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はししきたい空砲くうほう

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
もっと簡易かんいてきはししきたい空砲くうほういちれいZU-23-2を、ZiL-131トラックの荷台にだい搭載とうさいしたもの。

はししきたい空砲くうほう(じそうしきたいくうほう、英語えいご: self-propelled anti-aircraft gunSPAAG)またはたい空自くうじはしほう(たいくうじそうほう)は、航空機こうくうきヘリコプターなど、飛行ひこうちゅう目標もくひょう破壊はかいするための高射こうしゃほう対空たいくう機関きかんほう対空たいくうミサイル搭載とうさいし、自力じりき移動いどう可能かのう戦闘せんとう車両しゃりょうである。

概要がいよう

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そうしきパーンツィリ-S1
レオパルト2にマークスマン対空たいくう砲塔ほうとう搭載とうさいしたもの。

すべてのはししきたい空砲くうほうは、1もん以上いじょう対空たいくう兵器へいきとその光学こうがくしき照準しょうじゅん電波でんぱさがせしんじなどの照準しょうじゅん探査たんさ射撃しゃげき管制かんせい装置そうちおよびこれらを搭載とうさいする車体しゃたいからなる。射撃しゃげきさいには停止ていしして固定こてい砲台ほうだいとしてもちいられるものや、機動きどうしながらの射撃しゃげき可能かのうものなど、時代じだい形式けいしきにより様々さまざまなタイプがある。

へいそうがミサイルのみの場合ばあいは、地上ちじょうから攻撃こうげきけたときに自身じしん防護ぼうごする手段しゅだんがなく、護衛ごえい装甲そうこう車両しゃりょう歩兵ほへいをよりおおくつけなければならないため、コスト削減さくげんめんから機関きかんほう併用へいようする場合ばあい魅力みりょくてきであると判断はんだんする国家こっかもある。既存きそんはししきたい空砲くうほう近代きんだい改修かいしゅう一環いっかんとして、対空たいくうミサイル(MANPADS)を追加ついか装備そうびするれいもある。

近代きんだいにおいては照準しょうじゅん探査たんさのために種類しゅるいのレーダーを搭載とうさいしたうえにレーダーと連動れんどうした射撃しゃげき管制かんせい装置そうちち、それだけの装備そうびうごかす電源でんげんふくめて戦車せんしゃいちだいぶんのスペースにおさまるように小型こがたするため、主力しゅりょく戦車せんしゃすうばいにもなるきわめて高価こうか複雑ふくざつ兵器へいきとなっている。陸上りくじょう自衛隊じえいたいでは90しき戦車せんしゃが8おくえんなのにたいして87しきはし高射こうしゃ機関きかんほうは15おくえんえる。

ほとんどのはししきたい空砲くうほう装甲そうこうまたは軽度けいど装甲そうこうしかほどこされておらず、地上ちじょう部隊ぶたい戦闘せんとう車輌しゃりょう対戦たいせんしゃ兵器へいきとの直接ちょくせつ戦闘せんとう考慮こうりょしていない。しかし、運用うんようしゃにとって対空たいくう機関きかんほう機関きかんじゅうによる水平すいへい射撃しゃげき威力いりょく魅力みりょくてきであり、しばしば対地たいち目標もくひょうへの火力かりょく支援しえん投入とうにゅうされる。とく歩兵ほへいなどの装甲そうこう目標もくひょう威力いりょく発揮はっきし、また、市街しがいせんなど火器かきおおきな仰角ぎょうかく必要ひつようとされる戦場せんじょうにもされる。しかし、このような運用うんようでは反撃はんげきによる損耗そんこうおおきく、はししきたい空砲くうほうによる対地たいち戦闘せんとう前提ぜんていとしたドクトリン軍隊ぐんたいはあまりない。とく近代きんだいでは機関きかんほう搭載とうさいした歩兵ほへい戦闘せんとうしゃが、歩兵ほへいなどの装甲そうこう目標もくひょうたいする攻撃こうげきてられることがおおい。

このため、過去かこおこなわれたような対地たいち目標もくひょうはししきたい空砲くうほう使用しようする必要ひつようせいくなり、対地たいち攻撃こうげきおこな必要ひつようせい突発とっぱつてき自衛じえい戦闘せんとう以外いがいいとえる。一方いっぽうで、自衛じえい戦闘せんとう可能かのうというてんで、ミサイルのみを装備そうびした車両しゃりょうよりも、より前線ぜんせんちかところ車両しゃりょう配置はいちできるというメリットがあり、対空たいくうミサイルの護衛ごえいのために余計よけい部隊ぶたい必要ひつようがないところは魅力みりょくてきである。

