発火はっか法ほう

発火はっか法ほう（はっかほう）は、火ひを起おこす方法ほうほうのこと。発火はっか剤ざいや機械きかい、電気でんきを使つかう近きん現代げんだいの方法ほうほうだけでなく、木きによる摩擦まさつ熱ねつなどを利用りようする原始げんし的てきな火ひ起おこしを含ふくめて、様々さまざまなものがある。

概要がいよう

火ひは人類じんるいの誕生たんじょう以前いぜんから火山かざんの噴火ふんか、落雷らくらい、自然しぜん発火はっかなどを原因げんいんとする自然しぜん火ひとして存在そんざいした。人類じんるいの祖先そせんが最初さいしょに火ひを手てに入いれたのは、自然しぜんに起おきた森もりの火災かさいの焼やけ跡あとの燃もえ残のこりからだったと思おもわれる。

人類じんるいが自力じりきで道具どうぐを工夫くふうして火ひを起おこした古代こだい発火はっか法ほうには、大おおきく分わけて摩擦まさつ式しき、火花ひばな式しき（火打石ひうちいし）、光学こうがく式しき（収しゅうれん発火はっか）、圧縮あっしゅくポンプ式しき（圧あつ気き発火はっか器き）が現在げんざい知しられている。現代げんだいでは、化学かがく式しき(マッチ)、電気でんき式しき（点火てんかプラグ）など、新あらたな手法しゅほうが発明はつめいされている。

歴史れきし

自然しぜん発生はっせい

「初期しょきのヒト属ぞくによる火ひの利用りよう」も参照さんしょう

火ひは火山かざん活動かつどうや落雷らくらいなどによる自然しぜん発火はっかの結果けっかとして自然しぜんに発生はっせいする。そして多おおくの動物どうぶつや植物しょくぶつは長ながい進化しんかの過程かていで火ひに対処たいしょする生存せいぞん戦略せんりゃくを探さぐり、火ひに適応てきおうした生態せいたいを獲得かくとくした種たねもある。チンパンジーはある種しゅの木この実みについて、生せいで食たべるより森もりの火事かじ跡あとで加熱かねつされ、消化しょうかが良よくなったものを好このんで食たべる。もちろん人類じんるいの祖先そせん猿ざる人じんたちも、火ひを作つくりだす技術ぎじゅつを習得しゅうとくするよりもずっと前まえから、火ひとその有益ゆうえき性せいについて知しっていた。

火ひの利用りようから発火はっか法ほうへ

人類じんるいが火ひを手てに入いれた最もっとも古ふるい方法ほうほうは、それら自然しぜんに得えられた火ひを松明たいまつや火種ひだねのような形かたちで運はこび、焚たき火びにして保存ほぞんすることだった。火種ひだねが燃もえ尽つきないよう長時間ちょうじかんもたせるために、燠おき火ひにして灰はいに埋うめて保持ほじする「火ひ止とめ」という方法ほうほうも工夫くふうされた。人類じんるいが自みずからの手てで火ひを起おこす発火はっか法ほうの発明はつめいは、火ひの利用りようからはるかに遅おくれて、木きや竹たけの道具どうぐを加工かこうする技術ぎじゅつの中なかから生うまれ、工夫くふうされてきたと考かんがえられている。

火打石ひうちいし

詳細しょうさいは「火打石ひうちいし」を参照さんしょう

ヨーロッパの一部いちぶでは、鉄てつの硫化りゅうか物ぶつである塊状かいじょうの黄鉄鉱おうてっこうや白しろ鉄鉱てっこうに、硬かたい石いし（フリントなど）を削けずるように打うちつけて赤熱しゃくねつした火花ひばなを出だし、その火花ひばなをある種しゅのキノコの消けし炭ずみなどの火口かこう（ほくち）に移うつして火ひをおこす技術ぎじゅつが1万まん年ねん以上いじょう前まえの古ふるくからあった。黄鉄鉱おうてっこうの学名がくめいパイライトは、ギリシャ語ごで「火ひの石いし」という意味いみである。火打石ひうちいしの火花ひばなは、衝撃しょうげきで削けずり取とられた鉄てつの小ちいさな粒子りゅうしが赤熱しゃくねつして飛とび散ちったものである。ロバート・フックは、溶融ようゆうして丸まるくなった鉄てつの粒子りゅうしを手製てせいの顕微鏡けんびきょうで観察かんさつし、『ミクログラフィア』に記録きろくしている。

