岐部きべ哲也てつや

オウム真理教おうむしんりきょう徒と

岐部きべ 哲也てつや
誕生たんじょう	(1955-05-12) 1955年ねん5月12日にち（69歳さい） 大分おおいた県けん国東くにさき市し
ホーリーネーム	マハーカッサパ
ステージ	正せい悟さとる師し
教団きょうだんでの役職やくしょく	防衛庁ぼうえいちょう長官ちょうかん
入信にゅうしん	1986年ねん
関係かんけいした事件じけん	建造けんぞう物ぶつ侵入しんにゅう
判決はんけつ	懲役ちょうえき1年ねん

岐部きべ 哲也てつや（きべ てつや、1955年ねん5月12日にち - ）は、オウム真理教おうむしんりきょうの元もと幹部かんぶ。ホーリーネームはマハーカッサパ。大分おおいた県けん出身しゅっしん。省庁しょうちょう制せいが採用さいようされた後のちは「防衛庁ぼうえいちょう長官ちょうかん」となる。教団きょうだん内ないでのステージは師長もろながだったが、地下鉄ちかてつサリン事件じけん3日にち前まえの尊師そんし通達つうたつで正せい悟さとる師しに昇格しょうかくした。

来歴らいれき

1955年ねん5月12日にち、大分おおいた県けんに生うまれる。実家じっかは旧家きゅうかで、祖父そふは県けん会かい議長ぎちょうなど歴任れきにんした郷里きょうりの名士めいし。父親ちちおやも地元じもとの区長くちょうや神社じんじゃ総代そうだいを務つとめた。1974年ねん3月がつ、大分おおいた県立けんりつ大分おおいた舞鶴まいづる高等こうとう学校がっこうを卒業そつぎょう。絵描えかきを志望しぼうし、上京じょうきょうして東京藝術大学とうきょうげいじゅつだいがく進学しんがくを目指めざすが受験じゅけんに3度ど失敗しっぱいする。自立じりつ心しんが強つよく「とにかく親おやに面倒めんどうを見みてもらいたくない」という気持きもちから、浪人ろうにん中ちゅうは住すみ込こみで新聞しんぶん配達はいたつをして奨学しょうがく金きんを受うけながら予備校よびこうに通かよっていた。1979年ねん4月がつ、阿佐ヶ谷あさがや美術びじゅつ専門せんもん学校がっこうビジュアルデザイン科かに入学にゅうがく。1982年ねん、専門せんもん学校がっこうを卒業そつぎょう後ご、コンテンポラリー・プロダクションに入社にゅうしゃ。グラフィックデザイナーとして、一流いちりゅうミュージシャンのレコードジャケットや広告こうこく、ポスターを数多かずおおく制作せいさくする。松任谷まつとうや由実ゆみのアルバム『ALARM à la mode』や手塚てづか治虫おさむの『火ひの鳥とり』の装丁そうていなども手掛てがけた。デザイナーとして一線いっせんで活躍かつやくし、金銭きんせん的てきな面めんでも何なんの不満ふまんもない生活せいかつを送おくっていたが、ポスターでも広告こうこくでも雑誌ざっしでも本ほんでも「所詮しょせんは有効ゆうこう期限きげんのある紙切かみきれ」と思おもい、虚むなしさを感かんじていた。

オウム真理教おうむしんりきょう

入信にゅうしん

学生がくせい時代じだいから交際こうさいしていた恋人こいびとが『オウム神仙しんせんの会かい』のヨガ道場どうじょうに通かよいはじめ、その後ご入信にゅうしんする。恋人こいびとを脱会だっかいさせようと道場どうじょうに同伴どうはんし信者しんじゃらと接せっするうちに岐部きべ自身じしんも傾倒けいとうしていった。

1986年ねん9月、恋人こいびとに勧すすめられて『オウム神仙しんせんの会かい』に入信にゅうしん。デザイン会社かいしゃの同僚どうりょうには「やがて地球ちきゅう滅亡めつぼうの日ひが来くる。その時ときに備そなえて世界せかいに超ちょう能力のうりょく者しゃを育そだてているんだ」と語かたった。

1987年ねん1月がつ、セミナーにて初はじめて麻原あさはら彰晃しょうこうと対面たいめん。麻原あさはらが掲かかげた3つの救済きゅうさい(①人々ひとびとを病苦びょうくから解放かいほうする、②この世よの幸福こうふくをもたらす、③悟さとり・解脱げだつへと導みちびく)に感銘かんめいを受うける。ほどなくして、『ボーディーサットヴァの会かい』の前身ぜんしんである青年せいねん部ぶに参加さんかし、その活動かつどうに没頭ぼっとうしていった。

