発射器は、簡易に加工された鋼鉄の筒であり、直径40mm、全長953mm、重量7kgである。中央部分の内径は前後に比べてやや大きく、発射ガスの拡張室として機能し、発射時の初速を高める機能を果たす。中央部分から後部にかけては木材もしくは耐熱性プラスチックに覆われており、兵士を発射時の熱から守るようになっている。尾部はラッパのように広がっているノズルで、発射の際のバックブラストから操作している兵士を守るほか、後方噴流を加速させることで反動を相殺させる役割を持っている。
発射器は射手が右肩に担いで使用するよう設計されている。射手は撃発機構を備えた前部グリップを右手で握り、姿勢安定用の後部グリップないし筒身カバーに左手を添えることになる。安全ピンを外した擲弾を根元まで発射器に挿入して、撃発機構の撃鉄を引き起こせば射撃準備が整う。
一般的には光学照準器(PGO-7、2.7x)が用いられ、暗中でも照準しやすいよう、照準目盛を光らせるための夜光機能を備える。この光学照準器は、開発当時のNATO戦車の車高を2.7mに仮定して測遠、横方向への移動目標を狙うことができるように照準目盛が設定されている。そのため、この車高に当てはまらない目標に対してはあまり役にたたず、移動目標や横風に対する偏差照準も面倒であるため、本体に固定装備された簡易なアイアンサイトを使って300m以内から射撃することが好まれる。他に、受光型赤外線式の暗視照準装置も提供されている。また、中国製の69式では、軽機関銃のようなバイポッド(二脚)やキャリングハンドルが追加されて実用性が増しており、本家のロシア製でもバイポッドが装備されるようになった。
弾薬は、弾頭(断面図のI、以下同じ)とロケットモーター(II)、発射器から撃ち出すための装薬(17)、安定翼(15)で構成される。弾頭とロケットモーターは一体化されており、装薬は折り畳まれた安定翼の周囲を取り囲むように配置されている。装薬・安定翼(III)前端と弾頭・ロケットモーターユニット後端にはそれぞれねじが切られており、両者は分離して運搬されるが、装填前にねじ込んで固定する。結合された弾薬を発射器へ装填する際には、発射用雷管(14)と発射器側の撃発機構との位置を合わせるために、ロケットモーター噴射ブロック(9)の後ろにある小突起を発射器先端の切り欠きに合わせる必要がある。
先端には、圧電素子(1)を用いた信管(8)が装着されており、目標に激突した圧力で発生した電気信号が弾頭の構造体から伝導子(7)へと伝わり、信管を起爆させる。このため先端部が激突しないと起爆しないという特性がある。金網やスラットアーマーなどに命中するとかなりの確率で不発になることが知られており、対策として用いられている。
弾頭本体直後の周囲にはロケットモーター燃焼ガスの噴射口(10)が配置されており、推進薬(12)の燃焼ガスは弾頭の斜め後ろ方向へ放射状に噴射される。弾頭の周囲後方の大型の安定翼は砲身から射出された直後に風圧で開いて弾頭の直進を助け、さらに後方の小型安定翼(18)は弾頭に飛翔を安定させるためのゆったりした回転を与える。後端には曳光剤(19)が設けられ、発射以降に燃焼して光を放ち、射手に飛翔する弾頭の軌跡を示す。
弾頭本体に誘導装置は無く、飛翔する弾頭が横風を受けると風上へ向かって舵を切る特性があるため、移動目標に命中させるには熟練を要する。引き金を引くと、クルップ式無反動砲の原理により、撃ち出された弾頭は秒速115メートルの速度に加速、10メートルの距離で固体ロケットに点火し、500メートルの距離まで最大秒速295メートルに加速し、その後は慣性によって飛翔する。
最大射程は4.5秒の時限信管により決定され、一般的には約920メートル(900ないし1,100メートルの誤差範囲)の距離を飛翔すると自爆する[1]。ヘリコプターのような目標に対して直撃せずとも損傷を与えるために、時限信管を短く設定して発射することもできる。製品によっては時限信管を持たず、その場合には発射後に命中しないとそのまま落下して不発弾と化すおそれがある。
