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農業の歴史 - Wikipedia

農業のうぎょう歴史れきし(のうぎょうのれきし、英語えいご: history of agriculture)では、農業のうぎょう農耕のうこう牧畜ぼくちく)の歴史れきしおよび農業のうぎょう技術ぎじゅつ発展はってん普及ふきゅうについて記述きじゅつする。

農業のうぎょう発祥はっしょう拡散かくさん

人類じんるいはもともと、もっぱら狩猟しゅりょう採集さいしゅうおこなってきていたとかんがえられており(狩猟しゅりょう採集さいしゅう社会しゃかい)、農業のうぎょう様々さまざま分類ぶんるいぐん(いわゆるタクソン)の動植物どうしょくぶつ対象たいしょうに、世界せかい各地かくちでそれぞれ別個べっこはじまったとかんがえられている。ロシア(のちソビエト連邦れんぽう)の農学のうがくしゃ植物しょくぶつ学者がくしゃであり、遺伝いでん学者がくしゃでもあったニコライ・ヴァヴィロフによれば、栽培さいばい植物しょくぶつ起源きげん中心ちゅうしんは、地球ちきゅうじょうの11の地域ちいきおよぶ。

後述こうじゅつするように、およそ紀元前きげんぜん9500ねんごろしん石器せっき時代じだいにはレバントにおいて、デュラムコムギ始祖しそとされるエンマーコムギ、ヒトツブコムギをはじめ、オオムギるいエンドウマメるいレンズマメヒヨコマメアマなど8種類しゅるい初期しょき作物さくもつ収穫しゅうかくされていたことがられている。コメるいは、紀元前きげんぜん6200ねんごろまでには中国ちゅうごく栽培さいばい開始かいしされ、最古さいこ収穫しゅうかく記録きろくは、紀元前きげんぜん5700ねんごろとされる。それにつづいて、リョクトウ(緑豆りょくとう)、大豆だいず小豆あずき栽培さいばい開始かいしされた。サトウキビ根菜こんさいるい栽培さいばいは、紀元前きげんぜん7000ねんごろニューギニアとうはじまった。モロコシは、紀元前きげんぜん5000ねんごろまでには、アフリカサヘル地域ちいき栽培さいばい開始かいしされた。メソアメリカでは紀元前きげんぜん4000ねんごろに、現在げんざいトウモロコシ起源きげんとされる野生やせいしゅのテオシンテ(または、テオシントとも)の栽培さいばいはじまった[1]綿めん(ワタ)栽培さいばいは、紀元前きげんぜん3600ねんごろまでにペルーはじまったとされる。

牧畜ぼくちくについては、紀元前きげんぜん11000ねんごろメソポタミアブタ飼育しいくはじまったのにつづいて、紀元前きげんぜん11000ねんごろから紀元前きげんぜん9000ねんごろにかけて、ヒツジ飼育しいくはじまったとされる。ウシについては、紀元前きげんぜん8500ねんごろの(現在げんざいの)トルコパキスタン周辺しゅうへんで、現代げんだい家畜かちくうし祖先そせんにあたるオーロックス(1627ねん絶滅ぜつめつ)の飼育しいくはじまった。

みなみアメリカアンデス地方ちほうでは、紀元前きげんぜん8000ねんごろから紀元前きげんぜん5000ねんごろにかけて、インゲンマメるいコカとともにジャガイモ栽培さいばいはじまり、ラマアルパカモルモットなどが飼育しいくされはじめた。おなごろパプアニューギニアでは、すで交配こうはいされたバナナ収穫しゅうかくされていたとされる。

げん段階だんかいつかっている最古さいこ農業のうぎょう痕跡こんせきは23,000ねんほどまえのものである。ハーバード大学だいがくテルアビブ大学だいがくハイファ大学だいがく共同きょうどうチームが、イスラエルガリラヤきしで23,000ねんまえ農耕のうこう痕跡こんせきオオムギライムギエンバクエンマーコムギ)を発見はっけんしたと、ニューヨーク・タイムズなどが報道ほうどうしている[2][3]

