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告訴・告発 - Wikipedia

告訴こくそ告発こくはつ

法律ほうりつ用語ようご

告訴こくそ告発こくはつ(こくそ・こくはつ)は、検察官けんさつかん司法しほう警察けいさついんたいして犯罪はんざい申告しんこくし、くにによる処罰しょばつもとめる刑事けいじ訴訟そしょうほうじょう訴訟そしょう行為こういである[1]マスメディアひとしでは刑事けいじ告訴こくそ刑事けいじ告発こくはつということもある。

このうち、犯罪はんざい被害ひがいしゃひとし告訴こくそけんしゃ刑事けいじ訴訟そしょうほう230じょうもとづいておこなうものが告訴こくそであり、市民しみん一般いっぱん刑事けいじ訴訟そしょうほう239じょう1こうもとづいておこなうものが告発こくはつである。

なお、刑事けいじ訴訟そしょうほうもとづく「告発こくはつ」と、マスメディアとう一般いっぱんてきもちいられる言葉ことばとしての「告発こくはつ」や「内部ないぶ告発こくはつ」とは法的ほうてきことなるものである。

以下いか本稿ほんこうにおいて、法律ほうりつじょう告訴こくそ告発こくはつ受理じゅり機関きかんとなる行政ぎょうせい機関きかんを「捜査そうさ機関きかん」という。

概要がいよう

編集へんしゅう

告訴こくそ告発こくはつは、いずれも、刑事けいじ訴訟そしょうほううえ法律ほうりつ行為こういであり、犯罪はんざい事実じじつ捜査そうさ機関きかん申告しんこくしてくに犯人はんにん処罰しょばつ刑罰けいばつ)をもとめる意思いし表示ひょうじとなるものである。

告訴こくそ告発こくはつのうち、告訴こくそについては「犯罪はんざいによりがいつたしゃ」(被害ひがいしゃ)(ほう230じょうとう告訴こくそけんしゃ後述こうじゅつ)が、告発こくはつについてはだれでもなしうる(ほう239じょう1こう。ただし、公務員こうむいん場合ばあいは、職務しょくむじょうることになった犯罪はんざいについて告発こくはつおこなうことが義務ぎむとなっている(ほう239じょう2こう)。)

一定いってい犯罪はんざい刑法けいほうとうにおいて「告訴こくそがなければ公訴こうそ提起ていきすることができない」と規定きていされているもの)については、被害ひがいしゃとうによる告訴こくそ存在そんざいが、検察官けんさつかん公訴こうそ提起ていきするための条件じょうけんとなっている(親告罪しんこくざい)。また関税かんぜいほうだい148じょうだい1こう私的してき独占どくせん禁止きんしおよ公正こうせい取引とりひき確保かくほかんする法律ほうりつだい96じょうだい1こうのように、特定とくてい行政ぎょうせい機関きかんの「告発こくはつつて、これをろんずる」とされている場合ばあいは、これらの規定きていによる告発こくはつがないと起訴きそできない。

告訴こくそ告発こくはつは、書面しょめん提出ていしゅつすることも(電子でんしメール不可ふか)、口頭こうとうもうてることもできる(241じょう1こう口頭こうとう場合ばあいは241じょう2こうにより捜査そうさ機関きかん調書ちょうしょ作成さくせい義務ぎむせられる。)。書面しょめんによった場合ばあい、その書面しょめんのことを告訴こくそじょう告発こくはつじょうという。告訴こくそじょうまたは告発こくはつじょうにはとくまった様式ようしきなどはないが、後述こうじゅつする告訴こくそ告発こくはつ要件ようけんたす記載きさいがされている必要ひつようがある。

告訴こくそ告発こくはつ手続てつづきあつかうことができる専門せんもんしょく以下いかのとおりである。

告訴こくそ告発こくはつとうにより公訴こうそ提起ていきがあった事件じけんについて、被告人ひこくにん無罪むざいまたは免訴めんそ裁判さいばんけた場合ばあいにおいて、告訴こくそ告発こくはつをしたがわ故意こいまたは重過失じゅうかしつがあったときは、そのもの訴訟そしょう費用ひよう負担ふたんすることがある(183じょう)。また虚偽きょぎ告訴こくそとうざいおよび軽犯罪法けいはんざいほう1じょう16ごう構成こうせい要件ようけん充足じゅうそくした場合ばあい刑事けいじ責任せきにんわれる可能かのうせいもある。

