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V型12気筒 - Wikipedia

Vがた12気筒きとうレシプロエンジンひとしシリンダー配列はいれつ形式けいしきひとつで、シリンダーの配置はいちVがたのエンジンにおいてかたバンクに6気筒きとうずつ合計ごうけい12つことからばれる、ほん項目こうもくではもっぱピストンしき内燃ないねん機関きかんのそれについてべる。V12りゃくされることがおおい。

ヤマハ・OX99(1992ねん

航空機こうくうきでの利用りよう

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だいいち世界せかい大戦たいせんからだい世界せかい大戦たいせんまでの軍用ぐんよう水冷すいれいガソリンエンジンひろもちいられた。とく欧州おうしゅうでは高性能こうせいのうなエンジンが開発かいはつされ、イギリスではロールス・ロイス マーリン、ドイツではダイムラー・ベンツ DB 600ひとしげられる。アメリカではアリソンV-1710開発かいはつされたが主流しゅりゅうとはならず空冷くうれいほしがたエンジン性能せいのう向上こうじょうすすんだ。

日本にっぽんではドイツせいV12エンジンのライセンス生産せいさんが、海軍かいぐんよう愛知あいち航空機こうくうき陸軍りくぐんよう川崎かわさき航空機こうくうきげん川崎重工業かわさきじゅうこうぎょう航空こうくう宇宙うちゅうシステムカンパニー)でそれぞれおこなわれたが、どちらも生産せいさん技術ぎじゅつ資材しざい問題もんだいから量産りょうさん手間取てまどり、実戦じっせん投入とうにゅうもトラブルや整備せいびなん稼働かどうりつひくかった。結局けっきょく、V12エンジンけに設計せっけいされた彗星すいせいさんしき戦闘せんとう胴体どうたいあまり、わりに空冷くうれいほしがたエンジンを搭載とうさいし、彗星すいせいさんさんがたしき戦闘せんとうとして登場とうじょうさせる事態じたいとなった。

自動車じどうしゃでの利用りよう

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圧倒的あっとうてきなパワーがせるだけでなく、レイアウトじょうピストン運動うんどうりこぎ運動うんどう完全かんぜんおさえることのできるV12はふるくからスーパーカー象徴しょうちょうであった。はやし義正よしまさは、理想りそうのエンジンをつくるならちょく6かV12の2形式けいしき以外いがいありえないとしている[1]

フェラーリでは一時期いちじきレーシングカーから市販しはんしゃまで、生産せいさんされるすべての車種しゃしゅがV12エンジンを搭載とうさいしていたほどで、1シリンダーあたりの容積ようせきくるまめい排気はいきりょう表示ひょうじとしていた。

フェラーリやランボルギーニなどのV12は専用せんよう設計せっけいだが、かたバンクを直列ちょくれつ6気筒きとうエンジンと共用きょうようしたり(TVRメルセデスM120、BMW)、あるいはVがた6気筒きとうエンジンを2つつなげた設計せっけい(メルセデスM、アストンマーティン)もおおく、こうした部品ぶひん流用りゅうよう都合つごうがつきやすいのもV12のメリットである。

世界せかいはつ量産りょうさんV12エンジンは米国べいこくパッカードのジェス・G・ヴィンセントにより開発かいはつされた「ツイン=シックス」で、1916ねんのツーリング・モデルに搭載とうさいされたものである。ピストンはアルミニウムせいで、シリンダーブロックのバンクかくは60で3,000rpm/85馬力ばりき出力しゅつりょくした。なおV6の量産りょうさん成功せいこうが1950ねんV10は1991ねんなので、V12の歴史れきしはかなりふる部類ぶるいである。

乗用車じょうようしゃのV12はガソリンエンジン一般いっぱんてきであるが、大型おおがたのトラック・バスようとしてはディーゼルエンジンおおい。また2000年代ねんだいのディーゼルエンジンが次世代じせだい環境かんきょう技術ぎじゅつとして注目ちゅうもくあつめていたころ乗用車じょうようしゃでもフォルクスワーゲングループでV12のディーゼルが採用さいようされていた。

日本にっぽん国産こくさん乗用車じょうようしゃではGZG50がたトヨタ・センチュリー唯一ゆいいつのV12搭載とうさいしゃである。なおマツダも1990年代ねんだい初頭しょとう、フラッグシップセダンのアマティ1000ようにV12エンジンの試作しさくおこなっていたが、経営けいえい悪化あっかにより同車どうしゃ共々ともどもぞうりとなっている。

大型おおがたバスにおいては、三菱重工業みつびしじゅうこうぎょうげん三菱みつびしふそうトラック・バス)が日本にっぽん国有こくゆう鉄道てつどう自動車じどうしゃきょく国鉄こくてつバス)の要求ようきゅう仕様しよう対応たいおうさせるべく、V6エンジンを2連結れんけつした形状けいじょうのV12エンジンを開発かいはつしたことがある。

21世紀せいきはいるとV6やV8エンジンでも設計せっけい製造せいぞう技術ぎじゅつ進歩しんぽきゅう高性能こうせいのう、あるいはハイブリッドなどによって十分じゅうぶんこう出力しゅつりょく可能かのうになり、V6やV8とくらべてもともとこうコスト(元々もともと生産せいさんコストがたかうえ搭載とうさいできる車種しゃしゅすくないため、量産りょうさん効果こうかしにくい)でサイズも重量じゅうりょうおおきく、燃費ねんぴCO2などの温室おんしつ効果こうかガス排出はいしゅつりょうといった環境かんきょう性能せいのうおとるV12エンジンの搭載とうさい車種しゃしゅ・グレードをらしたり、開発かいはつ製造せいぞう自体じたいをやめるメーカーまであらわれている。2017ねんのGZG50がたセンチュリーおよび1GZ-FEの生産せいさん終了しゅうりょうともない、現行げんこう日本にっぽんしゃ全体ぜんたいからV12は消滅しょうめつした。海外かいがいでもダウンサイジングなみにさらされてかずらしてはいるが、高級こうきゅうしゃハイパーカー中心ちゅうしん採用さいよう事例じれいすくなからず存在そんざいする。

