文書 偽造 の罪
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概説 [編集 ]
偽造 の定義 [編集 ]
有形 偽造 有形 偽造 (狭義 の有形 偽造 )
通常 、偽造 とは有形 偽造 のことを指 し、権限 のないまま他人 名義 の文書 を作成 することをいう[2]。文書 の名義 人 と作成 者 との間 の人格 の同一 性 を偽 って文書 を作成 することとい換 えることもできる(最 決 平成 5年 10月 5日 刑 集 47巻 8号 7頁 )。有形 偽造 により作出 された文書 を不 真正 文書 もしくは偽造 文書 という[2]。以下 、単 に「偽造 」という場合 は有形 偽造 を指 す。
有形 変造
真正 に成立 した文書 に対 して変更 を加 えることをいう[2]。なお、権限 のない者 による場合 を有形 変造 といい、権限 のある者 による場合 は無形 変造 という。変造 は預金 通帳 の預入 れ年月日 だけを改 ざんした場合 など、本質 的 でない部分 を改変 する場合 に限 られる。本質 的 部分 を改変 した場合 は、新 たな文書 を作成 したのと同 じであるから、偽造 となる。
無形 偽造 (虚偽 文書 の作成 )
実質 主義 と形式 主義 [編集 ]
実質 主義 [編集 ]
しかし、
形式 主義 [編集 ]
文書 の作成 者 [編集 ]
日本 法 [編集 ]
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カテゴリ |
詔書 偽造 等 の罪 (154条 )公文書 偽造 等 の罪 (155条 )虚偽 公文書 作成 等 の罪 (156条 )公正 証書 原本 不実 記載 等 の罪 (157条 )偽造 公文書 行使 等 の罪 (158条 )私 文書 偽造 等 の罪 (159条 )虚偽 診断 書 等 作成 罪 (160条 )偽造 私 文書 等 行使 罪 (161条 )電磁 的 記録 不正 作出 及 び供用 の罪 (161条 の2)
なお、
保護 法益 [編集 ]
客体 [編集 ]
文書 文字 又 はこれに代 わる記号 ・符号 を用 いて、ある程度 持続 すべき状態 において、意思 又 は観念 を表示 したものをいう。音声 を録音 したテープは文書 に当 たらない。ある程度 の持続 性 があればよいので、黒板 にチョークを用 いて書 かれた記載 も文書 に当 たる。名刺 、表札 等 は、意思 ・観念 を表示 しているとはいえないので、文書 に当 たらない。文書 は、意思 ・観念 の表示 であるから、その主体 である名義 人 が存在 することが必要 である。およそ文書 自体 から名義 人 を特定 することができない場合 は、文書 偽造 罪 は成立 しない。ただし、名義 人 が実在 することまでは必要 なく、架空 人 名義 であっても、一般 的 に人 が実在 すると誤信 するのであれば、文書 性 を肯定 してよい(最 判 昭和 28年 11月13日 刑 集 7巻 11号 2096頁 、最 判 昭和 36年 3月 30日 刑 集 15巻 3号 667頁 )。- また、
文書 は原本 に限 らず、コピーもまた偽造 罪 の対象 となる文書 性 を有 するとされている(最 判 昭和 51年 4月 30日 刑 集 30巻 3号 453頁 等 )。これは、コピーであっても本 罪 の保護 法益 である「公共 の信用 」が害 される場合 がありうるためである。 図画 法学 上 は「とが」と発音 する。上記 にいう文書 のうち、象形 的 符号 を用 いたものをいう。
犯罪 類型 [編集 ]
詔書 偽造 等 罪 [編集 ]
公文書 偽造 等 罪 [編集 ]
