(Translated by https://www.hiragana.jp/)
湖沼 - Wikipedia コンテンツにスキップ

湖沼こしょう

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
汽水みずうみから転送てんそう

湖沼こしょう(こしょう)は、周囲しゅういりくかこまれうみ直接ちょくせつ連絡れんらくしていない静止せいししたみずかたまりである(一部いちぶ例外れいがいのぞく)。語義ごぎでは湖沼こしょうのうち比較的ひかくてきおおきなものをみずうみ同様どうよう比較的ひかくてきちいさなものをいけあるいはぬまぶが、学問がくもんじょう様々さまざま定義ていぎ分類ぶんるいおこなわれてきた(後述こうじゅつ)。

概説がいせつ

[編集へんしゅう]
断層だんそうみずうみ諏訪湖すわこ
沖縄おきなわけんたまいずみほら

りくすいりくごおり地下水ちかすい地表ちひょうすいけられる[1]地表ちひょうすい流水りゅうすいまたは静水せいすいとして存在そんざいし、凹地に滞留たいりゅうする静水せいすいおよびその凹地を「湖沼こしょう」、とく静水せいすい滞留たいりゅうする凹地とその地理ちりてき範囲はんいを「みずうみぼん」と[1]一方いっぽう地下水ちかすいかんしては地下ちか河川かせんつうじて地底ちていなどの水域すいいき形成けいせいされる[2]

湖沼こしょうがくじょう分類ぶんるい

[編集へんしゅう]

湖沼こしょうがくでは湖沼こしょうみずうみふか水底みなそこすくなくとも中央ちゅうおう水生すいせい植物しょくぶつえないもの)、ぬまあさ水底みなそこでその全面ぜんめん水生すいせい植物しょくぶつ(沈水植物しょくぶつ)の生育せいいく可能かのうなもの)、沼沢ぬまさわ(ごくあさ水底みなそこで抽水植物しょくぶつ全面ぜんめん繁茂はんもするもの)にける[1]。また、いけ人造じんぞうせい水域すいいきのことをいう[1]

ただし、歴史れきしてきには様々さまざま分類ぶんるいおこなわれており諸説しょせつ存在そんざいする。

  • スイスのりくすいがくものフランソワ・フォーレルせつでは、中央ちゅうおうにおいて沿岸えんがん植物しょくぶつ侵入しんにゅうけないふかさをもつものをみずうみとし、水底みなそこ植物しょくぶつがいたるところで繁茂はんもするものをぬまとした。
  • アメリカの動物どうぶつがくものポール・ウェルチのせつでは、なみをかぶる不毛ふもうきしをもつものをみずうみとし、みずうみちいさくあさ変化へんかしたものや人工じんこうてきなものなどをいけとした。
  • A. J. ホーンとC. R. ゴールドマンのせつでは、しゅとしてふうによって混合こんごうされるものをみずうみとし、しゅとして対流たいりゅうによって混合こんごうされるものをいけとする分類ぶんるい方法ほうほう提唱ていしょうしている。

1876ねん明治めいじ9ねん)の『地所じしょ名称めいしょう区別くべつ細目さいもく』においては陸地りくちいちしょみず滞留たいりゅうしたもので天然てんねんひろくてふかいものがみずうみあさくてそこどろしつのものがぬま平地ひらちりまたはたにめて人工じんこうてきつくられたものがいけとされている[1]日本にっぽん淡水たんすい生態せいたいがく開祖かいそともえる上野うえの益三ますぞう小型こがたあさぜん水面すいめん沿岸えんがん植物しょくぶつひろがっているものをぬまとし、人工じんこう施設しせつによってぜん貯水ちょすいりょう管理かんりできるものをいけとした。

地名ちめいとの関係かんけいせい

[編集へんしゅう]

湖沼こしょうがくじょう分類ぶんるい固有こゆう地名ちめいにはてはまらない[1]たとえば湖沼こしょうがくではカスピ海かすぴかい世界せかい最大さいだいみずうみである[1]。また、奥日光おくにっこう菅沼すがぬま最大さいだい水深すいしん92 m)などは水深すいしんふかみずうみである[1]。ただ、福島ふくしまけんの「沼沢沼ぬまざわぬま」が「沼沢湖ぬまざわこ」、静岡しずおかけんの「たぬきぬま」が「田貫湖たぬきこ」となるなど改称かいしょうする池沼ちしょうえている[1]

