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AMX-30

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
AMX-30
AMX-30B2
性能せいのうしょもと
全長ぜんちょう 9.48m
車体しゃたいちょう 6.59m
全幅ぜんぷく 3.10m
ぜんこう 2.86m
重量じゅうりょう 36t
懸架けんか方式ほうしき トーションバー方式ほうしき
速度そくど 65km/h
行動こうどう距離きょり 500km
主砲しゅほう CN-105-F1 105mm戦車せんしゃほう
ふく武装ぶそう 7.62mm機関きかんじゅうおよび12.7mm/20mm機関きかんほう(B2がた
装甲そうこう
砲塔ほうとう
  • 前面ぜんめん:80mm
  • 側面そくめん:35mm
  • こうめん:30mm
  • 上面うわつら:20mm
車体しゃたい
  • 前面ぜんめん上下じょうげ:80mm
  • 側面そくめん上部じょうぶ:35mm
  • 側面そくめん下部かぶ:30mm
  • こうめん上部じょうぶ:30mm
  • こうめん下部かぶ:25mm
  • 上面うわつら:15mm
  • 底面ていめん:15mm
  • 底面ていめんぜんはし:30mm
エンジン イスパノ・スイザHS-110
えきひや対向たいこう12気筒きとう
燃料ねんりょうディーゼル
680HP/(507kW)
乗員じょういん 4めい
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AMX-30は、フランスイシー=レ=ムリノー工廠こうしょう (AMX)開発かいはつされた戦後せんごだい世代せだい主力しゅりょく戦車せんしゃである。

開発かいはつ特徴とくちょう

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フランス戦車せんしゃかんする技術ぎじゅつだい世界せかい大戦たいせんでの早期そうき占領せんりょうにより途絶とぜつしてしまい、戦後せんごフランスぐん戦時せんじちゅうアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくから供給きょうきゅうされたM4シャーマンさい生産せいさんおこなったドイツパンターなどを運用うんようしつつ、旧来きゅうらい自国じこく技術ぎじゅつもとづいたARL-44やより先進せんしんてきAMX-50開発かいはつしていた。しかし、性能せいのう不足ふそく開発かいはつおくれにくわ政治せいじてき財政ざいせいてき要因よういんもあり1954ねん以降いこうはアメリカから供給きょうきゅうされたM47パットン主力しゅりょくとして装備そうびしていた。それでもフランスは新型しんがた主力しゅりょく戦車せんしゃ独自どくじ開発かいはつするみち模索もさくしており、隣国りんごく西にしドイツ新型しんがた主力しゅりょく戦車せんしゃ開発かいはつ構想こうそうてていたため共同きょうどう開発かいはつすることとなった。この戦車せんしゃ標準ひょうじゅん戦車せんしゃ呼称こしょうされ、1957ねん両国りょうこくあいだ協定きょうていむすばれた。

協定きょうていでは標準ひょうじゅん戦車せんしゃたいする要求ようきゅう仕様しようさだめられ、両国りょうこく別々べつべつ開発かいはつした戦車せんしゃ試験しけんし、性能せいのう良好りょうこう車両しゃりょう両国りょうこく採用さいようすることとなっていた。この標準ひょうじゅん戦車せんしゃには、当時とうじ出現しゅつげんはじめた対戦たいせんしゃミサイル歩兵ほへいよう携帯けいたい対戦たいせんしゃ兵器へいきへの対抗たいこうさくとして機動きどうりょくもとめられ、装甲そうこう防御ぼうぎょりょくはそれほどもとめられていなかった。

AMX-30 先行せんこう量産りょうさんがた

フランスでは1959ねんから試作しさくしゃ製作せいさくはじまり、よく1960ねんには試作しさくしゃ完成かんせいし、試験しけん開始かいしされた。フランスが開発かいはつした標準ひょうじゅん戦車せんしゃ試作しさく車両しゃりょうくるまだかさえるためにイスパノ・スイザせい対向たいこう12気筒きとう燃料ねんりょうえきひやディーゼルエンジン採用さいようされ、目標もくひょう素早すばや発見はっけん先手せんてつために視察しさつ装置そうち重視じゅうしし、くるまちょうよう展望てんぼうとう腰高こしだか設計せっけいされた。