 
粘土ねんどいてつくった古代こだいシュメール収穫しゅうかくようがま紀元前きげんぜん3000ねんごろ)

レバント歴史れきしてきシリア周辺しゅうへん肥沃ひよく三日月みかづき地帯ちたい西にし半分はんぶん)で1まんねんほどまえ農業のうぎょう痕跡こんせきつかっている。シリアのテル・アブ・フレイラ遺跡いせきBP 13050、紀元前きげんぜん11050ねんごろ)でも農耕のうこうあとライムギ)が発見はっけんされている。

 
古代こだいエジプト収穫しゅうかくした小麦こむぎ

ほかにもエジプトやインドで、それまで野生やせいえていた植物しょくぶつたねえて収穫しゅうかくしたことをしめ遺跡いせきつかっている。また、中国ちゅうごく黄河こうが流域りゅういき長江ながえ流域りゅういき)、アフリカのサヘルニューギニアとう南北なんぼくアメリカ各所かくしょでそれぞれ独自どくじ農業のうぎょうはじまった[4]最初さいしょ農業のうぎょうではまずエンマーコムギヒトツブコムギ作物さくもつとして栽培さいばいされ、つづいてオオムギエンドウレンズマメbitter vetchヒヨコマメアマ栽培さいばいされた。

エジプト小規模しょうきぼ農耕のうこうはじまったのは紀元前きげんぜん7000ねんごろである。

おなごろ農耕のうこうにつけたアナトリアの農耕のうこうみんは、すぐに地中海ちちゅうかい沿岸えんがんおよびイベリア半島はんとうまで農耕のうこうもと移住いじゅうはじめた。同様どうよう現在げんざいのイランの農耕のうこうみんは、インド大陸たいりく南端なんたんまで移住いじゅうはじめた。

