農業 の歴史
この
|
![](https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/e/e9/Centres_of_origin_and_spread_of_agriculture.svg/400px-Centres_of_origin_and_spread_of_agriculture.svg.png)
古代
レバント(
エジプトで
-
古代 エジプト、紀元前 15世紀
- アジア
- インド
亜 大陸 でも紀元前 7000年 ごろにコムギやオオムギを栽培 していたことが、バルチスタン地方 (現在 のパキスタン)のメヘルガルの考古 発掘 で明 らかになっている。紀元前 6000年 ごろまでに、ナイル川 河岸 で中規模 農業 が確立 。この段階 では灌漑 技術 は十分 確立 したとは言 えない。 同 じころ、東 アジアで米 の栽培 が始 まっている。中国 南部 では、初期 のオーストロネシア語族 とモン・ミエン語族 の話者 によって、湿地 農業 の発展 とともに、紀元前 11,500年 から6,200年 頃 に揚子江 流域 で米 の栽培 が開始 され、ドングリ、シログワイ、オニバスなど、他 の食用 植物 も栽培 化 された[5][6][7][8]。中国 北部 では、紀元前 8,000年 から6,000年 頃 に初期 のシナ・チベット語 話者 によってキビが栽培 化 され、紀元前 5,500年 までに黄河 流域 の主要 作物 になった[6][9]。中国 やインドネシアの農民 はさらに、サトイモ、リョクトウやダイズやアズキといった豆 類 を栽培 するようになる。これらは基本 的 に炭水化物 源 であり、それを補 うタンパク源 として魚 を大量 に確保 すべく漁網 が発達 することになった。こういった農業 と漁業 の進歩 により、それまでとは比 べものにならない速度 で人口 が増加 し始 めた(今 もそれが続 いている)。紀元前 5000年 ごろまでに、シュメール特 にペルシア湾 のデルタ地帯 からチグリス川 とユーフラテス川 の合流 点 を結 ぶシャットゥルアラブ川 沿 いで大 規模 な耕作 、単 一種 の栽培 、計画 的 灌漑 、農業 専 門 の労働 力 といった農耕 技法 が生 まれた。野生 のオーロックスを家畜 化 してウシとし、同 じくムフロンを家畜 化 してヒツジとした。それによって食肉 や羊毛 を大 規模 に確保 するとともに、荷車 を牽 かせて使役 した。また、羊 飼 いが定住 牧畜 民 または遊牧民 として農民 の仲間入 りをするようになった。- メソアメリカ、
南 アメリカ アメリカ大陸 では紀元前 5200年 ごろ、トウモロコシ、キャッサバ、クズウコンが農作物 として栽培 されるようになった[10]。アメリカ大陸 発祥 の農作物 としては他 にジャガイモ、トマト、トウガラシ属 、いくつかの豆 類 、タバコなどがある。南 アメリカではアンデス山脈 沿 いの険 しい斜面 に段々畑 が発達 した。メソアメリカでは6000年 以上 前 に野生 のテオシントに人間 が手 を加 えて現代 のトウモロコシの原種 を作 った。それが徐々 に北 アメリカに広 まっていき、ヨーロッパの人々 が新大陸 に到達 したころにはアメリカ先住民 の主食 になっていた[11]。メソアメリカ原産 の作物 としては他 に数 百 種類 のカボチャ類 や豆 類 がある。カカオを作物 としたのもメソアメリカである。食用 に供 される鳥 であるシチメンチョウ属 もメキシコからアメリカ南西 部 で家畜 化 された。南 アメリカのアンデス山脈 地域 が発祥 の重要 な作物 としてジャガイモがあり、5000年 前 ごろのこととされている。南 アメリカでは様々 な豆類 も作物 とされたが、リャマ、アルパカ、モルモットといった動物 も家畜 化 された。アンデス地域 発祥 の作物 としてはコカもあり、今 も主要 作物 として栽培 されている。北米 北米 大陸 の先住民 (現在 で言 えばアメリカ合衆国 東部 にあたる場所 にいた人々 )も様々 な植物 を作物 化 した。ヒマワリ、タバコ[12]、カボチャ類 、ケノポジ類 などがあり、既 に栽培 されていない作物 としてmarshelderやミナトムギクサもあった[13][14]。他 にもマコモ(ワイルドライス)やサトウカエデなどは作物 化 には至 らなかったが、採種 栽培 されたと見 られている。イチゴの最 も一般 的 な種 であるオランダイチゴの元 となった種 はアメリカ北東 部 で作物 化 されたものである[15]。- プラウの
使用 開始 紀元前 3500年 ごろ、"ard" と呼 ばれる原始 的 なプラウが開発 された。プラウが生 まれる前 は、単純 な棒 や鍬 で土地 を耕 していた。これらの農 器具 は耕地 の養分 が枯渇 するほど継続 的 に同 じ土地 で農耕 を行 うとき、土 を掘 り返 して養分 を含 む深 い部分 の土 を表面 に出 すのに必要 だった。メキシコでの発掘 で、小 さい農地 で継続 的 に農耕 を行 い、生活 していたことがわかっている。中 欧 ヨーロッパでも同様 の農法 が行 われていた。その場合 、プラウは棒 よりもより効率 的 だった[16]。
中世
-
9
世紀 の絵 -
15
世紀 末 -
南 インド、コショウの収穫 (14世紀 )
近 現代
1492
ジャガイモは
19
- 20
世紀 トラクターでアルファルファ 畑 を耕 す様子 。(1921年版 Collier's New Encyclopediaに掲載 されていた写真 )ミネソタ 州 の農地 の衛星 画像 同 じ位置 の赤外線 画像 - 19
世紀 末 から20世紀 初頭 の機械 化 (特 にトラクター)の急激 な進展 により、農作業 はかつてない速度 と規模 で実施 可能 となった。そういった進歩 により、アメリカ合衆国 、アルゼンチン、イスラエル、ドイツなどの国々 でほぼ限界 と思 えるほど高密度 に高 品質 な作物 を栽培 できるようになった。 - ハーバー・ボッシュ
