Bv.206

Bv.206(スウェーデン語ご: Bandvagn 206)は全ぜん地形ちけいに適応てきおうした装そう軌式しきの関節かんせつ連結れんけつ型がたトレーラー車両しゃりょうである。

現在げんざいBAEシステムズ・ランド&アーマメンツの傘下さんか企業きぎょうとなっているヘグランド（英語えいご版ばん）がスウェーデン陸軍りくぐんのために開発かいはつした。

本ほん車しゃの構成こうせいは2部ぶのユニットからなり、4基き設もうけられているすべての走行そうこう装置そうちが動力どうりょくを配分はいぶんされている。前方ぜんぽう車両しゃりょうに6人にん、後方こうほう車両しゃりょうに11人にんを乗のせ、総員そういん17人にんを輸送ゆそう可能かのうであり、後方こうほう車両しゃりょうは救護きゅうごユニットなど異ことなる用途ようとに転用てんようされることもある。

本ほん車しゃは11,000両りょう以上いじょうが生産せいさんされ、世界せかい37カ国かこく以上いじょうで利用りようされている。

概要がいよう

Bv.206全ぜん地形ちけい装そう軌車両しゃりょうの開発かいはつは1974年ねんに始はじまった。3系統けいとうの試験しけん車両しゃりょうが1976年ねんから1978年ねんの間あいだに製造せいぞうされ、最初さいしょの量産りょうさん型がたは1980年ねんにスウェーデン防衛ぼうえい局きょくに引ひき渡わたされた。

Bv.206は先代せんだいのボルボBv.202（英語えいご版ばん）と同様どうように、雪上せつじょうやスウェーデン北部ほくぶの泥炭でいたん地ちでの兵員へいいんと装備そうびの輸送ゆそうのために設計せっけいされた。車両しゃりょうは前後ぜんごに分割ぶんかつされ関節かんせつ部ぶで繋つながっており、軽かるい車体しゃたいと幅はばが広ひろいゴム履くつ帯たいによって低ひくい接地せっち圧あつを実現じつげんしている。この低ひくい接地せっち圧あつ（英語えいご版ばん）によって、柔やわらかい雪ゆきでも沈しずむことなく移動いどうするため悪条件あくじょうけん下かの地形ちけいでも接地せっちの維持いじを可能かのうとしている。車体しゃたいはグラスファイバー製せいで水陸すいりく両用りょうようとなっており、水上すいじょうを装そう軌によって時速じそく4.7kmで推進すいしんできる。

総そう搭載とうさい重量じゅうりょうは2,250kgで、駆動くどうさせる合計ごうけい重量じゅうりょうが2,500kgまでであれば、後方こうほう車両しゃりょうのさらに後部こうぶでの牽引けんいんが可能かのうである。

Bv.206は小型こがたユニット支援しえん車両しゃりょう(SUSV)としても知しられ、アメリカでは"susvee"として知しられる。アメリカ軍ぐんでは派生はせい型がたとして救急きゅうきゅう車しゃ版ばん、平台ひらだい輸送ゆそう車しゃ版ばん、作戦さくせん本部ほんぶ版ばん、スタンダードモデルなどが配備はいびされている。アメリカ軍ぐんモデルは1997年ねんからメルセデス製せい6気筒きとうディーゼルエンジンとノンハロン消火しょうかシステム（英語えいご版ばん）が搭載とうさいされている。これは、前方ぜんぽう車両しゃりょうに火災かさいが発生はっせいしたことが数すう件けんあったためである。

その他たの利用りよう機関きかんには、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくとオーストラリアの南極なんきょく調査ちょうさ組織そしき、またイギリス、アイスランド、カナダの捜索そうさく救難きゅうなんサービス等とうが存在そんざいする。また、オーストラリアの高山たかやま地域ちいきにおける捜索そうさく救難きゅうなんサービスにも利用りようされている。

なお、カナダ軍ぐんがアナコンダ作戦さくせん（英語えいご版ばん）中なかに戦闘せんとうに利用りようしている。シンガポール陸軍りくぐんもBv.206と国産こくさんの同型どうけい車両しゃりょうブロンコATTC（英語えいご版ばん）を利用りようしており、近年きんねんシンガポール民間みんかん防衛ぼうえい軍ぐんに消防しょうぼうプラットフォームとして利用りようするために輸送ゆそうしている。

退役たいえきした車両しゃりょうは民間みんかんに引ひき取とられた後のち、移動いどう用よう車両しゃりょうとして前後ぜんごに分わけられ、特とくにカナダのアルバータ州しゅうでは遠方えんぽうの油井ゆせいへの移動いどうなどに使つかわれ、切断せつだんされた車両しゃりょうが植林しょくりん等ひとしにも利用りようされている。