確実な命中を求めるためには可能な限り近距離で射撃することが重要である。熟練した射手なら150メートル以上、条件次第では300メートルの距離で命中させることができるが、横風の影響を受けやすいため、実質的な有効射程は100メートル以下となる[1]。アフガニスタンの兵士は80メートル以内に接近して射撃することで確実に標的を撃破した。ただし、この距離は敵側から見ればどんな武器も最大限に活用でき、また、随伴する歩兵部隊も存在するため、必中距離から射撃できる事は稀であり、命中精度に関していえば非常に低い。
なお、多くの場合には前述した後方噴射(バックブラスト)が砂塵を巻き上げて敵に発見される危険性が増す。また、地面に当たった熱風や砂利が射手の足に吹きつけ、怪我を負う危険もある。そのため、特に仰角を取った射撃を行う際には、あらかじめ地面に後方噴射を逃がすための穴を掘り、さらにそこへ折り取って来た樹木などを覆せるなどしてこの危険性を低減させる工夫がなされる事もある。
弾頭には2種類用意されており、非装甲車両や人員といった軟目標には通常の榴弾を使用し、装甲車両やトーチカには成形炸薬弾(対戦車榴弾)を使用して破壊する。後者は弾頭の仕様や使用条件にもよるが、厚さ30センチメートルないし60センチメートルの均質圧延鋼装甲を貫通し得る。
また、それ以外にも照明弾やスモーク弾、非致死性化学弾、焼夷弾といった様々な特殊弾頭が用意されている。ロシアや旧ワルシャワ条約機構所属の国家、さらに、中国ではサーモバリック(熱圧)弾頭も開発されている。サーモバリック弾頭とは、トンネルや家屋に有効な爆発時の圧力で攻撃する弾頭である。
近年では一般的になった、爆発反応装甲(ERA)を一回の攻撃で貫通するために、成形炸薬弾を前後に2個搭載したタンデム弾頭も開発されており、中でもロシア製のPG-7VR弾頭は、その威力の高さを実戦で証明している。
RPG-7は世界で広く使用されており、実用化されてからの使用期間も長いポピュラーな携帯対戦車擲弾発射器であるため、アメリカのM72 LAWと並んで「歩兵が個人で用いる対戦車兵器」の代表的な存在として数々の作品に登場する。
ただし、RPG-7の兵器としての種別を「(対戦車)ロケットランチャー」「バズーカ砲」更には「対戦車ミサイル」として表現している例もあり、必ずしも正確に「対戦車擲弾発射器」もしくは「ロケット補助推進弾頭型無反動砲」と認識した上で登場させているとは限らないため、この点に関して注意が必要である。
なお、実写で実物が登場する以外の作品では取り扱いにおける描写、特に弾体の描写が誤っている例も多い。
- 発射後、弾体の最後尾からロケットモーター(ブースター)の燃焼ガスを噴出して飛翔している様に描かれる事が多いが、実際のロケットモーターの噴射口は弾頭の炸薬本体の直後、弾体の前から1/3程の場所の外周にあり、燃焼ガスはその位置から弾頭の斜め後ろ方向へ放射状に噴射される。
- なお、弾体の最後尾には発射後に射手が目視で飛翔する弾体を確認するための曳光材(発光体)が装備されているため、発射後に飛翔する弾体の後尾は発光(発炎)して煙を牽いているようには見える。
- 弾頭部と一体になった安定翼部だけが描かれており、その状態で発射筒に装填される(装薬が装着されず、また、弾体と安定翼が装填前に分割されていない)ものとして描写される例や、装薬は装填前に別個になっているものが装着されるが、安定翼部の後端に接続される(安定翼部と装薬は別の部位に分かれている)ものとして描かれている例がある。
- 弾体後部に位置して発射後に展開される安定翼は、実際には発射前の状態(保管/運搬状態)では弾頭部分には装着されておらず、発射直前に弾頭部に結合される装薬(青緑色の防水パッケージに包まれている)に埋没しており、教練用の模擬弾以外では折り畳まれた状態の安定翼を目視することはできない。
これらの例から、必ずしも弾体の構造を理解して描写されているとは限らないことがうかがえる。
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