なお、日本にっぽんでは河川かせんほうによって、ほとんどの湖沼こしょうは「河川かせん」として名称めいしょう範囲はんい指定していされている。だが、実際じっさいの「湖沼こしょう」がどのようなものかについて、法令ほうれいによる定義ていぎはない[3]

湖沼こしょう形成けいせい要因よういん

[編集へんしゅう]
日本にっぽん最高さいこうしょ標高ひょうこう2,905 m)の湖沼こしょうである御嶽山おんたけさん火口湖かこうこ

なんらかの要因よういん陸地りくち内部ないぶ窪地くぼち形成けいせいされ、なおかつそこにみずがたまることによって湖沼こしょう形成けいせいされる。要因よういんとして以下いかのようなれいげることができるが、複数ふくすう要因よういんふくあわして形成けいせいされたものや形成けいせい要因よういんがはっきりしない湖沼こしょうもある。りくすい学者がくしゃのエブリン・ハッチンソンは、湖沼こしょう形成けいせい要因よういん地殻ちかく変動へんどう構造こうぞうみずうみ)、火山かざん活動かつどう火山かざんみずうみ)、氷河ひょうが活動かつどう氷河ひょうがみずうみ)、そのの4種類しゅるい分類ぶんるいした。

日本にっぽんにおいてはりくすい学者がくしゃ吉村よしむら信吉のぶよし要因よういん侵蝕しんしょく盆地ぼんちせきふさが盆地ぼんち爆裂ばくれつ盆地ぼんち構造こうぞう盆地ぼんち分類ぶんるいしている。また、おなじくりくすい学者がくしゃ田中たなか正明まさあき侵蝕しんしょく作用さよう水蝕すいしょくこおり蝕湖、溶蝕)、せきとめみずうみ火山かざん氷河ひょうがかわすべりなど)、火口湖かこうこ構造こうぞうみずうみ褶曲しゅうきょく断層だんそうカルデラみずうみ)に分類ぶんるいしている。

地殻ちかく変動へんどう

[編集へんしゅう]
断層だんそう
地殻ちかく一部いちぶ分断ぶんだんされて上下じょうげにずれると高低こうていしょうじて窪地くぼち形成けいせいされる。単一たんいつ断層だんそうによって形成けいせいされる場合ばあいれいアルバート)と、多数たすう断層だんそうによって形成けいせいされる場合ばあいれいバイカルタンガニーカうみ琵琶湖びわこ)とがある。地殻ちかく左右さゆうにずれる断層だんそうにおいても断層だんそうせん曲線きょくせんじょうになっている場合ばあいにはちがいによって窪地くぼち形成けいせいされることがある(れいネス諏訪湖すわこ)。断層だんそうみずうみまたは地溝ちこうみずうみばれる。
隆起りゅうき沈降ちんこう
海底かいてい隆起りゅうきして陸地りくちになるときにうみ分断ぶんだんされ湖沼こしょうとしてのこされることがある(れいカスピ海かすぴかい)。一方いっぽう陸上りくじょうにおいても下流かりゅうへと流出りゅうしゅつしていたみず地殻ちかく沈降ちんこう隆起りゅうきによってうしな湖沼こしょうとなることがある(れいビクトリアチチカカ)。

火山かざん活動かつどう

[編集へんしゅう]
ピナトゥボさんカルデラみずうみ
火山かざん火口かこう
火山かざん爆発ばくはつによって地表ちひょう土砂どしゃばされると窪地くぼち形成けいせいされる。山頂さんちょう火口かこう形成けいせいされるもの(れい大浪池おおなみのいけ)と、水蒸気すいじょうき爆発ばくはつによって形成けいせいされるもの(れいニオスかた)がある。火口湖かこうこ(かこうこ)とばれる。おおむねみずうみ水質すいしつ強酸きょうさんせいであることがおおい。
カルデラ
火山かざん噴火ふんかによって地下ちかのマグマが噴出ふんしゅつし、のこされた空洞くうどうんで窪地くぼちとなったもの(れいトバ屈斜路湖くっしゃろこ摩周湖ましゅうこ)。カルデラみずうみばれる。カルデラない平坦へいたん火口かこうばら)に形成けいせいされたものを口原くちのはらという。
火山かざん噴出ふんしゅつぶつによる
溶岩ようがん火山灰かざんばいなどがたに一部いちぶめてかわめると湖沼こしょうがつくられる(れい中禅寺湖ちゅうぜんじこ阿寒湖あかんこ富士ふじ桧原ひのはら大正池たいしょういけ)。
火山かざん冷却れいきゃく
火山かざん冷却れいきゃくされると地殻ちかく収縮しゅうしゅく窪地くぼち形成けいせいされる(れいイエローストーンみずうみ)。