近年きんねん戦争せんそうおも発展はってん途上とじょうこくたいテロ戦争せんそうでは歩兵ほへいせん機会きかいきわめておおく、たい空砲くうほう転用てんようしたテクニカル/ガントラック多用たようされており、これらはヘリコプターにも脅威きょういとなることから、広義こうぎはししきたい空砲くうほうなすことができる。

歴史れきし

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だいいち世界せかい大戦たいせんから航空機こうくうき軍事ぐんじ利用りようひろおこなわれることとなったが、当時とうじ低速ていそくてい高度こうど飛行ひこうしており、携行けいこうする小銃しょうじゅう一斉いっせい射撃しゃげき対空たいくうようあしせられた機関きかんじゅう野砲やほうから発展はってんした高射こうしゃほう部隊ぶたい対空たいくうよう火器かきとして一般いっぱんてき使用しようされ、効果こうか十分じゅうぶんであった。戦線せんせんでの移動いどう速度そくどおそく、しゅとしてうま人力じんりき牽引けんいんされていた。

だい世界せかい大戦たいせん開始かいしにも、ぜん大戦たいせん同様どうよう機関きかんじゅうくわえ、車両しゃりょう牽引けんいんされた高射こうしゃほう対空たいくう機関きかんほう使用しようされるようになった。しかし戦車せんしゃ航空機こうくうき急激きゅうげき発展はってんにより、車両しゃりょう牽引けんいんされた対空たいくうほうでは、射撃しゃげき準備じゅんびえるまえ航空機こうくうき攻撃こうげきされたり、射撃しゃげき準備じゅんび終了しゅうりょうした時点じてん戦線せんせんのはるか後方こうほうにありやくにたなかったりなどと兵器へいきとしての限界げんかいてきた。これにたいし、この当時とうじすでそうしきトラックやハーフトラック高射こうしゃほう対空たいくう機関きかんほう搭載とうさいしたはししきたい空砲くうほう生産せいさん配備はいびされ、また、現地げんち改造かいぞう対空たいくう機関きかんほう輸送ゆそうようトラック直接ちょくせつ搭載とうさいしていたが、大半たいはんもの装甲そうこうで、また、みちがいではくつたい走行そうこうする戦車せんしゃ進撃しんげき追従ついしょうするのが困難こんなんであった。

だい規模きぼ機甲きこう部隊ぶたい運用うんようしていたドイツ陸軍りくぐん1943ねん以後いごドイツ空軍くうぐん制空権せいくうけんうしなうにつれ野戦やせん防空ぼうくう切実せつじつ問題もんだいとなった。Il-2ホーカー ハリケーンなどの対地たいち攻撃こうげきにより多数たすう戦車せんしゃ補給ほきゅう車輌しゃりょう撃破げきはされ、攻撃こうげき頓挫とんざすることもめずらしいことではなかった。対空たいくう砲火ほうかそなえた装甲そうこうつものもおおいこれら攻撃こうげきを、戦車せんしゃ歩兵ほへい機関きかんじゅうのみで撃退げきたいすることは、事実じじつじょう不可能ふかのうであった。前述ぜんじゅつのように対空たいくう機関きかんほう装備そうびしたトラックは使用しようされていたが、あらたに戦車せんしゃ車台しゃだい対空たいくうほうせた車輌しゃりょう大戦たいせん中期ちゅうきから開発かいはつされ、Flakpanzer=対空たいくう戦車せんしゃ呼称こしょうし、1942ねんIごう対空たいくう戦車せんしゃ実戦じっせん投入とうにゅうしたのを皮切かわきりに、38(t)対空たいくう戦車せんしゃメーベルワーゲンヴィルベルヴィントなどが次々つぎつぎ開発かいはつされた。戦車せんしゃ共通きょうつう車台しゃだいつこれらの車輌しゃりょう効果こうかてきではあったものの、同数どうすう戦車せんしゃ車体しゃたいうばうために大量たいりょう生産せいさん困難こんなんたとえばヴィルベルヴィントは損傷そんしょうして後送こうそうされたIVごう戦車せんしゃからの改造かいぞうのみ)であり、戦局せんきょくおおきな影響えいきょうあたえることはかった。イギリスアメリカもトラックやハーフトラックベースのはししきたい空砲くうほう運用うんようしたほか旧式きゅうしきしたり余剰よじょうとなった戦車せんしゃ車体しゃたい使用しようしてなに種類しゅるいもの対空たいくう戦車せんしゃ開発かいはつ、その一部いちぶ生産せいさんされた。日本にっぽんでは数種類すうしゅるい対空たいくう戦車せんしゃ試作しさく計画けいかくされたが一線いっせん部隊ぶたいへの配備はいびはされず、きゅうよんしきろくりん自動じどう貨車かしゃきゅうはちしきみりめーとる高射こうしゃ機関きかんほう搭載とうさいして整備せいびするにとどまった。

