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ケルト十字じゅうじ

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ケルト十字じゅうじ

ケルト十字じゅうじ（ケルトじゅうじ）は、ラテン十じゅう字じと十字じゅうじの交差こうさ部分ぶぶんを囲かこむ環たまきからなるシンボルである[1]。

ケルト十字じゅうじの起源きげんはキリスト教きりすときょう以前いぜんにまでさかのぼるが、後のちにケルト系けいキリスト教きりすときょうの特徴とくちょう的てきなシンボルとなった。ケルト美術びじゅつの主要しゅような一部いちぶともなっている。この意匠いしょうはまた、アイルランド十字じゅうじやアイオナ十字じゅうじとも呼よばれる。

起源きげん

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ペール・ラシェーズ墓地ぼちのケルト十字じゅうじ

アイルランドと大だいブリテンのケルト地域ちいきでは、支柱しちゅうを持もたない多おおくの十字架じゅうじかが立たてられ、最初さいしょ期きのものは遅おそくとも7世紀せいきにさかのぼる。これらのケルト十字じゅうじの中なかにはルーン文字もじの碑文ひぶんが記しるされたものがある（ルーン石碑せきひ）。いくつかはアイルランド以外いがいにも、コーンウォール（ペランポースの聖せいピランの十字じゅうじなどが有名ゆうめい）やウェールズ、ヘブリディーズ諸島しょとうなどに残のこっている。他ほかにもカンブリア州しゅうやスコティッシュ・ボーダーズに十字架じゅうじかがあるが、いくつかは似通にかよったアングロ＝サクソン十じゅう字じである。

十字じゅうじと円えん環たまきを組くみ合あわせた表現ひょうげんは広ひろく見みられ、キリスト教きょう以前いぜんにも存在そんざいした。太陽たいよう十じゅう字じと呼よばれるこれらは、青銅器せいどうき時代じだいのヨーロッパにみることができる。

アイルランドの伝説でんせつ

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アイルランドでは、聖ひじりパトリックが異教いきょうのアイルランド人じんを改宗かいしゅうさせる際さいにこのケルト十字じゅうじを創つくった、という伝説でんせつが広ひろく信しんじられている。彼かれはキリスト教きりすときょうのシンボルであるラテン十字じゅうじと太陽たいようのシンボルである円えん環たまきを組くみ合あわせたとされる。これは太陽たいようの生命せいめいの源みなもととしての属性ぞくせいを十字じゅうじと結むすびつけることで、十字じゅうじの重要じゅうよう性せいを異教いきょうの信者しんじゃだったアイルランド人じんにキリスト教きりすときょうを布教ふきょうしやすくするためだったとされる[2][3]。

シンボル利用りよう

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政治せいじ的てきなシンボルとして使つかわれるケルト十字じゅうじの例れい

ケルト十字じゅうじや太陽たいよう十じゅう字じに類似るいじしたシンボルは白人はくじん優越ゆうえつ主義しゅぎやネオファシズムのグループのいくつかが象徴しょうちょうとして使つかっている。それらの多おおくは単純たんじゅんな線せんからなる非常ひじょうにシンプルな意匠いしょうであり、伝統でんとう的てきなケルト十字じゅうじの装飾そうしょく的てきな複雑ふくざつさはもたない。これらは「太陽たいようの車輪しゃりん; sun wheel」とも呼よばれる。これらのグループがなぜケルト十字じゅうじをシンボルとして採用さいようしたのかは不明ふめいだが、このシンプルな意匠いしょうに鉤かぎ十じゅう字じと類似るいじする点てんがあったからではないかと考かんがえられている。

イタリアでは、ケルト十字じゅうじはこの政治せいじ的てきな使つかわれ方かたのほうが強つよくなり、伝統でんとう的てきな意味いみで使つかわれることは少すくなくなっている。イタリア国内こくないでは、競技きょうぎ場じょう内ないでの利用りようが禁止きんしされている。

フランスなどヨーロッパ大陸たいりくの教会きょうかいではラテン十じゅう字じが多おおく、内部ないぶや装飾そうしょく品ひんに用もちいる程度ていどだが、ケルト十字じゅうじを教会きょうかい十じゅう字じにしているところもある。フランスの教会きょうかいにも都市とし部ぶから地方ちほうに、ケルト十字じゅうじを教会きょうかい十じゅう字じにしているところがいくつかある。パリ最大さいだいの聖堂せいどうであるノートルダム大だい聖堂せいどうでは内部ないぶにモニュメントとしてケルト十字じゅうじが数多かずおおく用もちいている[4]。


