石神井川しゃくじいがわ

石神井川しゃくじいがわ
練馬ねりま区く石神井しゃくじい町まち1丁目ちょうめと南田中みなみたなか5丁目ちょうめ付近ふきん。
水系すいけい	一級いっきゅう水系すいけい 荒川あらかわ
種別しゅべつ	一級いっきゅう河川かせん
延長えんちょう	25.2 km
流域りゅういき面積めんせき	61.6 km²
水源すいげん	小金井こがねいゴルフ場じょう （小平こだいら市し花小金井南はなこがねいみなみ町まち）
河口かこう・合流ごうりゅう先さき	隅田川すみだがわ （北きた区く堀船ほりふね）
流域りゅういき	東京とうきょう都と

石神井川しゃくじいがわ（しゃくじいがわ）は、東京とうきょう都とを流ながれる一級いっきゅう河川かせんである。荒川あらかわ水系すいけいの支流しりゅうの一ひとつ。流りゅう路ろ延長えんちょう25.2 km、流域りゅういき面積めんせき61.6 km²。

地理ちり

東京とうきょう都と小平こだいら市し花小金井南はなこがねいみなみ町まちに源みなもとを発はっし、東京とうきょう都と北部ほくぶを東ひがしへ流ながれて北きた区く堀船ほりふね三さん丁目ちょうめで隅田川すみだがわに合流ごうりゅうする。東京とうきょう都と小平こだいら市し、西東京にしとうきょう市し、練馬ねりま区く、板橋いたばし区く、北きた区くを経へる。

上うえ流域りゅういき

小平こだいら市し花小金井南はなこがねいみなみ町まちにある小金井こがねいカントリー倶楽部くらぶ敷地しきち内ないの湧水わきみずを水源すいげんとし、一級いっきゅう河川かせん起点きてんは「左岸さがん:小平こだいら市し花小金井南はなこがねいみなみ町まち三さん丁目ちょうめ1218番地ばんち先さき、右岸うがん:同市どうし同町どうちょう三さん丁目ちょうめ1217番地ばんち先さき」（住居じゅうきょ表示ひょうじでは「小平こだいら市し花小金井南はなこがねいみなみ町まち三さん丁目ちょうめ2番地ばんち先さき」）で、小金井こがねい公園こうえん北端ほくたんの公園こうえん北きた橋きょうに上流じょうりゅう端はし標識ひょうしきがある。河川かせんとしての流りゅう路ろはさらに西にしに遡さかのぼり、嘉悦かえつ大学だいがく敷地しきち内ないに伸のびている。また、小平こだいら市し公共こうきょう下水道げすいどうの雨水あまみず管かん路ろが、後述こうじゅつするかつての水源すいげん地ち一帯いったいからの雨水あまみずを上流じょうりゅう端はしに排除はいじょしている。

同どうゴルフ場じょうから西東京にしとうきょう市しの南みなみを流ながれる。小平こだいら市し・西東京にしとうきょう市しを通とおる上流じょうりゅう部ぶは湧水わきみずのみによって涵養かんようされる小しょう河川かせんであり、梅雨つゆ時じや大雨おおあめのときを除のぞいて、全まったく水みずがないか水溜みずたまりになっていることが多おおく、練馬ねりま区くに入はいるまで大だい部分ぶぶんは暗渠あんきょや柵しがらみ渠みぞとなっている。西東京にしとうきょう市しでは、1980年ねん度どに芝久保しばくぼ調整ちょうせい池ちおよび南町みなみまち調整ちょうせい池ち、1983年ねん度どに向台むかえだい調整ちょうせい池ちが設もうけられ、増水ぞうすい時じに川かわの水みずを貯留ちょりゅうする。

東伏見ひがしふしみ稲荷いなり神社じんじゃに近ちかい東伏見ひがしふしみ橋きょうから武たけ蔵関くらせき公園こうえんまでは緩なる傾斜けいしゃ護岸ごがん化かされ、開放かいほう的てきな遊歩道ゆうほどうになっている。東伏見ひがしふしみ橋きょうと弥生やよい橋きょう（東伏見ひがしふしみ駅えき、早大そうだい東伏見ひがしふしみキャンパス近ちかく）の近ちかくは川かわに入はいって遊あそべる「石神井川しゃくじいがわ親水しんすい広場ひろば」（東伏見ひがしふしみ公園こうえん区域くいき内ない）として整備せいびされており、梅雨つゆ時じなどは水鳥みずとりが泳およぐのも確認かくにんできる。

中ちゅう流域りゅういき

石神井川しゃくじいがわの整備せいび事業じぎょう、扇橋おうぎばし（新しん青梅おうめ街道かいどう)から下流かりゅう（愛宕あたご橋きょうなど）を望のぞむ。上石神井かみしゃくじい駅えきから近ちかく

練馬ねりま区くに入はいると、武たけ蔵関くらせき公園こうえん辺あたりから同どう公園こうえんの富士見ふじみ池ち、石神井公園しゃくじいこうえんの三宝さんぼう寺池てらいけと石神井しゃくじい池ち、豊島園としまえん池いけなどの湧水わきみずや河床かしょうからの湧水わきみずが合あわさるため、涸かれ川かわは見みられなくなる。武たけ蔵関くらせき公園こうえんでは駅前えきまえの市街地しがいちのため、狭隘きょうあいな流りゅう路ろが続つづく。富士見ふじみ池ちでは湧水わきみずが減少げんしょうし、地下水ちかすいの揚水ようすいなどによって池いけの水みずが維持いじされており、わずかな溢水いっすいが石神井川しゃくじいがわに流入りゅうにゅうしている。富士見ふじみ池ちはまた調整ちょうせい池ちの役割やくわりも果はたし、水害すいがい防止ぼうしのため、富士見ふじみ池ち調整ちょうせい池ち（練馬ねりま区く関町北せきまちきた三さん丁目ちょうめ）が1973年度ねんどに建設けんせつされた。また城北しろきた中央ちゅうおう公園こうえんにも城北しろきた中央ちゅうおう公園こうえん調節ちょうせつ池ちが整備せいびされている。

三宝さんぽう寺池てらいけは井いの頭かしら池ちや善福寺ぜんぷくじ池ちとならぶ武蔵野台むさしのだい地ちの3大だい湧水わきみず池ちとして知しられ、かつては石神井川しゃくじいがわの主しゅ水源すいげんで、現在げんざいの和田わだ前ぜん歩道橋ほどうきょう（南田中みなみたなか団地だんち前まえ）の近ちかくで合流ごうりゅうしていた。三宝さんぼう寺池てらいけは湧水わきみずが減少げんしょうしたため、1971年ねんに190mの深ふか井戸いどが掘ほられ地下水ちかすいをポンプで揚水ようすいして補給ほきゅうしている。