行使 の目的 で、公務 所 若 しくは公務員 の印章 若 しくは署名 を使用 して公務 所 若 しくは公務員 の作成 すべき文書 若 しくは図画 を偽造 し、又 は偽造 した公務 所 若 しくは公務員 の印章 若 しくは署名 を使用 して公務 所 若 しくは公務員 の作成 すべき文書 若 しくは図画 を偽造 した者 は、1年 以上 10年 以下 の懲役 に処 せられる(刑法 155条 1項 )。- また、
公務 所 又 は公務員 が押印 し又 は署名 した文書 又 は図画 を変造 した者 も、同様 である(刑法 155条 2項 )。 公務 所 若 しくは公務員 の作成 すべき文書 若 しくは図画 を偽造 し、又 は公務 所 若 しくは公務員 が作成 した文書 若 しくは図画 を変造 した者 は、3年 以下 の懲役 又 は20万 円 以下 の罰金 に処 される(刑法 155条 3項 )。
虚偽 公文書 作成 等 罪 [編集 ]
公務員 が、その職務 に関 し、行使 の目的 で、虚偽 の文書 若 しくは図画 を作成 し、又 は文書 若 しくは図画 を変造 したときは、印章 又 は署名 の有無 により区別 して、刑法 154条 、155条 の規定 の例 によって処罰 される(刑法 156条 )。
公正 証書 原本 不実 記載 等 罪 [編集 ]
公務員 に対 し虚偽 の申立 てをして、登記 簿 、戸籍 簿 その他 の権利 若 しくは義務 に関 する公正 証書 の原本 に不実 の記載 をさせ、又 は権利 若 しくは義務 に関 する公正 証書 の原本 として用 いられる電磁 的 記録 に不実 の記録 をさせた者 は、5年 以下 の懲役 又 は50万 円 以下 の罰金 に処 せられる(刑法 157条 1項 )。公務員 に対 し虚偽 の申立 てをして、免状 、鑑札 又 は旅券 に不実 の記載 をさせた者 は、1年 以下 の懲役 又 は20万 円 以下 の罰金 に処 される(刑法 157条 2項 )。- 157
条 1項 及 び2項 の罪 については未遂 も罰 せられる(刑法 157条 3項 )。
債務 整理 などの前 に「財産 隠 し」のために不動産 の所有 権 移転 登記 をする例 があるが、このような場合 は「不実 記載 」ではない。不動産 登記 は「当事 者 たちから法 に定 める手続 きに従 った登記 申請 があった」ことを証明 する制度 であって登記 内容 が真実 であることを証明 する制度 ではない。従 ってどのような意図 ・悪意 があろうとも、正当 な当事 者 による登記 は無形 偽造 と同 じなので処罰 対象 とはならない。- もちろん、その
意図 ・悪意 が他人 を騙 す・差押 えを免 れる手段 だと明 らかになった時 には、詐欺 や競売 入札 妨害 などの罪 として処罰 されるし、登記 を信 じて取引 をした者 は保護 される。
偽造 公文書 行使 等 罪 [編集 ]
私 文書 偽造 等 罪 [編集 ]
行使 の目的 で、他人 の印章 若 しくは署名 を使用 して権利 、義務 若 しくは事実 証明 に関 する文書 若 しくは図画 を偽造 し、又 は偽造 した他人 の印章 若 しくは署名 を使用 して権利 、義務 若 しくは事実 証明 に関 する文書 若 しくは図画 を偽造 した者 は、3月以上 5年 以下 の懲役 に処 される(刑法 159条 1項 )。他人 が押印 し又 は署名 した権利 、義務 又 は事実 証明 に関 する文書 又 は図画 を変造 した者 も、同様 である(刑法 159条 2項 )。刑法 159条 1項 と2項 に規定 するもののほか、権利 、義務 又 は事実 証明 に関 する文書 又 は図画 を偽造 し、又 は変造 した者 は、1年 以下 の懲役 又 は10万 円 以下 の罰金 に処 せられる(刑法 159条 3項 )。
東 地 判 平成 10年 8月 19日 -外国 人 3名 が、日本人 Xから名義 使用 の承諾 を得 て、写真 のみ自己 の写真 を使用 した旅券 の発給 申請 をしたことは、外国 人 3名 の私 文書 偽造 行使 罪 にあたり、さらに日本人 Xは同罪 の共犯 となる[8]。
