無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律

無む差別さべつ大量たいりょう殺人さつじん行為こういを行おこなった団体だんたいの規制きせいに関かんする法律ほうりつ
日本にっぽんの法令ほうれい
通称つうしょう・略称りゃくしょう	団体だんたい規制きせい法ほう、オウム新法しんぽう
法令ほうれい番号ばんごう	平成へいせい11年ねん法律ほうりつ第だい147号ごう
種類しゅるい	刑法けいほう
効力こうりょく	現行げんこう法ほう
成立せいりつ	1999年ねん12月3日にち
公布こうふ	1999年ねん12月7日にち
施行しこう	1999年ねん12月27日にち
所管しょかん	法務省ほうむしょう（刑事けいじ局きょく） 公安調査庁こうあんちょうさちょう（調査ちょうさ第だい一部いちぶ）
主おもな内容ないよう	無む差別さべつ大量たいりょう殺人さつじん行為こういを行おこなった団体だんたいの規制きせいについて
関連かんれん法令ほうれい	破壊はかい活動かつどう防止ぼうし法ほう オウム真理教おうむしんりきょう財産ざいさん特別とくべつ措置そち法ほう
条文じょうぶんリンク	無む差別さべつ大量たいりょう殺人さつじん行為こういを行おこなった団体だんたいの規制きせいに関かんする法律ほうりつ - e-Gov法令ほうれい検索けんさく
ウィキソース原文げんぶん

無む差別さべつ大量たいりょう殺人さつじん行為こういを行おこなった団体だんたいの規制きせいに関かんする法律ほうりつ（むさべつたいりょうさつじんこういをおこなっただんたいのきせいにかんするほうりつ）は、無む差別さべつ大量たいりょう殺人さつじん行為こういを行おこなった団体だんたいを規制きせいする日本にっぽんの法律ほうりつ。団体だんたい規制きせい法ほうやオウム新法しんぽうなどと通称つうしょうされる。

法務省ほうむしょう刑事けいじ局きょく公安こうあん課かと、その外局がいきょくの公安調査庁こうあんちょうさちょう調査ちょうさ第だい一部いちぶが共同きょうどうで所管しょかんする。

概要がいよう

目的もくてきは、団体だんたいの活動かつどうとして役職やくしょく員いん・構成こうせい員いんが無む差別さべつ大量たいりょう殺人さつじん行為こういを行おこなった場合ばあいに、その団体だんたいにつき、その活動かつどう状じょう況きょうを明あきらかにし又または当該とうがい行為こういの再発さいはつを防止ぼうしするために必要ひつような規制きせい措置そちを定さだめ、もって国民こくみんの生活せいかつの平穏へいおんを含ふくむ公共こうきょうの安全あんぜんの確保かくほに寄与きよすることにある。

日本にっぽん政府せいふが地下鉄ちかてつサリン事件じけん等ひとしの凶悪きょうあく事件じけんを起おこしたオウム真理教おうむしんりきょうに対たいして破壊はかい活動かつどう防止ぼうし法ほうの適用てきようを請求せいきゅうしたが、1997年ねん1月がつに公安こうあん審査しんさ委員いいん会かいにより請求せいきゅう棄却ききゃくとされ、既存きそんの法律ほうりつでは無む差別さべつテロを起おこしてなおも存続そんぞくし続つづける団体だんたいに対たいする法ほう規制きせいが実施じっしできない事態じたいとなった（オウム真理教おうむしんりきょう破壊はかい活動かつどう防止ぼうし法ほう問題もんだい）。そのため、破壊はかい活動かつどう防止ぼうし法ほうに代かわってオウム真理教おうむしんりきょうへの法ほう規制きせいを可能かのうとする治安ちあん立法りっぽうが必要ひつようとなり、無む差別さべつ大量たいりょう殺人さつじん行為こういを行おこなった団体だんたいの規制きせいに関かんする法律ほうりつ（団体だんたい規制きせい法ほう）が制定せいていされた。