石神井しゃくじい池ちは元もとは三宝さんぼう寺池てらいけから東ひがし流りゅうする流ながれ（三宝さんぽう寺川てらがわ）の低地ていちで、流ながれは石神井川しゃくじいがわに合流ごうりゅうし、低地ていちは水田すいでんなどになっていた。その後ご、流量りゅうりょうの減少げんしょうで1933年ねんに途中とちゅうで堰せき止とめ池ちとした。1959年ねん、二ふたつの池いけを中心ちゅうしんに石神井公園しゃくじいこうえんとして整備せいびした。三宝さんぼう寺池てらいけからの湧水わきみずがほとんど期待きたいできなくなった1958年ねんには石神井しゃくじい池ちも深ふか井戸いどを掘ほり揚水ようすいしている。下流かりゅうの水路すいろも湧水わきみずの枯渇こかつで消失しょうしつしていたが、1982年ねんに地上ちじょうを和田わだ堀ほり緑地りょくちとして公園こうえん化かして、川かわだった記憶きおくを留とめるためにミニ橋きょうなども整備せいびされている。夏季かきのみ石神井しゃくじい池ちの水みずをろ過かして流ながし、最後さいごは下水道げすいどうに流入りゅうにゅうしている。

玉川上水たまがわじょうすいからの分水ぶんすいである千川せんかわ上水じょうすいは水量すいりょうが常つねに不足ふそくしていたため、この対策たいさくとして、石神井川しゃくじいがわの西にし早宮はやみや橋きょう付近ふきんで揚水ようすいし、豊島園としまえん通どおりの下したを通とおり、練馬ねりま駅えき大だい踏切ふみきり（当時とうじ）西側にしがわを経へて、千川せんかわ上水じょうすいに揚水ようすい弁べんを設もうけ流入りゅうにゅうさせていた（千川せんかわ上水じょうすいへの揚水ようすい）。水路すいろは、1942年ねん-1943年ねんころに暗渠あんきょとなった。

下しも流域りゅういき

城北しろきた中央ちゅうおう公園こうえんの途中とちゅうで板橋いたばし区くに入はいり、桜川さくらがわ一いち丁目ちょうめで田柄たがら川がわを合あわせて、川越かわごえ街道かいどう（国道こくどう254号ごう）・旧きゅう川越かわごえ街道かいどう・東武とうぶ東上とうじょう線せん・中山道なかせんどうを横断おうだんし、JR埼京線さいきょうせん（線路せんろ名称めいしょう上じょうは赤羽線あかばねせん）を潜もぐって北きた区くに入はいる。その後ご、京浜東北線けいひんとうほくせん（線路せんろ名称めいしょう上じょうは東北本線とうほくほんせん）王子おうじ駅えきの下したを抜ぬけて北きた区く堀船ほりふね三さん丁目ちょうめで隅田川すみだがわに注そそぐ。石神井川しゃくじいがわは金沢かなざわ橋きょう付近ふきん（埼京線さいきょうせんの上流じょうりゅう約やく200 m）から音無おとなし橋きょうにかけて音無おとなし渓谷けいこくと呼よばれる深ふかい谷たにとなっていた。現在げんざい、渓谷けいこく部分ぶぶんはほとんどがコンクリートの垂直すいちょく護岸ごがんとなっていて、屈曲くっきょく部ぶの直線ちょくせん化かや飛鳥山あすかやま隧道すいどう建設けんせつなどの改修かいしゅうによって流りゅう路ろも大おおきく変かわっている。直線ちょくせん化かの結果けっか残のこった旧きゅう流りゅう路ろの一部いちぶは、氷川ひかわ町まちつりぼり公園こうえん・音無おとなしもみじ緑地りょくち・音無おとなしさくら緑地りょくちなどとして整備せいびされている。

変遷へんせん

上うえ流域りゅういき（小平こだいら市し・小金井こがねい市し・西東京にしとうきょう市し）

戦後せんご間あいだもない時期じきの空中くうちゅう写真しゃしんでは、現在げんざいの小平こだいら市し鈴木町すずきちょう一いち丁目ちょうめの鈴木すずき小学校しょうがっこう体育館たいいくかん付近ふきんの谷たに頭部とうぶ（周囲しゅうい標高ひょうこうはおよそ73 m）の湧水わきみずを水源すいげんとする流りゅう路ろが東ひがしへ延のびていた。現在げんざいでも正門せいもん前まえからゴルフ場じょうへ至いたる周囲しゅういとの高低こうてい差さが3 - 4 mほど、距離きょりが400 mほどの小ちいさな谷地やち形がたが東ひがしへ延のび、これは国土こくど地理ちり院いんなどの地形ちけい図ずでも確認かくにんできる。途中とちゅうでゴルフ場じょう「小金井こがねいカントリークラブ」の中なかを通とおるが、ゴルフ場じょうの一部いちぶで川かわが地上ちじょうに露出ろしゅつしていた。しかし2000年代ねんだい初頭しょとう頃ごろに埋うめ立たてられた。

中ちゅう流域りゅういき（練馬ねりま区く）

練馬ねりま区内くないでの石神井川しゃくじいがわは、区くの中央ちゅうおう部ぶやや南みなみ寄よりを東西とうざいへ貫つらぬくよう流ながれている。現在げんざいは河川かせん改修かいしゅうにより、練馬ねりま区内くないをほぼ一直線いっちょくせんに流ながれているが、元々もともとは大おおきく蛇行だこうして流ながれており、そのためこの流域りゅういきは幅広はばひろの氾濫はんらん原ばらとなっていた。

かつて中ちゅう流域りゅういきには関せきの溜井ぬるいと呼よばれる池いけがあった。この池いけは現在げんざい残のこっていないが、武たけ蔵関くらせき公園こうえん内ないにある富士見ふじみ池ちがほぼ同おなじ位置いちに存在そんざいする。

下しも流域りゅういき（板橋いたばし区く・北きた区く）

板橋いたばし区く加賀かが一いち丁目ちょうめ付近ふきん

稲いね付づけ用水ようすい

現在げんざいの板橋いたばし区く常盤台ときわだい1丁目ちょうめ付近ふきんから「中ちゅう用水ようすい」「北きた耕地こうち川がわ」などと呼よばれた用水ようすいが北きたに分岐ぶんきした。かつては稲いね付づけ川かわとも呼よばれたが、現在げんざいはほとんどすべてが暗渠あんきょ化かされている。

