軽犯罪法けいはんざいほう

軽犯罪法けいはんざいほう（けいはんざいほう、昭和しょうわ23年ねん5月1日にち法律ほうりつ第だい39号ごう）は、さまざまな軽微けいびな秩序ちつじょ違反いはん行為こういに対たいして拘留こうりゅう、科料かりょうの刑けいを定さだめる日本にっぽんの法律ほうりつである。

軽犯罪法けいはんざいほう
日本にっぽんの法令ほうれい
法令ほうれい番号ばんごう	昭和しょうわ23年ねん法律ほうりつ第だい39号ごう
種類しゅるい	刑法けいほう
効力こうりょく	現行げんこう法ほう
成立せいりつ	1948年ねん4月がつ30日にち
公布こうふ	1948年ねん5月がつ1日にち
施行しこう	1948年ねん5月がつ2日にち
所管しょかん	法務省ほうむしょう
主おもな内容ないよう	軽微けいびな犯罪はんざいに対たいして処罰しょばつする法律ほうりつ
関連かんれん法令ほうれい	刑法けいほう
条文じょうぶんリンク	軽犯罪法けいはんざいほう - e-Gov法令ほうれい検索けんさく
ウィキソース原文げんぶん

概要がいよう

騒音そうおん、虚偽きょぎ申告しんこく、乞食こじき、覗のぞきなど33の行為こういが罪つみとして定さだめられている。公布こうふ時ときは34の行為こういであったが、第だい1条じょう第だい21号ごう（動物どうぶつの虐待ぎゃくたい）が動物どうぶつ愛護あいご法ほうで処罰しょばつされることとなるのに伴ともない削除さくじょされた（最高さいこう罰則ばっそくも、1年ねんの懲役ちょうえきまたは100万まん円えんの罰金ばっきんに引ひき上あげられた）。

本法ほんぽうにより警察けいさつ犯はん処罰しょばつ令れい（明治めいじ41年ねん内務省ないむしょう令れい第だい16号ごう）は廃止はいしされた。

本法ほんぽうの法定ほうてい刑けいは「拘留こうりゅう又または科料かりょう」（第だい1条じょう）であって、拘留こうりゅう・科料かりょうしかない犯罪はんざいでは、特別とくべつの規定きていがない限かぎり、幇助ほうじょ犯はん・教唆きょうさ犯はん（従犯じゅうはん）は処罰しょばつされない（刑法けいほう64条じょう）。しかし、本法ほんぽうは、これらの従犯じゅうはんを「正犯せいはんに準じゅんずる」（第だい3条じょう）と定さだめるので、従犯じゅうはんも処罰しょばつの対象たいしょうになる。犯人はんにん隠避いんぴ罪ざい（刑法けいほう103条じょう）の客体かくたいとなる犯人はんにんには、当あたらない。

濫用らんようの禁止きんし規定きてい

国民こくみんの権利けんりを必要ひつよう以上いじょうに侵害しんがいしないため、戦前せんぜんに浮浪ふろう罪ざいや不敬ふけい罪ざいが警察けいさつで濫用らんようされた事実じじつがあり、目的もくてきを逸脱いつだつして濫用らんようされること（例たとえば、職務しょくむ質問しつもんなどによる別件べっけん逮捕たいほや微罪びざい逮捕たいほの手段しゅだんとして利用りようされること）を防ふせぐために、以下いかの規定きていがある。

この法律ほうりつの適用てきようにあたっては、国民こくみんの権利けんりを不当ふとうに侵害しんがいしないように留意りゅういし、その本来ほんらいの目的もくてきを逸脱いつだつして他たの目的もくてきのためにこれを濫用らんようするようなことがあってはならない。 — 軽犯罪法けいはんざいほう 第だい4条じょう

この法律ほうりつでは、拘留こうりゅう・科料かりょうしかない犯罪はんざいであるため、令状れいじょう逮捕たいほをするにあたっては、刑事けいじ訴訟そしょう法ほう第だい199条じょう第だい1項こう但ただし書がきにより「被疑ひぎ者しゃが定さだまった住居じゅうきょを有ゆうしない場合ばあい」又または「犯罪はんざいの捜査そうさをするについて必要ひつようがある時ときに検察官けんさつかん、検察けんさつ事務じむ官かん又または司法しほう警察けいさつ職員しょくいんが被疑ひぎ者しゃの出頭しゅっとうの求もとめた際さいに正当せいとうな理由りゆうがなく応おうじない場合ばあい」に該当がいとうするときに限かぎり、逮捕たいほをすることができる。

