人権じんけん蹂躙じゅうりん

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

人権じんけん蹂躙じゅうりん(じんけんじゅうりん)または人権じんけん侵害しんがい(じんけんしんがい)とは、国家こっか権力けんりょくとくに「公権力こうけんりょく」を行使こうしする行政ぎょうせい主体しゅたい)が憲法けんぽう保障ほしょうする基本きほんてき人権じんけん侵害しんがいすることを言葉ことばである(現代げんだいてき法律ほうりつがくこうがくじょう定義ていぎ。「#こうがくじょう人権じんけん侵害しんがい」)。また、わたし人間にんげんで、顔役かおやく、ボス、雇主やといぬし、マスコミなどが、よわ立場たちばにある人々ひとびと人権じんけん違法いほうおか意味いみにももちいられる(「#私人しじんあいだでの人権じんけん侵害しんがい」)。

法律ほうりつがく分野ぶんや行政ぎょうせい機関きかんでは「人権じんけん侵害しんがい」という用語ようごもちいられることがおおい。一般いっぱん用語ようごとしては「人権じんけん蹂躙じゅうりん」というかたもちいられるとされている[注釈ちゅうしゃく 1][1]

歴史れきし概要がいよう[編集へんしゅう]

人権じんけん侵害しんがい多様たよう概念がいねんである。歴史れきしてきには、中世ちゅうせいから近代きんだい絶対ぜったい主義しゅぎもとで、国王こくおうなどの国家こっか権力けんりょく統治とうち支配しはい)による個人こじん人権じんけん制限せいげんみとめないことを目的もくてきとして、成文せいぶんもうけられてきた歴史れきしがある。もっともふる制定せいていされた成文せいぶんとしては、イギリスイングランド)のマグナ・カルタ[注釈ちゅうしゃく 2]1215ねん)までさかのぼる。さらに、イギリスでは17世紀せいき市民しみん革命かくめいのあと、権利けんり請願せいがん権利けんり章典しょうてんなどの成文せいぶんもうけられ、国王こくおうによる恣意しいてき課税かぜいや、不当ふとう逮捕たいほなどの「人権じんけん侵害しんがい」を排除はいじょする努力どりょくはらわれてきた。その理論りろんてき支柱しちゅうとなった代表だいひょうてき思想家しそうかとして、ホッブズロックげられる。これらの思想しそう集大成しゅうたいせいさせたフランスルソーは、フランス革命かくめい(1789ねん - 1799ねん)や日本にっぽん明治めいじ時代じだい自由じゆう民権みんけん運動うんどう(1874ねん - 1883ねんごろ)にもおおきな影響えいきょうあたえた。[注釈ちゅうしゃく 3]

しかし、中世ちゅうせい近代きんだいまでの人権じんけん侵害しんがい概念がいねんは、資本しほん階級かいきゅうブルジョワジー)の所有しょゆうする私有しゆう財産ざいさんへの侵害しんがい恣意しいてき課税かぜいなど)と、自由じゆうけん、つまり人身じんしん自由じゆうなどへの侵害しんがい国王こくおうなどによる不当ふとう逮捕たいほなど)にかぎられていた。そして、このような人権じんけん概念がいねんした自由じゆう放任ほうにんレッセ・フェール)の原則げんそくをとった結果けっか社会しゃかいてき経済けいざいてき階層かいそう階級かいきゅう文化ぶんかすすみ、ひく階層かいそうかれた個人こじん生活せいかついちじるしく劣悪れつあくになった。この反省はんせいから、だいいち世界せかい大戦たいせんドイツ制定せいていされたヴァイマル憲法けんぽう(ドイツ共和きょうわこく憲法けんぽう、1919ねん)ではじめて、基本きほんてき人権じんけんとして生存せいぞんけんなどの社会しゃかいけん保障ほしょう規定きていされた。もっとも、1933ねんヒトラー政権せいけん誕生たんじょう制定せいていされた全権ぜんけん委任いにんほう(授権ほう)などの立法りっぽうによってヴァイマル憲法けんぽう形骸けいがいされ、究極きゅうきょくてき人権じんけん侵害しんがいであるジェノサイドなどにつながった。

