過失かしつ運転うんてん致死傷ちししょう罪ざい

過失かしつ運転うんてん致死傷ちししょう罪ざい
法律ほうりつ・条文じょうぶん	自動車じどうしゃの運転うんてんにより人ひとを死傷ししょうさせる行為こうい等とうの処罰しょばつに関かんする法律ほうりつ
保護ほご法益ほうえき	人ひとの生命せいめい・身体しんたい
主体しゅたい	運転うんてん者しゃ
客体かくたい	人ひと
実行じっこう行為こうい	自動車じどうしゃの運転うんてん上じょう必要ひつような注意ちゅういを怠おこたりよって人ひとを死傷ししょうさせる行為こうい
主観しゅかん	過失かしつ犯はん
結果けっか	結果けっか犯はん、侵害しんがい犯はん
実行じっこうの着手ちゃくしゅ	-
既遂きすい時期じき	人ひとが死傷ししょうした時点じてん
法定ほうてい刑けい	7年ねん以下いかの懲役ちょうえき若もしくは禁錮きんこ又または100万まん円えん以下いかの罰金ばっきん (無む免許めんきょ運転うんてんによる加重かじゅう) 10年ねん以下いかの懲役ちょうえき
未遂みすい・予備よび	なし

過失かしつ運転うんてん致死傷ちししょう罪ざい（かしつうんてんちししょうざい）は、自動車じどうしゃの運転うんてん上うえ必要ひつような注意ちゅういを怠おこたりよって人ひとを死傷ししょうさせた際さいに適用てきようされる犯罪はんざいである。

刑法けいほうの業務ぎょうむ上じょう過失かしつ致死傷ちししょう罪ざいの類型るいけいであり、元々もともとは、自動車じどうしゃ運転うんてん過失かしつ致死傷ちししょう罪ざいとして、刑法けいほう第だい211条じょうの2に規定きていされていたが、自動車じどうしゃ運転うんてん処罰しょばつ法ほうが成立せいりつし、本ほん罪ざいの規定きていも同どう法ほう第だい5条じょうに移管いかんされた。

経緯けいい・経過けいか

経歴けいれき

• 2007年ねん（平成へいせい19年ねん）6月がつ12日にち：「自動車じどうしゃ運転うんてん過失かしつ致死傷ちししょう罪ざい」（旧きゅう：刑法けいほう第だい211条じょうの2）を新設しんせつする改正かいせい刑法けいほうが施行しこう。

• 2014年ねん（平成へいせい26年ねん）5月がつ20日はつか：自動車じどうしゃ運転うんてん死傷ししょう行為こうい処罰しょばつ法ほうの施行しこうにより、刑法けいほうから同どう法ほうへと「過失かしつ運転うんてん致死傷ちししょう罪ざい」として移管いかん・施行しこうされた。発覚はっかく免めん脱だっ罪ざいも新設しんせつ。

経過けいか

本ほん罪ざいは、2007年ねん(平成へいせい19年ねん)の刑法けいほう改正かいせいにより、刑法けいほう211条じょうの2に自動車じどうしゃ運転うんてん過失かしつ致死傷ちししょう罪ざいとして新設しんせつされた。それ以前いぜんは、自動車じどうしゃによる人身じんしん事故じこは、業務ぎょうむ上じょう過失かしつ致死傷ちししょう罪ざいが適用てきようされていた。自動車じどうしゃの運転うんてんは反復はんぷく継続けいぞく性せいがあり、人ひとの生命せいめい・身体しんたいに危害きがいを与あたえる恐おそれがあるものなので、たとえ私用しようによる運転うんてんであっても『業務ぎょうむ』に当あたる。

従来じゅうらいは、人身じんしん事故じこで適用てきようされる罪つみは、業務ぎょうむ上じょう過失かしつ致死傷ちししょう罪ざいのみであったが、東名とうめい高速こうそく飲酒いんしゅ運転うんてん事故じこが世論せろんに大おおきく影響えいきょうし、自動車じどうしゃの人身じんしん事故じこのうち、アルコールや薬物やくぶつの影響えいきょうにより正常せいじょうな運転うんてんができない状態じょうたいでの運転うんてんや、制御せいぎょ困難こんなんな速度そくどで車くるまを運転うんてんしたこと等とうによる人身じんしん事故じこなど、特とくに悪質あくしつな事故じこについて厳罰げんばつ化かするために、2001年ねん(平成へいせい13年ねん)の刑法けいほう改正かいせいにより、刑法けいほう208条じょうの2に危険きけん運転うんてん致死傷ちししょう罪ざいが新設しんせつされた。しかし、危険きけん運転うんてん致死傷ちししょう罪ざいが適用てきようされる条件じょうけんがとても厳きびしく、業務ぎょうむ上じょう過失かしつ致死傷ちししょう罪ざいの適用てきようが多おおかった。また、業務ぎょうむ上じょう過失かしつ致死傷ちししょう罪ざいについても、法定ほうてい刑けいが5年ねん以下いかの懲役ちょうえき若もしくは禁錮きんこ又または100万まん円えん以下いかの罰金ばっきんとなっている。