罪つみとして定さだめられる行為こうい

第だい1条じょう 次じの各号かくごうのひとつに該当がいとうする者ものは、拘留こうりゅうまたは科料かりょうに処しょする。

1. 人ひとが住すんでおらず、かつ、看守かんしゅしていない邸宅ていたく、建物たてものまたは船舶せんぱくの内うちに正当せいとうな理由りゆうがなくてひそんでいた者もの
   • 廃屋はいおくにたむろする行為こうい。住居じゅうきょや、看守かんしゅされている邸宅ていたく等とうに侵入しんにゅうすれば住居じゅうきょ侵入しんにゅう罪ざいが成立せいりつする。
2. 正当せいとうな理由りゆうがなくて刃物はもの、鉄棒てつぼうその他人たにんの生命せいめいを害がいし、又または人ひとの身体しんたいに重大じゅうだいな害がいを加くわえるのに使用しようされるような器具きぐを隠かくして携帯けいたいしていた者もの
   • 「正当せいとうな理由りゆう」があるとは、同どう号ごう所定しょていの器具きぐを隠匿いんとく携帯けいたいすることが、職務しょくむ上じょう又または日常にちじょう生活せいかつ上じょうの必要ひつよう性せいから、社会しゃかい通念つうねん上うえ、相当そうとうと認みとめられる場合ばあいをいい、これに該当がいとうするか否ひかは、当該とうがい器具きぐの用途ようとや形状けいじょう・性能せいのう、隠匿いんとく携帯けいたいした者ものの職業しょくぎょうや日常にちじょう生活せいかつとの関係かんけい、隠匿いんとく携帯けいたいの日時にちじ・場所ばしょ、態様たいよう及および周囲しゅういの状況じょうきょう等とうの客観きゃっかん的てき要素ようそと、隠匿いんとく携帯けいたいの動機どうき、目的もくてき、認識にんしき等ひとしの主観しゅかん的てき要素ようそとを総合そうごう的てきに勘案かんあんして判断はんだんすべきである。2013年ねん5月がつには「当人とうにんに明あきらかに異常いじょうな言動げんどうが見みられない限かぎりは犯罪はんざいを疑うたがう理由りゆうはなく職務しょくむ質問しつもん等ひとしは違法いほう」とする判決はんけつが示しめされた。
   • 刃渡はわたり15cm以上いじょうの刀かたな（日本にっぽん刀がたなを指さす）・剣けん等ひとし（両刃りょうばの刃物はものを指さす）は銃刀じゅうとう法ほう3条じょうにより所持しょじが禁止きんしされており、刃は体たいの長ながさが6cmを超こえる刃物はもの（カッターナイフやはさみなど）は同どう法ほう22条じょうにより携帯けいたいが禁止きんしされているため、本号ほんごうは原則げんそくとして6cm以下いかの刃物はもの等とう（刃渡はわたりの短みじかい剃刀かみそりやアーミーナイフなど）について適用てきようがあることになる。また、「隠かくして」という文言もんごんがあるため、ベルトに装着そうちゃくしたり、キーホルダーなどにぶら下さげるなどして（他者たしゃから見みえる形かたちで）公然こうぜんと携帯けいたいしていれば軽犯罪法けいはんざいほう違反いはんに該当がいとうしないこととなる。しかし、その一方いっぽうで多おおくの道府県どうふけんの迷惑めいわく防止ぼうし条例じょうれいでは、「何人なんにんも、公共こうきょうの場所ばしょ又または公共こうきょうの乗物のりものにおいて、正当せいとうな理由りゆうがないのに、刃物はもの、鉄棒てつぼう、木刀ぼくとうその他人たにんの身体しんたいに危害きがいを加くわえるのに使用しようされるような物ものを、公衆こうしゅうに対たいし不安ふあんを覚おぼえさせるような方法ほうほうで携帯けいたいしてはならない。」と規定きていされているため、一概いちがいに合法ごうほうとまでは言いい切きれない。
   • 催涙さいるいスプレーについて「その他人たにんの生命せいめいを害がいし、又または人ひとの身体しんたいに重大じゅうだいな害がいを加くわえるのに使用しようされるような器具きぐ」に該当がいとうすると判断はんだんした判例はんれいがある。
