信濃電気しなのでんき

信濃電気しなのでんき株式会社かぶしきがいしゃ

本社ほんしゃ跡地あとちに建たつ「発祥はっしょうの地ち」記念きねん碑ひ（2022年ねん）
種類しゅるい	株式会社かぶしきがいしゃ
略称りゃくしょう	信しん電でん
本社ほんしゃ所在地しょざいち	長野ながの県けん上高井かみたかい郡ぐん須坂すざか町まち505番地ばんち
設立せつりつ	1903年ねん（明治めいじ36年ねん）5月12日にち
解散かいさん	1937年ねん（昭和しょうわ17年ねん）3月31日にち （長野ながの電灯でんとうと合併がっぺいし長野ながの電気でんきを設立せつりつ）
業種ぎょうしゅ	電気でんき
事業じぎょう内容ないよう	電気でんき供給きょうきゅう事業じぎょう
歴代れきだい社長しゃちょう	越こし寿三郎じゅさぶろう（1903-1907年ねん） 小野木おのぎ源次郎げんじろう（1907-1912年ねん） 越こし寿三郎じゅさぶろう（1913?-1930年ねん） 名取なとり和作わさく（1930-1931年ねん） 小坂こさか順じゅん造づくり（1931-1937年ねん）
公称こうしょう資本しほん金きん	1700万まん円えん
払込はらいこみ資本しほん金きん	1025万まん円えん
株式かぶしき数すう	旧株きゅうかぶ：16万まん株かぶ（額面がくめん50円えん払込はらいこみ済ずみ） 新株しんかぶ：18万まん株かぶ（12円えん50銭ぜに払込はらいこみ）
総そう資産しさん	2244万まん3338円えん（未払込みはらいこみ資本しほん金きん除のぞく）
収入しゅうにゅう	192万まん510円えん
支出ししゅつ	137万まん9857円えん
純じゅん利益りえき	54万まん5246円えん
配当はいとう率りつ	年率ねんりつ8.0%
株主かぶぬし数すう	3642人にん
主要しゅよう株主かぶぬし	長野ながの電灯でんとう (18.8%)、信濃しなの共栄きょうえい (2.8%)、八十二銀行はちじゅうにぎんこう (2.5%)、西沢にしざわ合資ごうし会社かいしゃ (2.3%)、帝国ていこく生命せいめい保険ほけん (1.9%)
決算けっさん期き	3月がつ末まつ・9月がつ末まつ（年とし2回かい）
特記とっき事項じこう：資本しほん金きん以下いかは1936年ねん9月がつ期き決算けっさん時点じてん

信濃電気しなのでんき株式会社かぶしきがいしゃ（しなのでんき かぶしきがいしゃ、旧きゅう字体じたい：信濃電氣しなのでんき株式會社かぶしきがいしゃ󠄁）は、明治めいじ後期こうきから昭和しょうわ戦前せんぜん期きにかけて存在そんざいした日本にっぽんの電力でんりょく会社かいしゃである。長野ながの県けん北信ほくしん・東あずま信しん地方ちほうに供給きょうきゅうを広ひろげた電力でんりょく会社かいしゃの一ひとつで、上高井かみたかい郡ぐん須坂すざか町まち（現げん・須坂すざか市し）に本社ほんしゃを置おいた。

設立せつりつ・開業かいぎょうは1903年ねん（明治めいじ36年ねん）。信濃川しなのがわ水系すいけい・関川せきかわ水系すいけいの河川かせんに水力すいりょく発電はつでん所しょを建設けんせつし、長野ながの市し内うちの一部いちぶを含ふくむ北信ほくしん地方ちほうの過半かはんと上田うえだ市しを中心ちゅうしんとする東ひがし信しん地方ちほう上田うえだ地域ちいきに電気でんきを供給きょうきゅうした。化学かがく工業こうぎょう事業じぎょうにも関かかわり、明治めいじ期きからカーバイド事業じぎょうを兼営けんえいし、昭和しょうわ期きにはそれを独立どくりつさせた信越しんえつ窒素肥料ちっそひりょう（現げん・信越化学工業しんえつかがくこうぎょう）を傘下さんかに持もった。

1930年ねん（昭和しょうわ5年ねん）に北信ほくしん・東あずま信しん地方ちほうのもう一ひとつの主力しゅりょく電力でんりょく会社かいしゃである長野ながの電灯でんとうの傘下さんかに組くみ込こまれ、1937年ねん（昭和しょうわ12年ねん）に同社どうしゃと合併がっぺいして長野ながの電気でんきとなった。

概要がいよう

信濃電気しなのでんきの広告こうこく（1928年ねん）

信濃電気しなのでんき株式会社かぶしきがいしゃは、1903年ねん（明治めいじ36年ねん）から1937年ねん（昭和しょうわ12年ねん）までの34年間ねんかんにわたり長野ながの県けん北信ほくしん地方ちほうの上高井かみたかい郡ぐん須坂すざか町まち（1954年ねん市制しせい施行しこうで現げん・須坂すざか市し）に存在そんざいした電力でんりょく会社かいしゃである。長野ながの市しを本拠ほんきょとした長野ながの電灯でんとうと並ならぶ北信ほくしん地方ちほうの主要しゅよう電力でんりょく会社かいしゃで、北信ほくしん・東あずま信しん地方ちほうにおける供給きょうきゅうを同社どうしゃと二分にぶんした。

県内けんない最初さいしょの電気でんき事業じぎょう者しゃである長野ながの電灯でんとうに遅おくれること5年ねん、信濃電気しなのでんきは1903年ねん5月がつ須坂すざかに設立せつりつされた。同年どうねん12月がつに開業かいぎょうし、須坂すざかを中心ちゅうしんに徐々じょじょに供給きょうきゅう区域くいきを拡大かくだいしていく。その後ごの20年間ねんかんで、長野ながの県けん北部ほくぶの北信ほくしん地方ちほうでは現在げんざいの長野ながの市し・須坂すざか市し・中野なかの市し・千せん曲きょく市し・小布施おぶせ町まち・山ノ内やまのうち町まち・飯綱いいづな町まち・信濃しなの町まち・坂城さかき町まちなどにあたる地域ちいきを供給きょうきゅう区域くいきに収おさめた。長野ながの市し中心ちゅうしん部ぶに供給きょうきゅうする長野ながの電灯でんとうとは当初とうしょ競合きょうごう関係かんけいにあったが、1910年ねん（明治めいじ43年ねん）以降いこうは協調きょうちょうに転てんじ電力でんりょく需給じゅきゅう関係かんけいが生しょうじた。翌よく1911年ねん（明治めいじ44年ねん）、信濃電気しなのでんきは上田うえだ市しにあった上田うえだ電灯でんとうを合併がっぺいし東ひがし信しん地方ちほうの上田うえだ地域ちいきへと進出しんしゅつ。最終さいしゅう的てきに上田うえだ地域ちいきの大だい部分ぶぶんを供給きょうきゅう区域くいきに加くわえた。

電源でんげんは水力すいりょく発電はつでん所しょを主力しゅりょくとした。発電はつでん所しょは北信ほくしん・東あずま信しん地方ちほうを縦貫じゅうかんする信濃川しなのがわ（千曲川ちくまがわ）の支流しりゅうにあたる河川かせんか、県けん北部ほくぶの新潟にいがた県けん境さかいを流ながれる関川せきかわとその支流しりゅうに構かまえた。総そう出力しゅつりょくは3万まんキロワット超ちょうで、その3分ぶんの2は1920年代ねんだい後半こうはんに集中しゅうちゅうして開発かいはつされた。発電はつでん所しょ数すうは信濃川しなのがわ水系すいけいの方ほうが多おおいが、大型おおがた発電はつでん所しょは関川せきかわ水系すいけいに多おおい。これらの発電はつでん力りょくは管内かんないの電力でんりょく需要じゅように比ひして過大かだいなため、その消化しょうか手段しゅだんとして開業かいぎょう初期しょきからカーバイド工業こうぎょうすなわち電力でんりょくによる炭化たんかカルシウム製造せいぞうを自社じしゃで兼営けんえいした。1926年ねん（大正たいしょう15年ねん）にはカーバイド事業じぎょう拡張かくちょうのため専業せんぎょう大手おおての日本にっぽん窒素肥料ちっそひりょう（後ごのチッソ）との共同きょうどう出資しゅっしによって信越しんえつ窒素肥料ちっそひりょう（1940年ねんに信越化学工業しんえつかがくこうぎょうへ社名しゃめい変更へんこう）を設立せつりつ。翌年よくねんに同社どうしゃが新潟にいがた県けん直江津なおえつに新しん工場こうじょうを完成かんせいさせると信濃電気しなのでんきは自社じしゃカーバイド製造せいぞうを打うち切きるが、それと引ひき換かえに信越しんえつ窒素肥料ちっそひりょうに対たいする大量たいりょうの電力でんりょく供給きょうきゅうを開始かいしした。

社長しゃちょうは須坂すざかで製糸せいし業ぎょうを営いとなむ越こし寿三郎じゅさぶろうが設立せつりつ時じから長年ながねん務つとめたが、越こしは1930年ねん（昭和しょうわ5年ねん）に持株もちかぶを手放てばなして信濃電気しなのでんき・信越しんえつ窒素肥料ちっそひりょう両社りょうしゃの経営けいえいから離はなれた。両社りょうしゃを託たくされたのが長野ながの電灯でんとう経営けいえい者しゃの小坂こさか順じゅん造づくりであり、これを機きに信濃電気しなのでんきは長野ながの電灯でんとうの傘下さんかに入はいった。これに前後ぜんごして昭和しょうわ恐慌きょうこうの影響えいきょうで業績ぎょうせきが悪化あっかするが数すう年ねんで回復かいふく。業績ぎょうせき回復かいふくを待まって1937年ねん（昭和しょうわ12年ねん）に信濃電気しなのでんきと長野ながの電灯でんとうの合併がっぺいが決定けっていされる。同年どうねん3月がつ、両社りょうしゃは新設しんせつ合併がっぺいによって新しん会社かいしゃ・長野ながの電気でんきを設立せつりつし解散かいさんした。後身こうしんにあたる長野ながの電気でんきは短命たんめいで、5年ねん後ごの1942年ねん（昭和しょうわ17年ねん）に戦時せんじ下かの電力でんりょく国家こっか管理かんりによって国策こくさく会社かいしゃ日本にっぽん発はつ送電そうでんおよび中部ちゅうぶ配電はいでんに設備せつびを出資しゅっしして消滅しょうめつした。その後ごの再編さいへんにより旧きゅう信濃電気しなのでんきの供給きょうきゅう区域くいきはおおむね中部電力ちゅうぶでんりょくに引ひき継つがれ、発電はつでん所しょは信濃川しなのがわ水系すいけい分ぶんが中部電力ちゅうぶでんりょく、関川せきかわ水系すいけい分ぶんが東北電力とうほくでんりょくへと移管いかんされている。

沿革えんかく

会社かいしゃ設立せつりつ

須坂すざかの臥竜がりょう公園こうえんにある越こし寿三郎じゅさぶろうの胸像きょうぞう

東京とうきょう電灯でんとうが日本にっぽんで最初さいしょの電気でんき供給きょうきゅう事業じぎょうを開業かいぎょうしてから2年ねんが経たった1889年ねん（明治めいじ22年ねん）、愛知あいち県けん名古屋なごや市しに名古屋なごや電灯でんとう（東邦とうほう電力でんりょくの前身ぜんしん）が開業かいぎょうし、中部ちゅうぶ地方ちほうにおいても電気でんき事業じぎょうの歴史れきしが始はじまった。中部ちゅうぶ地方ちほうでは5年ねん後ごの1894年ねん（明治めいじ27年ねん）から名古屋なごや以外いがいの都市としにも電気でんき事業じぎょうが開業かいぎょうしていくが、東海とうかい地方ちほう側がわが先行せんこうし、長野ながの県けんにまで普及ふきゅうするには時間じかんを要ようした。

長野ながの県けん下かのうち県庁けんちょう所在地しょざいち長野ながの市しにおける電気でんき事業じぎょう起業きぎょうの動うごきは、1894年ねんごろ、戸倉とくら温泉おんせんの開祖かいそでもある坂井さかい量りょう之の助すけによって始はじめられた。坂井さかいは信濃川しなのがわ水系すいけい裾花川すそばながわにおける水力すいりょく発電はつでん所しょ建設けんせつを目指めざし起業きぎょう準備じゅんびを進すすめたが、会社かいしゃ設立せつりつには至いたらず、小坂こさか善之助ぜんのすけを中心ちゅうしんとする長野ながの電灯でんとう発起人ほっきにんらがこれを引ひき継ついだ。長野ながの電灯でんとうは翌よく1897年ねん（明治めいじ30年ねん）に発足ほっそく、1898年ねん（明治めいじ31年ねん）5月11日にち、長野ながの県けんで最初さいしょの電気でんき事業じぎょう者しゃとして開業かいぎょうに至いたった。これ以降いこう、長野ながの県けんでは1902年ねん（明治めいじ35年ねん）にかけて松本まつもと電灯でんとう（東筑摩ひがしちくま郡ぐん松本まつもと町まち）・飯田いいだ電灯でんとう（下伊那しもいな郡ぐん飯田いいだ町まち）・諏訪すわ電気でんき（諏訪すわ郡ぐん上諏訪かみすわ町まち）・上田うえだ電灯でんとう（小県ちいさがた郡ぐん上田うえだ町まち）の順じゅんで新あらたに電気でんき事業じぎょうが開業かいぎょうしていく。こうした流ながれの中なかの1903年ねん（明治めいじ36年ねん）4月がつ28日にち、信濃電気しなのでんき株式会社かぶしきがいしゃが事業じぎょう許可きょかを取得しゅとくした。

事業じぎょう許可きょかから半月はんつき後ごの1903年ねん5月12日にち、信濃電気しなのでんきは長野ながの市しの東方とうほう、信濃川しなのがわ（千曲川ちくまがわ）東岸とうがんにあたる上高井かみたかい郡ぐん須坂すざか町まち（現げん・須坂すざか市し須坂すざか）に設立せつりつされた。社名しゃめいについては須坂すざかの野辺のべ地区ちくに残のこされた工事こうじ関係かんけいの保証書ほしょうしょ（1902年ねん9月がつ付づけ）に「須坂すざか電灯でんとう合資ごうし会社かいしゃ発起人ほっきにん惣そう代だい越こし寿三郎じゅさぶろう」という表記ひょうきがあることから、当初とうしょ計画けいかくの段階だんかいでは「須坂すざか電灯でんとう」を予定よていしていた模様もようである。信濃電気しなのでんきの発起人ほっきにんは以下いかの7名めいからなる。

• 越こし寿三郎じゅさぶろう - 上高井かみたかい郡ぐん須坂すざか町まち、生糸きいと製造せいぞう
• 中沢なかざわ吉よし四郎しろう - 上高井かみたかい郡ぐん須坂すざか町まち、生糸きいと製造せいぞう
• 牧まき新七しんしち - 上高井かみたかい郡ぐん須坂すざか町まち、生糸きいと製造せいぞう兼けん呉服ごふく太物ふともの商しょう、須坂すざか銀行ぎんこう頭取とうどり
• 持田もちだ藤ふじ治郎じろう - 上高井かみたかい郡ぐん須坂すざか町まち、生糸きいと製造せいぞう、信しん陽ひ銀行ぎんこう頭取とうどり
• 西沢にしざわ平八へいはち - 下高井しもたかい郡ぐん中野なかの町まち、鳩ばと慶けい社しゃ銀行ぎんこう頭取とうどり
• 山田やまだ荘そう左衛門さえもん - 下高井しもたかい郡ぐん平野ひらの村むら、大だい地主じぬし
• 飯島いいじま正治しょうじ - 更級さらしな郡ぐん中津なかつ村むら、第だい六ろく十じゅう三さん銀行ぎんこう頭取とうどり

設立せつりつ時じの資本しほん金きんは20万まん円えん。取締役とりしまりやくは発起人ほっきにんのうち越えつ・西沢にしざわ・山田やまだ・飯島いいじまと田中たなか新しん十郎じゅうろう（須坂すざか町まち）・中沢なかざわ四郎しろう三郎さぶろう（長野ながの市し）・長田ながた孝たかし兵衛ひょうえ（上水内かみみのち郡ぐん吉田よしだ村むら）の7名めいで、監査かんさ役やくを含ふくめて役員やくいんはすべて県内けんない北信ほくしん地方ちほうの人物じんぶつが占しめる。初代しょだい社長しゃちょうにはその中なかから越こし寿三郎じゅさぶろうが選えらばれた。越こしは須坂すざかにある製糸せいし会社かいしゃ「俊明としあき社しゃ」の社長しゃちょうで、当時とうじ片倉かたくら佐一さいち・今井いまい五ご介かい兄弟きょうだい（諏訪すわの片倉かたくら組ぐみを経営けいえい）と並ならぶ長野ながの県けん下かの代表だいひょう的てき製糸せいし家かと評ひょうされた人物じんぶつである。

米子よなご発電はつでん所しょ建設けんせつと開業かいぎょう

信濃電気しなのでんきでは、最初さいしょの発電はつでん所しょとして信濃川しなのがわ水系すいけい米子よなご川がわに米子よなご発電はつでん所しょを建設けんせつした。発電はつでん所しょ建設けんせつに関かんしては、会社かいしゃ設立せつりつ前まえの1899年ねん（明治めいじ32年ねん）4月がつ下旬げじゅんに越こし寿三郎じゅさぶろうらが岡崎おかざき電灯でんとう（愛知あいち県けん）の技師ぎしを招まねいて米子川よなこがわから下流かりゅう側がわの下水内しもみのち郡ぐん飯山いいのやま町まち（現げん・飯山いいのやま市し）にかけての範囲はんいを調査ちょうさしたという記録きろくが残のこる。