1987年ねん6月がつ、グラフィックデザイナーの道みちを捨すて出家しゅっけ。出家しゅっけ番号ばんごうは19。

入信にゅうしん後ごは教団きょうだん出版しゅっぱん物ぶつの装丁そうていなどデザイン関係かんけいを担当たんとうする。教団きょうだんのアニメーション制作せいさくにも携たずさわった。カメラマンとしても優すぐれており、麻原あさはらの空中くうちゅう浮揚ふよう写真しゃしんは岐部きべが撮影さつえいしたもの。

1988年ねん10月がつ20日はつか、麻原あさはらにより『クンダリニー・ヨーガ』を成就じょうじゅしたと認定にんてい。マハーカッサパのホーリーネームを授さずかる。

水戸みと支部しぶ長ちょうに就任しゅうにん。土谷つちたに正実まさみの指導しどうを担当たんとうする。

第だい39回かい衆議院しゅうぎいん議員ぎいん総そう選挙せんきょ

1990年ねん2月がつ3日にち、第だい39回かい衆議院しゅうぎいん議員ぎいん総そう選挙せんきょに真理しんり党とう公認こうにんで当時とうじの旧きゅう東京とうきょう10区くから立候補りっこうほ。得票とくひょう数すう139票ひょうで落選らくせん。

この際さい、オウムとしては珍めずらしく選挙せんきょに立候補りっこうほするかどうかを幹部かんぶによる多数決たすうけつで決きめることとなった。結果けっかは10:2で賛成さんせい派はが勝利しょうり、反対はんたいしたのは上祐じょうゆう史浩ふみひろと岐部きべの2人ふたりだった。

岐部きべはこの頃ころから教団きょうだんの変化へんかに「違和感いわかん」を覚おぼえ始はじめたという。「祖父そふが政治せいじ家かで、ドロドロしたところを嫌悪けんおしてきたので、教団きょうだんがそういう俗ぞくの世界せかいに入はいることに反対はんたいだった」、岐部きべは教団きょうだんの宗教しゅうきょう法人ほうじん申請しんせいにも反対はんたいしていた。

選挙せんきょ後ごは、福岡ふくおか支部しぶ長ちょうや東京とうきょう本部ほんぶ長ちょうをつとめ、信者しんじゃ拡大かくだいなどの活動かつどうを指揮しきした。

裏うらワーク

麻原あさはらは教団きょうだんが保有ほゆうするMi-17ヘリコプターでサリン噴霧ふんむなどのテロを行おこなうことを構想こうそうしており、岐部きべはアメリカに派遣はけんされヘリコプターの免許めんきょを取得しゅとく。また、ラジコンヘリの操縦そうじゅうも任まかされたが、実機じっきとのレバー操作そうさの違ちがいに戸惑とまどい、訓練くんれん中ちゅうに大破たいはさせてしまった。これに激怒げきどした村井むらい秀夫ひでおによって、事実じじつ上じょうの降格こうかく処分しょぶんを受うける。

1994年ねん6月がつ、防衛庁ぼうえいちょう長官ちょうかんに任命にんめいされる。

『防衛庁ぼうえいちょう』の表向おもてむきの仕事しごとは”毒どくガス攻撃こうげき”を防ふせぐ目的もくてきで全国ぜんこくの教団きょうだん施設しせつに設置せっちされていた空気くうき清浄せいじょう機き「コスモクリーナー」の保守ほしゅ・管理かんりだったが、裏うらでは屈強くっきょうな男性だんせい信者しんじゃを従したがえ教祖きょうその護衛ごえいを務つとめる『親衛隊しんえいたい』の役割やくわりを担になった。

逮捕たいほ

1995年ねん4月がつ6日にち午前ごぜん1時じごろ、東京とうきょう都と港みなと区く赤坂あかさかのマンション地下ちか駐車ちゅうしゃ場じょうに乗用車じょうようしゃを乗のり入いれ、近ちかくに立たっていたところを、「駐車ちゅうしゃ場じょうに不審ふしんな3人組にんぐみがいる」という通報つうほうで駆かけ付つけた署員しょいんに建造けんぞう物ぶつ侵入しんにゅう罪ざいで2人ふたりの信者しんじゃと共ともに現行げんこう犯はん逮捕たいほされた。岐部きべは教団きょうだん最高さいこう幹部かんぶの中なかで最初さいしょの逮捕たいほ者しゃとなった。