アジア
インド大陸たいりくでも紀元前きげんぜん7000ねんごろにコムギやオオムギを栽培さいばいしていたことが、バルチスタン地方ちほう現在げんざいパキスタン)のメヘルガル考古こうこ発掘はっくつあきらかになっている。紀元前きげんぜん6000ねんごろまでに、ナイルがわ河岸かわぎし中規模ちゅうきぼ農業のうぎょう確立かくりつ。この段階だんかいでは灌漑かんがい技術ぎじゅつ十分じゅうぶん確立かくりつしたとはえない。
おなじころ、ひがしアジアでべい栽培さいばいはじまっている。中国ちゅうごく南部なんぶでは、初期しょきオーストロネシア語族ごぞくモン・ミエン語族ごぞく話者わしゃによって、湿地しっち農業のうぎょう発展はってんとともに、紀元前きげんぜん11,500ねんから6,200ねんごろ揚子江ようすこう流域りゅういきべい栽培さいばい開始かいしされ、ドングリシログワイオニバスなど、食用しょくよう植物しょくぶつ栽培さいばいされた[5][6][7][8]中国ちゅうごく北部ほくぶでは、紀元前きげんぜん8,000ねんから6,000ねんごろ初期しょきシナ・チベット話者わしゃによってキビが栽培さいばいされ、紀元前きげんぜん5,500ねんまでに黄河こうが流域りゅういき主要しゅよう作物さくもつになった[6][9]中国ちゅうごくやインドネシアの農民のうみんはさらに、サトイモリョクトウダイズアズキといったまめるい栽培さいばいするようになる。これらは基本きほんてき炭水化物たんすいかぶつみなもとであり、それをおぎなうタンパクげんとしてさかな大量たいりょう確保かくほすべく漁網ぎょもう発達はったつすることになった。こういった農業のうぎょう漁業ぎょぎょう進歩しんぽにより、それまでとはくらべものにならない速度そくど人口じんこう増加ぞうかはじめた(いまもそれがつづいている)。
紀元前きげんぜん5000ねんごろまでに、シュメールとくペルシアわんのデルタ地帯ちたいからチグリスがわユーフラテスがわ合流ごうりゅうてんむすシャットゥルアラブがわ沿いでだい規模きぼ耕作こうさくたん一種いっしゅ栽培さいばい計画けいかくてき灌漑かんがい農業のうぎょうせんもん労働ろうどうりょくといった農耕のうこう技法ぎほうまれた。野生やせいオーロックス家畜かちくしてウシとし、おなじくムフロン家畜かちくしてヒツジとした。それによって食肉しょくにく羊毛ようもうだい規模きぼ確保かくほするとともに、荷車にぐるまかせて使役しえきした。また、ひつじ定住ていじゅう牧畜ぼくちくみんまたは遊牧民ゆうぼくみんとして農民のうみん仲間入なかまいりをするようになった。
メソアメリカ、みなみアメリカ
アメリカ大陸あめりかたいりくでは紀元前きげんぜん5200ねんごろ、トウモロコシキャッサバクズウコン農作物のうさくもつとして栽培さいばいされるようになった[10]アメリカ大陸あめりかたいりく発祥はっしょう農作物のうさくもつとしてはジャガイモトマトトウガラシぞく、いくつかのまめるいタバコなどがある。みなみアメリカではアンデス山脈あんですさんみゃく沿いのけわしい斜面しゃめん段々畑だんだんばたけ発達はったつした。メソアメリカでは6000ねん以上いじょうまえ野生やせいテオシント人間にんげんくわえて現代げんだいトウモロコシ原種げんしゅつくった。それが徐々じょじょきたアメリカにひろまっていき、ヨーロッパの人々ひとびと新大陸しんたいりく到達とうたつしたころにはアメリカ先住民せんじゅうみん主食しゅしょくになっていた[11]。メソアメリカ原産げんさん作物さくもつとしてはすうひゃく種類しゅるいカボチャるいまめるいがある。カカオ作物さくもつとしたのもメソアメリカである。食用しょくようきょうされるとりであるシチメンチョウぞくもメキシコからアメリカ南西なんせい家畜かちくされた。みなみアメリカのアンデス山脈あんですさんみゃく地域ちいき発祥はっしょう重要じゅうよう作物さくもつとしてジャガイモがあり、5000ねんまえごろのこととされている。みなみアメリカでは様々さまざま豆類まめるい作物さくもつとされたが、リャマアルパカモルモットといった動物どうぶつ家畜かちくされた。アンデス地域ちいき発祥はっしょう作物さくもつとしてはコカもあり、いま主要しゅよう作物さくもつとして栽培さいばいされている。
北米ほくべい
北米ほくべい大陸たいりく先住民せんじゅうみん現在げんざいえばアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく東部とうぶにあたる場所ばしょにいた人々ひとびと)も様々さまざま植物しょくぶつ作物さくもつした。ヒマワリタバコ[12]カボチャるいケノポジるいなどがあり、すで栽培さいばいされていない作物さくもつとしてmarshelderミナトムギクサもあった[13][14]ほかにもマコモ(ワイルドライス)やサトウカエデなどは作物さくもつにはいたらなかったが、採種さいしゅ栽培さいばいされたとられている。イチゴもっと一般いっぱんてきしゅであるオランダイチゴのもととなったたねはアメリカ北東ほくとう作物さくもつされたものである[15]
プラウの使用しよう開始かいし
紀元前きげんぜん3500ねんごろ、"ard" とばれる原始げんしてきプラウ開発かいはつされた。プラウがまれるまえは、単純たんじゅんぼうくわ土地とちたがやしていた。これらののう器具きぐ耕地こうち養分ようぶん枯渇こかつするほど継続けいぞくてきおな土地とち農耕のうこうおこなうとき、かえして養分ようぶんふくふか部分ぶぶん表面ひょうめんすのに必要ひつようだった。メキシコでの発掘はっくつで、ちいさい農地のうち継続けいぞくてき農耕のうこうおこない、生活せいかつしていたことがわかっている。ちゅうおうヨーロッパでも同様どうよう農法のうほうおこなわれていた。その場合ばあい、プラウはぼうよりもより効率こうりつてきだった[16]

