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バートラム・ホテルにて

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バートラム・ホテルにて
At Bertram's Hotel
著者ちょしゃ アガサ・クリスティ
訳者やくしゃ いぬい信一郎しんいちろう
発行はっこう
  • イギリスの旗 1965ねん
  • 日本の旗 1976ねん
発行はっこうもと 早川書房はやかわしょぼう
ジャンル 推理すいり小説しょうせつ
くに イギリスの旗 イギリス
言語げんご 英語えいご
形態けいたい 文庫本ぶんこぼん
前作ぜんさく カリブ海かりぶかい秘密ひみつ
つぎさく だいさんおんな
コード ISBN 978-4151300448
ウィキポータル 文学ぶんがく
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バートラム・ホテルにて』(原題げんだいAt Bertram's Hotel)は1965ねん刊行かんこうされたアガサ・クリスティ推理すいり小説しょうせつ[1]ミス・マープル主人公しゅじんこうとする。

ロンドンのバートラム・ホテルに滞在たいざいちゅうのミス・マープルが、そこに滞在たいざいする個性こせいてき人々ひとびとやホテルの従業じゅうぎょういんたちを観察かんさつし、そこできる事件じけん解決かいけつ寄与きよする。

出版しゅっぱん当時とうじ批評ひひょうでは、結末けつまつがあまりにも突飛とっぴであるという批判ひはんもあった[2][3]

あらすじ[編集へんしゅう]

ミス・マープルはおいのレイモンドの好意こういで、ロンドンのバートラム・ホテル[注釈ちゅうしゃく 1]で2週間しゅうかん休暇きゅうかをとっている。わかころ彼女かのじょはこのホテルに滞在たいざいしたことがある。戦後せんご、このホテルは改装かいそうされ、エドワード王朝おうちょう時代じだい独特どくとく雰囲気ふんいきと、現代げんだい便利べんり設備せつび最高さいこうのスタッフがそろっている。マープルはラウンジで友人ゆうじんセリーナ・ヘイジーに遭遇そうぐうする。マープルは有名ゆうめい冒険ぼうけんベス・セジウィックと、彼女かのじょむすめわかうつくしいエルヴィラ・ブレイクとその後見人こうけんにんラスカム大佐たいさう。また、物忘ものわすれのはげしい聖職せいしょくしゃペニファザーにも出会であう。レーシングドライバーのラジスロース・マリノスキーがデスクにるのをかけ、そのなんかれくるま気付きづき、エルヴィラと一緒いっしょにいるところも目撃もくげきする。

エルヴィラは21さいになると、父親ちちおやから資産しさん相続そうぞくすることになっている。母親ははおやきているが、自分じぶん意思いしでエルヴィラとは疎遠そえんになっている。エルヴィラは自分じぶん遺産いさんおおきさと、自分じぶんんだらだれがそれをれるのかをろうとし、弁護士べんごしであるリチャード・エジャトンは、彼女かのじょ巨額きょがくとみっていることをおしえる。彼女かのじょ友人ゆうじんのブリジットと計画けいかくて、アイルランドへく。

エルヴィラがアイルランドへ旅立たびだったおな、ペニファザーはルツェルンでの会議かいぎ出席しゅっせきすることになっていた。かれ物忘ものわすれから、予定よていした翌日よくじつ空港くうこうってしまい、そこで間違まちがいにづく。真夜中まよなかにバートラムにもどったかれは、部屋へや侵入しんにゅうしゃおそわれる。4にちかれはロンドンからとおはなれたいえますが、そこは最近さいきんこったアイリッシュ・メールの夜行やこう列車れっしゃ強盗ごうとう現場げんば付近ふきんであり、かれ見知みしらぬ家族かぞくのもとで療養りょうようしていた。脳震盪のうしんとうのため、事件じけん記憶きおくはない。列車れっしゃ強盗ごうとう目撃もくげきしゃたちが、列車れっしゃないかれたと報告ほうこくしている。キャンベル警部けいぶとデイビー主任しゅにん警部けいぶ事件じけん担当たんとうし、過去かこ解決かいけつ事件じけんとの関連かんれんせい調しらべる。

