菊地きくち直子なおこ

オウム真理教おうむしんりきょう徒と

菊地きくち 直子なおこ
誕生たんじょう	(1971-12-09) 1971年ねん12月9日にち（52歳さい） 埼玉さいたま県けん
ホーリーネーム	エーネッヤカ・ダーヴァナ・パンニャッター
ステージ	師し補ほ
教団きょうだんでの役職やくしょく	第だい二に厚生省こうせいしょう
入信にゅうしん	1989年ねん
関係かんけいした事件じけん	なし
判決はんけつ	無罪むざい（2015年ねん11月27日にち、検察けんさつが上告じょうこくするも最高裁さいこうさいは2017年ねん12月27日にちに上告じょうこく棄却ききゃく決定けってい）

菊地きくち 直子なおこ（きくち なおこ、1971年ねん〈昭和しょうわ46年ねん〉12月9日にち - ）は、日本にっぽんの著述ちょじゅつ家か、オウム真理教おうむしんりきょうの元もと信徒しんと。ホーリーネームはエーネッヤカ・ダーヴァナ・パンニャッターで、教団きょうだんが省庁しょうちょう制せいを採用さいようした後のちは「厚生省こうせいしょう」（分割ぶんかつ後ごは「第だい二に厚生省こうせいしょう」）に所属しょぞくした。オウム真理教おうむしんりきょう事件じけん被疑ひぎ者しゃの1人ひとりとして、警察庁けいさつちょうの特別とくべつ指名しめい手配てはい被疑ひぎ者しゃに指定していされ、長期間ちょうきかん逃亡とうぼうしていた。

概要がいよう

菊地きくちは地下鉄ちかてつサリン事件じけんに使つかわれたサリン製造せいぞうに、何なんらかの形かたちでかかわっていたとして逮捕たいほされたが、刑事けいじ裁判さいばんの過程かていで無関係むかんけいであることが明あきらかとなり、逮捕たいほ容疑ようぎであった地下鉄ちかてつサリン事件じけん、VX殺人さつじん事件じけんともに処分しょぶん保留ほりゅうで不ふ起訴きそになり、最後さいごに逮捕たいほされた東京とうきょう都庁とちょう小包こづつみ爆ばく弾だん事件じけんでは起訴きそされたものの、裁判さいばん員いん裁判さいばんの東京とうきょう地方裁判所ちほうさいばんしょでは殺人さつじん未遂みすいの幇助ほうじょ罪ざいで懲役ちょうえき5年ねんの判決はんけつが出でたが、東京とうきょう高等こうとう裁判所さいばんしょでは無罪むざいとなった。

その後ご、最高裁判所さいこうさいばんしょで最高さいこう検察庁けんさつちょうの上告じょうこくが棄却ききゃくされ、無罪むざいの確定かくてい判決はんけつ。一連いちれんのオウム真理教おうむしんりきょう事件じけんで起訴きそされた教団きょうだん関係かんけい者しゃ193人にんのうち無罪むざい判決はんけつを得えたのは、菊地きくちとピアニスト監禁かんきん事件じけんにおいて罪つみに問とわれた幹部かんぶの2人ふたりのみである。現在げんざいは、自身じしんのブログにおいて著述ちょじゅつ活動かつどうを行おこなっている。

来歴らいれき

埼玉さいたま県けんで出生しゅっしょう。父親ちちおやの仕事しごとの都合つごうで転居てんきょを繰くり返かえした後のちに大阪おおさか市しに居きょを定さだめ、菊地きくちは地元じもとの小学校しょうがっこうに通かよう。父ちちは大学だいがく教員きょういんで大変たいへん厳格げんかくであり教育きょういく熱心ねっしんな家庭かていであった。低てい学年がくねんからピアノを習ならい、外そと遊あそびをあまりしない子供こどもであった。当時とうじ倍率ばいりつ約やく10倍ばいの中学校ちゅうがっこうに入学にゅうがく、バスケットボール部ぶに所属しょぞく。優等生ゆうとうせいタイプで成績せいせきはトップクラス、真面目まじめでやさしく人望じんぼうが厚あつかった。高校こうこうでは陸上りくじょう部ぶに所属しょぞく。3000mで11分ふん23秒びょうの記録きろくを持もつ。校内こうないのマラソン大会たいかいでは常つねに大差たいさをつけて優勝ゆうしょう、地区ちく大会たいかいで上位じょうい入賞にゅうしょうを果はたしたこともある。

オウム真理教おうむしんりきょうとの出会であい

陸上りくじょう競技きょうぎで痛いためた足あしの治療ちりょうのためにヨガを始はじめたが、そのヨガ道場どうじょうがオウム真理教おうむしんりきょうの施設しせつだったというのがマスメディアの定説ていせつになっていた。しかし、2015年ねん8月がつの月刊げっかん『創そう』誌上しじょうでの手記しゅきでは、全まったく事実じじつとは異ことなると否定ひていしている。当時とうじ、両親りょうしんとの関係かんけいは非常ひじょうに悪わるかった。18歳さいの高校こうこう卒業そつぎょう後ご、1989年ねん12月27日にちに家族かぞくの反対はんたいを押おし切きり、オウム真理教おうむしんりきょうに入信にゅうしん。実家じっかには絶対ぜったいに戻もどりたくないと思おもっていた。きっかけは麻原あさはら彰晃しょうこうの著作ちょさくに触ふれ、その文中ぶんちゅうで指摘してきされる神秘しんぴ体験たいけんを経験けいけんしたことであった。教団きょうだんでいう「エネルギーの強つよいタイプ」で激はげしいダルドリィ・シッディ（蓮華れんげ座ざを組くんだ状態じょうたいで体からだが激はげしくはねる。教団きょうだんでは空中くうちゅう浮揚ふようの前ぜん段階だんかいとされていた）がよく起おきていた。「1997年ねんにハルマゲドンが勃発ぼっぱつし、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく軍ぐんによって日本にっぽんに核かく爆ばく弾だんが投下とうかされる瞬間しゅんかん、自分じぶん自身じしんとオウムの仲間なかまが地下ちかシェルターのようなところに潜ひそんでいる」という夢ゆめをよく見みたが、それを予知よち夢ゆめと信しんじていた。