会社かいしゃ設立せつりつから半年はんとし後ごにあたる1903年ねん12月29日にち、信濃電気しなのでんきは長野ながの県けん下かで6番目ばんめとなる電気でんき事業じぎょう者しゃとして開業かいぎょうした。電源でんげんの米子よなご発電はつでん所しょは出力しゅつりょく120キロワット (kW) で、須坂すざかの南東なんとうにあたる上高井かみたかい郡ぐん仁礼にれい村むら大字だいじ米子よなご（現げん・須坂すざか市し米子よなご）に立地りっち。発電はつでん設備せつびのうち水車みずぐるまには芝浦製作所しばうらせいさくしょ製せいの200馬力ばりき水車みずぐるまを設置せっちした。これは初期しょきの日本にっぽん製せい発電はつでん用水ようすい車しゃの一ひとつであり、羽根はね（ランナー）の設計せっけいに造船ぞうせん学がくの船体せんたい製図せいず法ほうが応用おうようされているという特徴とくちょうも持もつ。発電はつでん機きも芝浦製作所しばうらせいさくしょ製せいであった。発生はっせい電力でんりょくの周波数しゅうはすうについては、長野ながの県けん下かでは50ヘルツと60ヘルツが明治めいじ期きから混在こんざいするが、信濃電気しなのでんきでは長野ながの電灯でんとうと同様どうようの60ヘルツを採用さいようした。

開業かいぎょう当初とうしょの供給きょうきゅう先さきは須坂すざか町内ちょうないとその周辺しゅうへんの集落しゅうらくであった。その後ご供給きょうきゅうは須坂すざか町まちの北きたに位置いちする下高井しもたかい郡ぐん中野なかの町まち（現げん・中野なかの市し）方面ほうめんにも広ひろがっていく。中野なかの町まちにおける供給きょうきゅうは1904年ねん（明治めいじ37年ねん）1月がつに526灯とうを点灯てんとうしたことに始はじまる。早期そうきに中野なかの町まちでも点灯てんとうしたのは同地どうちの有力ゆうりょく者しゃ西沢にしざわ平八へいはちが会社かいしゃの大だい株主かぶぬしであり取締役とりしまりやくにも名なを連つらねることによる。この下高井しもたかい郡ぐん側がわでは「高井たかい電灯でんとう」という別個べっこの事業じぎょう計画けいかくがあったが、信濃電気しなのでんきが高井たかい電灯でんとう側がわへ650円えんを交付こうふする代かわりに信濃電気しなのでんきによる供給きょうきゅうを認みとめる、という内容ないようの調停ちょうていが成立せいりつしていた。

信濃電気しなのでんきの電灯でんとう数かずは開業かいぎょう間あいだもない1904年ねんに2000灯とうを突破とっぱした。電灯でんとう供給きょうきゅうに加くわえて同年どうねん中ちゅうに動力どうりょく用よう電力でんりょくの供給きょうきゅうも開始かいししている。須坂すざかの主力しゅりょく産業さんぎょうである製糸せいし業ぎょうにおいて、電灯でんとうは火災かさいの不安ふあんがない安全あんぜんな照明しょうめいとして石油せきゆランプを置おき換かえ、電動でんどう力りょくも水車みずぐるま動力どうりょくに代かわる機械きかい動力どうりょくとして次第しだいに普及ふきゅうしていった。須坂すざかにある製糸せいし工場こうじょうの電動でんどう化かは周辺しゅうへん地域ちいきに先さきんじて進行しんこうしており、1909年ねん（明治めいじ42年ねん）には5工場こうじょうを数かぞえたという。

供給きょうきゅう区域くいきの拡張かくちょう

1907年ねんより信濃電気しなのでんき社長しゃちょうを務つとめた小野木おのぎ源次郎げんじろう

信濃電気しなのでんきでは西進せいしんして長野ながの市し方面ほうめんへの進出しんしゅつを試こころみるにあたり、米子よなご発電はつでん所しょだけでは供給きょうきゅう力不足ちからぶそくであることから第だい二にの発電はつでん所しょとなる高沢たかさわ発電はつでん所しょの建設けんせつに踏ふみ切きった。着工ちゃっこうは1905年ねん（明治めいじ38年ねん）9月がつ、運転うんてん開始かいしは翌よく1906年ねん（明治めいじ39年ねん）8月がつ10日とおかからである。所在地しょざいちは上水内かみみのち郡ぐん信濃しなの尻しり村むら大字だいじ野尻のじり（現げん・信濃しなの町まち野尻のじり）で、新潟にいがた県けんとの県境けんきょうとなっている関川せきかわ上流じょうりゅう部ぶに位置いちする。当初とうしょの発電はつでん所しょ出力しゅつりょくは600 kW。発電はつでん所しょには電圧でんあつを14キロボルトに引ひき上あげる昇圧しょうあつ変圧へんあつ器きが置おかれ、吉田よしだ変電へんでん所しょ（所在地しょざいち：上水内かみみのち郡ぐん吉田よしだ村むら）に降圧こうあつ変圧へんあつ器きが置おかれた。

逓信ていしん省しょうの資料しりょうによると、高沢たかさわ発電はつでん所しょ完成かんせい後ごの1908年ねん（明治めいじ41年ねん）末まつ時点じてんにおける信濃電気しなのでんきの供給きょうきゅう区域くいきは須坂すざか町まち・中野なかの町まちのほか長野ながの市し近郊きんこうの上水内かみみのち郡ぐん吉田よしだ村むら・三輪みわ村むら・芹田せつだ村むらなど、千曲川ちくまがわ（信濃川しなのがわ）上流じょうりゅう側がわの更級さらしな郡ぐん布施ふせ村むら・稲荷山いなりやま町まちや埴科はにしな郡ぐん松代まつだい町まち・屋代やしろ町まちを含ふくむ27町村ちょうそんに及およぶ。加くわえて長野ながの電灯でんとう区域くいきと重複じゅうふくする形かたちで長野ながの市内しない一いち円えんに電力でんりょく供給きょうきゅう区域くいき（電灯でんとう供給きょうきゅう不可ふか）も設定せっていしていた。大型おおがた発電はつでん所しょの建設けんせつを進すすめる信濃電気しなのでんきの積極せっきょく経営けいえいとは対照たいしょう的てきに、長野ながの電灯でんとうでは需要じゅよう増加ぞうかにあわせて発電はつでん所しょの増設ぞうせつを重かさねるという堅実けんじつ経営けいえいの路線ろせんを進すすんでおり、同おなじ1908年ねん末まつ段階だんかいでも供給きょうきゅう区域くいきは長野ながの市内しないのほかには上水内かみみのち郡ぐん芋いも井村いむら・安茂里あもり村むらと長野ながの駅えき構内こうない（芹田せつだ村むら所在しょざい）に限かぎられた。積極せっきょく経営けいえいの信濃電気しなのでんきでは長野ながの市内しない進出しんしゅつを強つよめるべく1906年ねん5月がつに長野ながの市し西後にしご町まちへ支店してんを開設かいせつしている。

信濃電気しなのでんきの電灯でんとう数すうは1907年ねん（明治めいじ40年ねん）に5000灯とうを超こえ、翌年よくねんには1万まん灯とうも超こえた。さらに高沢たかさわ発電はつでん所しょの新設しんせつを機きに、その発電はつでん力りょくを活用かつようする新あらたな需要じゅようとして直営ちょくえいで炭化たんかカルシウム（カーバイド）事業じぎょうを起おこした。工場こうじょうを上水内かみみのち郡ぐん吉田よしだ村むらの信越本線しんえつほんせん吉田よしだ駅えき（現げん・しなの鉄道てつどう北長野きたながの駅えき）前まえに設置せっちしてアセチレンランプなどに使用しようされるカーバイドの生産せいさんを始はじめたのである。このカーバイド工業こうぎょうは日本にっぽん国内こくないにおいては1902年ねんに宮城みやぎ紡績ぼうせき電灯でんとう（宮城みやぎ県けん）で工業こうぎょう的てき生産せいさんが始はじまったばかりという新興しんこう産業さんぎょうであった。1907年ねんは272.5トンのカーバイドを製造せいぞうしたという記録きろくが残のこる。カーバイド以外いがいにも吉田よしだ工場こうじょうはカーバイド炉ろ用ようの黒鉛こくえん電極でんきょくを自製じせいする設備せつびも持もった。

経営けいえい面めんでは1907年ねん3月がつに30万まん円えんの増資ぞうしを決議けつぎし、資本しほん金きんを50万まん円えんとした。同年どうねん中ちゅうの出来事できごととしては他たには社長しゃちょうの交代こうたいもあり、家業かぎょう多忙たぼうを理由りゆうとして越こし寿三郎じゅさぶろうが退任たいにんして元もと長野ながの県けん警務けいむ部長ぶちょうの小野木おのぎ源次郎げんじろうが後任こうにん社長しゃちょうに就ついた。

なお、信濃電気しなのでんきが高沢たかさわ発電はつでん所しょを建設けんせつした関川せきかわでは、1907年ねん5月がつになって下流かりゅう側がわ（新潟にいがた県けん側がわ）に新潟にいがた県けん高田たかだ市し（現げん・上越じょうえつ市し）所在しょざいの上越じょうえつ電気でんき、後ごの中央ちゅうおう電気でんきによって蔵々ぞうぞう発電はつでん所しょが建設けんせつされた。同社どうしゃは1910年ねん9月がつより県境けんきょうを越こえて長野ながの県けん下水内しもみのち郡ぐん飯山いいのやま町まちへの供給きょうきゅうを開始かいししており、北信ほくしん地方ちほうの町まちの中なかで飯山いいのやま町まちだけは信濃電気しなのでんきや長野ながの電灯でんとうの供給きょうきゅう区域くいきに含ふくまれていない。また反対はんたいに、新潟にいがた県けん側がわは上越じょうえつ電気でんきの供給きょうきゅう区域くいきであるが、高沢たかさわ発電はつでん所しょの対岸たいがんにあたる中ちゅう頸城郡ぐん杉野すぎの沢村さわむら（現げん・妙高みょうこう市し杉野すぎの沢さわ）に限かぎり後ごに信濃電気しなのでんきが供給きょうきゅうを始はじめた。新潟にいがた県内けんないにおける信濃電気しなのでんきの供給きょうきゅう区域くいきはこの杉すぎ野沢のざわ村むら1村むらのみである。

上田うえだ電灯でんとうの合併がっぺい

「上田うえだ電灯でんとう」も参照さんしょう

1910年ねん（明治めいじ43年ねん）3月がつになり、長野ながの電灯でんとうとの間あいだに長野ながの県知事けんちじなどの調停ちょうていによって供給きょうきゅう区域くいきの棲すみ分わけに関かんする契約けいやくが成立せいりつした。その内容ないようは、信濃電気しなのでんきは長野ながの市内しないにおける設備せつび・供給きょうきゅう権けんを長野ながの電灯でんとうへと売却ばいきゃくするが、長野ながの電灯でんとうは信濃電気しなのでんきから最低さいてい200 kW・最大さいだい1,000 kWの電力でんりょくを購入こうにゅうする、というものである。協調きょうちょう関係かんけいの成立せいりつにより信濃電気しなのでんきは長野ながの市内しない進出しんしゅつを断念だんねんし、1910年ねん5月がつに長野ながの支店してんも廃止はいしした。こうして長野ながの市内しないへの進出しんしゅつが不可能ふかのうとなった信濃電気しなのでんきでは、県内けんないの東あずま信しん地方ちほうに販路はんろを求もとめて翌よく1911年ねん（明治めいじ44年ねん）上田うえだ電灯でんとうの合併がっぺいに踏ふみ切きった。この上田うえだ電灯でんとうは、先さきに触ふれた通とおり信濃電気しなのでんきよりも古ふるい県内けんない5番目ばんめの電気でんき事業じぎょう者しゃにあたる。

上田うえだ電灯でんとう株式会社かぶしきがいしゃは、1900年ねん（明治めいじ33年ねん）10月がつ14日にち、小県ちいさがた郡ぐん上田うえだ町まち（現げん・上田うえだ市し）に資本しほん金きん5万まん円えんで設立せつりつされた。設立せつりつ時じの役員やくいんはほとんどが上田うえだの人物じんぶつで、南川みなみかわ治おさむ三郎さぶろうが専務せんむ取締役とりしまりやくを務つとめる。上田うえだ電灯でんとうでは信濃川しなのがわ水系すいけい神川かみかわを利用りようする水力すいりょく発電はつでん所しょを小県ちいさがた郡ぐん神かみ科か村むらに建設けんせつし、1902年ねん8月がつ11日にちより上田うえだ町まちへの電灯でんとう供給きょうきゅうを開業かいぎょうした。当初とうしょの発電はつでん所しょは畑山はたやま発電はつでん所しょといい、出力しゅつりょくは開業かいぎょう時じ60 kW、1904年ねん4月がつ以降いこうは120 kW。これを電源でんげんに2000灯とう余あまりの電灯でんとうを取とり付つけたが、供給きょうきゅう区域くいき内ないの人家じんかに対たいし約やく3分ぶんの1に点灯てんとうした時点じてんで新規しんき需要じゅように応おうじられなくなったことから、神川かみかわ上流じょうりゅう側がわにあたる小県ちいさがた郡ぐん長村おさむらでの新しん発電はつでん所しょ建設けんせつを計画けいかく、横沢よこざわ発電はつでん所しょとして1910年ねん11月に竣工しゅんこうさせた。新しん発電はつでん所しょの出力しゅつりょくは400 kWである。

上田うえだ電灯でんとうの経営けいえい陣じんは設立せつりつ以来いらい頻繁ひんぱんに交代こうたいしており、1902年ねんの役員やくいん録ろくでは長野ながの市しの森田もりた斐雄が社長しゃちょうを務つとめる（取締役とりしまりやくの一人ひとりに戸倉とくらの坂井さかい量りょう之の助すけ）とあり、1905年ねん時点じてんでは北佐久きたさく郡ぐん小沼おぬま村むらの中山なかやま禎ただし次郎じろうが、1907年ねん時点じてんでは小県ちいさがた郡ぐん県けん村むらの小しょう野栄のさか左衛門さえもんが社長しゃちょうである。会社かいしゃの資本しほん金きんは最終さいしゅう的てきに20万まん円えんとなった。信濃電気しなのでんきとの合併がっぺい交渉こうしょうは、1911年ねん7月がつに発生はっせいした土砂崩どしゃくずれによって横沢よこざわ発電はつでん所しょが発電はつでん停止ていしに陥おちいった際さいに、信濃電気しなのでんきから派遣はけんされた技師ぎしの助力じょりょくを得えたことを契機けいきとして始はじめられた。当時とうじ、上田うえだ電灯でんとうは横沢よこざわ発電はつでん所しょ完成かんせいを機きに上田うえだ周辺しゅうへん地域ちいきへと拡大かくだい中ちゅう、信濃電気しなのでんきは小県ちいさがた郡ぐん南部なんぶへの進出しんしゅつを計画けいかく中ちゅうであった。両社りょうしゃは8月がつ合併がっぺい仮かり契約けいやく調印ちょういんに至いたり、3か月げつ後ごの同年どうねん11月がつ22日にち付づけで信濃電気しなのでんきは上田うえだ電灯でんとうを合併がっぺいした。合併がっぺいに伴ともなう信濃電気しなのでんきの増資ぞうしは20万まん円えん。信濃電気しなのでんきは合併がっぺい後ごの29日にち付づけで上田うえだ町まちに支店してんを開設かいせつしている。

上田うえだ電灯でんとう合併がっぺい前まえの1911年ねん4月がつ、信濃電気しなのでんきでは75万まん円えんの増資ぞうしを決議けつぎした（ただし増資ぞうし手続てつづきの結ゆい了りょうは合併がっぺい後ごの1912年ねん2月がつ）。上田うえだ電灯でんとう合併がっぺい分ぶんとをあわせて信濃電気しなのでんきの資本しほん金きんは145万まん円えんとなっている。経営けいえい面めんでは加くわえて小野木おのぎ源次郎げんじろうが翌よく1912年ねん（大正たいしょう元年がんねん）12月に辞職じしょくし、翌よく1913年ねん（大正たいしょう2年ねん）1月がつ補欠ほけつ取締役とりしまりやくに丸山まるやま盛雄もりおが選任せんにんされた。1913年ねん時点じてんの役員やくいん録ろくには越こし寿三郎じゅさぶろうが社長しゃちょうに戻もどり、新任しんにんの丸山まるやまが副ふく社長しゃちょうを務つとめるとある。

上田うえだ電灯でんとうの合併がっぺいとあわせて信濃電気しなのでんきの供給きょうきゅう区域くいきは東あずま信しん地方ちほうのうち上田うえだ地域ちいきやその外縁がいえん部ぶへと拡大かくだいした。上田うえだ地域ちいきでは1911年ねん11月より小県ちいさがた郡ぐん丸子まりこ村むら（現げん・上田うえだ市し）や県けん村むら（現げん・東ひがし御ご市し）などでの供給きょうきゅうを始はじめ、次ついで1914年ねん（大正たいしょう3年ねん）7月がつより小県ちいさがた郡ぐん南部なんぶの長久保ながくぼ新町しんまち（現げん・長和おさわ町まち）でも点灯てんとう。既存きそん区域くいきと上田うえだ方面ほうめんの間あいだにある埴科はにしな郡ぐん坂城さかき町まちでは1912年ねん（明治めいじ45年ねん）5月がつ末まつより、同どう郡ぐん戸倉とくら村むら（現げん・千せん曲きょく市し）では1913年ねん11月よりそれぞれ供給きょうきゅうを開始かいししている。その一方いっぽう、上田うえだ地域ちいきの東側ひがしがわにあたる東あずま信しん地方ちほう佐久さく地域ちいきには長野ながの電灯でんとうが進出しんしゅつし、北佐久きたさく郡ぐん岩村田いわむらだ町まち（現げん・佐久さく市し）に佐久さく支社ししゃを設置せっちして1912年ねん12月より開業かいぎょうしており、信濃電気しなのでんきの供給きょうきゅう区域くいきには入はいっていない。

1910年代ねんだいの発電はつでん規模きぼ拡大かくだい

1919年ねん頃ごろから副ふく社長しゃちょうを務つとめた小田切おだぎり磐いわお太郎たろう

1910年代ねんだい前半ぜんはんの電源でんげん増強ぞうきょうは関川せきかわにある高沢たかさわ発電はつでん所しょの増強ぞうきょうによって賄まかなわれた。前述ぜんじゅつの通とおり高沢たかさわ発電はつでん所しょの出力しゅつりょくは1906年ねんの完成かんせい当初とうしょ600 kWであったが、1911年ねんに900 kWとなり、さらに1913年ねんに3,950 kWへと引ひき上あげられた。増強ぞうきょう後ごの高沢たかさわ発電はつでん所しょは5台だいの発電はつでん機きを擁ようする発電はつでん所しょとなり、発電はつでん所しょから約やく22キロメートル離はなれた吉田よしだ変電へんでん所しょと約やく61キロメートル離はなれた大屋おおや変電へんでん所しょ（上田うえだ町まちに隣接りんせつする神川かみかわ村むらに設置せっち）へと送電そうでんする体制たいせいが整ととのえられた。この時点じてんでの電源でんげんは水力すいりょく発電はつでん所しょ4か所しょ・総そう出力しゅつりょく4,590 kWである。

