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情報じょうほうがく

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

情報じょうほうがく(じょうほうがく)というかたり学術がくじゅつ分野ぶんやは、基本きほんてきには情報じょうほうかんする分野ぶんやであるが、歴史れきしてき事情じじょうにより、とく英語えいご日本語にほんご対応たいおうがあいまいである。もともとは図書館としょかんがく一部いちぶである、書誌しょし情報じょうほう管理かんり検索けんさく由来ゆらいとする情報じょうほう知識ちしきあつか分野ぶんやがコンピュータの発展はってんなどでおおきくなったため、図書館としょかん情報じょうほうがく(Library and Information Science)とぶようになった分野ぶんやがあり、その場合ばあいの「情報じょうほうがく」は「Information Science」である(Library and Information Scienceという成語せいご気付きづかず、「図書館としょかん情報じょうほう科学かがく」とやくされている場合ばあいがある)。一方いっぽう社会しゃかい情報じょうほうがくsocial informatics)やバイオインフォマティクス生命せいめい情報じょうほうがくとうといった「~informatics」=「~情報じょうほうがく」とばれている分野ぶんやもあるが、その場合ばあいの「情報じょうほうがく」は「Informatics」である(インフォマティクス参照さんしょう)。

教科きょうか情報じょうほうについては、その英訳えいやくとしての英文えいぶん表記ひょうきかんInformatics使つかうように、2017ねん4がつ18にち情報処理じょうほうしょり学会がっかいから提言ていげん[1]され、文部もんぶ科学かがくしょうした「平成へいせい30ねん改訂かいてい高等こうとう学校がっこう学習がくしゅう指導しどう要領ようりょう 教科きょうか科目かもくめい 英訳えいやくばんかりやく)」[2]において Informaticsあらためられた。

教育きょういく

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日本にっぽん

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情報じょうほうがく分野ぶんや

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ここでは、日本にっぽん学術がくじゅつ会議かいぎによる「大学だいがく教育きょういく分野ぶんやべつしつ保証ほしょうのための教育きょういく課程かてい編成へんせいじょう参照さんしょう基準きじゅん 情報じょうほうがく分野ぶんや[3]参考さんこうに、情報じょうほうがく分野ぶんやおよびその背景はいけい概要がいようについてべる。中等ちゅうとう教育きょういくかんしては、情報じょうほう (教科きょうか)記事きじ参照さんしょう

日本にっぽん学術がくじゅつ会議かいぎ情報じょうほうがく

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2016ねん現在げんざい日本にっぽん学術がくじゅつ会議かいぎには、おおきな分野ぶんやべつとして「人文じんぶん社会しゃかい科学かがく」「生命せいめい科学かがく」「理学りがく工学こうがく」の3部会ぶかいがある。また、それとは直接ちょくせつ対応たいおう関係かんけいにはない30の分野ぶんやべつ委員いいんかいもうけられており、そのうちのひとつが情報じょうほうがく委員いいんかいである。この組織そしき構成こうせいだい20(2005ねん - 2008ねん以降いこうのものである。だい19までは、7構成こうせいしたに180の研究けんきゅう連絡れんらく委員いいんかいがあるという組織そしき構成こうせいで、だい4理学りがく)に情報じょうほうがく研究けんきゅう連絡れんらく委員いいんかいだい5工学こうがく)に情報じょうほう工学こうがく研究けんきゅう連絡れんらく委員いいんかい電子でんし通信つうしん工学こうがく研究けんきゅう連絡れんらく委員いいんかい基盤きばん情報じょうほう通信つうしん研究けんきゅう連絡れんらく委員いいんかい、がもうけられていた[4]。このことや、情報処理じょうほうしょり学会がっかい学会がっかい情報処理じょうほうしょり』の、創刊そうかん以来いらいそう目次もくじ[5]ても、1980ねんごろより、コンピュータ科学かがくちかいが、コンピュータを重要じゅうよう要素ようそとしてふくむものの、情報じょうほうそのものにより重点じゅうてんがある分野ぶんやとして「情報じょうほうがく」という分野ぶんやとらえられていることがわかる。