派生はせい型がた

Bv 206A: Bv206Aは救急きゅうきゅう車しゃ版ばん。後方こうほう車両しゃりょうに担架たんかを運はこび入いれることが可能かのうである。

Bv 206F: BV206Fは消防車しょうぼうしゃ版ばん。

RaBv 2061: RaBv 2061は通信つうしん・司令しれい版ばん。通信つうしん装置そうちや士官しかんの指令しれい所用しょようとして改修かいしゅうされている。

PvBv 2062: PvBv 2062はオープントップ版ばん。90mmPvpj 1110（英語えいご版ばん）無む反動はんどう対戦たいせん車しゃ砲ほうで武装ぶそうしている。

PvBv 2063: PvBv 2063は2062版はんと類似るいじしている。しかしBGM-71 TOW (Rbs 55)やBILL（英語えいご版ばん）(Rbs 56)などの対戦たいせん車しゃミサイルに適合てきごうしている。

Bv 206D/Bv 206S

Bv206D/Sは装甲そうこう兵員へいいん輸送ゆそう車しゃ版はんであり、小型こがた火器かきの攻撃こうげきから乗員じょういんを防護ぼうご可能かのうである。

この形式けいしきはフランス陸軍りくぐん、ドイツ陸軍りくぐん(379両りょうのBv206D/S)、スペイン陸軍りくぐん、オランダ海軍かいぐん、イタリア陸軍りくぐん(189両りょう)、スウェーデン陸軍りくぐん(50両りょう)、シンガポール陸軍りくぐん(300両りょう)などが採用さいようしており、シンガポール陸軍りくぐんはこの車両しゃりょうでブロンコ全ぜん地形ちけい装そう軌車両しゃりょう（英語えいご版ばん）を置おき換かえている。

本ほん車しゃは6気筒きとう、出力しゅつりょく130kWのシュタイアー（英語えいご版ばん）M1-"Monoblock"エンジンを利用りようしており^[1]、車両しゃりょうは運転うんてん手しゅのほかに前部ぜんぶ車両しゃりょうに4人にん、後部こうぶ車両しゃりょうに8人にんを乗のせ、合計ごうけい12人にんの戦闘せんとう装備そうび部隊ぶたいを輸送ゆそう可能かのうである。またBv.206SはCH-47、CH-53Eでの懸架けんか輸送ゆそうや、C-130による空輸くうゆが可能かのうである。

アフガニスタンでのアナコンダ作戦さくせんに参加さんかしているカナダ兵へいは、難なん地ちを越こえられるこの車両しゃりょうをうまく利用りようし、完全かんぜん戦闘せんとう装備そうびで荒あれた山岳さんがく地形ちけいを越こえ、高地こうちを徒歩とほで移動いどうする際さいに生しょうじただろう消耗しょうもうを避さけることができた。

BvS 10

詳細しょうさいは「BvS 10」を参照さんしょう

BvS10（英語えいご版ばん）は出力しゅつりょく200kW、6気筒きとうのシュタイアー（英語えいご版ばん）M1エンジン^[2]を搭載とうさいしたために以前いぜんより長ながさが伸のびている。また本ほん車しゃは、ヘグランドの全ぜん地形ちけい車両しゃりょうに特徴とくちょう的てきな関節かんせつステアリングシステムで連結れんけつされた、トレーラー型がたで完全かんぜん水陸すいりく両用りょうようの装甲そうこう車両しゃりょうである。

元来がんらい、イギリス海兵かいへい隊たいコマンド部隊ぶたいのために設計せっけいされ、全ぜん地形ちけい車両しゃりょう(装甲そうこう)、ATV(P)バイキングと名なづけられた。イギリス海兵かいへい隊たい装甲そうこう支援しえん群ぐん（英語えいご版ばん）やオランダ海兵かいへい隊たいなどで利用りようされており、フランス陸軍りくぐんも130両りょうを注文ちゅうもんしている。