氷河ひょうが

[編集へんしゅう]
氷河ひょうが作用さようによってできたタスマン

広義こうぎ氷河ひょうがみずうみである。

氷河ひょうがによる侵食しんしょく
氷河ひょうが運動うんどう地面じめん侵食しんしょく窪地くぼち(Uだに)が形成けいせいされ湖沼こしょうとなる(れいボーデン)。いわゆる狭義きょうぎ氷河ひょうがみずうみである。日本にっぽんにはれいがない。
氷河ひょうがによる沈降ちんこう
氷河ひょうがおもさによって地殻ちかく沈降ちんこうして窪地くぼち形成けいせいされ湖沼こしょうとなる(れいコモみずうみ)。
氷河ひょうがによる堆積たいせきぶつ
氷河ひょうがけて消失しょうしつするときに氷河ひょうがふくまれる岩石がんせき土砂どしゃ土手どてのように堆積たいせきし、かこまれた窪地くぼち湖沼こしょうとなる。
氷河ひょうがそのものによる
氷河ひょうがのぞ斜面しゃめんながれるかわ氷河ひょうがたるとみずうしな湖沼こしょうとなる場合ばあいがある。
こおり融解ゆうかい
氷河ひょうが永久えいきゅう凍土とうど部分ぶぶんてき融解ゆうかいして湖沼こしょうとなったもの(れいボストークみずうみ)。解氷かいひょうあるいはサーモカルストみずうみばれる。

その自然しぜんてき要因よういんのもの

[編集へんしゅう]
すべりによる
地震じしんなどによって斜面しゃめん崩壊ほうかいかわめると湖沼こしょうがつくられる(れいふるえなまみずうみ)。だい地震じしんさい出来でき場合ばあいには余震よしんなどで決壊けっかいする災害さいがいをもたらす場合ばあいがある。
化学かがくてき溶解ようかい
岩石がんせきとく石灰岩せっかいがん雨水あまみずなどによってかされて窪地くぼち形成けいせいされる(れい大池おおいけ)。カルストみずうみばれる。
アラスカかわあと
かた松川浦まつかわうら
かわ蛇行だこう
かつてかわ蛇行だこうしてながれていたものが、氾濫はんらんによるかわどう短絡たんらくによって蛇行だこう部分ぶぶんながれからのこされたのちりゅう連結れんけつしていた部分ぶぶん土砂どしゃ堆積たいせき閉塞へいそくして湖沼こしょうとなる。かわあと(かせきこ)あるいは三日月みかづき(みかづきこ)とばれる。
かわによる
かわによってはこばれる土砂どしゃ支流しりゅうめて湖沼こしょうとなる(れい印旛沼いんばぬま)。
海流かいりゅう波浪はろう
海流かいりゅうまたは波浪はろう海岸かいがん付近ふきんすな流動りゅうどうさせて砂州さすをつくり、うみ区切くぎることで湖沼こしょうとなる(れいパトスみずうみヴェネツィアのかたサロマ湖さろまこ)。かた(せきこ、かたこ)またはラグーンばれる。うみあと一種いっしゅ樺太からふと北部ほくぶ東海岸ひがしかいがんおおられる。
海水かいすいめん変動へんどう
海水かいすいめん下降かこうによって陸地りくちないうみのこされて湖沼こしょうとなる(れいオキーチョビー)。うみあと一種いっしゅ
ふう
砂漠さばく砂浜すなはまなどにおいてはふう起伏きふくのある地形ちけい形成けいせいする。(れい佐潟さがた)。砂丘さきゅうみずうみ(さきゅうこ)とばれる。
植物しょくぶつ活動かつどう
植物しょくぶつ生育せいいくしやすい場所ばしょには植物しょくぶつ生産せいさんぶつかさなって標高ひょうこうたかくなり、相対そうたいてき植物しょくぶつ生育せいいくしにくい場所ばしょ窪地くぼちとなる(たとえば湧水わきみずちかくなど)。
天体てんたい落下らっか
隕石いんせき小惑星しょうわくせい彗星すいせいひとし天体てんたい落下らっかによって凹地(クレーター)ができすいがたまることによってみずうみができることがある(れいカラクル、ボスムトゥイ、ミスタスティン、クリアウォーターピングアルクひとし)。1908ねんツングースカだい爆発ばくはつあとにおいても、落下らっか天体てんたい最終さいしゅう爆発ばくはつ地点ちてんきた8km付近ふきんでそれが成因せいいんである湖沼こしょう(チェコ)が近年きんねん発見はっけんされている。なお、マニクアガン・クレーターのように、天体てんたい衝突しょうとつによるクレーター地形ちけい利用りようしてダムみずうみ建設けんせつしたれいもある。