鋼鉄こうてつの普及ふきゅうとともに鋼鉄こうてつの火打金ひうちがねが作つくられると、多おおくの地域ちいきでは黄鉄鉱おうてっこうの火打石ひうちいしや摩擦まさつ発火はっか具ぐに代かわって広ひろく普及ふきゅうした。ヨーロッパや中国ちゅうごく、インド、日本にっぽんでも、マッチが普及ふきゅうするまで、日常にちじょうの火ひ起おこしには主おもに火打石ひうちいし（実際じっさいには火打金ひうちがね、火打石ひうちいし、火口かこうの3点てんセット）が使つかわれた。中央ちゅうおうアジアやシベリアの一部いちぶ民族みんぞく、あるいは日本にっぽんやヨーロッパなどの一部いちぶの宗教しゅうきょう儀式ぎしきには今いまでも用もちいられているが、湿度しつどが高たかいと使つかいづらいことも多おおい。

発火はっか法ほう（発火はっか具ぐ）の分類ぶんるい

発火はっか法ほうは摩擦まさつによる方法ほうほう、打撃だげきによる方法ほうほう、圧縮あっしゅくによる方法ほうほう、光学こうがく的てき方法ほうほう、化学かがく的てき・電気でんき的てき方法ほうほうに分わけられる

摩擦まさつ法ほう

大おおきく分わけて往復おうふく摩擦まさつによるものと、回転かいてん摩擦まさつによるものがある。いずれも摩擦まさつによって木きの繊維せんいが削けずれて細こまかい粉末ふんまつ状じょうになり、それが溜たまったところに摩擦まさつ熱ねつが加くわわって火種ひだねが起おこる。

往復おうふく摩擦まさつによる方法ほうほう

「発火はっか犂すき」および「発火はっか鋸のこ」も参照さんしょう

ヒミゾ（火ひ溝みぞ）式しき

台たい板ばんの木目もくめに沿そって棒ぼう木きを激はげしく擦こすりつける方法ほうほう。竹たけも利用りようできる。著いちじるしく腕力わんりょく・体力たいりょくを要ようする。サモア、トンガ、バヌアツなど、太平洋たいへいようにあるポリネシアやメラネシアの島々しまじまに現在げんざいも伝つたわっている。非常ひじょうに腕力わんりょくの要いる発火はっか法ほうだが、体格たいかくや体力たいりょくに恵めぐまれたサモアなどでは10秒びょう前後ぜんこうで火種ひだねを作つくる名人めいじんもいる。

ノコギリ（鋸のこ）式しき

台たい板ばんの木目もくめに直角ちょっかくに鋸のこで切きるよう棒ぼう木きを激はげしく擦こすり合あわせる方法ほうほう。道具どうぐを適切てきせつに作つくり、体力たいりょくのある熟練じゅくれん者しゃが操作そうさすれば20-30秒びょう以内いないに火種ひだねができる。

イトノコ（糸鋸いとのこ）式しき

テープ状じょうの竹たけひごや籐とうの蔓づるなどを割われ目めのある枝えだや割わり竹ちくなどに直交ちょっこうして押おし当あてながら、左右さゆうに引ひいてこする。紐ひものこぎり式しきともいう。パプアニューギニアや東南とうなんアジアの一部いちぶに残のこる発火はっか法ほう。一見いっけん原始げんし的てきなようだが発火はっか効率こうりつは良よく、熟練じゅくれん者しゃは10秒びょう前後ぜんこうで火種ひだねを作つくることができる。