巡査じゅんさ部長ぶちょうがホテルの全員ぜんいん質問しつもんをしたのち、デイビーはさらに質問しつもんをするためにやってくる。ホテルにはエドワード王朝おうちょう時代じだい雰囲気ふんいきだけでなく、現実げんじつてき雰囲気ふんいきがあるということに、かれとマープルの意見いけん一致いっちする。彼女かのじょはペニファザーがルツェルンにったとおもった夜中よなかかれったことをはなす。そして、ホテルのまえ公道こうどうでベス・セジウィックがドアマンのマイケル・ゴーマンと、おたがいの過去かこについて大声おおごえはなしていたことも。二人ふたりはかつてアイルランドで結婚けっこんしたが、彼女かのじょ家族かぞくわかれさせたのだった。彼女かのじょは、その結婚式けっこんしき法的ほうてき結婚けっこんではないとおもっていたが、それは本物ほんものであり、彼女かのじょのそのの4かい結婚けっこん法的ほうてき重婚じゅうこんになってしまっていた。

マープルがホテルでごす最後さいご、デイビーとはなしをしていると、2はつ銃声じゅうせい悲鳴ひめい屋外おくがいからこえてくる。エルヴィラがゴーマンの死体したいよこにいるのを発見はっけんされる。エルヴィラは、かれ銃声じゅうせいから彼女かのじょをかばったとき射殺しゃさつされたとう。じゅうはマリノフスキーのものだった。

デイビーは、マープルとペニファザーをロンドンにもどす。彼女かのじょ自分じぶん部屋へやとびらから廊下ろうかのペニファザーをたときのことを再現さいげんする。彼女かのじょはペニファザーの外見がいけんをした別人べつじんたことにづき、ドイツドッペルゲンガーという言葉ことばおもこす。ペニファザーは、意識いしきうしな直前ちょくぜん自分じぶんホテルの部屋へや椅子いす腰掛こしかけている自分じぶんたことをおもす。犯人はんにんは、ルツェルンにんだはずのペニファザーがもどってきたことにおどろいてかれおそったのだった。

デイビーとマープルは、ベス・セジウィックが一連いちれん大胆だいたん強盗ごうとう首謀しゅぼうしゃであり、ホテルの支配人しはいにんヘンリー、そして高速こうそくしゃ必要ひつようなときにラディスラウス・マリノフスキーが使つかわれていたのだと見抜みぬく。ホテルの従業じゅうぎょういんもこれに協力きょうりょくし、支配人しはいにん金銭きんせんめん管理かんりしていたのだ。ベスはこれらのけんと、ゴーマン殺害さつがい自白じはくする。そのあとベスはくるまぬすんでげ、スピードをしすぎて事故じここし死亡しぼうする。

エルヴィラは、マープルがベスとゴーマンの会話かいわいたさい居合いあわせていた。彼女かのじょは、セジウィックとコニストンきょう結婚けっこん無効むこうになり、自分じぶん相続そうぞくじんではなく、嫡出ちゃくしゅつであると認定にんていされるだろうとかんがえる。彼女かのじょはラディスラウスが自分じぶん結婚けっこんしてくれるために裕福ゆうふくになりたかった。

マープルはベスの自白じはく信用しんようせず、エルヴィラがゴーマンをころしたのだろうと推理すいりし、デイビーもそれに同意どういする。

登場とうじょう人物じんぶつ[編集へんしゅう]