主砲しゅほうは105mmほうであったが、西にしドイツの標準ひょうじゅん戦車せんしゃ採用さいようした当時とうじ西側にしがわ諸国しょこく標準ひょうじゅん戦車せんしゃほうとなりつつあったイギリスせいL7A1 105mmほうではなく独自どくじ開発かいはつのCN-105-F1 105mmほう搭載とうさいした。56口径こうけいやく6メートル)という長大ちょうだい砲身ほうしんつこのほう当初とうしょ、Gだんという特殊とくしゅHEAT対戦たいせんしゃ榴弾りゅうだん専用せんようであり、ベアリングにより弾頭だんとう周囲しゅういだけ回転かいてんさせることで弾道だんどう安定あんていさせつつ成型せいけい炸薬さくやくだん性能せいのうをフルに発揮はっきできるというみであり、より大型おおがたの120mmほう搭載とうさいしたじゅう戦車せんしゃであるAMX-50火力かりょくめん匹敵ひってきするものであった。しかし、L7ようのHEATだん比較ひかくしてコストがたかいうえに構造こうぞうじょう実質じっしつてき弾頭だんとう直径ちょっけいちいさくなるために威力いりょくおとる(HEATの威力いりょく弾頭だんとう直径ちょっけい比例ひれい)という本末転倒ほんまつてんとう結果けっかとなり、結局けっきょくAPFSDS装弾そうだんとうづけつばさ安定あんていてっかぶとだん)も開発かいはつされ積載せきさいされた。砲塔ほうとうないにはエアコンプレッサーブロアー搭載とうさいしており、発砲はっぽう排煙はいえんそうやく残滓ざんし排出はいしゅつはこれによるこうあつ送風そうふうおこない、主砲しゅほう排煙はいえん装備そうびされていない。

ふく武装ぶそうとして主砲しゅほう並置へいちするかたちで12.7mmじゅう機関きかんじゅう改良かいりょうがたのB2は20mm機関きかんほう)を装備そうびする。この機関きかんじゅうしょ外国がいこく一般いっぱんてき戦車せんしゃ同軸どうじく機関きかんじゅうことなり、主砲しゅほう上下動じょうげどう同調どうちょうさせるほかに、独立どくりつして俯仰ふぎょうかくることができる(-8~+20、独立どくりつして動作どうささせた場合ばあいは+40まで)。これは、対空たいくう射撃しゃげき使用しようすること念頭ねんとういたためである。また、くるまちょうよう展望てんぼうとうには7.62mm機関きかんじゅう装備そうびしている。

1962ねんから標準ひょうじゅん戦車せんしゃ西にしドイツ・フランス両国りょうこくイタリアくわえたさんカ国かこくによる共同きょうどう試験しけんはじまり、イタリアはこの試験しけん結果けっかから導入どうにゅうする戦車せんしゃ決定けっていするとしていた。どう時期じきにドイツ国内こくないいても西にしドイツせい標準ひょうじゅん戦車せんしゃレオパルト1)の試験しけん開始かいしされており、車体しゃたいそう重量じゅうりょうではフランスせい標準ひょうじゅん戦車せんしゃほうかるかったにもかかわらず、西にしドイツせい標準ひょうじゅん戦車せんしゃほうわずかに加速かそくせい速度そくどっていた。この試験しけん、フランスせい標準ひょうじゅん戦車せんしゃはAMX-30と命名めいめいされ、試験しけん結果けっか満足まんぞくしたフランス陸軍りくぐん1963ねん正式せいしき採用さいよう決定けっていし、西にしドイツでも自国じこくせい標準ひょうじゅん戦車せんしゃ、レオパルトの採用さいよう決定けっていしたため標準ひょうじゅん戦車せんしゃ構想こうそう頓挫とんざしてしまった。