回転かいてん摩擦まさつによる方法ほうほう

「発火はっか錐きり」も参照さんしょう

キリモミ（錐揉きりもみ）式しき

木きの板いた（火切ひきり板ばん）の凹へこみ（火切ひきり臼うす）の上うえに垂直すいちょくに立たてた（以下いかの3方式ほうしきも同様どうよう）木きの棒ぼう（火切ひきり杵きね）を両手りょうてで挟はさみ、下したに押おしつけながら手てをこするようにして回転かいてんさせる。和光大学わこうだいがく名誉めいよ教授きょうじゅの岩城いわき正夫まさおが実践じっせん的てき研究けんきゅうを行おこなっている。熟練じゅくれん者しゃは10秒びょうほどで火種ひだねを作つくることができる。

日本にっぽんでは、縄文じょうもん時代じだいに使つかわれた火切ひきり臼うすが真脇まわき遺跡いせき（石川いしかわ県けん）から出土しゅつどしている。

ヒモギリ（紐ひも錐きり）式しき

木きの棒ぼうに紐ひもを1・2回かい巻まき付つけ、左右さゆうに引ひいて回転かいてんさせる。一人ひとりが棒ぼうを上うえから凹へこんだ石いしなどのハンドピースで押おさえ、もう一人ひとりが紐ひもを引ひく共同きょうどう作業さぎょうで操作そうさする。熟練じゅくれん者しゃは3-8秒びょう程度ていどで火種ひだねを作つくることができ、非力ひりきな小学生しょうがくせいや女性じょせいでも少すこし練習れんしゅうすれば発火はっかできる。

ユミギリ（弓ゆみ錐きり）式しき

木きの棒ぼうに弓ゆみ（火ひ起おこし専用せんようの小型こがたのもの）の弦つるを1回かいから2回かい巻まき付つけ、弓ゆみを押おし引びきして回転かいてんさせる。紐ひも錐きり式しきに似にているが、一人ひとりで行おこなえる。効率こうりつ良よく作つくられた、適度てきどな大おおきさの道具どうぐでは、熟練じゅくれんすれば3-8秒びょうほどで火種ひだねを作つくることができる。

マイギリ（舞まい錐きり）式しき

短冊たんざく状じょうの横木よこぎの中央ちゅうおうに孔あなを開あけて棒ぼうを通とおし、横木よこぎの両りょう端はし付近ふきんと棒ぼうの上端じょうたん付近ふきんを紐ひもで結むすぶ。棒ぼうの横木よこぎより下したの部分ぶぶんにはずみ車ぐるまをつける。紐ひもを棒ぼうに巻まき付つけると横木よこぎが持もち上あがる。その状態じょうたいから横木よこぎを押おし下さげると、巻まき付ついた紐ひもがほどけるにつれて棒ぼうが回転かいてんし、その勢いきおいで紐ひもが今度こんどは逆ぎゃく方向ほうこうに巻まき付つく。これを繰くり返かえす。

静岡しずおか県けんの登呂とろ遺跡いせきで舞まい錐きりの発火はっか具ぐらしき物ものが出土しゅつどしたことから弥生やよい時代じだいには利用りようされていたと考かんがえられたことがあったが、その後ごの研究けんきゅうで出土しゅつど品ひんは発火はっか具ぐなのか疑問ぎもん視しされるようになり、日本にっぽんにおける舞まい錐きりは江戸えど時代じだいに伊勢神宮いせじんぐうなどの神事しんじで利用りようされるようになったことが始はじまりとされている。

なお、回転かいてん摩擦まさつ式しきの場合ばあいには古代こだいエジプトのツタンカーメン王おう墓はかの副葬品ふくそうひんに例れいがあるように、棒ぼうの先端せんたん部分ぶぶんを差さし込こみ式しきにして交換こうかんできるようにすると、錐きり本体ほんたいを消耗しょうもう品ひんにしなくて済すむ。その場合ばあい、先端せんたんには中空ちゅうくうなウツギや、アジサイ、クルミの細ほそ枝えだのように、芯しんにスポンジ状じょうの髄ずいがある樹き種しゅが適てきする。これは太ふとさに比較ひかくして摩擦まさつ面積めんせきを小ちいさく出来できるため、温度おんどを上あげやすいからである。