1990年ねん4月がつに大阪教育大学おおさかきょういくだいがくの教育きょういく学部がくぶ障害しょうがい児じ教育きょういく課程かていに入学にゅうがく。大学だいがくには一いち度ども通学つうがくせず、同年どうねん4月がつ20日はつかより家出いえでをする。家出いえでは2度目どめで、1度目どめは親おやが雇やとった私立しりつ探偵たんていによって連つれ戻もどされている。また、2018年ねんに菊地きくち本人ほんにんのブログでなされた家出いえでについての回想かいそうでは、私立しりつ探偵たんていでなく2名めいの私服しふく警官けいかんが登場とうじょうし、警察けいさつ手帳てちょうを提示ていじし、警察けいさつ署しょに連行れんこうするなどが具体ぐたい的てきに述のべられている。そして、1990年ねん5月がつ19日にちにはオウム真理教おうむしんりきょうに出家しゅっけした。

出家しゅっけ後ご

最初さいしょに配属はいぞくされたのは山梨やまなし県けんの富士ふじ清流せいりゅう精舎しょうじゃで、1日にち15時じ間あいだくらいの修行しゅぎょうを1か月げつ間あいだ続つづける。この頃ころ「修行しゅぎょうがつらい」と出家しゅっけから知しり合あっていた男性だんせい信者しんじゃにもらす。8月には修行しゅぎょう施設しせつとしての受うけ入いれ体勢たいせいが整ととのった熊本くまもと県けん阿蘇あそ郡ぐん波野なみの村むら（現在げんざいの阿蘇あそ市し波野なみの地区ちく）へ行いく。CBI（Cosmic Building Institute）とよばれる建築けんちく班はんのワークを行おこなっていたが、当時とうじは下向げこう（在家ありいえ信徒しんとに戻もどること）をするかどうか迷まよっていた。1990年ねんの終おわり頃ころには、我わが子こを捨すてて修行しゅぎょうに勤いそしむ信者しんじゃの子供こどもを教育きょういくする「子供こども班はん」に配属はいぞくされるが、このワークは菊地きくちには非常ひじょうなストレスだったようで「帰かえりたい」としばしば口くちにするようになる。1991年ねん6月がつには前述ぜんじゅつの男性だんせい信者しんじゃが下向げこうしてしまう。

1991年ねん夏なつには教団きょうだんに陸上りくじょう部ぶが発足ほっそく。きっかけは中沢なかざわ新一しんいちの『チベットのモーツァルト』の中なかに「風ふうの卵たまごをめぐって」という章あきらがあり、そこに「風ふうの行者ぎょうじゃ」というチベットの行者ぎょうじゃが紹介しょうかいされていたことにもとづく。「風ふうの行者ぎょうじゃ」は、瞑想めいそうしながら神秘しんぴ的てきな「風ふう」（ルン）の力ちからを伴ともない凄すさまじい速度そくどで高原こうげんを駆かけ抜ぬけていく。オウムでは「修行しゅぎょうをすればこうした境地きょうちに到達とうたつでき、世界せかい記録きろく達成たっせいも可能かのう」と考かんがえられていた。

9月には東京とうきょう陸上りくじょう競技きょうぎ協会きょうかいに加盟かめい申請しんせいするが「宗教しゅうきょう活動かつどうされては困こまる」と断ことわられたことからオウム真理教おうむしんりきょうではなく「オウム・スポーツクラブ」として加盟かめいを認みとめられた。陸上りくじょう部ぶは教団きょうだん内ないでは世界せかい記録きろく達成たっせい部ぶとよばれていた。

菊地きくちは同年どうねん11月がつの河口湖かわぐちこマラソン（3時じ間あいだ23分ふん3秒びょう、完走かんそう75人にん中ちゅう24位い）を皮切かわきりに1992年ねん（平成へいせい4年ねん）東京とうきょう国際こくさい女子じょしマラソン（途中とちゅう棄権きけん）、1994年ねん（平成へいせい6年ねん）大阪おおさか国際こくさい女子じょしマラソン（3時じ間あいだ7分ふん40秒びょう、自己じこベスト記録きろく、127位い）にオウム真理教おうむしんりきょう陸上りくじょう競技きょうぎ部ぶとして出場しゅつじょうし、一部いちぶ週刊しゅうかん誌しに取とり上あげられた経歴けいれきを持もつ。また、1995年ねん4月がつ19日にち - 4月がつ25日にちの5回かいにわたり、山梨やまなし県けん西八代にしやつしろ郡ぐん上九一色かみくいしき村むらの施設しせつから東京とうきょう都と八王子はちおうじ市しのアジトに爆発ばくはつ物ぶつの原料げんりょうとなる薬品やくひん類るいの運搬うんぱん役やくをしたとされ（東京とうきょう都庁とちょう小包こづつみ爆ばく弾だん事件じけん）、ここからマスメディアにより『走はしる爆ばく弾だん娘むすめ』の異名いみょうを付つけられる（なお、後述こうじゅつするとおり第だい1審しん判決はんけつにおいては、爆発ばくはつ物ぶつの原料げんりょうを運はこんでいるという認識にんしきがなかったとして爆発ばくはつ物ぶつ取締とりしまり罰則ばっそく違反いはん罪ざいの成立せいりつは認みとめられていない）。