だい世界せかい大戦たいせんのち制定せいていされた日本国にっぽんこく憲法けんぽう(1947ねん)は、このような歴史れきしまえたうえで、広範こうはん人権じんけん規定きていさだめている。人権じんけん侵害しんがいとは、これら多様たよう人権じんけんおかされることをいう。

これ以下いかふしでは、現代げんだいてき意味いみにおける「人権じんけん侵害しんがい」(または「人権じんけん蹂躙じゅうりん」)にかんして記述きじゅつされている。

こうがくじょう人権じんけん侵害しんがい[編集へんしゅう]

現代げんだい法律ほうりつがくこうがくじょう定義ていぎによる「人権じんけん侵害しんがい」とは、憲法けんぽう保障ほしょうする人権じんけん国家こっか侵害しんがいすることをいう。たとえば、正当せいとう理由りゆうもしくは手続てつづきなしに個人こじん自由じゆううばったり刑罰けいばつあたえたりすることをす。具体ぐたいてきには、適正てきせい手続てつづき保障ほしょう日本国にっぽんこく憲法けんぽうだい31じょう)、令状れいじょう主義しゅぎどう33じょう)にもとづかずに個人こじん自由じゆううば別件べっけん逮捕たいほ人権じんけん侵害しんがいにあたる見方みかたすくなくないという見解けんかいがある[注釈ちゅうしゃく 4]

もっとも、日本にっぽん最高裁判所さいこうさいばんしょ国家こっか権力けんりょくなどによる公権力こうけんりょく行使こうし違憲いけん判断はんだんしたれいはきわめて限定げんていてきである(違憲いけん審査しんさ基準きじゅん明白めいはくかつ現在げんざい危険きけんなどを参照さんしょう)。このことから、日本にっぽん司法しほう原則げんそくとして司法しほう消極しょうきょく主義しゅぎをとり、司法しほう謙抑けんよくせい重視じゅうししているともされる。

近時きんじは、自己じこ情報じょうほうコントロールけんなどのあらたな人権じんけん意識いしきたかまりなどから、個人こじんプライバシーぞくする個人こじん情報じょうほう正当せいとう目的もくてきなく行政ぎょうせい機関きかん保有ほゆうしたり、適正てきせい管理かんりしないことなどが「人権じんけん侵害しんがい」であるとの見方みかたしょうじてきた。これをけて、行政ぎょうせい機関きかん保有ほゆうする個人こじん情報じょうほう保護ほごかんする法律ほうりつ制定せいていされ、個人こじん情報じょうほうのずさんな管理かんり人権じんけん侵害しんがい(もしくは違法いほう行為こうい)とられるようになってきている。

わたし人間にんげんでの人権じんけん侵害しんがい[編集へんしゅう]

一般いっぱんてき意味いみ使つかわれる「人権じんけん蹂躙じゅうりん」・「人権じんけん侵害しんがい」は、この問題もんだいすことがおおい。

憲法けんぽう規定きていは、国家こっか権力けんりょく干渉かんしょうから私人しじん活動かつどうまもるためにもうけられている。そして、一般いっぱんわたし人間にんげん関係かんけいについては、国家こっかによる干渉かんしょう排除はいじょした私的してき自治じち原則げんそく自由じゆう放任ほうにん)にゆだねられてきた。しかしその結果けっかわたし人間にんげんであっても、対等たいとう個人こじんあいだ関係かんけいとはことなる関係かんけい(たとえば、巨大きょだい企業きぎょう労働ろうどうしゃ消費しょうひしゃや、私立しりつ学校がっこう学生がくせいなど)がしょうじるようになった。このような、社会しゃかいてき経済けいざいてき強者きょうしゃ弱者じゃくしゃとのあいだ支配しはい従属じゅうぞく関係かんけいしょうじたことで、社会しゃかいけん労働ろうどう三権さんけん生存せいぞんけんなどのあたらしい人権じんけんが、だい世界せかい大戦たいせんのち制定せいていされた日本国にっぽんこく憲法けんぽうでも詳細しょうさいもうけられた。