打撃だげき法ほう

火打石ひうちいしと鋼鉄こうてつ片へん、消けし炭ずみの火口かこう（ほくち）と、灰汁あくに漬つけて乾燥かんそうした茸たけの火口かこう

鉄てつを石いしにぶつけて火花ひばなを発生はっせいさせ火口かこう（ほくち）に点火てんかする方法ほうほう。燧石ひうちいしのような硬かたい石いしで鉄片てっぺん（古ふるくは黄鉄鉱おうてっこうや白しろ鉄鉱てっこうのような硫化りゅうか鉄鉱てっこう石せき）を削けずるように打うち合あわせて火花ひばなを飛とばし、それを消けし炭ずみなどに点火てんかする。熟練じゅくれんすればカチッと一瞬いっしゅんの打撃だげきで火口かこうに点火てんかし火種ひだねができるが、火口かこうが湿しめっていたり、石いしの角かくが摩滅まめつして丸まるくなっていたりするとなかなか点火てんかしない。

20世紀せいきになると、より火花ひばなを出だしやすいフェロセリウム合金ごうきんと鋼はがねのやすりとの組くみ合あわせが開発かいはつされ、ライターの点火てんか部ぶや野外やがい点火てんか器具きぐのメタルマッチ等とうに使用しようされるようになった。

金きむ床ゆかに置おいた鉄てつにハンマーで数すう十じゅう回かい打撃だげきを加くわえると発熱はつねつし、これに硫黄いおうや付つけ木ぎを当あてると発火はっかする。この方法ほうほうは打撃だげき蓄熱ちくねつと呼よばれるが、電熱でんねつ線せんなどとともに、物理ぶつり変化へんかによる方法ほうほうに分類ぶんるいされることもある。

圧縮あっしゅく法ほう

圧縮あっしゅく式しき発火はっか法ほうの使用しよう例れい

「圧あつ気き発火はっか器き」も参照さんしょう

空気くうきを圧縮あっしゅくし高温こうおんにすることで発火はっかさせる方法ほうほう。原理げんり的てきには断熱だんねつ圧縮あっしゅくと呼よばれる原理げんりを応用おうようしている。ディーゼルエンジンの点火てんか方式ほうしきなどに利用りようされる。

ボルネオやビルマなど東南とうなんアジアの一部いちぶでは、ファイヤピストン(圧あつ気き発火はっか器き)と呼よばれる装置そうちを用もちいて火ひを起おこしていた。この装置そうちは、木きや動物どうぶつの角かくなどで造つくられており、一端いったんが密封みっぷうされた中空なかぞらのシリンダーと、その内径ないけいにぴったりと合あうピストン（プランジャー）から構成こうせいされる。この器具きぐの存在そんざいは、19世紀せいきにローレンス・ヴァン・デル・ポストによってヨーロッパに報告ほうこくされた。

プランジャーの先端せんたんから2-3mm離はなれた位置いちに火口かこうをセットする窪くぼみがあり、他た端はし（持もち手て側がわ）にはシリンダー内部ないぶの気密きみつを保たもつためのガスケットがある。プランジャーの先端せんたんに火口かこうをセットし、シリンダー内ないに勢いきおい良よく押おし込こむと、断熱だんねつ圧縮あっしゅくによってシリンダー内ないが高熱こうねつになり、火口かこうに点火てんかされる。

光学こうがく的てき方法ほうほう

紀元前きげんぜん212年ねんアルキメデスの熱ねつ光線こうせん（光学こうがく式しきの例れい）

レンズ式しき

太陽光たいようこうを凸とつレンズで火口かこうに集あつめて焦点しょうてんで火種ひだねを得える方法ほうほう。

鏡かがみ式しき

太陽光たいようこうを凹面鏡おうめんきょうで火口かこうに集あつめて焦点しょうてんで火種ひだねを得える方法ほうほう。近代きんだいでは1930年ねん以降いこう、オリンピックの聖火せいかを採火さいかする時ときに凹面鏡おうめんきょうの発火はっか具ぐが使つかわれている。