車内しゃないからは、座席ざせきに置おかれた箱はこの中なかに直径ちょっけい1.5cm、長ながさ20cmの銃身じゅうしんのような物ものと、引ひき金がねのような物ものが見みつかる。都内とないなどに隠かくしていた銃器じゅうき部品ぶひんを上九一色かみくいしき村むらの教団きょうだん施設しせつに移うつすため、車くるまへ積つみ替かえる作業さぎょう中ちゅうだった。

逮捕たいほされた際さい、岐部きべが所持しょじしていた手帳てちょうには「核弾頭かくだんとう いくらか」と書かかれており”核弾頭かくだんとう”の部分ぶぶんに丸まるで印しるしが付つけられていた。また、ロシア製せいの戦車せんしゃT72について「中古ちゅうこ20万まんドル－30万まんドル」「新品しんぴんだと100万まんドル」など、核兵器かくへいきや戦車せんしゃの価格かかく調査ちょうさをしていたとみられる記述きじゅつや、「船ふね、兵士へいし200人にん、貨物かもつ室しつ、ベッドを積つめば可か」等とう、兵士へいしの輸送ゆそう方法ほうほうについて検討けんとうしていたとも取とれるメモもあった。

逮捕たいほ後ごはほぼ黙秘もくひし、捜査そうさ官かんが調書ちょうしょを取とろうとすると「これは取とり調しらべですね」と言いって、椅子いすの上うえで足あしを組くみ瞑想めいそうを続つづける態度たいどを20日はつか以上いじょう貫つらぬいた。

1995年ねん4月がつ27日にち、「被告人ひこくにんらは、共謀きょうぼうのうえ車両しゃりょうに隠匿いんとくしていた小銃しょうじゅう部品ぶひんをほかの車両しゃりょうに積つみ替かえ、さらに隠匿いんとくする目的もくてきで4月がつ6日にち午前ごぜん0時じから1時じまでのあいだ、東京とうきょう都と港みなと区く赤坂あかさか所在しょざいの建物たてもの内ないにみだりに入はいり、もって、ゆえなく、他人たにんの建造けんぞう物ぶつに侵入しんにゅうしたものである」として、東京とうきょう地検ちけんにより起訴きそされた。

裁判さいばん

1995年ねん9月14日にち、東京とうきょう地裁ちさいにて初はつ公判こうはんが開ひらかれる。岐部きべは白しろいトレーナーの下したにグレーのシャツ、ベージュのズボン姿すがたで出廷しゅっていした。職業しょくぎょうを問とわれると「出家しゅっけ修行しゅぎょう者しゃです」と答こたえ、公訴こうそ事実じじつに対たいしては「小銃しょうじゅうの部品ぶひんを隠かくしていたことが違法いほうというのであれば有罪ゆうざいを認みとめる。しかし、世界せかい統一とういつ通商つうしょう産業さんぎょうが入居にゅうきょしているビルの駐車ちゅうしゃ場じょうを使つかったことが建造けんぞう物ぶつ浸入しんにゅうにあたるというのは甚はなはだしいこじつけである」 として無罪むざいを主張しゅちょうした 。

1995年ねん9月がつ20日はつか、初はつ公判こうはんを終おえた後のちに書かいたという上申じょうしん書しょを裁判所さいばんしょに提出ていしゅつ。

私わたしは素直すなおな気持きもちとして、オウム真理教おうむしんりきょうを脱会だっかいするつもりでおります。公判こうはんにおいて、その気持きもちを話はなさなかったのは傍聴ぼうちょう席せきにいたであろうオウムの関係かんけい者しゃ、マスコミの方々かたがたにそのことを知しられたくなかったからです。