そこで、従来じゅうらいの業務ぎょうむ上じょう過失かしつ致死傷ちししょう罪ざいの類型るいけいとして、法定ほうてい刑けいを7年ねん以下いかの懲役ちょうえき若もしくは禁錮きんこ又または100万まん円えん以下いかの罰金ばっきんに引ひき上あげ、通常つうじょうの業務ぎょうむ行為こういよりも他人たにんに危害きがいを与あたえる可能かのう性せいが高たかい、自動車じどうしゃ運転うんてんによる人ひとの死傷ししょうを、通常つうじょうの業務ぎょうむ上じょう過失かしつより重おもく処断しょだんするために、自動車じどうしゃ運転うんてん過失かしつ致死傷ちししょう罪ざいが刑法けいほうに規定きていされた。その後ご、2013年ねん（平成へいせい25年ねん）に、自動車じどうしゃ運転うんてん処罰しょばつ法ほうが成立せいりつし、本ほん罪ざいと危険きけん運転うんてん致死傷ちししょう罪ざい、共ともに同どう法ほうに移管いかんされ、刑法けいほう211条じょうの2の自動車じどうしゃ運転うんてん過失かしつ致死傷ちししょう罪ざいは、自動車じどうしゃ運転うんてん死傷ししょう行為こうい処罰しょばつ法ほう第だい5条じょうの過失かしつ運転うんてん致死傷ちししょう罪ざいに変更へんこうされた。刑罰けいばつの新設しんせつ後ごは、人身じんしん事故じこは過失かしつ運転うんてん致死傷ちししょう罪ざいの適用てきようとなっている。

概要がいよう

本ほん罪ざいは、法ほう第だい5条じょうに規定きていされており、自動車じどうしゃの運転うんてんをするにおいて、必要ひつような注意ちゅういを怠おこたったことにより人ひとを死傷ししょうさせた際さいに適用てきようされる罪つみで、傷害しょうがいが軽かるいときは、情状じょうじょうにより、その刑けいを免除めんじょすることができると定さだめられている。ただし、傷害しょうがいが軽かるいからといって必かならずしも刑けいが免除めんじょされるわけではない。

本ほん罪ざいは過失かしつ犯はんであるため、過失かしつが認みとめられるための、被害ひがいが発生はっせいする可能かのう性せいがあることを事前じぜんに認識にんしきできたかどうかの予見よけん可能かのう性せいと、適切てきせつに行動こうどうしていればその被害ひがいを回避かいひできたかどうかの結果けっか回避かいひ可能かのう性せいが求もとめられる。つまり、運転うんてん手しゅに過失かしつがあることによって罪つみが成立せいりつする。例たとえば、居眠いねむりや、前方ぜんぽう不注意ふちゅうい、信号しんごう無視むし・見落みおとし、携帯けいたい電話でんわを使用しようしながら運転うんてんする行為こうい、その他た道交法どうこうほう違反いはんなどは、自動車じどうしゃの運転うんてん上じょう必要ひつような注意ちゅういを怠おこたったとして過失かしつとされる。

自動車じどうしゃによる人身じんしん事故じこでは、運転うんてん手しゅに全まったく過失かしつがなかったと判断はんだんされることはほとんどなく、特とくに歩行ほこう者しゃが被害ひがい者しゃの場合ばあい、運転うんてん手しゅに本ほん罪ざいの容疑ようぎがかけられる。ただし実際じっさいには、地方ちほう検察庁けんさつちょうが不ふ起訴きそ（起訴きそ猶予ゆうよ）にする場合ばあいもあり、必かならずしも全すべての人身じんしん事故じこにおいて、本ほん罪ざいの刑事けいじ責任せきにんが裁判所さいばんしょで処断しょだんされる訳わけではない。