最 第 2小判 昭 58年 4月 8日 -「交通 事件 原票 中 の供述 書 は、その文書 の性質 上 、作成 名義 人 以外 の者 がこれを作成 することは法令 上 許 されないものであつて、右 供述 書 他人 の名義 で作成 した場合 は、あらかじめその他人 の承諾 を得 ていたとしても、私 文書 偽造 罪 が成立 する」。[9]
東 高 判 昭 55年 10月 22日 - 「作成 名義 人 がその名義 使用 の権限 を実際 の作成 者 に与 えることにより、作成 名義 人 でない者 の認識 内容 が文書 に表示 され、これを事実 証明 の用 に供 した効果 が作成 名義 人 に帰 するようなことは、本来 あってはならない性質 の文書 」の作成 は名義 人 から承諾 を得 ていても、私 文書 偽造 罪 を構成 する。
虚偽 診断 書 等 作成 罪 [編集 ]
偽造 私 文書 等 行使 罪 [編集 ]
電磁 的 記録 不正 作出 及 び供用 罪 [編集 ]
人 の事務 処理 を誤 らせる目的 で、その事務 処理 の用 に供 する権利 、義務 又 は事実 証明 に関 する電磁 的 記録 を不正 に作 った場合 、5年 以下 の懲役 または50万 円 以下 の罰金 に処 される(刑法 161条 の2第 1項 )。電磁 的 記録 が公務 所 または公務員 により作 られるべき電磁 的 記録 であった場合 、10年 以下 の懲役 または100万 円 以下 の罰金 に処 される(刑法 161条 の2第 2項 )。不正 に作 られた権利 、義務 又 は事実 証明 に関 する電磁 的 記録 を、人 の事務 処理 を誤 らせる目的 で、人 の事務 処理 の用 に供 した場合 、不正 作出 と同様 に処罰 される(刑法 161条 の2第 3項 )。また、未遂 も処罰 される(同 条 第 4項 )。
脚注 [編集 ]
出典 [編集 ]
- ^ a b 『
注釈 刑法 第 2巻 各論 (1)』有斐閣 、2016年 、370頁 。 - ^ a b c d e f g 『
注釈 刑法 第 2巻 各論 (1)』有斐閣 、2016年 、396頁 。 - ^ a b c d 『
注釈 刑法 第 2巻 各論 (1)』有斐閣 、2016年 、397頁 。 - ^ a b 『
注釈 刑法 第 2巻 各論 (1)』有斐閣 、2016年 、398頁 。 - ^ a b c 『
注釈 刑法 第 2巻 各論 (1)』有斐閣 、2016年 、371頁 。 - ^ a b c d e 『
注釈 刑法 第 2巻 各論 (1)』有斐閣 、2016年 、399頁 。 - ^ 『
注釈 刑法 第 2巻 各論 (1)』有斐閣 、2016年 、400頁 。 - ^
奥村 正雄 『自己 名義 使用 の承諾 と私 文書 偽造 罪 の共謀 共同 正犯 』。「同志社 法学 」、同志社大学 刑事 判例 研究 会 。 - ^
最高裁判所 第 2小 法廷 判決 昭和 58年 4月 8日 。
文献 情報 [編集 ]
松澤 伸 、「文書 偽造 罪 の保護 法益 と「公共 の信用 」の内容 -最近 の判例 を素材 として- 」『早稲田 法学 』 2007年 82巻 2号 p.31-69, ISSN 0389-0546, NAID 120001941684,早稲田大学 法 学会 林 陽一 「文書 という制度 について :文書 偽造 罪 の保護 法益 (一 )(岩間 昭道 先生 退官 記念 号 )」『千葉大学 法学 論集 』第 23巻 第 1号 、千葉大学 法 学会 ,千葉大学 総合 政策 学会 、2008年 9月 、201-244頁 、NAID 110007326617。 ※((二 )以降 未刊 )- 髙田
毅 、「文書 偽造 罪 における有形 偽造 概念 」学位 論文 学 位記 番号 :人 社 修 126号 , 2009年 ,弘前大学