もっとも、日本国にっぽんこく憲法けんぽうさだめる規定きていは、一般いっぱんには、「抽象ちゅうしょうてき権利けんり」または「プログラム規定きてい」であるとかんがえられており、憲法けんぽう規定きてい具体ぐたいてき権利けんりとしてみる見解けんかい一般いっぱんてきではない。つまり、具体ぐたいてき権利けんり規定きていする法律ほうりつ制定せいていされないかぎり、個々人ここじん具体ぐたいてき権利けんり付与ふよされたものではないと、通説つうせつてきには解釈かいしゃくされている。その裏返うらがえしとして、日本にっぽん裁判所さいばんしょが「人権じんけん侵害しんがい」にあたるかかについての法的ほうてき判断はんだんおこな場合ばあいには、私的してき自治じち原則げんそく契約けいやく自由じゆう原則げんそくへの配慮はいりょから、具体ぐたいてきほう一般いっぱん条項じょうこう解釈かいしゃく適用てきようにおいて憲法けんぽう趣旨しゅし考慮こうりょするにまる(わたし人間にんげん効力こうりょく参照さんしょう)。

わたし人間にんげんでの人権じんけん侵害しんがいれい[編集へんしゅう]

人権じんけん侵害しんがいにリストされているいくつかの具体ぐたいれいについて解説かいせつする。

日本国にっぽんこく憲法けんぽうだい28じょうさだめるいわゆる労働ろうどう三権さんけん労働ろうどう基本きほんけん)を具体ぐたいした規定きていとして、労働ろうどう基準きじゅんほう労働ろうどう組合くみあいほう労働ろうどう関係かんけい調整ちょうせいほうのいわゆる労働三法ろうどうさんぽうがある。これらの法律ほうりつ違反いはんする不当ふとう労働ろうどう行為こうい労働ろうどう組合くみあいほうだい7じょう)やいわゆるサービス残業ざんぎょう労働ろうどう基準きじゅんほうだい37じょうとう違反いはん行為こうい)などがこの種類しゅるいの「人権じんけん侵害しんがい」であり、それぞれの法律ほうりつ労働ろうどう審判しんぱんほうなどの特別とくべつほうのほか、民法みんぽう民事みんじ訴訟そしょうほうなどの一般いっぱんほうが、具体ぐたいてきにそれぞれの「人権じんけん侵害しんがい」にたいする罰則ばっそく救済きゅうさいさくなどをさだめている。

さらに、20世紀せいきすえから21世紀せいきにかけての日本にっぽんでは、従来じゅうらいほう家庭かていはいらず」のほう格言かくげんしたであまり干渉かんしょうされなかった家庭かていないにおける虐待ぎゃくたいなどが法律ほうりつによって規制きせいされるようになりつつある。具体ぐたいてきには、DV防止ぼうしほう(2001ねん)、高齢こうれいしゃ虐待ぎゃくたい防止ぼうしほう(2006ねん)などがあらたに制定せいていされている。このような法律ほうりつ近時きんじ次々つぎつぎ制定せいていされていることは、ドメスティックバイオレンス高齢こうれいしゃ虐待ぎゃくたいなど家庭かていないにおける弱者じゃくしゃ虐待ぎゃくたいをも、「法的ほうてき意味いみでの人権じんけん侵害しんがい」と日本にっぽん社会しゃかいがとらえるようになってきたげんわれであるともいえる。

人権じんけん侵害しんがい差別さべつかんする多様たよう見解けんかい[編集へんしゅう]