なお、告訴こくそ告発こくはつは、そこでの捜査そうさ機関きかんへの犯罪はんざい事実じじつ申告しんこくにより、捜査そうさ機関きかんにおける捜査そうさ端緒たんしょひとつに該当がいとうする[注釈ちゅうしゃく 1][注釈ちゅうしゃく 2]

告訴こくそ告発こくはつをすることができるものまたは義務ぎむがあるもの

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告訴こくそをすることができるもの

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告訴こくそする権利けんりがあるもの告訴こくそけんしゃ)は、以下いかのとおりである。

  • 被害ひがいしゃ刑訴法けいそほう230じょう
  • 被害ひがいしゃ法定ほうてい代理人だいりにん刑訴法けいそほう231じょう1こう
  • 被害ひがいしゃ死亡しぼうしたときは、その配偶はいぐうしゃ直系ちょっけい親族しんぞくまたは兄弟きょうだい姉妹しまい刑訴法けいそほう231じょう2こう
  • 被害ひがいしゃ法定ほうてい代理人だいりにん被疑ひぎしゃ被疑ひぎしゃ配偶はいぐうしゃ被疑ひぎしゃよん親等しんとうない血族けつぞくもしくはさん親等しんとうない姻族いんぞくであるときは、被害ひがいしゃ親族しんぞく刑訴法けいそほう232じょう
  • 死者ししゃ名誉めいよ毀損きそんしたつみについては、死者ししゃ親族しんぞくまたは子孫しそん刑訴法けいそほう233じょう1こう)。名誉めいよ毀損きそんしたつみについて被害ひがいしゃ告訴こくそをしないで死亡しぼうしたときも同様どうようどうじょう2こう
  • 告訴こくそけんしゃがない場合ばあいには、利害りがい関係かんけいじん申立もうしたてにより検察官けんさつかん指定していするもの刑訴法けいそほう234じょう

告発こくはつをすることができるもの

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何人なんにんでも、犯罪はんざいがあるとおもうときは、告発こくはつをすることができる(刑訴法けいそほう239じょう1こう)。

告発こくはつする義務ぎむがあるもの

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公務員こうむいん[注釈ちゅうしゃく 3]職務しょくむじょう犯罪はんざい認知にんちしたときは告発こくはつ義務ぎむう(刑訴法けいそほう239じょう2こう)。

告訴こくそ告発こくはつ受理じゅり機関きかん

編集へんしゅう

告訴こくそまたは告発こくはつは、書面しょめん(いわゆる告訴こくそじょう告発こくはつじょう)または口頭こうとうで、検察官けんさつかんまたは司法しほう警察けいさついんにこれをしなければならない(刑事けいじ訴訟そしょうほう241じょう1こう。ただし、司法しほう巡査じゅんさかんしては犯罪はんざい捜査そうさ規範きはん63じょう2こう司法しほう警察けいさついんへのぎの義務ぎむ規定きていされており、受理じゅり窓口まどぐちとして機能きのうするようになっている。)。ここで、告訴こくそ告発こくはつさきとなる捜査そうさ機関きかんには、検察庁けんさつちょうおよ警察けいさつほかに、刑事けいじ訴訟そしょうほう190じょうおよび個別こべつほう規定きていのある特別とくべつ司法しほう警察けいさつ職員しょくいんのいる海上かいじょう保安ほあん海上かいじょう保安ほあんしょ都道府県とどうふけん労働ろうどうきょく労働ろうどう基準きじゅん監督かんとくしょ麻薬まやく取締とりしまり都道府県とどうふけん薬事やくじ担当たんとうくすりつとむ薬事やくじとう)、産業さんぎょう保安ほあん監督かんとく地方ちほう運輸うんゆきょくとうがある。なお、口頭こうとうによる告訴こくそ告発こくはつけた検察官けんさつかんまたは司法しほう警察けいさついんは、刑事けいじ訴訟そしょうほう241じょう2こうより調書ちょうしょ作成さくせいしなければならない。

