(Translated by https://www.hiragana.jp/)
ロツマ語 - Wikipedia コンテンツにスキップ

ロツマ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ロツマ
Fäeag Rotuma
はなされるくに フィジーの旗 フィジー
地域ちいき ロツマとう
話者わしゃすう 9,000にん(1991ねん
言語げんご系統けいとう
表記ひょうき体系たいけい ラテン文字もじ
言語げんごコード
ISO 639-3 rtm
Glottolog rotu1241[1]
消滅しょうめつ危険きけん評価ひょうか
Vulnerable (Moseley 2010)
テンプレートを表示ひょうじ

ロツマ(ロツマご、ロツマ: Fäeag Rotumaえい: Rotuman language, Rotunan, Rutuman)は大洋たいようしゅう諸語しょごぞくする言語げんごである。話者わしゃポリネシア影響えいきょうけた文化ぶんかち、1881ねんフィジー植民しょくみんとしてまれたロツマとう居住きょじゅうする先住民せんじゅうみん人々ひとびとである。太平洋たいへいよう歴史れきしつうじてのおおくの文化ぶんか交流こうりゅう結果けっかサモアトンガから多数たすうかたり借用しゃくようしたため、ロツマ分類ぶんるい困難こんなんである。言語げんご学者がくしゃのAndrew Pawleyは、中央ちゅうおう太平洋たいへいようのオセアニア言語げんごのサブグループないで、西にしフィジー諸語しょごとロツマかたりをなすと分類ぶんるいしている。

ロツマおと転換てんかんにより、単語たんご最後さいご母音ぼいん直前ちょくぜん子音しいんのために反転はんてんすることでこる、ウムラウト母音ぼいん短縮たんしゅく長音ちょうおん重母音じゅうぼいんによって特徴とくちょうてき母音ぼいん体系たいけいがみられるため、言語げんご学者がくしゃあいだおおくの関心かんしんこした。

近隣きんりん大洋たいようしゅう諸語しょごとはことなり、ロツマ一般いっぱんAVO(動作どうさぬし動詞どうし目的もくてき)がた言語げんごかんがえられている。

言語げんごめい別称べっしょう

[編集へんしゅう]
  • ロトゥマ
  • Rotunan
  • Rutuman
  • Rotuna

音声おんせい

[編集へんしゅう]

母音ぼいん

[編集へんしゅう]
母音ぼいん[2]
ぜんした母音ぼいん こうした母音ぼいん
せま母音ぼいん i u
はんこう母音ぼいん ɛ ɔ
こう母音ぼいん a

子音しいん

[編集へんしゅう]
子音しいん[2]
りょう唇音しんおん/くちびる歯音しおん したいただきおん 後部こうぶ歯茎はぐきおん 軟口蓋なんこうがいおん 声門せいもんおん
鼻音びおん m n ŋ
破裂はれつおん p t k ʔ
摩擦音まさつおん f v s h
ながれおん r l

ロツマ音素おんそとして母音ぼいん長短ちょうたん区別くべつがなく、基本きほんてきひらけ音節おんせつ言語げんごである。したがって、基本きほんとなる音節おんせつ構造こうぞうには子音しいん+母音ぼいん音節おんせつだけが存在そんざいするが、音韻おんいん過程かていはより多様たようである。2モーラ未満みまん単語たんご禁止きんしする最小さいしょう単語たんご制約せいやくも、この基礎きそとなる表現ひょうげん変更へんこうする。語彙ごいカテゴリからのかたりのぞいて、/ka/('明日あした')のような単語たんご[kaa]として実現じつげんされる。この制約せいやく単語たんご合成ごうせい(重複じゅうふくふくむ)のまえ適用てきようされる。/fu/(珊瑚礁さんごしょう)+/liʔu/(ふかうみ)→[fuuˈliʔu](ふかうみだまり)[3]母音ぼいんはまた、最終さいしゅうおよびつよいきおいのある部分ぶぶん両方りょうほうながくなる[4]

せま母音ぼいん音節おんせつのちせま母音ぼいん音節おんせつつづ場合ばあいせま母音ぼいんひろくなる[2]

  • /ɛ/[e]
  • /a/[ɔ]
  • /ɔ/[o]

一般いっぱんてきって、/a/は、のち韻脚いんきゃくにある/ɛ/てくるとき、ひろくなって[æ]になる[5]

complete incomplete gloss
[tuˈturu] [tuˈtur] 'post...'
[ˈmosɛ] [ˈmøs] 'to sleep...'
[ˈpikɔ] [ˈpiɔk] 'lazy'