法定ほうてい刑けい

7年ねん以下いかの懲役ちょうえき若もしくは禁錮きんこ又または100万まん円えん以下いかの罰金ばっきん。

無む免許めんきょ運転うんてんによる加重かじゅう

無む免許めんきょ運転うんてんの場合ばあいは刑けいが加重かじゅうされ、10年ねん以下いかの懲役ちょうえきとなる。無む免許めんきょ運転うんてんと人ひとの死傷ししょうとの因果いんが関係かんけいは不要ふようだが、運転うんてん技能ぎのうがない場合ばあいは、危険きけん運転うんてん致死傷ちししょう罪ざいとなる。危険きけん運転うんてん致死傷ちししょう罪ざいの成立せいりつには、運転うんてん技能ぎのうがないことが必要ひつようであり、無む免許めんきょでも運転うんてん技能ぎのうありと認みとめられれば過失かしつ運転うんてん致死傷ちししょう罪ざいの無む免許めんきょ運転うんてん加重かじゅうとなる。例たとえば、一いち度ども免許めんきょを取得しゅとくしていなくても、無む免許めんきょ運転うんてんを繰くり返かえしており、運転うんてんできるようなら運転うんてん技能ぎのうありとみなされる。また、一度いちど免許めんきょ取とり消けしになり、取得しゅとくしなかった場合ばあいも同様どうよう。

罪つみ数すう

• 危険きけん運転うんてん致死傷ちししょう罪ざいが成立せいりつする場合ばあいは、危険きけん運転うんてん致死傷ちししょう罪ざいと過失かしつ運転うんてん致死傷ちししょう罪ざいは、法条ほうじょう競合きょうごうの関係かんけいである。
• 飲酒いんしゅ運転うんてんと過失かしつ運転うんてん致死傷ちししょう罪ざいは、併合へいごう罪ざいの関係かんけいである。
• 過失かしつ運転うんてん致死傷ちししょう罪ざいと他たの道交法どうこうほう違反いはんは、併合へいごう罪ざいの関係かんけいである。

行政ぎょうせい処分しょぶん

また、本ほん罪ざいの刑事けいじ処分しょぶんとは別べつに、人身じんしん事故じこを起おこした運転うんてん手しゅには、違反いはん点数てんすうの加算かさんや、免許めんきょ取とり消けし、免許めんきょ停止ていしの行政ぎょうせい処分しょぶんが課かされる。

運転うんてん手しゅに加算かさんされる免許めんきょの点数てんすうは、違反いはん行為こういに対たいして課かされる基礎きそ点数てんすうと、人身じんしん事故じこの重大じゅうだい性せいに応おうじて課かされる付加ふか点数てんすうがある。

「交通こうつう違反いはんの一覧いちらん#交通こうつう事故じこに係かかる付加ふか点数てんすう」も参照さんしょう

人身じんしん事故じこにおける被害ひがいの程度ていど別べつの付加ふか点数てんすう

被害ひがい者しゃの被害ひがいの程度ていど	専もっぱら加害かがい者しゃの過失かしつの場合ばあい	左記さき以外いがいの場合ばあい
死亡しぼう	20点てん	13点てん
傷害しょうがい(治療ちりょう期間きかんが3ヶ月かげつ以上いじょう又または後遺こうい障害しょうがい)	13点てん	9点てん
治療ちりょう期間きかん30日にち以上いじょう3ヶ月かげつ未満みまん	9点てん	6点てん
治療ちりょう期間きかん15日にち以上いじょう30日にち未満みまん	6点てん	4点てん
治療ちりょう期間きかん15日にち未満みまん	3点てん	2点てん

判例はんれい

ここでは、過失かしつ運転うんてん致死傷ちししょう罪ざい(又または自動車じどうしゃ運転うんてん過失かしつ致死傷ちししょう罪ざい)が適用てきようされ、加害かがい者しゃの判決はんけつが確定かくていし、社会しゃかい的てきに注目ちゅうもくされた事故じこについての概要がいよう・判例はんれいを示しめす。