特別とくべつ指名しめい手配てはい後ご

地下鉄ちかてつサリン事件じけんにおいて土谷つちたに正実まさみが中心ちゅうしんとなったサリン製造せいぞうプロジェクトに関与かんよした殺人さつじん及および殺人さつじん未遂みすいの容疑ようぎで警察けいさつから特別とくべつ指名しめい手配てはいされていた。

1995年ねん6月がつ頃ごろには、千葉ちば県けん市川いちかわ市しのアパートに林はやし泰男やすおらと潜伏せんぷく、11月までに名古屋なごや市し、京都きょうと市しなどを林はやしらと共ともに転々てんてんとし、1996年ねん11月には埼玉さいたま県けん所沢ところざわ市しのマンションに高橋たかはし克也かつや、北村きたむら浩一こういちら他たの特別とくべつ手配てはい信徒しんとと5人にんで潜伏せんぷくしていた。1996年ねん11月がつ以降いこうは足取あしどりが途絶とだえ、後述こうじゅつのように「海外かいがい逃亡とうぼう説せつ」もあったが、1997年ねん以降いこうは高橋たかはしと神奈川かながわ県けん川崎かわさき市しのアパートに潜伏せんぷく、2007年ねん3月がつからは後述こうじゅつする教団きょうだん外がいの男性だんせいと共ともに暮くらしていた。偽名ぎめいは「櫻井さくらい千鶴子ちづこ」（さくらいちづこ）。

逮捕たいほ

2012年ねん（平成へいせい24年ねん）6月がつ3日にち、「菊地きくちに似にている女おんなを見みかけた」との目撃もくげき情報じょうほうが警視庁けいしちょうに寄よせられ、それを受うけて警視庁けいしちょう捜査そうさ一いち課かが、担当たんとう刑事けいじを神奈川かながわ県けん相模原さがみはら市し緑みどり区くの潜伏せんぷく先さきに派遣はけんし、張はり込こみを行おこなった結果けっか、潜伏せんぷく先さきの住宅じゅうたくに女おんなが帰宅きたくしたのを確認かくにんして、任意にんい同行どうこうを求もとめた。

その時点じてんでは、捜査そうさ員いんが菊地きくちであると確信かくしん出来できなかったことから、霞かすみが関せきの警視庁けいしちょうへの身柄みがら送致そうちが行おこなわれた後のち、捜査そうさ官かんが照合しょうごう作業さぎょうを行おこなった結果けっか、女性じょせいが菊地きくち本人ほんにんであると確認かくにんし、警視庁けいしちょうが殺人さつじん及および殺人さつじん未遂みすい容疑ようぎで、菊地きくちに対たいする逮捕たいほ状じょうを執行しっこうし、通常つうじょう逮捕たいほを行おこなった。

地下鉄ちかてつサリン事件じけんでは処分しょぶん保留ほりゅうとなり、6月24日にちに3件けんのVX事件じけんで殺人さつじん及および殺人さつじん未遂みすいで再さい逮捕たいほ。3件けんのVX事件じけんも処分しょぶん保留ほりゅうとなり、7月がつ15日にちに東京とうきょう都庁とちょう小包こづつみ爆ばく弾だん事件じけんでの殺人さつじん未遂みすいと爆発ばくはつ物ぶつ取締とりしまり罰則ばっそく違反いはん容疑ようぎで再さい逮捕たいほした。

逮捕たいほ後ご、警察けいさつでは暴力ぼうりょくを振ふるわれ、嘘うその自白じはくをさせられると考かんがえていたところ、取調とりしらべ官かんが意外いがいに紳士しんし的てきであったことから、「こちらのい分いぶんもちゃんと聞きいてくれるんだ」と思おもったが、その後ご地下鉄ちかてつサリン事件じけんの件けんになると、それまで穏便おんびんだった取調とりしらべ官かんが、態度たいどを豹変ひょうへんさせ怒声どせいを浴あびせ、冷徹れいてつな目めで睨にらみつけた。少すこしでもわかってもらえるかと期待きたいし、取調とりしらべ官かんに対たいし心しんを開ひらきかけたことを後悔こうかいし、「『何なにも話はなしていない』と言いうなら、もう本当ほんとうに話はなしません」と言いい、その後ご2度どと話はなすことはなかった。

サリン事件じけんについて「当時とうじは何なにを作つくっていたか知しらなかった」、VX事件じけんについて「事件じけんにかかわったかどうかわからない」と容疑ようぎを一部いちぶ否認ひにんし、東京とうきょう都庁とちょう小包こづつみ爆ばく弾だん事件じけんでは黙秘もくひをした。サリン事件じけんとVX事件じけんについては、不ふ起訴きそ処分しょぶんとなった。

