北海道ほっかいどうの地名ちめい・駅名えきめい

北海道ほっかいどうの地名ちめい・駅名えきめい（ほっかいどうのちめい・えきめい）の項こうでは、北海道ほっかいどうの地名ちめい、あるいは鉄道てつどう路線ろせんにおける駅名えきめいの由来ゆらいと分類ぶんるいを解説かいせつする。

北海道ほっかいどうの地名ちめいの歴史れきし

「アイヌ語ご地名ちめい」も参照さんしょう

北海道ほっかいどうの先住民せんじゅうみん族ぞくであるアイヌは、彼かれらの言葉ことば（アイヌ語ご）でそれぞれの土地とちを呼よんでいた。アイヌの地名ちめいは、「河口かこうがよどんだところ」「浜はまの真まん中なか」「赤あかい崖がけ」など、その土地とちの環境かんきょうや形状けいじょうを素直すなおに表現ひょうげんしたものが多おおい。しかしアイヌは文字もじを持もたないため文字もじによって表記ひょうきされることはなかった。

日本にっぽんの江戸えど時代じだい以降いこう、北海道ほっかいどうに和人わじん（日本人にっぽんじん）が入はいるようになり、和人わじん地ちを形成けいせいし、支配しはい地ちやアイヌとの接点せってんを拡大かくだいしてゆくと、アイヌの土地とち名めいをカタカナ等とうで表現ひょうげんするようになり（ナヨロなど）、和人わじん勢力せいりょくの拡大かくだいとともに地名ちめいとして定着ていちゃくするようになった。明治めいじ以降いこう、明治めいじ政府せいふによる北海道ほっかいどう開拓かいたくが始はじまり、内地ないち（おおむね本州ほんしゅう・四国しこく・九州きゅうしゅうをさす）から屯田とんでん兵へいや開拓かいたく民みんが入はいるようになると、それぞれの開拓かいたく地ちに地名ちめいをつけるようになる。もともとアイヌの地名ちめいがある場所ばしょには、これに漢字かんじをあてて地名ちめいとすることが多おおかった。例れいとしては札幌さっぽろ（乾かわいた大おおきな川かわを意味いみするサッ・ポロ・ペツ）・稚内わっかない（冷つめたい飲のみ水みずの川かわを意味いみするヤㇺ・ワッカ・ナイ）・留辺蘂るべしべ（通とおり道みちを意味いみするルベシベ）・釧路くしろ（温泉おんせん水みずを意味いみするクスリ）などが挙あげられる。また、アイヌ語ごに由来ゆらいするもののほかに、入植にゅうしょく者しゃの出身しゅっしん地名ちめいや開拓かいたく代表だいひょう者しゃ名めいを地名ちめいとしたり、入植にゅうしょくにあたって瑞祥ずいしょう地名ちめいを設もうけたりした。

北海道ほっかいどうに鉄道てつどうが初はじめて敷設ふせつされたのは1880年ねん（明治めいじ13年ねん）の官営かんえい幌内ほろない鉄道てつどう（手宮てみや駅えき - 札幌さっぽろ駅えき、のち幌内ほろない駅えきまで全通ぜんつう）である。以降いこう、物資ぶっし・旅客りょかく輸送ゆそうのために道内どうない各地かくちに鉄道てつどう路線ろせんが開設かいせつされ、駅えきも増ふえていった。駅名えきめいは駅えきの所在地しょざいちの地名ちめいに由来ゆらいするものが多おおかった。このため、駅名えきめいは地名ちめい同様どうようにアイヌ語ご由来ゆらい、入植にゅうしょく団体だんたい名めいや瑞祥ずいしょう地名ちめいを駅名えきめいとしたものが見みられる。