1999年ねん（平成へいせい11年ねん）12月7日にちに公布こうふされ、同月どうげつ27日にちに施行しこうされた。下位かい法令ほうれいには、同どう法ほう施行しこう令れい（平成へいせい11年ねん政令せいれい第だい403号ごう）、同どう法ほう施行しこう規則きそく（平成へいせい11年ねん法務省ほうむしょう令れい第だい46号ごう）がある。

適用てきよう対象たいしょう

現在げんざいまでにこの法律ほうりつの適用てきよう対象たいしょうとなっている団体だんたいは、オウム真理教おうむしんりきょう及およびその後継こうけい団体だんたい（Aleph）および分派ぶんぱ団体だんたい（ひかりの輪わ、山田やまだらの集団しゅうだん）である。なお同おなじオウム真理教おうむしんりきょうの後継こうけい団体だんたいでもケロヨンクラブは適用てきよう対象たいしょうとなっていない。

本法ほんぽう1条じょうは、「団体だんたいの活動かつどうとして役職やくしょく員いん又または構成こうせい員いんが、例たとえばサリンを使用しようするなどして、無む差別さべつ大量たいりょう殺人さつじん行為こういを行おこなった団体だんたい」とする。また、観察かんさつ処分しょぶんの対象たいしょうにつき、2条じょう1項こうは、その団体だんたいの役職やくしょく員いん又または構成こうせい員いんが当該とうがい団体だんたいの活動かつどうとして無む差別さべつ大量たいりょう殺人さつじん行為こういを行おこなった団体だんたいが次つぎのいずれかに該当がいとうし、その活動かつどう状じょう況きょうを継続けいぞくして明あきらかにする必要ひつようがあると認みとめられる場合ばあいとする。

1. 当該とうがい無差別むさべつ大量たいりょう殺人さつじん行為こういの首謀しゅぼう者しゃが当該とうがい団体だんたいの活動かつどうに影響えいきょう力りょくを有ゆうしていること
2. 当該とうがい無差別むさべつ大量たいりょう殺人さつじん行為こういに関与かんよした者ものの全部ぜんぶ又または一部いちぶが当該とうがい団体だんたいの役職やくしょく員いん又または構成こうせい員いんであること
3. 当該とうがい無差別むさべつ大量たいりょう殺人さつじん行為こういが行おこなわれた時ときに当該とうがい団体だんたいの役員やくいん（団体だんたいの意思いし決定けっていに関与かんよし得える者ものであって、当該とうがい団体だんたいの事務じむに従事じゅうじするものをいう）であった者ものの全部ぜんぶ又または一部いちぶが当該とうがい団体だんたいの役員やくいんであること
4. 当該とうがい団体だんたいが殺人さつじんを明示めいじ的てきに又または暗示あんじ的てきに勧すすめる綱領こうりょうを保持ほじしていること
5. 前ぜん各号かくごうに掲かかげるもののほか、当該とうがい団体だんたいに無む差別さべつ大量たいりょう殺人さつじん行為こういに及およぶ危険きけん性せいがあると認みとめるに足たりる事実じじつがあること

これらから、公安調査庁こうあんちょうさちょうは、オウム真理教おうむしんりきょうの後継こうけい団体だんたいは、組織そしき名めいを変かえても「オウム真理教おうむしんりきょう」として扱あつかうことが分わかる。報道ほうどうもそれに従したがう。

なお、この法律ほうりつでいう「無む差別さべつ大量たいりょう殺人さつじん行為こうい」とは、政治せいじ上じょうの主義しゅぎ若もしくは施策しさくを推進すいしんし、支持しじし、又またはこれに反対はんたいする目的もくてきをもって殺人さつじん罪ざいに該当がいとうする行為こういをなすことであって、不ふ特定とくていかつ多数たすうの者ものを殺害さつがいし、又またはその実行じっこうに着手ちゃくしゅしてこれを遂とげないものをいう。ただし、1989年ねん12月27日にち以前いぜんにその行為こういが終おわっているものは除のぞく。