もっとも、特定とくてい属性ぞくせいにあることでける不利益ふりえきをもって「社会しゃかいてき弱者じゃくしゃ」とること自体じたいが、そのような特定とくてい属性ぞくせいを「ひくい」地位ちいにあるものと固定こていする差別さべつてき見方みかたであるとする見解けんかいや、「社会しゃかいてき弱者じゃくしゃ」にたいする優遇ゆうぐうさくアファーマティブ・アクション)をとることが、「社会しゃかいてき強者きょうしゃ」とされるものにとってはぎゃく差別さべつであるとする見解けんかいもある[注釈ちゅうしゃく 5]。このように、わたし人間にんげんにおける「人権じんけん侵害しんがい」の問題もんだい平等びょうどうけん日本国にっぽんこく憲法けんぽう14じょう)や幸福こうふく追求ついきゅうけんどう13じょう)などとの関連かんれんで、きわめて多様たよう見解けんかい対立たいりつしている[注釈ちゅうしゃく 6]詳細しょうさいかく項目こうもくおよび専門せんもんしょとうゆずる。

対等たいとう私人しじんあいだでの人権じんけん侵害しんがい[編集へんしゅう]

対等たいとう私人しじんあいだあいだでは、「人権じんけん侵害しんがい」が直接ちょくせつ問題もんだいとなることはない。なぜなら、それぞれの私人しじん独自どくじ人権じんけん享有きょうゆう主体しゅたいであるからである。このような対等たいとう私人しじんあいだにおいて、いわゆる「人権じんけん侵害しんがい」、つまり憲法けんぽう趣旨しゅし考慮こうりょしたうえでの法的ほうてき意味いみでの違法いほうせいがあるかかは、具体ぐたいてきほう一般いっぱん条項じょうこう解釈かいしゃく適用てきようにおいて、りょう当事とうじしゃあいだ具体ぐたいてき事情じじょうしたにおいて、それぞれの利益りえき相対そうたいてき比較ひかく衡量することによって判断はんだんされることになる(わたし人間にんげん効力こうりょく間接かんせつ適用てきようせつ)も参照さんしょう)。

メディアと人権じんけん侵害しんがい[編集へんしゅう]

マスメディアによる人権じんけん侵害しんがい[編集へんしゅう]

従来じゅうらい大量たいりょう情報じょうほう大衆たいしゅうたいして送信そうしんするマスコミュニケーションは、伝統でんとうてきマスメディアテレビ新聞しんぶんラジオ出版しゅっぱんなどの報道ほうどう機関きかん)によって、一方いっぽうてき流通りゅうつうとならざるをなかった。このような「情報じょうほうおくしゅ」であるマスメディアと、「情報じょうほう」である大衆たいしゅう一般いっぱん個人こじん)の分離ぶんりによって、表現ひょうげん自由じゆう報道ほうどう自由じゆう)は偏在へんざいした。このため、表現ひょうげんしゃとしての「強者きょうしゃ」であるマスメディアが、表現ひょうげん自由じゆう報道ほうどう自由じゆう)を存分ぞんぶん行使こうしすることによって、表現ひょうげんしゃとしては「弱者じゃくしゃ」である大衆たいしゅうプライバシーけん人格じんかくけんといった人権じんけん侵害しんがいすることが問題もんだいされるようになった。その典型てんけいれいとして、報道ほうどう被害ひがいメディアスクラムなどがげられる(報道ほうどう被害ひがい#報道ほうどう自由じゆう人権じんけん侵害しんがい参照さんしょう)。これにたいして、報道ほうどう機関きかんは「自主じしゅ規制きせい」によって過剰かじょう報道ほうどうという人権じんけん行使こうし一定いってい歯止はどめをかけるようになった。

情報じょうほう社会しゃかいにおける人権じんけん侵害しんがい[編集へんしゅう]

