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かがみよこにひびれて

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ミス・マープル > かがみよこにひびれて
かがみよこにひびれて
The Mirror Crack'd from Side to Side
著者ちょしゃ アガサ・クリスティ
訳者やくしゃ 橋本はしもと福夫ふくお
発行はっこう
  • イギリスの旗 1962ねん
  • 日本の旗 1979ねん
発行はっこうもと 日本の旗 早川書房はやかわしょぼう
ジャンル 推理すいり小説しょうせつ
くに イギリスの旗 イギリス
言語げんご 英語えいご
前作ぜんさく あおいざめた
つぎさく 複数ふくすう時計とけい
コード 日本の旗ISBN 978-4151300424
ウィキポータル 文学ぶんがく
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かがみよこにひびれて』(かがみはよこにひびわれて、原題げんだいThe Mirror Crack'd from Side to Side)は、1962ねん刊行かんこうされたアガサ・クリスティ推理すいり小説しょうせつミス・マープル・シリーズ長編ちょうへんだい8さくにあたるとともにクラドック警部けいぶ登場とうじょうする長編ちょうへんだい3さくである[注釈ちゅうしゃく 1]

ほんさく題名だいめいは、アルフレッド・テニスンシャロットひめ』 (en:The Lady of Shalott) を由来ゆらいとしている。

あらすじ[編集へんしゅう]

ジェーン・マープルはセント・メアリー・ミード散歩さんぽちゅうたおれる。彼女かのじょはバドコック夫人ふじんたすけられ、自分じぶんいえやすむことになる。二人ふたりでおちゃみながらバドコック夫人ふじんは、最近さいきんこの地域ちいきしてきてゴシントン・ホール(マープルの友人ゆうじんバントリー夫人ふじん邸宅ていたく)をったアメリカの女優じょゆうマリーナ・グレッグにむかしったことがあるとはなす。

マリーナとその現在げんざいおっとである映画えいがプロデューサーのジェイソン・ラッドは、セント・ジョン・アンビュランス英語えいごばん労働ろうどうしゃ応急おうきゅう処置しょち普及ふきゅうさせる営利えいり組織そしき)をたたえる祭典さいてん主催しゅさいする。ゲストにはバントリー夫人ふじん女優じょゆうのローラ・ブルースター、マリーナの友人ゆうじんアードウィック・フェン、そしてバドコック夫妻ふさい。バドコック夫人ふじんはマリーナをつかまえて、すうねんまえにマリーナが当時とうじバミューダをおとずれていたときに、そこではたらいていた自分じぶん出会であったというながはなしす。当時とうじ彼女かのじょ病気びょうきだったが、マリーナのだいファンだったので、病床びょうしょうはなれて大好だいすきなスターにいにき、サインをもらったのだという。その会話かいわちかくにっていたバントリー夫人ふじんは、バドコック夫人ふじんはなあいだ、マリーナが奇妙きみょう表情ひょうじょうをしていることにづく。そしてしばらくして、バドコック夫人ふじん突然とつぜんたおれ、死亡しぼうしてしまう。

バントリー夫人ふじんがマープルに事件じけん説明せつめいするが、そのさいに『シャロットひめ英語えいごばん』という一節いっせつ(こののヒロインにのろいがりかかる)をいにして、マリーナの様子ようす描写びょうしゃする[注釈ちゅうしゃく 2]

捜査そうさ担当たんとうすることになったクラドック主任しゅにん警部けいぶは、バドコック夫人ふじん死因しいん精神せいしん安定あんていざい「カルモ」を推奨すいしょうりょうの6ばい摂取せっしゅしたことだとめる。そのくすりは、マリーナのダイキリはいっており、自分じぶんものをこぼしたバドック夫人ふじんにマリーナが手渡てわたしたものだった。

クラドックは、被害ひがいしゃになるはずだったとおもわれるマリーナの複雑ふくざつ過去かこむ。子供こどもがなかなかさずからなかった彼女かのじょは3にん養子ようしむかえたが、そのでようやく息子むすこさずかるものの知的ちてき障害しょうがいであったため、神経しんけい衰弱すいじゃくおちいってしまったのだった。養子ようし一人ひとり、マーゴット・ベンスは、まつりの会場かいじょうのゴシントン・ホールにていた。養母ようぼ悪感情あくかんじょういだきながらも、彼女かのじょはマリーナのものくすりれたことは否定ひていする。