電源でんげん増強ぞうきょうとともに供給きょうきゅう成績せいせきも伸長しんちょうし続つづけた。電灯でんとう数すうは1915年ねんに5万まん灯とうを超こえ、そこから3年ねん半はん後ごの1919年ねん（大正たいしょう8年ねん）には10万まん灯とうに到達とうたつする。電力でんりょく供給きょうきゅうも1918年ねんに1000馬力ばりきを超こえている。電灯でんとう供給きょうきゅうに関かんしては、この時期じき、白熱はくねつ電球でんきゅうのうち発光はっこう部分ぶぶん（「フィラメント」という）に金属きんぞく線せんを用もちいる金属きんぞく線せん電球でんきゅうの普及ふきゅうがみられた。金属きんぞく線せん電球でんきゅうは発光はっこう部分ぶぶんに炭素たんそ線せんを用もちいる旧来きゅうらいの炭素たんそ線せん電球でんきゅうに比くらべて著いちじるしく高こう効率こうりつ・長寿ちょうじゅ命いのちの電球でんきゅうであり、タングステン電球でんきゅう（発光はっこう部分ぶぶんにタングステン線せんを用もちいる電球でんきゅう）の場合ばあいには炭素たんそ線せん電球でんきゅうに比ひして約やく3分ぶんの1の消費しょうひ電力でんりょくで済すむという特徴とくちょうを持もつ。信濃電気しなのでんきにおける金属きんぞく線せん電球でんきゅうの利用りようは、逓信ていしん省しょうの資料しりょうによると1913年ねん時点じてんでは常時じょうじ灯とう全体ぜんたいの1.5パーセントを占しめるに過すぎなかったが、1919年ねん時点じてんでは反対はんたいに炭素たんそ線せん電球でんきゅうが約やく3パーセント残のこるのみとなった。副業ふくぎょうのカーバイド事業じぎょうも拡大かくだいしており、1912年ねん（明治めいじ45年ねん）には吉田よしだ工場こうじょうを拡張かくちょうして生産せいさん能力のうりょくを倍増ばいぞうし、翌年よくねんにも再さい増設ぞうせつを行おこなった。当時とうじ、カーバイドはアセチレンランプに加くわえてアセチレンガス溶接ようせつ・溶断ようだんという新あらたな需要じゅようが生しょうじていた。

1919年ねん4月がつ、杉野すぎの沢さわ発電はつでん所しょが新あらたに竣工しゅんこうした。高沢たかさわ発電はつでん所しょから見みて関川せきかわの約やく4キロメートル下流かりゅう側がわに位置いちするが、高沢たかさわ発電はつでん所しょとは異ことなり新潟にいがた県けん側がわ（関川せきかわ北岸ほくがん）の中なか頸城郡ぐん名香めいこう山村さんそん大字だいじ関川せきかわ（現げん・妙高みょうこう市し関川せきかわ）に立地りっちする。発電はつでん所しょ出力しゅつりょくは5,400 kWである。また杉野すぎの沢さわ発電はつでん所しょ建設けんせつを機きに、長野ながの県けん上水内かみみのち郡ぐん柏原かしわばら村むら（現げん・信濃しなの町まち柏原かしわばら）の信越本線しんえつほんせん柏原かしわばら駅えき（現げん・しなの鉄道てつどう黒姫くろひめ駅えき）隣接りんせつ地ちに2か所しょ目めのカーバイド工場こうじょうとして柏原かしわばら工場こうじょうが同年どうねん5月がつに新設しんせつされた。柏原かしわばら工場こうじょうの消費しょうひ電力でんりょくは最大さいだい6,000 kWで、吉田よしだ工場こうじょうの4倍ばいとなる日産にっさん約やく36トンのカーバイド生産せいさん能力のうりょくを擁ようする。さらに柏原かしわばら工場こうじょう建設けんせつに関連かんれんしてカーバイド製造せいぞうに用もちいる木炭もくたんを乾留かんりゅう法ほうによって製造せいぞうすべく下高井しもたかい郡ぐん夜間瀬よませ村むら（現げん・山ノ内やまのうち町まち）に高井たかい工場こうじょうも建設けんせつされた。ただし高井たかい工場こうじょうについては第だい一いち次じ世界せかい大戦たいせん終結しゅうけつによる副ふく生品なましなの価格かかく暴落ぼうらくのため短期間たんきかんで休止きゅうしされている。

経営けいえい面めんでは、1917年ねん（大正たいしょう6年ねん）4月がつに55万まん円えんの増資ぞうしを決議けつぎし、さらに1919年ねん4月がつにも200万まん円えんの増資ぞうしを決議けつぎして、資本しほん金きんを400万まん円えんに引ひき上あげた。また経営けいえい陣じんのうち副ふく社長しゃちょうに異動いどうがあり、1920年ねんの役員やくいん録ろくでは丸山まるやま盛雄もりおではなく小田切おだぎり磐いわお太郎たろうが副ふく社長しゃちょうを務つとめるとある。

1920年代ねんだいの発電はつでん規模きぼ拡大かくだい

樽川たるかわ発電はつでん所しょ（2010年ねん）

霞沢かすみざわ発電はつでん所しょ（2008年ねん）

1922年ねん（大正たいしょう11年ねん）春はる、関川せきかわの高沢たかさわ発電はつでん所しょが火災かさいに遭あった。その復旧ふっきゅう工事こうじはただちに着手ちゃくしゅされ、年内ねんないに一部いちぶが完了かんりょう、翌よく1923年ねん（大正たいしょう12年ねん）4月がつまでにすべて竣工しゅんこうし、焼失しょうしつ前まえより100 kW増ぞうとなる出力しゅつりょく4,050 kWの発電はつでん所しょとして復旧ふっきゅうされた。続つづいて1923年ねん8月がつ、樽川たるかわ発電はつでん所しょが竣工しゅんこうした。北信ほくしん地方ちほうの下高井しもたかい郡ぐん上木島かみきじま村むら（現げん・木島平きじまだいら村むら）にあり、信濃川しなのがわ水系すいけいの樽川たるかわや支流しりゅう倉下くらした川がわから取水しゅすいする発電はつでん所しょである。当初とうしょの発電はつでん所しょ出力しゅつりょくは960 kWに設定せっていされた。発電はつでん所しょ新しん増設ぞうせつの一方いっぽうで、開業かいぎょう時じからの発電はつでん所しょである米子よなご発電はつでん所しょは1923年ねん4月がつに廃止はいしされた。これは米子川よなこがわ上流じょうりゅうにある米子よなご鉱山こうざん（硫黄いおう鉱山こうざん）から流出りゅうしゅつした鉱毒こうどくによって機械きかいの腐食ふしょくが進行しんこうしたためである。

1925年ねん（大正たいしょう14年ねん）秋あき、長野ながの電灯でんとう佐久さく支社ししゃとの間あいだで相互そうごに電力でんりょくを融通ゆうずうするための設備せつびとして、長野ながの電灯でんとう側がわで小諸こもろ変電へんでん所しょ（北佐久きたさく郡ぐん小諸こもろ町まち）の増設ぞうせつ工事こうじ、信濃電気しなのでんき側がわで大屋おおや・小諸こもろ間あいだの送電そうでん線せん新設しんせつ工事こうじが施工しこうされた。次ついで同年どうねん12月がつ、樽川たるかわ発電はつでん所しょに続つづく自社じしゃ発電はつでん所しょとして鳥居川とりいがわ発電はつでん所しょが運転うんてんを開始かいしした。当初とうしょの発電はつでん所しょ出力しゅつりょくは1,000 kW。長野ながの県けん北部ほくぶの上水内かみみのち郡ぐん柏原かしわばら村むらにあり、信濃電気しなのでんきが信濃川しなのがわ水系すいけい鳥居川とりいがわに最初さいしょに建設けんせつした発電はつでん所しょになる。次ついで翌よく1926年ねん（大正たいしょう15年ねん）12月1日にち付づけで武石たけいし電力でんりょく興業こうぎょうから同社どうしゃ経営けいえいの電気でんき事業じぎょうを譲ゆずり受うけた。武石たけいし電力でんりょく興業こうぎょうは武石たけいし発電はつでん所しょ（出力しゅつりょく200 kW）を建設けんせつした会社かいしゃで、1925年ねん7月がつ2日にち付づけで資本しほん金きん30万まん円えんをもって小県ちいさがた郡ぐん丸子まりこ町まち大字だいじ上丸子かみまるこに設立せつりつされていた。この事業じぎょう統合とうごうで信濃電気しなのでんきへと移管いかんされた武石たけいし発電はつでん所しょは、小県ちいさがた郡ぐん武石たけいし村むら（現げん・上田うえだ市し）を流ながれる信濃川しなのがわ水系すいけい武石川たけしがわ（依田川よだかわの支流しりゅう）にあり、1926年ねん4月がつに竣工しゅんこうした。

昭和しょうわに入はいった後のちも信濃電気しなのでんきは発電はつでん力りょくを拡大かくだいしていく。関川せきかわでは、1927年ねん（昭和しょうわ2年ねん）7月がつ、高沢たかさわ第だい一いち発電はつでん所しょに隣接りんせつする高沢たかさわ第だい二に発電はつでん所しょが竣工しゅんこうした。高沢たかさわ第だい一いち発電はつでん所しょの上流じょうりゅう側がわに取水しゅすい口こうを設もうけて別個べっこの水路すいろにて導水どうすいし発電はつでんするもので、その出力しゅつりょくは10,800 kWに及およぶ。関川せきかわにはさらに高沢たかさわ発電はつでん所しょの上流じょうりゅう側がわに西野にしの発電はつでん所しょ（出力しゅつりょく3,000 kW）が、支流しりゅう清水沢しみずさわに清水沢しみずさわ発電はつでん所しょ（出力しゅつりょく400 kW）が建設けんせつされた。西野にしの発電はつでん所しょは1930年ねん（昭和しょうわ5年ねん）2月がつに運転うんてんを開始かいし。関川せきかわ下流かりゅうに発電はつでん所しょを持もつ中央ちゅうおう電気でんきと共同きょうどう貯水池ちょすいちを設もうけるべく共同きょうどう開発かいはつした笹ヶ峰ささがみねダムから主おもに取水しゅすいし発電はつでんする。一方いっぽうの清水沢しみずさわ発電はつでん所しょは同年どうねん12月がつの運転うんてん開始かいしで、清水沢しみずさわに設置せっちされた調整ちょうせい池ちを活用かつようして発電はつでんする。

信濃川しなのがわ水系すいけい鳥居川とりいがわでは、鳥居川とりいがわ第だい一いち発電はつでん所しょに続つづいて上流じょうりゅう部ぶに鳥居川とりいがわ第だい三さん発電はつでん所しょ（出力しゅつりょく2,000 kW）、その一ひとつ下流かりゅうに鳥居川とりいがわ第だい二に発電はつでん所しょ（出力しゅつりょく2,000 kW）、そして第だい一いち発電はつでん所しょの下流かりゅう側がわに鳥居川とりいがわ第だい四よん発電はつでん所しょ（出力しゅつりょく670 kW）が整備せいびされた。上流じょうりゅう側がわの鳥居川とりいがわ第だい三さん・第だい二に両りょう発電はつでん所しょは川かわの最さい上流じょうりゅう部ぶに設置せっちされた古池ふるいけ貯水池ちょすいち（種池たねいけに隣接りんせつ）とともに1928年ねん（昭和しょうわ3年ねん）6月がつに運転うんてんを開始かいし。下流かりゅう側がわの鳥居川とりいがわ第だい四よん発電はつでん所しょは1930年ねん4月がつより運転うんてんを始はじめた。加くわえて1928年ねん12月には上田うえだ地域ちいきにて横沢よこざわ第だい二に発電はつでん所しょ（出力しゅつりょく280 kW）も新設しんせつされた。同どう発電はつでん所しょは横沢よこざわ第だい一いち発電はつでん所しょと同おなじく小県ちいさがた郡ぐん長村おさむら、信濃川しなのがわ水系すいけい神川かみかわに位置いちする。

発電はつでん所しょ新しん増設ぞうせつの結果けっか、信濃電気しなのでんきの発電はつでん力りょくは合計ごうけい33,060 kW（1931年ねん以降いこう）へと拡大かくだいした。これは5年ねん前まえと比くらべ2.5倍ばい増ぞうという水準すいじゅんである。さらに自社じしゃ発電はつでん所しょとは別べつに、長野ながの電灯でんとうと共同きょうどうで梓川あずさがわ電力でんりょくという電力でんりょく会社かいしゃを新設しんせつし、同社どうしゃを通つうじて1928年ねん10月がつに信濃川しなのがわ水系すいけい犀川さいがわ（梓川あずさがわ）にて霞沢かすみざわ発電はつでん所しょを完成かんせいさせた。最大さいだい出力しゅつりょく31,100 kWという大型おおがた発電はつでん所しょで、南安曇みなみあずみ郡ぐん安曇あずみ村むら（現げん・松本まつもと市し安曇あずみ）に立地りっちする。この霞沢かすみざわ発電はつでん所しょの発生はっせい電力でんりょくは、信濃電気しなのでんき・長野ながの電灯でんとう両社りょうしゃでは自社じしゃ消化しょうかできる需要じゅようがないことと周辺しゅうへんにある既設きせつ送電そうでん系統けいとうの都合つごうから、一括いっかつして関東かんとう地方ちほうの大手おおて電力でんりょく会社かいしゃである東京とうきょう電灯でんとうへと売うれ電でんされた。

電力でんりょく利用りようの多様たよう化か

前述ぜんじゅつの通とおり、信濃電気しなのでんきの電灯でんとう数すうは1919年ねんに10万まん灯とうに達たっしていたが、そこから2年ねん半はん後ごの1921年ねん（大正たいしょう10年ねん）には倍ばいの20万まん灯とうに到達とうたつした。一般いっぱん電力でんりょく供給きょうきゅうも同どう時期じきに3000馬力ばりき台だいへ到達とうたつしている。電灯でんとう数すうについてはその後ごは増加ぞうか率りつが鈍化どんかするが、1925年ねん3月がつ期きに25万まん灯とうへ到達とうたつする。一方いっぽうの一般いっぱん電力でんりょく供給きょうきゅうについては引ひき続つづき増加ぞうかをみせ、1927年ねん3月がつ末まつには6007馬力ばりき（約やく4,480 kW）を数かぞえた。また1910年ねんから続つづく長野ながの電灯でんとうに対たいする電力でんりょく供給きょうきゅうは1925年ねん3月がつの契約けいやく更改こうかいに際さいして従来じゅうらいの1,000 kWから1,500 kWへと供給きょうきゅう高だかが引ひき上あげられた。5年ねん後ごの1930年ねん末まつ時点じてんでは、長野ながの市内しないでの長野ながの電灯でんとうに対たいする供給きょうきゅうはさらに1,000 kW増ぞうの2,500 kWとなっている。

1920年代ねんだいに入はいると信濃電気しなのでんき管内かんないにも電気でんき鉄道てつどうが出現しゅつげんした。まず1921年ねん6月がつ、上田うえだ地域ちいき南部なんぶ（千曲川ちくまがわ南側みなみがわ）の交通こうつう機関きかんとして上田うえだ温泉おんせん電でん軌（会社かいしゃは現げん・上田うえだ交通こうつう）が開業かいぎょうする。同社どうしゃに対たいする信濃電気しなのでんきの供給きょうきゅう電力でんりょくは当初とうしょ200 kW、上田うえだ地域ちいき北部ほくぶへの路線ろせんも開通かいつうした後のちの1930年ねん末まつ時点じてんでは550 kW。次ついで1924年ねん（大正たいしょう13年ねん）3月がつ、上田うえだと丸子まりこ町まちを結むすぶ丸子まるこ鉄道てつどう（1918年ねん11月開業かいぎょう）が電化でんか開業かいぎょうした。同社どうしゃに対たいする供給きょうきゅう電力でんりょくは1930年ねん末まつ時点じてんで300 kWである。北信ほくしん地方ちほうにおいても1926年ねん1月がつに河東かわとう鉄道てつどう（年内ねんないに長野ながの電鉄でんてつと改称かいしょう）が電化でんか開業かいぎょうした。同社どうしゃでは電化でんか開業かいぎょうにあわせて沿線えんせんにあたる信濃川しなのがわ水系すいけい樽川たるかわに樽川たるかわ第だい一いち発電はつでん所しょを建設けんせつ、後のちに樽川たるかわ第だい二に発電はつでん所しょも追加ついかして、総そう出力しゅつりょく1,580 kWの自社じしゃ水力すいりょく発電はつでん所しょを持もった。両りょう発電はつでん所しょからの送電そうでん線せんは信濃電気しなのでんき樽川たるかわ発電はつでん所しょを起点きてんとする送電そうでん線せんに合流ごうりゅうしており、長野ながの電鉄でんてつは形式けいしき的てきには信濃電気しなのでんきからの受電じゅでん（1930年ねん末まつ時点じてんでは1,100 kW）を鉄道てつどうの電源でんげんとする。