法 を使 って肥料 を合成 できるようになり、それまで限界 とされていた収量 を超 えた収穫 が可能 となった。20世紀 の農業 は生産 性 が向上 し、化学 肥料 と農薬 で手間 を省 いたが、水質 汚染 を招 き、先進 国 では補助 金 がつきものとなった。従来 の農業 の環境 への外部 性 効果 への反発 から、近年 では有機 農業 を推進 する動 きが生 じている。 米 、トウモロコシ、小麦 といった穀物 は食糧 供給 の60%を占 めている[21]。1700年 から1980年 の間 に世界 の全 耕作 地 は46%増加 し、品種 改良 、化学 肥料 、農薬 、灌漑 、機械 化 によって生産 高 はそれ以上 に増加 した[21]。例 えばコロラド州 東部 のトウモロコシの生産 高 は、1940年 から1997年 の間 に灌漑 設備 が整備 されたことで400%から500%も増加 した[21]。- しかし、そのような
集約 農業 について持続 可能 性 の面 で懸念 が生 じている。インドなどのアジアでは集約 農業 によって土壌 の質 が低下 し、人口 増加 によって食糧 需要 が今後 も増大 する中 で、化学 肥料 や農薬 の環境 への影響 も懸念 されている。集約 農業 では単一 品種 を栽培 することが多 いが(モノカルチャー)、それによって病気 や害虫 も発生 しやすくなり、農薬 に頼 らざるをえなくなる。数 十 年 前 から提唱 されている総合 的 病害虫 管理 (IPM) を行 った成功 例 はあるものの、IPMは知識 集約 型 であり、農業 政策 的 には農薬 の使用 を推進 した方 が簡単 だという現実 がある[21]。 緑 の革命 でアジアでの米 生産 高 が劇的 に増大 したが、過去 15年 から20年間 は生産 高 があまり増加 していない[22]。小麦 については遺伝子 上 の「収穫 量 」を増大 させることに成功 しているが、米 については1966年 以降 そのような品種 改良 が行 われておらず、トウモロコシの場合 は35年間 で若干 改良 された程度 である[22]。除草 剤 が開発 されると、10年 から20年 でその除草 剤 に抵抗 力 のある雑草 が出現 し、害虫 の場合 は10年 以内 に農薬 に抵抗 力 のあるものが出現 する[22]。輪作 はそのような抵抗 力 のあるものが出現 するのを遅 らせる効果 もある[22]。- 19
世紀 末 以降 、世界中 から新 たな品種 を探 し、新 たな農法 を探 す調査 が行 われてきた。例 えば Frank N. Meyer は1916年 から1918年 まで中国 と日本 を訪 れ、果実 や木 の実 の新 品種 採集 を行 った[23]。1929年 から1931年 にかけて、アメリカの調査 団 が中国 、朝鮮 、日本 を訪 れ、大豆 の品種 を持 ち帰 っている[24]。 国際 通貨 基金 によれば、2009年 現在 、農業 生産 高 では中国 が世界一 であり、それに欧州 連合 、インド、アメリカ合衆国 が続 いている。経済 学者 らが農業 の全 要素 生産 性 (TFP) を測定 したところ、アメリカ合衆国 の農業 の生産 性 は1948年 時点 の2.6倍 だという[25]。アメリカ合衆国 、カナダ、フランス、オーストラリア、タイの6カ国 で穀物 輸出 量 の90%を占 めている[26]。中 でもアメリカは穀物 貿易 の約 半分 を占 めている[26]。アルジェリア、イラン、エジプト、メキシコといった国々 では水不足 によって穀物 の輸入 に頼 らざるをえなくなっている[27]。中国 やインドでも同様 のことが起 きるのではないかと懸念 されている[28]。
脚注
出典
- ^
福永 健二 「植物 のドメスティケーション : トウモロコシの起源 : テオシント説 と栽培 化 に関 わる遺伝子 」『国立 民族 学 博物館 調査 報告 』第 84号 、国立 民族 学 博物館 、2009年 3月 、137-151頁 、doi:10.15021/00001144、ISSN 1340-6787、NAID 120002014603。 - ^ “Farming Had an Earlier Start, a Study Says”. ニューヨーク・タイムズ. (2015
年 7月 27日 ) 2015年 7月 27日 閲覧 。 - ^ “First evidence of farming in Mideast 23,000 years ago”. サイエンスデイリー. (2015
年 7月 22日 ) 2015年 7月 22日 閲覧 。 - ^ In particular, the history of maize cultivation in southern Mexico dates back 9000 years. New York Times, accessdate=2010-5-4
- ^ Molina, J.; Sikora, M.; Garud, N.; Flowers, J. M.; Rubinstein, S.; Reynolds, A.; Huang, P.; Jackson, S. et al. (2011). “Molecular evidence for a single evolutionary origin of domesticated rice”. Proceedings of the National Academy of Sciences 108 (20): 8351–6. Bibcode: 2011PNAS..108.8351M. doi:10.1073/pnas.1104686108. PMC 3101000. PMID 21536870 .