参照さんしょう基準きじゅん」とは

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(2016ねん現在げんざい日本にっぽん学術がくじゅつ会議かいぎには、前述ぜんじゅつ分野ぶんやべつ委員いいんかいほかに、機能きのうべつ委員いいんかい課題かだいべつ委員いいんかいという委員いいんかいぐんがある。課題かだいべつ委員いいんかいのひとつに、大学だいがく教育きょういく分野ぶんやべつしつ保証ほしょう委員いいんかいがあり、大学だいがく教育きょういく分野ぶんやべつしつ保証ほしょうするため、かく分野ぶんや教育きょういく課程かてい編成へんせいじょうの「参照さんしょう基準きじゅん」というものを、かく分野ぶんやべつ委員いいんかい作成さくせいさせ、とりまとめている[6]

情報じょうほうがく委員いいんかいでは、既存きそん情報じょうほう科学かがく技術ぎじゅつ教育きょういく分科ぶんかかい中心ちゅうしんとなり、この策定さくていにあたった。経緯けいいは、分科ぶんかかい委員いいんちょうである萩谷はぎや昌己まさみふでにより学会がっかい誌上しじょう報告ほうこくされている。[7][8]

背景はいけい

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分類ぶんるい背景はいけいとなる事柄ことがらについてべる。参照さんしょう基準きじゅんでは、情報じょうほうがくを、情報じょうほうによって世界せかい意味いみ秩序ちつじょをもたらすとともに社会しゃかいてき価値かち創造そうぞうすることを目的もくてきとし、情報じょうほう生成せいせい探索たんさく表現ひょうげん蓄積ちくせき管理かんり認識にんしき分析ぶんせき変換へんかん伝達でんたつかかわる原理げんり技術ぎじゅつ探求たんきゅうする学問がくもんである、と定義ていぎしている。また、この種々しゅじゅ累々るいるいにわたる情報じょうほう取扱とりあつかいについて「情報じょうほうあつかう」と総称そうしょうする。

また、情報じょうほうがく構成こうせいするしょ分野ぶんやは、たん情報じょうほうあつかうというだけではなく、情報じょうほう対象たいしょう情報じょうほう情報じょうほう関連かんれん調しらべることにより、情報じょうほうがもたらす意味いみ秩序ちつじょ探求たんきゅうしており、さらに、情報じょうほうによって価値かちとく社会しゃかいてき価値かち創造そうぞうすることを目指めざしている、としている。

以上いじょう概念がいねんからは、当然とうぜんのように応用おうよう分野ぶんやひろかんがえることができるが、参照さんしょう基準きじゅん目的もくてき専門せんもん教育きょういくしつ保証ほしょうであることから、専門せんもんには「もっと基本きほんてき中核ちゅうかく部分ぶぶん体系たいけいてきまなぶことがきわめて重要じゅうよう」であるため、中核ちゅうかく部分ぶぶん焦点しょうてんしぼっている。そのため、以下いかべる分野ぶんやについても、情報じょうほうがく中核ちゅうかく部分ぶぶんとくしぼったものとなる。

分野ぶんや

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参照さんしょう基準きじゅんでは、つぎの5つの項目こうもくによって、情報じょうほうがく中核ちゅうかく部分ぶぶん体系たいけいしている。

  1. 情報じょうほう一般いっぱん原理げんり
  2. コンピュータ処理しょりされる情報じょうほう原理げんり
  3. 情報じょうほうあつか機械きかいおよび機構きこう設計せっけい実現じつげんするための技術ぎじゅつ
  4. 情報じょうほうあつか人間にんげん社会しゃかいかんする理解りかい
  5. 社会しゃかいにおいて情報じょうほうあつかシステム構築こうちく活用かつようするための技術ぎじゅつ制度せいど組織そしき