なお、菊地きくちの逮捕たいほ直後ちょくごに土谷つちたに正実まさみの刑事けいじ裁判さいばんでの検察けんさつ側がわ冒頭ぼうとう陳述ちんじゅつは菊地きくち直子なおこが麻酔ますい剤ざい「チオペンタール」や覚醒剤かくせいざいの密造みつぞうに関与かんよしていたと報道ほうどうされたが、麻原あさはら彰晃しょうこうの裁判さいばんの審理しんり促進そくしんを目的もくてきとして2000年ねん10月がつに薬物やくぶつ密造みつぞう事件じけんの公訴こうそ取とり消けしをしていた経緯けいいから、菊地きくちは薬物やくぶつ密造みつぞう事件じけんでは起訴きそされなかった。

のち、2015年ねん8月がつ号ごう月刊げっかん『創そう』において、2012年ねん6月がつ3日にちの逮捕たいほ直後ちょくごに菊地きくちは国選こくせん弁護人べんごにんから、過去かこのオウム裁判さいばんの記録きろく中ちゅうには菊地きくちの名ながほとんど上あがっておらず、サリン生成せいせいには関与かんよしていないのではないかと言いわれ、指名しめい手配てはいで逃亡とうぼうしているうちに、自分じぶん自身じしんが何なんらかの形かたちでサリン生成せいせいに関与かんよしてしまったのではないかと思おもい込こみ、17年間ねんかん逃亡とうぼうしていたが、この弁護士べんごしにそう言いわれ「何なにがサリンと関係かんけいしていたのかが分わからなくて当あたり前まえだったんだ」と思おもうようになったと述のべている。

また、地下鉄ちかてつサリン事件じけん直後ちょくご、教団きょうだんへの強制きょうせい捜査そうさが迫せまったため、林はやし泰男やすおと逃亡とうぼうしたとか東京とうきょう都と八王子はちおうじ市しのマンションに潜伏せんぷくしていたなどの報道ほうどうがあったが、当時とうじ、強制きょうせい捜査そうさの行おこなわれている山梨やまなし県けん西八代にしやつしろ郡ぐん上九一色かみくいしき村むらにある、オウム真理教おうむしんりきょうの施設しせつ内ないで通常つうじょうの生活せいかつをしていたため、それらは正ただしくないと否定ひていしている。

実際じっさいに林はやしらとの逃亡とうぼうが始はじまったのは、逮捕たいほ状じょうが出でた直後ちょくごの5月がつ18日にちで、その前日ぜんじつに中川なかがわ智正ともまさから「都心としんのマンションに行いくよう」指示しじされ、翌よく18日にちに当とうマンションにて、ほとんど面識めんしきもなかった林はやしと合流ごうりゅうし、17年間ねんかんの逃亡とうぼう生活せいかつが始はじまったと告白こくはくしている。

マスメディアで「走はしる爆ばく弾だん娘むすめ」の異名いみょうで呼よばれていたことに関かんしては、地下鉄ちかてつサリン事件じけんで指名しめい手配てはい同様どうように寝耳ねみみに水みずであり、中川なかがわに依頼いらいされて、八王子はちおうじ市しのマンションに薬品やくひんを運はこんだ事実じじつがあったが、それが爆ばく弾だんの原材料げんざいりょうとして使つかわれたらしいことに、この時とき初はじめて気きが付ついたという。

同居どうきょ男おとこ

2007年ねん3月がつから2012年ねん6月がつまで菊地きくちを匿かくまっていた同居どうきょ男おとこも、犯人はんにん蔵匿ぞうとく罪ざいで逮捕たいほされた。同居どうきょ男おとこは一いち審しん裁判さいばん中なかに保釈ほしゃくされ、2012年ねん11月22日にちに懲役ちょうえき1年ねん6か月げつ・執行しっこう猶予ゆうよ5年ねんの有罪ゆうざい判決はんけつが出でた。なお、菊池きくちは結果けっか的てきに無罪むざいとなったが、この場合ばあいでも犯人はんにん蔵匿ぞうとく罪ざいは成立せいりつしており同居どうきょ男おとこは無罪むざいとならない。

菊地きくちに関かんする目撃もくげき証言しょうげんを警察けいさつに提供ていきょうしたのは「同居どうきょ男おとこの親族しんぞく」であり、2012年ねん3月がつに健康けんこう保険ほけん証しょうのない菊地きくちが将来しょうらい病気びょうきになった時ときの対応たいおうについて、同居どうきょ男おとこが親族しんぞくに相談そうだんしたことが、6月の警察けいさつ通報つうほうの端緒たんしょとなった。

菊地きくち及および同居どうきょ男おとこの証言しょうげんから、最後さいごのオウム逃亡とうぼう犯はんである高橋たかはし克也かつやに関かんする証言しょうげんが得えられ、高橋たかはしは2012年ねん6月がつ15日にちに、東京とうきょう都と大田おおた区く蒲田かまたで逮捕たいほされた。

裁判さいばん

一いち審しん

2012年ねん8月がつ6日にちに東京とうきょう都庁とちょう小包こづつみ爆ばく弾だん事件じけんにおける殺人さつじん未遂みすい罪ざいと爆発ばくはつ物ぶつ取締とりしまり罰則ばっそく違反いはんの各かく幇助ほうじょ罪ざいで起訴きそされた。裁判さいばん員いん裁判さいばんの初はつ公判こうはんが2014年ねん5月がつ8日にちに東京とうきょう地方裁判所ちほうさいばんしょ（杉山すぎやま愼まき治おさむ裁判さいばん長ちょう）で行おこなわれた。

