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オロチョン族 - Wikipedia
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オロチョン族ぞく

オロチョン族ぞく（Orochon, Oroqin、繁体字はんたいじ：鄂倫春はる、簡体字かんたいじ：鄂伦春はる族ぞく）は、ツングース系けいの言葉ことばを話はなす民族みんぞく（ツングース系けい民族みんぞく）[1]。しばしばエヴェンキ族ぞくの一派いっぱとみなされる[1][注釈ちゅうしゃく 1]。主おもに北東ほくとうアジアの興きょう安やす嶺みね山脈さんみゃく周辺しゅうへんで中国ちゅうごく領内りょうないの内モンゴル自治うちもんごるじち区く、その近隣きんりんのロシア領内りょうないのバイカル湖こ東部とうぶ沿岸えんがんからアムール川がわ沿そいに居住きょじゅうする[1][2]。トナカイを飼養しようする[1][2][注釈ちゅうしゃく 2]。もともとは狩猟しゅりょうをしながら移動いどうしていたが、現在げんざいは定住ていじゅう化かが進すすんでいる。

オロチョン族ぞく
鄂伦春はる族ぞく
鄂倫春はる族ぞく
オロチョン族ぞく（1900年ねん）
総そう人口じんこう
8196人にん(2010年ねん)[1]
居住きょじゅう地域ちいき
中華人民共和国の旗 中国ちゅうごく内モンゴル自治うちもんごるじち区く、黒竜江こくりゅうこう省しょう
ロシアの旗 ロシア アムール川がわ流域りゅういき、バイカル湖こ周辺しゅうへん
言語げんご
オロチョン語ご
宗教しゅうきょう
シャーマニズム、仏教ぶっきょう
関連かんれんする民族みんぞく
エヴェンキ、エヴェン、ネギダール
オロチョン族ぞくのシャーマン

生活せいかつ

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オロチョン族ぞくを描えがいた中国ちゅうごくの絵画かいが（清きよし、謝しゃ逐『職しょく貢みつぎ図ず』）

この民族みんぞくの代表だいひょう的てきな生業せいぎょうは、肉にく・内臓ないぞう・血ちの食用しょくよう・飲用いんようや皮革ひかく採取さいしゅ目的もくてきでの獣ししの狩猟しゅりょうである[1][2]。狩猟しゅりょうの対象たいしょうの獣ししは、マールー（馬鹿ばかげ（ばろく）、ワピチの亜種あしゅマンシュウアカシカ）、ノロ、ハンダハン（駝鹿（だろく）・ラクダジカ、ヘラジカの亜種あしゅマンシュウエルクジカ）などのシカ類るいやリス、テン、オオカミ、イノシシ、オオヤマネコ、クマなどが挙あげられる。トナカイを飼養しようして移動いどう生活せいかつを送おくってきた[1][2]。興きょう安やす嶺みね地域ちいきにおいて騎馬きばの習慣しゅうかんが認みとめられ、狩猟しゅりょう時じの移動いどうと荷物にもつ運搬うんぱんの手段しゅだんとしてウマが用もちいられるが、これはモンゴル民族みんぞくからの影響えいきょうによるものと考かんがえられている[1]。

オロチョン族ぞくの伝統でんとう的てきな住居じゅうきょは、比較的ひかくてき細ほそいシラカバなどの幹みきの柱はしらを何なん本ほんも組くんでその外部がいぶをシカ類るいなどの毛皮けがわで覆おおった円錐えんすい形がたの天幕てんまく式しき住居じゅうきょである[1]。ただし、定住ていじゅう化かが進すすんだ現在げんざいでは、日常にちじょう的てきには近隣きんりんの漢かん族ぞくやロシア人じんと同様どうようの住居じゅうきょで生活せいかつし、泊とまり掛がけの狩猟しゅりょうの際さいに山野さんやで臨時りんじに設もうけるのみである。エヴェンキ族ぞくもこのような天幕てんまく式しき住居じゅうきょを伝統でんとう的てきに使用しようしてきた[1]。

円錐えんすい形がた天幕てんまく住居じゅうきょのほか、シラカバの樹皮じゅひを加工かこうした舟ふねや工芸こうげい品ひん（樺かば皮かわ細工ざいく）、シャーマニズムの信仰しんこう、社会しゃかい構造こうぞうなどにおいて、エヴェンキと共通きょうつうの文化ぶんか要素ようそが認みとめられる[1]。

