(Translated by https://www.hiragana.jp/)
エール (神) - Wikipedia コンテンツにスキップ

エール (かみ)

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
エール神像しんぞうメギド

エール’ēl , エルともおとうつし)は、セムいてもっと普通ふつうもちいられるかみ言葉ことば[1]複数ふくすうがたはエロヒム (Elohim) で「かみ々」のだが、オリエントでは神格しんかく王権おうけん複数ふくすうがたあらわすことがあるため、旧約きゅうやく聖書せいしょでは唯一ゆいいつかみヤハウェ」の尊称そんしょうとして「エロヒム」がもちいられている[2]。なお、エールはヘブライかたちで、アラビアかたちではイルイラーハil,ilāh)、ウガリットかたちアッカドかたちイルil [’ilu])とうという。このおそらく「つよくある」と意味いみ語根ごこん「’wl」に由来ゆらいするとかんがえられている。ミカエルガブリエルラファエルウリエルなどヘブライ由来ゆらい天使てんしふくまれる「-エル」はこのかたりちなむ。

またこの言葉ことば普通ふつう名詞めいしとして「かみ」をすほか、かみなかかみである最高さいこうしん名称めいしょうとして固有名詞こゆうめいしてきにももちいられる[1]日本にっぽん神話しんわ最高さいこうかみたかしあきらやメソポタミアの最高さいこうしんナンムがこれに相当そうとうする。

解説かいせつ

[編集へんしゅう]

ウガリット神話しんわでは、最高さいこうしんイルはアーシラトアスタルトおっとであらゆるかみ々のちちばれ、のちバアルいもうとにてつまとされたアナト元々もともとはエルのむすめにてつま位置いちづけだった。神聖しんせいちからある最高さいこうしんにして創造そうぞうしんである。一般いっぱんには、王権おうけん象徴しょうちょうするかくのついたかんむりいただ玉座ぎょくざすわった男性だんせい姿すがたあらわされる。イルはレルとばれる平野へいやにある8つの入口いりくちと7つの部屋へや宮殿きゅうでんんでいた。

イルがわかころかれうみるとアーシラトと彼女かのじょ親友しんゆう女神めがみたちが洗濯せんたくをしていた。イルは彼女かのじょたちを観察かんさつしてそのぜんぎょうみとめ、とりいてアーシラトとアスタルトを招待しょうたいし、自分じぶんつまむすめになるようえらばせた。すると2人ふたりつまとなることをえらんだ。イルと彼女かのじょたちのあいだには70にんものかみ々がまれた。

かれはまたかみ々の会議かいぎ招集しょうしゅう議長ぎちょうつとめ、またかみ々のおう指名しめいしまた自由じゆう罷免ひめんする権限けんげんつ。しかし時代じだいになると肉体にくたいてきよわく、決断けつだんりょくにもける年老としおいたかみともされ、事実じじつじょう主神しゅしんはむしろバアルである。そのせいか、神話しんわにおいてイルはバアルには冷淡れいたんで、自身じしん宮殿きゅうでんにおいてバアルとその仲間なかまたち急襲きゅうしゅうされ、捕縛ほばくされてきずつけられ、追放ついほうされて以降いこうかれ敵対てきたいしゃであるヤム=ナハルモートかみ々のおうとして擁立ようりつした。なお、捕縛ほばくされてきずつけられたさいにあるもの地上ちじょうちたといわれており、これはイルが去勢きょせいされたことの隠喩いんゆとされる。

バアルのによって地上ちじょう乾季かんきおとずれたさい、イルのはたけにもその実害じつがいおよんだ。イルはバアルのくと玉座ぎょくざからり、ぼろをまつわって自身じしんかおきずつけた。アーシラトが自身じしん息子むすこアッタル王位おういがせようとするが、イルはそれをことわった。その、イルはゆめでバアルが復活ふっかつすることった。

ハルナイムのおう・ダニルウには子供こどもがおらず、バアルはかれ息子むすこあたえるようとりなした。その結果けっか、ダニルウとそのつまとのあいだには息子むすこ・アクハトがまれた。その、ダニルウのためにコシャル・ハシスがつくった特別とくべつゆみれようとアナトがダニルウにちかづいたが、ダニルウはゆみわたすことをことわった。そこでアナトは復讐ふくしゅうのためにイルにこのことをげ、イルは気性きしょうはげしいアナトに忠告ちゅうこくしても無駄むだだとおも容認ようにんしたが、「あまりままなことをするとあとむくいがある」とくぎしている。

王妃おうひと8にん子供こどもたちを病気びょうき戦争せんそうくし、かなしむケレトおうゆめなかあらわれたイルは、自身じしんへの供物くもつとバアルへのいのりをささげるようすすめ、ウドムのおうパベルむすめ・フルリヤをれるための知恵ちえさづけた。また、ケレトが自身じしん結婚式けっこんしき祝宴しゅくえんにイルらをはじめとするかみ々などをまねいたさいにはケレトを祝福しゅくふくし、「ケレトとフルリヤのあいだには7にん息子むすこ1人ひとりむすめまれる」とげた。その、ケレトがその祝宴しゅくえんにアーシラトだけをまねわすれたのが原因げんいんやまいおかされたさいには、粘土ねんどでまじないのための人形にんぎょうつくり、巫女ふじょシャトカトをおくんでケレトの病気びょうきなおさせた。

旧約きゅうやく聖書せいしょにもエール・エルヨーン(いとこうしゃ)、エール・オーラーム(永遠えいえんかみ)などのあらわれるが、実際じっさいにはほとんどヤハウェ異名いみょうとしてもちいられている。

イスラム教いすらむきょう以前いぜんのいわゆるジャーヒリーヤ時代じだいのアッラーフは、カアバ神殿しんでん祭祀さいしされていた360のかみ々の最高さいこうしんであり、とく緊急きんきゅう救済きゅうさいつかさどかみとしてあがめられていた。また、アッラートマナートアル・ウッザーというさん女神めがみちちとされていた。

脚注きゃくちゅう

[編集へんしゅう]
  1. ^ a b かみ文化ぶんか事典じてん』、白水しろみずしゃ、2013ねんISBN 978-4560082652、137ぺーじより引用いんよう
  2. ^ 世界せかいだい百科ひゃっか事典じてん だい2はん』「エロヒム」