なお、アイヌ語ご地名ちめいは、2001年ねん10月がつ22日にちに北海道ほっかいどう遺産いさんに選定せんていされている。

分類ぶんるい

北海道ほっかいどうの地名ちめい・駅名えきめいは、概おおむね以下いかのように分類ぶんるいできる。

• アイヌ語ごに由来ゆらいするもの
  • アイヌ語ごに日本語にほんご（漢字かんじ）表記ひょうきをあてたもの
  • アイヌ語ごをそのまま使用しようしているもの
• 内地ないちからの開拓かいたく・入植にゅうしょくに際さいして地名ちめいが決きめられたもの
• 周辺しゅうへんに存在そんざいした施設しせつ・自然しぜん状況じょうきょう、あるいは周辺しゅうへんの風土ふうどなどから命名めいめい
• 上記じょうきによって定さだめられた地名ちめい・駅名えきめいに、方向ほうこうや大小だいしょうなどの接頭せっとう語ご・接尾せつび語ごをつけたもの

アイヌ語ごに由来ゆらいするもの

アイヌ語ご地名ちめいに日本語にほんご風ふうの地名ちめい・駅名えきめいにつけるにあたっては、以下いかの方法ほうほうが見みられた。

1. アイヌ語ごに漢字かんじの表記ひょうきをあてたもの
2. アイヌ語ごの音おとに漢字かんじをあてずカタカナで表記ひょうきしているもの（日本語にほんごを割わり当あてていない）

アイヌ語ごに漢字かんじ表記ひょうきをあてたもの

老ろう者しゃ舞まい（おしゃまっぷ）
（釧路くしろ町まち老ろう者しゃ舞まい集落しゅうらく入口いりくちにある標識ひょうしき）

漢字かんじの当あて方かたには、次つぎの2通とおりが見みられる。

• 音訳おんやく - アイヌ語ごの「音おと」を流用りゅうようし、漢字かんじを当あて字じ（仮借かしゃく）したもの
• 意訳いやく - アイヌ語ごの「意味いみ」を解釈かいしゃくし、似にた意味いみの日本語にほんごを割わり当あてたもの

音訳おんやくしたもの

音訳おんやくの例れいとしては、「ホッキ貝かいの多おおい所ところ」を表あらわす「ポク・オ・イ」からとった母はは恋こいや、「河口かこうが泥どろで汚よごれている所ところ」を表あらわす「オ・トイネ・ㇷ゚」からとった音威子府おといねっぷ・音おと稲府いなぶ（枝幸えさし町まち）などがある。また、アイヌの地名ちめいをそのまま日本語にほんご地名ちめいとしては冗長じょうちょうであったりごろが悪わるかったりする場合ばあいには一部いちぶ短縮たんしゅく・省略しょうりゃくしたものもある（オペレペレケㇷ゚→帯広おびひろ、ピウカ→美深びふか））。

これらは音おとのみに着目ちゃくもくした「当あて字じ」である。漢字かんじは表意ひょうい文字もじであるが、あてられた漢字かんじの意味いみにアイヌ語ご原義げんぎとの直接的ちょくせつてきな関連かんれん性せいがあるとは限かぎらない。例たとえば、道内どうないに数多かずおおく見みられる「内うち」「別べつ」は、それぞれアイヌ語ごで川かわを意味いみする「ナイ」「ペッ」に当あて字じされたものであり、「内側うちがわ」「別わかれる」の意味いみは持もたない。同おなじように「幌ほろ」は「大おおきい・広ひろい」を意味いみする「ポロ」の当あて字じで、「幌ほろ」の字じの持もつ意味いみとは関係かんけいがない。