  • ジェーン・マープル: 探偵たんていきな独身どくしんろう婦人ふじん。ロンドン旅行りょこうでホテルに滞在たいざいちゅう
  • エルヴィラ・ブレイク: ホテルに滞在たいざいちゅうわかむすめ。イタリアでの留学りゅうがくえてイギリスに帰国きこくした。
  • デリク・ラスコム: エルヴェイラの後見人こうけんにんでホテルに滞在たいざいちゅう
  • ブリジット: エルヴィラの友人ゆうじん
  • セリーナ・ヘイジー:ホテルの宿泊しゅくはくきゃくで、ミス・マープルの友人ゆうじん
  • ペニファザー: 古代こだい言語げんごうみ文書ぶんしょ精通せいつうする学者がくしゃはだ聖職せいしょくしゃ。ものごとをすぐにわすれてしまう。
  • ベス・セジウィック: 冒険ぼうけん女性じょせい。エルヴィラの母親ははおやだが、おさなころかれたきりになっていた。
  • ラジスロース・マリノスキー: レーシングドライバー
  • ハンフリーズ: ホテルの支配人しはいにん
  • ミス・ゴーリンジ: ホテルの受付うけつけ
  • マイケル・ゴーマン: ホテルのドアマン
  • ヘンリー: ホテルのラウンジを仕切しきっている。ホテルの字引じびきのような存在そんざい
  • ローズ・シェルドン: ホテルの客室きゃくしつがかり
  • リチャード・エジャトン: エルヴィラの遺産いさん管理かんりする3にん管財かんざいじんのうちの1人ひとりである弁護士べんごし
  • フレッド・デイビー: ロンドン警視庁けいしちょう主任しゅにん警部けいぶ

日本語にほんごやく[編集へんしゅう]

ほん作品さくひん早川書房はやかわしょぼう日本語にほんご翻訳ほんやくけん独占どくせん作品さくひんである。

題名だいめい 出版しゅっぱんしゃ 文庫ぶんこめい 訳者やくしゃ 巻末かんまつ カバーデザイン 初版しょはん年月日ねんがっぴ ページすう ISBN 備考びこう
バートラム・ホテルにて 早川書房はやかわしょぼう ハヤカワ・ミステリ文庫ぶんこ いぬい信一郎しんいちろう 1976ねん11月1にち ISBN 978-4150700140
クリスティー文庫ぶんこ 解説かいせつ 山大やまだい Hayakawa Design 2004ねん7がつ15にち 414 ISBN 978-4151300448

映像えいぞう[編集へんしゅう]

ミス・マープル『バートラム・ホテルにて』
シーズン2 エピソード3(通算つうさんだい7イギリスの旗 イギリス1987ねん放送ほうそう
内容ないようはほぼ原作げんさく沿っている。
アガサ・クリスティー ミス・マープル『バートラム・ホテルにて』
シーズン3 エピソード1(通算つうさんだい9イギリスの旗 イギリス2007ねん放送ほうそう
登場とうじょう人物じんぶつ設定せってい変更へんこうされ、直接ちょくせつ関係かんけい犯罪はんざいなど筋書すじがきが複雑ふくざつされている。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ バートラム・ホテルは、アガサ・クリスティがロンドンをおとずれたさいによく宿泊しゅくはくしたブラウンズ・ホテルから着想ちゃくそうたと一般いっぱんしんじられている。しかし、クリスティの伝記でんき作家さっかジャネット・モーガンは、バートラム・ホテルは実際じっさいにはフレミングス・メイフェア・ホテル英語えいごばんをモデルにしていると断言だんげんしている。モーガンはクリスティと代理人だいりにんのエドモンド・コークがわした書簡しょかん引用いんようし、フレミングスとの関係かんけい曖昧あいまいにするために、ホテルの経営けいえいしゃ名前なまえとバートラムがあるとおりの名前なまえ変更へんこうすることにめたとべている[4]

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ Chris Peers, Ralph Spurrier and Jamie Sturgeon. Collins Crime Club – A checklist of First Editions. Dragonby Press (second edition) March 1999 (p. 15)
  2. ^ Iles, Francis (1965ねん12月17にち). “Review”. The Guardian: p. 9 
  3. ^ Richardson, Maurice (1965ねん12月12にち). “Review”. The Observer: p. 31 
  4. ^ Sanders, Dennis (1989). The Agatha Christie companion: the complete guide to Agatha Christie's life and work (revised ed.). New York: Berkley Books. pp. 312. ISBN 0-425-11845-2 

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]