   • 経理けいりに従事じゅうじして職務しょくむ上じょう多額たがくの現金げんきんや有価ゆうか証券しょうけん等ひとしを職務しょくむ上じょう電車でんしゃや徒歩とほで輸送ゆそうすることがあるから防犯ぼうはん用ように催涙さいるいスプレーを入手にゅうしゅした被告人ひこくにんの男性だんせいが、健康けんこう上うえの理由りゆうから行おこなうサイクリングを深夜しんやに行おこなう際さいに、催涙さいるいスプレー1本ほんを専もっぱら防御ぼうぎょ用ように隠匿いんとく携帯けいたいした事例じれいにおいて「正当せいとうな理由りゆう」があると判断はんだんし、1審しん判決はんけつを破棄はきし無罪むざいとした最高裁さいこうさいの確定かくてい判決はんけつがある。
3. 正当せいとうな理由りゆうがなくて合あいかぎ、のみ、ガラス切ぎりその他た他人たにんの邸宅ていたく又または建物たてものに侵入しんにゅうするのに使用しようされるような器具きぐを隠かくして携帯けいたいしていた者もの
   • ただし、「隠かくして」という文言もんごんがあるため、公然こうぜんと携帯けいたいしていれば軽犯罪法けいはんざいほう違反いはんに該当がいとうしないこととなる。またピッキング用具ようぐについては携帯けいたい自体じたいが正当せいとうな理由りゆうがない場合ばあいはピッキング防止ぼうし法ほう違反いはんに問とわれることもある。
4. 生計せいけいの途とがないのに、働はたらく能力のうりょくがありながら職業しょくぎょうに就つく意思いしを有ゆうせず、かつ、一定いっていの住居じゅうきょを持もたない者もので諸方しょほうをうろついたもの
   • 警察けいさつ犯はん処罰しょばつ令れい（廃止はいし済ずみ）1条じょう3号ごうに規定きていされていた「浮浪ふろう罪ざい」に相当そうとうする。就職しゅうしょく活動かつどう中なかの人物じんぶつに対たいして、職務しょくむ質問しつもんの別件べっけん逮捕たいほとして利用りようされたが、大阪おおさか高等こうとう裁判所さいばんしょで、奈良なら県けん警察けいさつの捜査そうさは違法いほうであるとして、無罪むざい判決はんけつとした判例はんれいがある。
5. 公共こうきょうの会堂かいどう、劇場げきじょう、飲食いんしょく店てん、ダンスホールその他た公共こうきょうの娯楽ごらく場ばにおいて、入場にゅうじょう者しゃに対たいして、又または汽車きしゃ、電車でんしゃ、乗合のりあい自動車じどうしゃ、船舶せんぱく、飛行機ひこうきその他た公共こうきょうの乗物のりものの中なかで乗客じょうきゃくに対たいして著いちじるしく粗野そや又または乱暴らんぼうな言動げんどうで迷惑めいわくをかけた者もの
   • 言動げんどうの程度ていどによっては脅迫きょうはく罪ざいや強要きょうよう罪ざい、威力いりょく業務ぎょうむ妨害ぼうがい罪ざい、鉄道てつどう営業えいぎょう法ほう違反いはん、道路どうろ運送うんそう法ほう違反いはん、航空こうくう法ほう違反いはん、航空こうくう危険きけん行為こうい等とう処罰しょばつ法ほう違反いはんに問とわれることもある。
6. 正当せいとうな理由りゆうがなくて他人たにんの標灯ひょうとう又または街路がいろその他た公衆こうしゅうの通行つうこうし、若もしくは集合しゅうごうする場所ばしょに設もうけられた灯火ともしびを消けした者もの
   • 程度ていどによっては、偽計ぎけい業務ぎょうむ妨害ぼうがい罪ざいに問とわれることもある。
7. みだりに船ふね又またはいかだを水路すいろに放置ほうちし、その他た水路すいろの交通こうつうを妨さまたげるような行為こういをした者もの
   • 程度ていどによっては、往来おうらい妨害ぼうがい罪ざいに問とわれることもある。
8. 風ふう水害すいがい、地震じしん、火事かじ、交通こうつう事故じこ、犯罪はんざいの発生はっせいその他たの変事へんじに際さいし、正当せいとうな理由りゆうがなく、現場げんばに出入でいりするについて公務員こうむいんもしくはこれを援助えんじょする者ものの指示しじに従したがうことを拒こばみ、または公務員こうむいんから援助えんじょを求もとめられたのにかかわらずこれに応おうじなかった者もの
   • 変事へんじ非ひ協力きょうりょくの罪つみ。目めの前まえで事件じけんが起おきているのに警察官けいさつかんや消防しょうぼう士し、自衛じえい官かんなどの協力きょうりょく要請ようせいを無視むしした場合ばあいに適用てきようされる。