捜査そうさ機関きかんには告訴こくそ告発こくはつ受理じゅり義務ぎむがあり、要件ようけんととのった告訴こくそ告発こくはつおこなわれた捜査そうさ機関きかんは、これをこばむことができない(東京とうきょうばん昭和しょうわ54ねん3がつ16にち。さらに、事件じけん事務じむ規程きてい3じょう4ごう[注釈ちゅうしゃく 4][注釈ちゅうしゃく 5]

告訴こくそ告発こくはつたいする捜査そうさ機関きかん対応たいおう遅延ちえん

編集へんしゅう
  • 詐欺さぎやストーカー事件じけんにおいて警察けいさつが、告訴こくそじょうってもなかなか捜査そうさはいらないことがあり、とき犯罪はんざい被害ひがい拡大かくだい原因げんいんとなっているとして問題もんだいされる。
  • 経済けいざい犯罪はんざいなどは、警察官けいさつかん経済けいざい諸法しょほうれい金融きんゆう商品しょうひん取引とりひきほう証券しょうけん取引とりひきほうなど)の理解りかい能力のうりょく疑問ぎもんされており、これが捜査そうさ放置ほうちにつながっているとの指摘してきもある。
  • いわゆる桶川おけがわストーカー殺人さつじん事件じけんにおいては、告訴こくそけた警察けいさつ対応たいおうせず、それどころか告訴こくそをもみすために調書ちょうしょ改竄かいざんなどをおこない、結果けっか殺人さつじん事件じけん発展はってんしたことが批判ひはんされている[2]
どう事件じけんにおいて、警察けいさつ民事みんじ介入かいにゅう建前たてまえにしていたが、告訴こくそにより処理しょり件数けんすう増加ぞうかすると成績せいせきわるくなることがしん理由りゆうであったと指摘してきされている[2]

告訴こくそ告発こくはつ法的ほうてき効果こうか

編集へんしゅう

告訴こくそ告発こくはつ法的ほうてき効果こうかとしては、司法しほう警察けいさついんによる事件じけん書類しょるいおよび証拠しょうこぶつ検察官けんさつかんへの送付そうふ義務ぎむ刑訴法けいそほう242じょう)、検察官けんさつかんによる起訴きそまたは起訴きそ場合ばあい告訴こくそじん告発こくはつじんへの処分しょぶん通知つうち義務ぎむ刑訴法けいそほう260じょう)、検察官けんさつかん請求せいきゅうがあった場合ばあい起訴きそ理由りゆう告知こくち義務ぎむ刑訴法けいそほう261じょう)などの発生はっせいがある。

告訴こくそ告発こくはつけた捜査そうさ機関きかんは、すみやかに捜査そうさおこなうようつとめる必要ひつようがあるが(れいとして犯罪はんざい捜査そうさ規範きはん67じょう)、告訴こくそじん告発こくはつじん捜査そうさ機関きかんたい具体ぐたいてき捜査そうさおこなうことを請求せいきゅうすることはできない。

告訴こくそ告発こくはつ受理じゅり処分しょぶんせいについて

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東京とうきょう高裁こうさい判決はんけつ平成へいせい23ねん11月16にち判決はんけつ告発こくはつ受理じゅり処分しょぶん取消とりけし請求せいきゅう訴訟そしょう事件じけん)は、当事とうじしゃ訴訟そしょうとしての確認かくにん請求せいきゅう受理じゅり取消とりけし請求せいきゅう作為さくい違法いほう確認かくにん訴訟そしょう義務付ぎむづ訴訟そしょうをいずれも、確認かくにん利益りえきまたは処分しょぶんせい否定ひていされることを理由りゆうに、却下きゃっか控訴こうそ棄却ききゃくした。その理由りゆうとして、判決はんけつつぎのようにべた。