谷たに端はし川かわ放水ほうすい路ろ

石神井川しゃくじいがわの南側みなみがわを流ながれていた谷たに端はし川かわは、かつては水道橋すいどうばし付近ふきんで合流ごうりゅうする神田かんだ川がわの支流しりゅうだった。この上流じょうりゅう部ぶの流りゅう路ろが大おおきく蛇行だこうする板橋いたばし大山おおやま付近ふきんでは大雨おおあめによりたびたび氾濫はんらんしていた。この対策たいさくとして1925年ねん、下板橋しもいたばし付近ふきんから中山道なかせんどうの尾根おねの下したを通とおし、北側きたがわの石神井川しゃくじいがわへ向むけて放水ほうすい路ろが開削かいさくされた。

石神井川しゃくじいがわの渓谷けいこく

広重ひろしげ画が「江戸えど名所めいしょ百ひゃく景けい　王子おうじ不動ふどう之の滝たき」。音無おとなし渓谷けいこく沿ぞいの正せい受院境内けいだいから石神井川しゃくじいがわに落おちていた王子おうじ七なな滝たきの1つ（現存げんそんせず）

石神井川しゃくじいがわは現在げんざいの板橋いたばし区く加賀かが付近ふきんから谷たにの底そこを深ふかくして王子おうじへ続つづく蛇行だこうした渓流けいりゅうとなっていた。この渓谷けいこくは「石神井しゃくじい渓谷けいこく」「滝野川たきのがわ渓谷けいこく」「音無おとなし渓谷けいこく」などとよばれていた。滝野たきの川がわの町まち境さかいの北側きたがわが石神井川しゃくじいがわ上じょうから一部いちぶ半円はんえん状じょうに外はずれる部分ぶぶんはかつての流りゅう路ろで、現在げんざい「音無おとなしもみじ緑地公園りょくちこうえん」になっており、江戸えど名所めいしょ図会ずえ『松橋まつはし弁財天べざいてん窟くつ 石神井川しゃくじいがわ』に描えがかれる江戸えどの名所めいしょだった。現在げんざいは川岸かわぎしは整備せいびされてかつての渓谷けいこくの風情ふぜいはない。

王子おうじ石せき堰せき

広重ひろしげ画が「江戸えど名所めいしょ百ひゃく景けい　王子おうじ音無おとなし川がわ堰せき棣 世俗せぞく大瀧おおたきト唱」

江戸えど時代じだいの明あかり暦れき2年ねん（1656年ねん）、永田ながた九郎兵衛くろべえの普請ふしんにより現在げんざいの音無おとなし橋きょう付近ふきんに石積いしつみの堰堤えんてい（石いし堰せき）を設置せっちした。これは、隅田川すみだがわからの海水かいすいの遡上そじょうの防止ぼうしと、旧きゅう石神井川しゃくじいがわ河かわ道どうを流ながれる谷田川やたがわ流域りゅういき（本郷台ほんごうだいと上野台うえのだいとの間あいだ）への利水りすいのためである。石いし樋といを落おちる石神井川しゃくじいがわ本流ほんりゅうは王子おうじの大滝おおたきなどと呼よばれ、王子おうじ七滝ななたきとならぶ名所めいしょとして絵図えずにも書かかれた。堰せきからは用水ようすいが引ひかれ、一方いっぽうは尾久おぎゅう村むらや三河みかわ島村しまむらへ通つう水すいされ（石神井しゃくじい用水ようすい）、もう一方いっぽうは滝野川たきのがわ村むらへ通つう水すいされた（こちらは石神井川しゃくじいがわから流ながれ出でているために「逆川さかがわ」と呼よばれ、醸造じょうぞう試験しけん所しょのあった付近ふきんは「字じ逆ぎゃくサ川前かわまえ」となっていた）。

飛鳥あすか山分やまわけ水路すいろ

かつては音無おとなし渓谷けいこくは王子おうじ駅えき付近ふきんは飛鳥山あすかやま（上野うえの台地だいち）と北側きたがわの王子おうじ稲荷いなりのある高台たかだいとの狭せまい間あいだを通とおって東ひがしへ流ながれていた。

1969年ねん3月がつに完成かんせいした。旧きゅう流りゅう路ろは、音無おとなし親水しんすい公園こうえんとなり、現在げんざいは汲くみ上あげた地下水ちかすいが流ながされている。

この後のち、石神井川しゃくじいがわは王子おうじ駅えきの直下ちょっかを通とおり東側ひがしがわの豊島としまの低地ていちへ抜ぬけて隅田川すみだがわへ注そそいでいる。

下流かりゅうの流りゅう路ろ変遷へんせんについての学説がくせつ

石神井川しゃくじいがわの上流じょうりゅうから王子おうじ付近ふきんまで続つづく谷たに底そこ低地ていちは飛鳥山あすかやまの手前てまえで南みなみへ向むきを変かえ、本郷台ほんごうだいと上野台うえのだいの間あいだの谷田川やたがわが流ながれる谷たに底そこ低地ていちへと地形ちけい的てきに連続れんぞくしている。これらのことから、石神井川しゃくじいがわがかつては谷田川やたがわへと流ながれ路ろを取とっていたが、河川かせん争奪そうだつによって現在げんざいのように隅田川すみだがわへ流ながれるようになったとする説せつが、戦前せんぜんは地形ちけい学者がくしゃの東ひがし木き龍りゅう七なな、戦後せんごは地形ちけい学者がくしゃの貝塚かいづか爽平などによって唱となえられていた。流りゅう路ろ変遷へんせんが起おこった原因げんいんと時期じきについては諸説しょせつある。

縄文じょうもん時代じだいの河川かせん争奪そうだつ説せつ

1976年ねん、東京とうきょう都と土木どぼく技術ぎじゅつ研究所けんきゅうじょの中山なかやま俊雄としおらはボーリング調査ちょうさによる石神井川しゃくじいがわと谷田川やたがわ沿ぞいの地質ちしつ断面だんめん図ずを作成さくせいし、石神井川しゃくじいがわの流りゅう路ろ変遷へんせんを論ろんじた。彼かれらは、谷田川やたがわから不ふ忍にん池ちを経へて昭和しょうわ通どおりにいたる地下ちかに基底きていが-20mに達たっする埋没まいぼつ谷だにが存在そんざいすること、石神井川しゃくじいがわ下流かりゅうの王子おうじから隅田川すみだがわ合流ごうりゅうまでの地下ちかに埋没まいぼつ谷だにが存在そんざいしないこと、流域りゅういきの小ちいさい谷田川やたがわのみで昭和通しょうわとおり谷たにが形成けいせいされたとは考かんがえがたいことを指摘してき。昭和しょうわ通どおり谷たにの形成けいせい時期じきに谷田川やたがわがその上流じょうりゅうで石神井川しゃくじいがわでつながっており、これが石神井川しゃくじいがわの本流ほんりゅうであったと結論けつろんづけた。また、立川たちかわローム層そうを鍵かぎ層そうとした江古田えこだ層そうとの対比たいひより、石神井川しゃくじいがわの王子おうじより上流じょうりゅうの河谷こうだに底そこに堆積たいせきする泥どろ炭層たんそうをサブボレアル期き（4500 - 2500年ねん前まえ）のものとし、音無おとなし渓谷けいこくがこの泥どろ炭層たんそうを開ひらけ析しているように見みえることから、渓谷けいこくの形成けいせい時期じきをサブボレアル期き以後いごとした。