同年どうねん6月がつ30日にちの判決はんけつ公判こうはんで同どう裁判所さいばんしょは「劇げき物ぶつなどと記しるされた薬品やくひんを運はこんでおり、薬品やくひんで危険きけんな化合かごう物ぶつが作つくられることを容易よういに想像そうぞうできた」「（教団きょうだん施設しせつへの強制きょうせい捜査そうさなどから）教団きょうだんが追おい詰つめられている状況じょうきょうにあり、教団きょうだんが人ひとの殺傷さっしょうを含ふくむ活動かつどうをしようとしていると認識にんしきしていた」として殺人さつじん未遂みすい幇助ほうじょ罪ざいの成立せいりつは認みとめたものの、「爆発ばくはつ物ぶつがつくられるとまでの認識にんしきはなかった」として爆発ばくはつ物ぶつ取締とりしまり罰則ばっそく違反いはん幇助ほうじょ罪ざいの成立せいりつを認みとめず、懲役ちょうえき5年ねん（求刑きゅうけい懲役ちょうえき7年ねん）の判決はんけつをい渡いわたした。即日そくじつ、判決はんけつを不服ふふくとして東京とうきょう高等こうとう裁判所さいばんしょに控訴こうそした。

控訴こうそ審しん

2015年ねん（平成へいせい27年ねん）5月がつ13日にちに控訴こうそ審しんがはじまり、改あらためて無罪むざいを主張しゅちょう。11月27日にち、東京とうきょう高等こうとう裁判所さいばんしょ（大島おおしま隆明たかあき裁判さいばん長ちょう）から無罪むざい判決はんけつを受うけ、東京とうきょう拘置こうち所しょから釈放しゃくほうされた。

この無罪むざい判決はんけつについては、「不合理ふごうりではないか」「いや、極きわめて真まっ当とうだ」と、メディアの評価ひょうかは分わかれた。裁判さいばん員いん裁判さいばんの存在そんざい意義いぎにまで議論ぎろんが及およんだほか、産経新聞さんけいしんぶんだけは無罪むざい判決はんけつが出でた後のちもなお、元もと捜査そうさ関係かんけい者しゃの言葉ことばを引用いんようし「菊地きくち元信もとのぶ者しゃは教祖きょうその側近そっきん中ちゅうの側近そっきんで、女性じょせい信者しんじゃの頂点ちょうてんにいたとされる」という誤あやまった記事きじを掲載けいさいした。

二に審しん判決はんけつは以下いかのような認定にんていの上うえ、無罪むざい判決はんけつを下くだしている。

一いち審しん判決はんけつの判断はんだんは、経験けいけん則そく、論理ろんり則そくに反はんする不合理ふごうりな点てんが少すくなからず見受みうけられる。

菊地きくちが運はこんだ薬品やくひんが毒どく劇げき物ぶつに指定していされており、取とり扱あつかいに注意ちゅういを要ようするという意味いみで危険きけんなものであったとしても、直ただちにテロリズムの手段しゅだんとして用もちいる毒どくガスや爆発ばくはつ物ぶつを製造せいぞうすることを思おもい起おこすことは困難こんなんであり、一いち審しん判決はんけつがその薬品やくひんの危険きけん性せいの意味いみを明あきらかにしないまま菊きく地ちにはテロの未必みひつ的てき認識にんしきがあったとまで認定にんていしている点てんは問題もんだいがある。

菊地きくちは自みずからが運搬うんぱんした薬品やくひんにRDXという爆薬ばくやくの原料げんりょうが含ふくまれていることを認識にんしきせず、また、薬品やくひんを持もち込こんだ居室きょしつ内ないで爆薬ばくやくが作つくられていることの認識にんしきも認みとめられないとして爆発ばくはつ物ぶつ取締とりしまり罰則ばっそく違反いはん幇助ほうじょ罪ざいは成立せいりつしないとしているのであるから、「どのような殺害さつがい行為こういに出でるのかほとんど想起そうきできないのではないかとも考かんがえられ、そうであるのに本ほん犯はん者しゃの殺害さつがい行為こういを幇助ほうじょする意思いしがあったとするには、原則げんそく的てきにはより説得せっとく的てきな論拠ろんきょが必要ひつようであろう」。

一いち審しん判決はんけつの根拠こんきょとなった井上いのうえ嘉浩よしひろの証言しょうげんは合理ごうり性せいを欠かく。

他たの多おおくの証人しょうにんが当時とうじの記憶きおくが曖昧あいまいになっていてなかなか具体ぐたい的てきな事実じじつを思おもい出だすのに苦労くろうをしている中なかで、「不自然ふしぜんに詳細しょうさいかつ具体ぐたい的てきである」。この事件じけんは、「井上いのうえの関与かんよした一連いちれんの重大じゅうだい犯罪はんざいの中なかでは比重ひじゅうが大おおきくはなく」、「手伝てつだいをしていた者ものに対たいしてねぎらいの言葉ことばをかけたとか励はげましたとか、それに対たいする相手あいての応答おうとうぶりなどという事実じじつは、自身じしんにとって重要じゅうよう性せいを持もつような事象じしょうではなく、このような長ながい年月としつきを経へても記憶きおくが褪あせないエピソードであるとは考かんがえ難がたく、むしろ記憶きおくに残のこっていることは不自然ふしぜんであるとすらいえる。このような証言しょうげんについては、他たにこれを裏付うらづけるような証拠しょうこがあるか否ひかなどを検討けんとうし、その信用しんよう性せいを慎重しんちょうに判断はんだんする必要ひつようがある」。