こののち財政難ざいせいなんなどによりAMX-30の量産りょうさん1965ねんまでずれんだが、以降いこう順調じゅんちょう量産りょうさんすすみ、1974ねんまで量産りょうさん続行ぞっこうされた。NATO標準ひょうじゅん戦車せんしゃはレオパルトにうばわれたが、スペインでAMX-30EM2としてライセンス生産せいさんされ、ギリシャキプロスサウジアラビアアラブ首長しゅちょうこく連邦れんぽうカタールベネズエラなどに輸出ゆしゅつされた。現在げんざい改良かいりょうかさねられながら使用しようつづけられ、後継こうけいしゃであるルクレールとも配備はいびされている。

改良かいりょうがた派生はせいがた

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その改良かいりょうおこなわれ、FCS中心ちゅうしん改良かいりょうされたAMX-30B2や輸出ゆしゅつけに改良かいりょうされたAMX-30Sなどの派生はせいがた登場とうじょうした。AMX-30は海外かいがいセールスもおこなわれ、サウジアラビアアラブ首長しゅちょうこく連邦れんぽうなどの中東ちゅうとう諸国しょこく採用さいようされた。

1979ねん開発かいはつ発表はっぴょうされ、1982ねんからフランス陸軍りくぐんわたしが開始かいしされた。166りょう新規しんき生産せいさんされたのにくわえて、既存きそんのAMX-30戦車せんしゃから493りょうがB2仕様しよう改修かいしゅうされた。

主砲しゅほう同軸どうじく装備そうびの12.7mmじゅう機関きかんじゅう20mm機関きかんほう F2(タイプM693)に変更へんこうされ、FCS新型しんがたのCOTAC APXM581 にかわそうし、エンジンとトランスミッションをそれぞれHS110から改良かいりょうがたのHS110-2 水平すいへい対向たいこう12気筒きとうえきひやスーパーチャージド・ディーゼルエンジン出力しゅつりょく700hp)に、トランスミッションを新型しんがたトルクコンバーターきのENC200にかわそうしている。また、NBC防護ぼうご装置そうち強化きょうかされている。ぼうたて装着そうちゃくされていた白色はくしょくこう/赤外線せきがいせんサーチライトてい光量ひかりりょうTVカメラに交換こうかんされている。

後期こうきには夜間やかん暗視装置あんしそうち赤外線せきがいせん投光器とうこうきによるアクティブしきからねつ感知かんちしきのパッシブしきとなっているほか一部いちぶ車両しゃりょう後述こうじゅつ爆発ばくはつ反応はんのう装甲そうこう装着そうちゃく仕様しよう"ブレンヌス"に改修かいしゅうされた。

AMX-30B2 ブレニュス

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1990年代ねんだい中盤ちゅうばん、AMX-30B2に112のGIATせい BS G2 爆発ばくはつ反応はんのう装甲そうこう装着そうちゃくした改良かいりょうがたとして開発かいはつされた。名称めいしょうのブレニュス(Brenus)は、古代こだいガリア人種じんしゅぞくセノネスぞくひきいた族長ぞくちょうブレンヌス由来ゆらいする。

AMX-30B2 ブレニュスはフランス陸軍りくぐんの3戦車せんしゃ連隊れんたいのみに配備はいびされた。1つはだい7機甲きこう旅団りょだん所属しょぞくだい1=だい2りょうへい連隊れんたいで、この戦車せんしゃ連隊れんたいはフランス陸軍りくぐん即応そくおう部隊ぶたい構成こうせいする部隊ぶたいひとつである。運用うんよう部隊ぶたいだい2竜騎兵りゅうきへい連隊れんたい、およびだい5竜騎兵りゅうきへい連隊れんたい英語えいごばんフランス語ふらんすごばんで、これらの部隊ぶたいのAMX-30 B2には必要ひつようおうじて爆発ばくはつ反応はんのう装甲そうこう装着そうちゃくできる状態じょうたい改修かいしゅうおこなわれたが、実際じっさいにERAを装着そうちゃくした状態じょうたい運用うんようされたかは不明ふめいである。