1994年ねん、北きた区く教育きょういく委員いいん会かいの中野なかの守もり久ひさらは石神井川しゃくじいがわの流りゅう路ろ変遷へんせん時期じきを特定とくていするため、現げん・石神井川しゃくじいがわから離はなれてすぐの谷田川やたがわの谷たに底そこ低地ていちにてボーリング調査ちょうさを行おこない、その結果けっかを発表はっぴょうした。彼かれらは山手やまて層そう（本郷ほんごう層そう）の上位じょういに泥どろ炭質たんしつ粘土ねんどからなる沖おき積層せきそうを発見はっけんし滝野川たきのがわ泥どろ炭層たんそうと命名めいめい、¹⁴C年代ねんだい測定そくていによって約やく7400年ねん前まえから約やく1000年ねん前まえまでに堆積たいせきしたものと分わかった。中野なかのらは滝野川たきのがわ泥どろ炭層たんそうは石神井川しゃくじいがわ下流かりゅう部ぶが現在げんざいの流りゅう路ろをとるようになってから、旧きゅう河床かしょうが沼沢しょうたく地ちとなった環境かんきょうで形成けいせいされたと考かんがえた。また、石神井川しゃくじいがわが本郷ほんごう台東たいとう端はしで縄文じょうもん海うみ進すすむ（6500-5500年ねん前まえ）に形成けいせいされた埋没まいぼつ上位じょうい波なみ食しょく台だい（中里なかさと遺跡いせき発掘はっくつの際さいに発見はっけんされた）を侵食しんしょくしていないことなどから、縄文じょうもん海うみ進しん最盛さいせい期きより後のちに河川かせん争奪そうだつが起おこったと推定すいていした。これらのことから、石神井川しゃくじいがわは縄文じょうもん海うみ進しん最盛さいせい期きに本郷台ほんごうだいの崖がけ端はし侵食しんしょくに起因きいんした河川かせん争奪そうだつを起おこし、流りゅう路ろを奪うばわれた谷田川やたがわ上流じょうりゅう部ぶでは沼沢しょうたく地ちとなり滝野川たきのがわ泥どろ炭層たんそうが堆積たいせきし、王子おうじ方向ほうこうへと流出りゅうしゅつした新しん河かわ流りゅうは河床かしょうを深ふかく掘ほり込こんで峡谷きょうこくを作つくった、と結論けつろんづけた。したがって、平川ひらかわ（現げん・神田かんだ川がわ）と同様どうようにそれまでは東京とうきょう湾わんへ注そそいでいた石神井川しゃくじいがわは、現在げんざいの隅田川すみだがわ（荒川あらかわ水系すいけい）へ合流ごうりゅうすることとなった。

北きた区く飛鳥山あすかやま博物館はくぶつかんでは中野なかのらの研究けんきゅう成果せいかに基もとづき、縄文じょうもん時代じだいの河川かせん争奪そうだつ説せつの解説かいせつが展示てんじされている。

中世ちゅうせい以降いこうの人為じんい掘削くっさく説せつ

歴史れきし研究けんきゅう家かの鈴木すずき理り生せいは1978年ねんの自著じちょにおいて、石神井川しゃくじいがわが現在げんざいの石神井しゃくじい川がわと谷田川やたがわに分断ぶんだんされたのは人為じんい的てきな工事こうじの結果けっかであると主張しゅちょうした。鈴木すずきは飛鳥山あすかやま付近ふきんの台地だいちが東ひがしから広義こうぎの利根川とねがわ、西にしから石神井川しゃくじいがわの浸蝕しんしょくを受うけて人為じんい的てきに短絡たんらくしやすい地形ちけいであったこと、「滝野たきの川がわ」という地名ちめいが登場とうじょうするのは13世紀せいき後半こうはんに成立せいりつした『源平げんぺい盛衰せいすい記き』以後いごのことで、正史せいしの『吾妻あづま鏡きょう』には見みられないことなどから、この間あいだに人為じんい的てきな掘削くっさくがあったと推論すいろんした。この工事こうじは、豊島としま氏しによる下町したまち低地ていちへの灌漑かんがい水路すいろの開発かいはつ、または矢野やの氏しによる洪水こうずい防止ぼうしの工事こうじであったと鈴木すずきは推定すいていした。

後ごの2003年ねん、鈴木すずきは著作ちょさく『江戸えど・東京とうきょうの川かわと水辺みずべの事典じてん』の中なかで、上述じょうじゅつの中野なかのらによる自然しぜん現象げんしょう説せつを紹介しょうかいするとともに、再ふたたび人為じんい変更へんこう説せつを主張しゅちょうした。まず鈴木すずきは『源平げんぺい盛衰せいすい記き』に「滝野たきの河かわ」の名前なまえがあるのは、この時期じきにすでに滝たきのような水流すいりゅうで渓谷けいこくができていたと解釈かいしゃくできるとして、この時期じきの工事こうじ説せつは述のべなかった。代かわりに、江戸えど時代じだいに刊行かんこうされた多おおくの地誌ちしで不ふ忍にん池ちとお玉たまが池いけの説明せつめいぶりが不自然ふしぜんである点てん、軍用ぐんよう道路どうろであった岩槻いわつき道どう（現在げんざいの本郷ほんごう通どおり）は石神井川しゃくじいがわをまたぐより台地だいちの縁えん沿ぞいに通とおるほうが自然しぜんである点てんを指摘してきし、江戸えど氏し・太田おおた道灌どうかん・後こう北条ほうじょう氏しあるいは徳川とくがわ氏し初期しょきに江戸えど湊みなとの洪水こうずいを防ふせぐために瀬せ替がえしたと主張しゅちょうした。