人工じんこうてきなもの

[編集へんしゅう]

人為じんいてきつくられたみずうみ人造湖じんぞうこ(じんぞうこ)とよばれる。おおくは人工じんこう堰堤えんていによってかわをせきめたりわん仕切しきったりしてつくられる。後者こうしゃれい児島湖こじまこ諫早いさはやわん調整ちょうせいなど。きゅうソビエト連邦れんぽう領内りょうないには、かく実験じっけんによってできたクレーターにみずまった人造湖じんぞうこセミパラチンスクかく実験じっけんじょう#原子げんしみずうみ参照さんしょう)もある。

ダムみずうみ
ダムによってつくられたみずうみ計画けいかく水面すいめん以下いかもと地形ちけいたにおおいと、湖岸こがんせん複雑ふくざつかたちになることがおおい。朱鞠内湖しゅまりないこ日本にっぽん最大さいだいたたえ水面すいめんせき人造湖じんぞうこ)、奥多摩湖おくたまこみやみずうみ九頭竜湖くずりゅうこミードみずうみなど。

湖沼こしょう変化へんか

[編集へんしゅう]

みずうみ盆地ぼんちがた変化へんか

[編集へんしゅう]

みずうみ盆地ぼんちがた変化へんかは5段階だんかいけられる。

  1. 青年せいねん - 堆積たいせきすすんでおらずみずうみぼん原型げんけいのこ段階だんかい[1]
  2. 壮年そうねん - みずうみだな湖底こてい平原へいげん形成けいせいされるもののみずうみぼん全体ぜんたい堆積たいせきぶつおおうまでの段階だんかい[1]
  3. 老年ろうねん - みずうみだながけ堆積たいせきぶつまり湖底こてい全体ぜんたいがなだらかに変化へんかした段階だんかい[1]
  4. ぬま - 湖底こてい平原へいげんあさくなりみずうみだなまって湖面こめん全体ぜんたい植物しょくぶつ繁茂はんもする段階だんかい[1]
  5. 沼沢ぬまさわ - あさすす水面すいめん全体ぜんたいが抽水植物しょくぶつおおわれ沈水植物しょくぶつ衰退すいたいする段階だんかい[1]

古代こだいみずうみ

[編集へんしゅう]

およそじゅうまんねん以上いじょう存続そんぞくしているみずうみ琵琶湖びわこバイカルカスピ海かすぴかいチチカカなど。とくに、バイカルは2000まんねん以上いじょうまえからあるとかんがえられており、世界せかいもっとふるみずうみとされる。また、福井ふくいけん三方みかたぐんにあるさんぽう(みかたごこ)にある水月湖すいげつこやく11,200ねん- 52,800ねんまえにわたる過去かこやく5まん年間ねんかんとししまとよばれる湖底こてい堆積たいせきぶつ発見はっけんされており地質ちしつがくてき年代ねんだい決定けっていでの世界せかい標準ひょうじゅんとなっている。

消滅しょうめつ面積めんせき減少げんしょう

[編集へんしゅう]

ダムや灌漑かんがい温暖おんだんによってみずうみなが水量すいりょうり、蒸発じょうはつするりょうえると消滅しょうめつする。れいとしては、世界せかいだい4であったアラル海あらるかい[4]中東ちゅうとうカスピ海かすぴかい面積めんせきっていたオルーミーイェほかポオポロプノールなどがある。