1920年ねん後半こうはんになると、信濃電気しなのでんきから受電じゅでんし工場こうじょうを操業そうぎょうする化学かがく工業こうぎょう会社かいしゃが2社しゃ相次あいついで出現しゅつげんした。一ひとつは、元もと技師ぎし長ちょう・常務じょうむ取締役とりしまりやくの高橋たかはし武たけ太郎たろうが独立どくりつし起業きぎょうした大正たいしょう電気でんき製せい錬ね所ところ（現げん・信濃電気しなのでんき製せい錬ね）である。信濃電気しなのでんきからの受電じゅでんによる銑鉄せんてつ（低ひくリン銑鉄せんてつ）製造せいぞうを起業きぎょう目的もくてきとしたが、起業きぎょう直後ちょくごの第だい一いち次じ世界せかい大戦たいせん終結しゅうけつで事業じぎょう継続けいぞくが困難こんなんとなり、1921年ねん12月の会社かいしゃ組織そしき化かと長ながい休眠きゅうみん期間きかんを経へて事業じぎょう目的もくてきを転てんじ電気でんき炉ろによる研削けんさく材ざい（溶融ようゆうアルミナ・炭化たんかケイ素けいそ）製造せいぞうを始はじめた。研削けんさく材ざいの試作しさく開始かいしは1926年ねん、事業じぎょう本格ほんかく化かは1928年ねんのことである。工場こうじょうは信濃電気しなのでんき柏原かしわばら工場こうじょうの西にし隣となり（裏側うらがわ）にあり、信濃電気しなのでんきからの供給きょうきゅう電力でんりょくは1,800 kW（1930年ねん末まつ時点じてん）であった。化学かがく工業こうぎょう会社かいしゃのもう一ひとつは信越しんえつ窒素肥料ちっそひりょう、後ごの信越化学工業しんえつかがくこうぎょうである。同社どうしゃについては後述こうじゅつする。

供給きょうきゅう区域くいきについて見みると、北信ほくしん地方ちほうでは1923年ねん7月がつより下水内しもみのち郡ぐん岡山おかやま村むら大字だいじ一いち山やま（現げん・飯山いいのやま市し一いち山やま）で、東あずま信しん地方ちほうでは1924年ねん11月より北佐久きたさく郡ぐん北御牧きたみまき村むら（現げん・東ひがし御ご市し）の郷さと仕つかまつ川原かわら集落しゅうらくでそれぞれ供給きょうきゅうを開始かいしした。前者ぜんしゃは自社じしゃ供給きょうきゅう区域くいきの北端ほくたん、後者こうしゃは東ひがし端はしにあたる。信濃電気しなのでんきの営業えいぎょう報告ほうこく書しょによると、これ以降いこうに供給きょうきゅう区域くいきへと編入へんにゅうされた地域ちいきは存在そんざいしない。信濃電気しなのでんきと並ならぶ北信ほくしんの有力ゆうりょく電力でんりょく会社かいしゃである長野ながの電灯でんとうは、1923年ねんに群馬ぐんま県けん西部せいぶの電力でんりょく会社かいしゃ西にし毛げ電気でんきを合併がっぺいし、さらに以後いごも事業じぎょう統合とうごうを推進すいしんしていくが、これに対たいして1920年代ねんだいに信濃電気しなのでんきが実施じっしした事業じぎょう統合とうごうは前述ぜんじゅつの武石たけいし電力でんりょく興業こうぎょうからの事業じぎょう譲ゆずり受うけ1件けんのみである。

合併がっぺいの実施じっしはないものの合併がっぺいを伴ともなわない増資ぞうしは1920年代ねんだいを通つうじて2度どあり、1922年ねん9月がつに400万まん円えん、1927年ねん4月がつに900万まん円えんの増資ぞうしをそれぞれ決議けつぎし、資本しほん金きんを1700万まん円えんとした。この資本しほん金額きんがくは長野ながの電灯でんとう（1928年ねんに1600万まん円えんへ増資ぞうし）よりも大おおきい。

信越しんえつ窒素肥料ちっそひりょうの設立せつりつ

日本にっぽん窒素肥料ちっそひりょう社長しゃちょう野口のぐち遵

先さきに触ふれた信越しんえつ窒素肥料ちっそひりょう（1940年ねんに信越化学工業しんえつかがくこうぎょうへ社名しゃめい変更へんこう）は、信濃電気しなのでんきの兼営けんえいカーバイド事業じぎょうから派生はせいし、社内しゃない最大さいだいの大口おおぐち需要じゅよう家かとなった化学かがく工業こうぎょう会社かいしゃである。

大正たいしょう時代じだいの大戦たいせん景気けいき期き以降いこう、日本にっぽんのカーバイド工業こうぎょうではカーバイドの窒化により窒素肥料ちっそひりょうの一種いっしゅ石灰せっかい窒素ちっそを、またそれを原料げんりょうに硫酸りゅうさんアンモニウム（変成へんせい硫安りゅうあん）を製造せいぞうするという石灰せっかい窒素ちっそ事業じぎょうが盛さかんになっていた。主おもな石灰せっかい窒素ちっそメーカーとして九州きゅうしゅうに工場こうじょうを持もつ日本にっぽん窒素肥料ちっそひりょう（後ごのチッソ）や新潟にいがた県けん西部せいぶの青海あおみへ進出しんしゅつした電気化学工業でんきかがくこうぎょう（現げん・デンカ）が挙あげられる。長ながくカーバイド専業せんぎょうであった信濃電気しなのでんきにおいても高沢たかさわ第だい二に発電はつでん所しょの建設けんせつを機きにカーバイド増産ぞうさんとあわせた石灰せっかい窒素ちっそ製造せいぞうへの参入さんにゅうを立案りつあんする。単独たんどくでの石灰せっかい窒素ちっそ事業じぎょうには高たかい参入さんにゅう障壁しょうへきが存在そんざいしたが、業界ぎょうかい大手おおての日本にっぽん窒素肥料ちっそひりょうの協力きょうりょくを取とり付つけた。日本にっぽん窒素肥料ちっそひりょうでは当時とうじハーバー・ボッシュ法ほうによるアンモニア合成ごうせい工場こうじょうを新設しんせつして合成ごうせい硫安りゅうあんの製造せいぞうに成功せいこうしており、不要ふようとなった石灰せっかい窒素ちっそ法ほうによる変成へんせい硫安りゅうあん工場こうじょう（熊本くまもと県けんの鏡かがみ工場こうじょう）を転用てんようする道みちを探さぐっていたことから提携ていけいに至いたったものである。

1926年ねん9月がつ16日にち、信濃電気しなのでんきと日本にっぽん窒素肥料ちっそひりょうの共同きょうどう出資しゅっしによって信越しんえつ窒素肥料ちっそひりょう株式会社かぶしきがいしゃが長野ながの市し大字だいじ吉田よしだに設立せつりつされた。資本しほん金きんは500万まん円えんで、300万まん円えんを信濃電気しなのでんき、残のこり200万まん円えんを日本にっぽん窒素肥料ちっそひりょう（うち130万まん円えんは機械きかい設備せつびなどの現物げんぶつ出資しゅっしで充当じゅうとう）が出資しゅっしした。初代しょだい社長しゃちょうは信濃電気しなのでんき側がわから越こし寿三郎じゅさぶろうが就ついている。工場こうじょうについては既設きせつの柏原かしわばら工場こうじょうを利用りようする案あんなども検討けんとうされたが、新潟にいがた県けん側がわの中なか頸城郡ぐん直江津なおえつ町まち（現げん・上越じょうえつ市し）の日本石油にほんせきゆ直江津なおえつ製油せいゆ所しょ跡地あとちに新設しんせつすると決定けっていされた。新しん工場こうじょうは同年どうねん11月がつに着工ちゃっこう。工場こうじょう建設けんせつに際さいしては、金融きんゆうや電力でんりょくを含ふくむ原料げんりょうの手当てあてを信濃電気しなのでんきが、工事こうじと完成かんせい後ごの操業そうぎょうは日本にっぽん窒素肥料ちっそひりょうがそれぞれ行おこなうという分担ぶんたんが取とり決きめられた。

翌よく1927年ねん10月がつ15日にち、信越しんえつ窒素肥料ちっそひりょうの新しん工場こうじょうが操業そうぎょうを開始かいしした。工場こうじょうにはカーバイド用よう電気でんき炉ろ6基きと窒化炉ろ24基きが建設けんせつされており、操業そうぎょう開始かいしと同時どうじにカーバイド、11月から石灰せっかい窒素ちっその製造せいぞうが開始かいしされた。石灰せっかい窒素ちっその生産せいさん能力のうりょくは年間ねんかん2万まんトンに及およぶ。ただし当初とうしょ計画けいかくされた変成へんせい硫安りゅうあん製造せいぞう設備せつびの設置せっちについては、市場いちばにおける合成ごうせい硫安りゅうあんの主流しゅりゅう化かのために中止ちゅうしされている。信濃電気しなのでんきではこの信越しんえつ窒素肥料ちっそひりょうの工場こうじょうに対たいして最大さいだい25,000 kWの電力でんりょく供給きょうきゅうを行おこなったが、新しん工場こうじょう建設けんせつと引ひき換かえに1927年ねん3月がつ限かぎりで吉田よしだ工場こうじょう、同年どうねん11月がつ限かぎりで柏原かしわばら工場こうじょうの操業そうぎょうをそれぞれ停止ていしして自社じしゃでのカーバイド製造せいぞうを終了しゅうりょうした。停止ていしした柏原かしわばら工場こうじょうについては長野ながの電気でんき時代じだいの1938年ねん（昭和しょうわ13年ねん）になって大正たいしょう電気でんき製せい錬ね所しょへと譲渡じょうとしている。

1920年代ねんだいを通つうじて信濃電気しなのでんきの経営けいえいは好調こうちょうで、年率ねんりつ15パーセント（1916年ねん3月がつ期きから継続けいぞく）という高こう配当はいとうを維持いじできた。1928年ねん3月がつ期き決算けっさんでは不ふ況きょうの影響えいきょうで減収げんしゅうとなり減配げんぱいを余儀よぎなくされたが、それでも年率ねんりつ10パーセントを超こえる高こう配当はいとうは続つづいた。水力すいりょく発電はつでん所しょの建設けんせつ費ひが廉価れんかである上うえに発生はっせい電力でんりょくを地元じもとで消化しょうかできるため送電そうでん・変電へんでん設備せつびにも多額たがくの投資とうしが必要ひつようない、という立地りっち上じょうの利点りてんが業績ぎょうせき好調こうちょうの背景はいけいにある。新設しんせつの信越しんえつ窒素肥料ちっそひりょうについても、石灰せっかい窒素ちっその販売はんばいで同社どうしゃ自身じしんの利益りえきを確保かくほしつつ、可能かのうな範囲はんいで信濃電気しなのでんきに支払しはらう電力でんりょく料金りょうきんを高たかく設定せっていすることで信濃電気しなのでんきの経営けいえいに寄与きよすることが期待きたいされた。しかし相次あいつぐ工場こうじょう新設しんせつに伴ともなう過剰かじょう生産せいさんと輸入ゆにゅう硫安りゅうあんの急増きゅうぞうに起因きいんする石灰せっかい窒素ちっそ業界ぎょうかい全体ぜんたいの不振ふしんにより、早々そうそうに信越しんえつ窒素肥料ちっそひりょうの経営けいえいは不振ふしんとなった。

経営けいえい陣じん交代こうたいと経営けいえい不振ふしん

1930年ねんより社長しゃちょうを務つとめた名取なとり和作わさく

1930年ねんに発生はっせいした昭和しょうわ恐慌きょうこうは、長引ながびく不況ふきょうで衰退すいたいしつつあった長野ながの県けんの製糸せいし業ぎょうにさらなる打撃だげきを与あたえた。県内けんないの製糸せいし業者ぎょうしゃには倒産とうさん・休廃業きゅうはいぎょうが相次あいつぎ、養蚕ようさん農家のうかにも影響えいきょうが拡大かくだい。製糸せいし・養蚕ようさん業ぎょうの低迷ていめいをうけて1930年ねん11月には北信ほくしん・東あずま信しん地方ちほうの銀行ぎんこうを統合とうごうして発足ほっそくした信濃しなの銀行ぎんこうが開業かいぎょう2年ねん7か月げつで破綻はたんし、金融きんゆう界かいにも動揺どうようが広ひろがっていった。

製糸せいし業界ぎょうかいが経営けいえい難なんに見舞みまわれる中なか、越こし寿三郎じゅさぶろうは本業ほんぎょうである製糸せいし業ぎょうの不振ふしんと自身じしんの高齢こうれい・病気びょうきのため長年ながねんにわたって関係かんけいしてきた信濃電気しなのでんき・信越しんえつ窒素肥料ちっそひりょうの経営けいえいに当あたれなくなったとして両社りょうしゃから退しりぞくと決断けつだんした。報道ほうどうによると、越こしは1929年ねん12月がつごろ、大手おおて電力でんりょく会社かいしゃ東邦とうほう電力でんりょくの傘下さんかにある東邦とうほう証券しょうけん保有ほゆうに対たいし、所有しょゆうする信濃電気しなのでんき株式かぶしき約やく3万まん5000株かぶの売却ばいきゃくを交渉こうしょうした。東邦とうほう電力でんりょくによる買収ばいしゅうは一時いちじ有力ゆうりょく案あんと見みられたものの、両者りょうしゃが主張しゅちょうする売買ばいばい価格かかくには開ひらきがあったという。最終さいしゅう的てきに越こしは長野ながの電灯でんとう経営けいえい者しゃの小坂こさか順じゅん造づくりに信濃電気しなのでんき・信越しんえつ窒素肥料ちっそひりょう両社りょうしゃの経営けいえいを引ひき受うけるよう依頼いらいし、その了解りょうかいを得えた。小坂こさかは長野ながの電灯でんとう創業そうぎょう者しゃ小坂こさか善之助ぜんのすけの長男ちょうなんで、政界せいかいでは衆議院しゅうぎいん議員ぎいん、財界ざいかいでは長野ながの電灯でんとう社長しゃちょう（1923年ねん就任しゅうにん）などを務つとめる人物じんぶつ。小坂こさかは越えつの持株もちかぶを高値たかねで引ひき取とり、越えつ個人こじんの苦境くきょうを救すくったという。信濃電気しなのでんきの大だい株主かぶぬし一覧いちらんによると、1930年ねん9月がつ末まつ時点じてんでは筆頭ひっとう株主かぶぬしが長野ながの電灯でんとう（持株もちかぶ数すう6万まん4010株かぶ・持株もちかぶ比率ひりつ19パーセント）になっている。

信濃電気しなのでんき・信越しんえつ窒素肥料ちっそひりょう両社りょうしゃの経営けいえいを託たくされた小坂こさか順じゅん造づくりであったが、濱口はまぐち内閣ないかくの拓ひらけ務つとむ政務次官せいむじかんに在任ざいにん中ちゅう（1929年ねん就任しゅうにん）であり、会社かいしゃ経営けいえいにあたれない状況じょうきょうにあった。そこで小坂こさかは、親交しんこうのある長野ながの県けん出身しゅっしんの実業じつぎょう家かで当時とうじ富士電機ふじでんき製造せいぞう（現げん・富士電機ふじでんき）社長しゃちょう在任ざいにん中ちゅうの名取なとり和作わさくに信濃電気しなのでんき・信越しんえつ窒素肥料ちっそひりょう両社りょうしゃの社長しゃちょう就任しゅうにんを依頼いらいし、その承諾しょうだくを得えた。1930年ねん4月がつ30日にち開催かいさいの信濃電気しなのでんき株主かぶぬし総会そうかいにおいて、越こし寿三郎じゅさぶろう・越こし泰やすし蔵ぞう・小林こばやし暢とおるらが取締役とりしまりやくから退しりぞき、名取なとり和作わさく・花岡はなおか俊夫としお・諏訪部すわべ庄しょう左衛門さえもん（当時とうじの長野ながの電灯でんとう社長しゃちょう）らが取締役とりしまりやくに就任しゅうにん。そして同日どうじつ、社長しゃちょう名取なとり和作わさく・副ふく社長しゃちょう小田切おだぎり磐いわお太郎たろう・常務じょうむ花岡はなおか俊夫としおという新しん経営けいえい陣じんが発足ほっそくした。信越しんえつ窒素肥料ちっそひりょうにおいても同年どうねん6月がつ越こし寿三郎じゅさぶろうが社長しゃちょうを辞任じにんし名取なとりと交代こうたいしている。

名取なとりが社長しゃちょうに就任しゅうにんした1930年ねん9月がつ期きの決算けっさんにおいて、信濃電気しなのでんきは不ふ況きょうの深刻しんこく化かに伴ともない電灯でんとう取付とりつけ数すうが前期ぜんき比ひ1.5パーセント減げんとなり、7月がつ実施じっしの電灯でんとう料金りょうきん値下ねさげと相あいまって大幅おおはばな減収げんしゅうを来きたして年率ねんりつ9パーセントへの減配げんぱいを余儀よぎなくされた。翌よく1931年ねん（昭和しょうわ6年ねん）5月25日にち、濱口はまぐち内閣ないかくの総そう辞職じしょくに伴ともない拓ひらけ務つとむ政務次官せいむじかんの職しょくを離はなれた小坂こさかが名取なとりに代かわって社長しゃちょうに就ついた。副ふく社長しゃちょうの小田切おだぎりは先立さきだって副ふく社長しゃちょうから退しりぞいており、以後いご社長しゃちょう小坂こさか・常務じょうむ花岡はなおか俊夫としおという布陣ふじんとなっている。小坂こさかは同時どうじに信越しんえつ窒素肥料ちっそひりょうでも社長しゃちょうに就つき、7月がつには長野ながの電灯でんとうでも社長しゃちょうに復帰ふっきした。小坂こさかが社長しゃちょうに就任しゅうにんした1931年ねん9月がつ期きには需要じゅよう減退げんたいの傾向けいこう著いちじるしく、信濃電気しなのでんきは年率ねんりつ6パーセントへのさらなる減配げんぱいに追おい込こまれた。需要じゅよう回復かいふく傾向けいこうが明あきらかになるのはその1年ねん半はん後ご、政府せいふによる救済きゅうさい事業じぎょうや金融きんゆう業界ぎょうかい好転こうてんの影響えいきょうが及およぶ1933年ねん3月がつ期きのことである。同期どうき以後いご、利益りえき率りつも回復かいふくに向むかった。