以下いかではかく項目こうもくについて、付録ふろくア~付録ふろくオにしめされているひょう参考さんこうに、それぞれの分野ぶんやしめす(詳細しょうさい出典しゅってん文献ぶんけん参照さんしょうのこと。例示れいじであって、網羅もうらするものではない。ウィキペディアの記事きじめい構成こうせい都合つごうにより調整ちょうせいしてある箇所かしょもある)。また、参考さんこうとしてしめされている、国際こくさい学会がっかいACMの Curricula Recommendations[9] における5分類ぶんるい(CS: Computer Science, CE: Computer Engineering, IS: Information Systems, SE: Software Engineering(日本にっぽんでよくわれる、SE = システムエンジニア とはまったことなるので注意ちゅうい), IT: Information Technology)との対応たいおうについてもしめす。

まず総論そうろんてき解説かいせつであるが、1は記号きごうろんサイバネティックス由来ゆらいする概念がいねんふくみ、情報じょうほう情報じょうほうがく中核ちゅうかく部分ぶぶん全体ぜんたい分類ぶんるい体系たいけいする指針ししんあたえる。2は計算けいさん理論りろん情報じょうほう理論りろんふくみ、コンピュータ科学かがくとしてはその基礎きそ分野ぶんやで、Curricula Recommendationsでは「CS」の基礎きそてき内容ないようにあたる(ここでいう「基礎きそ」とは、「初歩しょほ」といったような意味いみではない)。3はコンピュータ科学かがくにおいてコンピュータシステム設計せっけい実現じつげんする技術ぎじゅつで、Curricula Recommendationsでは「CE」と、「CS」の一部いちぶにあたる。4はメディアろんコミュニケーションろんふくみ、社会しゃかい情報じょうほうがくとうばれるしょ分野ぶんやである。5は情報じょうほうシステムなどとばれている分野ぶんやで、Curricula Recommendationsでは「IS」と「SE」と「IT」に対応たいおうする。さらに、情報じょうほうがく学修がくしゅうとおして、Computational Thinking(「計算けいさんろんてき思考しこう」、en:Computational thinking[10]などのジェネリックスキルの修得しゅうとく期待きたいされている。

情報じょうほう一般いっぱん原理げんり

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記号きごうろんサイバネティックス

  • 情報じょうほう意味いみ
  • 情報じょうほう種類しゅるい
    • 機械きかい情報じょうほう社会しゃかい情報じょうほう生命せいめい情報じょうほう
  • 情報じょうほう記号きごう
  • 記号きごう意味いみ解釈かいしゃく
    • 生物せいぶつ人間にんげん個体こたい意味いみ解釈かいしゃく
    • 社会しゃかいてき意味いみ解釈かいしゃく
    • コンピュータなど機械きかいてき形式けいしきてき意味いみ処理しょり
  • コミュニケーション
    • 生物せいぶつ個体こたい閉鎖へいさけい)/ 社会しゃかいはん自律じりつけい)/ 機械きかい他律たりつてき開放かいほうけい
  • 社会しゃかいてき価値かち創造そうぞう

コンピュータで処理しょりされる情報じょうほう原理げんり

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計算けいさん理論りろん情報じょうほう理論りろん

情報じょうほうあつか機械きかいおよび機構きこう設計せっけい実現じつげんするための技術ぎじゅつ

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計算けいさん機械きかい計算けいさん工学こうがく

情報じょうほうあつか人間にんげん社会しゃかいかんする理解りかい

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メディアろんコミュニケーションろん

社会しゃかいにおいて情報じょうほうあつかうシステムを構築こうちく活用かつようするための技術ぎじゅつ制度せいど組織そしき

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情報じょうほうシステムなど

その

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(ジェネリックスキルとう

  • Computational Thinking(計算けいさんろんてき思考しこう

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 連立れんりつ方程式ほうていしきくのに、ぎゃく行列ぎょうれつ直接ちょくせつもとめるのは無駄むだであり、LU分解ぶんかいとう利用りよう常識じょうしきである。
  2. ^ この「基本きほんソフトウェア」は、文字通もじどお基本きほんてきなソフトウェアという意味いみであり、「オペレーティングシステムのよくわからないいいか」のそれではない。
  3. ^ たとえば、作者さくしゃ死後しご50ねんまで継続けいぞくして保護ほごする、というルールの遵守じゅんしゅなど。