アイヌ語ご地名ちめいの発音はつおんに当あてられる漢字かんじには、以下いかの例れいがある。

アイヌ語ご	漢字かんじ	意味いみ
アイ	愛あい	矢や
イワウ	岩尾いわお	硫黄いおう
ウㇱ	牛うし、臼うす	存在そんざいする
オイ	生なま、追おい	〜のあるところ
オタ	歌うた	砂浜すなはま
オッ	乙おつ	たくさんいる
オマイ	舞まい	〜のところ
カㇷ゚	冠かんむり	皮かわ
クマ	熊くま	魚さかな干ほし棚たな
サッ	札さつ	乾かわく
サㇽ	猿さる、去さ	葦あし、湿原しつげん
シ	士し、支ささえ	大おおきい、本来ほんらいの
シュマ	島しま	岩いわ
シㇼ	尻しり、知ち、後のち	峰みね、島しま
チライ	知来ちらい	イトウ
ト	当とう	湖みずうみ
ナイ	内うち	小川おがわ
ヌプル	登とう	濁にごる
パラ	原はら	広ひろい
ピ	美よし	小石原こいしわら
ピラ	平ひらた	崖がけ
プトゥ	太ふとし	川かわの合流ごうりゅう点てん
ペッ	別べつ	川かわ
ポロ	幌ほろ	大おおきい
ホㇿカ	幌加ほろか	後戻あともどりする
ポン	本ほん	小ちいさい
モ	茂しげる、望もち	小ちいさい
ワッカ	若わか、稚やや	質しつの良よい水みず

ただ、漢字かんじをあてる際さいにはできるだけ見みた目めをよくするような配慮はいりょがされたといわれているものもある。たとえば、道みち南みなみ地方ちほう今金いまかね町まち美利河ぴりか（ぴりか）はアイヌ語ご地名ちめいでは「美うつくしい川かわ」を意味いみする「ピㇼカ・ペッ」で、語意ごいに即そくした当あて字じがなされている。また、千歳ちとせは、もとはアイヌ語ごで大おおきな窪地くぼちを意味いみする「シ・コッ」であったが、「死し骨こつ」に通つうじ縁起えんぎが悪わるいとされたことから、周辺しゅうへんにタンチョウヅルが飛来ひらいすることにちなみ、「鶴づるは千せん年ねん」から千せん歳さいに改名かいめいされた。「シコッ」の語かたりは、千歳川ちとせがわの水源すいげんである支笏湖しこつことして今いまも残のこっている。

漢字かんじをあてることによって、漢字かんじの一般いっぱん的てきな読よみが浸透しんとうして地名ちめいの読よみが変化へんかしたものもある。札幌さっぽろ市し豊平とよひら区くの月寒つきさむ（つきさむ）は、もとは「つきさっぷ」と読よんだが、今いまでは「寒かん」の一般いっぱん的てきな読よみにより「つきさむ」となった。また、早来はやきた（はやきた）は、アイヌ語ごのサㇰ・ルペㇱペ（夏なつの通とおり道みち）に早来はやきたの字じを当あて「さっくる」と読よんでいたものが完全かんぜんに一般いっぱん的てきな読よみに置おき換かわってしまった例れいである。