この時期じき、傘下さんかの信越しんえつ窒素肥料ちっそひりょうはより深刻しんこくな経営けいえい不振ふしんに見舞みまわれており、多額たがくの欠損けっそん金きんを抱かかえ操業そうぎょう開始かいし以来いらい1度ども信濃電気しなのでんきに電力でんりょく料金りょうきんを支払しはらえない状況じょうきょうにあった。経営けいえい改善かいぜん策さくとして人員じんいん整理せいりと操業そうぎょう短縮たんしゅくを繰くり返かえしたが、1931年ねん12月、工場こうじょうの一時いちじ操業そうぎょう停止ていしが断行だんこうされた。信越しんえつ窒素肥料ちっそひりょうの工場こうじょう停止ていしは信濃電気しなのでんきにとっては大口おおぐち需要じゅよう家かの喪失そうしつを意味いみするため、社長しゃちょうの小坂こさかは信濃電気しなのでんき本体ほんたいに与あたえる悪影響あくえいきょうを回避かいひすべく工場こうじょう設備せつびをそのまま他社たしゃへ貸与たいよするという対策たいさくを講こうじた。貸与たいよ先さきは日本曹達にほんそうだ（合金ごうきん鉄てつ製造せいぞう）・理研りけんマグネシウム（理化学りかがく興業こうぎょう傘下さんかでマグネシウム製造せいぞう）・電気化学工業でんきかがくこうぎょう（石灰せっかい窒素ちっそ製造せいぞう）の3社しゃである。3社しゃへの貸与たいよによって工場こうじょうの操業そうぎょうが順次じゅんじ再開さいかいされると信濃電気しなのでんきにも電力でんりょく料金りょうきんが入はいるようになり、その経営けいえい改善かいぜんにもつながった。

長野ながの電気でんき発足ほっそくとその後ご

1931年ねんより長野ながの電灯でんとう・信濃電気しなのでんき・信越しんえつ窒素肥料ちっそひりょうの社長しゃちょうを務つとめた小坂こさか順じゅん造づくり

信濃電気しなのでんきが資本しほん金きん1700万まん円えんの会社かいしゃであったのに対たいし、これを傘下さんかに収おさめた長野ながの電灯でんとうは資本しほん金きん1600万まん円えんであった。しかし会社かいしゃの規模きぼはほぼ同等どうとうでも、1930年代ねんだい前半ぜんはんの段階だんかいでは業績ぎょうせき・株価かぶかは信濃電気しなのでんき側がわが大おおきく見劣みおとりしていた。その後ご信越しんえつ窒素肥料ちっそひりょうの整理せいりなどで信濃電気しなのでんきの経営けいえい改善かいぜんが進すすむと、同社どうしゃの配当はいとう率りつは1935年ねん（昭和しょうわ10年ねん）9月がつ期き決算けっさんで年率ねんりつ7パーセントに、次つぎの1936年ねん（昭和しょうわ11年ねん）3月がつ期き決算けっさんからは年率ねんりつ8パーセントに増配ぞうはいとなり、年率ねんりつ8パーセント配当はいとうを維持いじする長野ながの電灯でんとうと同どう水準すいじゅんに回復かいふくした。こうして信濃電気しなのでんきと長野ながの電灯でんとうを対等たいとうの条件じょうけんで合併がっぺいする条件じょうけんが整ととのった。

1937年ねん（昭和しょうわ12年ねん）1月がつ6日にち、信濃電気しなのでんき・長野ながの電灯でんとう両社りょうしゃはそれぞれ重役じゅうやく会かいを開ひらいて新設しんせつ合併がっぺいによる新しん会社かいしゃ「長野ながの電気でんき株式会社かぶしきがいしゃ」の設立せつりつを決定けっていした。当時とうじの報道ほうどうによると、両社りょうしゃの合併がっぺいは過去かこ2度ど浮上ふじょうしながらも機運きうんが熟こなさず立たち消ぎえとなっていたが、今回こんかいは対等たいとう合併がっぺいの条件じょうけんが整ととのったことに加くわえ監督かんとく官庁かんちょうからの勧奨かんしょうもあり合併がっぺいが実現じつげんしたという。合併がっぺい決定けっていに際さいし、合併がっぺいによって冗費じょうひの節約せつやくに努つとめつつ発電はつでん・送電そうでんの統制とうせいを緊密きんみつなものとして会社かいしゃの基礎きそを固かため、需要じゅよう家かのためのサービス改善かいぜんを目指めざす、という合併がっぺい目的もくてきが両社りょうしゃから発表はっぴょうされた。同年どうねん1月がつ22日にち、信濃電気しなのでんきは臨時りんじ株主かぶぬし総会そうかい、長野ながの電灯でんとうは定時ていじ株主かぶぬし総会そうかいをそれぞれ開催かいさいし、長野ながの電気でんきの設立せつりつとそれに伴ともなう自社じしゃの解散かいさんを決議けつぎする。両社りょうしゃの合併がっぺいは同年どうねん3月がつ23日にち付づけで逓信ていしん省しょうより認可にんかが下おりる。そして3月31日にちに新しん会社かいしゃ・長野ながの電気でんきの創立そうりつ総会そうかいが開ひらかれ、同日どうじつをもって信濃電気しなのでんき・長野ながの電灯でんとう両社りょうしゃは解散かいさんした。

解散かいさん前まえ、1936年ねん9月がつ末まつ時点じてんにおける信濃電気しなのでんきの供給きょうきゅう成績せいせきは、電灯でんとう需要じゅよう家数やかず10万まん2422戸こ・取付とりつけ灯とう数すう29万まん3934灯とう、一般いっぱん電力でんりょく需要じゅよう家か1817戸こ・一般いっぱん電力でんりょく供給きょうきゅう8049馬力ばりき（約やく6,002 kW）、電熱でんねつ需要じゅよう家か518戸こ・電熱でんねつ供給きょうきゅう1,170 kW、他社たしゃ供給きょうきゅう契約けいやく36,450 kWであった。大口おおぐち需要じゅよう家かである信越しんえつ窒素肥料ちっそひりょうへの供給きょうきゅうは特殊とくしゅ電力でんりょく32,000 kW（1936年ねん末まつ時点じてん）に及およぶ。一方いっぽうで、1936年ねん末まつ時点じてんの逓信ていしん省しょう資料しりょうによると電源でんげんは自社じしゃ水力すいりょく発電はつでん所しょ14か所しょ・総そう出力しゅつりょく33,060 kWと長野ながの電灯でんとうからの受電じゅでん2,502 kW（ほかに相互そうご融通ゆうずう3,000 kW）、長野ながの電鉄でんてつからの受電じゅでん1,570 kWからなる。

長野ながの電気でんきの発足ほっそくに前後ぜんごして、旧きゅう信濃電気しなのでんき傘下さんかの信越しんえつ窒素肥料ちっそひりょうでは大おおがかりな整理せいりが実施じっしされた。まず提携ていけい相手あいてであった日本にっぽん窒素肥料ちっそひりょうが信越しんえつ窒素肥料ちっそひりょうからの撤退てったいを決定けっていしたことから、1937年ねん3月がつに日本にっぽん窒素肥料ちっそひりょうの持株もちかぶ4万まん株かぶ・200万まん円えん分ぶんを信越しんえつ窒素肥料ちっそひりょうで買かい入いれて消却しょうきゃくした。次ついで旧きゅう信濃電気しなのでんきの持株もちかぶ6万まん株かぶ・300万まん円えん分ぶんについても5分ぶんの1に減資げんししつつ、長野ながの電気でんきの全額ぜんがく出資しゅっしによる370万まん円えんの増資ぞうしも実施じっしして、資本しほん金きんを430万まん円えんに改あらためた。減資げんしと増資ぞうしによって得えた資金しきんは、工場こうじょう貸与たいよ期間きかんの満了まんりょうに伴ともなう操業そうぎょう再開さいかいに備そなえて累積るいせき損失そんしつの解消かいしょうや借入金かりいれきんの全額ぜんがく返済へんさいに充あてられた。こうした処理しょりののち、信越しんえつ窒素肥料ちっそひりょうは1937年ねん10月がつ1日にちより自社じしゃ操業そうぎょうの再開さいかいに漕こぎつけた。日にち中ちゅう戦争せんそう勃発ぼっぱつに伴ともなう軍需ぐんじゅ景気けいきを背せに再開さいかい後ごの経営けいえいは順調じゅんちょうで、翌よく1938年ねん5月がつ期きの決算けっさんで初はつ配当はいとうを達成たっせいしている。1940年ねん（昭和しょうわ15年ねん）には信越しんえつ窒素肥料ちっそひりょうから信越化学工業しんえつかがくこうぎょうへと社名しゃめいを改あらためた。

1940年代ねんだいに入はいると、日にち中ちゅう戦争せんそうの長期ちょうき化かに伴ともなって電力でんりょくの国家こっか管理かんりを強化きょうかする動うごきが強つよめられていき、既存きそんの電気でんき事業じぎょう者しゃを国策こくさく会社かいしゃ日本にっぽん発はつ送電そうでんおよび地域ちいき別べつの国策こくさく配電はいでん会社かいしゃへと再編さいへんすることが決きまった。1937年ねんに発足ほっそくしたばかりの長野ながの電気でんきもその再編さいへん対象たいしょう事業じぎょう者しゃに含ふくまれており、1941年ねん（昭和しょうわ16年ねん）10月がつと翌よく1942年ねん（昭和しょうわ17年ねん）4月がつに分わけて一部いちぶ設備せつびが日本にっぽん発はつ送電そうでんへと出資しゅっしされる。残部ざんぶは1942年ねん4月がつに長野ながの県けんを配電はいでん区域くいきに含ふくむ中部ちゅうぶ配電はいでんへと吸収きゅうしゅうされ、同年どうねん5月がつに長野ながの電気でんきは解散かいさんした。

年表ねんぴょう

• 1903年ねん（明治めいじ36年ねん）
  • 4月がつ28日にち - 信濃電気しなのでんきに対たいし逓信ていしん省しょうから電気でんき事業じぎょう経営けいえい許可きょか。
  • 5月12日にち - 信濃電気しなのでんき株式会社かぶしきがいしゃ設立せつりつ。資本しほん金きん20万まん円えん、本店ほんてん所在地しょざいち長野ながの県けん上高井かみたかい郡ぐん須坂すざか町まち757番地ばんち。
  • 12月29日にち - 米子よなご発電はつでん所しょ完成かんせいに伴ともない開業かいぎょう。
• 1904年ねん（明治めいじ37年ねん）
  • 2月がつ10日とおか - 上高井かみたかい郡ぐん須坂すざか町まち178番地ばんち1へ本店ほんてん移転いてん（登記とうき日び）
• 1906年ねん（明治めいじ39年ねん）
  • 5月5日にち - 長野ながの市し西後にしご町まちに支店してん設置せっち。
  • 8月がつ10日とおか - 高沢たかさわ第だい一いち発電はつでん所しょ運転うんてん開始かいし。
• 1907年ねん（明治めいじ40年ねん）
  • 3月18日にち - 30万まん円えんの増資ぞうしを決議けつぎ。
• 1910年ねん（明治めいじ43年ねん）
  • 5月13日にち - 長野ながの支店してん廃止はいし。
• 1911年ねん（明治めいじ44年ねん）
  • 4月がつ28日にち - 75万まん円えんの増資ぞうしを決議けつぎ。
  • 11月22日にち - 上田うえだ電灯でんとうを合併がっぺい、資本しほん金きん145万まん円えんとなる。
• 1912年ねん（明治めいじ45年ねん）
  • 4月がつ28日にち - 上高井かみたかい郡ぐん須坂すざか町まち505番地ばんちへ本店ほんてん移転いてん。
  • 11月29日にち - 小県ちいさがた郡ぐん上田うえだ町まちに支店してん設置せっち。
• 1917年ねん（大正たいしょう6年ねん）
  • 4月がつ28日にち - 55万まん円えんの増資ぞうしを決議けつぎ。
• 1919年ねん（大正たいしょう8年ねん）
  • 4月がつ4日にち - 200万まん円えんの増資ぞうしを決議けつぎ。
  • 4月がつ - 杉野すぎの沢さわ発電はつでん所しょ竣工しゅんこう。
  • 5月 - カーバイド製造せいぞうの柏原かしわばら工場こうじょうが竣工しゅんこう。
• 1922年ねん（大正たいしょう11年ねん）
  • 9月25日にち - 400万まん円えんの増資ぞうしを決議けつぎ。
• 1923年ねん（大正たいしょう12年ねん）
  • 4月がつ14日にち - 米沢よねざわ発電はつでん所しょ廃止はいし許可きょか。
  • 8月がつ14日にち - 樽川たるかわ発電はつでん所しょ運転うんてん開始かいし。
• 1925年ねん（大正たいしょう14年ねん）
  • 12月28日にち - 鳥居川とりいがわ第だい一いち発電はつでん所しょ運転うんてん開始かいし。
• 1926年ねん（大正たいしょう15年ねん）
  • 1月がつ29日にち - 長野ながの電鉄でんてつからの受電じゅでんを開始かいし。
  • 9月16日にち - 日本にっぽん窒素肥料ちっそひりょうとの共同きょうどう出資しゅっしにより信越しんえつ窒素肥料ちっそひりょう（現げん・信越化学工業しんえつかがくこうぎょう）を設立せつりつ。
  • 12月1日にち - 武石たけいし電力でんりょく興業こうぎょうから電気でんき事業じぎょうを譲ゆずり受うける。
• 1927年ねん（昭和しょうわ2年ねん）
  • 4月がつ28日にち - 900万まん円えんの増資ぞうしを決議けつぎ、資本しほん金きん1700万まん円えんとなる。
  • 7月がつ23日にち - 高沢たかさわ第だい二に発電はつでん所しょ運転うんてん開始かいし。
  • 10月15日にち - 信越しんえつ窒素肥料ちっそひりょう直江津なおえつ工場こうじょうが操業そうぎょう開始かいし。
• 1928年ねん（昭和しょうわ3年ねん）
  • 6月1日にち - 鳥居川とりいがわ第だい二に発電はつでん所しょ・鳥居川とりいがわ第だい三さん発電はつでん所しょ運転うんてん開始かいし。
  • 12月7日にち - 横沢よこざわ第だい二に発電はつでん所しょ運転うんてん開始かいし。
• 1930年ねん（昭和しょうわ5年ねん）
  • 2月がつ8日にち - 西野にしの発電はつでん所しょ運転うんてん開始かいし。
  • 4月がつ3日にち - 鳥居川とりいがわ第だい四よん発電はつでん所しょ運転うんてん開始かいし。
  • 4月がつ30日にち - 越こし寿三郎じゅさぶろうに代かわり名取なとり和作わさくが社長しゃちょう就任しゅうにん。
  • 12月2日にち - 清水沢しみずさわ発電はつでん所しょ運転うんてん開始かいし。
• 1931年ねん（昭和しょうわ6年ねん）
  • 5月25日にち - 名取なとり和作わさくに代かわり小坂こさか順じゅん造づくりが社長しゃちょう就任しゅうにん。
• 1937年ねん（昭和しょうわ12年ねん）
  • 1月がつ22日にち - 株主かぶぬし総会そうかいにて長野ながの電灯でんとうとの合併がっぺいを決議けつぎ。
  • 3月23日にち - 逓信ていしん省しょうより合併がっぺい認可にんか。
  • 3月31日にち - 信濃電気しなのでんき・長野ながの電灯でんとうの合併がっぺいにより新しん会社かいしゃ・長野ながの電気でんきを設立せつりつ。信濃電気しなのでんき・長野ながの電灯でんとう両社りょうしゃは解散かいさん。

本社ほんしゃ・支店してん・出張所しゅっちょうしょその他た所在地しょざいち

1937年ねん（昭和しょうわ12年ねん）3月がつ時点じてんでの本社ほんしゃ・支店してん・出張所しゅっちょうしょ・営業えいぎょう所しょの所在地しょざいちは以下いかの通とおり。いずれも長野ながの県けん内うちにある。

• 本社ほんしゃ ： 上高井かみたかい郡ぐん須坂すざか町まち505番地ばんち（現げん・須坂すざか市し須坂すざか）
• 支店してん ： 上田うえだ市し鷹匠たかしょう町まち（現げん・上田うえだ市し中央ちゅうおう）
• 出張所しゅっちょうしょ ：
  • 須坂すざか出張所しゅっちょうしょ ： 上高井かみたかい郡ぐん須坂すざか町まち（現げん・須坂すざか市し）
  • 中野なかの出張所しゅっちょうしょ ： 下高井しもたかい郡ぐん中野なかの町まち（現げん・中野なかの市し）
  • 篠ノ井しののい出張所しゅっちょうしょ ： 更級さらしな郡ぐん篠ノ井しののい町まち（現げん・長野ながの市し）
  • 稲荷山いなりやま出張所しゅっちょうしょ ： 更級さらしな郡ぐん稲荷山いなりやま町まち（現げん・千せん曲きょく市し）
  • 坂城さかき出張所しゅっちょうしょ ： 埴科はにしな郡ぐん坂城さかき町まち
  • 丸子まるこ出張所しゅっちょうしょ ： 小県ちいさがた郡ぐん丸子まりこ町まち（現げん・上田うえだ市し）
• 営業えいぎょう所しょ ： 長野ながの市し吉田よしだ

長野ながの市し吉田よしだ868番地ばんちの吉田よしだ営業えいぎょう所しょは1925年ねん（大正たいしょう14年ねん）5月がつの設置せっち。長野ながの電気でんき時代じだいには同地どうちに本社ほんしゃが置おかれ、同社どうしゃの解散かいさん後ごも中部ちゅうぶ配電はいでん長野ながの支店してん、次ついで中部電力ちゅうぶでんりょく長野ながの支店してんとして1958年ねん（昭和しょうわ33年ねん）まで活用かつようされた。

供給きょうきゅう区域くいき

1911年ねん時点じてんの区域くいき一覧いちらん

上田うえだ電灯でんとう合併がっぺい直後ちょくごにあたる1911年ねん（明治めいじ44年ねん）末まつ時点じてんの供給きょうきゅう区域くいきは以下いかの通とおり。すべて長野ながの県けん内うちで、未み開業かいぎょうの地域ちいきも含ふくむ。

1921年ねん時点じてんの区域くいき一覧いちらん

1921年ねん（大正たいしょう10年ねん）6月がつ末まつ時点じてんの供給きょうきゅう区域くいきは以下いかの通とおり。特記とっきのない限かぎり長野ながの県内けんないである。

• 上記じょうきのうち、上水内かみみのち郡ぐん芹田せつだ村むら・古こ牧村まきむら・三輪みわ村むら・吉田よしだ町まちの4町村ちょうそんは1923年ねん長野ながの市しに編入へんにゅう。

1936年ねん時点じてんの区域くいき一覧いちらん

長野ながの電灯でんとうとの合併がっぺい直前ちょくぜんにあたる1936年ねん（昭和しょうわ11年ねん）12月がつ末まつ時点じてんの供給きょうきゅう区域くいきは以下いかの通とおり。特記とっきのない限かぎり長野ながの県内けんないである。