化学かがく的てき・電気でんき的てき方法ほうほう

化学かがく的てき･電気でんき的てき方法ほうほうは近代きんだい産業さんぎょうによって生うみ出だされたものである。

化学かがく式しき

比較的ひかくてき低温ていおんで化学かがく反応はんのうを起おこす物質ぶっしつを発火はっか剤ざいとして用もちいる方法ほうほう。薬品やくひんとしては塩素えんそ酸さんカリウムと砂糖さとうの混合こんごう物ぶつに硫酸りゅうさんをかける方法ほうほうや過かマンガン酸さんカリウムにグリセリンを注そそぐ方法ほうほうなどの組くみ合あわせがある。キャンプファイヤーのマジック点火てんかなどに利用りようされるが薬品やくひん自体じたい危険きけんなものもある。19世紀せいきに発明はつめいされたマッチも化学かがく反応はんのうを利用りようしたものである。

マッチ

リンが酸素さんそと結合けつごうすることによる燃焼ねんしょうを利用りようしたもの。

• 塩素えんそ酸さんカリウムと砂糖さとうなどを主剤しゅざいとし、硫酸りゅうさんに浸ひたして点火てんかする湿式しっしきの浸ひた酸さんマッチ
• 黄きリン、赤あかリンなどと塩素えんそ酸さんカリウムなどを組くみ合あわせた乾式かんしきの摩擦まさつマッチ

ライター

ガスライターやオイルライターなどは化学かがく変化へんかによる方法ほうほうとして分類ぶんるいされることがある。

電気でんき式しき

発熱はつねつ式しき

ニクロム線せんのような電気でんき抵抗ていこうの大おおきな通電つうでん物ぶつに電流でんりゅうを通とおすことでジュール熱ねつを発生はっせいさせ、可燃かねん物ぶつを発火はっか温度おんど以上いじょうにして発火はっかさせる方法ほうほう。映画えいが撮影さつえいの現場げんばでは、火薬かやくの着火ちゃっかに用もちいられることが多おおく、この方式ほうしきを電気でんき着火ちゃっかと呼称こしょうしている。スチールウールは乾電池かんでんちによる通電つうでんで発火はっかする。

放電ほうでん式しき

放電ほうでんによる火花ひばなを利用りようして火口かこうに点火てんかする。火打石ひうちいしと同おなじく火花ひばなを利用りようした方法ほうほうとして分類ぶんるいされることもある。電気でんき火花ひばなを起おこすには高たかい電圧でんあつを発生はっせいさせる必要ひつようがあるが、これには圧あつ電でん素子そしや点火てんかコイルなどが用もちいられる。

火ひの拡大かくだい

火口かこうに点火てんかされると、その炎ほのおをより熱量ねつりょうの大おおきな可燃かねん物ぶつに移うつして適切てきせつな大おおきさにする必要ひつようがある。火口かこうの次つぎには、着火ちゃっかしやすい乾燥かんそうした焚たき付つけに火ひを移うつし、徐々じょじょに細ほそいものから太ふといものへと移うつす。

小ちいさい炎ほのおでは、それが大おおきな炎ほのおを作つくるために必要ひつような量りょうの可燃かねん性せいガスを放出ほうしゅつさせるのに必要ひつような量りょうの燃料ねんりょうを熱ねっすることができない。このため、ゆっくりと燃料ねんりょうの大おおきさを増ふやしていくことが重要じゅうようである。

また、炎ほのおをガスから吹ふき払はらったり、燃料ねんりょうを冷ひやし過すぎたりしないような方法ほうほうで、十分じゅうぶんな酸素さんそを供給きょうきゅうするために適当てきとうな量りょうの気流きりゅうを確保かくほすることも重要じゅうようである。