捜査そうさすすなか、さらに二人ふたり人物じんぶつころされる。ラッドの秘書ひしょエラ・ジーリンスキーは花粉かふんしょう治療ちりょう噴霧ふんむどくれられて死亡しぼう、マリーナの執事しつじジュゼッペはロンドンでいちにちごし、銀行ぎんこう口座こうざに500ポンドを入金にゅうきんしたそのよるたれてしまう。アードウィック・フェンはクラドックに、数日すうじつまえに「おまえがバドコック夫人ふじんころした犯人はんにんだ」という電話でんわけたが、その匿名とくめい電話でんわあるじくしゃみをしたのでジーリンスキーだとかったとはなす。

マープルのお手伝てつだいチェリー・ベイカーは、まつりのにゴシントン・ホールで給仕きゅうじをしていた友人ゆうじんのグラディスが、マリーナがバドコック夫人ふじんものをわざとこぼしたのを目撃もくげきしており、彼女かのじょ生前せいぜんのジュゼッペにうつもりだった、とマープルにはなす。マープルはグラディスをボーンマスへ休暇きゅうかおくすが、そのゴシントン・ホールへくと、マリーナが薬物やくぶつ過剰かじょう摂取せっしゅねむっているあいだ死亡しぼうしているのをる。

マープルは、マリーナが殺人さつじんはんちがいないと推理すいりしたことをラッドとクラドックに説明せつめいする。バドコック夫人ふじんは、バミューダでマリーナにサインをもとめたとき、風疹ふうしんにかかっていた。当時とうじ妊娠にんしん初期しょきだったマリーナはこの病気びょうき感染かんせんし、障害しょうがいってまれ、その彼女かのじょ自身じしん神経しんけい衰弱すいじゃくおちいってしまった。バントリー夫人ふじんまつりの会場かいじょうたマリーナの表情ひょうじょうは、そのときのことをしゃべっているバドコック夫人ふじんうしろのかべかざられていた聖母子せいぼしぞうて、ようやく自分じぶんこったことの原因げんいんさとったためであった。いきどおったマリーナは、自分じぶんのダイキリにカルモをれ、バドコック夫人ふじんうですってものをこぼさせ、わりに自分じぶんくすりりのほうませたのだった。マリーナは自分じぶん犯罪はんざいかくすために、自分じぶん殺人さつじんのターゲットになったと周囲しゅういおもませようとした。彼女かのじょはジーリンスキーとジュゼッペに自分じぶん関与かんよ推測すいそくされ、ジュゼッペに脅迫きょうはくされたので殺害さつがいした。マープルは、グラディスがマリーナのつぎ犠牲ぎせいしゃにならないよう保護ほごするため、グラディスにひましたのだった。

マープルは、マリーナがこれ以上いじょうつみかさねるのをふせぐためにラッドがくすりったとしんじていることをほのめかす。ラッドはつまうつくしさと彼女かのじょえた苦痛くつうについてコメントし、物語ものがたりわる。

登場とうじょう人物じんぶつ[編集へんしゅう]

ジェーン・マープル
セント・メアリ・ミードむら探偵たんていきな独身どくしんろう婦人ふじん
ドリー・バントリー
バントリー大佐たいさつま。ジェーンの親友しんゆう。ゴシントン・ホールのもとぬし
ミス・ナイト
ジェーンのいの婦人ふじん
チェリー・ベイカー
マープルたくのメイド。
ジム・ベイカー
チェリーのおっと
マリーナ・グレッグ
アメリカの映画えいが女優じょゆう。ゴシントン・ホールを購入こうにゅう
ジェースン(ジンクス)・ラッド
映画えいが監督かんとく。マリーナのおっと
エラ・ジーリンスキー
ジェースンの秘書ひしょ
ヘイリー・プレストン
ジェースンの助手じょしゅ
ヘザー・バドコック
セント・メアリー・ミードの住人じゅうにん野戦やせん病院びょういん協会きょうかい幹事かんじ
アーサー・バドコック
ヘザーのおっと
マーゴット・ベンス
女流じょりゅう写真しゃしん
ローラ・ブルースター
映画えいが女優じょゆう
アードウィック・フェン
マリーナの友達ともだち
グラディス・ディクスン
食堂しょくどうアルバイト。チェリーの友人ゆうじん
ジュゼッペ
ゴシントン・ホールの召使めしつかいあたま
モーリス・ギルクリスト
マリーナの主治医しゅじい
ドナルド・マックニール
新聞しんぶん記者きしゃ
フランク・コーニッシュ
警部けいぶ
ダーモット・クラドック
スコットランドヤードの主任しゅにん警部けいぶ
ウィリアム・ティドラー
部長ぶちょう刑事けいじ。クラドックの部下ぶか