モータースポーツ

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F1では1950ねん開幕かいまく初年度しょねんどからフェラーリ採用さいようされている。またホンダヤマハポルシェアルファロメオランボルギーニフォードルノーマトラBRMなどがVがた12気筒きとうエンジンを投入とうにゅうしていた。ホンダが1965ねん日本にっぽんメーカーとしてはつ優勝ゆうしょうかざったのもV12であった。しかし振動しんどう問題もんだい解決かいけつした、よりコンパクトでそらりょくめんのメリットがおおきいVがた10気筒きとう流行はやると下火したびになり、2001ねん以降いこうはレギュレーションで使用しよう不可ふかとなっている。

なお実戦じっせん投入とうにゅう実現じつげんされなかったF1エンジンとしては、バブル景気けいき名残なごりのあった1990年代ねんだい初頭しょとうに、いすゞP799WE)やHKSスズキ(YR-91)が試作しさくおこなっている。また2000年代ねんだいトヨタでVがた12気筒きとうエンジンの投入とうにゅう計画けいかくがあったが、参戦さんせん直前ちょくぜん規則きそく変更へんこうV10エンジン搭載とうさい義務ぎむされたため、おぞうりとなった。

スポーツカーレースでは、グループC規定きていジャガーのXJRシリーズ(XJR-6からXJR-12まで)やメルセデス・ベンツ・C291、LMP規定きていBMW・V12 LMRアウディ・R10プジョー・908 HDi FAPなどがV12を採用さいようし、いずれもル・マン24あいだレース制覇せいはしている。これらのうちR10と908はディーゼルターボのV12であった。ただでさえおもいディーゼルをさらおもいV12にするのは一見いっけんパッケージングてき不利ふりそうにえるが、V8ディーゼルで当時とうじのル・マンで要求ようきゅうされるレベルの耐久たいきゅうせいとパワーを両立りょうりつしようとするとだい規模きぼ補強ほきょう必要ひつようになり、むしろおもくなってしまうというのが理由りゆうであった[2]。このほか日産にっさんも1970年代ねんだいR381-IIR382でV12を実戦じっせん投入とうにゅうしているほか、R383実戦じっせんへの参戦さんせんなし)やNP35(テスト参戦さんせんのみ)といったマシンでV12を採用さいようしている。

現在げんざい規則きそくじょう参戦さんせん可能かのうであり、アストンマーティンがハイパーカー規定きていヴァルキリーでの参戦さんせん計画けいかくしている。一時いちじ事実じじつじょう撤回てっかいされるものち計画けいかく復活ふっかつし、2025ねんからFIA 世界せかい耐久たいきゅう選手権せんしゅけん(WEC)とう参戦さんせんする予定よていである。

直近ちょっきんGTカーでは唯一ゆいいつ、フルモデルチェンジまえアストンマーティン・ヴァンテージグループGT3規定きてい車両しゃりょうがV12を採用さいようしていた。

戦車せんしゃ

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だい世界せかい大戦たいせん使つかわれたドイツVごうVIごう戦車せんしゃやそれらの派生はせい車種しゃしゅのエンジンは排気はいきりょう23リットルのマイバッハせいHL230ガソリンエンジンであった。

搭載とうさい車種しゃしゅ

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現行げんこう搭載とうさい車種しゃしゅ

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過去かこ搭載とうさい車種しゃしゅ

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デイムラー・ダブルシックス(1991ねん)Vがた12気筒きとうエンジン

鉄道てつどう車両しゃりょうでの利用りよう

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日本にっぽん

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おもディーゼル機関きかんしゃ搭載とうさいされている。 DD13かたち搭載とうさいされていた直列ちょくれつ6気筒きとうDMF31けいエンジンはターボチャージャーを装着そうちゃくしても500馬力ばりき非力ひりきだったため、これを改良かいりょう発展はってんさせた1,000馬力ばりきクラスのエンジンが要求ようきゅうされていた。これをけてターボつきVがた12気筒きとうDML61けいエンジンが1960年代ねんだい開発かいはつされ、幹線かんせんようDD51かたちにゅうかわようDE10かたちなどに搭載とうさいされている。JR移行いこうはJR貨物かもつDF200かたちつづきV12エンジンが採用さいようされている。

また、キハ181けいなどの気動車きどうしゃ搭載とうさいされているDML30けいエンジンは、水平すいへい対向たいこうエンジン同様どうよう気筒きとう配置はいちえるが、バンクかく180°のV12エンジンである。

船舶せんぱくでの利用りよう

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脚注きゃくちゅう

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  1. ^ MotorFan illustrated vol.89 「最善さいぜん妥協だきょう ―Vがたエンジン― 」(ISBN 978-4-7796-2090-4) P.028
  2. ^ 内燃ないねん機関きかんちょう基礎きそ講座こうざ | 世界せかい最強さいきょうのディーゼルエンジン:アウディのル・マンようV12ディーゼルMotorFan 2021ねん5がつ11にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく

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