観察かんさつ処分しょぶんを受うけた団体だんたいは、処分しょぶん時じ及および処分しょぶん後ご3ヶ月かげつごとに役職やくしょく員いん、活動かつどうの用ように供きょうしている土地とち建物たてもの、資産しさん負債ふさい、活動かつどう状じょう況きょうその他た公安こうあん審査しんさ委員いいん会かいが特とくに必要ひつようと認みとめた事項じこうについて公安調査庁こうあんちょうさちょう長官ちょうかんに報告ほうこく義務ぎむがあり、公安こうあん調査官ちょうさかんは立入検査たちいりけんさすることができる。なお、期間きかんは最長さいちょう3年ねんで、更新こうしんが可能かのうである。

さらに、再発さいはつ防止ぼうし処分しょぶんとして、一定いっていの要件ようけんを満みたす場合ばあいに、最長さいちょう6月がつ間あいだ、土地とち建物たてものの新規しんき取得しゅとくや新規しんき借入かりいれの禁止きんし、土地とち建物たてものの使用しよう禁止きんし、当該とうがい無差別むさべつ大量たいりょう殺人さつじん行為こういの関与かんよ者しゃ等とうの団体だんたい施設しせつでの従事じゅうじ禁止きんし、団体だんたいへの勧誘かんゆう強要きょうようや脱退だったい妨害ぼうがい禁止きんし、寄付きふ受領じゅりょう禁止きんしの処分しょぶんを講こうじることも可能かのうである。処分しょぶんに従したがわない場合ばあいは2年ねん以下いかの懲役ちょうえきまたは100万まん円えん以下いかの罰金ばっきんの刑事けいじ罰ばつが規定きていされている。なお、同どう法ほうは破壊はかい活動かつどう防止ぼうし法ほうのような対象たいしょう団体だんたいへの解散かいさん命令めいれいはない。

再発さいはつ防止ぼうし処分しょぶん例れい

• 2023年ねん1月がつに公安調査庁こうあんちょうさちょうはAlephは収益しゅうえき事業じぎょうで得えた資産しさんなどの報告ほうこくを適切てきせつに行おこなわなかったとして、再発さいはつ防止ぼうし処分しょぶんを公安こうあん審査しんさ委員いいん会かいに請求せいきゅう。同年どうねん2月がつに公安こうあん審査しんさ委員いいん会かいはAlephへの意見いけん聴取ちょうしゅを実施じっししたものの、Aleph側がわは出頭しゅっとうせず、陳述ちんじゅつ書しょ等とうも提出ていしゅつしなかった。2023年ねん3月がつ13日にちに公安こうあん審査しんさ委員いいん会かいはAlephに対たいして初はじめて同どう法ほうに基もとづき、同年どうねん3月がつ21日にちから6ヶ月かげつ間あいだの寄付きふ受領じゅりょうや13施設しせつの一部いちぶや全部ぜんぶの使用しようを使用しよう禁止きんしとする再発さいはつ防止ぼうし処分しょぶんを決定けっていした。

構成こうせい

• 第だい一いち章しょう 総則そうそく（1 - 4条じょう）
• 第だい二に章しょう 規制きせい措置そち（5 - 11条じょう）
• 第だい三さん章しょう 規制きせい措置そちの手続てつづき（12 - 28条じょう）
• 第だい四よん章しょう 調査ちょうさ（29・30条じょう）
• 第だい五ご章しょう 雑則ざっそく（31 - 37条じょう）
• 第だい六ろく章しょう 罰則ばっそく（38 - 43条じょう）
• 附則ふそく

関連かんれん項目こうもく

• 破壊はかい活動かつどう防止ぼうし法ほう
• 思想しそう犯はん保護ほご観察かんさつ法ほう
• 足立あだち区く反はん社会しゃかい的てき団体だんたいの規制きせいに関かんする条例じょうれい