  • 具体ぐたいてき権利けんり義務ぎむないし法律ほうりつじょう利益りえきかかわる法的ほうてき地位ちい存否そんぴ確認かくにんもとめるものとはいえず,確認かくにん利益りえきく」(当事とうじしゃ訴訟そしょうとしての確認かくにん請求せいきゅう控訴こうそ棄却ききゃく
  • 行政ぎょうせい事件じけん訴訟そしょうほう3じょう2こう行政ぎょうせいちょう処分しょぶんその公権力こうけんりょく行使こうしたる行為こういとはいえない。その理由りゆうは,はら判決はんけつ…に記載きさいのとおりである…。」(受理じゅり取消とりけし請求せいきゅう控訴こうそ棄却ききゃく
  • 告発こくはつは,捜査そうさ機関きかん犯罪はんざい捜査そうさ端緒たんしょあたえ,検察官けんさつかん職権しょっけん発動はつどううながすものにすぎないのであるから,捜査そうさ機関きかんが,告発こくはつけて捜査そうさ開始かいししたり,捜査そうさげてなんらかの応答おうとうをしたりする義務ぎむ告発こくはつじんたいしてうとかいすべき法令ほうれいじょう根拠こんきょはないといわざるをない。そうすると,告発こくはつをしたものは,告発こくはつにより捜査そうさ公訴こうそ提起ていきおこなわれるかかといったことについて法律ほうりつじょう利益りえきゆうするとはいえないのである。それゆえ,控訴こうそじん告発こくはつかか事件じけんについて検察官けんさつかん起訴きそ処分しょぶんをせよとか起訴きそまた起訴きそ処分しょぶんをしないことが違法いほうであることの確認かくにんもとめる権利けんりはない。したがって,控訴こうそじん本件ほんけん義務付ぎむづ訴訟そしょうおよ本件ほんけん不作為ふさくい違法いほう確認かくにん訴訟そしょうにおいてもとめる処分しょぶん行政ぎょうせい事件じけん訴訟そしょうほう3じょう5こうおよび6こう1ごうの『処分しょぶん』にはたらない」(義務付ぎむづ訴訟そしょうおよび作為さくい違法いほう確認かくにん訴訟そしょう却下きゃっか

告訴こくそ告発こくはつから刑事けいじ訴訟そしょうまでのなが

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  • 検察官けんさつかんによる公訴こうそ判断はんだん
    • 検察官けんさつかんによる公訴こうそ刑訴法けいそほう247じょう。これにより刑事けいじ訴訟そしょう開始かいし)の提起ていきまたは起訴きそ処分しょぶん刑訴法けいそほう248じょう
      • 処分しょぶん通知つうちしょ告訴こくそじん告発こくはつじんへの交付こうふ刑訴法けいそほう260じょう事件じけん事務じむ規程きてい60じょう)(検察官けんさつかんによっては電話でんわによる連絡れんらくのみとする場合ばあいもあるが、その場合ばあい希望きぼうすれば規程きていにより処分しょぶん通知つうちしょ交付こうふされる))
    • 起訴きそ処分しょぶん理由りゆう告知こくちしょ告訴こくそじん告発こくはつじんへの交付こうふ刑訴法けいそほう261じょう事件じけん事務じむ規程きてい76じょう)(告訴こくそじん告発こくはつじん請求せいきゅうがある場合ばあい))
  • づけ審判しんぱん刑訴法けいそほう262じょう1こう)をおこな場合ばあいは、処分しょぶん通知つうちしょによる通知つうちからななにち以内いない起訴きそ処分しょぶんおこなった検察官けんさつかんにその請求せいきゅうしょ提出ていしゅつする)

起訴きそ処分しょぶんがあった場合ばあい

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告訴こくそ告発こくはつたいして起訴きそ処分しょぶんがあった場合ばあい、その検察官けんさつかんぞくする検察庁けんさつちょう所在地しょざいち管轄かんかつする検察けんさつ審査しんさかいにその処分しょぶん当否とうひ審査しんさ申立もうしたてをすることができる(検察けんさつ審査しんさかいほう2じょう1こう1ごうおよどうじょう2こう)。