市部しぶ （2市し）	長野ながの市し【一部いちぶ】、上田うえだ市し
上高井かみたかい郡ぐん （1町まち13村むら）	郡ぐん内ないの全ぜん町村ちょうそん（現げん・須坂すざか市し・長野ながの市し・小布施おぶせ町まち・高山たかやま村むら）
下高井しもたかい郡ぐん （1町まち17村むら）	中野なかの町まち・日野ひの村むら・延徳えんとく村むら・平野ひらの村むら・高丘たかおか村むら・長丘ながおか村むら・平岡ひらおか村むら・科か野村のむら・倭やまと村むら（現げん・中野なかの市し）、 夜間瀬よませ村むら・平穏ひらお村むら・穂波ほなみ村むら（現げん・山ノ内やまのうち町まち）、 上木島かみきじま村むら・往郷おうごう村むら・穂高ほたか村むら【一部いちぶ】（現げん・木島平きじまだいら村むら）、 瑞穂みずほ村むら（現げん・飯山いいのやま市し・野沢温泉のざわおんせん村むら）、豊郷とよさと村むら【一部いちぶ】・市川いちかわ村むら【一部いちぶ】（現げん・野沢温泉のざわおんせん村むら）
下水内しもみのち郡ぐん （7村むら）	豊井とよい村むら・永田ながた村むら（現げん・中野なかの市し）、 秋津あきつ村むら【一部いちぶ】・常盤ときわ村むら・外様とざま村むら・太田おおた村むら・岡山おかやま村むら【一部いちぶ】（現げん・飯山いいのやま市し）
上水内かみみのち郡ぐん （19村むら）	大豆島まめじま村むら・朝陽あさひ村むら・柳原やぎわら村むら・長沼ながぬま村むら・古里こざと村むら・若槻わかつき村むら・浅川あさがわ村むら【一部いちぶ】・神郷しんごう村むら・鳥居とりい村むら（現げん・長野ながの市し）、 中郷ちゅうごう村むら・三水さみず村むら（現げん・飯綱いいづな町まち）、 古間ふるま村むら・富士ふじ里さと村むら・柏原かしわばら村むら・信濃しなの尻しり村むら【一部いちぶ】（現げん・信濃しなの町まち）、 日にち里さと村むら【一部いちぶ】・栄さかえ村むら【一部いちぶ】・津和つわ村むら・水内みずうち村むら（現げん・長野ながの市し）
更級さらしな郡ぐん （2町まち24村むら）	信級のぶしな村むらを除のぞく郡ぐん内ないの各かく町村ちょうそん（現げん・長野ながの市し・千せん曲きょく市し・坂城さかき町まち） ただし大岡おおおか村むらの一部いちぶは除のぞく
埴科はにしな郡ぐん （3町まち14村むら）	郡ぐん内ないの全ぜん町村ちょうそん（現げん・長野ながの市し・千せん曲きょく市し・坂城さかき町まち）
小県ちいさがた郡ぐん （3町まち29村むら）	和田わだ村むらを除のぞく郡ぐん内ないの各かく町村ちょうそん（現げん・上田うえだ市し・東ひがし御ご市し・長和おさわ町まち・青木あおき村むら）
北佐久きたさく郡ぐん （1村むら）	北御牧きたみまき村むら【一部いちぶ】（現げん・東ひがし御ご市し）
新潟にいがた県けん中ちゅう頸城郡ぐん （1村むら）	杉野すぎの沢村さわむら（現げん・妙高みょうこう市し）

備考びこう

• 信濃電気しなのでんき管内かんないに電気でんき鉄道てつどうは3社しゃあり、1936年ねん末まつ時点じてんでのこれらに対たいする電力でんりょく供給きょうきゅうは東あずま信しん地方ちほうの長野ながの電鉄でんてつが1,110 kW、上田うえだ地域ちいきの上田うえだ温泉おんせん電でん軌が550 kW、丸子まるこ鉄道てつどうが300 kWであった。
• 管外かんがいの需要じゅよう家かに信越しんえつ窒素肥料ちっそひりょうがある。供給きょうきゅう電力でんりょくは1936年ねん末まつ時点じてんで32,000 kW。同社どうしゃに対たいする供給きょうきゅう地点ちてんは新潟にいがた県けん中ちゅう頸城郡ぐん大だい瀁村（現げん・上越じょうえつ市し）で、同地どうちは本来ほんらい中央ちゅうおう電気でんきの供給きょうきゅう区域くいきに含ふくまれる。
• 長野ながの電気でんき発足ほっそく後ご、1942年ねん（昭和しょうわ17年ねん）4月がつの配電はいでん統制とうせい令れいに基もとづく配電はいでん会社かいしゃ設立せつりつに際さいして、長野ながの県けんは中部ちゅうぶ配電はいでんの配電はいでん区域くいきに指定していされ、長野ながの電気でんきは区域くいき内ないにある配電はいでん設備せつび・需要じゅよう者しゃ屋内おくない設備せつび一切いっさいを中部ちゅうぶ配電はいでんへと出資しゅっしするよう命めいぜられた。このとき長野ながの電気でんきの新潟にいがた県内けんない供給きょうきゅう区域くいきも暫定ざんてい的てきに中部ちゅうぶ配電はいでん区域くいきとされたことから、中ちゅう頸城郡ぐん杉野すぎの沢村さわむらへの供給きょうきゅうは一旦いったん中部ちゅうぶ配電はいでんに継承けいしょうされたが、1942年ねん10月がつの配電はいでん区域くいき整理せいりに伴ともない新潟にいがた県けん側がわにおける本来ほんらいの事業じぎょう者しゃである東北とうほく配電はいでんへと移管いかんされた。

発電はつでん所しょ

関川せきかわ水系すいけいの発電はつでん所しょ

[全ぜん画面がめん表示ひょうじ]

関川せきかわ水系すいけい発電はつでん所しょの位置いち

1

高沢たかさわ第だい一いち・第だい二に発電はつでん所しょ

2

杉野すぎの沢さわ発電はつでん所しょ

3

西野にしの発電はつでん所しょ

4

清水沢しみずさわ発電はつでん所しょ

信濃電気しなのでんきは、新潟にいがた県けん上越じょうえつ地方ちほうを流ながれる関川せきかわ水系すいけいと、長野ながの県内けんないの北信ほくしん・東あずま信しん地方ちほうを縦貫じゅうかんする信濃川しなのがわ（千曲川ちくまがわ）水系すいけいの河川かせんに水力すいりょく発電はつでん所しょを運転うんてんした。発電はつでん所しょ数すうでみると信濃川しなのがわ水系すいけい側がわが多おおいが、大型おおがた発電はつでん所しょは関川せきかわ水系すいけいに集中しゅうちゅうしており、発電はつでん力りょくでは関川せきかわ水系すいけいの方ほうが上回うわまわる。関川せきかわ水系すいけいの発電はつでん所しょは、上流じょうりゅう部ぶ、関川せきかわが新潟にいがた県けんと長野ながの県けんの県境けんきょうとなっている部分ぶぶんに位置いちする。

高沢たかさわ第だい一いち・第だい二に発電はつでん所しょ

高沢たかさわ発電はつでん所しょ（2018年ねん）

位置いち ： 北緯ほくい36度ど50分ふん46.4秒びょう 東経とうけい138度ど8分ふん59.6秒びょう

関川せきかわ水系すいけいで中心ちゅうしんとなる発電はつでん所しょは高沢たかさわ第だい一いち発電はつでん所しょ（出力しゅつりょく4,050 kW）および高沢たかさわ第だい二に発電はつでん所しょ（出力しゅつりょく10,800 kW）である。この2つの発電はつでん所しょは建屋たきのやが接続せつぞくしており外観がいかん上じょうは1つの発電はつでん所しょであるが、別個べっこの発電はつでん設備せつびを有ゆうし、建設けんせつ時期じきも異ことなる。所在地しょざいちは長野ながの県けん上水内かみみのち郡ぐん信濃しなの尻しり村むら大字だいじ野尻のじり字じ高沢たかさわ（現げん・信濃しなの町まち野尻のじり）。

先さきに建設けんせつされたのは南側みなみがわの建屋たきのやを使用しようする高沢たかさわ第だい一いち発電はつでん所しょである。信濃川しなのがわ水系すいけいの米子よなご発電はつでん所しょに続つづく信濃電気しなのでんき2番目ばんめの発電はつでん所しょであり、1905年ねん（明治めいじ38年ねん）9月がつに着工ちゃっこうされ、翌よく1906年ねん（明治めいじ39年ねん）7月がつに竣工しゅんこう、同年どうねん8月がつ10日とおかより運転うんてんが開始かいしされた。高沢たかさわ第だい二に発電はつでん所しょの完成かんせいまでは単たんに「高沢たかさわ発電はつでん所しょ」と称しょうする。最初さいしょの発電はつでん機き数かずは300 kW機き2台だい。以後いご1911年ねん（明治めいじ44年ねん）に300 kW発電はつでん機き1台だい、1912年ねん（明治めいじ45年ねん）に1,050 kW発電はつでん機き1台だい、1913年ねん（大正たいしょう2年ねん）に2,000 kW発電はつでん機き1台だいと増設ぞうせつが重かさねられた。水車みずぐるま（ペルトン水車みずぐるま）は順じゅんに米国べいこくペルトン製せい（2台だい）・芝浦製作所しばうらせいさくしょ製せい・英国えいこくボービング製せい・フォイト製せいと製造せいぞう所しょが分わかれる一方いっぽう、発電はつでん機きは5台だいとも芝浦製作所しばうらせいさくしょ製せいで統一とういつされている。

1922年ねん（大正たいしょう11年ねん）春はる、高沢たかさわ第だい一いち発電はつでん所しょは火災かさい被害ひがいに遭あった。その復旧ふっきゅう工事こうじはただちに着手ちゃくしゅされ、9月がつまでに2000 kW発電はつでん機きの復旧ふっきゅうが完了かんりょう、12月には鉄筋てっきんコンクリート構造こうぞうの新建しんたけ屋やが竣工しゅんこうし、翌よく1923年ねん（大正たいしょう12年ねん）1月がつには1,050 kW発電はつでん機きの復旧ふっきゅう工事こうじが終了しゅうりょうする。さらに300 kW発電はつでん機き3台だいを1,000 kW発電はつでん機き1台だいへと改造かいぞうする工事こうじが同年どうねん4月がつに完了かんりょうし、高沢たかさわ第だい一いち発電はつでん所しょは焼失しょうしつ前まえより100 kW増ぞうとなる出力しゅつりょく4,050 kWの発電はつでん所しょとして復旧ふっきゅうされた。1,000 kW機きは水車みずぐるまが電業社でんぎょうしゃ製せい、発電はつでん機きは他たと同おなじ芝浦しばうら製せいである。

高沢たかさわ第だい二に発電はつでん所しょについては第だい一いち発電はつでん所しょ復旧ふっきゅう後ごの1927年ねん（昭和しょうわ2年ねん）7月がつ23日にちより運転うんてんを開始かいしした。高沢たかさわ第だい一いち発電はつでん所しょの度重たびかさなる増設ぞうせつ後ごも関川せきかわの水量すいりょうに余裕よゆうがあるため、その再さい開発かいはつとして建設けんせつされた。関川せきかわにある第だい一いち発電はつでん所しょ取水しゅすい口こうから上流じょうりゅう約やく4キロメートルさかのぼった場所ばしょに別個べっこの取水しゅすい口こうを設もうけ、別個べっこの導水どうすい路ろによって第だい一いち発電はつでん所しょよりも大おおきい落差らくさを得えて発電はつでんする。水車みずぐるまはペルトン水車みずぐるまで、最初さいしょの3台だいがフォイト製せい、完成かんせい翌年よくねんに1台だい追加ついかされた予備よび機きが電業社でんぎょうしゃ製せい。発電はつでん機きは4,000キロボルトアンペア (kVA) 機き4台だいの設置せっちで、いずれも芝浦しばうら製せい。社内しゃないの標準ひょうじゅん周波数しゅうはすうは60ヘルツであるが、高沢たかさわ第だい二に発電はつでん所しょの発電はつでん機きについては周辺しゅうへんに50ヘルツ地域ちいきが混在こんざいするため50ヘルツ発電はつでんにも対応たいおうする仕様しようとされた。発電はつでん所しょ出力しゅつりょくは当初とうしょ9,100 kWで、翌よく1928年ねん（昭和しょうわ13年ねん）11月の増加ぞうか許可きょかにより10,800 kWとなっている。

高沢たかさわ発電はつでん所しょを起点きてんとする送電そうでん線せんは、柏原かしわばら変電へんでん所しょ（上水内かみみのち郡ぐん柏原かしわばら村むら）へ至いたる路線ろせんと鳥居川とりいがわ第だい一いち発電はつでん所しょへ至いたる路線ろせん（2路線ろせんともその先さき、長野ながの市内しないの吉田よしだ変電へんでん所しょへ繋つながる）、新潟にいがた県けん側がわへ抜ぬけて直江津なおえつ変電へんでん所しょへと至いたる路線ろせんの3路線ろせんが存在そんざいした。このうち直江津なおえつ変電へんでん所しょに繋つながる「信越しんえつ送電そうでん線せん」は亘わたる長ちょう41.3キロメートル・最大さいだい電圧でんあつ77キロボルトの送電そうでん線せんで、社内しゃないでは唯一ゆいいつの電圧でんあつ40キロボルト以上いじょうの送電そうでん線せんでもある。1927年ねん10月がつに信越しんえつ窒素肥料ちっそひりょうへの送電そうでん用ようとして建設けんせつされた。

杉野すぎの沢さわ発電はつでん所しょ

位置いち ： 北緯ほくい36度ど51分ふん13.6秒びょう 東経とうけい138度ど11分ふん4.2秒びょう

関川せきかわ水系すいけいで2番目ばんめの発電はつでん所しょは杉野すぎの沢さわ発電はつでん所しょ（出力しゅつりょく5,400 kW）である。高沢たかさわ発電はつでん所しょから関川せきかわを約やく4キロメートル下くだった位置いちにある。高沢たかさわ発電はつでん所しょとは異ことなって新潟にいがた県けん側がわ（関川せきかわ北岸ほくがん）にあり、当初とうしょ計画けいかくでの建設けんせつ地ちである中ちゅう頸城郡ぐん杉野すぎの沢村さわむら（現げん・妙高みょうこう市し杉野すぎの沢さわ）にちなんで杉野すぎの沢さわ発電はつでん所しょと称しょうするが、地質ちしつ上じょうの都合つごうから設計せっけい変更へんこうされて実際じっさいには中ちゅう頸城郡ぐん名香めいこう山村さんそん大字だいじ関川せきかわ（現げん・妙高みょうこう市し関川せきかわ）に建設けんせつされている。杉野すぎの沢さわ発電はつでん所しょよりも下流かりゅう側がわの発電はつでん所しょは中央ちゅうおう電気でんき（新潟にいがた県けん）に所属しょぞくしており、信濃電気しなのでんきが持もつ関川せきかわ水系すいけい発電はつでん所しょの中なかでは最下さいか流りゅうに位置いちするといえる。

杉野すぎの沢さわ発電はつでん所しょは1919年ねん（大正たいしょう8年ねん）4月がつに竣工しゅんこうした。水車みずぐるまは電業社でんぎょうしゃ製せいのフランシス水車みずぐるま2台だい、発電はつでん機きは芝浦しばうら製せい3,000 kVA発電はつでん機き2台だいを備そなえる。発電はつでん所しょ出力しゅつりょくは当初とうしょから5,400 kW。送電そうでん線せんは柏原かしわばら変電へんでん所しょとを結むすぶ路線ろせんと高沢たかさわ発電はつでん所しょへの連絡れんらく線せんの2路線ろせんが接続せつぞくする。

西野にしの発電はつでん所しょ

位置いち ： 北緯ほくい36度ど50分ふん37.6秒びょう 東経とうけい138度ど6分ふん7.2秒びょう

1928年ねん7月がつ5日にち、信濃電気しなのでんきは関川せきかわ下流かりゅうに発電はつでん所しょを持もつ中央ちゅうおう電気でんきとの間あいだで、関川せきかわ最さい上流じょうりゅう部ぶに笹ヶ峰ささがみねダムを建設けんせつして共同きょうどう貯水池ちょすいちを設置せっちするという契約けいやくを締結ていけつした。この笹ヶ峰ささがみねダムは翌よく1929年ねん（昭和しょうわ4年ねん）10月がつ末まつに完成かんせいし、高たかさ22メートルのダムにより余よ水すいを貯留ちょりゅうして夏季かきは中央ちゅうおう電気でんきのため、冬季とうきは信濃電気しなのでんきの常時じょうじ出力しゅつりょく増加ぞうかのために放流ほうりゅうするという運用うんようが始はじまった。

笹ヶ峰ささがみねダムに関連かんれんする発電はつでん所しょは西野にしの発電はつでん所しょ（出力しゅつりょく3,000 kW）という。所在地しょざいちは新潟にいがた県けん中ちゅう頸城郡ぐん杉野すぎの沢村さわむら宇棚。笹ヶ峰ささがみねダム放水ほうすい路ろから直接ちょくせつ導水どうすいするほか、後述こうじゅつの清水沢しみずさわ発電はつでん所しょの放水ほうすいも受うけ入いれて発電はつでんする。1930年ねん（昭和しょうわ5年ねん）2月がつ8日にちより西野にしの送電そうでん線せんとともに運用うんようが開始かいしされた。発電はつでん設備せつびは三菱みつびし造船ぞうせん製せいのフランシス水車みずぐるま1台だいと三菱電機みつびしでんき製せいの3,500 kVA発電はつでん機き1台だいからなる。発電はつでん所しょ出力しゅつりょくは建設けんせつ中ちゅうに1,800 kWから3,000 kWへと引ひき上あげられた。

なお信濃電気しなのでんき・中央ちゅうおう電気でんきが共同きょうどう建設けんせつした笹ヶ峰ささがみねダムは1978年ねん（昭和しょうわ53年ねん）に農林省のうりんしょう関川せきかわ農業のうぎょう利水りすい事業じぎょうによる新あたらしい笹ヶ峰ささがみねダムの建設けんせつで水没すいぼつしており、現存げんそんしない。