地名ちめい	アイヌ語ご	意味いみ
赤平あかびら（あかびら）	ワッカ・ピラ（wakka-pira）	飲のみ水みずのある崖がけ
磯谷いそがい（いそや）	イソ・ヤ（iso-ya）	岩礁がんしょうの岸きし
歌志内うたしない（うたしない）	オタ・ウㇱ・ナイ（ota-us-nay）	砂すなのある川かわ
恵庭えにわ（えにわ）	エ・エン・イワ（e-en-iwa）	頭あたまの尖とがった岩山いわやま
遠軽えんがる（えんがる）	インカルㇱ（inkar ush）	眺望ちょうぼうする所ところ
歌棄うたすつ（うたすつ）	オタ・スッ（ota-sut）	砂浜すなはまの端はし
長都おさつ（おさつ）	オ・サッ・ナイ（o-sat-nay）	川尻かわじりが乾かわいた川かわ
小樽おたる（おたる）	オタ・オㇽ・ナイ（ota-or-nay）	砂浜すなはまの中なかを流ながれる川かわ
釜谷臼かまやうす（かまやうす）	カマ・ヤ・ウㇱ（kama-ya-us）	岩盤がんばんが岸きしにあるもの
札幌さっぽろ（さっぽろ）	サッ・ポロ・ペッ（sat poro pet） サル・ポロ・ペッ（sar poro pet）	乾かわいた広大こうだいな川かわ 葦原よしわらの大おおきな川かわ
沙流川さるかわ（さるがわ） 沙流さる（さる）	サㇽ（sar）	葦原よしわら
知床しれとこ（しれとこ）	シレトク、シレトコ（sir etok）	地ちの果はて
豊平とよへい（とよひら）	トゥイェ・ピラ（tuye-pira）	崩くずれた崖がけ
苫小牧とまこまい（とまこまい）	ト・マㇰ・オマ・ナイ（to mak oma nay）	沼ぬまの奥おくにある川かわ
美唄びばい（びばい）	ピパ・オ・イ（pipa-o-i）	カワシンジュガイのあるもの
美馬牛びばうし（びばうし）	ピパ・ウシ（pipa-us）	カワシンジュガイがいるところ
富良野ふらの（ふらの）	フラヌイ（huranuy）	臭くさい匂においのする所ところ
古平ふるびら（ふるびら）	フレ・ピラ（hure-pira）	赤あかい崖がけ
真駒内まこまない（まこまない）	マㇰ・オマ・ナイ（mak oma nay）	奥おくにある川かわ
幕別まくべつ（まくべつ）	マㇰ・ウン・ペツ（mak-un-pet）	奥おくにある川かわ
鵡川むかわ（むかわ）	ムカッ・ペッ ムツクアツ	川尻かわじりのたえず動うごく つるにんじんの多おおいところ
室蘭むろらん（むろらん）	モ・ルエラニ	小ちいさな下くだり坂ざかのあるところ
藻岩山もいわやま（もいわやま）	モ・イワ（mo-iwa）	小ちいさな岩山いわやま
紋別もんべつ、門別もんべつ（もんべつ）	モペッ	小ちいさな、または静しずかな川かわ
稚内わっかない（わっかない）	ヤㇺ・ワッカ・ナイ（yam wakka nay）	冷水れいすいのある沢さわ

意訳いやくしたもの

意訳いやくの例れいとしては、「細長ほそながい沼ぬま」を表あらわす「タンネ・ト」からとられた長沼ながぬま町まち、「峠とうげの下した」を表あらわす「ルチㇱ・ポㇰ」からとられた峠下とうげした駅えき、「イタドリ（虎杖いたどり）の多おおい所ところ」を表あらわす「クッタㇻ・ウㇱ」からとられた虎杖浜こじょうはま駅えき（こじょうはま）などが挙あげられる。これも、多おおくは見みた目めに対たいする配慮はいりょがなされたと言いわれるが、中なかには誤訳ごやくとされるもの（旭川あさひかわ市しなど）もあったという。

また、「砂浜すなはまの多おおい川かわ」を表あらわす「オタ・ウㇱ・ナイ」を意訳いやくした砂川いさがわ市し、音訳おんやくした歌志内うたしない市しのように、前記ぜんきの方法ほうほうで解釈かいしゃくした地名ちめい・駅名えきめいが両方りょうほうとも存在そんざいする例れいも見みられた。

アイヌ語ごの音おとに漢字かんじをあてずカタカナで表記ひょうきしているもの

これは、漢字かんじ表記ひょうきなどを充あてることが難むずかしく、アイヌ語ご地名ちめいをカタカナで表記ひょうきしているものである。例れいとしては、十勝とかち総合そうごう振興しんこう局きょく管内かんない浦幌うらほろ町まちトイトッキ、宗谷そうや総合そうごう振興しんこう局きょく管内かんない猿払さるふつ村むら知来別ちらいべつシネシンコ、釧路くしろ総合そうごう振興しんこう局きょく管内かんない厚岸あっけし町まちルークシュポール、留萌るもい振興しんこう局きょく管内かんない留萌るもい市し大字だいじ留萌るもい村むら字じポンルルモッペなどがあり、同様どうようの例れいは道内どうない各地かくちにみられる。また、宗谷そうや管内かんない浜頓別はまとんべつ町まちのポン仁達内ぽんにたちないのように、アイヌ語ごで「小ちいさい」を意味いみする「ポン」のみをカタカナとしている場合ばあいもある。