自然しぜん消滅しょうめつするれいとしては、東雲あずものように堆積たいせきぶつによって水位すいいがる。天然てんねんダムの決壊けっかいなどによっても消滅しょうめつする。

湖沼こしょう温度おんど

[編集へんしゅう]

温帯おんたいにあるふか湖沼こしょうなつに3そう温度おんどそう構成こうせいするものがおおい。これはみず比重ひじゅうが4℃で最大さいだいとなるためである(4℃よりもひくくなると、ぎゃく比重ひじゅうひくくなる)。さい上層じょうそうおもてみずそうばれ、日光にっこうによってあたためられた水温すいおんたかそうである。最下さいかそう深水ふかみそうばれ、温度おんどひくそうである。おもてみずそう深水ふかみずそうとのあいだには水温すいおんおどそう温度おんどおどそう)とばれる温度おんど変化へんかおおきいそうがある。

あきまたはふゆになりおもてみずそう冷却れいきゃくされるとそう構造こうぞうみだされ上下じょうげに攪拌混合こんごうされる。年間ねんかんとおして1かいだけ混合こんごうされる湖沼こしょういち循環じゅんかんばれ、冬期とうき混合こんごうされる。年間ねんかん2かい混合こんごうされる湖沼こしょう循環じゅんかんばれ、あきはる混合こんごうされる。あさ湖沼こしょうは1にちあるいは2-3にちごとに混合こんごうされる循環じゅんかんとなり、いちねんとおしてこおりしたにある湖沼こしょう混合こんごうされない循環じゅんかんとなる。一般いっぱんてき湖沼こしょう混合こんごう湖底こていにまでおよぶが、とくふか湖沼こしょう湖底こてい付近ふきん塩分えんぶん濃度のうどたか湖沼こしょうなかには部分ぶぶんてきにしか混合こんごうされないものもある。

循環じゅんかんぶし変動へんどう

[編集へんしゅう]
  • ふゆ停滞ていたい - 表面ひょうめんは0がるが、水深すいしんふかくなるにしたがって水温すいおんがあがる。湖底こてい最低さいてい水温すいおんは4℃である。
  • はる循環じゅんかん - 表面ひょうめん水温すいおん上昇じょうしょうと、ふう作用さようによって湖水こすい循環じゅんかんこる。
  • なつ停滞ていたい - 表面ひょうめん温度おんどたかくなり、おもてみずそう深水ふかみずそう水温すいおんがあるためあいだ水温すいおんおどそう発生はっせいし、湖水こすい循環じゅんかんよわくなる。
  • あき循環じゅんかん - 表面ひょうめん水温すいおん低下ていかと、ふう作用さようによって湖水こすい循環じゅんかんこる。

湖沼こしょう水質すいしつ

[編集へんしゅう]

湖沼こしょう水質すいしつ流入りゅうにゅうする河川かせんすい地下水ちかすい雨水あまみず、あるいは地質ちしつ気候きこう生態せいたいけいなど様々さまざま要因よういん影響えいきょうされる。

水質すいしつあらわもっと重要じゅうよう指標しひょうひとつはその湖沼こしょうがどれだけおおくの生物せいぶつやしなうことができるかをあらわすものであり、湖沼こしょうがたあるいは栄養えいようがたばれる。基本きほんてきにはやしないうる生物せいぶつすくないじゅんに、ひん栄養えいようがたちゅう栄養えいようがたとみ栄養えいようがた分類ぶんるいされる。具体ぐたいてきには食物しょくもつ連鎖れんさ底辺ていへんにある植物しょくぶつプランクトン生育せいいく速度そくど規定きていする窒素ちっそおよびリン含有がんゆうりょう指標しひょうとすることがおおい。

おおくの湖沼こしょう形成けいせいにおいてひん栄養えいようがたであり、次第しだいちゅう栄養えいようがたとみ栄養えいようがたへとうつわっていく。このような遷移せんい湖沼こしょうとみ栄養えいようばれる。生物せいぶつ活動かつどうさかんになるとともに水底みなそこ有機物ゆうきぶつ堆積たいせき湿地しっち陸地りくちになって湖沼こしょう消滅しょうめつする。ただし、実際じっさい遷移せんい過程かてい湖沼こしょうふかさや周辺しゅうへん環境かんきょうなどにおおきく左右さゆうされるためじつ多様たようである。湖沼こしょう周辺しゅうへんにおける人間にんげん活動かつどうはしばしば湖沼こしょうとみ栄養えいよう加速かそくする。

