M16たい空自くうじはしほう

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M16 MGMC

M16たい空自くうじはしほう(エムじゅうろくたいくうじそうほう、M16 MGMC(Multiple Gun Motor Carriage.「多連装たれんそうはしほう」の)は、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく開発かいはつ生産せいさんされたはししきたい空砲くうほうである。

通称つうしょうは「ミートチョッパー」(meat chopper.「挽肉ひきにく製造せいぞう」の[注釈ちゅうしゃく 1]

とう項目こうもくではおもへいそうとして搭載とうさいされたM45 よん連装れんそう機関きかんじゅうあわせて記述きじゅつする。

概要がいよう[編集へんしゅう]

M3ハーフトラック車体しゃたい後部こうぶに、M45よん連装れんそう対空たいくう機関きかんじゅうけた派生はせいがたで、M13たい空自くうじはしほう後継こうけい車両しゃりょうである。

1940ねん10月、アメリカぐん低空ていくう攻撃こうげきをかけてくるてきたいする対空たいくう兵器へいきとして、M2ハーフトラックM2 12.7mmじゅう機関きかんじゅう2ちょう装備そうびした航空機こうくうきよう旋回せんかい機銃きじゅう搭載とうさい、これをT1づけた。

しかし、これは改良かいりょう余地よちおおきくあり、いくつかの試作しさくかさねたのち独立どくりつした発電はつでんつマークソンしゃ電動でんどうしき旋回せんかい機銃きじゅう搭載とうさいしたものが開発かいはつされ、また、搭載とうさい車体しゃたいもよりひろM3ハーフトラック変更へんこう試作しさくめいT1E4あらたM13 MGMC(Multiple Gun Motor Carriage:多連装たれんそうはしほう)として採用さいようされた。M13はレンドリースようである装甲そうこう材質ざいしつおと廉価れんかばん、M5ハーフトラックを使つかったM14ととも量産りょうさんされたが、M2じゅう機関きかんじゅう2ちょうでは威力いりょく不足ふそくとされ、あらたに4連装れんそうがた試作しさくされた。また、いくつかの試作しさくかさねたのち、マークソンしゃせいM45機関きかんじゅう搭載とうさいされたM3ベースのM16、およびM5ベースのM17として採用さいようされた。M13からもじゅう交換こうかんで628りょう改造かいぞうされ、新規しんき生産せいさんわせ3,505りょう生産せいさんされた。廉価れんかばんのM17も1,000りょう生産せいさんされ、ソ連それん提供ていきょうされた。

M14はイギリス提供ていきょうされていたが、イギリスぐんはこれを不十分ふじゅうぶん兵器へいきであるとしてじゅう撤去てっきょしてしまい、普通ふつう輸送ゆそうもちいM5仕様しようもどしてしまった。また、輸送ゆそうようのM3から改造かいぞうされたM16A1もあり、これは、戦闘せんとうしつじょうはし装甲そうこうりたたみしきになっていないため、じゅう一段いちだんたか位置いち設置せっちしていた。また、一部いちぶのM16は弾倉だんそう交換こうかんしゅまもるために、じゅう左右さゆうに“バットウィング”(Bat Wing. コウモリつばさ、のがた装甲そうこうばん増設ぞうせつしている。

戦後せんご40mm機関きかんほう装備そうびしたM19M42といった本格ほんかくてき対空たいくう戦車せんしゃ採用さいよう引退いんたいし、M1A2 37mm機関きかんほう装備そうびしたM15たい空自くうじはしほうともNATOなど西側にしがわ諸国しょこくに、また、陸上りくじょう自衛隊じえいたいにも1952ねんより168りょう供与きょうよされ、1974ねんまで使用しようされた。

威力いりょく[編集へんしゅう]

M45よん連装れんそう対空たいくう機関きかんじゅう搭載とうさいされたM2じゅう機関きかんじゅう電磁石でんじしゃくしきげきはつ装置そうち装着そうちゃくされている

M2 12.7mmじゅう機関きかんじゅう機関きかんほうことなり、弾頭だんとう炸裂さくれつしない通常つうじょうだんとおるきのえだん曳光弾えいこうだんもちいるため1はつ1はつ威力いりょくおとるものの、4連装れんそうにすることで瞬間しゅんかんてき多数たすう弾丸だんがん最大さいだい2,200はつ/ぶん)をちだすことができ、低空ていくう攻撃こうげきをかける地上ちじょう襲撃しゅうげき急降下きゅうこうか爆撃ばくげきたい弾幕だんまくるのに有効ゆうこうであった。しかし、連合れんごうぐん制空権せいくうけんをほぼ完全かんぜんうばったため対空たいくうようとしての出番でばんすくなく、むしろ、水平すいへい射撃しゃげきによる地上ちじょう支援しえん活躍かつやくした。射程しゃてい貫通かんつうりょくたか12.7mmだん対人たいじんようとして強大きょうだい破壊はかいりょくしめし、距離きょりによってはけい装甲そうこう車両しゃりょう破壊はかいできた。