オウムの仏教ぶっきょう的てき教義きょうぎや修行しゅぎょう体系たいけいをいまでも私わたしは正ただしいと思おもっており、それを教示きょうし指導しどうしていただいた麻原あさはら氏しに感謝かんしゃの念ねんは感かんじております。しかし、今回こんかいお騒さわがせした一連いちれんの事件じけんを生しょうじさせた原因げんいんは絶対ぜったいに取とり払はらわなければなりません。 教団きょうだん内ないには私わたしが指導しどうしたり面倒めんどうをみた出家しゅっけ修行しゅぎょう者しゃがかなり残のこっているので、教団きょうだんに戻もどって変質へんしつしてしまった「悪あく」の部分ぶぶんをその者ものたちに説明せつめいし、早はやく社会しゃかいに更正こうせいさせてやりたいと思おもっています。いまの教団きょうだんの上層じょうそう部ぶには、これらの事件じけんの真相しんそうを明あきらかにして体質たいしつを改善かいぜんしようという動うごきはなく、むしろ覆おおい隠かくそうとする傾向けいこうがあるからです。 もし私わたしが公開こうかいの法廷ほうていで脱会だっかいを表明ひょうめいすれば、二度にどとオウム真理教おうむしんりきょうに戻もどることができません。戻もどれなければ私わたしが意図いとしていることを実行じっこうできなくなってしまいます。私わたしとしては、なるべく早はやい時期じきに残のこっている者ものたちに説明せつめい・説得せっとくをしてやり、それから教団きょうだんを脱会だっかいしようと考かんがえています。

私わたしがオウム真理教おうむしんりきょうを脱会だっかいする決意けついをした最大さいだいの理由りゆうは、このような悪質あくしつな事件じけんを生しょうじさせたグル(麻原あさはら氏し)に仏教ぶっきょう・ヨガの師しとしての「信しん」を失うしなったからです。過去かこの恩おんは恩おんとしてありますが、悪わるいところは悪わるいところとして認識にんしきしなければならないと思おもいます。教団きょうだんの変質へんしつに気きづきながらも、麻原あさはら氏しを師しとしてあおいできた自分じぶんの愚おろかさにたいする自責じせきの念ねんと、師しの指示しじのもとに間違まちがった指導しどうをしてきた私わたしも幹部かんぶとしての責任せきにんを取とらねばならないのです。

以上いじょうのことが、私わたしの本心ほんしんを教団きょうだんやマスコミに気きづかれずに戻もどらなければならないという必要ひつよう性せいから、公判こうはんにおいて私わたしの気持きもちを正直しょうじきに述のべることのできなかった理由りゆうです。とにかく私わたしは、いったん教団きょうだんに戻もどり私わたしなりの努力どりょくをしたいと思おもっています。それが社会しゃかいにたいして私わたしの責任せきにんだと感かんじております。

1995年ねん10月12日にち、「被告人ひこくにんは教団きょうだんを脱会だっかいしたうえ、信者しんじゃらに教団きょうだんの問題もんだいを説明せつめいしていきたいと述のべるなど、ある程度ていどは反省はんせいの態度たいどもうかがえるが、その上申じょうしん書しょの内容ないようは、たぶんに抽象ちゅうしょう的てき・観念かんねん的てきであり、これらを通つうじても教団きょうだんの幹部かんぶとして、そもそも本件ほんけん犯行はんこうにおよんだ理由りゆうが明あきらかではなく自己じこの行為こういの社会しゃかい的てき責任せきにんを十分じゅうぶんに認識にんしきしているかは疑問ぎもんがある。本件ほんけんの重大じゅうだい性せいおよび被告人ひこくにんのはたした役割やくわりに照てらせば実刑じっけいに処しょするほかない」として、東京とうきょう地裁ちさい刑事けいじ1部ぶによって懲役ちょうえき1年ねんの実刑じっけい判決はんけつを受うけた。

建造けんぞう物ぶつ侵入しんにゅう行為こうい自体じたいは大おおきな実害じつがいをもたらしてはいない罪状ざいじょうで前科ぜんかのない者ものが執行しっこう猶予ゆうよが付つかずに実刑じっけい判決はんけつになるのは異例いれいであるが、密造みつぞうされた自動じどう小銃しょうじゅう部品ぶひんの隠匿いんとくという計画けいかくの悪質あくしつさと、部下ぶかの信者しんじゃを違法いほう行為こういに巻まき込こんだ幹部かんぶとしての責任せきにんを重おもく判断はんだんされたためであった。

1995年ねん10月27日にち、期間きかん内ないに控訴こうそ手続てつづきを取とらなかったため、懲役ちょうえき1年ねんの実刑じっけいが確定かくてい。一連いちれんのオウム事件じけんで立件りっけんされた者ものの中なかで初はじめて実刑じっけい判決はんけつが確定かくていした。