- ^ a b He, Keyang; Lu, Houyuan; Zhang, Jianping; Wang, Can; Huan, Xiujia (7 June 2017). “Prehistoric evolution of the dualistic structure mixed rice and millet farming in China”. The Holocene 27 (12): 1885–1898. Bibcode: 2017Holoc..27.1885H. doi:10.1177/0959683617708455 .
- ^ Bellwood, Peter (9 December 2011). “The Checkered Prehistory of Rice Movement Southwards as a Domesticated Cereal—from the Yangzi to the Equator”. Rice 4 (3–4): 93–103. doi:10.1007/s12284-011-9068-9 .
- ^ Hsieh, Jaw-shu; Hsing, Yue-ie Caroline; Hsu, Tze-fu; Li, Paul Jen-kuei; Li, Kuang-ti; Tsang, Cheng-hwa (24 December 2011). “Studies on Ancient Rice—Where Botanists, Agronomists, Archeologists, Linguists, and Ethnologists Meet”. Rice 4 (3–4): 178–183. doi:10.1007/s12284-011-9075-x.
- ^ Lu, H.; Zhang, J.; Liu, K.B.; Wu, N.; Li, Y.; Zhou, K.; Ye, M.; Zhang, T. et al. (2009). “Earliest domestication of common millet (Panicum miliaceum) in East Asia extended to 10,000 years ago”. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 106 (18): 7367–7372. Bibcode: 2009PNAS..106.7367L. doi:10.1073/pnas.0900158106. PMC 2678631. PMID 19383791 .
- ^ "Farming older than thought", University of Calgary, February 19, 2007.
- ^ S. Johannessen and C. A. Hastorf (eds.) Corn and Culture in the Prehistoric New World, Westview Press, Boulder, Colorado.
- ^ Heiser, Carl B., Jr. (1992) On Possible Sources of the Tobacco of Prehistoric Eastern North America. Current Anthropology 33:54-56.
- ^ Prehistoric Food Production in North America, edited by Richard I. Ford. Museum of Anthropology, University of Michigan, Anthropological Papers 75.
- ^ Adair, Mary J. (1988) Prehistoric Agriculture in the Central Plains. Publications in Anthropology 16. University of Kansas, Lawrence.
- ^ Paul E. Minnis (editor) (2003) People and Plants in Ancient Eastern North America. Smithsonian Institution Press, Washington, D.C.
- ^ The seventy great inventions of the ancient world by Brian M.Fagan
- ^ "The Impact of the Potato", History Magazine.
- ^ Super-Sized Cassava Plants May Help Fight Hunger In Africa. The Ohio State University
- ^ "Maize Streak Virus-Resistant Transgenic Maize: an African solution to an African Problem", scitizen.com, August 7, 2007.
- ^ Noel Kingsbury (2009) Hybrid. The History and Science of Plant Breeding, University of Chicago Press, Chicago.
- ^ a b c d Matson et al. (1997). Agricultural Intensification and Ecosystem Properties. Science.
- ^ a b c d Tilman D, Cassman KG, Matson PA, Naylor R, Polasky S (August 2002). “Agricultural sustainability and intensive production practices”. Nature 418 (6898): 671–7. doi:10.1038/nature01014. PMID 12167873 .
- ^ USDA NAL Special Collections. South China explorations: typescript, July 25, 1916-September 21, 1918
- ^ USDA NAL Special Collections. Dorsett-Morse Oriental Agricultural Exploration Expedition Collection
- ^ USDA ERS. Agricultural Productivity in the United States
- ^ a b "The Food Bubble Economy". The Institute of Science in Society.
- ^ "Global Water Shortages May Lead to Food Shortages-Aquifer Depletion", Lester R. Brown [リンク
切 れ] - ^ "India grows a grain crisis", Asia Times (Hong Kong). July 21, 2006.