とく朝鮮ちょうせん戦争せんそうでは、人海じんかい戦術せんじゅつせる中国ちゅうごく人民じんみん志願しがんぐんたいしておおきな効果こうかげた。これが「ミートチョッパー」(挽肉ひきにく製造せいぞう)とばれる由来ゆらいである。

M45機関きかんじゅう[編集へんしゅう]

M45 よん連装れんそう機関きかんじゅう(M45 Quadmount)は、電動でんどう旋回せんかいする銃座じゅうざ左右さゆうM2 12.7mmじゅう機関きかんじゅうたてに2左右さゆうけい4搭載とうさいしたもので、中央ちゅうおう射手しゃしゅ1めい搭乗とうじょうして操作そうさする。じゅう左右さゆう旋回せんかい上下じょうげ俯仰ふぎょう電動でんどうで、左右さゆう360ぜん周旋しゅうせんかい可能かのうであり、-5°から+ 90°の俯仰ふぎょうかくることができる。きゅうだん備砲びほうのM2機関きかんじゅう本体ほんたい機構きこうによってベルトリンクによりおこなわれ、じゅう自体じたいにはりょくによるきゅうだん補助ほじょ装置そうちとうはない。照準しょうじゅん光学こうがく照準しょうじゅんによる目視もくししきである。

M45はM16/M17MGMCのほかにも輸送ゆそうようトラック搭載とうさいされ、ガントラック即席そくせき対空たいくう車両しゃりょうとして使用しようされるれいもあった。だい世界せかい大戦たいせんなかには、GMC CCKW 2.5tトラックに搭載とうさいされたれいがある。ベトナム戦争せんそうでは、M35 2.5tトラックM54 5tトラック、あるいはそう軌車のM548 カーゴキャリア搭載とうさいされ、ガントラックとして輸送ゆそうコンボイの護衛ごえい任務にんむもちいられた。

また、だい大戦たいせんちゅうからトラックなどでM45機関きかんじゅう牽引けんいんできるようトレーラー積載せきさいすることもおこなわれており、重量じゅうりょうのある2じく4りんのM17 トレーラーにM45機関きかんじゅう積載せきさいしたものをM51多連装たれんそう機関きかんじゅうしゃ(M51 Multiple Machine Gun Carriage)、軽量けいりょうな1じく2りんのM20 トレーラーにM45機関きかんじゅう積載せきさいしたものをM55機関きかんじゅうトレーラー(M55 Machine Gun Trailer Mount)と呼称こしょうした[1][出典しゅってん無効むこう]

陸上りくじょう自衛隊じえいたいほんしゃ退役たいえきさせたあとも、このM45機関きかんじゅうM55として警備けいびよう保持ほじしている。また、航空こうくう自衛隊じえいたい基地きち防空ぼうくうよう長年ながねんM55を保有ほゆう運用うんようしてきていたが、後継こうけい機種きしゅであるVADS導入どうにゅうともなすで実戦じっせん運用うんようからははずれており、現在げんざいでは予備よび装備そうびとしての保管ほかんのみとなっている。

なお、M45の備砲びほうとしてのM2機関きかんじゅう電磁でんじソレノイドしきトリガーがたM2E1であるほか通常つうじょうのM2機関きかんじゅう同様どうようだが、だい世界せかい大戦たいせん使つかわれたものでは、バレルジャケットが基部きぶから銃口じゅうこうまであるAN/M2(M2機関きかんじゅう航空機こうくうき搭載とうさいがた)のものに交換こうかんされているれいや、機関きかんじゅうそのものがAN/M2にかわそうされているれい存在そんざいする。

改造かいぞうがた[編集へんしゅう]