清水沢しみずさわ発電はつでん所しょ

位置いち ： 北緯ほくい36度ど51分ふん16.7秒びょう 東経とうけい138度ど5分ふん14.8秒びょう

関川せきかわ水系すいけいで4番目ばんめの発電はつでん所しょは清水沢しみずさわ発電はつでん所しょ（出力しゅつりょく400 kW）である。所在地しょざいちは杉野すぎの沢村さわむら宇棚で、「笹ヶ峰ささがみね牧場ぼくじょう」の南側みなみがわに位置いちする。関川せきかわ本流ほんりゅうにはなく、清水沢しみずさわなどの渓流けいりゅうの水みずを人工じんこうの「清水しみずヶ池ち」に集あつめて発電はつでんする。1930年ねん12月2日にちより清水沢しみずさわ送電そうでん線せんとともに運用うんようが開始かいしされた。

清水しみずヶ池ちは下流かりゅう側がわ発電はつでん所しょのための調整ちょうせい池ちとして運用うんようされており、1日にち約やく5時じ間あいだのピーク需要じゅよう時じ（尖とんが頭あたま負荷ふか）に放水ほうすいしつつ清水沢しみずさわ発電はつでん所しょで発電はつでんし、それ以外いがいの時間じかん帯たいには貯水ちょすいを行おこなう。そうした運用うんようのため清水沢しみずさわ発電はつでん所しょは常時じょうじ運転うんてんされず長期間ちょうきかん停止ていしされることもあった。発電はつでん設備せつびはフォイト製せいフランシス水車みずぐるま1台だいと芝浦しばうら製せい400 kVA発電はつでん機き1台だいからなる。発電はつでん所しょ出力しゅつりょくは当初とうしょから最大さいだい400 kWに設定せっていされている。

信濃川しなのがわ水系すいけいの発電はつでん所しょ

5か所しょの関川せきかわ水系すいけい発電はつでん所しょに対たいし、信濃川しなのがわ水系すいけいの発電はつでん所しょは10か所しょ存在そんざいした（ただし、うち1か所しょは信濃電気しなのでんき時代じだいに廃止はいし）。いずれも長野ながの県内けんないで、信濃川しなのがわ（千曲川ちくまがわ）本流ほんりゅうではなく支流しりゅうに位置いちする。下表かひょうに発電はつでん所しょ出力しゅつりょく・所在地しょざいち・運転うんてん開始かいし年月としつきをまとめた。

発電はつでん所しょ名めい	出力しゅつりょく (kW)	所在地しょざいち	河川かせん名めい	運転うんてん開始かいし年月としつき
武石たけいし	200	小県ちいさがた郡ぐん武石たけいし村むら上本入かみほんいり （現げん・上田うえだ市し武石たけいし上本入かみほんいり）	依田川よだかわ支流しりゅう武石川たけしがわ	1926年ねん5月がつ
横沢よこざわ第だい一いち	400 →840	小県ちいさがた郡ぐん長村おさむら （現げん・上田うえだ市し真田さなだ町長ちょうちょう）	神川かみかわ	1910年ねん11月
横沢よこざわ第だい二に	280	小県ちいさがた郡ぐん長村おさむら （現げん・上田うえだ市し真田さなだ町長ちょうちょう）	神川かみかわ	1928年ねん12月
畑山はたやま	60 →220	小県ちいさがた郡ぐん神かみ科か村むら （現げん・上田うえだ市し上野うえの）	神川かみかわ	1902年ねん8月がつ
鳥居川とりいがわ第だい三さん	2,000	上水内かみみのち郡ぐん柏原かしわばら村むら （現げん・信濃しなの町まち柏原かしわばら）	鳥居川とりいがわ・赤滝あかたき	1928年ねん6月がつ
鳥居川とりいがわ第だい二に	2,000	上水内かみみのち郡ぐん柏原かしわばら村むら （現げん・信濃しなの町まち柏原かしわばら）	鳥居川とりいがわ	1928年ねん6月がつ
鳥居川とりいがわ第だい一いち	1,000 →1,500	上水内かみみのち郡ぐん柏原かしわばら村むら （現げん・信濃しなの町まち柏原かしわばら）	鳥居川とりいがわ・大沢おおさわ	1925年ねん12月
鳥居川とりいがわ第だい四よん	670	上水内かみみのち郡ぐん柏原かしわばら村むら （現げん・信濃しなの町まち柏原かしわばら）	鳥居川とりいがわ	1930年ねん4月がつ
米子よなご	120	上高井かみたかい郡ぐん仁礼にれい村むら米子よなご （現げん・須坂すざか市し米子よなご）	米子川よなこがわ	1903年ねん12月 （1923年ねん4月がつ廃止はいし）
樽川たるかわ	960 →1,700	下高井しもたかい郡ぐん上木島かみきじま村むら （現げん・木島平きじまだいら村むら上木島かみきじま）	倉下くらした川がわ・樽川たるかわ	1923年ねん8月がつ

備考びこう

• 上記じょうき10か所しょのうち、武石たけいし発電はつでん所しょは武石たけいし電力でんりょく興業こうぎょう、横沢よこざわ第だい一いち・畑山はたやま両りょう発電はつでん所しょは上田うえだ電灯でんとうによってそれぞれ建設けんせつされた。
• 発電はつでん所しょ出力しゅつりょくの変更へんこうは以下いかの通とおり。
  • 横沢よこざわ第だい一いち発電はつでん所しょは1929年ねん8月がつに400 kWから840 kWへ変更へんこう（出力しゅつりょく増加ぞうか工事こうじの完了かんりょうによる）。
  • 畑山はたやま発電はつでん所しょは1904年ねん4月がつに60 kWから120 kWへ変更へんこう。その後ご一旦いったん65 kWとなるが（1921年ねん時点じてんでは65 kW）、1925年ねん3月がつに220 kWへの増強ぞうきょう工事こうじが竣工しゅんこうした。
  • 鳥居川とりいがわ第だい一いち発電はつでん所しょは1929年ねん6月がつに1,000 kWから1,500 kWへ変更へんこう（出力しゅつりょく増加ぞうか工事こうじの完了かんりょうによる）。
  • 樽川たるかわ発電はつでん所しょは1930年ねん11月に960 kWから1,760 kWへ変更へんこう。

電力でんりょく国家こっか管理かんりに伴ともなう処理しょり

長野ながの電気でんき発足ほっそく後ご、1940年代ねんだいから始はじまった電力でんりょく国家こっか管理かんり強化きょうかに際さいして、長野ながの電気でんきの発電はつでん所しょは発送はっそう電でん事業じぎょうを全国ぜんこく規模きぼで担になう日本にっぽん発はつ送電そうでんおよび中部ちゅうぶ地区ちくの配電はいでん事業じぎょうを担になう中部ちゅうぶ配電はいでんの2社しゃへと分割ぶんかつ継承けいしょうされた。

旧きゅう信濃電気しなのでんきの発電はつでん所しょに関かんしては、関川せきかわ水系すいけいの5発電はつでん所しょ（高沢たかさわ第だい一いち・高沢たかさわ第だい二に・杉野すぎの沢さわ・西野にしの・清水沢しみずさわ）は1942年ねん4月がつに関連かんれんする送電そうでん線せんとともに日本にっぽん発はつ送電そうでんへと出資しゅっしされた。これ以後いご、高沢たかさわ第だい一いち・第だい二に両りょう発電はつでん所しょは「高沢たかさわ発電はつでん所しょ」という単一たんいつの発電はつでん所しょとして扱あつかわれている。これらの関川せきかわ水系すいけいの発電はつでん所しょは1951年ねん（昭和しょうわ26年ねん）の電気でんき事業じぎょう再さい編成へんせいで東北電力とうほくでんりょくへと引ひき継つがれた。東北電力とうほくでんりょく継承けいしょう分ぶんのうち、清水沢しみずさわ発電はつでん所しょは同社どうしゃの小しょう水力すいりょく発電はつでん所しょ運転うんてん見直みなおしの方針ほうしんによって1969年ねん（昭和しょうわ44年ねん）に廃止はいしされており、現存げんそんしない。

その一方いっぽう、信濃川しなのがわ水系すいけいの9発電はつでん所しょ（鳥居川とりいがわ第だい一いち - 第だい四よんと武石たけいし・横沢よこざわ第だい一いち・横沢よこざわ第だい二に・畑山はたやま・樽川たるかわ）は1942年ねん4月がつに中部ちゅうぶ配電はいでんへと出資しゅっしされた。これらは続つづく電気でんき事業じぎょう再さい編成へんせいによりすべて中部ちゅうぶ配電はいでんから中部電力ちゅうぶでんりょくへと移管いかんされている。そのうち畑山はたやま発電はつでん所しょは1966年ねん（昭和しょうわ41年ねん）5月がつに廃止はいしされており、これも現存げんそんしない。

人物じんぶつ

社長しゃちょう

信濃電気しなのでんきでは設立せつりつから解散かいさんまでの34年間ねんかんに以下いかの4名めいが取締役とりしまりやく社長しゃちょうを務つとめた。なお代表だいひょう取締役とりしまりやく制せいは採用さいようされていない。

初代しょだい・3代だい - 越こし寿三郎じゅさぶろう

• 在任ざいにん期間きかん ： 1903年ねん - 1907年ねん・1913年ねん - 1930年ねん

1903年ねん5月がつの会社かいしゃ設立せつりつとともに社長しゃちょう就任しゅうにん。須坂すざか町まちを代表だいひょうする製糸せいし家かであり、「山やま丸まる組ぐみ」の屋号やごうで製糸せいし業ぎょうを経営けいえいし、生糸きいとの共同きょうどう販売はんばい組織そしきである製糸せいし結社けっしゃ「俊明としあき社しゃ」の社長しゃちょうも務つとめる。家業かぎょう多忙たぼうのため1907年ねんに一旦いったん信濃電気しなのでんきの社長しゃちょう職しょくを退しりぞく（取締役とりしまりやくには留任りゅうにん）が、役員やくいん録ろくによると1913年ねんには社長しゃちょうへ復帰ふっきしているのが確認かくにんできる。

1930年ねん4月がつ30日にちの取締役とりしまりやく任期にんき満了まんりょうをもって信濃電気しなのでんき取締役とりしまりやく社長しゃちょうから退しりぞいた。

2代だい - 小野木おのぎ源次郎げんじろう

• 在任ざいにん期間きかん ： 1907年ねん - 1912年ねん

1907年ねん越こし寿三郎じゅさぶろうに代かわって社長しゃちょう就任しゅうにん（取締役とりしまりやく就任しゅうにんも同年どうねん）。福島ふくしま県けん若松わかまつ市しの人物じんぶつで、直前ちょくぜんまで広島ひろしま県けん警察けいさつ部長ぶちょうを務つとめていた。長野ながの県けんでも県けん警務けいむ部長ぶちょうを務つとめた時期じきがある。1912年ねん12月17日にち付づけで信濃電気しなのでんき取締役とりしまりやくから退しりぞき、直後ちょくごに若松わかまつ市長しちょうとなった。

4代だい - 名取なとり和作わさく

• 在任ざいにん期間きかん ： 1930年ねん - 1931年ねん

1930年ねん4月がつ30日にちの改選かいせんにて取締役とりしまりやくに新任しんにんされ、社長しゃちょうに選出せんしゅつ。東京とうきょうの実業じつぎょう家かで、富士電機ふじでんき製造せいぞう（現げん・富士電機ふじでんき）社長しゃちょうや東邦とうほう電力でんりょく取締役とりしまりやくなどを務つとめる。

1931年ねん5月がつ25日にち付づけで信濃電気しなのでんき社長しゃちょうを辞任じにんしたが、長野ながの電灯でんとうとの合併がっぺいまで取締役とりしまりやくには留とどまった。

5代だい - 小坂こさか順じゅん造づくり

• 在任ざいにん期間きかん ： 1931年ねん - 1937年ねん

1931年ねん5月がつ25日にち付づけで取締役とりしまりやくに補選ほせんされ、同時どうじに社長しゃちょう選出せんしゅつ。以後いご長野ながの電灯でんとうとの合併がっぺいまで社長しゃちょうに在任ざいにんした。長野ながの電灯でんとう創業そうぎょう者しゃ小坂こさか善之助ぜんのすけの長男ちょうなんで、1923年ねんから同社どうしゃ社長しゃちょうを務つとめる。政治せいじ家かとして1912年ねんから衆議院しゅうぎいん議員ぎいん、1932年ねんからは貴族きぞく院いん多額たがく納税のうぜい者しゃ議員ぎいんを務つとめており、濱口はまぐち内閣ないかくの拓ひらけ務つとむ政務次官せいむじかん在職ざいしょく中ちゅう（1929年ねん7月がつ - 1931年ねん4月がつ）は会社かいしゃ役員やくいんから離職りしょくしていた。1931年ねん7月がつに長野ながの電灯でんとう社長しゃちょうへ復帰ふっきし、合併がっぺいまで信濃電気しなのでんき・長野ながの電灯でんとう両社りょうしゃの社長しゃちょうを兼かねた。

副ふく社長しゃちょう

初代しょだい副ふく社長しゃちょう丸山まるやま盛雄もりお

取締役とりしまりやく副ふく社長しゃちょうの経験けいけん者しゃは以下いかの2名めいである。

初代しょだい - 丸山まるやま盛雄もりお

• 在任ざいにん期間きかん ： 1913年ねん - 1919年ねん頃ごろ

1913年ねん1月がつ取締役とりしまりやくに補選ほせん。同年どうねんの役員やくいん録ろくには越こし寿三郎じゅさぶろうの下したで副ふく社長しゃちょうを務つとめるとある。南安曇みなみあずみ郡ぐん豊科とよしな町まち（現げん・安曇あずみ野市のいち）出身しゅっしんの人物じんぶつで、元もと長野ながの県けん会かい議員ぎいん。信濃電気しなのでんき副ふく社長しゃちょうを機きに長野ながの市内しないへ転居てんきょした。1919年ねん7月がつ六ろく十じゅう三さん銀行ぎんこう常務じょうむ取締役とりしまりやくに就任しゅうにんしており、翌年よくねんの役員やくいん録ろくでは信濃電気しなのでんき副ふく社長しゃちょうから外はずれている。取締役とりしまりやくには長野ながの電灯でんとうとの合併がっぺいまで留とどまった。

2代だい - 小田切おだぎり磐いわお太郎たろう

• 在任ざいにん期間きかん ： 1919年ねん頃ごろ - 1930年ねん

1919年ねん10月がつ取締役とりしまりやくに補選ほせん。翌よく1920年ねん初頭しょとう時点じてんの役員やくいん録ろくに副ふく社長しゃちょうを務つとめるとある。越こし寿三郎じゅさぶろうの従弟じゅうていにあたる人物じんぶつで、官選かんせん県知事けんちじを退官たいかん後ご、越えつの後援こうえんで衆議院しゅうぎいん議員ぎいんとなっていた。

名取なとりが社長しゃちょうとなった1930年ねん4月がつの取締役とりしまりやく改選かいせん後ごも取締役とりしまりやく副ふく社長しゃちょうを務つとめたが、同年どうねん12月がつ30日にち付づけで取締役とりしまりやくから退しりぞいた。翌よく1931年ねん4月がつ23日にちの総会そうかいで監査かんさ役やくに選出せんしゅつされ、長野ながの電灯でんとうとの合併がっぺいまで監査かんさ役やくを務つとめている。

常務じょうむ

常務じょうむ取締役とりしまりやくの経験けいけん者しゃは以下いかの2名めいである。

初代しょだい - 高橋たかはし武たけ太郎たろう

• 在任ざいにん期間きかん ： 1913年ねん頃ごろ - 1919年ねん

1905年ねん取締役とりしまりやくに就任しゅうにん。1913年ねんの役員やくいん録ろくでは常務じょうむ取締役とりしまりやくを務つとめるとある。1899年ねん東京とうきょう帝国ていこく大学だいがく工科こうか大学だいがく電気でんき工学科こうがっか卒そつの技術ぎじゅつ者しゃで、1903年ねん8月がつ信濃電気しなのでんきに入社にゅうしゃし技師ぎし長ちょうとなった。

杉野すぎの沢さわ発電はつでん所しょ完成かんせいを区切くぎりとして、1919年ねん5月がつに取締役とりしまりやくを辞任じにんした。その後ごは大正たいしょう電気でんき製せい錬ね所ところ（後ごの信濃電気しなのでんき製せい錬ね）を起業きぎょうし社長しゃちょうとなった。

2代だい - 花岡はなおか俊夫としお

• 在任ざいにん期間きかん ： 1930年ねん - 1937年ねん

1930年ねん4月がつ30日にちの改選かいせんにて取締役とりしまりやくに新任しんにんされ、常務じょうむに選出せんしゅつ。花岡はなおか次郎じろうの婿養子むこようしで、小坂こさか順じゅん造づくりの義ぎ甥おいにあたる。長野ながの電灯でんとうとの合併がっぺいまで常務じょうむ取締役とりしまりやくに在職ざいしょくした。

取締役とりしまりやく

会社かいしゃ設立せつりつから27年間ねんかん役員やくいんを務つとめた小林こばやし暢とおる

1922年ねん（大正たいしょう11年ねん）以降いこうに取締役とりしまりやく（社長しゃちょう・副ふく社長しゃちょう・常務じょうむは含ふくまず）を務つとめた人物じんぶつは以下いかの9名めいである。