9. 相当そうとうの注意ちゅういをしないで、建物たてもの、森林しんりんその他た燃もえるような物ものの附近ふきんで火ひをたき、またはガソリンその他た引火いんかし易やすい物ものの附近ふきんで火気かきを用もちいた者もの
   • 火災かさいに発展はってんした場合ばあいは重過失じゅうかしつ失火しっか罪ざい、消防しょうぼう法ほう違反いはんになる。
10. 相当そうとうの注意ちゅういをしないで、銃砲じゅうほうまたは火薬かやく類るい、ボイラーその他たの爆発ばくはつする物ものを使用しようし、またはもてあそんだ者もの
    • 公安こうあん委員いいん会かいの許可きょかがないまま、銃砲じゅうほうや火薬かやく類るいを所持しょじした場合ばあいは、銃刀じゅうとう法ほう違反いはんや火薬かやく類るい取締とりしまり法ほう違反いはん、爆発ばくはつ物ぶつ取締とりしまり罰則ばっそく違反いはんに問とわれることもある。
11. 相当そうとうの注意ちゅういをしないで、他人たにんの身体しんたい又または物件ぶっけんに害がいを及およぼす虞おそれのある場所ばしょに物ものを投なげ、注そそぎ、又または発射はっしゃした者もの
    • 程度ていどによっては、暴行ぼうこう罪ざい・器物きぶつ損壊そんかい罪ざい・威力いりょく業務ぎょうむ妨害ぼうがい罪ざいに問とわれることもある。
12. 人畜じんちくに害がいを加くわえる性癖せいへきのあることの明あきらかな犬いぬその他たの鳥とり獣しし類るいを正当せいとうな理由りゆうがなくて解放かいほうし、又またはその監守かんしゅを怠おこたってこれを逃にがした者もの
    • 人ひとに危害きがいが出でた場合ばあいは、過失かしつ傷害しょうがい罪ざいに問とわれることもある。
13. 公共こうきょうの場所ばしょにおいて多数たすうの人ひとに対たいして著いちじるしく粗野そや若もしくは乱暴らんぼうな言動げんどうで迷惑めいわくをかけ、又または威勢いせいを示しめして汽車きしゃ、電車でんしゃ、乗合のりあい自動車じどうしゃ、船舶せんぱくその他たの公共こうきょうの乗物のりもの、演劇えんげきその他たの催もよおし若もしくは割当わりあて物資ぶっしの配給はいきゅうを待まち、若もしくはこれらの乗物のりものもしくは催もよおしの切符きっぷを買かい、もしくは割当わりあて物資ぶっしの配給はいきゅうに関かんする証票しょうひょうを得えるため待まっている公衆こうしゅうの列れつに割わり込こみ、若もしくはその列れつを乱みだした者もの
    • 「公共こうきょうの場所ばしょ」とは、不ふ特定とくてい多数たすうの者もの（公衆こうしゅう）が自由じゆうに利用りようしまたは出入でいりできる場所ばしょを言いう。道路どうろ、公園こうえん、広場ひろば、河川かせん、駅えき、興行こうぎょう場じょうおよび公会堂こうかいどう他た一般いっぱん公衆こうしゅうが出入でいり可能かのうな建物たてもの等とうがこれに含ふくまれる。公有こうゆうの場所ばしょであるか私有しゆうの場所ばしょであるかは問とわない。
    • 言動げんどうの程度ていどによっては脅迫きょうはく罪ざいや強要きょうよう罪ざい、鉄道てつどう営業えいぎょう法ほう違反いはんに問とわれることもある。
14. 公務員こうむいんの制止せいしをきかずに、人ひと声こえ、楽器がっき、ラジオなどの音おとを異常いじょうに大おおきく出だして静穏せいおんを害がいし近隣きんりんに迷惑めいわくをかけた者もの
    • 国会こっかい議事堂ぎじどう周辺しゅうへん地域ちいきなど一部いちぶの地域ちいきにおいて拡声かくせい機きを使用しようして静穏せいおんを害がいした者ものについては、静穏せいおん保持ほじ法ほう違反いはんに問とわれることもある。また、拡声かくせい機きにより暴騒音おんを生しょうじさせる行為こういについては、拡声かくせい機き暴騒音おん規制きせい条例じょうれい違反いはんに問とわれる自治体じちたいもある。また、他人たにんに不眠ふみんや頭痛ずつう等とうの被害ひがいを与あたえた場合ばあいは傷害しょうがい罪ざいに問とわれることもある。