亀岡かめおか暴走ぼうそう事故じこ - 2013年ねん9月30日にち大阪おおさか高等こうとう裁判所さいばんしょ判決はんけつ

2012年ねん4月がつ23日にち、京都きょうと府ふ亀岡かめおか市しで、自動車じどうしゃを無む免許めんきょで居眠いねむり運転うんてんをした少年しょうねんが、登校とうこう中ちゅうの児童じどうと引率いんそつの保護ほご者しゃらに突つっ込こみ、10人にんが死傷ししょうした交通こうつう事故じこ。少年しょうねんは、自動車じどうしゃ運転うんてん過失かしつ致死傷ちししょう罪ざいと道路どうろ交通こうつう法ほう違反いはん(無む免許めんきょ運転うんてん)の疑うたがいで逮捕たいほされた。京都きょうと地検ちけんと京都きょうと府警ふけいは、当初とうしょ、危険きけん運転うんてん致死傷ちししょう罪ざいの適用てきようを視野しやに入いれていたが、危険きけん運転うんてん致死傷ちししょう罪ざいの構成こうせい要因よういんを満みたさないとして断念だんねんし、自動車じどうしゃ運転うんてん過失かしつ致死傷ちししょう罪ざいなどの非行ひこう事実じじつで京都きょうと家裁かさいに送致そうちした。地検ちけんは少年しょうねんが無む免許めんきょ運転うんてんを繰くり返かえしており、事故じこの直前ちょくぜんも無事故むじこで長時間ちょうじかん運転うんてんしていたことから「運転うんてん技術ぎじゅつはある」と判断はんだんし、自動車じどうしゃ運転うんてん過失かしつ致死傷ちししょう罪ざいで起訴きそした。2012年ねん2月がつ9日にち、京都きょうと地裁ちさいは、少年しょうねんに対たいし懲役ちょうえき5年ねん以上いじょう8年ねん以下いかの不定期ふていき刑けいをい渡いわたした。弁護べんご側がわ、検察けんさつ側がわ双方そうほうが控訴こうそし、大阪おおさか高裁こうさいは、一いち審しん判決はんけつを破棄はきし、懲役ちょうえき5年ねん以上いじょう9年ねん以下いかの不定期ふていき刑けいをい渡いわたした。弁護べんご側がわ、検察けんさつ側がわは上告じょうこくせず、判決はんけつが確定かくていした。

関越かんえつ自動車じどうしゃ道どう高速こうそくバス居眠いねむり運転うんてん事故じこ - 2014年ねん3月25日にち前橋まえばし地方裁判所ちほうさいばんしょ判決はんけつ

2012年ねん4月がつ29日にち、群馬ぐんま県けんの関越かんえつ自動車じどうしゃ道どうで、ツアーバスが防音ぼうおん壁かべに衝突しょうとつし、乗客じょうきゃく乗員じょういん46人にんが死傷ししょうした交通こうつう事故じこ。運転うんてん手しゅの男おとこは入院にゅういんしていたが、回復かいふく後ご、5月1日にちに自動車じどうしゃ運転うんてん過失かしつ致死傷ちししょう罪ざいで逮捕たいほされ、22日にちに起訴きそされた。2014年ねん3月がつ25日にち、前橋まえばし地裁ちさいは運転うんてん手しゅの男おとこに対たいし、自動車じどうしゃ運転うんてん過失かしつ致死傷ちししょう罪ざい、道路どうろ運送うんそう法ほう違反いはん、電磁でんじ的てき公正こうせい証書しょうしょ原本げんぽん不実ふじつ記録きろく供用きょうようの罪つみで、懲役ちょうえき9年ねん6ヶ月かげつ・罰金ばっきん200万まん円えんの有罪ゆうざい判決はんけつをい渡いわたした。弁護べんご側がわは控訴こうそせず、判決はんけつが確定かくていした。

大津おおつ園児えんじ死傷ししょう事故じこ - 2020年ねん2月がつ17日にち大津おおつ地方裁判所ちほうさいばんしょ判決はんけつ

2019年ねん5月8日にち、大津おおつ市しの交差点こうさてんで、青信号あおしんごうで右折うせつ車しゃが右折うせつしようとしたことにより、同おなじく青信号あおしんごうで直進ちょくしんしてきた対向たいこう直進ちょくしん車しゃと接触せっしょくし、そのはずみで直進ちょくしん車しゃが、信号しんごう待まちをしていた散歩さんぽ中ちゅうの保育園ほいくえん児じらに突つっ込こみ、16人にんが死傷ししょうした事故じこ。滋賀しが県警けんけいは、直進ちょくしん車しゃと右折うせつ車しゃをそれぞれ運転うんてんしていた女おんな2人にんを過失かしつ運転うんてん傷害しょうがいで現行げんこう犯はん逮捕たいほした。右折うせつ車しゃの女おんなは、過失かしつ運転うんてん致死傷ちししょう罪ざい、ストーカー規制きせい法ほう違反いはんなどの罪つみで起訴きそされ、大津おおつ地裁ちさいは、2020年ねん2月がつ17日にちに右折うせつ車しゃの女おんなに対たいし、前方ぜんぽう不注意ふちゅういにより直進ちょくしん車しゃに気きづかず、右折うせつをしようとしたことを事故じこの主しゅたる原因げんいんとし、禁錮きんこ4年ねん6ヶ月かげつの実刑じっけい判決はんけつをい渡いわたした。これに対たいし、右折うせつ車しゃの女おんなは控訴こうそしていたが、4月がつに取とり下さげ判決はんけつが確定かくていした。
なお、直進ちょくしん車しゃの運転うんてん手しゅは逮捕たいほ当日とうじつに釈放しゃくほうされ、その後ご不ふ起訴きそ処分しょぶんになった。遺族いぞくはこれを不服ふふくとして、2021年ねん5月がつ7日にち大津おおつ検察けんさつ審査しんさ会かいに審査しんさを申もうし立たてたが、2021年ねん12月15日にち、検察けんさつ審査しんさ会かいは「不ふ起訴きそ相当そうとう」と議決ぎけつした。