炎ほのおが十分じゅうぶんな大おおきさに成長せいちょうすれば、多少たしょうの水分すいぶんや樹液じゅえきを含ふくんだ木材もくざいを燃料ねんりょうとして供給きょうきゅうしても火ひは消きえない。木材もくざいに含ふくまれる水分すいぶんは、炎ほのおの発はっする熱ねつで沸騰ふっとう・蒸発じょうはつしてしまうためである。

雨天うてんなど湿しめった天候てんこうであっても、丸太まるたを割わって含水率りつの低ひくい部分ぶぶんを使用しようすることなどによって、ある程度ていど燃もえやすい燃料ねんりょうを得えることができる。

文化ぶんか

出雲いずも国こくを支配しはいした国造くにのみやつこである出雲いずも国造くにのみやつこは、代替だいがわりの際さいに神火しんか相続そうぞく式しきという燧ひうち臼うす（ひきりうす）・燧ひうち杵きね（ひきりきね）を携たずさえて、熊野くまの大社たいしゃに参向さんこうして、それらで発火はっかさせた火ひを用もちいて料理りょうりを行おこない食事しょくじをする儀式ぎしきを行おこなう。

神道しんとうにおいては忌き火ひ、鑽火神事しんじなどの儀式ぎしきが行おこなわれる。

明治めいじ期きの日本にっぽんにおいて、外出がいしゅつ時じに火打石ひうちいしと火打ひうち金がねを打うち鳴ならし、清きよめと厄払やくはらいを行おこなう切きり火び、鑽火（きりび）という儀式ぎしきが行おこなわれた。これはマッチの普及ふきゅうで消費しょうひが低迷ていめいした火打ひうち石いしの団体だんたいが宣伝せんでんした結果けっかである。

関連かんれん書籍しょせき

• 山田やまだ仁史ひとし「発火はっか法ほうと火ひの起源きげん神話しんわ」（『東北とうほく宗教しゅうきょう学がく』2号ごう、2006年ねん所収しょしゅう）

参考さんこう文献ぶんけん

• 岩城いわき正夫まさお「原始時代げんしじだいの火ひ」新生しんせい出版しゅっぱん
• 岩城いわき正夫まさお・関根せきね秀樹ひでき「古こ文献ぶんけんに見みえる古代こだい発火はっか技術ぎじゅつについて」（『和光大学わこうだいがく人文学部じんぶんがくぶ紀要きよう18』所収しょしゅう）
• 関根せきね秀樹ひでき「縄文じょうもん生活せいかつ図鑑ずかん」創そう和わ出版しゅっぱん
• 岩城いわき正夫まさお「火ひをつくる」大月書店おおつきしょてん
• 中川なかがわ・関根せきね・吉長よしなが編へん「焚たき火び大全たいぜん」創そう森もり社しゃ
• 岩城いわき正夫まさお「セルフメイドの世界せかい」群ぐん羊ひつじ社しゃ
• 高嶋たかしま幸夫ゆきお「火ひの道具どうぐ」柏書房かしわしょぼう
• 岩城いわき正夫まさお監修かんしゅう「『古代こだい発火はっか法ほう』で炎ほのおを作つくってみよう『ユミギリ式しき発火はっか法ほう』」ファンプラス・セルフメイド倶楽部くらぶ・NTTラーニングシステムズ（画像がぞう・動画どうがでやさしく解説かいせつ）

関連かんれん項目こうもく

• 点火てんか
• 火ひ吹ふき棒ぼう（火吹竹ひふきだけ）- 酸素さんそが豊富ほうふな空気くうきを送おくり込こむことで燃焼ねんしょうをしやすくする。
• 鞴（ふいご） - 火ひ吹ふき棒ぼうの仕組しくみを容易よういにした道具どうぐ。
• 火種ひだね - 必要ひつようの都度つど火ひを起おこす労力ろうりょくを嫌きらい、点火てんか源げんとして温存おんぞん利用りようされることがある。

外部がいぶリンク

• Solar method using can of Coke and chocolate
• Solar method with lens made from ice