他た民族みんぞくとの関かかわり

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こうした伝統でんとう文化ぶんかは、ロシアではソビエト連邦れんぽう時代じだい、中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこくでは文化ぶんか大だい革命かくめい時ときには弾圧だんあつされ一いち時じ途絶とだえていたが、ロシアではその体制たいせい崩壊ほうかいにより、少すこしずつ復興ふっこうされつつある。

かつてはロシア人じんやモンゴル系けいのダウール族ぞくの商人しょうにんとの交易こうえきを行おこない、皮革ひかくと引ひき換かえに、ロシア人じんやダウール族ぞくから鍋なべなどの生活せいかつ用品ようひん、狩猟しゅりょうに必要ひつような銃じゅう・散弾さんだんのほか、酒類しゅるいなどの嗜好しこう品ひんも得えた。

中国ちゅうごく側がわのオロチョン族ぞくに対たいしては、満まん洲しゅう国こく時代じだいの1930年代ねんだい後半こうはんに、関東軍かんとうぐんの特務とくむ機関きかんが工作こうさくして軍事ぐんじ訓練くんれんをほどこし、対たいソ情報じょうほう収集しゅうしゅうの任務にんむを与あたえた。オロチョン族ぞくはソ連それん領内りょうないにも同族どうぞくがおり、ロシア語ごと中国ちゅうごく語ごに通つうじていたため、その種たねの任務にんむに適てきしていた。当時とうじ関東軍かんとうぐんの特務とくむ機関きかんは少数しょうすう民族みんぞく宣撫せんぶ工作こうさくに阿片あへんを用もちいたともいわれており、オロチョン族ぞくの間あいだに麻薬まやく中毒ちゅうどくが広ひろがり、戦後せんごもしばらく続つづいたと主張しゅちょうする研究けんきゅう者しゃもいる[3]。

1943年ねんに14歳さいで満蒙まもう開拓かいたく青少年せいしょうねん義勇軍ぎゆうぐんとして満まん洲しゅうに渡わたった岩間いわま典夫のりお（山梨やまなし県けん出身しゅっしん）は、シベリア抑留よくりゅう、中国ちゅうごく人民じんみん解放かいほう軍ぐん入隊にゅうたいを経へて交易こうえき馬車ばしゃの護送ごそう中ちゅう、オロチョン族ぞくに襲撃しゅうげきされて捕とらわれたが、日本人にっぽんじんであることから命いのちを助たすけられ、オロチョン族ぞくと生活せいかつをともにし、妻つまをオロチョン族ぞくからむかえてオロチョンで指導しどう者しゃ的てき役割やくわりを担になった人物じんぶつである[4][5][注釈ちゅうしゃく 3]。

アムール川がわ流域りゅういきや樺太からふと（サハリン）では、エヴェンキ族ぞくやウィルタ（オロッコ）族ぞくに対たいし、しばしば「オロチョン」の呼称こしょうが用もちいられたことがあった[1]。

中国ちゅうごくの自治じち地方ちほう

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自治じち旗はた

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民族みんぞく郷きょう

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遺伝子いでんし

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オロチョン族ぞくのY染色せんしょく体たいハプログループはC2が61.3％、O2が19.4%である[6]。

その他た

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北海道ほっかいどう網走あばしり市しでは「オロチョンの火祭ひまつり」が行おこなわれているが、これは和人わじん（大和やまと民族みんぞく）による観光かんこう行事ぎょうじで、かつては網走あばしり在住ざいじゅうのウィルタやニヴフの協力きょうりょくを得えていたこともあるが、彼かれらの伝統でんとう文化ぶんかを尊重そんちょうした内容ないようではないので、じきに参加さんかを拒否きょひするようになった[注釈ちゅうしゃく 4]。これは、「オロチョン」という言葉ことばが北方ほっぽう諸しょ民族みんぞくの漠然ばくぜんとした呼称こしょうとして用もちいられた時期じきの名残なごりである。現在げんざいでも、語呂ごろの良よさから「オロチョン」の呼称こしょうが用もちいられているが、オロチョン族ぞくに火祭ひまつりという習俗しゅうぞくはない。