戦後せんごジェット機じぇっとき台頭たいとうにより従来じゅうらい目視もくしによる目標もくひょう捕捉ほそく射撃しゃげきではいつけなくなると、レーダーコンピュータによる自動じどう射撃しゃげきへと移行いこうしていく。なかでもおおきな戦果せんかげたのはソ連それんせいZSU-23-4シルカで、だいよん中東ちゅうとう戦争せんそう2K12クーブ対空たいくうミサイルとの併用へいようエジプトぐん使用しようした同車どうしゃが、2K12をけて低空ていくう侵入しんにゅうしたイスラエル空軍くうぐん多数たすう撃破げきはし、初期しょきのアラブがわ有利ゆうり戦局せんきょくおおきく貢献こうけんした。西側にしがわ諸国しょこくでも、西にしドイツ開発かいはつしたゲパルト目標もくひょう捕捉ほそくよう射撃しゃげきようの2のレーダーをそなえ、目標もくひょう攻撃こうげきへのタイムラグを短縮たんしゅくしている。

より安価あんかMANPADS発達はったつすると、これによってはししきたい空砲くうほうはかなりの部分ぶぶんってわられ、はししきたい空砲くうほう対空たいくうミサイルでらしたてき撃破げきはすることが主眼しゅがんとなりつつある。しかし、対空たいくう機関きかんほうくわ対空たいくうミサイル併用へいようする車輌しゃりょう登場とうじょうし、機関きかんほうとミサイルで相互そうご有効ゆうこう射程しゃてい搭載とうさいだんすう命中めいちゅうりつなどの弱点じゃくてんおぎなうようになった。今日きょういたっても、電波でんぱ妨害ぼうがいつよ光学こうがく照準しょうじゅん機関きかんほう防空ぼうくうもう最後さいごとりでであり、ロシアはししきたい空砲くうほう積極せっきょくてき開発かいはつしている。とく低速ていそく攻撃こうげきヘリコプターにとってはいまなおおおきな脅威きょういであり、イラク戦争せんそうにおいてはアメリカぐんさい新鋭しんえいAH-64D部隊ぶたい都市としイラクぐん強襲きょうしゅうをかけたさい旧式きゅうしきながらよく準備じゅんびされた防空ぼうくう体系たいけいによってだい損害そんがいこうむり、撃退げきたいされている。

2020年代ねんだい以降いこう低速ていそくドローン巡航じゅんこうミサイル迎撃げいげきなどに利用りようされるようになった[1][2]

はししきたい空砲くうほう一覧いちらん

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だい世界せかい大戦たいせん

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だい世界せかい大戦たいせん

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脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 現地げんち改造かいぞうによる3.7 cm FlaK 36/37搭載とうさいがた
  2. ^ 現地げんち改造かいぞうによる2 cm Flak 38搭載とうさいがた
  3. ^ トクチョン装甲そうこう車両しゃりょうにZPU-4 4連装れんそう14.5mm機関きかんほう開放かいほうしき砲塔ほうとう搭載とうさい

出典しゅってん

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  1. ^ 高射こうしゃ機関きかんほう復活ふっかつはあるか どく「ゲパルト」ウクライナへの供与きょうよでにわかにざわめく”. 月刊げっかんPANZER編集へんしゅう (2022ねん5がつ7にち). 2022ねん12月13にち閲覧えつらん
  2. ^ ロシアぐん飛行ひこう物体ぶったい撃墜げきつい どく供与きょうよ対空たいくうほう「ゲパルト」”. AP通信つうしん (2022ねん12月13にち). 2022ねん12月13にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく

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