15. 官かん公職こうしょく、位階いかい勲等くんとう、学位がくいその他た法令ほうれいにより定さだめられた称号しょうごうもしくは外国がいこくにおけるこれらに準じゅんずるものを詐称さしょうし、または資格しかくがないのにかかわらず、法令ほうれいにより定さだめられた制服せいふく若もしくは勲章くんしょう、記章きしょうその他たの標しめぎ章あきらもしくはこれらに似にせて作つくった物ものを用もちいた者もの
    • 称号しょうごう詐称さしょう、標しめぎ章あきら等とう窃用（ディプロマミルの学位がくいを公称こうしょうした場合ばあいなどが該当がいとうすると考かんがえられる。また、警察官けいさつかん・自衛じえい官かんや軍人ぐんじん（戦闘せんとう服ふくは、部隊ぶたいや階級かいきゅうなどを示しめす標しめぎ章あきらを縫ぬい付つけている場合ばあい）のコスプレがこれに該当がいとうするため、コミックマーケットなどほとんどのイベントで禁止きんし・または着用ちゃくようしたままの外出がいしゅつを認みとめないなど規制きせい事項じこうを設もうけている。同様どうように、公おおやけの官員かんいんではないが警備けいび員いんを思おもわせる服装ふくそうや道具どうぐ類るいも規制きせい事項じこうを設もうけている場合ばあいが多おおい。ニセ電話でんわ事件じけんで検事けんじ総長そうちょうでない者ものが検事けんじ総長そうちょうの名なを騙かたって電話でんわをして、内閣ないかく総理そうり大臣だいじんから指揮しき権けん発動はつどうの言質げんちを引ひき出だそうとしたことについて適用てきようされたことがある。
16. 虚構きょこうの犯罪はんざいまたは災害さいがいの事実じじつを公務員こうむいんに申もうし出でた者もの
    • 無実むじつの第三者だいさんしゃを犯人はんにんに仕立したてて上あげて処罰しょばつを受うけさせる目的もくてきで、虚構きょこうの犯罪はんざいを申告しんこくした場合ばあいは、虚偽きょぎ告訴こくそ罪ざいとなる。
    • 警察けいさつ・消防しょうぼう等とうに徒労とろうの出動しゅつどうをさせる目的もくてきで、虚構きょこうの犯罪はんざいや災害さいがいを申告しんこくした場合ばあいは、業務ぎょうむ妨害ぼうがい罪ざいに問とわれた事例じれいがある。
17. 質しつ入いれまたは古物ふるものの売買ばいばいもしくは交換こうかんに関かんする帳簿ちょうぼに、法令ほうれいにより記載きさいすべき氏名しめい、住居じゅうきょ、職業しょくぎょうその他たの事項じこうにつき虚偽きょぎの申立もうしたてをして不実ふじつの記載きさいをさせた者もの
    • 古物商こぶつしょうが自分じぶんの判断はんだんで帳簿ちょうぼに虚偽きょぎの記載きさいをした場合ばあいは古物ふるもの営業えいぎょう法ほう違反いはんに問とわれる。
    • 質店しちみせや古物商こぶつしょうが盗品とうひんと知しっていて買かい取とること（故買こばい）も犯罪はんざいである。盗品とうひん等とう関与かんよ罪ざいを参照さんしょう。
18. 自己じこの占有せんゆうする場所ばしょ内ないに、老ろう幼よう、不具ふぐもしくは傷病しょうびょうのため扶助ふじょを必要ひつようとする者ものまたは人ひとの死体したいもしくは死し胎のあることを知しりながら、速すみやかにこれを公務員こうむいんに申もうし出でなかった者もの
    • 扶助ふじょを必要ひつようとする者ものを保護ほごする義務ぎむを負おう者もの（幼児ようじの親おや、老人ろうじんや病人びょうにんの介護かいご者しゃなど）がこれを遺棄いき、放置ほうちしたときは保護ほご責任せきにん者しゃ遺棄いき罪ざいとなる。
    • 死体したい又または死し胎を埋葬まいそうする義務ぎむを負おう者もの（死者ししゃの同居どうきょの親族しんぞく）がこれを遺棄いき、放置ほうちしたときは死体したい遺棄いき罪ざいに問とわれる。
19. 正当せいとうな理由りゆうがなくて変死へんし体からだまたは死し胎の現場げんばを変かえた者もの
    • 程度ていどによっては、死体したい遺棄いき罪ざいに問とわれることもある。