1990ねんだいごろからの情報じょうほう社会しゃかい急速きゅうそく発展はってんにともない、パソコン通信つうしんインターネットなど、個人こじんでも容易ようい表現ひょうげん活動かつどうおこなうことができる双方向そうほうこうせいあらたな「マスメディア」)をもちいた「マスコミュニケーション」[注釈ちゅうしゃく 7]急速きゅうそく拡大かくだいした。これにともない、個人こじんのぞめば、大衆たいしゅう(マス)にたいして自己じこ思想しそう意見いけん表明ひょうめいなどを簡易かんいかつ安価あんかおこなえるようになった。このような表現ひょうげん活動かつどうは、表現ひょうげん自由じゆう言論げんろん自由じゆう日本国にっぽんこく憲法けんぽうだい21じょう1こう)の範疇はんちゅうぞくするものである。他方たほうで、このような表現ひょうげん活動かつどうつうじて、他者たしゃプライバシー暴露ばくろしたり、名誉めいよ侵害しんがいしたりするなど、他者たしゃの「人権じんけん」(それぞれ「プライバシーけん」、人格じんかくけん)の範疇はんちゅうぞくする事項じこう抵触ていしょくする事態じたいしょうじるようになった。

そして、パソコン通信つうしんやインターネットじょうでのプライバシー侵害しんがい名誉めいよ毀損きそんなどにたいして、相次あいついで訴訟そしょうこされている[注釈ちゅうしゃく 8]裁判所さいばんしょ判断はんだん枠組わくぐみは、はしてきにまとめるとつぎのようにひょうすることができる。つまり、プライバシーけんかんしてはいったん公開こうかいされてそれが侵害しんがいされるとその回復かいふくがきわめて困難こんなんになるため、他人たにん意思いしはんして開示かいじすることを、表現ひょうげん自由じゆうした容易ようい正当せいとうすることはない。しかし、対等たいとう私人しじんあいだにおいて、名誉めいよけん人格じんかくけん侮辱ぶじょくてき発言はつげんとう言論げんろんによって侵害しんがいされたとしても、その表現ひょうげん活動かつどう反論はんろんとう)によって回復かいふく可能かのうである。したがって、「表現ひょうげん自由じゆう」と「人格じんかくけん」という対等たいとう私人しじんあいだでの等価とうか人権じんけんを、個別こべつ具体ぐたいてき事情じじょうした比較ひかく考量こうりょうしたうえでの慎重しんちょう法的ほうてき判断はんだんおこなっている(等価とうかてき利益りえき衡量)。

また、プロバイダーがやウェブサーバーの設置せっちしゃなどが、インターネットじょうでの情報じょうほう流通りゅうつうについて発生はっせいする他人たにん人権じんけん権利けんり利益りえき)の侵害しんがいたいして、迅速じんそく適切てきせつ対応たいおうおこなうことを目的もくてきとして、2001ねんプロバイダ責任せきにん制限せいげんほう制定せいていされている。詳細しょうさいは、この項目こうもくおよび外部がいぶリンクを参照さんしょうのこと。

人権じんけん侵害しんがいたいする救済きゅうさい[編集へんしゅう]