出所しゅっしょ後ご

1996年ねん7月がつ4日にち午前ごぜん5時じ30分ふんころ、府中ふちゅう刑務所けいむしょから刑期けいきを終おえ出所しゅっしょ。車くるまで刑務所けいむしょの門もんを出でて東北自動車道とうほくじどうしゃどうを北上ほくじょうし、身元みもと引受ひきうけ人じんとなった住職じゅうしょくのいる栃木とちぎ県けん芳賀はが郡ぐんの慈照寺じしょうじへ直行ちょっこうした。

この時とき、麻原あさはらの三さん女じょ・アーチャリー(当時とうじ13歳さい)を含ふくむオウム真理教おうむしんりきょうの信徒しんと8人にんが、午前ごぜん4時じころから刑務所けいむしょの前まえで出迎でむかえをしていた。しかし、マークしていた公安こうあん当局とうきょくが接触せっしょくを阻止そししたため、岐部きべが乗のった車くるまを追尾ついびし慈照寺じしょうじまで追おってくる。岐部きべは住職じゅうしょくを通つうじて「今後こんごも連絡れんらくは、受うけ付つけない。あなた方かたも、間違まちがったことをしてきたことを、認みとめる勇気ゆうきをもってほしい」と、脱会だっかい届とどけをオウム側がわに渡わたそうとしたが、アーチャリーが「マハー・カッサパの意思いしで書かいたとは信しんじられない。警察けいさつに洗脳せんのうされている」と言いって脱会だっかい届とどけの受うけ取とりを拒こばんだ。

慈照寺じしょうじでは社会しゃかい復帰ふっきのためのリハビリをしながら過すごし、以降いこう、四国しこくで家族かぞくと暮くらす。

警察庁けいさつちょう長官ちょうかん狙撃そげき事件じけん(不ふ起訴きそ)

2004年ねん7月がつ7日にち、警察庁けいさつちょう長官ちょうかん狙撃そげき事件じけんにおいて岐部きべに酷似こくじした人間にんげんが狙撃そげき犯はんの逃走とうそうルートとは反対はんたい方向ほうこうである警察けいさつ署しょの前まえを自転車じてんしゃで通とおったとする複数ふくすうの目撃もくげき証言しょうげんから、狙撃そげき役やくの逃走とうそうを支援しえんするダミー役やくを果はたしていた疑うたがいが強つよいと警察けいさつに判断はんだんされ、殺人さつじん未遂みすい容疑ようぎで逮捕たいほされたが否認ひにん。証拠しょうこ不十分ふじゅうぶんで7月がつ28日にちに釈放しゃくほうされ、9月17日にちに不ふ起訴きそとなった。

人物じんぶつ評ひょう

• 「おとなしい人ひと。修行しゅぎょう者しゃとしては意思いしの強つよさ、エネルギッシュなところが特徴とくちょう」－麻原あさはら彰晃しょうこう
• 「普段ふだんは非常ひじょうに温厚おんこうな方ほう。ただ、自分じぶんの守まもるべき者もののためには体からだを張はってでも守まもる。非常ひじょうにまじめ。自分じぶんの信念しんねんを貫つらぬき通とおす」－元もと信者しんじゃ
• 「律儀りちぎ」「素直すなおな性格せいかく」「責任せきにん感かんが強つよい」

その他た

• 「一生いっしょう聖者せいじゃのふりをすれば、聖者せいじゃなんだ」と、麻原あさはらが岐部きべの前まえでふと口くちにしたことがある。
• 1995年ねん10月12日にち、東京とうきょう地裁ちさいで開ひらかれた岐部きべの公判こうはんで初はじめてパソコンでの傍聴ぼうちょう券けん抽選ちゅうせんが実施じっしされた。裁判所さいばんしょ職員しょくいんが抽選ちゅうせん場じょうのパソコンを操作そうさすると、2分ふんほどで乱数らんすう計算けいさんで決きまった57の当選とうせん番号ばんごうがプリンターから打うち出だされた。

関連かんれん書籍しょせき

• 『オウム法廷ほうてい―グルのしもべたち〈上うえ〉』（朝日新聞社あさひしんぶんしゃ、1998年ねん）ISBN 9784022612236
• 佐さ木き隆三りゅうぞう『オウム法廷ほうてい連続れんぞく傍聴ぼうちょう記き2』（小学館しょうがくかん、1996年ねん）ISBN 9784093792226

関連かんれん項目こうもく

• オウム真理教おうむしんりきょう
• オウム真理教おうむしんりきょう事件じけん