20. 公衆こうしゅうの目めに触ふれるような場所ばしょで公衆こうしゅうにけん悪あくの情じょうを催もよおさせるような仕方しかたでしり、ももその他た身体しんたいの一部いちぶをみだりに露出ろしゅつした者もの
    • 程度ていどによっては、迷惑めいわく防止ぼうし条例じょうれいや公然こうぜんわいせつ罪ざいに問とわれることもある。
21. 削除さくじょ
    • 動物どうぶつを虐待ぎゃくたいする行為こうい→動物どうぶつ愛護あいご法ほうにより、更さらに厳罰げんばつ化か（1年ねんの懲役ちょうえきまたは100万まん円えんの罰金ばっきん）が科かせられるようになった。
22. こじきをし、又またはこじきをさせた者もの
    • 15歳さい未満みまんの児童じどうにこじきさせ、又または児童じどうを利用りようしてこじきをした場合ばあいは、児童じどう福祉ふくし法ほう違反いはんに問とわれる。
23. 正当せいとうな理由りゆうがなくて人ひとの住居じゅうきょ、浴場よくじょう、更衣ころもがえ場じょう、便所べんじょその他人たにんが通常つうじょう衣服いふくをつけないでいるような場所ばしょをひそかにのぞき見みた者もの
    • 「場所ばしょをひそかにのぞき見みた者もの」とあるように、当該とうがいの場所ばしょが無人ぶにんであっても違法いほうとなる。
    • 屋外おくがいや公共こうきょうの場所ばしょは「通常つうじょう衣服いふくをつけないでいるような場所ばしょ」でないから、屋外おくがいで更衣ころもがえや排泄はいせつしている人ひとをのぞき見みしても本ほん項こうは適用てきようできない。ただし、性的せいてき姿態したい撮影さつえい等とう処罰しょばつ法ほうや迷惑めいわく防止ぼうし条例じょうれいなど他たの法令ほうれいの適用てきよう対象たいしょうになる。
    • 2015年ねん4月がつ18日にちの福岡ふくおか高裁こうさい判決はんけつでは「軽犯罪法けいはんざいほう1条じょう23号ごう所定しょていの場所ばしょを視認しにんし得える場所ばしょに撮影さつえい機能きのうのある機器ききをひそかに置おいて当該とうがい場所ばしょを撮影さつえい録画ろくがする行為こういは、のぞき見み行為こういの中核ちゅうかく的てき部分ぶぶんを既すでに実現じつげんしているものということができる」と判示はんじしており、盗ぬすめ撮つまみも軽犯罪法けいはんざいほう違反いはんで適用てきようできるとしている。
    • 他者たしゃが目的もくてき外がいで建造けんぞう物ぶつ等とうに侵入しんにゅうした場合ばあいは建造けんぞう物ぶつ等とう侵入しんにゅう罪ざいが適用てきようされることもある。
24. 公私こうしの儀式ぎしきに対たいして悪戯あくぎなどでこれを妨害ぼうがいした者もの
    • 儀式ぎしきを妨害ぼうがいすることが目的もくてきで、結婚式けっこんしき、葬儀そうぎなど、儀式ぎしきが行おこなわれている会場かいじょうに侵入しんにゅうした場合ばあい、建造けんぞう物ぶつ等とう侵入しんにゅう罪ざいが適用てきようされることもある。
    • 程度ていどによっては、威力いりょく業務ぎょうむ妨害ぼうがい罪ざい・偽計ぎけい業務ぎょうむ妨害ぼうがい罪ざい・礼拝れいはい所しょ及および墳墓ふんぼに関かんする罪つみに問とわれることもある。
25. 川かわ、みぞその他たの水路すいろの流通りゅうつうを妨さまたげるような行為こういをした者もの
    • それによって浸水しんすいなどの被害ひがいを与あたえたときは、出水しゅっすい及および水利すいりに関かんする罪つみ、河川かせん法ほうの指定していする河川かせんに対たいして行おこなう場合ばあいは同どう法ほう違反いはんに問とわれることもある。
26. 街路がいろ又または公園こうえんその他た公衆こうしゅうの集合しゅうごうする場所ばしょで、たんつばを吐はき、または大だい小便しょうべんをし、もしくはこれをさせた者もの
    • 事例じれいによっては、浄水じょうすい汚染おせん罪ざい（付近ふきんに飲料いんりょう水すいとして使用しようされている井戸いどなどがあった場合ばあい）、器物きぶつ損壊そんかい罪ざい（他人たにんの所有しょゆう物ぶつなどに放尿ほうにょうした場合ばあい）、公然こうぜんわいせつ罪ざい（人々ひとびとが集合しゅうごうしたり往来おうらいのある場所ばしょなどで陰部いんぶを露出ろしゅつして放尿ほうにょう・排便はいべんした場合ばあい）にも問とわれる。