ただし、アイヌ語ご特有とくゆうの閉音節ぶしなどは通常つうじょうのカタカナでは表あらわせないため、穏当おんとうな日本語にほんご音おんに直なおした結果けっか、厳密げんみつなアイヌ語ごの発音はつおんとは相違そういが生しょうじる場合ばあいがある。例れいとして、占冠しむかっぷ村むらの地名ちめいであるトマム（Tomamu）の元もととなったアイヌ語ごは「トマㇺ」（Tomam）である。

内地ないちからの開拓かいたく・入植にゅうしょくに際さいして付つけられたもの

アイヌ語ごを由来ゆらいとする地名ちめいが存在そんざいしない場合ばあい、ないしはそれによって付つけられた地名ちめいが余あまりにも広範囲こうはんいを表あらわす場合ばあいなどに、入植にゅうしょく者しゃによる独自どくじの地名ちめい・駅名えきめいが付つけられる場合ばあいが見みられた。

1. 開拓かいたく・入植にゅうしょく者しゃの名前なまえに因ちなむ
2. 開拓かいたく・入植にゅうしょく者しゃの出身しゅっしん地ちに因ちなむ
3. 開拓かいたく・入植にゅうしょく者しゃの希望きぼう・願望がんぼうに因ちなむ（瑞祥ずいしょう地名ちめい）
4. 行政ぎょうせい区画くかく名めいから

1.の例れいとして、元もと鳥取とっとり藩はん主おもの池いけ田仲たなか博ひろしからとられた池田いけだ駅えき（後のちに池田いけだ町まちと町名ちょうめいにもなる）、元もと仙台せんだい藩はん亘理わたり伊達だて家か当主とうしゅの伊達だて邦くに成なりによる統治とうちを由来ゆらいとする伊達だて市し、坂本さかもと龍馬りょうまの甥おいの坂本さかもと直ただし寛ひろしが開設かいせつした「北光ほっこう社しゃ移民いみん団だん」からとられた北光ほっこう社しゃ駅えき（北海道ほっかいどうちほく高原こうげん鉄道てつどうふるさと銀河線ぎんがせん、廃止はいし）などが挙あげられる。また、元もと尾張おわり藩はん主おもの徳川とくがわ慶勝よしかつが和歌わかに因ちなんで命名めいめいした八雲やくも町まちのように、命名めいめい者しゃの趣味しゅみや家紋かもんなどから付つけられた例れいもある。

2.は、奈良なら県けんの十津川とつかわ村むらの者ものが入植にゅうしょくしたことから付つけられた新十津川しんとつかわ、仙台せんだい藩はん白石はくせき領りょうの藩士はんしが入植にゅうしょくした白石しらいし（現げん・札幌さっぽろ市し白石しらいし区く）、広島ひろしま県けん人じんによる北広島きたひろしまなどのように、市町村しちょうそんや行政ぎょうせい区くの名称めいしょうに名なを残のこすものが見みられる。また、北見きたみ市し常呂ところ町まち岐阜ぎふ（岐阜ぎふ県けん）、せたな町まち北檜山きたひやま区く徳島とくしま（徳島とくしま県けん）、新篠津しんしのつ村むら宍粟しそう（兵庫ひょうご県けん宍粟しさわ市し）、豊浦とようら町まち山梨やまなし・新山梨しんやまなし（山梨やまなし県けん）のように出身しゅっしん地ちが大字だいじとなったもの、湧別ゆうべつ町まち千葉ちば団体だんたいのように入植にゅうしょく者しゃ団体だんたい名めいが地区ちく名めいとなったものもある。