古代こだいギリシアや古代こだいローマの農業のうぎょうはシュメールの農耕のうこう技法ぎほうもとにしたものだが、いくつか根本こんぽんてき改良かいりょうほどこした。ギリシャ南部なんぶ土地とちがやせていて、文明ぶんめい開花かいかさせるのに苦労くろうした。ローマじん農作物のうさくもつ交易こうえきよう栽培さいばいしたというてん特筆とくひつされる。

中世ちゅうせい

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13世紀せいき
 
カレンダー(こよみ)。1ねん活動かつどうのありさま。(15世紀せいき

中世ちゅうせいになると、きたアフリカ、中東ちゅうとう、ヨーロッパの農民のうみんみず理学りがく流体りゅうたいせい力学りきがく原理げんりもとづいた灌漑かんがい技法ぎほう水車みずぐるま揚水ようすい装置そうち、ダム、ためいけ)などの農耕のうこう技術ぎじゅつ使つかうようになっていった。それにくわえて3ねん周期しゅうき輪作りんさく考案こうあんされ、モールドボード・プラウ発明はつめいもあって、農業のうぎょう効率こうりつおおきく向上こうじょうした。

中世ちゅうせいヨーロッパにおいては、農業のうぎょうは「7つの機械きかい技術ぎじゅつ (seven mechanical arts)」の1つにかぞえられた(は、機織はたおり、鍛冶たんや戦争せんそう航海こうかい狩猟しゅりょう医療いりょう)。

農業のうぎょうかんする書籍しょせきとく近代きんだいてき農学のうがく成立せいりつする以前いぜん農業のうぎょう技術ぎじゅつ農民のうみん生活せいかつについての著作ちょさくぶつのうしょばれ、かく地域ちいきにおいてのこされており、かつての農業のうぎょうにつきることが出来できる。

きん現代げんだい

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1492ねん以降いこう世界せかいてき農作物のうさくもつ品種ひんしゅ家畜かちく品種ひんしゅ交換こうかんはじまった(コロンブス交換こうかん)。しん世界せかい南北なんぼくアメリカ)からきゅう世界せかい(ヨーロッパ)にもたらされた主要しゅよう作物さくもつとして、トマトトウモロコシジャガイモキャッサバココアタバコがある。ぎゃくしん世界せかいまれた農作物のうさくもつとして、コムギ香辛料こうしんりょうコーヒーサトウキビなどがある。しん世界せかいまれたもっと重要じゅうよう家畜かちくとしてはウマとイヌがある(イヌはコロンブス以前いぜんからアメリカ大陸あめりかたいりく生息せいそくしていたが、かずすくなく、農作業のうさぎょう補助ほじょてきした種類しゅるいではなかった)。食用しょくよう家畜かちくではないが、ウマ(およびロバやポニー)とイヌはすぐさま南北なんぼくアメリカの農業のうぎょう生産せいさんてき役割やくわりたすようになった。

ジャガイモ北欧ほくおう重要じゅうよう主要しゅよう農作物のうさくもつとなった[17]トウモロコシキャッサバは16世紀せいきにポルトガルじん[18]おもにアフリカで主要しゅよう農作物のうさくもつとなった[19]

19世紀せいきはじめまでに農耕のうこう技法ぎほう農機具のうきぐ栽培さいばい品種ひんしゅ改良かいりょうすすみ、中世ちゅうせいくらべると格段かくだん単位たんい面積めんせきあたりの収穫しゅうかくりょう増加ぞうかした。20世紀せいきむかえるまでの農耕のうこう発展はってん歴史れきしなかでも、チャールズ・ダーウィングレゴール・ヨハン・メンデル品種ひんしゅ改良かいりょう科学かがくてき基礎きそきずいたことはもっと重要じゅうよう出来事できごとである。それによって過去かこ150年間ねんかん爆発ばくはつてき農業のうぎょう生産せいさんりょう増大ぞうだいがもたらされた[20]