ケルト系けいキリスト教きりすときょうが信しんじられているアイルランド国内こくないやイギリス国内こくないの北きたアイルランドやスコットランド、 ウェールズではケルト十字じゅうじは幅広はばひろく用もちいられている。ケルト系けいキリスト教きりすときょうの広ひろまった各地かくちのレリーフや教会きょうかい、墓地ぼちの十字架じゅうじかはケルト十字じゅうじである。アイルランドのモナスターボイスやクロンマクノイズ、グレンダロッホにあるケルト十字じゅうじレリーフが有名ゆうめいである。アイルランドで植樹しょくじゅによる328フィートの巨大きょだいなケルト十字じゅうじが見みつかった際さいに「Mysterious Celtic cross 」と報道ほうどうされ、後のちに既すでに亡なくなっていたアイルランド男性だんせいが植樹しょくじゅして作つくったと判明はんめいした際さいに美談びだんとして報道ほうどうされた[5][6][7][8][5][9][10][11][4]。

アイルランド人じん墓地ぼちはケルト十字じゅうじであるため、カナダのアイルランド移民いみん墓地ぼちの墓はかの十字じゅうじに利用りようされている[12]。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 鶴岡つるおか真弓まゆみ、松村まつむら一男かずお『図説ずせつケルトの歴史れきし 文化ぶんか・美術びじゅつ・神話しんわをよむ』河出書房新社かわでしょぼうしんしゃ、2017年ねん、39頁ぺーじ。ISBN 978-4-309-76263-0。 
  2. ^ Walker Metalsmiths Celtic Cross History and Symbolism
  3. ^ “神話しんわとアニメの愛蘭土あいるらんど紀行きこう 『ブレンダンとケルズの秘密ひみつ』をめぐる旅たび”. WIRED.jp. 2019年ねん4月がつ22日にち閲覧えつらん。
  4. ^ a b “ケルト十字じゅうじの変遷へんせん”. 2019年ねん4月がつ23日にち閲覧えつらん。
  5. ^ a b “海外かいがいツアー、海外かいがい旅行りょこう、国内こくないツアーの「ユゆーラシア旅行社らしありょこうしゃ」”. ユゆーラシア旅行社らしありょこうしゃ. 2019年ねん4月がつ22日にち閲覧えつらん。
  6. ^ “ケルト　大だい自然しぜんと歴史れきし：ケルト文化ぶんか　アイルランドにみるヨーロッパの源流げんりゅう -VELTRA”. www.veltra.com. 2019年ねん4月がつ22日にち閲覧えつらん。
  7. ^ “ツアー特設とくせつページ(SU05) - 株式会社かぶしきがいしゃ グローバル ユース ビューロー”. www1.gyb.co.jp. 2019年ねん4月がつ22日にち閲覧えつらん。
  8. ^ “スカイ島泊しまどまり＜ビジネスクラス利用りよう＞ケルトの自然しぜんと歴史れきしに触ふれるアイルランドとスコットランド2ヶ国かこく周遊しゅうゆう10日間にちかん｜阪急交通社はんきゅうこうつうしゃ”. 阪急交通社はんきゅうこうつうしゃ. 2019年ねん4月がつ22日にち閲覧えつらん。
  9. ^ “Mystery of huge 328ft-long Celtic cross in Irish forest solved”. Mail Online (2016年ねん10月がつ27日にち). 2019年ねん4月がつ22日にち閲覧えつらん。
  10. ^ “Mysterious Celtic cross discovered in Donegal forest” (英語えいご). ITV News. 2019年ねん4月がつ22日にち閲覧えつらん。
  11. ^ Higgins, Erica Doyle. “Incredible footage shows giant hidden Celtic cross growing in Co. Donegal forest”. The Irish Post. 2019年ねん4月がつ22日にち閲覧えつらん。
  12. ^ 佐藤さとう郁いく「大だい飢饉ききんの犠牲ぎせい者しゃ--カナダに渡わたったアイルランド人じんの子供こどもたち」『国際こくさい地域ちいき学がく研究けんきゅう』第だい11号ごう、東洋大学とうようだいがく国際こくさい地域ちいき学部がくぶ、2008年ねん3月がつ、21-30頁ぺーじ、ISSN 13439057、NAID 120005274618。 

外部がいぶリンク

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