口はまぐち首相しゅしょう狙撃そげき事件じけん
• 血盟けつめい団だん事件じけん
• 大逆だいぎゃく事件じけん
  • 幸徳こうとく事件じけん - 奥宮おくのみや健之けんし・岡本おかもと穎一郎いちろう・新田にった融とおる（官選かんせん）、大石おおいし誠之助せいのすけ（私選しせん）の弁護べんごを担当たんとう。
  • 朴ぼく烈れつ事件じけん
  • 李り奉たてまつ昌あきら事件じけん
• 京都きょうと豚箱ぶたばこ事件じけん
• 帝人ていじん事件じけん
• 相沢あいざわ事件じけん
• 第だい二に次じ天津てんしん教きょう事件じけん - 天津てんしん教きょう教主きょうしゅ・竹内たけうち巨きょ麿まろが所持しょじする、いわゆる古史こし古伝こでんの竹内たけうち文書ぶんしょの不敬ふけい罪ざい裁判さいばん。鵜澤うざわは、竹内たけうちの主張しゅちょうをほぼ全面ぜんめん的てきに肯定こうていした。
• 尾崎おざき行雄ゆきお不敬ふけい事件じけん
• 極東きょくとう国際こくさい軍事ぐんじ裁判さいばん - 日本にっぽん側がわの弁護べんご団長だんちょうを務つとめた。
• 昭和電工しょうわでんこう事件じけん - 大野おおの伴睦ばんぼくの弁護べんごを担当たんとう。

教育きょういく者しゃとして

1901年ねんに明治めいじ法律ほうりつ学校がっこう（のちの明治大学めいじだいがく）講師こうしに迎むかえられ、岸本きしもと辰雄たつおに代かわって「法学ほうがく通論つうろん」の講義こうぎを担当たんとうした。1912年ねんに明治めいじ中学校ちゅうがっこう初代しょだい校長こうちょう（のちの明治大学めいじだいがく附属ふぞく明治めいじ中学校ちゅうがっこう）、1920年ねんに明大めいだい法学部ほうがくぶ長ちょう、34年ねん、43年ねん、49年ねん、51年ねんには総長そうちょうに選出せんしゅつされた。また、明治大学めいじだいがく雄弁ゆうべん会かいの初代しょだい会長かいちょうでもある。明治大学めいじだいがくおよび同どう附属ふぞく中学校ちゅうがっこうの構内こうないに胸像きょうぞうがある。

大東だいとう文化ぶんか学院がくいん（のちの大東だいとう文化ぶんか学院がくいん専門せんもん学校がっこう）でも1927年ねん以降いこう第だい4代だい、5代だい、9代だい、12代だい総長そうちょうを務つとめた。

1955年ねん10月11日にち、私立しりつ学校がっこう振興しんこう会かい会長かいちょうに推おされたが、10日とおか後ごの10月がつ21日にち、心臓麻痺しんぞうまひのため渋谷しぶや区く千駄ヶ谷せんだがやの自宅じたくで死去しきょ。葬儀そうぎは明治大学めいじだいがく記念きねん館かんで校こう葬そうにより行おこなわれた。墓所はかしょは青山あおやま霊園れいえん(1イ-2-23)。

人物じんぶつ

• 少年しょうねん時代じだい、父ちちが冤罪えんざいで投獄とうごくされていたことがある。
• クリスチャンらしく煙草たばこや酒さけは好このまなかったが、大食漢たいしょくかんだったという。