20世紀せいき
 
トラクターアルファルファはたけたがや様子ようす。(1921年版ねんばんCollier's New Encyclopedia掲載けいさいされていた写真しゃしん
 
ミネソタしゅう農地のうち衛星えいせい画像がぞう
 
おな位置いち赤外線せきがいせん画像がぞう
19世紀せいきまつから20世紀せいき初頭しょとう機械きかいとくトラクター)の急激きゅうげき進展しんてんにより、農作業のうさぎょうはかつてない速度そくど規模きぼ実施じっし可能かのうとなった。そういった進歩しんぽにより、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくアルゼンチンイスラエル、ドイツなどの国々くにぐにでほぼ限界げんかいおもえるほど高密度こうみつどこう品質ひんしつ作物さくもつ栽培さいばいできるようになった。
ハーバー・ボッシュほう使つかって肥料ひりょう合成ごうせいできるようになり、それまで限界げんかいとされていた収量しゅうりょうえた収穫しゅうかく可能かのうとなった。20世紀せいき農業のうぎょう生産せいさんせい向上こうじょうし、化学かがく肥料ひりょう農薬のうやく手間てまはぶいたが、水質すいしつ汚染おせんまねき、先進せんしんこくでは補助ほじょきんがつきものとなった。従来じゅうらい農業のうぎょう環境かんきょうへの外部がいぶせい効果こうかへの反発はんぱつから、近年きんねんでは有機ゆうき農業のうぎょう推進すいしんするうごきがしょうじている。
べい、トウモロコシ、小麦こむぎといった穀物こくもつ食糧しょくりょう供給きょうきゅうの60%をめている[21]。1700ねんから1980ねんあいだ世界せかいぜん耕作こうさくは46%増加ぞうかし、品種ひんしゅ改良かいりょう化学かがく肥料ひりょう農薬のうやく灌漑かんがい機械きかいによって生産せいさんだかはそれ以上いじょう増加ぞうかした[21]たとえばコロラドしゅう東部とうぶのトウモロコシの生産せいさんだかは、1940ねんから1997ねんあいだ灌漑かんがい設備せつび整備せいびされたことで400%から500%も増加ぞうかした[21]
しかし、そのような集約しゅうやく農業のうぎょうについて持続じぞく可能かのうせいめん懸念けねんしょうじている。インドなどのアジアでは集約しゅうやく農業のうぎょうによって土壌どじょうしつ低下ていかし、人口じんこう増加ぞうかによって食糧しょくりょう需要じゅよう今後こんご増大ぞうだいするなかで、化学かがく肥料ひりょう農薬のうやく環境かんきょうへの影響えいきょう懸念けねんされている。集約しゅうやく農業のうぎょうでは単一たんいつ品種ひんしゅ栽培さいばいすることがおおいが(モノカルチャー)、それによって病気びょうき害虫がいちゅう発生はっせいしやすくなり、農薬のうやくたよらざるをえなくなる。かずじゅうねんまえから提唱ていしょうされている総合そうごうてき病害虫びょうがいちゅう管理かんり (IPM) をおこなった成功せいこうれいはあるものの、IPMは知識ちしき集約しゅうやくがたであり、農業のうぎょう政策せいさくまとには農薬のうやく使用しよう推進すいしんしたほう簡単かんたんだという現実げんじつがある[21]
みどり革命かくめいでアジアでのべい生産せいさんだか劇的げきてき増大ぞうだいしたが、過去かこ15ねんから20年間ねんかん生産せいさんだかがあまり増加ぞうかしていない[22]小麦こむぎについては遺伝子いでんしじょうの「収穫しゅうかくりょう」を増大ぞうだいさせることに成功せいこうしているが、べいについては1966ねん以降いこうそのような品種ひんしゅ改良かいりょうおこなわれておらず、トウモロコシの場合ばあいは35年間ねんかん若干じゃっかん改良かいりょうされた程度ていどである[22]除草じょそうざい開発かいはつされると、10ねんから20ねんでその除草じょそうざい抵抗ていこうりょくのある雑草ざっそう出現しゅつげんし、害虫がいちゅう場合ばあいは10ねん以内いない農薬のうやく抵抗ていこうりょくのあるものが出現しゅつげんする[22]輪作りんさくはそのような抵抗ていこうりょくのあるものが出現しゅつげんするのをおくらせる効果こうかもある[22]
19世紀せいきまつ以降いこう世界中せかいじゅうからあらたな品種ひんしゅさがし、あらたな農法のうほうさが調査ちょうさおこなわれてきた。たとえば Frank N. Meyer は1916ねんから1918ねんまで中国ちゅうごく日本にっぽんおとずれ、果実かじつしん品種ひんしゅ採集さいしゅうおこなった[23]。1929ねんから1931ねんにかけて、アメリカの調査ちょうさだん中国ちゅうごく朝鮮ちょうせん日本にっぽんおとずれ、大豆だいず品種ひんしゅかえっている[24]
国際こくさい通貨つうか基金ききんによれば、2009ねん現在げんざい農業のうぎょう生産せいさんだかでは中国ちゅうごく世界一せかいいちであり、それに欧州おうしゅう連合れんごう、インド、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくつづいている。経済けいざい学者がくしゃらが農業のうぎょうぜん要素ようそ生産せいさんせい (TFP) を測定そくていしたところ、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく農業のうぎょう生産せいさんせいは1948ねん時点じてんの2.6ばいだという[25]
アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく、カナダ、フランス、オーストラリア、タイの6カ国かこく穀物こくもつ輸出ゆしゅつりょうの90%をめている[26]なかでもアメリカは穀物こくもつ貿易ぼうえきやく半分はんぶんめている[26]。アルジェリア、イラン、エジプト、メキシコといった国々くにぐにでは水不足みずぶそくによって穀物こくもつ輸入ゆにゅうたよらざるをえなくなっている[27]中国ちゅうごくやインドでも同様どうようのことがきるのではないかと懸念けねんされている[28]