溶存ようぞん酸素さんそりょう水質すいしつあらわ重要じゅうよう指標しひょうである。湖沼こしょう水中すいちゅう溶解ようかいしている酸素さんそしゅとして植物しょくぶつ光合成こうごうせいによるものであり、湖沼こしょうがた水温すいおんによって変動へんどうする。

湖沼こしょうがたによる分類ぶんるい

[編集へんしゅう]
草津くさつ白根山しらねさん火口湖かこうこ湯釜ゆがま
世界せかいもっと酸性さんせいたか湖沼こしょうpH1.2
ひん栄養えいよう(ひんえいようこ)
栄養分えいようぶんすくない湖沼こしょう摩周湖ましゅうこなど。
ちゅう栄養えいようみずうみ
ちゅう程度ていど栄養えいよう湖沼こしょう
とみ栄養えいよう(ふえいようこ)
栄養分えいようぶんおお湖沼こしょう有機物ゆうきぶつにより透明とうめいがる。宍道湖しんじこなど。
さん栄養えいよう(さんえいようこ)
pHが5.6以下いか酸性さんせいつよ湖沼こしょう湯釜ゆがまなど。
アルカリ栄養えいよう(あるかりえいようこ)
pHが9.0以上いじょうアルカリ性あるかりせいつよ湖沼こしょう。アフリカや南北なんぼくアメリカ大陸あめりかたいりく石灰岩せっかいがん地域ちいき乾燥かんそう地域ちいきしおみずうみおおい。ナクルモノみずうみなど。
腐植ふしょく栄養えいよう(ふしょくえいようこ)
腐植ふしょくしつ有機物ゆうきぶつおおふく湖沼こしょう姉沼あねぬまなど。

その水質すいしつによる分類ぶんるい

[編集へんしゅう]
淡水たんすい(たんすいこ)
淡水たんすい湖沼こしょう地理ちりがくうえ定義ていぎでは、塩類えんるい濃度のうどが500 mg/L (0.05%) 以下いか場合ばあい淡水たんすいみずうみぶ。(計算けいさんじょうではみず100Lにたい塩分えんぶんは50g以下いかということになる)
鹹湖かんこ(かんこ)
淡水たんすいみずうみではない湖沼こしょう岩塩がんえんひろ分布ぶんぷしている地域ちいきでは、塩水えんすい湧出ゆうしゅつによる鹹湖かんこ存在そんざいする。
汽水みずうみ(きすいこ)
海水かいすい淡水たんすいじっている鹹湖かんこのこと。浜名湖はまなこ宍道湖しんじこなど。汽水みずうみひらけ水路すいろつうじて海水かいすい交流こうりゅうがある場合ばあいがほとんどであるが、ひらき水路すいろがなく地下水ちかすいつうじて海水かいすい交流こうりゅうがある場合ばあいもある。
しおみずうみ(えんこ)
狭義きょうぎみず蒸発じょうはつりょうおおいために海水かいすい以外いがい由来ゆらいする塩分えんぶん濃度のうどたかくなった湖沼こしょうカスピ海かすぴかいうみグレートソルトなど。
広義こうぎ塩類えんるいそうイオン濃度のうどが3 g/L以上いじょう湖沼こしょう塩類えんるい原因げんいんわない)(計算けいさんじょうではみず100Lにたい塩分えんぶんは300g以上いじょうということになる)。
火山かざんみずうみ(かざんこ)
火山かざんせい温泉おんせん鉱泉こうせん混入こんにゅうしたために鹹湖かんことなった湖沼こしょう
海水かいすい(かいすいこ)
塩分えんぶん海水かいすいどう程度ていどかそれ以上いじょう湖沼こしょう

湖沼こしょういろ

[編集へんしゅう]