輸出ゆしゅつ専用せんようにAMX-30を発展はってんさせたかた。AMX-30の車体しゃたい砲塔ほうとう全面ぜんめんてきあらため設計せっけいし、ふくあい装甲そうこう付与ふよしたうえ新型しんがたFCS搭載とうさいした。1979ねんからセールスが開始かいしされたが、1りょうれず試作しさくのみにわった。

AMX-32とおなじくAMX-30を改良かいりょうルクレールおなじ120mmすべり腔砲F1を搭載とうさいしたかた1980年代ねんだいはじめから計画けいかくされ、1985ねんまでに試作しさくしゃ完成かんせいしたが、これも受注じゅちゅうがなく試作しさくのみにわった。

その派生はせいがた

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戦車せんしゃがた以外いがいにも、AMX-30のシャーシ利用りようした装甲そうこう回収かいしゅうしゃかたであるAMX-30Dや装甲そうこう工兵こうへいしゃかたのAMX-30 EBG (Engin Blindé du Génie)、地雷じらい処理しょりしゃがたのAMX-30 EBD (Engin Blindé de Déminage)、155mm榴弾りゅうだんほう搭載とうさいしたAuF1 155mmはし榴弾りゅうだんほうローランドはし対空たいくうミサイルシステムを搭載とうさいした対空たいくう車両しゃりょうなどが存在そんざいする。

採用さいようこく

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その

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AMX-30にはルクレールよう愛称あいしょうあたえられることかったが、1960年代ねんだいにAMX-30のプラモデル発売はつばいした日本にっぽんのプラモデルメーカーは、当時とうじ購買こうばいしゃである子供こどもわかりやすいようにと、独自どくじ愛称あいしょうをAMX-30にあたえていた。具体ぐたいてきものとしては、タミヤの「ナポレオン」、ニチモの「フランス」などがある。

登場とうじょう作品さくひん

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映画えいが

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ジャッカルの
フランス陸軍りくぐん所属しょぞく車両しゃりょう登場とうじょうパリ解放かいほう記念きねん式典しきてんパレード参加さんかしている。
作中さくちゅうでは、実際じっさいのパレードに参加さんかする実物じつぶつ撮影さつえいした映像えいぞううつされている。
TAXi2
フランス陸軍りくぐんのB2がた登場とうじょう主人公しゅじんこう彼女かのじょ父親ちちおやであるベルティノー将軍しょうぐんからの要請ようせいけ、防衛庁ぼうえいちょう長官ちょうかん誘拐ゆうかいしてにちふつ調印ちょういんしき妨害ぼうがい国交こっこう断絶だんぜつ画策かくさくするヤクザ逮捕たいほすべく出動しゅつどうし、主人公しゅじんこうたちと協力きょうりょくしてヤクザのランエボVI包囲ほういする。
撮影さつえいには、フランス陸軍りくぐん全面ぜんめん協力きょうりょく実物じつぶつ使用しようされている。
World of Tanks
フランスちゅう戦車せんしゃとして開発かいはつ可能かのう
Warthunder
フランス陸軍りくぐんのランクVちゅう戦車せんしゃとして1972ねんがた開発かいはつ可能かのう
ブルーアーカイブ -Blue Archive-
ゲームないPVに登場とうじょう路肩ろかた駐車ちゅうしゃされており、車体しゃたい前部ぜんぶえる

脚注きゃくちゅう

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出典しゅってん

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  1. ^ The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2023-02-15) (英語えいご). The Military Balance 2023. Routledge. p. 91. ISBN 978-1-032-50895-5 
  2. ^ The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2023-02-15) (英語えいご). The Military Balance 2023. Routledge. p. 81. ISBN 978-1-032-50895-5 
  3. ^ The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2023-02-15) (英語えいご). The Military Balance 2023. Routledge. p. 349. ISBN 978-1-032-50895-5 

関連かんれん項目こうもく

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