出典しゅってん

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  1. ^ 高等こうとう学校がっこう教科きょうか情報じょうほう」の英文えいぶん表記ひょうきについて-情報処理じょうほうしょり学会がっかい
  2. ^ 平成へいせい30ねん改訂かいてい高等こうとう学校がっこう学習がくしゅう指導しどう要領ようりょう 教科きょうか科目かもくめい 英訳えいやくばんかりやく)-文部もんぶ科学かがくしょう
  3. ^ 大学だいがく教育きょういく分野ぶんやべつしつ保証ほしょうのための教育きょういく課程かてい編成へんせいじょう参照さんしょう基準きじゅん 情報じょうほうがく分野ぶんやhttps://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-23-h160323-2.pdf
  4. ^ 日本にっぽん学術がくじゅつ会議かいぎと「情報じょうほうがく」のしん展開てんかい, NAID 110004749775
  5. ^ http://www.ipsj.or.jp/magazine/contents_m_01-30.html http://www.ipsj.or.jp/magazine/contents_m.html
  6. ^ https://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/daigakuhosyo/daigakuhosyo.html
  7. ^ 情報じょうほうがく定義ていぎする -情報じょうほうがく分野ぶんや参照さんしょう基準きじゅん, NAID 110009795427https://www.ipsj.or.jp/magazine/9faeag000000hkfv-att/5507-kai.pdf
  8. ^ ぺた語義ごぎ情報じょうほうがく分野ぶんや参照さんしょう基準きじゅんその, NAID 110009866525https://www.ipsj.or.jp/magazine/9faeag0000005al5-att/peta5602.pdf
  9. ^ http://www.acm.org/education/curricula-recommendations
  10. ^ 計算けいさんろんてき思考しこう』(Jeannette M. Wing Computational Thinking, 中島なかじま秀之ひでゆきやく) (PDF)
  11. ^ Cybersociety 2.0: Revisiting Computer-Mediated Community and Technology https://www.sagepub.in/textbooks/Book7919
  12. ^ 情報じょうほうメディアがく入門にゅうもんhttp://shop.ohmsha.co.jp/shopdetail/000000002937/
  13. ^ 科学かがく技術ぎじゅつコミュニケーション推進すいしん事業じぎょう https://www.jst.go.jp/csc/support/
  14. ^ https://www.engineer.or.jp/c_topics/000/000807.html の「添付てんぷ資料しりょう
  15. ^ 『ガバナンスとはなにか』 http://www.nttpub.co.jp/search/books/detail/100002279

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 西垣にしがきとおる基礎きそ情報じょうほうがく : 生命せいめいから社会しゃかいへ』NTT出版しゅっぱん、2004ねんISBN 4-7571-0120-1 
  • レジス・ドブレ しる嶋崎しまざき正樹まさき やく一般いっぱんメディオロジー講義こうぎ西垣にしがきとおる監修かんしゅう、NTT出版しゅっぱん〈レジス・ドブレ著作ちょさくせん〉、2001ねんISBN 4-7571-0046-9 
  • 長尾ながおしんほかへん岩波いわなみ講座こうざマルチメディア情報じょうほうがく岩波書店いわなみしょてん、1999-2001ねん
  • 北川きたがわだか嗣ほか へん情報じょうほうがく事典じてん弘文こうぶんどう、2002ねんISBN 4-335-55081-2 
  • 土屋つちや礼子あやこへん日本にっぽんメディア年表ねんぴょう吉川弘文館よしかわこうぶんかん、2018ねん

外部がいぶリンク

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