性能せいのう類似るいじ車両しゃりょうとの比較ひかく
	AAV7	BMP-3F	ZBD-05	EFV	BvS10（英語えいご版ばん）
画像がぞう
全長ぜんちょう	8.16 m	7.14 m	9.5 m	9.27 m	7.6 m
全幅ぜんぷく	3.26 m	3.23 m	3.36 m	3.63 m	2.34 m
全ぜん高こう	3.31 m	2.30 m	3.04 m	3.31 m	2.2 m（前方ぜんぽう車両しゃりょう） 2.1 m（後方こうほう車両しゃりょう）
重量じゅうりょう	25.6 t	23.0 t	26.0 t	28.7 t	5.0 t（前まえ） 3.5 t（後ご）
最大さいだい出力しゅつりょく	400 hp	500 hp	550 hp （水上すいじょう時じは1,475 hp）	851 hp （水上すいじょう時じは2,703 hp）	285 hp
最高さいこう速度そくど	72 km/h	70 km/h	65 km/h	72 km/h	65 km/h
水上みずかみ速度そくど	13 km/h	10 km/h	20-30 km/h	46 km/h	5 km/h
乗員じょういん数すう	3+25名めい	3+7-9名めい	3+8名めい	3+17名めい	1+4名めい（前まえ）、8名めい（後ご）
武装ぶそう	40mm自動じどう擲弾銃じゅう×1 12.7mm重じゅう機関きかん銃じゅう×1	7.62mm機関きかん銃じゅう×3 30mm機関きかん砲ほう×1 100mm低圧ていあつ砲ほう2A70×1 9M117 ATM（砲ほう発射はっしゃ式しき）	30mm機関きかん砲ほう×1 紅べに箭や73CATM発射はっしゃ機き×2 7.62mm機関きかん銃じゅう×1	30mm機関きかん砲ほう×1 7.62mm機関きかん銃じゅう×1	12.7mm重じゅう機関きかん銃じゅう×1
備考びこう		海軍かいぐん歩兵ほへい仕様しよう	火力かりょく支援しえん型がたなどの派生はせい型がたが存在そんざい	2011年ねん開発かいはつ中止ちゅうし	Bv.206の海兵かいへい隊たい仕様しよう 2両りょう連結れんけつ式しき

その他たの派生はせい型がた

その他た、迫撃はくげきランチャー、物資ぶっし輸送ゆそう、燃料ねんりょう輸送ゆそう、レーダー、指令しれい所しょ型がた、無線むせん中継ちゅうけい型がたなどさまざまな派生はせい型がたが存在そんざいし、顧客こきゃくの要求ようきゅうに応おうじたカスタマイズが容易よういに行おこなえる。

原型げんけいの仕様しよう

エンジン: 2.8L 99kW フォード・ケルンV6（英語えいご版ばん）
ギアボックス: MB W 4A-018 オートマチックトランスミッション
重量じゅうりょう: 4,500キログラム (9,900 lb)
搭載とうさい量りょう: 2,240 kg (前部ぜんぶ車両しゃりょう630 kg、トレーラー車両しゃりょう1,610 kg)
長ながさ: 6.9 m
広ひろさ: 1.87 m
高たかさ: 2.4 m

画像がぞう

雪上せつじょう移動いどう中ちゅうのノルウェー陸軍りくぐんのBv.206
Bv 206の側面そくめん図ず。
装甲そうこう型がたのBv206S救急きゅうきゅう車しゃ、ドイツ軍ぐんの所属しょぞく車輌しゃりょう。
ドイツ軍ぐんのCH-53で輸送ゆそうされるBv206D。
Bv206の後方こうほう車両しゃりょうに搭載とうさいされた迫撃はくげき砲ほうを撃うつイギリス海兵かいへい隊たい

運用うんよう者しゃ

Bv.206は南極なんきょく、ブラジル、カナダ、チリ、中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、アイルランド、イスラエル、イタリア、リトアニア、ラトビア、マレーシア、メキシコ、オランダ、ノルウェー、パキスタン、シンガポール、大韓民国だいかんみんこく、スペイン、スウェーデン、イギリス、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくなどで利用りようされている。

日本にっぽんでも1994年ねん頃ごろから航空こうくう自衛隊じえいたいが大型おおがた雪上せつじょう輸送ゆそう車しゃ（型式けいしき：Bv206J-01/02）として配備はいびを開始かいし、2016年ねん時点じてんでは4両りょうが佐渡さど分ぶん屯たむろ基地きち第だい46警戒けいかい隊たいで運用うんようされていたが、2021年ねんまでに全車ぜんしゃが退役たいえきしている。^[3]また国土こくど交通省こうつうしょうでも導入どうにゅうされている。

脚注きゃくちゅう

^ BAE Haegglund Bv206 M16 TCI HD: Steyr-Motors.com
^ BAE Haegglund BVS 10 M16 SCI: Steyr-Motors.com
^ アーカイブ 2016年ねん9月がつ16日にち - ウェイバックマシン

外部がいぶリンク

All Terrain Tracked Carrier
Bv206S at Army-Technology.com
BAE Systems Hägglunds (previously Alvis Hägglunds, before that Hägglunds Vehicle, and in the very beginning Hägglund & Söner)
Video British Bv S10s part of ISAF convoy in southern Afghanistan (source: British Ministry of Defense).
The Polish owner and enthusiast of BV206 and BV202

[1] BAE Haegglund Bv206 M16 TCI HD: Steyr-Motors.com

[2] BAE Haegglund BVS 10 M16 SCI: Steyr-Motors.com

[3] アーカイブ 2016年ねん9月がつ16日にち - ウェイバックマシン

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