マリーナ・グレッグのモデル[編集へんしゅう]

アガサ・クリスティ財団ざいだん公式こうしきサイトでは、クリスティがグレッグをくにあたって、アメリカの女優じょゆうジーン・ティアニー人生じんせいに「影響えいきょうけた」ことが示唆しさされている[1]

ティアニーはだいいち妊娠にんしんちゅう、1943ねん6がつハリウッド・キャンティーン参加さんかしたさい風疹ふうしん感染かんせんした。あかちゃんは先天せんてんせい風疹ふうしん症候群しょうこうぐんわずらい、てい体重たいじゅうのまま早産そうざんまれ、ぜん輸血ゆけつ必要ひつようとした。医師いし出産しゅっさん当日とうじつに、早産そうざんどもの心身しんしん障害しょうがいは、母親ははおや妊娠にんしん最初さいしょの4かげつあいだ風疹ふうしん感染かんせんしたためだと両親りょうしんげたが、非常ひじょうれがたいニュースであった.[2]

聾唖ろうあはんめくら発達はったつ障害しょうがいのこのは、その精神せいしん病院びょういん収容しゅうようされることになった。その出産しゅっさんからやく2ねん、ガーデンパーティーで一人ひとり女性じょせいがティアニーにサインをもとめた[3]。その女性じょせいは、当時とうじ風疹ふうしんにかかっていたが検疫けんえきをスキップしてハリウッド・キャンティーンをおとずれ、ティアニーにったとった[4]

クリスティが小説しょうせついた16ねんに、ティアニーは自伝じでんなかでその出来事できごとについてべている[5]

映像えいぞう[編集へんしゅう]

映画えいが[編集へんしゅう]

クリスタル殺人さつじん事件じけん』 イギリス 1980ねん
শুভ মহরৎ インド 2003ねん

テレビドラマ[編集へんしゅう]

イギリスのテレビドラマ[編集へんしゅう]

ミス・マープルかがみよこにひびれて』
だい12 イギリスの旗 イギリス1992ねん放送ほうそう
内容ないよう原作げんさくにほぼ沿っているが、原作げんさくとはことなってこのシリーズじゅんレギュラーのスラック警部けいぶ登場とうじょうする。
アガサ・クリスティー ミス・マープルかがみよこにひびれて』
シーズン5 エピソード4(通算つうさんだい20イギリスの旗 イギリス2011ねん放送ほうそう
内容ないよう原作げんさくにほぼ沿っている。

日本にっぽんのテレビドラマ[編集へんしゅう]

  • だい女優じょゆう殺人さつじん事件じけん』2007ねん: 主演しゅえんきし惠子けいこ

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ クラドックは、『予告よこく殺人さつじん』と『パディントンはつ450ふん』、短編たんぺん教会きょうかいんだおとこ」でミス・マープル協力きょうりょくして事件じけん捜査そうさおこなっていた警部けいぶほんさくでは主任しゅにん警部けいぶ昇進しょうしんしている。
  2. ^ これがほんさく題名だいめい由来ゆらいとなっている。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ The Mirror Crack'd from Side to Side: Did you know?”. The Home of Agatha Christie. 2018ねん8がつ14にち閲覧えつらん
  2. ^ Vogel, Michelle (2010). Gene Tierney: A Biography. McFarland. pp. 78–79. ISBN 978-0786458325. https://books.google.com/books?id=WWkpARnQ3fcC&dq=early+news+about+daria+cassini&pg=PA236 
  3. ^ Demaret, Kent (1979ねん5がつ7にち). “Gene Tierney Began Her Trip Back from Madness on a Ledge 14 Floors Above the Street”. People. http://people.com/archive/gene-tierney-began-her-trip-back-from-madness-on-a-ledge-14-floors-above-the-street-vol-11-no-18/ 2017ねん1がつ18にち閲覧えつらん 
  4. ^ Biography”. The Official Web Site of Gene Tierney. 2012ねん2がつ7にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2008ねん1がつ22にち閲覧えつらん
  5. ^ Tierney, Gene and; Herskowitz, Mickey (1978). Self-Portrait. Wyden Books. p. 101. ISBN 978-0-88326-152-1. https://archive.org/details/selfportrait00tier/page/101 

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]