二に審しんでの事実じじつ取とり調しらべによれば、井上いのうえらは、他たに重要じゅうような役割やくわりを担になって住居じゅうきょに出入でいりや居住きょじゅうしていた信者しんじゃらに対たいしても活動かつどうの内容ないようや目的もくてきを秘匿ひとくしていたと認みとめられるところ、菊地きくちはクシティガルバ棟とうでの土谷つちたにの助手じょしゅであって井上いのうえの部下ぶかなどではなく、教団きょうだんにおけるステージとしても一般いっぱん信者しんじゃの2つ上うえである師し補ほという立場たちばにあったに過すぎないのであって、この菊地きくちに対たいし井上いのうえが殊更ことさらにペンスリットを見みせてねぎらったというのは「不自然ふしぜんといわざるを得えない」。

一いち審しん判決はんけつは、井上いのうえの、「林はやし泰男やすおから手伝てつだいの信者しんじゃについて逮捕たいほされる覚悟かくごがあるかどうか了解りょうかいを取とるように求もとめられ、自分じぶんが女性じょせい信者しんじゃ2名めいの了解りょうかいを、中川なかがわが菊地きくちの了解りょうかいをそれぞれ得えることになり、自分じぶんは、教祖きょうそを守まもるための活動かつどうをすることや一緒いっしょにいれば逮捕たいほされる可能かのう性せいがあることなどを説明せつめいし了承りょうしょうしてもらった」という旨むねの証言しょうげんを信用しんようできるとしたが、上うえに述のべたように、井上いのうえらは、菊地きくち以外いがいの住居じゅうきょに出入でいりしていた女性じょせい信者しんじゃ2名めいに対たいして活動かつどう内容ないようや目的もくてきを秘匿ひとくしており、「井上いのうえ証言しょうげんは信用しんようできない」というべきである。

長期間ちょうきかん逃亡とうぼうをもって殺人さつじん未遂みすい幇助ほうじょの意思いしを認定にんていできない。

さらに、二に審しん判決はんけつは、菊地きくちの長期間ちょうきかんにわたる逃亡とうぼうについて、菊地きくちは地下鉄ちかてつサリン事件じけん等とうの重大じゅうだい犯罪はんざいで指名しめい手配てはいを受うけ、爆発ばくはつ物ぶつの原料げんりょうとなる薬品やくひんを運搬うんぱんしていた事実じじつがある上うえ、「事情じじょうを知しらずに関与かんよした」と菊地きくちが思おもっていた教団きょうだん信者しんじゃが有罪ゆうざい判決はんけつを受うけたことも認識にんしきしていたのであるから、処罰しょばつを恐おそれて長期間ちょうきかん逃亡とうぼうしていた事実じじつを持もって殺人さつじん未遂みすい幇助ほうじょの意思いしを認定にんていすることもできないというべきである、とした。

2015年ねん（平成へいせい27年ねん）12月9日にち、東京とうきょう高等こうとう検察庁けんさつちょうは「井上いのうえ死刑しけい囚しゅうの証言しょうげんが信用しんようできないとする根拠こんきょが十分じゅうぶんに具体ぐたい的てきとは言いえず、裁判さいばん員いん裁判さいばんの判決はんけつを尊重そんちょうすべきだとした最高裁さいこうさいの判例はんれいに反はんする」などとして上告じょうこくした。

江川えがわ紹子は、「いつ、どこで、何なにをした」という「基本きほん情報じょうほうが全まったく報ほうじられなかった」報道ほうどうの在あり方かたと捜査そうさのずさんさ、菊地きくちが捜査そうさ員いんに語かたったプライバシーに関かかわる事柄ことがらが、マスメディアに筒抜つつぬけになったことで、菊地きくちが捜査そうさに不信ふしん感かんを抱いだき、多おおくを語かたらなくなった事実じじつを、厳きびしく批判ひはんしている。

その後ご、2017年ねん（平成へいせい29年ねん）12月27日にちに、最高裁判所さいこうさいばんしょ第だい一いち小しょう法廷ほうてい（池上いけがみ政幸まさゆき裁判さいばん長ちょう）で最高さいこう検察庁けんさつちょうの上告じょうこくが棄却ききゃくされ、無罪むざいが確定かくてい判決はんけつとなった。