• 小林こばやし暢とおる ： 会社かいしゃ設立せつりつ時じに監査かんさ役やく就任しゅうにん。1910年ねん取締役とりしまりやくに転任てんにんし、1930年ねん4月がつ取締役とりしまりやく退任たいにん。更級さらしな郡ぐん信田しのだ村むらの資産しさん家か、六ろく十じゅう三さん銀行ぎんこう頭取とうどり。
• 小島こじま大治だいじ郎ろう ： 1911年ねん就任しゅうにん、1929年ねん8月がつ在任ざいにんのまま死去しきょ。上田うえだ市しの鋳物いもの製造せいぞう業ぎょう、上田うえだ温泉おんせん電でん軌社長しゃちょう。
• 西沢にしざわ喜太郎きたろう ： 1916年ねん10月がつ就任しゅうにん、1936年ねん4月がつ退任たいにん。長野ながの市しの書籍しょせき商しょう、長野ながの農工のうこう銀行ぎんこう・長野ながの貯蓄ちょちく銀行ぎんこう頭取とうどり。
• 飯島いいじま正一しょういち ： 1921年ねん10月がつ就任しゅうにん。更級さらしな郡ぐん中津なかつ村むらの資産しさん家か飯島いいじま正治しょうじの長男ちょうなんで、六ろく十じゅう三さん銀行ぎんこう常務じょうむのち八十二銀行はちじゅうにぎんこう常務じょうむ・副ふく頭取とうどり。
• 越こし泰やすし蔵ぞう ： 1922年ねん10月がつ就任しゅうにん、1930年ねん4月がつ退任たいにん。越こし寿三郎じゅさぶろうの次男じなんで製糸せいし業ぎょう「山やま丸まる組ぐみ」を継つぐ（1925年ねん）。
• 工藤くどう善助ぜんすけ ： 1929年ねん10月がつ監査かんさ役やくから転任てんにん、1930年ねん4月がつ退任たいにん。小県ちいさがた郡ぐん丸子まりこ町まちの実業じつぎょう家か、信濃しなの絹糸けんし紡績ぼうせき・丸子まるこ鉄道てつどう社長しゃちょう。
• 諏訪部すわべ庄しょう左衛門さえもん ： 1930年ねん4月がつ就任しゅうにん。長野ながの電灯でんとう役員やくいん（小坂こさか順じゅん造づくり不在ふざい時じの1929 - 1931年ねんに社長しゃちょう、以後いご副ふく社長しゃちょう）。
• 児玉こだま衛まもる一いち ： 1930年ねん4月がつ就任しゅうにん。小県ちいさがた郡ぐん和かず村むらの農家のうか。
• 大岩おおいわ復ふく一郎いちろう ： 1936年ねん4月がつ就任しゅうにん。1919年ねん東京とうきょう帝国ていこく大学だいがく工学部こうがくぶ電気でんき工学科こうがっか卒そつの技師ぎしで、台湾たいわん電力でんりょく技師ぎしを経へて信濃電気しなのでんきに技術ぎじゅつ部長ぶちょうとして入社にゅうしゃした。取締役とりしまりやく兼けん支配人しはいにん・技師ぎし長ちょう。

1937年ねん3月がつの長野ながの電灯でんとうとの合併がっぺいまで在任ざいにんした取締役とりしまりやくは、小坂こさか順じゅん造づくり（社長しゃちょう）・花岡はなおか俊夫としお（常務じょうむ）・丸山まるやま盛雄もりお・飯島いいじま正一しょういち・名取なとり和作わさく・諏訪部すわべ庄しょう左衛門さえもん・児玉こだま衛まもる一いち・大岩おおいわ復ふく一郎いちろうの7名めい。諏訪部すわべを除のぞいて合併がっぺいによる新しん会社かいしゃ・長野ながの電気でんきでも役員やくいんを務つとめている。

監査かんさ役やく

長野ながの電灯でんとうとの合併がっぺい時じに在職ざいしょくしていた監査かんさ役やくは以下いかの4名めいである。

• 越こし六郎ろくろう ： 花岡はなおか次郎じろうの実弟じっていで越こし寿三郎じゅさぶろうの娘むすめ婿むこ。
• 横田よこた文五郎ぶんごろう ： 長野ながの市しの陶器とうき商しょう。
• 小田切おだぎり磐いわお太郎たろう ： 元もと副ふく社長しゃちょう（上記じょうき参照さんしょう）。
• 小坂こさか武雄たけお ： 小坂こさか順じゅん造づくりの弟おとうと、長野ながの電灯でんとう取締役とりしまりやく・信濃毎日新聞しなのまいにちしんぶん常務じょうむ。

参考さんこう文献ぶんけん

企業きぎょう史し

• 信濃電気しなのでんき製せい錬ね 編へん『信濃電気しなのでんき製せい錬ね70年ねんの歩あゆみ』信濃電気しなのでんき製せい錬ね、1991年ねん。 
• 信越化学工業しんえつかがくこうぎょう社しゃ史し編纂へんさん室しつ 編へん『信越化学工業しんえつかがくこうぎょう社しゃ史し』信越化学工業しんえつかがくこうぎょう、1992年ねん。 
• 中部電力ちゅうぶでんりょく電気でんき事業じぎょう史し編纂へんさん委員いいん会かい 編へん『中部ちゅうぶ地方ちほう電気でんき事業じぎょう史し』上巻じょうかん・下巻げかん、中部電力ちゅうぶでんりょく、1995年ねん。 
• 東北電力とうほくでんりょく 編へん『東北とうほく地方ちほう電気でんき事業じぎょう史し』東北電力とうほくでんりょく、1960年ねん。NDLJP:2491854。 
• 長野ながの電鉄でんてつ『四よん十じゅう年ねんのあゆみ』長野ながの電鉄でんてつ、1960年ねん。NDLJP:2501676。 
• 八十二銀行はちじゅうにぎんこう 編へん『八十二銀行はちじゅうにぎんこう史し』八十二銀行はちじゅうにぎんこう、1968年ねん。NDLJP:9525964。 

逓信ていしん省しょう資料しりょう

• 『電気でんき事業じぎょう要覧ようらん』明治めいじ41年ねん、逓信ていしん省しょう電気でんき局きょく、1909年ねん。NDLJP:805421。 
• 逓信ていしん省しょう電気でんき局きょく 編へん『電気でんき事業じぎょう要覧ようらん』明治めいじ44年ねん、逓信ていしん協会きょうかい、1912年ねん。NDLJP:974998。 
• 逓信ていしん省しょう電気でんき局きょく 編へん『電気でんき事業じぎょう要覧ようらん』第だい7回かい、逓信ていしん協会きょうかい、1915年ねん。NDLJP:975000。 
• 逓信ていしん省しょう電気でんき局きょく 編へん『電気でんき事業じぎょう要覧ようらん』第だい13回かい、逓信ていしん協会きょうかい、1922年ねん。NDLJP:975006。 
• 逓信ていしん省しょう電気でんき局きょく 編へん『電気でんき事業じぎょう要覧ようらん』第だい20回かい、電気でんき協会きょうかい、1929年ねん。NDLJP:1076983。 
• 逓信ていしん省しょう電気でんき局きょく 編へん『電気でんき事業じぎょう要覧ようらん』第だい28回かい、電気でんき協会きょうかい、1937年ねん。NDLJP:1073625。 
• 名古屋なごや逓信ていしん局きょく 編へん『管内かんない電気でんき事業じぎょう要覧ようらん』第だい11回かい、電気でんき協会きょうかい東海とうかい支部しぶ、1931年ねん。NDLJP:1145249。 

自治体じちたい資料しりょう

• 飯山いいのやま市し誌し編纂へんさん専門せんもん委員いいん会かい 編へん『飯山いいのやま市し誌し』歴史れきし編へん（下した）、飯山いいのやま市し、1995年ねん。 
• 上田うえだ市し 編へん『上田うえだ市し史し』下巻げかん、信濃しなの毎日新聞社まいにちしんぶんしゃ、1940年ねん。NDLJP:1684270。 
• 更埴こうしょく市し史し編纂へんさん委員いいん会かい 編へん『更埴こうしょく市し史し』第だい三さん巻かん近こん・現代げんだい編へん、更埴こうしょく市し、1991年ねん。 
• 坂城さかき町まち誌し刊行かんこう会かい 編へん『坂城さかき町まち誌し』下巻げかん歴史れきし編へん（二に）、坂城さかき町まち誌し刊行かんこう会かい、1981年ねん。NDLJP:9538718。 
• 佐久さく市し志しむら編纂へんさん委員いいん会かい 編へん『佐久さく市し志こころざし』歴史れきし編へん（四よん）近代きんだい、佐久さく市し、1996年ねん。 
• 真田さなだ町まち誌し編纂へんさん委員いいん会かい 編へん『真田さなだ町まち誌し』近代きんだい・現代げんだい編へん、真田さなだ町まち誌し刊行かんこう会かい、2002年ねん。 
• 須坂すざか市し史し編纂へんさん委員いいん会かい 編へん『須坂すざか市し史し』須坂すざか市し、1981年ねん。NDLJP:9538494。 
• 戸倉とくら町まち歴史れきし年表ねんぴょう編纂へんさん委員いいん会かい 編へん『年表ねんぴょう戸倉とくら町まちの今昔こんじゃく』戸倉とくら町まち教育きょういく委員いいん会かい、1974年ねん。NDLJP:9536129。 
• 中野なかの市し誌し編纂へんさん委員いいん会かい 編へん『中野なかの市し誌し』歴史れきし編へん（後編こうへん）、中野なかの市し、1981年ねん。NDLJP:9570474。 
• 長門ながと町まち誌し編纂へんさん委員いいん会かい 編へん『長門ながと町まち誌し』長門ながと町まち誌し刊行かんこう会かい、1989年ねん。NDLJP:3452399。 
• 長野ながの市し誌し編へんさん委員いいん会かい 編へん『長野ながの市し誌し』
  • 『長野ながの市し誌し』第だい五ご巻かん歴史れきし編へん近代きんだい一いち、長野ながの市し、1997年ねん。 
  • 『長野ながの市し誌し』第だい六ろく巻かん歴史れきし編へん近代きんだい二に、長野ながの市し、2000年ねん。 
• 丸子まるこ史料しりょう研究けんきゅう会かい 編へん『丸子まりこ町まち歴史れきし年表ねんぴょう』丸子まりこ町まち、1968年ねん。NDLJP:3449228。 
• 妙高高原みょうこうこうげん町まち史し編集へんしゅう委員いいん会かい 編へん『妙高高原みょうこうこうげん町まち史し』本編ほんぺん、妙高高原みょうこうこうげん町まち、1986年ねん。NDLJP:9540304。 

その他た書籍しょせき

• 『野尻のじり案内あんない』出版しゅっぱん者しゃ不ふ詳しょう、1923年ねん。NDLJP:977525。 
• 岩崎いわさき徂堂『日本にっぽん製糸せいし業ぎょうの大勢おおぜい』博学はくがく館かん、1906年ねん。NDLJP:802416。 
• 大阪おおさか屋や商店しょうてん調査ちょうさ部ぶ 編へん『株式かぶしき年鑑ねんかん』
  • 『株式かぶしき年鑑ねんかん』昭和しょうわ6年度ねんど、大同だいどう書院しょいん、1931年ねん。NDLJP:1075496。 
  • 『株式かぶしき年鑑ねんかん』昭和しょうわ12年度ねんど、大同だいどう書院しょいん、1937年ねん。NDLJP:1072575。 
• 北村きたむら竹四郎たけしろう『日本にっぽん電でん業者ぎょうしゃ一覧いちらん』
  • 『日本にっぽん電でん業者ぎょうしゃ一覧いちらん』明治めいじ39年ねん用よう、日本電気にほんでんき協会きょうかい、1905年ねん。NDLJP:803759。 
  • 『日本にっぽん電でん業者ぎょうしゃ一覧いちらん』第だい3版はん、日本電気にほんでんき協会きょうかい、1908年ねん。NDLJP:803761。 
• 小坂こさか順じゅん造づくり先生せんせい伝記でんき編纂へんさん委員いいん会かい 編へん『小坂こさか順じゅん造づくり』小坂こさか順じゅん造づくり先生せんせい伝記でんき編纂へんさん委員いいん会かい、1961年ねん。NDLJP:2978898。 
• 小林こばやし住吉すみよし 編へん『大長野おおながの県けんの現勢げんせい』長野ながの県民けんみん新聞しんぶん社しゃ、1937年ねん。NDLJP:1256255。 
• 信濃しなの経済けいざい調査ちょうさ会かい 編へん『長野ながの県けん事業じぎょう年鑑ねんかん』昭和しょうわ3年ねん、信濃しなの経済けいざい調査ちょうさ会かい、1928年ねん。NDLJP:1077173。 
• 商業しょうぎょう興信所こうしんじょ『日本にっぽん全国ぜんこく諸しょ会社かいしゃ役員やくいん録ろく』
  • 『日本にっぽん全国ぜんこく諸しょ会社かいしゃ役員やくいん録ろく』第だい10回かい、商業しょうぎょう興信所こうしんじょ、1902年ねん。NDLJP:780117。 
  • 『日本にっぽん全国ぜんこく諸しょ会社かいしゃ役員やくいん録ろく』第だい28回かい、商業しょうぎょう興信所こうしんじょ、1920年ねん。NDLJP:936472。 
• 白崎しらさき五郎ごろう七なな 編へん『日本にっぽん全国ぜんこく商工しょうこう人名じんめい録ろく』日本にっぽん全国ぜんこく商工しょうこう人名じんめい録ろく発行はっこう所しょ、1892年ねん。NDLJP:994140。 
• 人事じんじ興信所こうしんじょ 編へん『人事じんじ興信録こうしんろく』
  • 『人事じんじ興信録こうしんろく』第だい3版はん、人事じんじ興信所こうしんじょ、1911年ねん。 
  • 『人事じんじ興信録こうしんろく』第だい8版はん、人事じんじ興信所こうしんじょ、1928年ねん。NDLJP:1078684。 
  • 『人事じんじ興信録こうしんろく』第だい11版はん上じょう、人事じんじ興信所こうしんじょ、1937年ねん。NDLJP:1072916。 
  • 『人事じんじ興信録こうしんろく』第だい11版下はんした、人事じんじ興信所こうしんじょ、1937年ねん。NDLJP:1072938。 
• ダイヤモンド社だいやもんどしゃ 編へん『銀行ぎんこう会社かいしゃ年鑑ねんかん』 昭和しょうわ9年版ねんばん、ダイヤモンド社だいやもんどしゃ、1934年ねん。NDLJP:1075539。 
• 田子たつこ昭治しょうじ 編へん『須坂すざかに電燈でんとうが灯ともされて一いち世紀せいき 信濃電気しなのでんき（株）かぶしきがいしゃ創立そうりつ百ひゃく周年しゅうねん記念きねん誌し』信濃電気しなのでんき（株）かぶしきがいしゃ創立そうりつ百ひゃく周年しゅうねん記念きねん事業じぎょう実行じっこう委員いいん会かい、2003年ねん。 
• 帝国ていこく興信所こうしんじょ 編へん『帝国ていこく銀行ぎんこう会社かいしゃ要録ようろく』第だい2版はん、帝国ていこく興信所こうしんじょ、1913年ねん。NDLJP:974390。 
• 電気でんき之の友とも社しゃ 編へん『電気でんき年鑑ねんかん』
  • 『電気でんき年鑑ねんかん』昭和しょうわ4年ねん、電気でんき之の友とも社しゃ、1929年ねん。NDLJP:1139383。 
  • 『電気でんき年鑑ねんかん』昭和しょうわ5年ねん、電気でんき之の友とも社しゃ、1930年ねん。NDLJP:1139432。 
  • 『電気でんき年鑑ねんかん』昭和しょうわ6年ねん、電気でんき之の友とも社しゃ、1931年ねん。NDLJP:1139464。 
  • 『電気でんき年鑑ねんかん』昭和しょうわ10年ねん（第だい20回かい）、電気でんき之の友とも社しゃ、1935年ねん。NDLJP:1139585。 
  • 『電気でんき年鑑ねんかん』昭和しょうわ12年ねん（第だい22回かい）、電気でんき之の友とも社しゃ、1937年ねん。NDLJP:1114997。 
• 長野ながの商工しょうこう会議かいぎ所しょ『仏ふつ都と百ひゃく年ねんの歩あゆみ』長野ながの商工しょうこう会議かいぎ所しょ、1968年ねん。NDLJP:3449095。 
• 日本にっぽん動力どうりょく協会きょうかい『日本にっぽんの発電はつでん所しょ』東部とうぶ日本にっぽん篇へん、工業こうぎょう調査ちょうさ協会きょうかい、1937年ねん。NDLJP:1257046。 
• 日本にっぽん動力どうりょく協会きょうかい『日本にっぽんの発電はつでん所しょ』中部ちゅうぶ日本にっぽん篇へん、工業こうぎょう調査ちょうさ協会きょうかい、1937年ねん。NDLJP:1257061。 
• 夜間瀬川よませがわ普通ふつう水利すいり組合くみあい 編へん『八ケ郷はっかごう組合くみあい誌し』夜間瀬川よませがわ普通ふつう水利すいり組合くみあい、1939年ねん。NDLJP:1687287。 

記事きじ

• 「会社かいしゃの実質じっしつ 信濃電気しなのでんき会社かいしゃ・梓川あずさがわ電力でんりょく会社かいしゃ」『経済けいざい雑誌ざっしダイヤモンド』第だい17巻かん第だい12号ごう、ダイヤモンド社だいやもんどしゃ、1929年ねん4月がつ15日にち、105-107・124頁ぺーじ。 
• 山本やまもと利明としあき「長野ながの県けんの電気でんき事業じぎょう史し」『シンポジウム中部ちゅうぶの電力でんりょくのあゆみ』第だい11回かい講演こうえん報告ほうこく資料集しりょうしゅう（長野ながのの電気でんき事業じぎょう史しとその遺産いさん）、中部ちゅうぶ産業さんぎょう遺産いさん研究けんきゅう会かい、2003年ねん、1-25頁ぺーじ。 
• 今井いまい彰あきら「長野ながの電灯でんとうと信濃電気しなのでんきの歴史れきし」『シンポジウム中部ちゅうぶの電力でんりょくのあゆみ』第だい11回かい講演こうえん報告ほうこく資料集しりょうしゅう（長野ながのの電気でんき事業じぎょう史しとその遺産いさん）、中部ちゅうぶ産業さんぎょう遺産いさん研究けんきゅう会かい、2003年ねん、50-60頁ぺーじ。 
• 和田わだ俊二しゅんじ「わが国くにカーバイド工業こうぎょうの発達はったつと立地りっち変動へんどうについて」『滋賀大学しがだいがく経済学部けいざいがくぶ附属ふぞく史料しりょう館かん研究けんきゅう彙報いほう』第だい1号ごう、滋賀大学しがだいがく、1967年ねん、76-92頁ぺーじ。 

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• Category:長野ながの電気でんきの人物じんぶつ
• 京浜けいひん電力でんりょく - 信濃電気しなのでんきが大だい株主かぶぬしであった時期じきのある電力でんりょく会社かいしゃ