古こ石神井川しゃくじいがわとかつての河かわ道どう

最終さいしゅう氷ごおり期きの海うみ退すさ期きにも石神井川しゃくじいがわは存在そんざいし、これを「古こ石神井川しゃくじいがわ」と呼よんでいる。ボーリング調査ちょうさによって、かつての河かわ道どうは不ふ忍にん池ちからほぼまっすぐ南下なんかし、日本橋にほんばし台だい（江戸前えどまえ島とう）の東側ひがしがわをなおも南下なんかし、西側にしがわを並なみ走そうしていた丸まるの内うち谷たに（日比谷ひびや入江いりえ）を刻きざんだ平川ひらかわ（現げん・神田かんだ川がわ）と芝浦しばうら沖おきあたりで合流ごうりゅうしている。これは昭和しょうわ通どおり谷たにと呼よばれている。縄文じょうもん海うみ進すすむ期き、海岸かいがん線せんは現在げんざいのJR王子おうじ駅えき付近ふきんまで迫せまっていたと考かんがえられ、このときまでに昭和通しょうわとおり谷だには海底かいてい谷だにとなって隅田川すみだがわなどからの砂礫されきが埋うめ、再ふたたび海うみ退すさしていくとともに一帯いったいは三角州さんかくすが形成けいせいされたと考かんがえられる。

武蔵野台むさしのだい地ちを流ながれる河川かせんは概おおむね縄文じょうもん海うみ進しん後ごの埋没まいぼつ谷だに上うえの沖積ちゅうせき低地ていちをゆったり流ながれることが多おおい。しかし石神井川しゃくじいがわは例外れいがい的てきに音無おとなし渓谷けいこくのような峡谷きょうこくを形成けいせいして周囲しゅういからいくつもの滝たきを落おとしていた。武蔵野台むさしのだい地上ちじょうでは近世きんせいの人為じんい的てきな掘削くっさくによる神田かんだ川がわ （お茶ちゃの水みず渓谷けいこく）を除のぞき、峡谷きょうこくを形成けいせいしているのは谷沢たにさわ川がわ（等々力とどりき渓谷けいこく）のみしか知しられていない。その成因せいいんと時期じきについては議論ぎろんがあり、谷沢たにさわ川がわと同様どうようにいくつかの仮説かせつが出だされている（前述ぜんじゅつ）。

峡谷きょうこくを形成けいせいするとともに、石神井川しゃくじいがわは王子おうじから東ひがしへ流ながれたため、飛鳥山あすかやまの西側にしがわを南下なんかするかつての河かわ道どうは無能むのう谷だにとなった。

谷田川やたがわ・藍染あいぞめ川かわ

この昭和しょうわ通どおり谷たにには他たの小しょう河川かせんも流ながれていた。すなわち、巣鴨すがも薬園やくえんからの通つう水すい、周辺しゅうへんの谷戸たにとからの湧水わきみずを集あつめた谷田川やたがわ（谷戸たんど川がわとも呼よばれた）などが流ながれていた。江戸えど期きには王子おうじ石せき堰せきからの通つう水すいも合あわせた。下流かりゅうにはかつて谷田川やたがわに架橋かきょうされていた霜降しもふり橋きょう、谷田たにた橋きょうなどの名前なまえが残のこっている。昭和しょうわに入はいって暗渠あんきょ化かされたが、暗渠あんきょ上じょうには染井そめい銀座ぎんざ、田端たばた銀座ぎんざ、霜降しもふり銀座ぎんざが建たって賑にぎわった。谷根たんね千せん（現在げんざいは「よみせ通どおり商店しょうてん街がい」）に入はいると、千駄木せんだぎと谷中たになかの町まち域いき境界きょうかいを流ながれていた。かつて付近ふきんは藍あい染ぞめが盛さかんであった事ことから「藍染あいぞめ川がわ」とも呼称こしょうされた。川かわはいくつかの通つう水すいに分わかれて流ながれており、夏なつには小川おがわを蛍ぼたるが飛とび「蛍川ほたるがわ」と名ながあった。一帯いったいは盆地ぼんちのようになっており、大雨おおあめでたびたび浸水しんすいしていた。1918年ねん、治水ちすい対策たいさくとして谷田川やたがわを分岐ぶんきさせて道灌どうかん山さんの下したを暗渠あんきょで通とおし、JR西日暮里にしにっぽり駅えき付近ふきんから開ひらき渠みぞとして京成けいせい本線ほんせん沿そいに町屋まちやへ向むかう藍染あいぞめ川かわ排水はいすい路ろを通とおした。しかしこの排水はいすい路ろや残のこった川道かわみちも1960年ねんまでには暗渠あんきょ化かされ、現在げんざいは暗渠あんきょ跡あとに藍染あいぞめ川かわ通どおり、藍染あいぞめ川西かわにし通どおりの名なが残のこるのみとなっている。千駄木せんだぎ付近ふきんの暗渠あんきょ道どうは細こまかく蛇行だこうしていることから「へび道どう」の俗称ぞくしょうがある。通つう水すいは不ふ忍にん池ちに注そそいでいた。

忍しのぶ川がわ・姫ひめヶ池ち・鳥越とりごえ川がわ

不ふ忍にん池ちの南東なんとう側がわは、かつて隅田川すみだがわの自然しぜん堤防ていぼうと本郷台ほんごうだい地ちに挟はさまれた後背こうはい湿地しっちで、浅草あさくさの北側きたがわから長ながく伸のびていた千束ちづか池いけや、鳥越とりこしの北きたにあった姫ひめヶ池ちなど葦あしが生はえる水みずはけの悪わるい沼田ぬまた地ちだった。一帯いったいは江戸えど初期しょきから整地せいちが始はじまり、浅草あさくさ御蔵おぐらを造つくる際さいに鳥越とりこし神社じんじゃの丘おかを崩くずしてこれらの沼地ぬまちを埋うめ立たて、旗本はたもと・御家人ごけにんの武家ぶけ屋敷やしきを整備せいびした。吉原よしはら遊廓ゆうかくを新しん吉原よしわらに移転いてんさせたのもこの頃ころである。しかし変かわらず水みずはけは悪わるく、不ふ忍にん池ちからの通つう水すいは「忍しのぶ川がわ」と呼よばれて屋敷やしきの周囲しゅういに掘ほを囲かこみながら東ひがしへ流ながしていた。鳥越とりこし神社じんじゃの南側みなみがわからは「鳥越とりごえ川がわ」と名なを変かえ、途中とちゅうで浅草あさくさ方面ほうめんからの流ながれていた新堀しんぼり川がわ（現在げんざいは暗渠あんきょ化かしており合羽かっぱ橋きょうはその架橋かきょう）と合流ごうりゅうさせて隅田川すみだがわへ流ながしている。途中とちゅうの秋田あきた久保田くぼた藩はん佐竹さたけ氏しの江戸えど屋敷前やしきまえ（現在げんざいの佐竹さたけ商店しょうてん街がいの南側みなみがわ入いり口くち付近ふきん）にはかつて大おおきな堀ほりがあり、「三味線しゃみせん堀ほり」と呼よばれていた。