つぎのような制度せいど用意よういされている。詳細しょうさいかく項目こうもく参照さんしょう

  1. 国家こっか権力けんりょく行政ぎょうせい主体しゅたい)による人権じんけん侵害しんがい
  2. わたし人間にんげんにおける人権じんけん侵害しんがい

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ 法学ほうがく分野ぶんや用語ようごとして「人権じんけん侵害しんがい」のかたり収載しゅうさいされているのは、#参考さんこう文献ぶんけんをはじめとする法学ほうがく専門せんもんしょのほか、ブリタニカ百科ひゃっか事典じてん世界せかいだい百科ひゃっか事典じてんなど。行政ぎょうせい機関きかんれいとしては法務省ほうむしょうなど(外部がいぶリンク参照さんしょう)。「人権じんけん侵害しんがい」を「人権じんけん蹂躙じゅうりん」と同義どうぎとしたうえ人権じんけん蹂躙じゅうりん語義ごぎ収載しゅうさいしているのは、広辞苑こうじえんだい5はん三省堂さんせいどう大辞林だいじりんだい1はん小学館しょうがくかん大辞泉だいじせんだい1はん岩波いわなみ国語こくご辞典じてんだい6はんなどがある。
  2. ^ マグナ・カルタジョン国王こくおうによる恣意しいてき課税かぜいとうの「人権じんけん侵害しんがい」をみとめないことを目的もくてき制定せいていされた。
  3. ^ ホッブズは、代表だいひょうてき著作ちょさくひとつである『リヴァイアサン』(1651ねん)において、各人かくじん自然しぜんけん行使こうしした場合ばあい自然しぜん状態じょうたい闘争とうそう状態じょうたいになるととらえ、そのような自然しぜん状態じょうたいにおける自己じこ保存ほぞん権利けんりを、国王こくおうまたは合議ごうぎたい制定せいていする法律ほうりつしたがって、政府せいふ国王こくおう)に委託いたくすべきととなえた(ほう支配しはい原理げんり社会しゃかい契約けいやくせつ創始そうし)。ホッブズのせつたいしては、絶対ぜったい主権しゅけん絶対ぜったい主義しゅぎ擁護ようごしていると批判ひはんされた。このような批判ひはんとして、ロックは、『政治せいじろんへん』(1690ねん)などで、つぎのような自然しぜんけん観念かんねんとなえた。つまり、「自然しぜん状態じょうたい」では基本きほんてきには平和へいわだが侵害しんがいたいする保障ほしょうがない。労働ろうどう対価たいかである「私有しゆう財産ざいさん」は最大限さいだいげん保障ほしょうされなければならない。侵害しんがいたいしては、自己じこ私有しゆう財産ざいさん防衛ぼうえいするために抵抗ていこう正当せいとうされる。ロックの思想しそうは、名誉めいよ革命かくめい1688ねん)の正当せいとうせいささえる理論りろんてき支柱しちゅうとなり、その制定せいていされた権利けんり章典しょうてん1689ねん)に影響えいきょうあたえた。ルソーは、『社会しゃかい契約けいやくろん』、『エミール』(いずれも1762ねん)などの著作ちょさくで、ロックの思想しそう発展はってんてき継承けいしょうした。『社会しゃかい契約けいやくろん』は中江なかえ兆民ちょうみんによって日本語にほんご翻訳ほんやくされ(『みんやく訳解やっかい』)、自由じゆう民権みんけん運動うんどうおおきな影響えいきょうあたえた。
  4. ^ ブリタニカ百科ひゃっか事典じてんげられた見解けんかいによる。ただし、実際じっさい捜査そうさでよくもちいられる別件べっけん逮捕たいほ人権じんけん侵害しんがいか、人権じんけん侵害しんがいにあたらない場合ばあい限界げんかいとうについては、法律ほうりつ学者がくしゃ実務じつむ検察官けんさつかん裁判官さいばんかん弁護士べんごしひとし)らのあいだおおきく見解けんかいかれる。参考さんこう文献ぶんけんとして捜査そうさ#参考さんこう文献ぶんけん参照さんしょう
  5. ^ このような見解けんかいは、比較的ひかくてき一般いっぱんてきなものであるが、たとえば、『ブリタニカ百科ひゃっか事典じてん』の「アファーマティブ・アクション」の項目こうもくはしてきにまとめられている。