脚注きゃくちゅう

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出典しゅってん

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  1. ^ 福永ふくなが健二けんじ植物しょくぶつのドメスティケーション : トウモロコシの起源きげん : テオシントせつ栽培さいばいかかわる遺伝子いでんし」『国立こくりつ民族みんぞくがく博物館はくぶつかん調査ちょうさ報告ほうこくだい84ごう国立こくりつ民族みんぞくがく博物館はくぶつかん、2009ねん3がつ、137-151ぺーじdoi:10.15021/00001144ISSN 1340-6787NAID 120002014603 
  2. ^ “Farming Had an Earlier Start, a Study Says”. ニューヨーク・タイムズ. (2015ねん7がつ27にち). http://www.nytimes.com/2015/07/28/science/farming-had-an-earlier-start-a-study-says.html?_r=0 2015ねん7がつ27にち閲覧えつらん 
  3. ^ “First evidence of farming in Mideast 23,000 years ago”. サイエンスデイリー. (2015ねん7がつ22にち). http://www.sciencedaily.com/releases/2015/07/150722144709.htm 2015ねん7がつ22にち閲覧えつらん 
  4. ^ In particular, the history of maize cultivation in southern Mexico dates back 9000 years. New York Times, accessdate=2010-5-4
  5. ^ Molina, J.; Sikora, M.; Garud, N.; Flowers, J. M.; Rubinstein, S.; Reynolds, A.; Huang, P.; Jackson, S. et al. (2011). “Molecular evidence for a single evolutionary origin of domesticated rice”. Proceedings of the National Academy of Sciences 108 (20): 8351–6. Bibcode2011PNAS..108.8351M. doi:10.1073/pnas.1104686108. PMC 3101000. PMID 21536870. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3101000/. 
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  8. ^ Hsieh, Jaw-shu; Hsing, Yue-ie Caroline; Hsu, Tze-fu; Li, Paul Jen-kuei; Li, Kuang-ti; Tsang, Cheng-hwa (24 December 2011). “Studies on Ancient Rice—Where Botanists, Agronomists, Archeologists, Linguists, and Ethnologists Meet”. Rice 4 (3–4): 178–183. doi:10.1007/s12284-011-9075-x. 
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