その他た

• ジャーナリストの吾妻あづま博勝ひろかつによれば、菊地きくち直子なおこはタイ人じんに成なり済すましながら、駐ちゅう日本国にっぽんこくタイ王国おうこく大使館たいしかんから取得しゅとくした一時いちじ帰国きこく証明しょうめい書しょを利用りようし、1995年ねん10月がつに外国がいこく機きで新しん東京とうきょう国際こくさい空港くうこうからタイ王国おうこくへ出国しゅっこく。別べつルートでタイへ入国にゅうこくした共犯きょうはん者しゃと合流ごうりゅうした後のち、ミャンマーに密入国みつにゅうこくし、黄金おうごんの三角さんかく地帯ちたいに匿かくまわれているとされていたが、偽にせ情報じょうほうであることが判明はんめいしている。
• 2015年ねん8月がつ、菊地きくちは『創そう』2015年ねん8月がつ号ごうに手記しゅきを書かき、マスメディアに対たいし相当そうとうな強つよい不信ふしん感かんを抱だいており、今後こんごはマスメディアのインタビューには応おうじるつもりはないこと、容疑ようぎには身みに覚おぼえがないのに17年間ねんかん逃亡とうぼうしていたことは、相談そうだんする相手あいてがいなかったこと、上祐じょうゆう史浩ふみひろによりオウム真理教おうむしんりきょうを除名じょめい処分しょぶんにされたことから、帰かえる場所ばしょすらなくなってしまったこと、身みに覚おぼえのないことで全国ぜんこく指名しめい手配てはいとなり、あまりに非ひ日常にちじょう的てきな状況じょうきょうに現実げんじつ感かんを喪失そうしつし映画えいがの世界せかいの中なかにいたような気持きもちだったこと、両親りょうしんへの不信ふしん、ロス疑惑ぎわくの三浦みうら和義かずよしの著書ちょしょを読よみ、「どうせわかってもらえない」との思おもい込こみを捨すて、自みずから声こえをあげることで現実げんじつを変かえようと思おもうまでに至いたった経緯けいいなどについて語かたっている。
• 2018年ねん1月がつ27日にち付づけの自身じしんのブログ上うえで、複数ふくすうのメディアに地下鉄ちかてつサリン事件じけんに関かかわったと断定だんていして報道ほうどうされ、東京とうきょう拘置こうち所しょにいた時とき、週刊しゅうかん新潮しんちょう宛あてに「私わたしがサリンを生成せいせいしたとの貴誌きしの記事きじは間違まちがっているのでその件けんで話はなし合あいをしたい」との内容ないよう証明しょうめいを送おくったことがあることを明あきらかにしている。事件じけんでは起訴きそはされずに釈放しゃくほうされていた事こともあり、少すこしは話はなしも聞きいてもらえるのではと期待きたいしたものの、新潮しんちょう側がわの回答かいとうは「記事きじの内容ないようは正ただしい」「弊誌へいしでは、あなたがサリンだという認識にんしきを持もってサリンを生成せいせいしたと確信かくしんを持もっている」「あなたは逃にげることで不当ふとうに起訴きそを免まぬかれた」であった。

新潮社しんちょうしゃの記事きじが正ただしいとする根拠こんきょとしては、以下いかの事柄ことがらが挙あげられていた。

1. クシティガルバ棟とうという教団きょうだん施設しせつでサリンが生成せいせいされた。
2. 菊地きくちはクシティガルバ棟とうでの仕事しごとに従事じゅうじしていた。
3. クシティガルバ棟とうには他た部署ぶしょの者ものが立たち入いれないように中なかから鍵かぎがかけられていた。
4. 他たマスメディアも私わたしが地下鉄ちかてつサリンの生成せいせいに関かかわったという断定だんてい的てきな報道ほうどうをしている。さらにサリンだという認識にんしきを持もって関かかわった可能かのう性せいが高たかいとも報道ほうどうしている。

しかし、これに対たいし菊地きくちは以下いかの通とおり説明せつめいしている。

1. 関係かんけい者しゃの裁判さいばん記録きろくと判決はんけつの記録きろくのコピーでは、クシティガルバ棟とうでサリンが生成せいせいされたことがあり、その時期じきは、1993年ねん10月がつから12月がつまでと裁判さいばんで認定にんていされている。その後ごは、同どう棟むねではサリンは一いち度ども生成せいせいされていない。クシティガルバ棟とうでサリンが生成せいせいされていた頃ころ、菊地きくちは教団きょうだんのマラソン部ぶに所属しょぞくしており、翌年よくねん1月がつの大阪おおさか国際こくさい女子じょしマラソンに向むけて練習れんしゅうを毎日まいにちしていた。クシティガルバ棟とうに配属はいぞくされたのはクシティガルバ棟とうでサリンが生成せいせいされた時期じきより後のちのことだ。
2. 菊地きくちはクシティガルバ棟とうに配属はいぞくされたことがあるが、菊地きくち自身じしんの記憶きおくと複数ふくすうの関係かんけい者しゃの証言しょうげんから、その時期じきは1994年ねん6月がつ頃ごろと裁判さいばんで認定にんていされた。
3. たしかに当時とうじクシティガルバ棟とうには鍵かぎがかかっていて、菊地きくちも含ふくめて部署ぶしょの人間にんげんは合鍵あいかぎを持もっていた。しかし、サリン生成せいせい当時とうじはまだ配属はいぞくされておらず、合鍵あいかぎは持もっていないため鍵かぎがかかっていたのであるから、仮かりに入にゅうろうとしても入いれない。
4. 新しん潮しおが主張しゅちょうするように、他社たしゃの報道ほうどうの一部いちぶが同おなじような報道ほうどうをしている。しかしなぜなら、その他た社しゃの報道ほうどうの内容ないようも間違まちがっているからだ。他たのマスメディアが同おなじような報道ほうどうをしていたからといって、週刊しゅうかん新潮しんちょうの記事きじが正ただしいという根拠こんきょにはならない。

なお、週刊しゅうかん新潮しんちょうは、この内容ないよう証明しょうめい郵便ゆうびんでの菊地きくちの抗議こうぎを「被害ひがい者しゃの気持きもちを踏ふみにじる行為こうい」だとして、次つぎの週しゅうの記事きじにしている。