湖沼こしょういろには「みずそのもののいろ」と「かけのいろ」とがある。みずそのもののいろ分光ぶんこうなどをもちいて計測けいそくされる。かけのいろとは湖沼こしょうきしから観察かんさつされるいろであり、みずそのもののいろくわえて透明とうめいふかさ、太陽たいよう位置いち背景はいけいとなるあき陸地りくちいろ湖底こていいろなどに影響えいきょうされる。一般いっぱんにごりがなくふか湖沼こしょう青色あおいろえ(みずあお参照さんしょう)、にごりがつよまったり水深すいしんあさくなると緑色みどりいろ黄色おうしょくていするようになる。

学術がくじゅつてきには湖沼こしょう真上まうえからいろ水色みずいろ標準ひょうじゅん比較ひかくする方法ほうほう計測けいそくされる。標準ひょうじゅんとして一般いっぱんフォーレル・ウーレ水色みずいろけいもちいられる。

湖沼こしょう生物せいぶつ

[編集へんしゅう]

規模きぼおおきい湖沼こしょう古代こだいみずうみ生物せいぶつしょう豊富ほうふであることがおおく、たとえば琵琶湖びわこには多数たすう固有こゆうしゅられる。おおくの湖沼こしょうはあまりなが歴史れきしっておらず、むしろ周辺しゅうへん河川かせん生物せいぶつとの関連かんれんせいつよい。一般いっぱん人工じんこうみずうみ生物せいぶつ多様たようせいちいさい。

ただし、状況じょうきょう湖沼こしょう成因せいいん性質せいしつ地域ちいきなどによっておおきくことなる。火口湖かこうこしおみずうみ一部いちぶのようにさん塩類えんるい濃度のうどたか場合ばあい、ほとんど生物せいぶつまないれい、あるいはごくかぎられた生物せいぶつのみがられるれいもある。

生物せいぶつしょうそのものは、それが海水かいすい起源きげんつかどうかでおおきくことなる。かたのような場合ばあい極端きょくたんれいでは周辺しゅうへんうみ大差たいさない生物せいぶつしょうれいもある。一般いっぱんうみ生物せいぶつしょう豊富ほうふであり、海水かいすい起源きげんのあるみずうみ豊富ほうふ生物せいぶつしょうつ。現在げんざいでは完全かんぜん淡水たんすいであるが、かつて海水かいすいであったようなみずうみでは海産かいさん生物せいぶつ類縁るいえん生物せいぶつられる場合ばあいがある。たとえばバイカルには唯一ゆいいつ淡水たんすいさんアザラシであるバイカルアザラシんでいる。このような生物せいぶつられた場合ばあい、このみずうみがかつてうみとのつながりをっていた証拠しょうこかんがえ、海水かいすい遺跡いせきしゅぶ。

陸地りくち

[編集へんしゅう]

湖沼こしょう陸地りくちには豊富ほうふ地下水ちかすいこのヤナギなどの樹木じゅもくからなる水辺みずべりん形成けいせいされ、岸辺きしべちか場所ばしょにはスゲイヌガラシなど湿潤しつじゅんこの湿地しっちせい植物しょくぶつ繁茂はんもする。

水辺みずべ

[編集へんしゅう]

水深すいしんあさ場所ばしょには水面すいめん水面すいめんじょうひろげる抽水せい植物しょくぶつ分布ぶんぷする。温帯おんたいではヨシホタルイショウブなど、熱帯ねったいではパピルスなどがられる。水深すいしんおおきくなると水面すいめんかせるヒシジュンサイアサザなどの浮葉せい植物しょくぶつ繁茂はんもする。さらにふか場所ばしょには水面すいめんひろげる車軸しゃじく藻類そうるいなどの沈水せい植物しょくぶつ分布ぶんぷする。

湖沼こしょうにおいて水辺みずべとくに抽水せい植物しょくぶつ分布ぶんぷする場所ばしょ魚類ぎょるいエビ両生類りょうせいるい水生すいせい昆虫こんちゅうなどが生育せいいくし、湖沼こしょうにおける漁獲ぎょかくりょうの75パーセントをめている。岸辺きしべ傾斜けいしゃゆるやかになるほど水辺みずべ面積めんせきおおきくなり多様たよう生物せいぶつられるようになる。一方いっぽう湖沼こしょう面積めんせきおおきくなると風浪ふうろう影響えいきょうによって生物せいぶつすくなくなる。

沖合おきあい

[編集へんしゅう]