お玉たまヶ池ち・東堀ひがしほり留とめ川がわ・西堀にしぼり留とめ川がわ

江戸えど時代じだい初期しょきに神田かんだ川がわを開削かいさくして隅田川すみだがわへ流ながす平川ひらかわの瀬せ替がえが行おこなわれ、その南側みなみがわに後背こうはい湿地しっちの名残なごりとして小ちいさな池いけが残のこった（於玉ヶ池ち; 現げん・千代田ちよだ区く岩本いわもと町まち、現存げんそんせず）。また、水運すいうんのための掘割ほりわりとして日本橋にほんばし川がわの中央ちゅうおう区く小舟こぶね町まち付近ふきんから北きたへ向むかって東堀ひがしほり留とめ川がわ・西堀にしぼり留とめ川がわが掘ほられたが、これらはおおよそ昭和通しょうわとおり谷だにの軟弱なんじゃく土壌どじょうに沿そっている。この付近ふきんでは東京とうきょうメトロ日比谷線ひびやせんや昭和しょうわ通どおりのアンダーパスもこの埋没まいぼつ谷だにに沿そって建設けんせつされている。

なお、浜町はまちょう川がわは昭和しょうわ通どおり谷たにの東岸とうがんにあたる浅草あさくさ台だい上うえの掘割ほりわりである。

主おもな支流しりゅう

• 三宝さんぽう寺川てらがわ - 現在げんざいは廃止はいしされ、和田わだ堀ほり緑みどり道どうとなっている。
• 貫井ぬくい川がわ - 全ぜん区間くかん暗渠あんきょ化か。一部いちぶ緑みどり道どうとなっている。
• 田柄たがら川がわ - 全ぜん区間くかん暗渠あんきょ化か。秋あきの陽ひ公園こうえんより下流かりゅうは田柄たがら川がわ緑みどり道どうとなっている。
• エンガ堀ほり
• 稲いね付づけ川かわ - 廃止はいし。

名称めいしょう

ごく最近さいきんまで石神井川しゃくじいがわの本流ほんりゅうは三宝さんぽう寺池てらいけから流ながれ出だす川かわとされ、小金井こがねいからの流ながれは大川おおかわと呼よばれる支流しりゅうであった。しかし、徐々じょじょに流域りゅういきの都市とし化かが進行しんこうし三宝さんぼう寺池てらいけの湧水わきみずが減へると、池いけから合流ごうりゅう点てん（山下やました橋きょう）までの流ながれは三宝さんぼう寺川てらがわと呼よばれるようになり、大川おおかわが石神井川しゃくじいがわ本流ほんりゅうとなる。

石神井川しゃくじいがわの名称めいしょうは、石神井しゃくじい村むらを貫流かんりゅうする川かわだったために村むらの名前なまえにちなんで呼よばれたと言いわれている。石神井しゃくじい村むらの名前なまえは、東日本ひがしにっぽんに多おおいミシャクジ信仰しんこうに類るいする「石神いしがみ」に由来ゆらいし、村むら内ないに昔むかしからあったこの「石神いしがみ」は三宝さんぼう寺池てらいけから出でたとも、井いを掘ほっていたら土中どちゅうから出でたとも伝つたえられる。

石神井川しゃくじいがわは、小平こだいら市し・西東京にしとうきょう市しでは「悪あく水すい」、西東京にしとうきょう市し・練馬ねりま区くの一部いちぶでは「大川おおかわ」、練馬ねりま区く・板橋いたばし区くでは「石神井川しゃくじいがわ」、北きた区くで「音無おとなし川がわ」「王子川おうじかわ」「滝野たきの川がわ」と呼よばれていた。「滝野たきの川がわ」という別称べっしょうは北きた区く滝野たきの川がわの地名ちめいにも残のこっており、近藤こんどう勇いさむの墓所はかしょがある。かつて、この地域ちいきの石神井川しゃくじいがわが「滝たきのように勢いきおいよく川かわの流ながれが激はげしかった」ことに由来ゆらいする。

環境かんきょう・景観けいかん

板橋いたばし十じゅう景けいの一ひとつ、石神井川しゃくじいがわの桜さくら並木なみき。旧きゅう中山道なかせんどう・板橋いたばし付近ふきん。

第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん終戦しゅうせん直後ちょくごは田園でんえんを流ながれる小川おがわであったが、宅地たくち化かに伴ともない汚染おせんが進すすみ、1970年代ねんだい（昭和しょうわ50年ねん前後ぜんこう）にはドブ川かわと化かした。その後ご、流域りゅういきの下水道げすいどう普及ふきゅう率りつが進すすみ、水質すいしつは改善かいぜんされ、晴天せいてん時じであれば水質すいしつは良好りょうこうである。しかし、豪雨ごうう時じなどには下水げすいが排出はいしゅつされるため、水質すいしつは一時いちじ的てきに悪化あっかする。

魚さかなはコイ、アブラハヤ、モツゴなどが生息せいそくし、甲殻こうかく類るいはモクズガニやアメリカザリガニが生息せいそくする。北きた区く王子おうじ付近ふきんの流りゅう路ろ変更へんこうに伴ともない、魚さかなが遡上そじょうできないため、アユなどは確認かくにんされていない。

2009年ねん（平成へいせい21年ねん）3月2日にちには、JR王子おうじ駅えき構内こうないのトイレの汚水おすいが下水道げすいどう工事こうじの不備ふびにより40年ねん以上いじょうにわたって川かわに垂たれ流ながしされており、川かわから発生はっせいする悪臭あくしゅうの一因いちいんとなっていたことが判明はんめいした。

災害さいがい

住宅じゅうたく密集みっしゅう地ちを流下りゅうかするため、集中しゅうちゅう豪雨ごうう時じには氾濫はんらんを発生はっせいさせ地域ちいきに被害ひがいを与あたえてきた。

飛鳥あすか山分やまわけ水路すいろはその流りゅう路ろの狭せまさのため、戦後せんごには板橋いたばし大谷口おおたにぐち付近ふきんでたびたび洪水こうずいがあり、1958年ねんの狩野川かのがわ台風たいふうでは王子おうじ駅えきの改札かいさつ口こうが冠水かんすいするなど北きた区くだけで5000世帯せたいが被害ひがいにあうなど大おおきな被害ひがいを出だした。

1966年ねん（昭和しょうわ41年ねん）の台風たいふう6号ごうによる氾濫はんらんの後のち、三さんか年ねん計画けいかくで改修かいしゅう工事こうじが始はじめられたが用地ようち買収ばいしゅうの難むずかしさから進捗しんちょく状じょう況きょうは遅々ちちとしたものとなった。その後ごも、1時じ間あいだあたり75mmまでの大雨おおあめに耐たえるための拡幅かくふく工事こうじが進すすんでいる。

1978年ねん4月がつ6日にち、 東京とうきょう都と下したで集中しゅうちゅう豪雨ごうう。石神井川しゃくじいがわが大谷おおや口くちで氾濫はんらんして約やく200戸こが床上ゆかうえ浸水しんすい、約やく850戸こが床下ゆかした浸水しんすい。