ロツマ形態けいたい音韻おんいんろん重要じゅうよう側面そくめんは、「不完全ふかんぜんな」および「完全かんぜんな」しょうぶことができるものであるが、これらは「ながい」および「ショート」の形態けいたい、「いち」および「」の形態けいたい、「絶対ぜったいてき」および「構成こうせいする」の形態けいたい、ならびに「固有こゆうの」および「えられるか、構成こうせいする」の形態けいたいともばれている[6]完全かんぜんフェーズは、意味いみてき明確めいかく用語ようごまたは特定とくてい用語ようご適用てきようされる。それ以外いがい場合ばあい通常つうじょう会話かいわ(うた歌唱かしょうのぞく)では、不完全ふかんぜんなフェーズは単語たんご最後さいご形態素けいたいそ以外いがいのすべて、およびフレーズの最後さいご単語たんご以外いがいのすべてに適用てきようされる[7]。その結果けっか、この言語げんごでは音節おんせつまつ子音しいんしょうじることがあるが、基底きていとなる音節おんせつすべひらけ音節おんせつである。

  • |[mafa]| ('') + |[huhu]| ('はずす') → /mafhuhu/[mɔfhuh] ('ひっきりなしに') [8]
[i] [ɛ] [a] [ɔ] [u]
i iC jɛC jɔC juC iC
ɛ eC ɛC jaC ɛC ɛC
a æC æC aC aC ɔC
ɔ øC œC waC ɔC oC
u yC wɛC wɔC wɔC uC

うえひょう(Cはすべての子音しいんしめす)は、メタセシスと削除さくじょ不完全ふかんぜんそう形成けいせいする重要じゅうよう部分ぶぶんであることをしめしている。最後さいご母音ぼいん直前ちょくぜん子音しいんはV1CV2#からV1V2C#にメタセサイズされる。ここで、V1はもとになる最後さいごから2番目ばんめ母音ぼいん、V2はもとになる最後さいご母音ぼいん、Cは任意にんい子音しいん、そして#は単語たんご、または形態素けいたいそ境界きょうかいである[9]

メタセシスののちでは、「V1がV2よりうしろになく、V2がV1よりしたにない場合ばあい、V2は削除さくじょされる」か、またはふたつの母音ぼいん同一どういつである場合ばあい[10]。さらに省略しょうりゃく過程かていると、特徴とくちょう融合ゆうごうまたは拡大かくだいこる。すなわち、こうがわ母音ぼいん前方ぜんぽう母音ぼいんまえ前方ぜんぽうかれ、前方ぜんぽう母音ぼいん前方ぜんぽう母音ぼいんおなたかさまたはよりたかたかさ(/ɛ//i//ɔ/ に、/i/ だけは /u/影響えいきょうする)のぜん母音ぼいんまえかれてから、後者こうしゃ削除さくじょされる。

/u/[y]

[o][ø~œ]

さらに、/a/[æ] のルールがもう一度いちど有効ゆうこうになり、モーラの韻脚いんきゃく外側そとがわで、つぎ/i/両方りょうほう/ɛ/こりる。また、/a/こう母音ぼいん(/i/ または /u/)をふく音節おんせつのち[ɔ] になる[2]。V1がV2よりたか場合ばあいぜんした母音ぼいん[j]こうした母音ぼいん[w] というようにそれぞれ対応たいおうする半母音はんぼいん母音ぼいんされる[11]

かたりつよぜいひだり優勢ゆうせい2モーラの韻脚いんきゃく関連かんれんする。派生はせいでない単語たんご最後さいごから2番目ばんめのモーラがつよぜいつ。名詞めいし接尾せつび |-ŋa| と使役しえき接尾せつび |-ʔaki| 以外いがいであれば、追加ついか形態素けいたいそ付加ふかされるまえ[12]完了かんりょう位相いそう形態けいたいろんまえに、つよぜいてられる[13]

正書法せいしょほう

[編集へんしゅう]

宣教師せんきょうし接触せっしょく、ロトゥマとうにはさまざまな正書法せいしょほうがあった。フランスのカトリック教会きょうかい宣教師せんきょうしたちは、自分じぶんたちのアルファベットにもとづいて正字せいじほう考案こうあんし、英語えいごのウェスレアン・メソジスト宣教師せんきょうしたちは、ロトゥマくために独自どくじ正書法せいしょほう開発かいはつした。現在げんざい一般いっぱんてき使用しようされているものは、言語げんごがく知識ちしきがありトンガ正書法せいしょほう考案こうあんしたオーストラリアのメソジストのC.M.チャーチワード牧師ぼくしによるものである。チャーチワードの独創どくそうてき著作ちょさく「ロツマ文法ぶんぽう辞書じしょ」にてくるアルファベットがこれである:

  • a/a/
    • ȧ or ä/a/ ~ /æ/
    • /ɔ/
  • e/e/
  • f/f/
  • g/ŋ/
  • h/h/
  • i/i/
  • j/tʃ/
  • k/k/
  • l/l/
  • m/m/
  • n/n/
  • o/ɔ/
    • ö/ø/
  • p/p/
  • s/s/
  • t/t/
  • u/u/
    • ü/y/
  • v/v/
  • ʻ/ʔ/ 声門せいもん破裂はれつおん

Churchwardの辞書じしょでは、母音ぼいんa、o、iの変化へんかについては、たねあいだ変化へんか基本きほん文字もじなかこっていないかのようにあつかっている:päegaという単語たんごは、seatを意味いみし、paki ri (バナナを意味いみする) のまえあらわれ、pau (非常ひじょうおおくを意味いみする) のまえあらわれる。 くわえて、うえにあるすべてのもと母音ぼいんれいはマクロンとともあらわれ、母音ぼいんながさがおそらく音韻おんいん過程かていであるが、それらがよりながいことをしめしている。 チャーチワードのアルファベットはロトマン音韻おんいんろん十分じゅうぶん分析ぶんせきまえつくられたので、純粋じゅんすい音素おんそろんではない。ジョージ・ミルナー[14]発音はつおん区別くべつ使つかわずに音韻おんいんてきつづりを提案ていあんしたが、これは母音ぼいんのアロフォニーの理解りかいをメタセシスと関係かんけいがあるものとしてれている(上記じょうき参照さんしょう)。

Churchward IPA Milner Gloss
complete incomplete incomplete
mose mös [møs] moes 'sleep'
futi füt [fyt] fuit 'pull'
a+su a+s [ɔs] aus 'steam'
a+ti ȧt [æt] ait 'gather (shellfish)'

これは、1975ねん出版しゅっぱんされた聖書せいしょ翻訳ほんやく(マシュー6:9–13) [1] にある、おもいのりのロツマばんである[1]。チャーチワードの正書法せいしょほう発音はつおん区別くべつ符号ふごう使つかってかれている。

'Otomis Ö'faat täe 'e lạgi,
'Ou asa la äf'ȧk la ma'ma',
'Ou pure'aga la leum, 'ou rere la sok,
fak ma 'e lạgi, la tape'ma 'e rän te'.
'Äe la naam se 'ạmisa, 'e terạnit 'e 'i,
ta 'etemis tela'a la tạumar,
Ma 'äe la fạu'ạkia te' ne 'otomis sara,
la fak ma ne 'ạmis tape'ma re vạhia se iris ne sar se 'ạmisag.
Ma 'äe se hoa' 'ạmis se faksara; 'äe la sại'ạkia 'ạmis 'e raksa'a.
Ko pure'aga, ma ne'ne'i, ma kolori, mou ma ke se 'äeag, se av se 'es gata'ag ne tore. 'Emen

脚注きゃくちゅう

[編集へんしゅう]
  1. ^ Hammarström, Harald; Forkel, Robert; Haspelmath, Martin et al., eds (2016). “Rotuman”. Glottolog 2.7. Jena: Max Planck Institute for the Science of Human History. http://glottolog.org/resource/languoid/id/rotu1241 
  2. ^ a b c d Blevins (1994:492)
  3. ^ Blevins (1994:497–499)
  4. ^ Schmidt (2003:178)
  5. ^ Saito (1981)
  6. ^ Schmidt (2003:176)
  7. ^ Blevins (1994:492–493)
  8. ^ Blevins (1994:493)
  9. ^ Schmidt (2003:179–184)
  10. ^ Schmidt (2003:187)
  11. ^ Schmidt (2003:90)
  12. ^ Blevins (1994:493–497)
  13. ^ Schmidt (2003:189)
  14. ^ Milner (1971:422)

参考さんこう文献ぶんけん

[編集へんしゅう]
  • Blevins, Juliette (1994), “The Bimoraic Foot in Rotuman Phonology and Morphology”, Oceanic Linguistics (University of Hawai'i Press) 33 (2): 491–516, doi:10.2307/3623138, http://jstor.org/stable/3623138 
  • Churchward, C.M. (1940), Rotuman Grammar and Dictionary, Sydney: Methodist Church of Australasia 
  • Milner, George B. (1971), “Fijian and Rotuman”, in Thomas A. Sebeok, Current Trends in Linguistics, 8: The Languages of Oceania, The Hague: Mouton, pp. 397–425 
  • Saito, Mamoru (1981), A Preliminary Account of the Rotuman Vowel System, Cambridge: MIT Press 
  • Schmidt, Hans (2003), “Temathesis in Rotuman”, in John Lynch, Issues in Austronesian Historical Phonology, Pacific Linguistics Research School of Pacific and Asian Studies, pp. 175–207, ISBN 0-85883-503-7, http://www.rotuma.net/os/Temathesis%20in%20Rotuman.pdf 

関連かんれん項目こうもく

[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク

[編集へんしゅう]