  6. ^ 男女だんじょ雇用こよう機会きかい均等きんとうほう1985ねんに「勤労きんろう婦人ふじん福祉ふくしほう」の改正かいせいにより制定せいてい)では、制定せいてい当初とうしょ基本きほんてき理念りねんとして、「女性じょせい労働ろうどうしゃ性別せいべつによって差別さべつされないこと」、および「母性ぼせい尊重そんちょう」が重視じゅうしされていた(改正かいせいまえ2じょう)。しかし、「男性だんせい差別さべつ」をも是正ぜせいする必要ひつようせいとう指摘してきされるようになり、2006ねんほう改正かいせい2007ねん4がつ1にち施行しこう予定よてい)によって、「男女だんじょわずに労働ろうどうしゃ性別せいべつによって差別さべつされることがないこと」が、ほう基本きほんてき理念りねんとして明記めいきされた(新旧しんきゅう対照たいしょうひょう参照さんしょう)。また、障害しょうがいしゃ対策たいさく問題もんだいも、障害しょうがいしゃを「社会しゃかいてき弱者じゃくしゃ」とみて、障害しょうがいしゃたいする援助えんじょかたよった施策しさくをとることは社会しゃかい参加さんかへのみちざすものであるとして、自己じこ決定けっていけん尊重そんちょうノーマライゼーション理念りねん強調きょうちょうされるようになってきている。もっとも、近時きんじ施策しさく変更へんこうについては、財政ざいせいめん見地けんち、つまり社会しゃかい保障ほしょう抑制よくせいする目的もくてきおおきいとの批判ひはん根強ねづよい(障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほうひとし参照さんしょう)。
  7. ^ インターネットなどのあらたなメディア媒体ばいたい)を「マスメディア」「マスコミュニケーション」の範疇はんちゅうふくめるかかについては議論ぎろんがある。
  8. ^ プライバシー暴露ばくろ事件じけんとしては、インターネットの電子でんし掲示板けいじばんにおいて、プライバシー情報じょうほうふくいやがらせのみを反復はんぷく継続けいぞくしてった被告ひこくたいして550まんえん支払しはらいをめいじた判決はんけつひとしがある(東京とうきょう地方裁判所ちほうさいばんしょ八王子はちおうじ支部しぶ、2002ねん平成へいせい14ねん)8がつ29にち)。また、著名ちょめい事件じけんとしては、ニフティサーブ現代げんだい思想しそうフォーラム事件じけん(だい2しん判決はんけつ東京とうきょう高等こうとう裁判所さいばんしょ 2001ねん平成へいせい13ねん)9がつ5にち)は、インターネットじょうでの論争ろんそうにおける侮辱ぶじょくてき言動げんどうたいして、発言はつげんしゃ損害そんがい賠償ばいしょう責任せきにんみとめつつ、ニフティしゃおよシスオペ責任せきにん否定ひていしている。他方たほうニフティサーブほん雑誌ざっしフォーラム事件じけん(だい1しん判決はんけつ東京とうきょう地方裁判所ちほうさいばんしょ2001ねん平成へいせい13ねん)8がつ27にち判決はんけつ判例はんれい時報じほう1778ごう90ぺーじ判例はんれいタイムス1086ごう181ぺーじ、メディア判例はんれいひゃくせん112事件じけん)では、対抗たいこう言論げんろん法理ほうり対等たいとう立場たちばにおける言論げんろんによる名誉めいよ侵害しんがいたいしては、言論げんろん反論はんろんをすることとうによって名誉めいよ回復かいふくはかるべきとする法理ほうり)を正面しょうめんからみとめている。詳細しょうさいかく項目こうもくとう参照さんしょう
  9. ^ 明石書店あかししょてんから 『日弁連にちべんれん弁護士べんごしかい人権じんけん救済きゅうさい申立もうしたて事例じれいしゅう人権じんけん侵害しんがい根絶こんぜつをめざして』(ISBN 4-750-30753-X)が出版しゅっぱん されている(1995ねん

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ 国立こくりつ国会こっかい図書館としょかん. “人権じんけん蹂躙じゅうりん(じんけんじゅうりん)でうったえる」と、みみにすることがあるが、人権じんけん蹂躙じゅうりんざいというようなつみ根拠こんきょと...”. レファレンス協同きょうどうデータベース. 2021ねん10がつ22にち閲覧えつらん。 “人権じんけん蹂躙じゅうりんという語句ごくについて、「日本にっぽん国語こくごだい辞典じてん」(小学館しょうがくかん・R813)で調しらべる。一般いっぱんてきには人権じんけん蹂躙じゅうりん使つかうが、法律ほうりつ用語ようごでは人権じんけん侵害しんがいという語句ごく使つかう。”

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]