3.は、日進にっしん駅えき、瑞穂みずほ駅えきなど、開拓かいたくの苦くるしみを反映はんえいして、将来しょうらいの発展はってんを願ねがってつけたものが多おおいとされる。旧きゅう広尾線ひろおせん幸福こうふく駅えきと駅えきのあった集落しゅうらく名めい「幸福こうふく」はこの3にあたる。これは、元来がんらい「乾かわいた川かわ」を意味いみする「サッ・ナイ」に「幸さいわい震しん」（さち・ない）の字じをあてたアイヌ語ご由来ゆらいの地名ちめいであったが、ここに福井ふくい県けん出身しゅっしん者しゃが多おおかったことから、幸さいわい震しんの幸こうと福井ふくい県けんの福ぶくを合あわせて幸福こうふくとしたものである。

4.は入植にゅうしょくに際さいして行おこなわれた区画くかく整理せいり（殖民しょくみん区画くかく）により、土地とちが碁盤ごばんの目め状じょうになったため、それの基線きせんに並行へいこうする道路どうろに「東ひがし〜線せん」・「南みなみ〜線せん」、直交ちょっこうする道路どうろに「西にし〜号ごう」・「北きた〜号ごう」などといった名前なまえをつけたので、それが通過つうかする地ちであることが、そのまま地名ちめい・駅名えきめいとなったものである。「東ひがし〜線せん南みなみ〜号ごう」などという地名ちめいになり、駅名えきめいでは宗谷本線そうやほんせん東ひがし六ろく線せん駅えき（廃はい駅えき）、名寄本線なよろほんせん四よん号線ごうせん駅えき（廃はい駅えき）などが該当がいとうする。都市とし部ぶでは条じょうと丁ひのと目めが用もちいられる（宗谷本線そうやほんせん旭川あさひかわ四条しじょう駅えきなど）。

周辺しゅうへんの自然しぜん環境かんきょう・状況じょうきょうから採とられたもの

駅名えきめいに多おおく見みられるものであるが、入植にゅうしょく者しゃもほとんど見みられず、独立どくりつした地名ちめいが存在そんざいしなかったことから、駅えき周辺しゅうへんの自然しぜん環境かんきょう等とうにちなんで付つけられたものも少すくなくない。落合おちあい駅えき、銀山かなやま駅えき、桑園そうえん駅えき、鹿ノ谷しかのたに駅えき（廃はい駅えき）、紅葉山もみじやま駅えき（現げん：新しん夕張ゆうばり駅えき）、茅沼かやぬま駅えきなどが該当がいとうし、その後ご地名ちめいとなったものも多おおい。

方向ほうこうや大小だいしょうなどの接頭せっとう語ご・接尾せつび語ごをつけたもの

方向ほうこう・方角ほうがくを表あらわす接頭せっとう語ご（東西とうざい南北なんぼく上中かみなか下か）をつけたものは内地ないちにも一般いっぱん的てきにみられるが、アイヌ語ごで河川かせん等とうの大小だいしょうを表あらわす接頭せっとう辞じを冠かんしたものが北海道ほっかいどうにみられる。アイヌ語ごで「小ちいさい」を意味いみする「ポン」がその例れいで、上述じょうじゅつしたポン仁達内ぽんにたちないやポンルルモッペなどがある。

また、広大こうだいな原野げんや等とうにより地名ちめいが少すくなく、駅名えきめいのもとになるものもないような場合ばあいにも、接頭せっとう語ごによる区別くべつは行おこなわれた。道北みちきたの頓別とんべつ原野げんやに広ひろがる浜頓別はまとんべつ町まち、中頓別なかとんべつ町まち、小頓別しょうとんべつ、頓別とんべつの地名ちめい・駅名えきめい（旧きゅう・天北線てんぽくせん）や、石北本線せきほくほんせんの白滝しらたき駅えき、奥白滝おくしらたき駅えき（現げん・奥白滝おくしらたき信号しんごう場じょう）、旧白滝きゅうしらたき駅えき（廃はい駅えき）、上白滝かみしらたき駅えき（廃はい駅えき）、下白滝しもしらたき駅えき（現げん・下白滝しもしらたき信号しんごう場じょう）などの例れいがある。

関連かんれん項目こうもく

• 難読なんどく地名ちめい
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