過失かしつ運転うんてん致死傷ちししょうアルコール等とう影響えいきょう発覚はっかく免めん脱だっ罪ざい

概要がいよう

過失かしつ運転うんてん致死傷ちししょうアルコール等とう影響えいきょう発覚はっかく免めん脱だっ罪ざいは、自動車じどうしゃ運転うんてん処罰しょばつ法ほう第だい4条じょうで、アルコール又または薬物やくぶつの影響えいきょうにより走行そうこう中ちゅうに正常せいじょうな運転うんてんに支障ししょうが生しょうじるおそれがある状態じょうたいで自動車じどうしゃを運転うんてんし、運転うんてん上じょう必要ひつような注意ちゅういを怠おこたったことにより人ひとを死傷ししょうさせた場合ばあいに、その運転うんてんの時ときのアルコール又または薬物やくぶつの影響えいきょうの有無うむ又または程度ていどが発覚はっかくすることを免まぬかれる目的もくてきで、更さらにアルコール又または薬物やくぶつを摂取せっしゅしたり、その場ばを離はなれて身体しんたいに保有ほゆうするアルコール又または薬物やくぶつの濃度のうどを減少げんしょうさせたりする等ひとし、その影響えいきょうの有無うむ又または程度ていどが発覚はっかくすることを免まぬかれるべき行為こういをした場合ばあいをより重おもく処罰しょばつするように規定きていしている。

つまり、酒さけや薬物やくぶつの影響えいきょうで、車くるまの走行そうこう中ちゅうに正常せいじょうな運転うんてんに支障ししょうが出でる恐おそれがある状態じょうたいで運転うんてんし、運転うんてん上じょう必要ひつような注意ちゅういを怠おこたったことにより人身じんしん事故じこを起おこし(過失かしつ運転うんてん致死傷ちししょう罪ざいを犯おかした状態じょうたいで)、事故じこ後ごにさらにアルコールや薬物やくぶつを摂取せっしゅしたり、現場げんばから逃走とうそうしたりすることで、事故じこ当時とうじに飲酒いんしゅ運転うんてん・麻薬まやく運転うんてんをしていたことを隠蔽いんぺいしようとすることを罪つみとしている。運転うんてん時じのアルコール、薬物やくぶつの摂取せっしゅを隠蔽いんぺいする目的もくてきであれば、他たの方法ほうほうでも成立せいりつするとされる。

なお、現場げんばから逃走とうそうした場合ばあいは、道交法どうこうほうの救護きゅうご義務ぎむ違反いはんも成立せいりつし、本ほん罪ざいとは併合へいごう罪ざいの関係かんけいになる。

正常せいじょうな運転うんてんに支障ししょうがでる恐おそれのある状態じょうたいであり、本ほん罪ざいの成立せいりつのために実際じっさいに運転うんてんに支障ししょうが出でている必要ひつようはなく、仮かりにそうであれば、危険きけん運転うんてん致死傷ちししょう罪ざいが成立せいりつするとされる。

法定ほうてい刑けい

12年ねん以下いかの懲役ちょうえき。

無む免許めんきょ運転うんてんによる加重かじゅう

無む免許めんきょ運転うんてんの場合ばあいは刑けいが加重かじゅうされ、15年ねん以下いかの懲役ちょうえきとなる。運転うんてん技能ぎのうがなければ危険きけん運転うんてん致死傷ちししょう罪ざいの適用てきようとなる。運転うんてん技能ぎのうを有ゆうする、有ゆうさないの基準きじゅんなどの詳細しょうさいついては、前述ぜんじゅつの過失かしつ運転うんてん致死傷ちししょう罪ざいの無む免許めんきょ加重かじゅうの内容ないようと同様どうよう。

関連かんれん項目こうもく

• 交通こうつう事故じこ
• 自動車じどうしゃ運転うんてん処罰しょばつ法ほう
• 危険きけん運転うんてん致死傷ちししょう罪ざい
• 業務ぎょうむ上じょう過失かしつ致死傷ちししょう罪ざい
• 過失かしつ致死傷ちししょう罪ざい
• 道路どうろ交通こうつう法ほう