また、味噌みそラーメンを唐辛子とうがらし等とうで辛しんく味付あじつけした「オロチョンラーメン」なる商品しょうひんやメニュー、ラーメン店てんがあるが[注釈ちゅうしゃく 5]、「オロチョンの火祭ひまつり」から連想れんそうされた名称めいしょうである。「オロチョン」がアイヌ語ごで「勇敢ゆうかん」という意味いみであるという説明せつめいもなされることもあるが、アイヌ語ごにはそのような語彙ごいはなく、根拠こんきょのない説明せつめいである。

脚注きゃくちゅう

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[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ ロシアでは、オロチョン族ぞくはエヴェンキの一派いっぱとみなされるが、中国ちゅうごくではそれぞれ別べつの民族みんぞくとみなされている。
  2. ^ 「オロチョン」の名なは、エヴェンキ語ごでトナカイを意味いみする「オロン」に由来ゆらいすると考かんがえられている[1]。
  3. ^ 岩間いわまは中国ちゅうごく大陸たいりくで53年間ねんかんにおよぶ激動げきどうの生活せいかつを送おくったのち、オロチョン族ぞくの妻つまと家族かぞくをともない、1996年ねん、故国ここく日本にっぽんに永住えいじゅう帰国きこくした[5]。
  4. ^ 『ゲンダーヌ―ある北方ほっぽう少数しょうすう民族みんぞくのドラマ』（1978年ねん）で詳くわしい経緯けいいが説明せつめいされている[7]。
  5. ^ かつてサンヨー食品しょくひんから同名どうめいのインスタントラーメンが発売はつばいされていた。

出典しゅってん

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l 萩原はぎはら（1988）p.428
  2. ^ a b c d 『ブリタニカ国際こくさい大だい百科ひゃっか事典じてん:小しょう項目こうもく事典じてん1』「オロチョン人じん」（1972）p.716
  3. ^ 中ちゅう生せい（2000）pp.192-196
  4. ^ 坂本さかもと『されど故郷こきょう忘じがたく』（1988）
  5. ^ a b 坂本さかもと『祖国そこくまで 岩間いわま典夫のりおの半はん世紀せいき』（1996）
  6. ^ Yali Xue et al 2006, Male demography in East Asia: a north-south contrast in human population expansion times Archived September 6, 2008, at the Wayback Machine.
  7. ^ 『ゲンダーヌ―ある北方ほっぽう少数しょうすう民族みんぞくのドラマ』（1978）

参考さんこう文献ぶんけん

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書籍しょせき・事典じてん類るい

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  • 坂本さかもと龍彦たつひこ『されど故郷こきょう忘じがたく―オロチョン族ぞくと生いきる日本人にっぽんじん・岩間いわま典夫のりお』主婦しゅふの友社ともしゃ、1988年ねん4月がつ。ISBN 978-4079279031。 
  • 坂本さかもと龍彦たつひこ『祖国そこくまで　岩間いわま典夫のりおの半はん世紀せいき』恒文社こうぶんしゃ、1996年ねん12月。ISBN 978-4770409027。 
  • 田中たなか了りょう・ダーヒンニェニ・ゲンダーヌ『ゲンダーヌ―ある北方ほっぽう少数しょうすう民族みんぞくのドラマ』現代げんだい史し出版しゅっぱん会かい、1978年ねん2月がつ。ISBN 978-4198014742。 
  • 萩原はぎはら真子しんじ「オロチョン族ぞく」『世界せかい大だい百科ひゃっか事典じてん4 オ-カイ』平凡社へいぼんしゃ、1988年ねん3月がつ。 
  • フランク・B・ギブニー 編へん『ブリタニカ国際こくさい大だい百科ひゃっか事典じてん:小しょう項目こうもく事典じてん1』ティビーエス・ブリタニカ、1972年ねん9月がつ。 
    • 「オロチョン人じん」『ブリタニカ国際こくさい大だい百科ひゃっか事典じてん:小しょう項目こうもく事典じてん1』ティビーエス・ブリタニカ、1972年ねん9月がつ。 

論文ろんぶん・雑誌ざっし記事きじ

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関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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