職権しょっけん濫用らんようざい特別とくべつ公務員こうむいん暴行ぼうこう陵虐りょうぎゃくざいひとしかんする起訴きそ処分しょぶんたいしては、じゅん起訴きそ手続てつづき存在そんざいする(づけ審判しんぱん制度せいど刑訴法けいそほう262じょう1こう))。該当がいとうするつみについて、検察官けんさつかん公訴こうそ提起ていきしない場合ばあい起訴きそ処分しょぶん通知つうちから7にち以内いないづけ審判しんぱん請求せいきゅうしょ公訴こうそ提起ていきしない処分しょぶんをした検察官けんさつかんして(刑訴法けいそほう262じょう2こう)、裁判所さいばんしょ請求せいきゅうについての審理しんり裁判さいばんおこなったうえで、理由りゆうがあるとみとめるときは、裁判所さいばんしょ事件じけん裁判所さいばんしょ審判しんぱんするものである。この場合ばあい検察官けんさつかんやくには、裁判所さいばんしょ指定していした弁護士べんごしがそのにんたる。

告訴こくそ取消とりけ

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告訴こくそは、検察官けんさつかん公訴こうそ提起ていきするまえであればいつでもすことができる(刑訴法けいそほう237じょう1こう)。条文じょうぶんじょうすことができる」とあるが法的ほうてき性質せいしつとしては撤回てっかいである。日常にちじょうとしては「告訴こくそ取下とりさげ」ともばれる。

告訴こくそ取消とりけしができるのは告訴こくそをしたものであるから、被害ひがいしゃ本人ほんにんがした告訴こくそ法定ほうてい代理人だいりにんが(自己じこで)すことはできず、ぎゃく法定ほうてい代理人だいりにん固有こゆう告訴こくそけんもとづいてした告訴こくそ本人ほんにんすこともできない(いずれも、代理人だいりにんとして場合ばあいはこのかぎりではない)。

告訴こくそ取消とりけしをしたものは、さらに告訴こくそをすることはできない(刑訴法けいそほう237じょう2こう)。すなわち、取消とりけし告訴こくそけん喪失そうしつする。しかしたとえば、被害ひがいしゃ本人ほんにん告訴こくそ取消とりけしをしても、法定ほうてい代理人だいりにんはなお固有こゆう告訴こくそけんもとづき告訴こくそすることができる。

告訴こくそ期間きかん

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親告罪しんこくざい告訴こくそは、原則げんそくとして、犯人はんにんったから6ヶ月かげつ以内いない告訴こくそ期間きかん限定げんていされている。ただし、略取りゃくしゅ誘拐ゆうかいざい刑法けいほう225じょう)など、一部いちぶ告訴こくそ期間きかん限定げんていがない犯罪はんざいがある(短期間たんきかん告訴こくそするか決定けっていできない被害ひがいしゃ心情しんじょう配慮はいりょして2000ねん新設しんせつされた規定きていである。)。

犯人はんにんった」とは、犯人はんにんだれであるか特定とくていできたす。親告罪しんこくざい告訴こくそをするかかの決定けっていには犯人はんにん被害ひがいしゃ人間にんげん関係かんけいなどが影響えいきょうするため、すくなくとも犯人はんにんだれであるかをることが必要ひつようだからである。本名ほんみょう住所じゅうしょなどをったかどうかは告訴こくそ期間きかん起算きさんてん影響えいきょうしない。

告訴こくそ期間きかん起算きさんてん、すなわち「犯人はんにんった」かかは告訴こくそけんしゃごとに起算きさんされる(刑訴法けいそほう236じょう)。

告訴こくそ不可分ふかぶん

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告訴こくそ法的ほうてき効力こうりょくは、その犯罪はんざい事実じじつ全体ぜんたいたいしておよぶ。

したがって、まず、いちざい構成こうせいする犯罪はんざい事実じじつ一部いちぶについて告訴こくそがあった場合ばあい、そのいちざい全体ぜんたいについて告訴こくそ効力こうりょくおよぶ(告訴こくそ客観きゃっかんてき不可分ふかぶん)。