• 菊地きくちは週刊しゅうかん新潮しんちょうの記事きじで名誉めいよを傷きずつけられたとして発行はっこう元もとの新潮社しんちょうしゃなどに165万まん円えんの損害そんがい賠償ばいしょうを求もとめる訴訟そしょうを起おこし、2020年ねん7月がつ8日にちに東京とうきょう地方裁判所ちほうさいばんしょは、名誉めいよ毀損きそんを認みとめ、新潮社しんちょうしゃに対たいし計けい33万まん円えんの支払しはらいを命めいじた。2021年ねん3月がつ2日にち、東京とうきょう高等こうとう裁判所さいばんしょは一いち審しんよりも賠償ばいしょう額がくを増額ぞうがくし、新潮社しんちょうしゃに対たいし計けい55万まん円えんの支払しはらいを命めいじた。
• 菊地きくちは産経新聞さんけいしんぶんの記事きじについても名誉めいよを傷きずつけられたとして配信はいしん元もとの産業経済新聞社さんぎょうけいざいしんぶんしゃに165万まん円えんの損害そんがい賠償ばいしょうを求もとめる訴訟そしょうを起おこし、2021年ねん10月がつ27日にちに東京とうきょう地方裁判所ちほうさいばんしょは一部いちぶの記事きじについて「真実しんじつ相当そうとう性せいは認みとめられない」として計けい27万まん5千せん円えんの支払しはらいを命めいじた。対象たいしょうとなったのは2012年ねん6月がつ～2015年ねん11月に掲載けいさいされた4点てんの記事きじ。判決はんけつ理由りゆうでは、このうち菊地きくちがサリンの製造せいぞうに加くわわったことを論評ろんぴょうした記事きじについて、「サリンを製造せいぞうしていた認識にんしきがありながら関与かんよしていた証拠しょうこがない」、自宅じたくから「サリン」と書かかれたノートが押収おうしゅうされたとする記事きじについて、「押収おうしゅう場所ばしょが自宅じたくでない可能かのう性せいもある」とそれぞれ認定にんてい、名誉めいよ毀損きそんに当あたるとした。2022年ねん10月がつ25日にち、東京とうきょう高等こうとう裁判所さいばんしょは記事きじは捜査そうさ員いんへの取材しゅざいに基もとづくもので、いずれも重要じゅうような部分ぶぶんに「真実しんじつ相当そうとう性せいの立証りっしょうがある」と指摘してきし、1審しん判決はんけつを取とり消けし、菊地きくち側がわの請求せいきゅうを棄却ききゃくした。最高さいこう裁判所さいばんしょは2023年ねん6月がつ28日にち付づけで菊地きくち側がわの上告じょうこくを退しりぞけ、賠償ばいしょう請求せいきゅうを棄却ききゃくした2審しん判決はんけつが確定かくていした。
• 毎日新聞まいにちしんぶんの記事きじについても名誉めいよを傷きずつけられたとして165万まん円えんの損害そんがい賠償ばいしょうを求もとめる訴訟そしょうを起おこしたが、こちらについては2021年ねん3月がつ2日にちに東京とうきょう地方裁判所ちほうさいばんしょで請求せいきゅうが棄却ききゃくされた。同社どうしゃの当時とうじの担当たんとう記者きしゃは捜査そうさ員いんへの取材しゅざいや、捜査そうさ機関きかんの発表はっぴょう内容ないようなどに基もとづいて記事きじを書かいたとし「真実しんじつか、真実しんじつと信しんじる相当そうとうの理由りゆうがあった」と判断はんだんした。

上祐じょうゆう批判ひはん

• 2012年ねん6月がつ19日にち号ごうの『SPA!』のインタビュー記事きじで、上祐じょうゆう史浩ふみひろが「菊地きくちはサリン生成せいせいに関与かんよし、刑事けいじ責任せきにんを負おった」と語かたったことに関かんし、菊地きくちは事実じじつではないと東京とうきょう拘置こうち所しょ内うちから手紙てがみで上祐じょうゆう宛あてに撤回てっかいするよう要請ようせいしたが、返事へんじはなかった。このことに象徴しょうちょうされるように、上祐じょうゆうほどの幹部かんぶであっても、直接ちょくせつ関係かんけいしない他た部署ぶしょの事情じじょうは知しらないのが普通ふつうであり、オウムは極端きょくたんに情報じょうほうが分断ぶんだんされた世界せかいだったと菊地きくちは述のべている。また、菊地きくちがサリン生成せいせいに関与かんよしたかどうかは、生成せいせいに関与かんよした遠藤えんどう誠一せいいち、土谷つちたに正実まさみらに聞きけば分わかるにもかかわらず、それをせず捜査そうさ機関きかんの情報じょうほう（=マスメディアの報道ほうどう）を鵜呑うのみにし、菊地きくちが何なにをしたのか知しらないのに知しっているように話はなしたり、菊地きくちは上祐じょうゆうともほとんど話はなしたことがないにもかかわらず、菊地きくちの性格せいかくについても触ふれたりしている態度たいどを2018年ねん4月がつ13日にち付づけのブログ中ちゅうで強つよく批判ひはんしている。

関連かんれん項目こうもく

• 指名しめい手配てはい
• オウム真理教おうむしんりきょう
• オウム真理教おうむしんりきょう事件じけん

外部がいぶリンク

• 菊地きくち直子なおこのブログ - 闇やみが深ふかければ深ふかいほど星ほしはたくさん見みえるから