27. 公共こうきょうの利益りえきに反はんしてみだりにごみ、鳥獣ちょうじゅうの死体したいその他たの汚物おぶつまたは廃物はいぶつを棄すてた者もの
    • 程度ていどによっては、廃棄はいき物ぶつ処理しょり法ほう違反いはんに問とわれることもある。
28. 他人たにんの進路しんろに立たちふさがって、若もしくはその身辺しんぺんに群むらがって立たち退のこうとせず、又または不安ふあん若もしくは迷惑めいわくを覚おぼえさせるような仕方しかたで他人たにんにつきまとった者もの
    • 条件じょうけんが該当がいとうすれば、ストーカー規制きせい法ほう、配偶はいぐう者しゃ暴力ぼうりょく防止ぼうし法ほう、児童じどう虐待ぎゃくたい防止ぼうし法ほう、暴力団ぼうりょくだん対策たいさく法ほうに問とわれることもある。
29. 他人たにんの身体しんたいに対たいして害がいを加くわえることを共謀きょうぼうした者ものの誰だれかがその共謀きょうぼうに係かかる行為こういの予備よび行為こういをした場合ばあいにおける共謀きょうぼう者しゃ
30. 人畜じんちくに対たいして犬いぬその他たの動物どうぶつをけしかけ、又または馬うま若もしくは牛うしを驚おどろかせて逃にげ走はしらせた者もの
    • 程度ていどによっては、道路どうろ交通こうつう法ほう違反いはん、威力いりょく業務ぎょうむ妨害ぼうがい罪ざいや偽計ぎけい業務ぎょうむ妨害ぼうがい罪ざいに問とわれることもある。
31. 他人たにんの業務ぎょうむに対たいして悪戯いたずらなどでこれを妨害ぼうがいした者もの
    • 程度ていどによっては、威力いりょく業務ぎょうむ妨害ぼうがい罪ざいや偽計ぎけい業務ぎょうむ妨害ぼうがい罪ざいに問とわれることもある。
32. 入はいることを禁きんじた場所ばしょまたは他人たにんの田畑たはたに正当せいとうな理由りゆうがなくて入はいった者もの
    • さく等とうに囲かこまれた建造けんぞう物ぶつの敷地しきちに侵入しんにゅうする行為こういは住居じゅうきょ侵入しんにゅう罪ざいに該当がいとうする。日本人にっぽんじん活動かつどう家か尖閣諸島せんかくしょとう上陸じょうりく事件じけんでは尖閣諸島せんかくしょとうへの上陸じょうりくに関かんして、任意にんい聴取ちょうしゅが行おこなわれた事例じれいもある。
33. みだりに他人たにんの家屋かおくその他たの工作こうさく物ぶつにはり札ふだをし、若もしくは他人たにんの看板かんばん、禁札きんさつその他たの標示ひょうじ物ぶつを取とり除のぞき、又またはこれらの工作こうさく物ぶつ若もしくは標示ひょうじ物ぶつを汚よごした者もの
    • 程度ていどによっては、器物きぶつ損壊そんかい罪ざいや建造けんぞう物ぶつ損壊そんかい罪ざいに問とわれることもある。また、屋外おくがい広告こうこく物ぶつ規制きせい条例じょうれいが適用てきようされる可能かのう性せいもある。愛知あいち原水協げんすいきょうビラ貼ばり事件じけんの最高裁さいこうさい判決はんけつでは日本国にっぽんこく憲法けんぽう第だい21条じょうが規定きていする表現ひょうげんの自由じゆうに違反いはんせず、合憲ごうけんとする判決はんけつが出でた。
34. 公衆こうしゅうに対たいして物ものを販売はんばいし、若もしくは頒布はんぷし、又または役務えきむを提供ていきょうするにあたり、人ひとを欺あざむき、又または誤解ごかいさせるような事実じじつを挙あげて広告こうこくをした者もの
    • 悪徳あくとく商法しょうほうの一ひとつ、催眠さいみん商法しょうほうやステルスマーケティングがこれに相当そうとう。詐欺さぎ罪ざい、不正ふせい競争きょうそう防止ぼうし法ほう違反いはん、景品けいひん表示法ひょうじほう違反いはん、特定とくてい商しょう取引とりひき法ほう違反いはんにおいて刑事けいじ罰ばつが問とわれない行為こういについて軽犯罪法けいはんざいほうが適用てきようされる場合ばあいがある。