水中すいちゅうただよ植物しょくぶつプランクトンは十分じゅうぶん日光にっこうとど水面すいめんちかくで光合成こうごうせいおこな酸素さんそ供給きょうきゅうする。ウキクササンショウモホテイアオイなどの浮漂植物しょくぶつふうながされやすく肥沃ひよくみず必要ひつようとするため一般いっぱんてきではないが、条件じょうけんととのうと急速きゅうそく繁茂はんもして湖面こめんおおくすこともある。

環境かんきょう問題もんだい

[編集へんしゅう]

湖沼こしょうかんする環境かんきょう問題もんだいとして以下いかのようなものがある。

水質すいしつ汚濁おだく
生活せいかつ排水はいすいなどが過剰かじょう流入りゅうにゅうすると湖沼こしょう水質すいしつ悪化あっかする。湖沼こしょううみかわよりも閉鎖へいさてきであるため影響えいきょう発現はつげんしやすく、いったん水質すいしつ悪化あっかすると長期間ちょうきかんおよぶ。住民じゅうみん関心かんしんたかまりなどにより、湖沼こしょう流入りゅうにゅうする水質すいしつ規制きせい強化きょうかされている。また、水生すいせい植物しょくぶつ採取さいしゅとうについて届出とどけで義務付ぎむづけなど自然しぜん浄化じょうか機能きのう活用かつようした取組とりくみこころみられている。しかし、過去かこ水質すいしつ悪化あっかした時代じだい沈殿ちんでんぶつ湖沼こしょうそこそこしつ汚染おせんとなって存在そんざいし、湖沼こしょう水質すいしつ改善かいぜんすすまないおおきな要因よういんとなっている。
土砂どしゃ流入りゅうにゅう
湖沼こしょう周辺しゅうへんにおいて過剰かじょう伐採ばっさいおこなわれると土壌どじょう急速きゅうそく侵食しんしょくされ大量たいりょう土砂どしゃ流入りゅうにゅうする。
取水しゅすい
漁撈ぎょろう
外来がいらいしゅ

みずうみにおける経済けいざい活動かつどう

[編集へんしゅう]

規模きぼおおきなみずうみでは湖岸こがん迂回うかいした陸上りくじょう交通こうつうでは迂遠うえんになるため、わたぶねなどをもちいた水運すいうんおこなわれる。また観光かんこうにあるみずうみでは、観光かんこうよう旅客船りょかくせん運航うんこうすることがある。

食用しょくようになる水生すいせい生物せいぶつする場合ばあいには水産すいさんぎょうおこなわれる。天然てんねんさんするものを採取さいしゅするだけでなく、養殖ようしょくぎょうさかんである。また、一部いちぶみずうみ漁業ぎょぎょうほううえ海面かいめん指定していされている。

ウォータースポーツなど、みずうみレジャー活動かつどう舞台ぶたいにもなる。外来がいらいじんから遊漁ゆうぎょりょう徴収ちょうしゅうしているみずうみもある。

みずうみ関連かんれんする地形ちけい

[編集へんしゅう]

かつてのしおみずうみ干上ひあがることによって広大こうだい平坦へいたん土地とち形成けいせいされる(塩水えんすいいぬい)。その利用りようしておおくはひつじ舗装ほそうのまま滑走かっそう路面ろめんとし、航空機こうくうき緊急きんきゅう離着陸りちゃくりくじょう自動車じどうしゃ自動じどうりんしゃドラッグレース高速度こうそくどこう加速かそく実験じっけんじょうとして利用りようされている。

脚注きゃくちゅう

[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく

[編集へんしゅう]

参考さんこう文献ぶんけん

[編集へんしゅう]
  • A・J・ホーン、C・R・ゴールドマンちょ手塚てづか泰彦やすひこやく 『りくすいがく』 京都きょうと大学だいがく学術がくじゅつ出版しゅっぱんかい、1999ねんISBN 4-87698-085-3
  • 倉田くらたあきら 『世界せかいみずうみみず環境かんきょう』 成山なりやまどう書店しょてん、2001ねんISBN 4-425-85041-6
  • 田中たなか正明まさあき 『日本にっぽん湖沼こしょう』 名古屋大学出版会なごやだいがくしゅっぱんかい、1992ねんISBN 4-8158-0171-1

外部がいぶリンク

[編集へんしゅう]