2010年ねん7月がつ5日にちには、板橋いたばしで午後ごご8時半じはんまでの1時じ間あいだに107ミリの集中しゅうちゅう豪雨ごううを観測かんそくした。この雨あめにより、北きた区く堀船ほりふね周辺しゅうへんにおいて石神井川しゃくじいがわが氾濫はんらん。道路どうろが冠水かんすいし多おおくの乗用車じょうようしゃやトラックが水没すいぼつした。付近ふきんにあった日本にほんたばこ産業さんぎょうの倉庫そうこも浸水しんすいし、従業じゅうぎょう員いん約やく90人にんが一時いちじ出でられなくなったほか、たばこなどの商品しょうひんに大おおきな被害ひがいが出でた。

これら災害さいがいのためハード面めんでの対策たいさくとして防災ぼうさい工事こうじが行おこなわれているが、地価ちかの高騰こうとうなどで進捗しんちょくは思おもわしくなく、北きた区くのようにソフト面めんでの対策たいさくとしてハザードマップの作成さくせいも進すすめられている。

2023年ねん2月がつ16日にちに、都とが水位すいいを計測けいそくし氾濫はんらん危険きけん水位すいいに達たっしたさいに氾濫はんらん危険きけん情報じょうほうを発表はっぴょうする水位すいい周知しゅうち河川かせんから、 気象庁きしょうちょうが降水こうすい量りょうを、都とが水位すいいを予測よそくし、両者りょうしゃが共同きょうどうで最大さいだい1時間じかん以内いないの水位すいい上昇じょうしょうにより氾濫はんらんするおそれがあると判断はんだんできた時点じてんで氾濫はんらん危険きけん情報じょうほうを発表はっぴょうする洪水こうずい予報よほう河川かせんとなった。

橋梁きょうりょう

上流じょうりゅうより記載きさい

小平こだいら市し

• 公園こうえん北橋きたはし（小金井こがねい公園こうえん通どおり）
• 長久保ながくぼ橋きょう（東京とうきょう都道とどう132号ごう小川おがわ山田やまだ無線むせん・鈴木すずき街道かいどう）
• 東京とうきょう都道とどう253号ごう保谷ほうや狭山さやま自然しぜん公園こうえん自転車じてんしゃ道どう線せん

西東京にしとうきょう市し

東伏見ひがしふしみ公園こうえん区域くいき内ない「石神井川しゃくじいがわ親水しんすい広場ひろば」（やよい橋きょうから下流かりゅう方向ほうこう。奥おくは早大そうだい東伏見ひがしふしみ運動うんどう場じょう）

• ともえ橋きょう
• 名称めいしょう不明ふめい
• 名称めいしょう不明ふめい
• 庚申こうしん橋きょう（府中ふちゅう道どう）
• くぬぎ橋きょう（市役所しやくしょ通どおり）
• さつき橋きょう
• 橅橋（港南中央こうなんちゅうおう通どおり）
• けやき橋きょう
• 向台むかえだい橋きょう（向こう台東たいとう通どおり）
• 柏かしわ橋きょう
• すすき橋きょう
• 名称めいしょう不明ふめい
• 名称めいしょう不明ふめい
• 富士見ふじみ橋きょう（東京とうきょう都道とどう12号ごう調布ちょうふ田無たなし線せん・武蔵境むさしさかい通どおり）
• 睦むつみ橋きょう
• 文化ぶんか大橋おおはし
• 文化ぶんか橋きょう
• 菫すみれ橋きょう
• 公園こうえん橋きょう（洪水こうずい調整ちょうせい池ち）
• 蓮華れんげ橋きょう
• 境橋さかいばし（深大寺じんだいじ街道かいどう）
• 川かわ桐きり橋きょう
• 上柳うえやなぎ沢橋さわはし
• 東京とうきょう都道とどう・埼玉さいたま県けん道どう4号ごう東京とうきょう所沢ところざわ線せん (青梅おうめ街道かいどう)
• （名称めいしょう不明ふめい）
• 柳沢やなぎさわ橋きょう
• 坂下さかした橋きょう（伏見ふしみ稲荷いなり通どおり）
• 東伏見ひがしふしみ橋きょう
• 弥生やよい橋きょう（早大そうだい東伏見ひがしふしみキャンパス）
• 下野谷したのや橋きょう（下野谷したのや遺跡いせき公園こうえん）
• 溜ため渕ふち橋きょう（早大そうだい東伏見ひがしふしみキャンパスと武たけ蔵関くらせき公園こうえんとの境さかい）