適用てきよう状じょう況きょう

2016年ねんに軽犯罪法けいはんざいほう違反いはんで、警察けいさつから検察庁けんさつちょうへ送致そうちされた件数けんすうは9,801件けん、人員じんいんは19,137人にんとなっている（有罪ゆうざい判決はんけつの数かずではない）。一方いっぽうで法務省ほうむしょうの犯罪はんざい白書はくしょによれば、1989年ねん（平成へいせい元年がんねん）は2,382人にんだったが、2004年ねん（平成へいせい16年ねん）以降いこう、検察庁けんさつちょう新規しんき受理じゅり人員じんいんは前年ぜんねんの2003年ねん（平成へいせい15年ねん）7,227人にんから約やく3,000人にんを超こえ、11,001人にんと大幅おおはばに伸のび、ピーク時じの2009年ねん（平成へいせい21年ねん）には16,396人にんであったが、2010年ねん（平成へいせい22年ねん）から13,799人にんと大幅おおはばな減少げんしょう傾向けいこうに転てんじ、2013年ねん（平成へいせい25年ねん）には、8,382人ふたりと2009年ねん（平成へいせい21年ねん）の半数はんすうと激減げきげんした。平成へいせい26年ねん（2014年ねん（平成へいせい26年ねん）は8,949人にんと増加ぞうかしたが、2015年ねん（平成へいせい25年ねん）は8,908人にん、2016年ねん（平成へいせい28年ねん）は8,318人にんと、再ふたたび減少げんしょうした。

警察庁けいさつちょうの統計とうけいによると、違反いはん態様たいよう別べつで件数けんすう（確定かくてい判決はんけつの数かずではない）が多おおいのは、2015年度ねんど（平成へいせい27年度ねんど）［軽犯罪法けいはんざいほう全ぜん送致そうち件数けんすう：10,373件けん］では、第だい32号ごう（田畑たはた等とう侵入しんにゅう） 3,586件けん［軽犯罪法けいはんざいほう全ぜん送致そうち件数けんすうの約やく34.09％］、第だい2号ごう（凶器きょうき携帯けいたい） 3,101件けん［軽犯罪法けいはんざいほう全ぜん送致そうち件数けんすうの約やく29.89％］、第だい9号ごう（火気かき乱用らんよう） 725件けん［軽犯罪法けいはんざいほう全ぜん送致そうち件数けんすうの約やく6.99％］、第だい16号ごう（虚構きょこう申告しんこく） 617件けん［軽犯罪法けいはんざいほう全ぜん送致そうち件数けんすうの約やく5.95％］などとなっている。

脚注きゃくちゅう

関連かんれん項目こうもく

• 性的せいてき姿態したい撮影さつえい等とう処罰しょばつ法ほう
• 迷惑めいわく防止ぼうし条例じょうれい
• 警察けいさつ犯はん処罰しょばつ令れい
• 別件べっけん逮捕たいほ
• 微罪びざい逮捕たいほ