著書ちょしょ

• 『法学ほうがく通論つうろん』明治めいじ法律ほうりつ学校がっこう講こう法会ほうえ、1903年ねん（明治めいじ36年ねん）。[1]
• 『法律ほうりつ辞じ解かい』明治めいじ法律ほうりつ学校がっこう講こう法会ほうえ、1903年ねん（明治めいじ36年ねん）。[2]
• 『法学ほうがく通論つうろん』修学しゅうがく堂どう、1904年ねん（明治めいじ37年ねん）7月がつ。[3]
• 『法学ほうがく通論つうろん』普通ふつう教育きょういく学会がっかい、1906年ねん（明治めいじ39年ねん）。[4]
• 『比較ひかく法制ほうせい史し』明治大学めいじだいがく出版しゅっぱん部ぶ、1906年ねん（明治めいじ39年ねん）。[5]
• 『法律ほうりつ哲学てつがく講義こうぎ』明治めいじ39年度ねんど、明治大学めいじだいがく出版しゅっぱん部ぶ、1906年ねん（明治めいじ39年ねん）。[6]
• 『法律ほうりつ哲学てつがく講義こうぎ』明治めいじ40年度ねんど、明治大学めいじだいがく出版しゅっぱん部ぶ、1907年ねん（明治めいじ40年ねん）。[7]
• 『春秋しゅんじゅう論集ろんしゅう』春秋しゅんじゅう社しゃ、1916年ねん（大正たいしょう5年ねん）4月がつ18日にち。[8]
• 『洗あらい塵ちり』春秋しゅんじゅう社しゃ、1920年ねん（対象たいしょう9年ねん）1月がつ15日にち。[9]
• 『法律ほうりつと道徳どうとくとの関係かんけい』王道おうどう解説かいせつの基礎きそ的てき提案ていあん、大東だいとう文化ぶんか協会きょうかい、1933年ねん（昭和しょうわ8年ねん）8月がつ25日にち。[10]
• 『法律ほうりつと道徳どうとくとの関係かんけい』明治大学めいじだいがく出版しゅっぱん部ぶ、1935年ねん（昭和しょうわ10年ねん）9月がつ10日とおか。[11]
• 『老子ろうしの研究けんきゅう』春陽しゅんよう堂どう、1935年ねん（昭和しょうわ10年ねん）12月15日にち。[12]
• 『統帥とうすい権けんと統帥とうすい』明治大学めいじだいがく出版しゅっぱん部ぶ、1936年ねん（昭和しょうわ11年ねん）2月がつ18日にち。[13]
• 『随想ずいそう録ろく』大東だいとう文化ぶんか協会きょうかい、1936年ねん（昭和しょうわ11年ねん）4月がつ5日にち。[14]
• 『帝人ていじん事件じけん公判こうはん速記そっき録ろく』明治大学めいじだいがく出版しゅっぱん部ぶ、1937年ねん（昭和しょうわ12年ねん）10月がつ5日にち。[15]
• 『国民こくみん精神せいしん総動員そうどういんに就ついて』明治大学めいじだいがく出版しゅっぱん部ぶ、1937年ねん（昭和しょうわ12年ねん）11月1日にち。[16]

栄典えいてん

• 大礼たいれい記念きねん章あきら（1915年ねん11月10日にち）
• 勲くん四よん等とう瑞宝章ずいほうしょう（1916年ねん4月がつ1日にち）
• 旭日きょくじつ小しょう綬章じゅしょう（1919年ねん5月がつ24日にち）
• 勲くん三さん等とう瑞宝章ずいほうしょう（1921年ねん5月がつ30日にち）
• 第だい一いち回かい国勢調査こくせいちょうさ記念きねん章あきら（1921年ねん7月がつ1日にち）
• 旭日きょくじつ中ちゅう綬章じゅしょう（1928年ねん4月がつ21日にち）
• 大礼たいれい記念きねん章あきら（1928年ねん11月10日にち）
• 帝都ていと復興ふっこう記念きねん章あきら（1931年ねん5月がつ1日にち）
• 勲くん二に等とう瑞宝章ずいほうしょう（1934年ねん4月がつ29日にち）
• 旭日重光章きょくじつじゅうこうしょう（1940年ねん4月がつ29日にち）
• 紀元きげん二に千せん六ろく百ひゃく年ねん祝典しゅくてん記念きねん章あきら（1940年ねん11月10日にち）

参考さんこう文献ぶんけん

• 原田はらだ実みのる『偽書ぎしょが揺ゆるがせた日本にっぽん史し』山川やまかわ出版しゅっぱん社しゃ、2020年ねん3月がつ25日にち。ISBN 978-4-634-15163-5。 （電子でんし版ばんあり）

関連かんれん書籍しょせき

• 石川いしかわ正俊まさとし『鵜沢うざわ総そう明あきら その生涯しょうがいとたたかい』技報堂ぎほうどう、1956年ねん。
• 衆議院しゅうぎいん・参議院さんぎいん編へん『議会ぎかい制度せいど百ひゃく年ねん史し - 衆議院しゅうぎいん議員ぎいん名鑑めいかん』大蔵省おおくらしょう印刷いんさつ局きょく、1990年ねん。
• 日本にっぽんキリスト教きりすときょう歴史れきし大だい事典じてん編集へんしゅう委員いいん会かい 『日本にっぽんキリスト教きりすときょう歴史れきし大だい事典じてん』 教きょう文ぶん館かん、1988年ねん。ISBN 4-7642-4005-X
• 明治大学めいじだいがく百ひゃく年ねん史し編纂へんさん委員いいん会かい『明治大学めいじだいがく百ひゃく年ねん史し』 全ぜん4巻かん、学校がっこう法人ほうじん明治大学めいじだいがく、1986-1994年ねん。
• 明治大学めいじだいがく史し資料しりょうセンター『明治大学めいじだいがく小史しょうし―人物じんぶつ編へん』 学文社がくぶんしゃ、2011年ねん。ISBN 978-4-7620-2217-3
• 明治大学めいじだいがく史し資料しりょうセンター『鵜澤うざわ總そう明あかりと明治大学めいじだいがく』 DTP出版しゅっぱん、2021年ねん。

外部がいぶリンク

• 鵜沢うざわ総そう明あきら | 近代きんだい日本人にっぽんじんの肖像しょうぞう - 国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん
• 初代しょだい校長こうちょう 鵜沢うざわ総そう明あきら先生せんせい - 総そう明あかり会かい