また、親告罪しんこくざい共犯きょうはん一人ひとりまたはすうにんたいしてした告訴こくそは、共犯きょうはんたいしても告訴こくそ効力こうりょくおよぼす(告訴こくそ主観しゅかんてき不可分ふかぶん刑訴法けいそほう238じょう1こう)。告訴こくそ特定とくていの「犯人はんにん」にたいしての行為こういではなく、「犯罪はんざい事実じじつ」にたいする行為こういであることからの帰結きけつである。ただし、親族しんぞくしょうぬすめれい刑法けいほう244じょう2こう)のように相対そうたいてき親告罪しんこくざい場合ばあい親族しんぞくでない共犯きょうはんしゃたいしてした告訴こくそ効力こうりょくは、親族しんぞくである共犯きょうはんしゃたいしてはおよばないとほぐされている。

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 警察けいさつにおいては犯罪はんざい捜査そうさ規範きはん63じょう(2しょう捜査そうさ端緒たんしょちゅう位置いちなおどうじょうにおいては同時どうじ警察けいさつにおける告訴こくそ告発こくはつ受理じゅり義務ぎむ記述きじゅつもなされている)、検察庁けんさつちょうにおいては事件じけん事務じむ規程きてい8じょう(2へん2しょう2せつ捜査そうさ端緒たんしょちゅう位置いち)により「捜査そうさ端緒たんしょ」のひとつであることがしめされている。
  2. ^ なお、後述こうじゅつするとおり、捜査そうさ端緒たんしょ該当がいとうすることはあくまで捜査そうさ機関きかんない内部ないぶ手続てつづき問題もんだいであり、告訴こくそ告発こくはつ効果こうかとして捜査そうさ機関きかん捜査そうさ義務ぎむ発生はっせいするかかとは無関係むかんけいである。
  3. ^ 刑訴法けいそほう239じょう2こうにおける表現ひょうげんとしては「官吏かんりまた公吏こうり」。ここで官吏かんり現在げんざい国家こっか公務員こうむいんを、公吏こうり現在げんざい地方ちほう公務員こうむいんひとしす。
  4. ^ 警察けいさつにおいては犯罪はんざい捜査そうさ規範きはん63じょう1こう告訴こくそ告発こくはつ受理じゅり義務ぎむ刑事けいじ訴訟そしょうほう242じょう告訴こくそ告発こくはつ検察官けんさつかん送付そうふ義務ぎむからの当然とうぜん受理じゅり義務ぎむ存在そんざいし、検察けんさつにおいても受理じゅり義務ぎむがあるとほぐされている
  5. ^ 告訴こくそおよ告発こくはつ取扱とりあつかいについて (PDF)警視庁けいしちょう通達つうたつ,平成へいせい15ねん4がつ1にち,通達つうたつかぶとふくかん.けい.2.だい15ごう)によると、告訴こくそとう受理じゅり要件ようけんは、「処罰しょばつ意思いし」がしめされ、「犯罪はんざい事実じじつ」がしめされ、「告訴こくそけんしゃ」であることがしめされ(告訴こくそ場合ばあいのみ)、「公訴こうそ時効じこう期間きかん」について公訴こうそ時効じこう完成かんせいしていないものであり、「親告罪しんこくざい告訴こくそ期間きかん」について告訴こくそ期間きかんないであること(親告罪しんこくざい告訴こくそ場合ばあいのみ)、である。

出典しゅってん

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  1. ^ 黒澤くろさわあつし 2012, p. 112
  2. ^ a b 桶川おけがわストーカー事件じけん20ねん> (なか県警けんけい悪習あくしゅう」『東京とうきょう新聞しんぶん』2019ねん10がつ27にち
  3. ^ 懲戒ちょうかい処分しょぶん指針ししん改正かいせいについて(通達つうたつ (PDF) - 警察庁けいさつちょう通達つうたつ,平成へいせい21ねん3がつ26にち,へいじんはつだい83ごう

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 黒澤くろさわあつし告訴こくそけん濫用らんようてき行使こうし民事みんじ不法ふほう行為こうい責任せきにんさん」『法律ほうりつ論叢ろんそうだい85かんだい2-3ごう、2012ねん12月、91-153ぺーじISSN 0389-5947NAID 120005347460 

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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