イスラエルぐんのTCM-20搭載とうさいがたハーフトラック

イスラエル国防こくぼうぐんは、M45機関きかんじゅうじゅう機関きかんじゅうドラム弾倉だんそうきのHS.404 20mm機関きかんほう2交換こうかんしたものTCM-20対空たいくう機関きかんほうとして使用しようした[2]。M16同様どうよう、TCM-20を歩兵ほへい輸送ゆそうかたM3/M5ハーフトラック搭載とうさいした改造かいぞうはしたい空砲くうほうとしても運用うんようされ、この車両しゃりょうはM16と外見がいけんとなったが、機銃きじゅう左右さゆうそれぞれ1しかないてんや、側面そくめん装甲そうこうばん上端じょうたんりたたみしきになっていないことから判別はんべつできる。

イスラエルではアラブがわから鹵獲ろかくしたソ連それんせいBTR-152装甲車そうこうしゃにも同様どうように、TCM-20機関きかんほう搭載とうさいする改造かいぞうほどこしている。

TCM-20はM45とおなじくレーダーなにたない光学こうがく目視もくし照準しょうじゅんしき旧式きゅうしき兵器へいきではあったが、だいよん中東ちゅうとう戦争せんそうでは26撃墜げきついしている。

登場とうじょう作品さくひん[編集へんしゅう]

映画えいが[編集へんしゅう]

戦国せんごく自衛隊じえいたい
APC」の名称めいしょうM3ハーフトラック出演しゅつえんしているが、これは、実際じっさいにはM16のM45よん連装れんそう対空たいくう機関きかんじゅう撤去てっきょした車両しゃりょうあらたに12.7mmじゅう機関きかんじゅうM2プロップガン設置せっちしたかたである。この車両しゃりょう側面そくめんをよくると戦闘せんとうしつじょうはし装甲そうこうりたたみしきになっているのがほどけるため識別しきべつできる。このM16改造かいぞう装甲車そうこうしゃは『皇帝こうていのいないはちがつ』や『首都しゅと消失しょうしつ』でも使用しようされた。

なお、M45 4連装れんそうじゅう単体たんたいでもいくつかの映像えいぞう作品さくひん登場とうじょうしている。その形状けいじょうからドイツの2cm Flakvierling38 よん連装れんそう対空たいくう機関きかんほう見立みたてられて登場とうじょうしている作品さくひんもあり、『空軍くうぐんだい戦略せんりゃく』や『史上しじょう最大さいだい作戦さくせん』などにドイツぐんたい空砲くうほうとして登場とうじょうしている。

漫画まんが[編集へんしゅう]

ゲート 自衛隊じえいたい かれにて、たたかえり
漫画まんがばんにM55が登場とうじょうとく派遣はけんされた自衛隊じえいたい配備はいびされている。

小説しょうせつ[編集へんしゅう]

征途せいと
M45が登場とうじょうヴェトナムに派遣はけんされた海上かいじょう自衛隊じえいたい河川かせん舟艇しゅうていたいPBR河川かせん舟艇しゅうてい)が武装ぶそうひとつとして搭載とうさいしている。
『パラレルワールド大戦たいせんそう
豊田とよだ有恒ありつね小説しょうせつ松代まつだい大本営だいほんえいあとしょうじたタイムトンネルをかいして自衛隊じえいたいが1945ねん日本にっぽんへと派遣はけんしており、飛来ひらいするべい軍機ぐんき迎撃げいげきする。

ゲーム[編集へんしゅう]

IL-2 Sturmovik 1946
プレイヤーが操作そうさできないAI専用せんよう地上ちじょう対空たいくう兵器へいきとして、M16やM55機関きかんじゅうトレーラーが登場とうじょうする。
R.U.S.E.
アメリカはしたい空砲くうほうとして登場とうじょう
War Thunder
アメリカのはししきたい空砲くうほうとしてM16 MGMC、M13 MGMCが登場とうじょう。また中国ちゅうごくツリーにCCKW 353(M45)が登場とうじょう。アップデートDirect Hitで日本にっぽんツリーにもM16 MGMCが追加ついかされた。
グランド・セフト・オートV
M51をモデルにしたとおぼしき「対空たいくうトレーラー (Anti-Aircraft Trailer)」という兵器へいきがオンラインで登場とうじょう
コール オブ デューティ2 ビッグ レッド ワン
トータル・タンク・シミュレーター
アメリカのはししきたい空砲くうほうM16として登場とうじょう

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ M16 MGMCは時折ときおり「スカイクリーナー」と呼称こしょうされているが、「スカイクリーナー」というのはタミヤ模型もけい発売はつばいした1/35プラモデルキットにけた商品しょうひんめいである

出典しゅってん[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]