練馬ねりま区く

• とちの木き橋きょう
• よしきり橋きょう
• 緑みどり橋きょう
• つたや橋きょう
• 武たけ蔵関くらせき公園こうえん橋きょう
• 弁天橋べんてんばし
• 長者ちょうじゃ橋きょう
• 西武新宿線せいぶしんじゅくせん
• 睦むつみ橋きょう歩道橋ほどうきょう
• 若宮わかみや橋きょう
• 関新せきしん橋きょう
• 庚申こうしん橋きょう（関せき町まち庚申こうしん通どおり）
• 稲荷いなり橋きょう
• 日之出ひので橋きょう
• 曙橋あけぼのばし
• 西にし豊城とよき橋きょう
• 豊栄ほうえい橋きょう
• 集つどい橋きょう
• 豊城とよき歩道橋ほどうきょう
• 豊城とよき橋きょう
• 扇橋おうぎばし（新しん青梅おうめ街道かいどう）
• 小しょうヶ谷戸たんど橋きょう
• 愛宕あたご橋きょう（上石神井かみしゃくじい通どおり）
• 栄橋さかえばし
• 上うえ御成橋おなりばし
• 松之木まつのき橋きょう
• 蛍ぼたる橋きょう（井草いぐさ通どおり）
• 茜あかね歩道橋ほどうきょう
• 根ねヶ原ばら橋きょう
• 睦むつみ橋きょう
• 豊島としま橋きょう（旧きゅう早稲田わせだ通どおり）
• 憩いこい橋きょう
• 坂下さかした橋きょう
• 山下やました橋きょう（南田中みなみたなか都営とえい団地だんち）
• 和田わだ前ぜん歩道橋ほどうきょう
• 南田中みなみたなか橋きょう
• 平成へいせいみあい橋きょう（練馬ねりま区立くりつ長光寺ちょうこうじ橋きょう公園こうえん、練馬ねりま区立くりつ元締もとじめ山さんの森もり緑地りょくち）
• 長光寺ちょうこうじ橋きょう（東京とうきょう都道とどう443号ごう南田中みなみたなか町まち旭あさひ町まち線せん (笹目ささめ通どおり)）
• 長光寺ちょうこうじ歩道橋ほどうきょう
• 薬師堂やくしどう橋きょう
• 西武せいぶ池袋いけぶくろ線せん
• 下薬師堂しもやくしどう橋きょう
• 高こう富士ふじ橋きょう
• 富士見ふじみ橋きょう
• 高野橋たかのはし
• すずしろ橋きょう
• 谷原たにはら二之にの橋きょう
• 桜見さくらみ橋きょう
• 谷原たにはら三之さんの橋きょう
• こぶし橋きょう
• 大野おおの橋きょう
• 上新田かみしんでん橋きょう（四よん商しょう通どおり）
• 境橋さかいばし
• 竹橋たけばし
• 練馬ねりま大橋おおはし（東京とうきょう都道とどう8号ごう千代田ちよだ練馬ねりま田無たなし線せん (目白めじろ通どおり)）
• 高松たかまつ橋きょう（東京とうきょう都道とどう311号ごう環状かんじょう八はち号線ごうせん・外回そとまわり）
• 貫井ぬくい橋きょう（東京とうきょう都道とどう311号ごう環状かんじょう八はち号線ごうせん・内回うちまわり）
• 小橋こはし
• 新小しんこ橋きょう
• 道楽どうらく橋きょう
• 神路かみじ橋きょう
• 西田中にしたなか橋きょう
• 田中たなか橋きょう
• 石川いしかわ橋きょう（尾崎おざき豊ゆたか『15の夜よる』の舞台ぶたいになった向山むかいやま公園こうえん近ちかく）
• （この間あいだ、豊島園としまえん）
• 中之なかの橋きょう（豊島園としまえん通どおり）
• 南宮なんぐう橋きょう
• 西にし早宮はやみや橋きょう
• 東山ひがしやま下橋しもはし
• 東中央ひがしちゅうおう橋きょう
• 糀谷こうじや橋きょう
• 大橋おおはし
• 新大橋しんおおはし（東京とうきょう都道とどう442号ごう北町きたまち豊玉とよたま線せん）
• 早宮はやみや橋きょう
• 高こう稲荷いなり橋きょう
• 鎌田かまた橋きょう
• 四よんの宮宿みやじゅく橋きょう
• 丸山まるやま橋きょう
• 正せい久保くぼ橋きょう
• 宮宿みやじゅく橋きょう
• 仲なか羽わ橋きょう
• 羽根はね沢橋さわはし
• 羽根木はねぎ橋きょう
• 開進かいしん橋きょう
• 湿しめ化か味あじ橋きょう
• 羽はね城じょう歩道橋ほどうきょう

板橋いたばし区く

• 栗原くりはら橋きょう
• 茂呂もろ橋きょう
• 桜さくら橋きょう
• 台たい橋きょう
• 宮前みやまえ橋きょう
• 上うえの根橋ねばし（東京とうきょう都道とどう318号ごう環状かんじょう七なな号線ごうせん）
• 小山こやま橋きょう
• 耕こう整せい橋きょう
• 学校がっこう橋きょう
• 山崎やまざき橋きょう
• 上板橋かみいたばし（国道こくどう254号ごう）
• 宿やど橋きょう
• 下しも頭あたま橋きょう
• 間あいだ々下橋しもはし
• 東武とうぶ東上とうじょう線せん
• 中板橋なかいたばし
• 向屋敷むかいやしき橋きょう
• 久保田くぼた橋きょう
• 新西原しんにしはら橋きょう
• 根付ねつけ橋きょう
• 山中さんちゅう橋きょう
• 中根なかね橋きょう
• 双そう栄橋さかえばし
• 西にし堰せき橋きょう
• 堰せきの上うえ橋きょう
• 西宿にしじゅく裏うら橋きょう
• 愛染橋あいせんきょう
• 新しん板橋いたばし（国道こくどう17号ごう (中仙道なかせんどう)）
• 板橋いたばし（旧きゅう中仙道なかせんどう）
• 番場ばんば橋きょう
• 名称めいしょう不明ふめい
• 御成橋おなりばし
• 稲荷いなり橋きょう
• 加賀かがさくら橋きょう
• 加賀かが学園がくえん橋きょう
• 加賀かが二にの橋はし
• 緑みどり橋きょう
• 加賀かが橋きょう
• 加賀かが緑みどり橋きょう
• 金沢かなざわ橋きょう
• 東ひがし橋きょう

北きた区く

• 埼京線さいきょうせん（板橋いたばし区くと北きた区くの境界きょうかい）
• 谷津たにつ橋きょう
• 観音かんのん橋きょう
• 滝野川たきのがわ橋きょう
• 紅葉こうよう橋きょう
• 松橋まつはし
• 音無おとなし橋きょう（東京とうきょう都道とどう455号ごう本郷ほんごう赤羽線あかばねせん ） - 音無おとなし川がわ
• 舟ふね串橋くしはし - 音無おとなし川がわ
• 国道こくどう122号ごう
• 京浜東北線けいひんとうほくせん・宇都宮線うつのみやせん・高崎線たかさきせん・湘南しょうなん新宿しんじゅくライン
• 王子おうじ桜さくら橋きょう
• やり溝みぞ橋きょう
• 堀ほり船橋ふなばし
• 溝田みぞた橋きょう（東京とうきょう都道とどう306号ごう王子おうじ千住せんじゅ夢ゆめの島しま線せん (明治めいじ通どおり)）
• 新柳しんりゅう橋きょう
• 豊ゆたか石橋いしばし
• 新堀しんぼり橋きょう

関連かんれん項目こうもく

• 石神井しゃくじい用水ようすい
• 北きた区く飛鳥山あすかやま博物館はくぶつかん

参考さんこう文献ぶんけん

• 杉本すぎもと苑子そのこ『東京とうきょうの中なかの江戸えど名所めいしょ図会ずえ』北洋ほくよう社しゃ刊かんの復刻ふっこく版ばん、文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう、1991年ねん（原著げんちょ1975年ねん）、73頁ぺーじ。ISBN 4-16-722422-4。 

外部がいぶリンク

• 石神井川しゃくじいがわ流域りゅういき連絡れんらく会かい - 東京とうきょう都と建設けんせつ局きょく
• 王子おうじ七滝ななたき考こう（北きた区く教育きょういく委員いいん会かい） - ウェイバックマシン（2010年ねん1月がつ1日にちアーカイブ分ぶん）
• 鎌田かまた橋きょう付近ふきんの様子ようす（1960年ねん） - 練馬ねりま区役所くやくしょ
• 川かわと水辺みずべを楽たのしむプロジェクト - 石神井川しゃくじいがわの川遊かわあそびイベント実施じっし団体だんたい